カテゴリー「IT・技術」の23件の記事

2021年4月11日 (日)

◆アリババへの罰金と中国の情報管理 2021.4.11

 中国当局がアリババに巨額の罰金(182億元)を科した。同社がネット通販で独占的な地位を乱用したという理由で、中国独禁法による罰金としては過去最大だ。

 中国当局の狙いや今回の罰金の位置づけは不明な部分が多い。しかし、中国のIT戦略や情報管理政策が曲がり角を迎えていることは認識しておく必要があるだろう。

▼独禁法違反

 中国当局は制裁の理由について、同社がネット通販で、取引先に対し競合相手と取引をしないように求めるなど、独占的な地位を乱用したためとする。これが同国独禁法に違反するという説明だ。

 アリババは決定に従うという声明を発表。社会的な責任を果たしていくとも表明し、恭順の意を表した格好だ。

▼政策の舵切り

 中国当局の、大手ITに対する姿勢の変化が目立ち始めたのは昨年後半。大手IT各社への規制を強め、中でも電子商取引最大手のアリババへの動きが際立つ。昨年11月には、アリババ傘下の金融会社アントが上場を予定していたが、延期(中止)を余儀なくされた。当局の意向が働いたとの見方がもっぱらだ。当局はその後アリババ本体への調査に着手。半年に満たない調査で今回の決定だ。

 テンセントなど他のIT大手に対する調査も始め、罰金も科している。ただ、金額などはアリババがけた違いに多い。

 中国はこれまでIT企業の育成を重視。電子商取引ではアマゾンなど米大手を中国市場から占め出し、その恩恵でアリババなどが育った。中国当局が自国のIT企業を応援した形だ。ここに来て、支援から規制に舵を切ったようにも見える。

▼様々な憶測

 事実関係や中国当局の真意には、分からない部分も多い。

 大手ITに対する規制強化は世界的な流れ。EUは数年前から様々な試みをしている。米国も昨年後半、司法省がグーグル、FTCがフェイスブックをそれぞれ提訴するなど、基本スタンスを規制強化の方向に変えた。

 ただ、中国の規制強化を欧米と同じ脈略(論理)で捉えるのは、打倒でないように見える。

 アントの場合、Fintechの分野で急成長し、当局の金融規制が及ばなくなる恐れがある。アリババ本体にしても、あまり影響力を拡大すると、当局の思うがままに動かなくなるーーこんな警戒が、規制強化につながったとの見方がある。アリババやアントの株主に、党長老につながる人脈が含まれており、政治的な警戒を呼んだという情報も流れる。真偽のほどはいずれも不確かだ。

▼国家による情報管理

 真相がつかめない中でも、注意すべき点がある。中国の国家・党による情報管理や情報独占の動きだ。

 中国はかねてネットを使った国民の情報収集や管理を強めている。TVカメラを通じた国民の行動監視やデータ収集、SNSの発信内容の把握など様々だ。

 一方、アリババなど大手IT企業は、国民の買い物情報、個人の健康情報など膨大なデータを蓄積している。これが国家にが取り込まれたらどうなるのか。管理社会は一段レベルが高まる。

▼情報化・監視社会の行方

 高度管理社会や情報独占の懸念は、コロナ後の世界で益々重要なテーマになる。そしてこの問題を論じるき、焦点になるのは中国だ。

 アリババの罰金には、分からない部分が多く残る。「社会のIT化」や「高度監視社会化」の潮流をしっかり押さえて、個々の動きやニュースを追って行く必要があるだろう。

◎ 党の声、アリババ「凄い」が「大丈夫?」
◎ また一つ監視社会が進む春

2021.4.11

 

 

2020年11月15日 (日)

◆香港・アント・習近平 2020.11.15

 香港立法会の民主派議員が資格を剥奪され、民主派議員が抗議の辞任をした。立法会はほぼ全体が親中派と欠員になり、民主派は拠点を失う。1国2制度の形骸化は一段と進んだ格好だ。

▼香港の締め付け強化

 6月末に香港安全法が施行されて以来、中国の締め付けは厳しさを増している。今回の民主派議員の資格はく奪は、平和的な方法での抗議活動も当局が認めない姿勢を示したと受け止められている。民主派の活動は行き詰まり状況にある。

 民主派の活動家が海外に逃れる事にも困難が待ち構える。当局は出国を規制。中国は亡命受け入れ姿勢を示すカナダや豪州、欧州諸国などに圧力をかける。

 欧米主要国は香港当局中国を批判するが、その動きは限定的だ。バイデン米次期政権の下に欧米が協調体制を取り、対中戦略で新しい戦略を打ち出せるか。それとも口先の批判に留まるのか。世界の枠組みや民主主義の行方の観点からも目を離せない。

▼中国当局の民間企業支配

 アリババ傘下のアント・グループが上場を延期。この問題の余波が広がる。習近平国家主席が上場延期を直接指示したとの情報が流れ、世界は中国政府による企業支配が一段と強化されていると受け止めた。

