ニュース

2009年11月 7日 (土)

◆議長不出馬声明とパレスチナ情勢 2009.11.7

 パレスチナ自治政府のアッバス議長が5日、来年1月の議長選に出馬しないと発表した。発言の真意については様々な憶測が流れているが、改めて印象付けるのがパレスチナ情勢の行き詰まりだ。

 パレスチナ内では穏健派とハマス主導の過激派が対立。ヨルダン川西岸は穏健派が支配する一方、ガザ地区はハマスが支配し、分裂状態にある。そうした中で同議長は、穏健派の中心の存在。
 米国など国際社会はハマスの台頭を抑える狙いもあり、一貫してアッバス議長を支援してきた。議長が不出馬となれば国際社会はパレスチナ問題関与の重要な窓口を失い、影響は甚大だ。

▽協議難航
 パレスチナ和平交渉に向けた協議は2007年に米国の仲介で再開した。オバマ政権も特使を指名し、和平に前向きに取り組む姿勢を見せている。しかし協議は難航している。イスラエルとパレスチナの対立にパレスチナ内の混迷が加わり、糸口も見出しにくい状況だ。
 そんな状況の中、イスラエルはヨルダン川西岸への入植地建設を継続。支配勢力拡大を既成事実化している。

 オバマ米政権は入植地建設を批判し、イスラエルに圧力をかけてきた。しかし最近微妙にスタンスを変化しつつあるといわれる。「凍結」より後退した「建設制限」を容認する姿勢を示し始めているのだ。背景には、米国内のユダヤ人勢力の影響も指摘される。こうした姿勢にアッバス議長は当然、不信を募らせていた。
 アッバス議長は不出馬の理由として、パレスチナ和平再開への協議の行き詰まりなどを挙げた。しかし額面を素直に受け止める向きは少ない。手詰まりだけでなく、米政策の軌道修正への抗議があるとみる向きもある。

▽中東問題の根底
 パレスチナ問題は中東混乱やイスラム過激派台頭の根底にあるといわれてきた。しかしこのところ、国際社会の関心はアフガンやパキスタン、イラク情勢やイランの核問題に向かいがちで、パレスチナ問題は国際メディアの大見出しからは消えてきた。

 パレスチナに改めて目を向けると、状況の深刻さが浮かび上がる。中東や世界の安保を見る上でも定点観測は欠かせない。

2009.11.7

2009年11月 1日 (日)

2009年44号(10.25-31 通算488号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年10月25-31日

◆パキスタン、アフガン、イラクで相次ぎテロ、情勢悪化深刻 ☆
・パキスタン・ペシャワルの市場で28日自爆テロがあり100人以上が死亡した。
・同国では10月に入りテロが相次ぎ、すでに200人以上が犠牲になった。
・カブールでは28日、国連職員利用の宿泊施設を武装集団が襲撃。12人が死亡した。
・タリバンが犯行声明を発表。11月7日の大統領選決選投票の妨害を表明した。
・10月のアフガンでの米兵の死者は50人を超え、2001年の侵攻以来最悪を記録した。
・バクダッドでは25日、法務省付近など2か所で自動車爆弾テロ。150人超が死亡した。
・被害は今年最悪。アルカイダ系組織が犯行声明を出した。
・世界安保のアキレス腱の3カ国の状況は深刻になっている。

◆米の7-9月GDP、5・4半期ぶりにプラス(29日)☆
・米国の7-9月期のGDPは前期比年率3.5%増加した。
・2008年4-6月期以来5・4半期ぶりのプラス成長。
・米景気の底入れ観測を裏付ける数字になった。
・景気刺激策による個人消費の押し上げなどが寄与した。
・ただ、設備投資は依然マイナス。回復の持続性には疑問が残る。
・28日のNYダウは3カ月ぶりの安値を記録。先行き不透明感は消えない。

◆ノルウェー、インドが金融引締め
・ノルウェー中銀は28日、政策金利を1.25→1.5%に引き上げた。
・景気回復兆候が見られ、住宅価格などが上昇し始めたため。
・金融危機後に利上げに転じたのは欧州で初。先進国では豪に次ぐ。
・インド中銀は27日、金融政策を緩和から引締めに転換すると発表した。
・食料高騰によるインフレ懸念に対応するため。
・世界各国の政策は緩和一色から、一部で引締めの状況になった。

◆EU首脳会議、条約批准はメド(30日)
・EUは首脳会議で、リスボン条約批准でチェコに条件面で配慮する決定をした。
・チェコは同条約唯一の未批准国。11月中に大統領著名→批准と運ぶ見通し。
・この結果リスボン条約は12月にも発効する。
・同条約はEUが27カ国への拡大後も機能するよう、制度などを改革する内容。
・条約で誕生するEU大統領(首脳会議常任議長)の調整も進めたが、先送りになった。

◆ポスト京都の年内合意困難な情勢に
・ポスト京都議定書の年内合意が困難な情勢になってきた。
・COP15の事務局長は28日、年内採択は物理的に無理と発言。
・開催国デンマークのラスムセン首相も厳しい見方を示した。
・先進国と中印など途上国の調整が進んでいない。
・先進国内でも数値目標に前向きな日欧と米国の対立が続いている。
・発言には政治的思惑もあるが、情勢が厳しいことは否定できない。
・COP15は12月にコペンハーゲンで開催する。
・環境団体などはカウントダウンのキャンペーンを繰り広げている。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【アフガンの不安と経済】 今週も、時の焦点のテーマで動きが目立った。アフガニスタンやパキスタン、イラクで大規模テロが続発。情勢は改善のめどがつかないどころかむしろ悪化している。
 一方経済は「底入れ気配+先行き不透明」の状況が続く。米国の7-9月GDPや世界の株価の動き、7-9月期の企業の決算発表などはこうした状況を裏付ける。

 【カラジッチ裁判】 1990年代のボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(92-95年)時にセルビア人指導者だったカラジッチ元司令官裁判の本格審理がハーグの旧ユーゴ国際戦犯法廷で始まった。7000人のイスラム教徒が殺されたといわれる1995年のスレブレニツァ虐殺の責任を問うもの。20世紀後半以来、国境を越えて人道への罪を問う潮流が強まっているが、カラジッチ裁判は目下における最大関心事例の1つだ。
 24日の審理をカラジッチ氏はボイコット。15分で閉廷した。カラジッチ氏は紛争終結後10年以上潜伏し、2008年に逮捕された。
 戦争犯罪裁判は「正義とは何か」を問うことでもある。社会のあり方の根本にもかかわる問題であるだけに、欧州社会にとっては関心事であり、とらえ方は様々だ。
 BBCはセルビアなど各地でインタビューをしていた。遺族やイスラム教徒は「カラジッチ許せず」の声が圧倒的に多い。しかしセルビア人には「戦争時にはすべての人が犯罪者であり、カラジッチ氏だけに責任を押し付けるのはおかしい」などの声もあった。問題は奥深い。

 

◎今週の注目(2009.11.1-7)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・米EU首脳会議が3日にワシントンで。アフガンへの増派、イランの核問題などがテーマになる見通し。

・9日でベルリンの壁崩壊から20年。
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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2009年10月25日 (日)

2009年43号(10.18-24 通算487号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年10月18-24日
 

◆アフガン大統領選、決選投票に(20日)☆
・8月に第1回投票実施のアフガン大統領選は、決選投票に進むことになった。
・選管が第1回投票結果を発表。カルザイ大統領の得票を過半数以下の49%とした。
・カルザイ氏もこれを受け入れた。
・決選投票は11月7日に同氏とアブドラ前外相の間で行われる。
・大統領選では多数の不正投票が発覚。扱いを巡り混乱していた。
・政治的空白がさらに長引くことになる。
・アフガンでは2006年頃からタリバンが反抗。治安が悪化し、国の再建は遅れている。
・カルザイ政権への国民の支持も弱まり、8月の大統領選は投票率30%台と低迷した。

◆マイクロソフト、Windows7発売(22日)☆
・MSは新OSウインドウズ7の一般販売を開始した。
・新しいOSは2007年1月のVista以来2年10カ月ぶり。
・Vistaは安全面強化の結果動作が遅く不評だった。その挽回を狙う。
・この間グーグルが無料OSを発表するなどMSの優位が脅かされている。
・クラウド・コンピューティングなど新技術も普及。行方を見えにくくしている。
・24日発表のMSの7-9月決算は、3・4半期連続の減収減益に終わった。

◆FRBが金融機関の報酬制限策発表(22日)
・FRBは金融機関幹部に対する報酬制限策を発表した。
・公的資金を受けている機関の経営者には具体的な制限を設定。
・それ以外の大手機関は報酬ルールを設け、FRBのチェックを受ける。
・中小金融機関にもルールを導入する。
・透明性は高まり、短期利益にとらわれる報酬制度は若干改まる可能性がある。
・しかし高額報酬そのものの制限は限定的。
・金融危機で表面化した報酬制度は、抜本変革に至らず一段落しそうな雲行きだ。

◆中国7-9月は実施8.9%成長(22日)
・中国の7-9月のGDP成長は前年比8.9%成長だった。
・1-9月の成長率は7.7%で、目標の年率8%が視野に入ってきた。
・景気対策の効果で都市部の固定資産形成が拡大。消費も伸びた。
・一方、輸出は落ち込みが続いている。
・世界経済は、中国の統計発表を世界が注目する時代になっている。

◆ASEAN+3など首脳会議(24日)
・ASEANやASEAN+3など一連の首脳会議開催した。
・景気刺激の継続や経済交流拡大促進を確認した。
・メコン川流域開発や環境問題での協力も話し合った。
・今回強い見出しはないが、アジア地域協力はASEAN+3、東アジア首脳会議を舞台に進む。

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 INCDの採点
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◎寸評:of the Week
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 【アフガンの混迷】 アフガニスタン大統領選は投票から2カ月を経て、やっと結果を公式発表。決選投票実施が決まった。この間、不正投票を巡り議論は迷走。国の混乱ぶりを露呈する結果になった。大統領選の結果、アフガンの行方はさらに不透明性が増したと言わざるを得ない。

 【企業業績】 世界の主要企業の7-9月決算発表が相次いでいる。金融危機後深刻な経営危機に直面した金融機関は、表面上は利益を出しまずまずの数字を残したところが多い(もちろん不良債権処理という爆弾は残ったまま)。ITも増益基調に転じるところが目立ち、アマゾンやグーグルなど好決算が目についた。ただ、同一業種の中でも好調組と、不振が続く企業の格差が目立つ。一方、政府の支援で息をつないでいた自動車や家電などは先行き新たな懸念を抱えている状況。

 【新技術・新ビジネス】 米大手書店のバーンズ&ノーブルは21日、電子書籍(ブックリーダー)を発表した。先にアマゾンが発表したキンドルに対抗する構え。19日には米プラスチック・ロジックなども同様の製品を発表している。一方、電気自動車の新製品なども発表が相次いでいる(東京モーターショーなど)。世界経済は危機一色の局面から、次をにらんだ新サービスなどが目立ってきた気もする。
 

◎今週の注目(2009.10.25-31)&当面の注目
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・ベルリンの壁崩壊20年(11月9日)をにらんだ様々な行事が開催される。31日には米ソ独元首相が集まる行事がベルリンで。
・EU首脳会議が29-30日ブリュッセルで。

・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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2009年10月18日 (日)

2009年42号(10.11-17 通算486号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年10月11-17日
 

◆NYダウ1万ドル回復(14日)☆
・ダウ工業株30種平均が2008年10月3日以来約1年ぶりに1万ドルを回復した。
・ハイテクや金融株の7-9月業績が予想以上によかったのを好感した。
・金融危機後ダウは3月9日に6547ドルと12年ぶりの安値を記録していた。
・底から50%以上の回復になる。
・景気が最悪期を脱出したとの観測から、株価は世界的に回復基調にある。