 アントは世界で10億人のユーザーを持つスマホ決済の大手。香港、上海市場への上場(新規小株式公開=IPO)を決めていたが、予定日直前の3日に突然延期を決めた。

 延期の理由として、中国政府が同社の際限ないビジネス拡大に警戒を抱いたとか、同社創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が中国の金融監督体制を批判するかのような発言をしたため、などと理解された。米誌WSJは12日になり、延期の指示を習近平主席が直接下したと報道した。

 中国は最近、民間企業を政府・共産党の支配下に置く動きを強めている。大手企業に対し、定款に共産党の指導に沿うことを明記するよう要求。多くの企業が従っている。政府や国有企業が民間企業を支配下に置く事例も増えている。

 中国はIT分野では民間の創意工夫を重視してきた。しかしこの分野でも、政府・党が支配を強める傾向が出ている。アリババなど大手IT企業への独占規制や監視の強化も指摘される。アントの問題は、そうして脈略で起きた。

▼中国の動き

 中国共産党は10月末の5中全会で、党幹部の人事を見送り、習近平体制の3期目入りの可能性が強まった。

 並行して体制安定や経済強化を強調。2035年までにGDPと1人当たりの所得を倍増し、先進国のレベルに到達する目標を掲げた。科学技術は「自力での強化」などをうたった。

 中国の動向は、今後の世界の枠組みを左右する重要な要素の1つ。このところ目立つのはコロナ対策、香港問題での強硬な姿勢、強権化などの動きだ。アントの上場延期の動きも、こうした脈略の中に置くとより深く見えて来るものがある。

 

◎ 年初には1国2制度あったけど
◎ ビジネスも党が上だと念を押す

 

2020.11.15

 

2020年10月25日 (日)

◆グーグル提訴の衝撃 2020.10.25

 米司法省がグーグルを反トラスト法(独禁法)で提訴した。IT大手を巡る大型訴訟は約20年ぶり。大手IT企業に対する規制強化の流れを象徴する動きであり、世界のIT業界の地図を変える可能性がある。

▼競争阻害の疑い

 司法省は20日、首都ワシントンの連邦地裁に、テキサス州など11の司法長官と共に提訴した。グーグルがネットの検索・広告市場で競争を妨げる排他的な行為をし、独占を維持しようとしたと主張した。

 具体的には、(1)スマホメーカーに対し、競合の検索サービスの初期搭載を禁じる独占契約を結んだ、(2)アップルに毎年数十億ドル(最大120憶ドル)を払い、自社の検索サービスを標準搭載させたーーなどが反競争的な行為に当たるとしている。

 グーグルはスマホ利用者は他社の検索サービスも利用できるなどとし、司法省の主張に反論する。

▼GAFAの時代

 今回の訴訟は、大手IT企業に対する批判が強まっている中で起きた。

 IT業界ではGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)やマイクロソフトなど大手企業への集中が進む。グーグルの検索やユーチューブ、フェイスブックのSNSなどは世界で10億人単位の利用者を抱える。大手IT企業は膨大な顧客のデータを抱え、それをベースに新たなサービスやビジネスを展開している。

 データの蓄積が少ない中小の企業や新興企業は大手に対抗しにくく、GAFAなどへの集中がさらに進むという流れが加速した。

 大手IT企業は時価総額ランキングで世界の上位を独占し、2020年にコロナ感染が拡大すると世界の資金は益々IT業界に流れ込むようになった。

▼大手IT批判~EUから世界へ

 2018年にファイスブックからの大量の個人情報流出するなど、大手による情報独占の弊害も目立つようになった。将来競合になり得る新興企業が出て来ると、大手IT企業が巨額の資金を活用して買収し、競争の芽を摘んでいるという指摘も多い。

 こうした流れの中で大手IT企業に対する批判が拡大し、規制論も強まっていった。

 いち早く動いたのがEU。欧州委員会は2018年グーグルに対し、EU競争法違反で43億ユーロの制裁を科した。グーグルがスマホのOSアンドロイド端末に自社の検索ソフトを抱き合わせで搭載するように要求してるとの判断だ。欧州委員会はこれ以外にも、EU競争法を根拠にした巨大IT企業規制を強めた。

 また、2018年には一般データ保護規則(GDPR)を施行。個人情報の保護などを強化した。EUと取引をする世界中の企業がGDPRへの対応迫られた。

▼米国でも規制強化へ

 米国は従来、大手IT規制より育成を重視してきた。しかし2018年頃から徐々に流れが変わった。

 2019年7月には、司法省が巨大IT企業が独禁法の調査に着手。1年の調査を経て、今回のグーグル提訴につながった。

 2020年7月には、議会下院の司法委員会がGAFAのトップの出席を求めて公聴会を実施。10月には下院が報告書をまとめ、大手IT企業規制の必要性を強調した(ただし、報告書は民主党中心に纏められ、共和党議員は別の報告書を発表した。両者は規制強化で一致するものの、その内容については意見が異なる)。

▼20年ぶりの大型訴訟

 今回のグーグル提訴は、米産業界では約20年ぶりの大型訴訟となる。歴史的に重要な訴訟を振り返れば、以下の通りだ。

・1906年:スタンダード石油(1911年に34の会社に分割)
・1969年:IBM(司法省は分割を要求、1982年に和解)
・1974年:ATT(1984年に長距離会社と7つの地域会社などに分割)
・1998年:マイクロソフト(2004年に和解、技術情報開示など)
・2020年:グーグル

 1998年のマイクロソフト提訴では、企業分割の可能性なども指摘されたが、結局6年後にマイクロソフトが技術情報の開示を拡大することなどで和解した。

 しかし、訴訟の期間中マイクロソフトは競争力の強さを前面に出すような行動を取りにくく、グーグルはじめ他社の台頭を招くようになった。PCやソフトの分野でマイクロソフトが突出する状況が変わり、競合する新興企業が育った。その意味で、訴訟の影響は大きかった。

▼グーグル:技術革新の象徴

 過去約20年間、グーグルはIT産業の発展やダイナミズムを象徴する企業だった。革新的な技術力を武器に、検索からスマホのOSであるアンドロイド、TouTubeなどで次々新市場を育てた。自動車の自動運転など次世代の技術でも世界をリードする。

 「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです」(Our mission is to organize the world’s information and make it universally accessible and useful)という分かりやすいメッセージを始め、様々なIT文化を発信。IT革命を先導する存在だった。

 そのグーグルが巨大なり、競争の阻害を糾弾されるようになった。時代の変化を物語る。

▼訴訟の行方

 訴訟の行方がどうなるかは分からない。司法省とグーグルの主張は真っ向から対立しており、専門家の見方もまちまちだ。ただ、決着までに数年はかかるという見方が多い。また、和解や罰金による決着の可能性も指摘される。

 ただ結果がどうなるにせよ、訴訟の期間中グーグルが活動に制約を受ける可能性が大きい。競合する新興企業の買収がしにくくなるなど、M&A戦略に影響が出て来るという見方がある。

▼規制はさらに拡大の可能性

 規制がグーグルだけに留まるとは限らない。ファイスブックなど他のIT大手も、ユーザー情報の囲い込みや競合企業の買収などをテコに成長している。同様の提訴があるとの予測もある。

 SNSに対する規制論も浮上してきた。プラットフォーマーと呼ばれるSNS運営会社(巨大IT企業も含まれる)は、利用者が投稿した内容に法的責任を負わないでいい、という条件の下で急成長してきた(米通信品位法230条)。投稿に虚偽の情報や差別用語が含まれていても、直接責任を負わなくていい内容で、メディアなどが掲載責任を負うのと対照的だ。

 しかし、巨大プラットフォーマーの社会的な影響力とが増加するのに伴い、世間の目は変わって来た。投稿内容への責任を問われるようになれば、今までのビジネスモデルは通用しない。

▼変わる業界地図

 IT業界はただでさえ急速に変化している。新型コロナの流行以降、Zoomなど新興企業が急成長している。通信やスマホは5G時代に入り、これまでにない新サービスが登場してくるだろう。中国は国が情報管理を強める一方、アリババなど巨大企業が世界的な影響を強めている。

 ATT分割やマイクロソフト訴訟の時代に比べ、IT業界の変化は遥かに速度を増し、大胆になっている。その変化の要因になるのは、技術、国家覇権、そして規制体系などだ。

 司法省によるグーグル提訴は、巨大IT企業規制という時代の潮流の象徴的事例であるし、米産業史という脈略でも特記される出来事となる。

◎ ベンチャーの成功、権威化 世のならい
◎ 産業史、流れの節目に規則の目
◎ 技術革新(イノベーション)時々規制の資本主義

2020.10.25

 

 

 

 

 

 

 

2020年8月 2日 (日)

◆GAFA公聴会が語る潮流と課題 2020.8.2

 

 米下院がGAFAの首脳を呼んで7月29日に公聴会を行った。米国では巨大IT企業が公正な競争を阻害しているとの見方が広がり、規制論が強まっている。議会は反トラスト法の調査を行っている。公聴会では応酬が繰り広げられた。

▼世界が注目

 公聴会はビデオで行われた。出席したのはアップルのクック、アマゾンのベゾス、グーグルのピチャイ、フェイスブックのザッカーバーグの各CEO。

 巨大IT企業の独占や規制は世界的な問題であるだけに、公聴会は米国に留まらず世界の注目を集めた。 

▼立場の違い

 議会側からは、反トラスト法を所管する超委員会のメンバーなどが出席。GAFAの戦略が他社の活動の制約になっているなどと指摘した。小委員会のシシリン委員長は、「いくつかは分割は必要」と踏み込んだ。

 GAFA首脳は、様々な指摘に対し違法行為はないと主張したが、歯切れの悪い場面もあった。一方、イノベーションが社会の役に立っていると強調した。

 議論は平行線をたどった印象を与えた。見解や立場の違いが浮かび上がった。

▼独禁法規制で変わる経済・社会

 米国では過去にも巨大企業が独禁法の規制を受け、社会や経済の仕組みが変わってきた経緯がある。20世紀初頭のスタンダード石油の分割、1980年代のATT分割、マイクロソフトに対する独禁法のけん制などが代表事例だ。