◆パキスタンでテロ拡大 ☆
・パキスタンでテロが拡大している。今月に入っての死者は150人を超えた。
・15日は北西部のコハートや東部ラホールで自爆テロや銃撃戦が発生。
・ペシャワールでは9、15、16日に相次いでテロが発生した。
・パキスタンのタリバン運動などが声明を発表している。
・これまでの散発テロ→各地で連動の兆候が出ている。

◆英国がアフガン増派、日本はインド洋給油停止(14日)
・ブラウン首相は500人の増派を発表した。
・他のNATO加盟国が応分の負担増に応じることなどを前提としている。
・英国の現在の派兵は9000人。増派実現なら9500人になる。
・アフガン増派は米国やNATO各国で最大級の政治問題になっている。
・日本は米国などにインド洋での給油活動を来年1月で停止すると伝達した。

◆米、2012年までに核半減(15日)
・米国は2012年までに核保有量を2001年比半減する。
・国連総会の会合で国連大使代理が表明した。
・1950年代以降で最低水準になる。
・2001年の保有は、戦略核(長距離)と戦術核(単距離)会わせ推定1万発。
・これが5000発レベルに低減する。

◆上院委員会、医療保険制度改革法可決(13日)
・米上院財政委員会は、医療保険改革法案を可決した。
・賛成14票、反対9票で、共和党からも1人が賛成票を投じた。
・法案成立に一歩前進の形。
・ただし、下院との調整や本会議通過のめどはまだついていない。
・米政治では医療保険制度とアフガン増派が最大課題。

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◎寸評:of the Week
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 【米企業の業績と株回復】 NYダウが約1年ぶりに1万ドルを回復した。きっかけになったのが米企業の7-9月業績。金融機関ではゴールドマンサックスやJPモルガンチェースなどが市場予測を上回る大幅増益(前年比)を記録、グーグルは最高益を更新した。IBMなどIT関連も業績回復が目立った。ただ金融でもバンク・オブ・アメリカなどが赤字。市場回復で証券関ビジネスが好調だったのに対し、個人融資など商業銀行部門はなお不振だ。世界の経済の指標といわれるGEは44%の減益だった。
 ちなみに米政府が16日発表した2009会計年度(2008.10-09.9)財政赤字は1.4兆ドルの赤字で前年比3倍増、GDPの10%にあたる。先行き不透明要因ももちろん多い。 

 【電子書籍と中国】 フランクフルトで開催中の書籍見本市で話題2点。グーグルは電子書籍(50万冊)を来年から販売する。先行するアマゾンのキンドルに続くもので、電子書籍時代が本格化する。もうひとつは中国を主賓国として招いたこと。中国の出版事情などに関心が集まった。IT、メディアが大きく変わっている一断面だ。

◎今週の注目(2009.10.18-24)&当面の注目
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・NATOの非公式国防相会議が22-23日。アフガン情勢など重要。

・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月9日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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2009年10月11日 (日)

◆ノーベル平和賞の読み方(オバマ大統領受賞と候補者たち) 2009.10.10 

 2009年のノーベル平和賞がオバマ米大統領に授与されることになった。予想外の授賞の背景にはノーベル賞委員会のメッセージが明確に込められている。そして反応は様々だ。

▼期待を重視
 ノルウェーのノーベル賞委員会によると、賞は「国際外交と人々の協力強化への特別優れた努力に対して」(for his extraordinary efforts to strengthen international diplomacy and cooperation between peoples)与えられる。
 具体的には、核軍縮に向けた努力や国際協調重視の外交政策を評価している。
 4月のプラハでの「核なき世界」演説は、核軍縮に新たな推進力を生んだ。6月のカイロで演説は、イスラム社会との新たな対話の出発点になった。中東へのミサイル防衛システムの配置中止は、新たな米ロ協調を生み出そうとしている。
 委員会は大統領が世界に対し未来への希望を与える力を持っていると指摘。国際政策は委員会が108年追及してきたものと一致すると絶賛した。
 ただ、オバマ大統領は就任からまだ9カ月。核軍縮にしても対話促進にしろ、まだ成果は出ていない。実績より期待を重視した決定だ。

▼政治的メッセージ
 近年のノーベル平和賞を見ると、政治的メッセージを込める傾向がよく出ている。
 1994年はパレスチナのアラファト議長とイスラエルのラビン首相らに授賞、パレスチナ和平を後押しした(和平はその後とん挫した)。
 1998年は北アイルランドのトリンブル首相らに授賞し、北アイルランド和平促進を応援した。2000年は韓国の金大中大統領に授与し、南北朝鮮和平促進を支援した。
 2007年のゴア米前副大統領らへの授賞は、地球温暖化防止へのメッセージだった。
 オバマ大統領への授賞はこうした傾向に沿ったものだ。ただ、就任1年に満たない世界最高の権力者への授賞はやはり異例。先物買いといわれるリスクを負っても、政治的に強いメッセージを発したかったと解すべきだ。

▼反応は様々
 各国首脳は当然のことながら、祝福と歓迎の声明を出した。サルコジ仏大統領は「オバマ氏の世界観が評価された」を気の聞いたコメント。米国と距離を置くイランからも、批判ではなく将来への期待を込めたコメントが出ている。
 ただメディアなどは抑えたコメントも加える。英Economist誌は「Even greater expectation」という見出しで、授賞により大統領への期待がさらに拡大したと指摘。賞賛の一方で「まだ早すぎるのか」と問題意識を投げかけてバランスを取った。英Financial Timesは「成果より約束に与えられた」と分析した。
 オバマ大統領と意見の相違が目立つ米wall Street Journal紙は「授賞はしばしば政治に左右される」(An Award Often Tinged by Politics)と、多少もの言いたげな論評を加えた。

▼予想候補に見る世界
 ところで、今回受賞に至らなかった候補者からも世界の現状が伝わってくる。
 英国のブックメーカーPaddypowerが発表前に予想していた候補者は以下の通り。

-Seema Samar アフガニスタンの人権活動家(国連などで)(賭け率は4.5倍)
-Pierdad Cordoba コロンビアの政治家。人種、性別などの差別廃止活動(5倍)
-Hu Jia(胡佳) 中国の人権活動家(6倍)
-Ghazi bin Muhammad ヨルダンの王子、社会活動。(7倍)
-Morgan Tsvangirai ジンバブエの政治家。ムガベ独裁政権に対抗(8倍)
-Thich Quang Do ベトナムの僧侶(10倍)
-Wei Jingsheng(魏京生) 中国の人権活動家(12倍)
-Ingrid Bertancourt コロンビアの政治家(12倍)
-Lidia Yusupova ロシアの人観活動家(14倍)
-Bill Clinton 米元大統領(14倍)
-The Cluster Munitions Coalition クラスター爆弾禁止の運動(14倍)

 いずれも立派な人物やグループだが、これまであまり知られていない人も少なくない。ノーベル賞を機にこうした人々を知ると、世界の動向や課題が別の角度からも見えてくる。
 ちなみにオバマ大統領は賭け率14倍(9位グループ)。他にグリーンピース(33倍)、ボノ(66倍)などがリストに挙げられていた。また、ブッシュ前大統領(500倍)というブラックジョーク(?)も盛り込まれていて面白かった。

2009.10.10

2009年41号(10.4-10 通算485号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年10月4-10日

◆ノーベル平和賞にオバマ大統領(9日)☆☆
・2009年のノーベル平和賞がオバマ米大統領に決まった。
・ノルウェーのノーベル賞委員会が発表した。
・授賞理由は国際外交と人々の協力強化への努力を挙げている。
・核なき世界発言に代表される核軍縮や国際協調への努力が評価された。
・大統領は就任後まだ9カ月。この時期の授賞は異例。
・決定には、核軍縮などを後押しする委員会の強いメッセージが込められている。

◆中国、温暖化ガス排出世界最大(6日)☆
・中国の温暖化ガス排出が2007年に世界最大になった。
・IAEが発表した統計で明らかになった。
・中国の排出量は世界の21%。米国は20%。
・今後も中国の排出量は拡大する見込み。
・ポスト京都議定書交渉で、中国はまず先進国の責任を問う立場を変えていない。

◆米国の財政赤字膨張(7日)☆
・米国の2009会計年度(08.10-09.9)の財政赤字は1兆4090億ドルになった。
・議会予算局が発表した。
・過去最悪だった08会計年度比3倍増。GDP比は約10%。
・総額7800億ドルの景気対策、金融支援、景気悪化による税収減少などの影響。
・米国はじめ各国で、財政赤字が重くのしかかる。

◆アフガン、パキスタンで相次ぎテロ
・イスラマバードの国連食糧計画事務所で5日自爆テロがあり5人が死亡した。 
・国連はイスラマバードの関連施設を一時閉鎖した。
・カブールのインド大使館付近でも8日自爆テロがあり、17人が死亡した。
・アフガンでは8月20日の大統領選結果がまだ不明。混乱が続いている。

◆北朝鮮6カ国協議復帰示唆、中国首相が訪朝(4-6日)
・中国の温家宝首相が4-6日北朝鮮を訪問した。
・中朝国交樹立60周年記念式典参加などのため。
・主脳会談で北朝鮮の金正日総書記は、6カ国協議復帰の可能性を示唆した。

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◎寸評:of the Week
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 【オバマ大統領の話題】 米国初の黒人大統領誕生というだけでも今年はオバマ大統領の年になるはずだった。それに加えてノーベル平和賞受賞決定。世界から見たら大統領は希望の象徴(beacon)だが、期待バブルが膨らみ過ぎている懸念も感じる。

 【アフガン・パキスタン情勢】 その大統領の当面の懸念材料は、国内では医療保険制度改革。そして国際的にはアフガニスタン・パキスタン問題だ。今週も両国で大規模テロが起き、アフガン増派問題は米政権・議会で調整に手間取っている。 
 8月20日に実施されたアフガン大統領選の結果は、まだ出ていない。カルザイ大統領が獲得した約300万票のうち、150万票に不正の疑いがあるという情報も流れている。ちなみにアフガニスタンの人口は2800万人。選挙での投票率は選管発表で38%(前回2004年の選挙は70%)で、有効投票は566万票だったとされる。根は深い。

 【経済動向】 世界経済は最悪期を脱したが、先行きはなお不透明、という状況は変わらない。そんな中注意すべき動きがいくつか。豪州が金融危機後、先進国で初めて利上げに踏み切った。金価格は上昇を継続。G7の終焉とG20への移行が一段と目立つ動きになってきた。

◎今週の注目(2009.10.11-17)&当面の注目
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・米国のアフガニスタン増派問題議論が節目。

・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月9日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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2009年10月 3日 (土)

◆イランと北朝鮮:核問題比較 2009.10.3

 イランの核問題が大きく動いている。9月下旬に第2のウラン濃縮工場の建設が発覚した。その後、短中距離ミサイルの試射を実施し、強硬姿勢をみせた。

 10月1日にはジュネーブでの安保理常任理事国5カ国+独との協議を開催。ここではIAEAの査察に応じるなど柔軟な姿勢を示した。硬軟入り乱れ、問題は一筋縄ではない。

 イランと北朝鮮は、世界の核拡散の脅威として取り上げられる。イランが北朝鮮のモデルを改良型を試射するなど、水面下でのつながりも深い。一方で違いもある。

 北朝鮮がすでに核実験を実施し、核保有国を宣言したのに対し、イランはまだ開発段階。しかも公式には民生用を主張している。

▼最悪のシナリオ

 北朝鮮の核の最悪のシナリオは、韓国などと衝突→韓国や日本で核使用だろう。これは理論上はすぐにでも起き得る。

 一方イランは現時点の核兵器使用はない。しかし紛争が起きれば、ホルズム海峡の閉鎖→世界経済の混乱や、イスラエルによるイラン攻撃→中東全域の戦闘など、広がりは大きい。それは核保有の前でも起こりうる。

 テロリストへの核の流出リスクも最大の懸念材料の一つ。地政学上の状況が現在のままなら、仮に核兵器を持った場合、イランの方がこのリスクは高いとみられる。しかし北朝鮮も体制の混乱などが起きれば分からない。