 現在のGAFAは検索、ネット通販、SNS、スマホなどの分野で圧倒的なシェアを誇り、社会的な影響力は絶大だ。ベンチャー企業の買収を重ね、ライバル企業の芽を摘んでいるとの指摘もある。

▼複雑な事情

 ただ、これまでと違うのは、ハイテク分野でも米中の競争が激化している点だ。米国が自国のハイテク企業をたたくようなことになれば、中国との覇権争いにも影響しかねない。事情は単純ではない。

 それでも、米国の大手IT企業はこれまでよりずっと、社会的責任を求められるようになった。大手ITを取り巻く環境が、育成から規制に変わっていることは間違いない。

 今回の公聴会は、巨大IT企業を巡る動きの一里塚。今後何が起きるか予想し難いが、公聴会が様々な論点や視点を投げかけたのは事実だ。

◎ 夢よりも順法語れと公聴会
◎ 改革者、巨大化、弊害 輪廻の輪
◎ 利害複雑、でも「独占は悪」の筋通る
◎ 技術語る歯切れの良さはどこへやら

2020.8.2

 

 

2019年9月16日 (月)

◆米、GAFA規制を強化へーー米IT政策の曲がり角 2019.9.15

 

 GAFAに代表されるIT大手に対する規制が、米国でも強まる。テキサス、NYなどの州政府は、グーグルとFBそれぞれに対し、独禁法違反の疑いで調査を開始すると発表した。IT業界のあり方を変える可能性がある。

▼州政府が調査開始

 テキサス州など50州・地域は9日、グーグルが広告事業で独禁法(反トラスト法)に違反している疑いがあるとして、調査開始を発表した。

 NY州など9州・地域は6日、FBが収集データを利用して利用者の選択を制限したり、広告価格を不当に引き上げた疑いで捜査開始を発表した。

▼欧州の規制

 大手IT企業の情報独占に対する批判は、欧州を中心に数年前から強まっていた。EUは2018年、グーグルに対しスマホのOSアンドロイドの抱合せ販売の疑いで43億ユーロの支払いを命じるなど、競争法を使った規制を強めている。また、優遇税率を利用した課税逃れ防止にも熱心で、アップルとアイルランド政府に143億ドルの支払いを命じている(欧州司法裁判所で係争中)

 こうした欧州の動きに対し、米国はこれまでIT産業の育成を優先し、規制には及び腰だった。しかし今年に入り独禁法適用の姿勢を厳格化すると表明するなど、規制強化の方向を打ち出していた。

▼GAFAの巨大化

 GAFAが世界のIT業界を牛耳る形になったのはここ10年余り。2010年代に入ると4社にマイクロソフトなどを加えた米大手の存在は圧倒的になり、過去数年は時価総額ランキングでも上位5社程度を独占する。グーグルやFBのユーザー数は数十億人。もはやGAFAなしには世界経済が成り立たないような状況になっている。

 一方で、後発の新興企業を早期に買収するなど、新たな新陳代謝の芽を摘んでいるとの弊害も指摘されるようになった。グーグルによるユーチューブの買収、FBによるWhat's upやインスタグラムの買収などが典型例だ。

 大手IT企業の創設年を見ると、マイクロソフトやアップルが1970年代。グーグルやアマゾンが1990年代。フェイスブックが2004年。創業15年のFBを除けば、他社は20年以上を経過する。挑戦者だった新興企業の文化が変わっていっても不思議ではない。

▼独禁法の威力

 当局の規制は、米IT産業の行方にとって決定的に重要だ。旧ATTは1970-80年代の係争を経て1984年に分割。米通信業界はそれまでの独占→競争の時代に入った。マイクロソフトは1990年代の独禁法を巡る司法省との争いでビジネスの制約を受け、アップルやグーグルなど新興企業が発達する背景になった。

 米当局によるGAFAなどへの規制が今後どう推移するかは、現時点では見通し難い。しかし、潮目が変わったのは間違いない。重要な動きだ。

◎ GAFA独占「でも便利」から「おかしいぞ」
◎ ITの お触書替え 3回目

 

2019.9.15

2019年9月 8日 (日)

◆INCD1000号:この20年の世界の変化 2019.9.8

 INCDは2000年7月の創刊から1000号に達した。この間20年弱の世界の変化は、予想を超えるものだった。

▼グローバル化とIT革命、国の形の変化

 20年前に世界をどう見ていたのか。2000年12月30日号のINCD(年間回顧)は、『冷戦後の世界は、経済的には「新産業革命」や「グローバリゼーション」、政治的には「国の形の変化」をキーワードに動いてきた』と指摘している。世界の潮流を見るキーワードは、現在にそのまま通じる。

 ただ具体的な変化の内容となると、当時は想像できなかった形で世界は動いた。2001年の同時多発テロ、2008年のリーマン・ショック、スマホやSNSの普及、アラブの春、中国台頭のスピードなどは予想を超えていた。格差拡大などグローバル化の矛盾は、Brexitやトランプ米大統領の登場、難民危機などの形で顕在化した。

▼世界の枠組み:米国1強→「警察官」不在、テロ、中東混乱の時代

 2000年当時は「米国の1極支配」が論じられた。冷戦後の1990年代を通じ米国の軍事力やハイテクの力は突出。旧ユーゴ紛争などで米国が世界の安保を仕切る姿が目立った。

 しかし翌2001年9月11日の同時テロを契機に局面は変わっていく。世界はテロ戦争の時代に突入。米国はアフガン戦争、イラク戦争を仕掛けるが、中東情勢は泥沼化。米国の権威と指導力は揺らぐ。米国は次第に海外での役割を軽減する姿勢に転じ、「世界の警察官」の役割から降りていく。

 2011年のアラブの春で、中東の混乱の渦は拡大した。シリアやリビア、イエメンなどで内戦が拡大。混乱の中から「イスラム国」のようなテロ集団も台頭した。

 混乱の背景には、世界の安全保障体制とグローバルガバナンスの問題、格差、文明の衝突など様々な問題が指摘される。2019年の今は、イラン問題など新たな紛争リスクが持ち上がる。

▼IT革命

 ITを中心とした新産業革命は潮流としては20年前に予測されたものの、具体的中身は想像を超えた。2000年当時、すでにインターネットは普及していたが(Windows95の登場から5年目)、携帯は一部のユーザーが使うだけだった。Goodleなど検索サービスはまだ初期段階で、iPod(2001年発売)もWikipedia (2002年開始)もYouTube(2006年)もなかった。

 2000年代にはFacebookをはじめとするSNSが発展。2007年にはアップルがiPhoneを発売してスマホの時代に入る。UberやAirbnbなどシェアリングサービスも本格的に始まった。

 2010年代になるとこうしたサービスが急速に浸透。世界の過半数を超える人々がネットでつながり、様々なサービスを受けられる時代が到来した。

 一方でGAFAに代表される大手IT企業が情報を独占し、中国など国家が個人の情報や行動を厳しく監視するようになっている。SNSを通じた情報の流れは世論形成のメカニズムを変え、アラブの春や香港での抗議運動の原動力となる一方、フェイクニュースが横行しトランプ米大統領流の政治を拡大させた。光と影の両面を持って、IT革命は世界を変えている。

▼グローバル化新段階

 1990年以降、グローバル化は貿易や投資の拡大を通じた新興国経済の発展など、明るい面に光が当たった。しかし2000年代以降、負の側面も注目されるようになっていく。

 2001年の同時テロで焦点が当たった「格差」の問題は、その後も解決されることなく推移。「勝ち組」や「負け組」という言葉は世界でも強く意識された。紛争やテロの拡散(グローバル化)は各地の安定を揺るがし、地域紛争は大量の難民を生んだ。2015年の欧州難民危機はその代表だ。

 格差は世界各地でテロの温床となり、先進国ではポピュリズムや反移民・難民運動が横行するようになった。トランプ米大統領は中国に対し貿易戦争を仕掛け、関税引き上げ合戦が加速する。

 グローバル化は明らかに新段階に入った。これが一時の踊り場なのか、見極めは重要だ。

▼リーマン・ショックと世界経済

 2008年のリーマン・ショックとそれに続く世界金融危機を契機に、資本主義体制のあり方が問われた。世界経済を巡っては1980年の米レーガン大統領、英サッチャー首相の時代以降、新自由主義的な考え方が支配的だった。

 しかし世界金融危機では大手金融機関救済に大量の公的資金が使われ、市場万能主義の限界が明確になった。危機直後には資本主義の見直しが必要と強調されたが、議論は進まないまま年月が経過している。

 金融危機後、米国や欧州などは経済立て直しに大胆な金融緩和を実施した。その結果世界恐慌に陥る事態は防止したが、世界経済は大量の緩和資金を抱える構造になった。景気回復後もその資金は回収されず、新たなバブルが発生しているという指摘は多い。

▼中国の台頭

 中国経済はこの20年の間に急速に発展した。期間を通じ年率10%近い成長を維持。2010年には世界第2の経済大国に発展し、2020年代には米国を追い抜く可能性がある。

 1人当たりのGDPは1万ドル近くに到達し、アリババやテンセントなど世界的なハイテク企業も育った。

 リーマン・ショックで新自由主義やそれを中心としたワシントン・コンセンサス信頼が失われた。それに代わるかのような形で、開発独裁的な国家資本主義の元で急速な成長を続けた中国式のモデルが魅力を増した。

 その中国経済も、米トランプ大統領の仕掛けた貿易戦争で局面が変わる可能性がある。今後どう推移するか、注目点の一つだ。

▼環境、社会の変化

 この20年を振り返ると、その他にも重要な変化がある。地球温暖化などの環境問題が世界共通の問題という認識が広がり、様々な取り組みが進んだ。パリ協定など国際的な枠組みはトランプ米政権の離脱など曲折がある。しかし、電気自動車の開発や普及は加速し、欧米など先進国では食の安全(オーガニック食品の普及)やプラスチックごみの規制、エコシティの拡大など実体のある動きが広がっている。