 欧米ではイラン、日本では北朝鮮ばかりが大きく取り上げられる。距離的に近い以上それは当然だ。だがグローバルな視点から、こうした違いの比較など含め問題点の整理もたまには必要だろう。

2009.10.3

◆ドイツ総選挙が示唆するもの 2009.10.3

  ドイツの総選挙でメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が第一党の座を維持。中道の自由民主党と合わせて過半数を獲得し、4年間続いた社民党との大連立政権→中道右派の連立政権になる。
 同時に印象的だったのが社民党の退潮。前回選挙より得票率を10%も下げ、戦後最低水準に落ち込んだ。
 総選挙結果から、欧州や世界の政治潮流について、様々な視点や問いかけが見えてくる。

▼欧州左派の退潮

 社民党の退潮は、ドイツ独自の現象ではない。欧州では6月の欧州議会選で社民党勢力が大敗。英労働党も来年6月までに行われる選挙で敗北の可能性が高い。
 4月のアイスランド総選挙での左派勢力の政権奪還やノルウェー総選挙の社民党勝利・政権維持などの動きはあるが、全体的に見ると社民勢力退潮の印象が強い。
 欧州には1990年代後半、欧州左翼の時代と呼ばれる時代があった。独社民党中心のシュレーダー政権、英労働党ブレア政権の誕生、仏ジョスパン内閣(政権としてはシラク大統領の下に保革共存)、伊オリーブの木政権などが相次いで発足した時期を指す。
 ただし、シュレーダー政権、ブレア政権の政策は伝統的な社会民主主義とは一線を画した現実主義。むしろ中道政策と呼ぶのがふさわしかった。
 独社民党は90年代後半以来、与党で現実主義的な経済改革路線を推進した。その結果、伝統的な左派支持者の社民党離れを招き、今回の大敗につながった面が大きい(左派新党に流れた)。経済改革か、福祉維持かの狭間で、支持者の一部を失った構図だ。社民党のジレンマは深い。

▼脱イデオロギー・政策担当能力・リーダーシップ

 ただ、左派の退潮は欧州の現象。世界全体では異なる。
 米国では今年、保守の共和党からリベラルの民主党のオバマ政権に交代。日本では保守の自民党政権から民主党の鳩山政権が発足した(欧米では中道左派という紹介される)。
 世界各国の事情は個々で異なるが、多くに共通するのは長期政権への批判が政権交代の原因になっていること。政権党に対するチェックや批判が、政権交代の原因になっているというわけだ。
 どの程度の期間で交代に至るかは、様々な要因が左右する。政権の当事者能力、大統領や首相のリーダーシップ、野党の力量、その国の政治や民主主義の成熟度などだ。
 その意味ではイデオロギーの違いより、政策担当能力が問われる時代と考えるべきだろう(ただし、イデオロギーの定義は様々で、注意深く使う必要がある)。
 数年後に欧州が保守のジレンマの時代になってもおかしくない。米国や日本でも揺れ戻しや政権交代があると見るべきだろう。
 
▼アングロサクソン・バイアス

 米国や英国のメディアを見ると、メルケル政権の政権維持の解説として、金融危機への適切な対応など当事者能力への評価が多い。そしてCDUの政策が社民党より現実的で、経済改革に前向きと見るものが多い。
 ただし、そうしたアングロサクソン的な視点だけでは現実を見誤る。ドイツは米英のような市場経済国家ではなく社会的市場経済国家。これは基本法(憲法)にも定めてある。メルケル首相ももちろんこの立場に立つ。
 世界を眺める上で、アングロ作戦バイアスへの注意は常に心しなければならない。

2009.10.3

2009年40号(9.27-10.3 通算484号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年9月27日-10月3日

◆ドイツ総選挙、大連立→保守中道政権へ(30日)☆
・総選挙が実施され、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟が第1党を維持した。
・中道の自由民主党と合わせて過半数を獲得し、保守中道政権が発足する。
・社民党を含んだ左右大連立政権は4年で解消する。
・キ民同盟は首相人気や現実的な政策実施などからで前回以上の議席を獲得。
・社民党は221→146議席と歴史的な大敗。福祉削減への反発から左派支持者離れが進んだ。
・自民党の他に緑の党、左派新党も議席を伸ばし、2大政党→多党化が進んだ。
・選挙結果が独や欧州、世界の政治潮流に示唆するものも多い。

◆2016年五輪はリオに(2日)☆
・2016年の夏季五輪の開催がリオデジャネイロに決まった。
・コペンハーゲンで開催したIOC総会で決定した。
・南米での五輪開催は初めて。
・リオ、マドリッド、東京、シカゴの立候補地から選ばれた。
・総会にはオバマ米大統領や鳩山首相も出席し誘致をPRした。
・ブラジルは2014年のサッカーワールドカップに続いての開催となる。
・世界の構造変化(先進国中心→新興国)を映す。
・国際イベントの政治や経済への影響拡大も改めて印象付けた。

◆サモア、インドネシアで連続地震被害(29、30日)☆
・南太平洋サモア沖で29日M8.0の地震が発生。津波被害で180人以上が死亡した。
・30日にはインドネシアのスマトラ沖でM7.6の地震が発生。数百人以上が死亡した。
・いずれも被害が拡大する可能性が大きい。
・これだけの大地震が連続で発生するのはまれ。
・因果関係については今のところ否定的な見方が多いが不明。
・同時期にフィリピンなど東南アジアでは台風禍で数百人が死亡した。
・2004年末のスマトラ沖地震では30万人の死者・不明者が出ている。

◆イランがミサイル発射実験、核問題巡り協議 ☆
・革命防衛隊は27、28日にミサイル試射を行った。
・射程2000キロの中距離ミサイルなど。イスラエルや湾岸米軍基地は射程内になる。
・9月下旬には第2のウラン濃縮施設建設が発覚している。それに続く動き。
・安保理常任理事国+独は1日ジュネーブでイランと核問題を協議した。
・イランはIAEA査察への協力を表明。月内に再度協議開催する。
・低濃縮ウランをロシアなど第3国で再濃縮し、イランに戻す構想も合意した。
・制裁回避のために柔軟姿勢を見せた格好。一方でミサイルなど強硬姿勢も維持する。
・核問題の行方は緊迫したまま複雑な駆け引きが続く。

◆中国建国60周年、党の指導力を誇示(1日)☆
・中国は建国60周年の国慶節を迎えた。
・天安門広場では10年ぶりの大規模軍事パレードを実施。歴代指導者らが閲覧した。
・胡錦濤国家主席首席は演説し中国の発展と共産党の指導力を誇示した。
・同時に改革・開放路線の継続を強調した。胡首席は鄧小平氏指名の直系。
・軍事面では国産の最新兵器を披露した。
・中国の国力と世界における存在感を見せつけた格好。
・同時に異常な警備や雛壇序列などを通じ、内在する問題や権力争いも垣間見せた。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【重要ニュース集中】 重要なニュースが連続。ベスト5以外にも、アイルランド国民投票でEUのリスボン条約批准国民投票(2日)、IMFが世界経済の見通し上方修正などが相次いだ。

 【五輪誘致合戦】 2016年の夏季五輪の開催地がブラジルのリオデジャネイロに決まった。南米初の五輪開催という売り物が、治安面での不安や他候補地のセールスポイント(東京なら環境など)をしのいだ。ブラジルは2014年のサッカー・ワールドカップの開催も決まっており、連続のビッグイベント。2010年は南アでサッカーW杯開催、2012年はソチ冬季五輪と続き、新興国の存在感が印象付けられる。
 それにしても、コペンハーゲンIOC総会に集まった顔ぶれは凄かった。米国からはオバマ大統領、日本は鳩山首相がいずれも直前に出席を決定。今後は国家元首級でなければ勝負にならないようになるのだろう。
 大統領にしても首相にしても、もちろん自国開催は望んでいたが、元々IOC総会出席の優先度がそれほど高かったわけではない。しかし誘致に失敗した場合に「xxが来なかったから負けた」と批判されるリスクは大きい。共に国内政治で微妙な時期にあり、いわれのなき批判の芽は摘む必要があった(オバマ大統領は医療保険改革論議やアフガン増派、鳩山首相は政治主導の政権運営立ち上げが勝負どころ)。五輪誘致は大いに政局にも影響する時代になったのだ。
 誘致合戦も奥が深い。

 【自然災害】 サモアとインドネシアで大地震が連発。多大な被害が出た。
 災害では2004年末のスマトラ沖地震による津波被害で30万人の死者・不明者が出ているし、2008年のミャンマーのサイクロンでは10万人以上が犠牲になった。バングラデシュのサイクロンはたびたび数千-十万人単位の死者・不明者を出している。トルコなど各地の地震被害でも、数千―数万人の被害者はざらだ。
 それに比べると今回は死者・不明者数は少ない。しかし2日間の連続発生は過去ほとんど例がなく、そのインパクトは強烈だ。
 折しも東南アジアでは、大規模台風被害が重なった。いつものことだが、大自然の猛威は人間の力の限界を改めて感じさせる。

 【新たなバブル?】 世界経済の最悪期脱出説(及び回復は鈍い)を補強するようなニュースが相次いだ。IMFは1日、2010年の世界の経済成長が3.1%(7月予測比0.6ポイント上昇修正)になるとの予測を発表。30日には世界の金融機関が抱える損失額予測も3.4兆ドルと、4月推計より16%減少した。
 最悪期脱出説に市場も反応している。新興国の株価は上昇。金などの価格も上昇している(もちろん回復が遅い分野もあれば乱高下も激しい)。次の成長を睨んで、新たなバブルが発生しているという指摘も多い。要注目の分野だ。

 【アフガン増派巡る議論】 オバマ政権が打ち出したアフガニスタン増派を巡り、米政権内が揺れている。アフガン派遣の米軍ンは現在約6万人で、年末までに6.8万人に増派を決めている。しかし現地駐留米軍の司令官が4万人の増派が必要と要求。これをクリントン国務長官らが支持する一方、バイデン副大統領らはその効果に懐疑的とされる。
 NATOのラスムセン事務総長は9月末から米国を訪問。アフガン国軍支援強化などを主張したが、増派についてのNATO内の意見は様々だ。
 オバマ政権にとっては、医療保険制度改革と並び最大の課題だ。 

◎今週の注目(2009.10.4-10)&当面の注目
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・IMF・世銀総会がトルコのイスタンブールで開催中。
・ミャンマーの民主化指導者、アウン・サン・スー・チー氏と軍事政権の対話の行方に注目。スー・チー氏は軍事政権トップに書簡を送り、米欧の制裁解除を可能にする対話を求める姿勢に転じたと伝えられる。この姿勢変化には米欧の姿勢変化もうかがえる。

・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月3日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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2009年9月27日 (日)

◆国連総会・G20首脳会議が映す世界の現状と課題 2009.9.27

 国連総会(NY)やG20首脳会議(ピッツバーグ)など一連の国際会議が開かれ、2国回会談も相次いだ。密度の高い首脳外交は、世界の現状と課題を凝縮して映し出した。重要なポイントを整理する。

▼世界の直面する課題: テロ、核、地球温暖化、貧困など
 オバマ大統領の国連総会演説(23日)は、世界が直面する課題を包括的に指摘した。具体的には、▽テロと安全保障(アフガニスタン、パキスタン、イラクなど)▽核拡散防止(NPT、イラン、北朝鮮)▽中東和平▽地球温暖化▽世界経済▽貧困と感染症の広がり▽人権――などを列挙した。

▼世界の枠組み
(1)グローバル統治の枠組み: G7→G20中心に変化、新興国の発言力強化
 経済や安全保障の安定屋発展を目指すグローバル・ガバナンスの枠組みは、国連諸機関(総会のほかIMF・世銀、WTOなど様々な機関)、NATO、EUをはじめとする地域統合機関、G7などで構成されている。このうちG7は70年代以降の世界経済のあり方に影響を与えてきた。
 G20首脳会議の定例化決定で、今後はG7中心→G20中心に変化していく。首脳宣言はG20が「第1のフォーラム」と明記した。
 IMFへの出資金は中国など新興国の比重を高めることを決定。先進国→新興国への権限移譲が徐々に進み、新興国の発言力が強化していることを映した。

(2)超大国米国の外交政策: 国際協調、国連重視へ
 オバマ演説は、米国の外交政策の変化を改めて明確にした。大統領は地球規模の課題について「我々だけでは責任を追い切れない」と単独主義→国際協調への転換を改めて確認した。ブッシュ前政権からの転換を意識し、「1国が他国を支配してはならない」と述べた。安保理首脳会議での議長役、温暖化会議での演説など、国連重視への姿勢も印象付けた。

▼世界経済
(1)世界経済の現状: 最悪期は脱出、出口作戦はまだ
 G20首脳会議は世界経済が最悪期を脱出したという認識を表明した。しかし先行き不透明要因も多く、非常時→平時への出口作戦はなお検討中の段階だ。

(2)経済構造と新ルール: 不均衡是正の方策、金融規制は手探り
 1980年代以上の自由主義重視経済は、金融機関の暴走を許し、金融危機につながった。各国は持続可能な成長を目指し新ルール導入を検討する。しかしすっきりした結論はなお出ない。成長と安定のバランスは難しいし、各国の利害関係が複雑に絡むためだ。
 G20首脳会議は銀行の自己資本強化、金融機関経営者の報酬ルールなどを確認したが、強いインパクトを与えるものではなかった。
 資本主義のパラダイム転換が指摘されるが、中身はまだ見えてこない。このままでは再びバブル発生→新たな危機が繰り返されるという指摘も消えない。

(3)貿易・エネルギー: 保護主義との戦い続く。化石燃料依存経済の転換が課題。
 G20首脳声明は、第1回、第2回に引き続き保護主義への戦いを強調した。各国は自由貿易の重要性を力説するが、金融危機後保護主義的な政策が目につく。WTO新ラウンドの交渉も難航している。保護主義との戦いは続く。
 首脳宣言は化石燃料への補助を段階的に廃止すると宣言。石油などへの依存からの転換を強調した。温暖化防止にとっても重要な課題だ。

▼地球温暖化: COP15の合意は微妙
 地球温暖化防止の首脳級会議は22日、約100カ国の首脳が参加し開催した。12月にデンマークで開催するCOP15(ポスト京都議定書を決定)に向けて政治的な推進力をつける狙いで、各国首脳は決意を表明した。しかし、米欧などから具体的な提案はなかった。COP15については、合意は困難との見方も強い。
英Economist誌はFine words but no specifics.(美辞麗句にあふれたが具体的中身に乏しい)と評した。

▼核問題
 24日の国連安保理首脳会議は、オバマ米大統領の提案した「核なき世界」を目指すことを全会一致で決議。NPT(核拡散防止条約)体制の強化やCTBT(包括的核実験禁止条約)の早期発効、兵器用核分裂物質政策禁止条約(カットオフ条約)の早期交渉入りなどを盛り込んだ。 

(1)核軍縮: 米ロの新軍縮に弾み。その先に課題
 23日の米ロ首脳会談はSTART1に変わる新たな核軍縮条約の年内合意で一致。米ロの核軍縮は当面進展が期待される。しかし中英仏も含んだその先の軍縮はまだ不透明。核保有国の軍縮が進まなければ、NPT体制の強化も覚束ない。NPT未加盟のインドやパキスタンの加盟も課題だ。

(2)核拡散: イランの核開発発覚。
 オバマ米大統領、サルコジ仏大統領、ブラウン英首相は25日、緊急共同記者会見を開催。イランが2つ目のウラン濃縮工場を秘密裏に建設していたことを発表し、同国を非難した。イランの核開発が核拡散の脅威であることが改めて明らかになった格好だ。
 これまで「民生用」を主張するイランの立場に理解を示していたロシアも、警告を発した。イランの孤立が強まり、同国核開発問題は新局面を迎える。

▼米ロ関係:改善に
 ロシアのメドベージェフ大統領は23日の米ロ首脳会談で、米国のミサイル防衛(MD)システム東欧配備中止を評価。冷え切っていたロシアと米欧の関係が改善に向けて動き出す。イランの核問題でも協力して取り組む姿勢が従来以上に見える。

▼パレスチナ和平: 推進の糸口見えず
 オバマ大統領の仲介でネタニヤフ・イスラエル首相とアッバス・パレスチナ議長が22日NYで会談。しかしヨルダン川西岸のユダヤ人入植地建設などで対立が続いた。オバマ政権が重視するパレスチナ和平前進は、具体的な話し合いの糸口も見えない状況が続く。

▼貧困・開発: 貧困問題の重要性確認、AIDS対策も世界の重要課題
 オバマ大統領は演説で国連ミレニアム計画に言及。貧困問題の重要性を改めて確認した。AIDSにも触れ、米厚生省はタイで実施したエイズ・ワクチンの臨床実験で初めて効果が認められた(3割)という結果を発表した。日本では取り上げられることが少ないが、貧困や感染症は世界にとっての重要なアジェンダだ。

▼リーダーたち
 最も目立ったのは当然ながらオバマ米大統領。世界が同大統領中心に動いていることを改めて感じさせた。
 その他の主役は胡錦涛中国首席、メドベージェフ・ロシア大統領、サルコジ仏大統領、ブラウン英首相、ルラ・ブラジル大統領などおなじみの顔。しかし話題性という面では、リビアのカダフィ大佐やイランのアハマディネジャド大統領に注目が集まった。
 カダフィ大佐は国連総会初出席。23日の演説は15分の規定を無視して延々1時間36分語り続け、安保理を国連憲章違反と批判した(常任理事国の拒否権を批判)。国際的孤立を脱した後もなお独自の存在感を見せつけた。
 アハマディネジャド大統領はイスラエルを批判。しかし新たな核施設建設発覚のためか、25日に予定していた記者会見を取りやめた。

▼抗議活動: 反グローバル化など。メインストリームの改革案とは噛み合わず。
 重要な国際会議の際には、反グローバル化などのデモが繰り広げられるのが近年の常。今回もデモなどの抗議活動が展開された。オバマ大統領は市場を否定するのではなく、健全に機能させるために規制などで取り組んでいると主張したが、抗議参加者とは噛み合わない。

2009.9.27

2009年39号(9.20-27 通算483号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年9月20-27日

◆国連安保理「核なき世界」採択(24日)☆
・安保理首脳級会議が開催。核なき世界を目指す決議を採択した。
・オバマ米大統領の提案を全会一致で採択した。
・NPT体制の強化も強調。インドなどNPT未加盟国に早期加盟を促した。
・CTBTの早期発効、カットオフ条約の早期交渉入りも求めた。
・米ロの核軍縮交渉を歓迎。核テロへの懸念を示した。
・「核なき世界」決議は初で、メッセージの政治的意味合いは大きい。
・停滞していた核軍縮や核拡散防止がが再び動き出す可能性がある。
・ただこの時期にイランの新たな核開発問題が発覚。直面する問題は多い。
 (→国際ニュースを切る:国連総会とG20が映す世界)

◆G20を定例化、首脳会議が決定(24-25日)☆
・第3回のG20首脳会議がビッツバーグで開催。G20の定例化を決めた。
・世界経済の枠組みを協議する場は、G7→G20中心の枠組みに変わる。
・首脳宣言は、世界経済を安定軌道に乗せるために協調強化を強調。
・不均衡の是正を掲げ、経済政策を相互監視する枠組みの立ち上げを表明した。
・2010年までの銀行資本強化のルール策定や報酬の基準も盛り込んだ。
・IMFの出資比率を見直し、新興国の発言力を強化することも確認した。
・保護主義の防止、温暖化防止に化石燃料への補助縮小なども指摘した。
・ただ新たな政策協調の枠組みなどは、実効性への疑問も残る。

◆イランが新たなウラン濃縮施設建設(25日)☆
・イランが国内コムに2つ目の核濃縮施設を建設していることが発覚した。
・米英仏の大統領らが25日ピッツバーグで会見し発表。イランを非難した。
・これに先立ちイランは21日、新施設を認める書簡をIAEAに送った。
・米欧が建設の情報を入手。イランが発覚前に申告した可能性が大きい。
・オバマ米大統領は国連安保理決議違反と批判。制裁強化などを警告した。
・イランは開発を民生用と主張するが、米欧は核兵器への転換を警戒する。
・これまでイランの立場に理解を示したロシアも、懸念を表明した。
・安保理理事国+独はは10月1日、イランと核問題の協議を行う。
・イラン核問題を巡る情勢が再び緊張する。
・1つ目の核施設は2002年に発覚(ナタンツ)。米欧は他の施設を疑っていた。

◆地球温暖化首脳会議(22日)☆
・国連気候変動州のる会議が約100カ国の首脳が参加して開催した。
・各国は問題への取り組みを強調したが、具体的提案は限定的だった。
・こうした中で日本は2020年までに90年比25%削減を表明。
・中国も分相応の負担を初めて表明した。
・潘基文事務総長は政治的決意を評価しつつも、提案は不十分と指摘した。
・12月のCOP15に向けて調整は山場を迎える。

◆オバマ大統領支持率50%に低下 ☆
・オバマ米大統領の支持率低下が目立つ。
・WSJとNBCが22日発表の調査によると支持率は51%。
・アフガン情勢の悪化や医療保険制度改革の難航などが影響している。
・外交政策への支持率は50%に低下。アフガン増派は反対が上回った。
・支持率低下で政治基盤が弱まれば、外交政策を通じ世界への影響も大きい。

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  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【世界の課題凝縮】 国連総会とG20首脳会議、それに関連する首脳外交で極めて密度の高い週だった。世界の動向、課題が凝縮して映し出された。

 【ベスト5外】 普段ならその週のトップニュースになるような動きもベスト5漏れ。米ロ首脳会議(23日)では核軍縮の年内合意を確認。米国のMD東欧配備中止を受けて関係改善が顕著だった。米FRBは23日の公開市場委員会声明で米経済底入れ判断を示した。クリントン米国務長官は23日、国連でミャンマー軍事政権との対話の可能性も示唆。アウン・サン・スー・チー氏は軍政トップに書簡を送付した。米厚生省は24日、エイズワクチンが初めて一定の効果を示したと発表した(タイで臨床実験の結果、3割に効果)。

 【オバマ演説のメッセージ】 オバマ米大統領の国連総会、安保理首脳会議、温暖化会議、G20などの演説は、多くの物を含んでいる。世界が抱える課題、米国の取り組みなど具体的な内容が多い。そうした個別課題はさておき全体を通じたメッセージを読み取ると、国際協調路線への転換を改めて鮮明にしたこと。そして、各国や世界の人々に「責任」を考えるよう訴えたことだろう。

 
◎今週の注目(2009.9.27-10.3)&当面の注目
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・ドイツの総選挙が27日行われる。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟の第1党確保は確実視されているが、焦点は選挙後の連立政権の行方。首相は社民党との大連立を解消し、自由民主党との連立に組み替えたい考えだが、両党で過半数を得られるかは微妙。選挙結果次第では、調整が長引く可能性もある。
・アイルランドで10月2日、今後のEU統合の方向を示すリスボン条約批准の是非を問う2度目の国民投票が行われる。可決なら条約発効の展望が開ける。金融危機で「寄らばEU」感情は強まっているが、結果は>
・中国国慶節(建国記念日)が10月1日。今年は建国60周年に当たる。

・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月3日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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2009年9月21日 (月)

◆金融危機後1年の世界経済 2009.9.19

  リーマン・ショックから1年を経過した。金融危機→深刻な不況へと進んだ世界経済はマイナス成長に落ち込み、GMの破綻など平時では想像もできない事が続発した。しかし、懸念された1930年代のような大恐慌に陥ることはなく、最悪期脱出の見方も広がってきた。世界経済を改めて振り返り、整理してみる。