 社会規範も変わった。LGBTの権利は着実に拡大。欧米では同性婚の受け入れが拡大する。安楽死は受け入れが広がり、女性の社会進出は曲折あるものの進展している。ネットの発展で、文化の変化も顕著だ。

▼新たな変化の方向は

 今後に向けた変化の兆しは多様で材料も多い。トランプ米政権は、貿易や安全保障、米中関係など他分野で従来のルールを否定し、新しいルール作りを目指している。第2次世界大戦後秩序の見直しとも言ってもいい。米中の争いは新たな派遣争いかもしれない。

 国家の姿も変わっていく。BrexitやEUの行方は、国民国家の行方を占う。中東の混乱やテロは、イスラムとの共存という問題を突き付ける。

 IT技術の発展は社会の仕組みを変えようとしているが、そのインパクトは未知数。歴史学者のハレリが指摘するような「ホモ・デウス」の時代に進むのであれば、その変化は人類というの存在にも関わる。

 変化は未知数だが、少なくとも、従来の変化を延長する「未来年表」的な予測で見通せるものではない。次の20年の変化が、過去20年の変化より大きいであろうことは間違いないだろう。

◎ メルマガに綴った「リーマン」「テロ」「スマホ」
◎ ネットありウーバーは想像外のふた昔
◎ アメリカの時代が続くと思ってた

20190908

2018年4月16日 (月)

◆FB議会証言とIT規制の行方 2018.4.15

 フェイスブックのザッカーバーグCEOが米議会で証言を行った。テーマは先月発覚した個人情報漏洩事件から、同社のデータ管理体制、プラットフォーマーのビジネスのあり方、大手ITの規制論など幅広い範囲に及んだ。議会証言としては異例の注目だった。

▼プラットフォーマーの発展と特権

 世界を急速に変えるIT革命を推進する中心が、ビッグ5に代表される米大手IT企業。FBやグーグルはネットの情報基盤を提供し、プラットフォーマーと呼ばれる。プラットフォーマーは便利なサービスを無料で提供する代わりに、利用者の情報を入手し、それをベースに広告収入を得る。そんなビジネスモデルが成り立ったのも、プラットフォーマーは利用者が投稿する情報の内容に基本的に責任を負わなくてもよかったためだ(利用者は規制を受けることなく自由に記事を投稿できた)。この点は、掲載内容の責任を問われる伝統的なメディアとは異なる。

 プラットフォーマーが提供するSNSなどのシステムは人々の生活や経済活動を便利にし、人々の貴重な情報源になり、アラブの春のような民主化の動きを後押しした。

 しかし一方で大量の個人情報が吸い上げられ、利用者の知らないところで個人情報が使われることが日常化している。2016年の米大統領選などでは大量の偽情報(ファイクニュース)がSNSを通じて拡散された。個人情報の漏えい事件も多数発生している。ネットを通じて集められた膨大なデータは中国など国家による監視強化の材料にも使われている。

▼規制論

 大手IT企業への情報独占に対してはこれまでも規制論が議論され、EUは今年5月に新たな一般データ保護規則(GDPR)を導入する。これに加え、米国でも規制論が強まってきた格好だ。

 新しい規制のあり方はまだ見えない。規制を強めすぎて技術革新の芽を摘んだら本末転倒だ。ITのサービスは国境を超えて展開しており、1カ国だけの規制は限界がある。従来の競争法や経済学の理論では対応できない。

 それでも、何らかの形の規制が模索されていくのだろう。これまでの「技術革新は自由に」という流れに何らかの変化が出るのは間違いない。

 FBのCEOは個人情報流出問題については自らの責任を認めて陳謝。フェイクニュースの監視強化など対策を表明した。また、政府による何らかの規制が必要なことを認め、法的に規制ができればそれに従うと述べた。証言自体は驚くような内容があったわけでなく、何ら結論を導くものではない。

 しかし、時代の節目として重要な意味を持つ。ザッカーバーグ氏がいつものTシャツではなくスーツ姿だったのは、境遇の変化を印象付ける映像だ。

 蛇足だが、国家による情報独占は、民間企業によるものより実はもっと深刻な問題になり得る。これは常に意識しておく必要がある。

◎ プライバシー「そんなのあった?」と聞く時代
◎ 大小のビッグブラザーが覇を競う
◎ 世直しも扇動も手助けSNS

2018.4.15

2018年3月26日 (月)

◆FBの情報漏洩で鮮明化する「IT大手vs世界」

 米フェイスブックから5000万人以上の個人情報が流出したことが発覚。世界を揺るがしている。

 個人情報は英ケンブリッジ大学教授が学術研究目的で提供されたものを、英コンサル会社に不正に渡したとされる。この情報が2016年の米大統領選で活用された模様。流出は米Nタイムズと英ガーディアンの報道で表面化。FBが後講釈に負われるというよくある(?)パターンとなった。

 同社は当初、第3者による問題でありFBに責任はない、という態度だった。しかし、その後同社に対する批判が拡大。不利用運動も起きるに及び、ザッカーバーグ会長が「誤りを犯した」と謝罪した。