▼1年間に起きたこと
 金融危機後の主な出来事をまとめると次の通りだ。

(1)世界経済
・世界経済の実質成長率は2008年の3.1%→2009年は-1.4%に落ち込んだ。先進国は2-7%の大幅減(日米欧は2008年7-9月期以降マイナス成長が続いた)。
・2009年1-3月期を底に悪化に歯止め。最悪期は脱したとの見方が広がっている。
・中国はいち早く回復。4-6月期は7.9%の成長を実現した。
・失業率は悪化が続く。米欧では近く10%を超え、失業率2ケタ時代になる。

(2)市場
・株は金融危機以降急速に下落した。2009年3月頃を底に回復の兆しが出てきた。
・回復が早いのは中国などで、上海株はすでに1年前比40%上昇した。
・日米欧はまだ危機前の水準を回復していない。
・石油などの商品も下落→回復に向かった。 

(3)金融機関・金融システム 
・米国ではリーマン、AIGなどが破綻。地銀など金融機関の破綻が続き、2009年はすでに90行以上が破綻した。
・住宅金融公社(ファニーメイとフレディマック)、シティ・グループなどが多額の公的資金で支えられて息をつないでいる。
・欧州ではアイスランドの3大銀行などが国有化。英RBSなどが実質国有化された。スイスのUBSなどには公的資金が投入された。
・ゴールドマンサックスなどが普通銀行に転換し投資銀行は消滅。金融の再編が進み、業界地図は一変した。
・世界の金融機関の不良債権は4-6兆ドルと推定される。処理済みはまだ3分の1程度とみられる。
・米銀の業績は数字上4-6月から回復している。ただし会計処理上の要因などもあり、経営の中身が改善したとは言い切れない。

(4)産業
・GM、クライスラーなどが破綻。
・世界各国を通じ、企業は大幅な人員削減やリストラを推進している。
・各国政府がで低燃費車への買替補助など支援プログラムを導入。産業を支えている。

▼政策の推移

(1)金融支援

 米国や欧州の政府・当局が取った政策を整理すると、まず金融機関・金融システムの救済が行われた。具体的には(1)市場への大量な資金供給(2)破綻した金融機関の国営化(3)経営悪化した金融機関への公的資金投入(4)外貨準備の枯渇など資金繰り悪化した国への国際的な資金供与--などで、2008年末くらいまでに最初の山を超えた。この間、三菱東京UFJによるモルガン・スタンレーへの出資など民間での救済・再編も進んだ。

(2)景気対策
 各国は税制支出や減税などで消費刺激策や公共事業を打ち出した。中国はGDPの10%を超える4兆元の刺激策を発表。4月のロンドンでのG20首脳会議時の発表では、20カ国の総額は5兆ドルになる(ただし、真水部分はずっと少ない)。このうち、上記の自動車買い替え支援など平時では考えられないような政策を打ち出した。

(3)産業の直接支援
 産業への直接支援も推進。米国は破綻したGM、クライスラーに多額の支援を実施する一方、自動車部品など周辺産業にも支援策を打ち出した。

▼最悪のシナリオ回避  

 金融危機発生当時に最も懸念されたことは、金融システムの崩壊→世界経済が大混乱に陥り、1930年代の世界恐慌再来となること。1年経ち、その懸念は小さくなった。
 金融システムは何度か崩壊の危機に直面したが、各国当局の大量の資金供給や国有化、公的資金投入で何とか食い止めた。今、そのリスクは格段に縮小した。
 実物経済の影響も深刻だが、世界恐慌時とは比べるべくもない。恐慌時に世界のGDPは30%前後縮小し、米国の失業率は25%に達した。今回は、先進国のGDP縮小は5-7%程度だし、失業率は10%超のレベル。はるかにマシだ。

▼回復期待と出口作戦
 ここにきて、回復への兆しが出ている。
 世界経済は1-3月を底に最悪期を脱したという見方が広がっている。日本やドイツ、フランスの4-6月のGDPは前期比プラスに転じた。8月の米国自動車販売は約2年ぶりにプラスになった。
 株価や商品価格は3月ごろを底に上昇。企業はリストラ一色のモードから、次の成長をにらんで新規投資に踏み切る動きが出てきた。
 もちろん先行きは不透明だ。
 金融機関の不良債権はまだ3分の2が未処理のまま。実体経済の回復も、政府の消費支援などに支えられたものも多く、自律的回復にはなっていない。ボタンを掛け違えれば、いつまた経済が悪化し景気の2番底になってもおかしくない。
 経済政策を平時のものに戻す「出口作戦」はまだ時期尚早という意見が、主要国当局の間では強い。
 米国や英国などはGDPの10%を超える政府支出を実施。財政赤字は膨らんだ。将来のインフレ懸念などにつながる。しかし、副作用への配慮を考えるまでの余裕はまだない。

▼金融:中規模の改革?
 今回の危機の引き金になった金融制度の改革や金融規制を巡っては、様々な議論が重ねられた。その結果、いくつかの改革が実現した(される)が、世界の金融の仕組みを抜本から変えるようなものにはなっていない。
 世界恐慌の後、米国では銀行と証券業務を分離するグラス・スティーガル法が導入された(1999年に銀証分離は廃止)。
 今回の規制・ルールの見直し(議論)は、自己資本規制の強化、各国の監督体制の強化、短期志向の是正を目指す報酬制度の改革などを含む。いずれも重要なもので、今回の危機の温床となった高リスク経営、短期志向の経営は幾分是正されるだろう。しかし、全体の仕組みを変えるのではなく技術的なもの。グラス・スティーガル法のように大ナタを振るって仕組みを抜本的に変えるものではない。
 その技術的な規制論議も調整は容易ではない。
 24日からのピッツバーグでのG20首脳会議では、高リスク経営や短期志向経営の温床となった金融機関経営者の報酬問題や、新たな自己資本規制がテーマになる。しかし金融立国維持を目指す米英と独仏の意見の相違などがあり、調整は一筋縄でない。

▼いたちごっこ
  米国や英国では、金融の自由な活動が経済を活性化しそれが冷戦後の経済発展に貢献してきたという認識が根強い。市場重視派は「角を矯めて牛を殺すなかれ」と規制強化をけん制する。
 すでに米金融機関では(公的支援を受けている機関も含め)高額報酬復活の動きも出てきた。
 オバマ大統領は15日、ウォール街での演説で「過去の教訓から学んでいない」と批判したのも、こうした動きを苦々しく思っているためだろう。
 これとは別に、金融のグローバル化が進み実効性のある規制が難しくなっているという事情も無視できない。
 いずれにしろ、新たな規制が導入されても金融機関はすぐにループホールを見つけて新たな金儲けの手段を探すことになるだろう。
 金融の規制論議といっても、制度としての決着点を見つけるものではなく、動的なプロセスの一環としてとらえるべきだ。新たな規制が、早くも新しいバブル発生の根を内包していることも忘れてはならない。

▼世界と資本主義の変化 
 そうはいっても、長期的な時間軸でこの1年の変化を眺めると、資本主義は変わった。
 1980年代以降の新自由主義は、明らかに曲がり角を迎えた。大手金融機関やGMが国有化され、経済は国家の支えなしには声明を維持できない状況になった。
 市場経済への支持がなくなったわけではなく、なお「市場経済しかない」という見方が一般的だ。しかし、「市場に任せておけば長期的にうまくいく」という盲目的な市場信奉はもうない。それは世界観にかかわる問題で、たとえ金融規制で大きな枠組みの変化がなくても関係ない。
 不況を機に古いビジネスモデルがいくつか崩壊し(GM、シティなど)、代わって新たなビジネスへの挑戦が台頭したこの1年の間にグーグルが新OSを発表。マイクロソフトとヤフーが提携し、ツイッターが大きく普及した。自動車メーカーはエコカーの開発・販売を強化している。
 変化の芽は、新聞のトップ見出しに報じられないところに出ている。

2009.9.19

 

2009年38号(9.13-39 通算482号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年9月13-19日
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◆米、MD東欧配備を中止(17日)☆☆
・オバマ大統領はミサイル防衛(MD)システムの東欧配備中止を発表した。
・配備予定地だったチェコとポーランドに通知した。
・計画はブッシュ前政権がイラン核開発への対抗などを名目に推進した。
・しかしロシアは反発。米ロ関係は冷戦後最悪と言われるまでに悪化した。
・今回の決定は対ロ関係を修復し、核軍縮や対イランなどで協調する狙い。
・ロシアや西欧諸国は決定を歓迎。一方ポーランドなどは警戒も示した。
・前政権からの転換を示す象徴的な出来事。対ロ関係や核問題への影響は大きい。

◆日本、民主党内閣発足(16日)☆
・民主党中心の鳩山政権が発足した。
・8月末の総選挙での大勝を受けたもの。ほぼ半世紀ぶりの本格的な政権交代。
・自民党時代の産業振興、公共事業中心→生活中心の政策を掲げている。
・発足早々、補正予算の執行凍結や一部ダムの建設中止を打ち出した。
・ただ政権公約の具体的な推進方法は不透明な点も多い。
・新政権の行方には、米国やアジア諸国も注視している。

◆金融危機1年(15日)☆
・リーマン・ショックから1年が経過した。
・この間世界は金融危機→経済不況を経験。大手金融機関やGMが破綻した。
・09年の世界経済は戦後初のマイナス成長。先進国は2-7%のマイナスとなった。
・しかし1930年代のような恐慌は回避した。
・ここに来て世界経済底入れの観測も強まっている。
・ただ金融機関はなお多額の不良債権を抱え、先行きは不透明だ。
・多額の財政赤字など負の遺産も拡大。将来にツケを残した。
・政策協調の枠組みはG7→G20などに移行。世界の構造も変化した。
・危機の発端となった金融規制の論議はなお継続中だ。
 (→国際ニュースを切る:「金融危機1年の世界経済点検」)

◆中国共産党中央委、軍事委員会人事見送り(15-18日)☆
・中国共産党の中央委員会全体会議が開催。
・党への信頼性や統治強化のため、汚職対策などを決めた。
・新疆ウイグル暴動など社会不安もあり、求心力強化が急務となっている。
・注目された中央軍事委員会の人事発表はなかった。
・習近平国家副主席が副委員長になれば、ポスト胡錦涛総書記はほぼ確定だった。
・中国は10月1日に建国60周年を迎える。

◆北朝鮮が多国間対話に柔軟姿勢(18日)
・金正日総書記は核問題について、多国間対話に応じる姿勢を示した。
・中国国家主席特使との会談で表明した。
・北朝鮮は今年に入り姿勢を硬化。6カ国協議は終了したと宣言。
・今春にはミサイル発射と2度目の核実験を実施した。
・背景には金総書記の健康問題による体制引き締めなどがあるといわれる。
・柔軟姿勢により、核問題の局面が変わる可能性がある。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【MD中止のインパクト】 オバマ大統領がミサイル防衛(MD)システムのチェコ、ポーランド配備中止を発表した。MDはブッシュ政権が肝煎りで推進した構想。その中止は、米国の安保政策の大転換を意味し、米ロ関係も新局面を迎える。
 MDは表向きイランの核開発の脅威に備えたシステムとされた。しかし、ロシアは自国を対象にしていると反発。グルジア、ウクライナのNATO加盟の動きもあって、米国や欧州に対するスタンスを硬化した。そうした姿勢が顕在化したのが、天然ガスの欧州への供給停止であり、2008年8月のグルジア紛争だった。
 ブッシュ政権の欧州安保の基本構図は、力による安定を追及したもの。MDは表面的にはロシアとの協力を主張しながら、実態的には核システムで圧倒的優位に立つ構想だ。だからこそ、ロシアは強く反発した。
 オバマ政権は発足後、従来の力による安定の追及→国際協調路線への転換を打ち出した。核軍縮にも前向きで、5月にはプラハ演説で核なき世界を目指す姿勢を示している。今回の決定も、その延長線上にある。
 ロシアとの関係が改善すれば、START1に代わる新たな核軍縮交渉の推進が期待できる。イランの核開発問題やアフガニスタン政策での協調も目論んでいるはずだ。
 大統領の発表をロシアは評価。対抗措置として打ち出していたカリーニングラードへのミサイル配備差し止めを表明した。フランスやドイツも歓迎を示した。
 一方、ポーランドやチェコは懸念を表明した。東欧諸国にとってロシアの脅威は歴史的なもの。MD建設で国民世論を納得してきたこともあり、政権にとっても対応は難しい。
 波紋は多方面に広がる。今回の決定がどのような影響を及ぼすかを見渡すのは困難だが、少なくとも「時代が変わった」ことを改めて強く印象付ける。

 
◎今週の注目(2009.9.20-26)&当面の注目
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・国連総会、G20首脳会議関連の重要スケジュールが目白押し。
・国連総会は首脳演説が始まる。23日にはオバマ米大統領、胡錦涛中国国家主席、鳩山日本首相らが演説する。
・22日には地球環境問題の閣僚会議が開催される。オバマ大統領が参加する。
・24日に安保理の首脳会議が開かれる。オバマ大統領が議長を務める。
・24-25日には米ピッツバーグでG20首脳会議。金融危機や世界経済の不況対策を協議する。金融機関の経営者の報酬制限、資本強化などが具体的テーマになる見込み。
・NYやピッツバーグで首脳外交が繰り広げられる。22日の米ロ首脳会談では核軍縮などを協議。日米なども開催される。
・国連総会を機に閣僚・高官レベルの交渉も色々計画されている。

・ドイツの総選挙: 9月27日
・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月3日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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2009年9月13日 (日)

◆医療保険制度改革と米社会 2009.9.13

 米医療保険制度改革論議が山場を迎えた。オバマ大統領が9日、上院両院の合同会議で演説、改革実現に向けて強い意欲を示した。一方反対派は12日、ワシントンで反改革の大規模抗議デモを展開するなどキャンペーンは熱を帯びている。

 議論は米国民や産業の利害構図や政府に対する考え方、社会文化を反映している。また、現代社会における政府のあり方や自由な経済活動と規制の関係、社会的公正に対する考え方、オバマ大統領の政治力の行方などを左右しかねない。影響は甚大だ。

▼異例の議会演説

 米大統領の議会演説は、通常年初の一般教書演説のみで、この時期の演説は異例。改革実現への危機感と、強い意欲の表れだ。大統領は「実行の時だ」(The time for bicking is over. Now is the time for action)と強調した。

 演説のポイントは以下の通りだ。
1.改革の目標について、(1)無保険者の解消(2)民間保険加入者の保護強化(3)医療保険の支出の削減、と改めて明確にしたこと。
2.無保険者向けに新たな創設する制度は、民間保険を圧迫するものでないと強調したこと。
3.改革コストは10年間で9000億ドルと説明したこと。
4.財源については不明確な点が残り、増税には触れなかったこと。

▼1丁目1番地の課題
 医療保険改革はオバマ政権が内政の最大課題として位置付けているテーマ。大統領選の時から改革実現を公約に掲げており、政権の存在理由にもかかわりかねない問題だ。
 米国は先進国では例外的に公的医療保険がなく、企業単位の保険や民間のみ。企業の破綻や失業などに伴い保険資格を失う人も多く、無保険者は4000-5000万人存在する。
 その民間保険も様々な理由をつけて保険金を支払わないケースも多い。
 また、本来期待される民間の効率的運営が実現しない面も多く、米国の医療費のGDP比は主要先進国中最高だ。
 制度の欠陥が指摘されて久しいのに、既得権者に阻まれて改革が実現できないで来た。

▼序盤戦
 オバマ政権は当初、夏休み前に改革の大筋をつける目論みだった。しかし複雑な利害関係の調整が進まず、秋以降に持ち越しになった。
 議会の下院では、委員会レベルで与党民主党の改革案が採択させた。しかし本会議や上院での審議はめどがつかない状況だ。

▼利害対立
 改革に対する反対意見は根強い。野党共和党や、既得権を侵される医療、製薬業界が反対するのは当然として、中産階級を中心とする一般国民のアレルギーも強い。最近の世論調査では、国民の半数が反対という結果も出ている。
 反対の理由として挙げられるのは、まず財源問題。10年で9000億-1兆ドルというコストを負担するためには、結局は増税が欠かせないという見方が強い。オバマ政権はムダの削減や医療関係業界の負担増などで対応すると説明するが、具体的数字を提示し、国民の理解を得るを説明するには至っていない。
 大きな政府に対するアレルギーが予想以上に強いという事情もある。12日の反対派の集会でも、「大きな政府反対」や「民業圧迫反対」のプラカードが目立った。これは米国の社会土壌でもある。
 反対派はこうした国民感情も踏まえ、「公的な保険で不法移民も救うのか」などとキャンペーンを繰り広げる。

▼妥協模索
 オバマ政権は必死のキャンペーンを繰り広げる。9日の演説に先立つ夏休みシーズンには、大統領が各地で集会を開催。反対派デモのあった12日もミネソタで集会を開催し改革への理解を求めた。
 妥協の姿勢も見せている。議会演説では民間保険を圧迫するものでないことを強調。内容で多少譲歩しても、改革法案を成立させる姿勢を見せている。英Economist誌は「中道の改革」(centrist reform)と解説する。

▼影響多大
 医療保険改革の行方は米国内の問題にとどまらない。議論の行方はオバマ大統領の政治力を大きく左右する。求心力低下→大統領の権威低下となれば、今後の世界情勢にも影響する。
 医療制度改革についてみれば、米国は制度の中でも特異な制度を維持してきた。米国とともに自由経済の先頭を走るといわれる英国の場合、医療制度は国営・無料が原則(有料の民間医療を選択することはできる)。米国の対極に立つのだ。
 そもそも資本主義が曲がり角に立ち、パラダイムが変わろうとしている時期。米国の医療モデルが変われば、世界の経済制度を考える上でも重要な事例になる。

2009.9.13

◆9.11から8年:テロ、世界安保とアフガン 2009.9.12

 2001年の9.11は「世界がテロの脅威と向き合う時代」に入ったことを印象付けた。それから8年。米国は今年、ブッシュ政権からオバマ政権に変わり、外交安保政策も展開。新時代に入った。しかし世界でテロの脅威は変わらず続き、特に最前線とされるアフガニスタンの状況は一層深刻化している。定点観測する。

▼テロの時代
 オバマ米大統領は11日ワシントンで式典に出席。改めて「テロ一掃」を強調した。
 9.11後、世界は様々なテロを経験した。インドネシアのバリ島やロンドン、スペインなどで断続的に発生した。イラクやアフガニスタン、ロシア南部などでは日常時だ。
 米国内でのテロの再発や、テロ組織による核テロの懸念も指摘される。
 テロの主体になっているのが、イスラムなどの過激派勢力。その中心にあるのが、交際的テロ組織のアルカイダだ(ただし、そうした勢力から見れば米国やイスラエルなどがテロ勢力ということだろう)。

▼大統領の決意
 オバマ新政権はブッシュ政権の政策を転換。単独主義から対話重視路線へと路線転換した。イスラム社会との関係改善も重視。6月にはカイロでの演説で世界にメッセージを送った。
 しかし、こうした柔軟姿勢を取る一方でテロ対策を重視する姿勢は変わらない。9.11の演説でも、その意思を改めて強調した格好だ。

▼アフガン情勢悪化
 アメリカがテロ対策の最前線と位置付けるのがアフガニスタンだ。その情勢はここ1-2年で再び悪化し、出口が見えない状況だ。
 9.11直後のアフガン戦争でタリバン政権は打倒され、カルザイ現大統領を中心とする政権が発足した。選挙の実施などで再建は順調に進むかに見えた。
 しかし、地域ごとの勢力(軍閥)の対立、汚職の蔓延などから国づくりは進まず、タリバンがつけ込むスキが生じた。今では南部を勢力下に置き、各地でテロを仕掛けカルザイ政権の基盤を揺さぶる。最近では首都カブールでもテロが頻発する。
 さらには国境を接する隣国パキスタンでもタリバンが勢力を伸張。治安を揺るがしている。

▼国際支援
 オバマ政権は発足後、安保政策の重点をイラクからアフガンに移し、2月には1万7000人の増派を発表した。アフガン・パキスタン特別代表にホロブルック氏を指名。夏にはタリバンの掃討作戦を展開した。その背後でタリバンの穏健派との対話を目指しているとされる。
 しかし情勢は上記のように、むしろ悪化している。
 現在アフガニスタンに駐留する外国軍は、米国のほか欧州諸国など約10万人。しかし展望なきまま被害が拡大する状況に、欧州では撤収を求める世論も強まっている。

▼大統領選の混乱
 アフガンの大統領選はそうした情勢の中で8月20日に行われた。選挙により大統領の統治の正統性の確認→政府の威信強化→経済再建・国づくりの促進を狙っていた。
 しかし開票を巡る不正疑惑などで、むしろ混乱が拡大している。
 開票の再調査などの対応を巡り、欧米諸国とカルザイ大統領の軋轢も指摘される。

▼長期戦
 テロの背景は複雑だ。世界的な貧富の格差拡大、欧米先進文化とイスラムなどの価値観の違いなど様々な要因がある。対応策も硬軟様々な考えがある。ボタンの掛け違いもいろいろ出てくるだろう。
 専門家の間では短期的な解決など期待すべきではないとの見方が一般的。数十年単位の戦いになるという指摘や、エンドレスの戦いという見方もある。
 最低限必要なのは、たとえ抜本的な解決がなくても問題をある程度封じ込め、世界システムの根底が崩壊しないようにすることかもしれない。
 テロはその時々の事件に左右されがち。展望が見えない中でも、中期・長期的な立場に立って時々眺めることは極めて重要だ。

2009.9.12

 
 

2009年37号(9.7-13 通算481号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年9月7-13日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米医療改革論議が山場、大統領が議会演説(9日)☆
・米議会が夏休みを終え8日再開し、医療保険改革が山場を迎えた。
・オバマ大統領は9日会議で演説。不退転の決意で取り組む姿勢を示した。
・無保険者の解消、加入者の保護、医療費の抑制などを強調した。
・同時に民間を阻害せずなどと強調、妥協の姿勢も示した。
・改革コストは10年で9000億ドルになる。財源などはあいまいな点が残った。
・医療保険改革は内政の最大課題。国民の関心も高い。
・ただ、改革には医療産業や野党共和党の抵抗も強く、行方は不透明だ。
・議論の行方はオバマ政権の求心力をも左右し、米国内問題にとどまらない。

◆アフガン大統領選、開票巡り混乱、再集計指示(8日)☆
・国連主導の不服審査委員会は8日、選管に一部投票所での再集計を指示した。
・中部カンダハル州などの投票所が対象。総数の2割にあたるとの情報もある。
・一方選管は8日カルザイ大統領の得票が54%と発表。初めて50%を超えた。
・ただ対立候補のアブドラ外相は不正があったとして受け入れないと表明した。
・開票を巡っては欧米からも有効性に疑問を呈する意見が出始めている。
・大統領選は、政権正統性の確認→安定への節目として位置付けられていた。
・混乱が続き、今後の政治情勢安定に悪影響を及ぼす懸念がある。

◆9.11から8年、テロの懸念消えず(11日)☆
・同時多発テロから8年を経過。NYやワシントンで追悼式が行われた。
・ブッシュ政権後では初。オバマ大統領はテロ一掃への決意を強調した。
・ただアフガン情勢はむしろ悪化。アルカイダなどテロ組織の活動も続く。
・米本土へのテロ攻撃再発の懸念も消えない状況が続く。
・チェイニー前副大統領などは、オバマ政権の安保政策への批判を繰り返す。
・国民の間でも、アフガン戦略への不満や批判がくすぶり始めている。