▼大手IT企業の社会的責任

 IT革命が進む中、米大手IT企業の巨大化が加速している。代表がアップルとアルファベット(グーグル)、アマゾン、FB、MSの5社。グーグルやFBはプラットフォーマーと呼ばれ、ネット・インフラで優越的な地位を占める。アマゾンはオンライン通販で独走する。

 成長の背後には制度的な面も見逃せない。FBなどはサービス状で流通する情報の中身について、責任を問われることなくビジネスを展開できた。これが急速な成長を支えてきた。

 しかし情勢は変わりつつある。2016年の米大統領選では、FBやグーグル、ツイッター上に大量のファイクニュースが流れ、選挙戦に影響を与えた。プラットフォーマーに集められた膨大な個人情報が不正使用されたり、本人の意図に反して商売のタネに使われることも数多い。畢竟、大手IT企業への風当たりが強まっている。今回の情報漏洩はそんな流れの中で表面化した。

▼EUのデジタル課税

 IT企業への課税も注目の論点だ。国境を超えたネット取引は急速に拡大。IT企業の売上・利益の把握は困難になっている。適切な課税も難しい。節税を狙った登記上の本社の移転が、世界の税制をゆがめているとの指摘も根強い。

 各国は共通国際ルール作りに向けて協議を始めたが、調整は容易ではない。取引実態が複雑であるだけでなく、各国間の利害対立も大きいためだ。

 EUの欧州委員会は21日、「デジタル課税」の導入を加盟国に提案した。アップルなど巨大IT企業を対象に、売上の3%を課税する。国際的な協議はエンドレスになりかねないと見越し、独自の課税を検討する動きだ。

 ムニューシン米財務長官は早速EU案などに反対する姿勢を表明した。EU内部でも利害対立があり、提案が簡単に実現する状況ではない。しかしEU提案は、新しい動きとして注目に値する。

▼新たなルール作り

 ITの大手5社が世界の時価総額の上位5位を占めたのは2017年。このころから新たな規制論やルール作りの議論が大きくなってきたのは偶然ではないだろう。

 IT大手vs世界の動きが、形を色々変えて出てくるのは必然だ。

◎ 色々なビッグブラザーがいる時代
◎ 個人データ一度出したらヤツらのもの

2018.3.25

2018年2月 4日 (日)

◆FBのICO広告禁止が映すもの 2018.2.4

 ファイスブックが仮想通貨のICOの広告を掲載しないと決めた。同社は昨年後半から偽ニュース防止などで相次ぎ対応策を打ち出しているが、今回は違法でない広告も含め、幅広に禁止する。偽ニュースを拡散させたなどという社会からの批判に応えるものだ。

▽基本戦略の転換

 同社は2004年設立で、SAS最大手。FBの利用者は20億人に上る。IT社会の社会インフラの存在になり、2011年のアラブの春を引き起こす原動力にもなった。同社は自らを「プラットフォーマー」と規定し、コンテンツの内容に対しては価値判断を行わない姿勢で急成長してきた。この基本戦略を転換する。

 同社は昨年後半から、偽ニュース対策などを相次ぎ打ち出してきた。今回の決定もそうした流れに沿うものだ。しかし、ICO広告禁止は同社の主要収入源である広告収入の減少も甘受する決定。禁止の対象としても、従来のように違法なもの(これは当然)だけではなく、「疑わしきは排除する」姿勢を打ち出した。そこに決定の大きな意味がある。

▽GAFAの時代とその社会的責任

 現在は、巨大IT企業が情報化革命を先導する時代と言ってもいい。時価総額の上位5社はアップル、グーグル(アルファベット)、FB、アマゾン、マイクロソフトが並ぶ。4社の名前を取ってGAFAともよく言われる。IT大手は技術革新で世界に大きな恩恵をもたらしてきた。

 しかしIT大手の存在感が大きくなるにつれ、社会的責任を問う声が高まっている。2016年の米大統領選では、偽ニュース(Fake News)の拡散が問題になった。米国の法律はこれまで、ネット業者(プラットフォーマー)に対しそこに掲載されるコンテンツの内容に責任を持たなくていい立場を与えてきた(米通信品位性230条)。しかし、この大原則が問われている。
 
 米議会は昨年11月公聴会を実施。FBとグーグル、ツイッターの幹部に証言を求めた。IT大手に対する世間の批判を背景にした動きだ。

▽難しい規制

 IT大手の情報独占に対する批判も大きくなっている。ただ、規制するにしてもその方法は簡単ではない。通信・表現の自由とのバランスをどうとるか、イノベーションを損なわない形で規制を導入する方法はあるのか、など難問が並ぶ。

 世界に目を広げれば、中国やロシアなど国家による情報規制や情報独占とどう向き合うかという問題にも直面する。既存のルールの延長上では解けない。AIでも解は容易に見つからないはずだ。