◆独オペル、加マグナGに売却(10日)☆
・米GMは独オペル株の過半を加マグナとロシア国営銀ズベルバンクに売却する。
・取締役会で決定し発表した。少数株はGMとオペル従業員が保有する。
・独政府は保証などで支援する方針。合意を歓迎する声明を発表した。
・売却は5月末に暫定合意に達したが条件面などで調整が難航していた。
・背後には企業再建と雇用保護のバランス、GM本体とオペルの利害調整などがあった。
・米や独の支援をどう使うかでも対立。公的支援→いびつな競争が問題を複雑にした。
・世界の自動車産業は融資や購入支援などで、合計1000億ドル超の支援を受けた。

◆台湾、陳水扁前総統に無期懲役(11日)
・台北地裁は陳水扁前総統に無期懲役を言い渡した。
・機密費詐取などの責任を追及した。検察は昨年末に逮捕、起訴した。
・妻や親族、陳政権下の高官にも有罪判決を言い渡した。
・陳氏は民進党。国民党に代わり2000に総統就任。台湾の独自性を強調した。
・2008年の総統選では国民党の馬英九氏に交代している。
・前総統は判決には政治的思惑もあったなどとし無罪を主張。2審で争う姿勢。
・ただ現野党になった民進党は陳氏と距離を取り始めている。
・いずれにしろ台湾政治への影響は無視できない。中台関係も左右する要因だ。
・これに先立ち国民党政権は劉兆玄→呉敦義行政院長の内閣改造を発表した。
・8月の台風8号の処理の遅れ(600人が死亡)の責任を取った形。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【同時テロ8年】 世界が「テロの脅威と向き合う時代」に入ったことを印象付けた2001年の9.11から8年。世界の安全保障やテロを定点観測する機会だ。テロの脅威は変わらず続き、特に最前線とされるアフガニスタンの状況は一層深刻化している。

 【オバマ大統領の憂鬱】 米オバマ政権が抱える課題に焦点が当たった。1つはアフガニスタン政策。9.1の追悼を機にテロ、安全保障が議論され、最前線のアフガン情勢に改めて光があたった。もう一つは山場を迎えた医療保険制度改革。メディアの報道は過熱している。翌週はリーマン・ショックから1年を迎え、経済・金融に改めて焦点が当たる。

 【温暖化ガス削減:日本とフランス】 日本の鳩山次期首相は7日、2020年までに温暖化ガスを1990年比25%削減するとの中期目標を示した。麻生政権に比べて極めて野心的な目標設定。国際的な反響は大きく、欧州などは歓迎を表明。一方中国やインドは「先進国の責任」を改めて強調し、批判的なコメントを加えた。鳩山発言の報道も反響も、「国際的合意を前提に」という条件部分はほとんど無視される形で増幅されていった印象だ。
 一方フランスのサルコジ大統領は10日、温暖化ガス排出に課税する炭素税を来年から導入する方針を示した。1トン当たり17ユーロ(ガソリン1リットルなら0.04ユーロ=5.3円)を課税する内容。国民や産業界の反応は複雑で、実現までには曲折がありそうだ。
 欧州では北欧や英国が炭素税を導入済み。12月のコペンハーゲンでのCOP15会議に向けて、様々な動きが出てくる。

 
◎今週の注目(2009.9.13-19)&当面の注目
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・リーマン・ショックから15日で1年になる。金融危機、世界経済に改めて焦点が当たる。
・米国の医療保険改革議論が一層過熱する。
・アフガン大統領選を巡り、様々な動きが表面化する。
・日本で民主党の鳩山氏が16日に首相に指名され、民主党中心の新政権が発足する。

・G20首脳会議: 9月24-25日に米ピッツバーグで。融危機や世界不況対応などを競技。
・国連総会: 第64回総会が9月15日に開幕。翌週に各国首脳の演説がある。24日にはオバマ倍大統領が安保理首脳会議で議長を務める。
・ドイツの総選挙: 9月27日
・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月3日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。それに先立ち、9月22日にはNYで閣僚会議が開かれる。オバマ大統領が参加する。

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2009年9月 6日 (日)

2009年36号(8.31-9.6 通算480号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年8月31日-9月6日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆G20財務相・中銀総裁会議(4-5日)
・ロンドンで開催。世界経済・金融などについて討議した。
・今月24-25日にピッツバーグで開催するG20首脳会議をにらんだ調整。
・世界経済は改善しているとしながら、先行きにはなお慎重な見方で一致。
・当面は財政拡大や金融緩和継続で合意し、共同声明に盛り込んだ。
・金融機関の報酬制限やガバナンス強化も協議。特別宣言で言及した。
・報酬やガバナンスは金融機関の過度なリスクを回避する方策として議論される。

◆新疆ウイグルで漢族がデモ、ウルムチ市トップ解任
・ウルムチで8月下旬、注射針を使った連続通り魔事件が発生。
・情勢不安が続く中で、漢族住民らが3日から数万人規模のデモを展開した。
・治安対策の遅れなどに抗議するもの。
・共産党委員会は5日、ウルムチ市トップの栗智地区党書記を解任した。
・批判の矛先が党や中央に向かうのを阻止する狙いとみられる。
・新疆では7月の暴動以来、情勢緊迫が続く。

◆トルコとアルメニアが国交樹立へ(31日)
・両国が国交樹立で基本合意と発表した。
・両国は19世紀末-20世紀初頭のアルメニア人虐殺問題で対立してした。
・オスマン帝国下の1915-16年に数百万人の犠牲者が出た事件などを指す。
・ただアルメニアはアゼルバイジャンなどと対立。対トルコ関係改善が必要になった。
・昨年夏のグルジア紛争後は、トルコ経由の物流ルート確保の必要性も高まった。
・サルキシャン大統領が10月にトルコ訪問。それまでに国内支持獲得を目指す。

◆アフガン、NATOの空爆で多数の死者(4日)
・アフガン大統領選結果は2週間を経て集計中。決選投票かどうかはなお不明だ。
・こうした中で北部クンドゥズ州で4日、NATOの空爆で多数の民間人が死亡した。
・タリバン対象にした空爆で90人以上が死亡。半数が民間人との情報がある。
・反米、反カルザイ政権感情が強まる懸念があり、掃討作戦に影響しそう。

◆米自動車販売が1年10月ぶり増加(1日)
・8月の米国内自動車販売が2007年10月以来、前年比増加した。
・米政府の購買支援策などに支えられた。
・高燃費車の多いトヨタやホンダがシェアを向上。GMなどはマイナス。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【当面の関心事】 夏休みシーズンも終わり、世界も仕事モードで動き出した。当面の関心事を整理すれば、(1)経済・金融動向=当面は9月24-25日のピッツバーグでのG20首脳会議(2)インフルエンザの流行(3)アフガン情勢を中心とした安全保障、などだ。年末にかけては、地球温暖化や環境問題も大きな問題になる。歴史の時間軸から世界を眺めると、11月のベルリンの壁崩壊20周年は大きな節目。

 【日本の政権交代】 日本の政権交代に対するフォローアップがそこそこ続いているが、内容は選挙直後の報道から大きく変わらない。政権交代そのものは日本の新時代を開く可能性のあるものとして歓迎する一方、民主党の政策はお手並み拝見、という感じだ。ただし、取り上げ方はそれほど目立つものではない。 

 【オバマ流】 オバマ大統領が4日、ホワイトハウスが訪問者名簿を公表すると発表した。国家安保面など一部機密事項関連を除く全訪問者を発表するという。この問題は、市民団体がロビーストの活動監視などのためかねて公開を求めていた。オバマ流改革の一環だが、影響はいかに。

 
◎今週の注目: 2009年9月7日-12日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・米欧日など新学期開始や夏休み明けの学校で、新型インフルエンザの感染が拡大している。動きに注目。
・レーバーデイ明けの週後半から、米政治が本格的に動き出す。

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2009年9月 1日 (火)

◆日本の政権交代@世界 2009.8.31

 日本の総選挙が30日実施され、民主党が圧勝。鳩山代表を首相とする同党中心の新政権が発足する。2大政党間の選挙による政権交代は戦後日本で初。世界も久しぶりに注目したが、比較的冷静な見方が多い。

▽地滑り
 選挙は事前から民主党の優勢が予想されていたが、結果は480議席中308議席を獲得する圧勝。自民党は300→119議席と大幅に議席を減らし、1955年の結党以来初めて第1党の座を失った。
 自民党が野党に転じるのは1993年以来。ただこの時は選挙後の工作で野党8党の連立政権が成立した結果で、2大政党による選挙での政権交代は戦後初だ。日本のメディアはこぞって「歴史的」と強調した。

▽トップニュース
 海外のメディアの関心も久しぶりに大きかった。欧米メディアはトップ、準トップクラスで報道。英BBCは鳩山党首の記者会見も中継した。韓国や中国のメディアの扱いも目立った。
 日本の政局や選挙結果がここまで派手に報じられたのは、小泉政権時以来(2005年の郵政解散など)。その後の安部、福田内閣時代には突然の辞任もほどほどに報じられただけだったし、麻生政権も目立った報道はなかった。

▽冷静な反応
 米Wall Street Journalと英Financial Timesは、どちらも"Japan's New Era"と同じ見出し(電子版)で選挙を報じた。しかし内容を見ると、両紙を含め比較的冷静なものが多い。
 選挙の結果については、利益誘導型の自民党政治が有権者の支持を失い民主党がその受け皿になったと分析。日本の変化への期待を示している。しかし同時に、民主党の政策に財源の裏づけや外交政策など不透明な部分が多いことなどを指摘している。
 期待感は限定的で、ましてや高揚感はほとんど感じられない。小泉政権時に、日本の改革に対する期待感が高まったのとは対照的だ。
 こうした報道の内容は、日本の大手メディアの報道と基本的に共通している。海外メディアの東京特派員は日本のメディアの情報を参考にしているから、それは当然でもある。
 韓国や中国の報道も、別の意味から冷静だ。両国では一昔前まで、何か事があると「日本が変な方向に向かわないか」という懸念に火がついた。今回そうした傾向はあまりない。

 米欧政府の反応も落ち着いている。主要国の首脳は通例のように鳩山党首に祝辞を伝え、申請間との間でも良好関係を維持していきたいというコメントを出した。
 ただ、それ以上の反響となるとまだだ。米国は1993年の細川政権発足時には異例ともいえる期待感を示したが、それとは比べようもない。

▽中級国家の扱い
 こうした「冷静な反応」は、世界の中における日本の位置づけを反映しているようにも見える。
 日本はもはや、世界最強競争力を誇る経済大国として世界市場を席巻した1980年代の日本ではない。経済大国ではあるが、政治や外交力などは限定された準大国、あるいは中級国家(Middii-class nation)であるという認識が、世界でも日本国内でも強くなっている。
 となれば、日本の政治がどちらの方向に進むかは「それなりに重要な問題」ではあるが、「世界にとって死活問題」ではない。
 今回の選挙に対する世界の反応を見ると、イタリアやスペイン、あるいは豪州のの選挙結果への反応に似ているようにも見える(ただし、投資家にとっての興味は、こうした国に対する反応よりはずっと大きい)。

▽遅れてきた変化
 今回の選挙を、世界の中でとらえることももちろん必要だ。 
 冷戦が終了してから今年で20年になる。その間の世界各国の政治は、大きな変化を遂げた。
 旧ソ連や東欧は、社会主義体制から自由選挙に基づく民主主義体制に変わった。旧社会主義政党は解党、あるいは基本理念を変えた正当に生まれ変わった。選挙の度に政権が変わる国も多く、政治混乱が続く国も少なくない。
 米国や英国、ドイツは、政治制度や基本的な政党の枠組みに変化はない。しかし、幾度かの政権交代が行われた。米国では黒人のオバマ大統領が誕生。ドイツでは旧東独出身の女性、メルケル氏が首相にある(9月の総選挙でも勝利の可能盛大)。
 日本と同じように与党の半永久的な支配が続くかと思われていたメキシコなどでは、あっけなく政権が交代した。
 インドでは経済成長と並行するように、民主政治も安定してきた。一方パキスタンは混乱が深まるばかりだ。
 こうした世界の変化から比べると、日本の変化はいかにも遅い。小泉首相というスターが存在した特殊要因をどう考えるかは難しいが、「やっと政権交代か」という見方があるのも事実だ。