▽急速な変化

 旧メディアの世界でも変化は急ピッチだ。1月30日にはトムソン・ロイターがロイター(金融情報サービス)の株式55%を米投資ファンドのブラックストーン・グループなどに売却すると発表した。買収額は200億ドル。IT、メディアの世界では世界的ブランドのM&Aが日常茶飯事で起き、業界の再編が加速する。

 サービス、ルール、産業地図が、連日のように一瞬のうちに変化する。IT・メディアの分野では、世界の変化のダイナミズムが最もよく表れている。

◎ 偽ニュース政治に次いでIT揺れ
◎ GAFAとなり責任問われる時が来た
◎ AIも答えが見えぬ新ルール

2018.2.4

2017年9月19日 (火)

◆自動車・スマホの革命と世界 2017.9.18

 中国がガソリン・ディーゼル車禁止の方向を打ち出した。英国やフランスが2040年禁止を打ち出したのに続く動き。自動車は20世紀初頭以来のガソリン、ディーゼル車中心で発展してきたが、大転換点を迎える。

 一方、スマホは発売から10年を経過し、「次の10年」が始まる。アップルは新製品「iPhoneX」を出した。行方から目を離せない。

▼相次ぐガソリン禁止

 現在世界の自動車保有台数は12.6億台強(2015年)。生産・販売台数は年間9400万台程度だ。ガソリン車やディーゼル車が主体で、EVなどエコカーは年間260万台と全体の3%以下だ(ハイブリッドカーは除く。カリフォルニア州は2018年モデルからハイブリッド車をエコカーの対象外にする予定)。

 しかし英仏や中国の政策もあり、今後急速にEVや他のエコカー化が進むと見るのが妥当だろう。

 主役も変わる。現在の自動車産業は、独VW(フォルクスワーゲン)、トヨタ、GMとルノー・日産連合が1000万台前後を生産。約300万台以上生産しているグループが10以上ある。

 しかしEVとなれば、主役が劇的に変化する可能性がある。EVで躍進するテスラや、グーグル、アマゾンなどのIT大手が絡んでくるのは確実だ。

 EVが本格的に登場してきたのは10年ほど前。欧州などで、半分試験的にプラグインEVの利用が始まり、徐々に普及した。テスラがEV車を投入し本格的に市場に参入したのは2008年。その後販売を拡大し、いまやそれほど珍しい存在ではなくなった。

▼自動運転とカー・シェリング

 自動車業界のパラダイム変化をもたらす動きは、他にもある。一つは自動運転、そしてもう一つはシェアリングエコノミーの動向だ。

 自動運転技術は各国、各社で実験が進み、高速道路などで実現するのはそう遠い将来の話ではない。

 カーシェアリング今や世界の新たな潮流になっている。ウーバーはもちろん、各社が新しいサービスを提供、普及に弾みをかけている。国により状況は異なるが、自動車を考えるキーワードがが「保有」から「利用」に変わっているのは外せないポイントだ。

▼スマホ10年

 9月12日にアップルがiPhoneの新機種「X」(テン)を発表した。誕生から10年を経過したスマホの、今後の発展を期した製品だ。

 アップルⅡが発売され、パソコンの時代が始まったのが40年前の1977年。1995年にはWindows95が登場しインターネットの時代に入った。その後の変化は加速度的だ。主なものを掲げれば以下の通りだ。

1998 グーグル創業
2001 アップルがiPod発売。音楽配信の革命
2004 グーグル上場、Web2.0の時代
2005 ユーチューブがサービス開始
2006 FBがサービス一般公開
2007 スマホ(iPhone)発売、アマゾンがキンドル発売、世界の携帯普及50%超
2010 iPad発売(タブロイド普及)
2011 アップル時価総額世界1に
2014 FB10年、Gメール10年、アリババ上場

▼社会に大きな変化

 スマホの出荷は2011年には通常の携帯(ガラ携)を抜き、2016年の出荷は15億台弱。現在世界では半数近い人がスマホを持ち、「携帯コンピューター」として検索やEコマース、決済などで使っている。
 2015年夏の欧州難民危機の際には、荒れ海をボートで渡る難民にドイツのNGOがスマホで安全航行の情報を提供していた。NYやロンドンの地下鉄で、乗客はスマホでニュースやメールチェックを行っている。ジャカルタやマニラの青空市場では、売り子がシマホを眺め時間を潰す。スマホ所有者は常にネットで世界とつながり、スマホに依存した生活を送るようになっている。

 今日では、「スマホのない生活」を想像するのは困難。スマホは社会の必要欠くべかざるインフラの一部となった。わずか10年前の「スマホのない世界」を想像するのは、だんだん難しくなっていく。

 過去20-30年あまりのIT革命の主役を(一時的に)演じたPCや携帯電話は、販売数字から見ればすでにピークアウトした。スマホの行方も明確ではない(たとえば衣服や身体組み入れの機器などができるかもしれない)。行方には要注意マークを外せない。

 技術革新が経済、社会に大きな変化をもたらす時代。自動車、スマホのニュースに、そうした流れを再度実感する。

◎ ガレージに車を入れてた時代あり
◎ SFに確かになかったガソリン車
◎ 10年でスマホの虜 便利だが

2017.9.18

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