▽世界の中での位置づけ
 選挙後の発言では、民主党の幹部らは結構しっかりしたコメントを発している。ばらまきと批判された子育てや高速道路無料化などについてもそれなりの答えはし、「早くも失笑」などということはない。現実主義者としての顔をのぞかせる発言も多い。
 ただ、「世界の中での位置づけ」についての議論は漠然としたまま。それは日本国内外のメディアの報道でも、まだ十分に行われていない。

(2009.8.31) 

2009年35号(8.23-31 通算479号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年8月23日-31日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆日本の総選挙、民主が大勝(30日)☆☆
・総選挙が実施され、野党の民主党が480中308議席を獲得し大勝した。
・自民党は300→119議席の大敗。1955年の結党以来初めて第1党を失った。
・鳩山党首を首相とする民主中心の政権が発足する。
・自民の下野は16年ぶりだが、2大政党間の政権交代は戦後初。
・戦後発展を支えた日本の政治システムが終焉。日本政治は転換点を迎えた。
・投票率は国民の関心の高まりを反映し、69%強と高かった。

◆バーナンキFRB議長再任(25日)☆
・オバマ大統領はバーナンキFRB議長を再任すると発表した。
・任期は来年2月から4年間。
・議長はブッシュ政権下の2006年に就任した。
・金融危機発生後は財務長官らとともに克服に努めた。
・大手金融機関への公的資金投入、実質ゼロ金利、量的緩和などを導入した。
・金融危機当初は批判も多かったが、ここにきて評価する声も増えている。

◆アフガン大統領選中間発表、決選投票は流動的 ☆
・選管は中間集計を発表。カルザイ大統領がリード、アブドラ外相が追う。
・カルザイ氏の投票率は40-50%程度。
・50%以下にとどまり決選投票になるかは流動的だ。
・アブドラ外相は選挙に不正があったと批判している。
・米特別代表も決選投票を要請したと伝えられ、行方は流動的だ。
・選挙結果の確定とその後の展開は、今後の国の安定にも大きく影響する。

◆新型インフル流行拡大(28日)☆
・WHOは新型インフルの感染者が世界で確定分で20万人を超えたと発表した。
・ただし患者数の把握を中止した国も多く、実際の感染者派はるかに多い。
・死者も確認分だけで2000人を超えた。
・北半球では夏にも予想外に感染が拡大している。
・各国ではワクチンの備蓄など対応を進めている。

◆ケネディ上院議員が死亡(25日)
・エドワード・ケネディ上院議員が脳腫瘍で死亡した。77歳。
・ケネディ元大統領の弟で民主党の重鎮。
・29日の葬儀にはオバマ大統領や歴代大統領が参列。メディアも大きく報道した。
・ケネディ神話の歴史など、米政権のあり方を改めて考えさせる。
・上院民主党は審議引き延ばし阻止に必要な60議席を割り、政策運営にも影響する。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・日本の総選挙は予想通り野党民主党の圧勝だった。戦後初の本格的な政権交代になる。世界も久しぶりに日本の政治に注目した。

 
◎今週の注目: 2009年9月1日-6日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・4-5日にロンドンでG20財務相会合。金融危機からほぼ1年。金融規制新ルール作りの進展、景気の現状など定点観測の材料としても重要。

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2009年8月22日 (土)

2009年34号(8.16-22 通算478号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年8月16日-22日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆アフガン大統領選(20日)☆
・大統領選が実施。妨害はあったものの成立した。
・タリバンが選挙妨害を宣言する中、米軍など30万人以上の治安要員を配備。
・テロ・銃撃は130件以上に及び、7000カ所の投票所中約10%以で投票ができなかった。
・選管の予測では投票率は40-50%。2004年の70%に比べ大幅に低下した。
・選管は中間集計を25日に発表する予定。
・カルザイ大統領とアブドラ元外相がともにリードを宣言。決選投票の可能性もある。
・選挙を通じ治安の悪化と国づくりの遅れ、政権の求心力低下などが浮き彫りになった。
・選挙後、米国など国際社会も新たな戦略を求められる。

◆金大中氏が死亡(18日)☆
・金大中元大統領が多発性臓器不全のためソウルで死去。85歳だった。
・軍事独裁時代には長く民主化を主導。73年には東京から拉致された(金大中事件)。
・98年に大統領に当選。2000年に南北朝鮮首脳会談を実現しノーベル平和賞を受けた。
・韓国政府は23日、国葬を行う。
・北朝鮮は21日弔問団を派遣。金己男労働党書記が韓国の玄統一相と会談した。

◆パンナム機爆破犯釈放(20日)☆
・1988年のパンアム機爆破事件で有罪判決を受けたリビア人が恩赦で釈放された。
・受刑者はアルメグラヒ元リビア情報機関員。末期がんを患っている。
・恩赦はスコットランド司法当局が判断した。
・事件では270人が死亡。うち189人は米国人。
・決定に対し米政府は遺憾な決定と抗議した。
・英国では恩赦は自治政府の権限。ただ石油利権を狙う英政府の思惑があったとの情報もある。
・英米メディアでは犯罪と人権、国際的利害などを巡り報道も熱を帯びている。

◆イラク首都で連続テロ(19日)
・バグダッドで、爆弾などによる連続テロがあり、合計95人以上が死亡した。
・6月に米軍が都市部から撤退して以来最悪のテロ。
・治安への懸念が強まっている。

◆ボルト、驚異的な世界新
・ベルリンの陸上世界選手権男子100、200Mで、ジャマイカのボルトが驚異的な世界記録を出した。
・100M は9.58秒、200Mは19.19秒。
・凄い。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

【アフガン大統領選】 世界注目下でアフガニスタンの大統領選が実施された。タリバンの妨害でかなりの混乱があったものの、選挙は一応成立した。
 選管は25日に中間集計を発表の予定。カルザイ大統領が過半数を獲得して当選するか、決選投票に進むかは現段階では不明だ。
 欧米メディアも予断を持ったコメントは控えている。ただ、選挙報道で共通しているのは、治安悪化や汚職の蔓延により、同国が極めて困難な状況にあること。来週以降、色々な動きが出てくる。
 
 【米安全保障政策の懸念】 NYタイムズはCIAが軍事請負会社のブックウォーターに、アルカイダのメンバー殺害を依頼していたと報じた。
 ブラックウォーターはイラク戦争時に米軍の業務を幅広く支援していた企業。表向きは後方支援とされたが、戦闘行為にもかかわった模様。2004年にはファルージャの衝突で同社社員が殺害、橋脚に吊るされる事件があり、その存在と戦争請負会社の実態が知れ渡った。今回の報道も、ブッシュ政権と軍事請負企業のつながりの深さや、政策の不透明性を改めてうかがわせた。
 オバマ政権はイラクやアフガン政策でブッシュ政権からの転換を目指す。しかし、過去の政策をチャラにできるわけではない。負の遺産は色々なところに残っている。

 【経済底入れ】 バーナンキFRB議長は21日ワイオミング州での講演で、米国と世界経済が底入れしつつあるとの認識を示した。このところの市場などの受け止め方と同じだが、FRB議長の発言となると重みも違う。株式市場では早速買い材料にされた。ただ、議長の言うようにリスクも多く抱えており、一本調子で回復が進むことはあり得ない。

 
◎今週の注目: 2009年8月23-30日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・アフガン大統領選の中間集計が25日に発表される予定。
・金大中韓国元大統領の国葬が23日。
・30日に日本の総選挙。野党民主党が勝利し、自民党の下野が確実視される。

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2009年8月16日 (日)

2009年33号(8.9-15 通算477号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年8月9日-15日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆ミャンマー軍政、スー・チー氏の軟禁延長(11日)☆
・軍事政権はアウン・サン・スー・チー氏に自宅軟禁1年6月のを命じた。
・特別法廷が禁錮3年の判決→軍政の判断という形をとり、事実上の軟禁延長の措置。
・同氏は許可無く外国人に会ったなど国家防御法違反に問われた。
・自宅軟禁は88年4月から14年に及ぶ。
・軍事政権は来年の総選挙をにらみ、同氏の政治活動を阻止する狙いと見られる。
・欧米は人権侵害などと軍事政権を強く批判した。
・ただ中国などは内政不干渉を理由に批判を抑えている。

◆台湾で台風被害 ☆
・台風8号が7-9日台湾を直撃。多大な被害が出た。
・各地で道路寸断、土砂崩れなどの被害が発生した。
・当局は15日、死者が500人を超えるとの見通しを発表した。
・東アジアの先進地域でも、台風が甚大な被害を及ぼすことを改めて確認した。

◆米欧経済小康
・米FRBは12日公開市場委員会を開催。声明で「経済活動は横ばい」との判断を示した。
・事実上のゼロ金利は維持。量的緩和の長期国債買取は10月まで延長する。
・EU統計局は13日、4-6月のGDPを発表。前期比0.1%減と、1-3月の2.5%減から改善した。
・独仏は各0.3%のプラス成長に転換。当面は財政出動などの効果が出た。
・一方独が11日発表した7月の消費者物価は、前年比0.5%減と22年ぶりのマイナス。
・米欧経済は小康状態。ただし2番底、金融危機再燃、デフレ及びインフレ懸念は消えない。
・市場ではアジアなど株価の急回復、市況価格上昇などの動きが顕著になっている。
・最悪期脱出の期待からリスクマネーが動き出したため。

◆ロシアが対周辺国で強硬姿勢(11日)
・メドベージェフ大統領はウクライナのユーシェンコ大統領に公開書簡を送付。ブログで説明した。
・この中でウクライナがロシアとの伝統的な関係を崩そうとしているなどと批判。
・来年1月の大統領選での政権交代に期待を示した。
・プーチン首相は12日アブハジアを訪問。関係を誇示した。
・アブハジアは南オセチアとともに、昨年のグルジア紛争後にロシアが独立承認した。
・大統領と首相は12日ともにソチのカフェを訪問。市民とテレビでサッカー観戦した。
・グルジア紛争1年を機に、対外強硬姿勢と政権のまとまりをPRした格好だ。

◆アフガンで選挙妨害のテロ
・20日の大統領選をにらみ、タリバンによる選挙妨害、テロが拡大している。
・15日にはカブールのISAF司令部前で自爆テロがあり、7人が死亡、数十人が負傷した。
・住民には選挙への不参加を呼び掛け。参加の場合は報復も辞さない構え。

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◆オバマのキャンペーン
 米議会が夏季休暇に入ったのを受けて、オバマ大統領が医療保険改革実現に向けたキャンペーンに入った。11日にはニューハンプシャー州の集会で、改革の必要性を強調。反対派をけん制した。
 医療制度改革は、大統領が選挙戦時から内政の最重要課題として位置づけてきた。与党民主党が7月に提示した改革案は、全米4700万人の無保険者をなくすことなどを目指している。問題は財源で、増税が避けられない。
 大統領は9月の審議再開の後、1ヶ月程度で法案成立のメドをつけたい考え。
 改革案には医療・保険業界などが抵抗する。また政府を批判する共和党のほか、民主党の一部も反対。行方は不透明だ。
 医療改革は幅広い利害関係が絡むだけに、各国でも非常に大きな問題。実現できれば歴史に名前を残す政権になるが(英アトリー政権、ブレア政権などなど)、挫折した政権も多い(米クリントン政権など)。
 審議の行方は医療分野にとどまらず、大統領の政治力、求心力にも大いに影響する。
 秋以降の大きな注目点の一つだ。

◆アフガン、パキスタン、イラク
 アフガン選挙をにらんでタリバンによる選挙妨害活動やテロが拡大しているのは上述の通り。
 一方パキスタンでは、同国内のタリバン最高指導者のメスード司令官が米軍の攻撃で殺害されたという見方が強まっている。オバマ政権でアフガン・パキスタン特別代表を務めるホルブルック氏は、パキスタンの武装勢力内部が混乱していると述べた。
 イラクでは米軍の都市部からの撤退の後、散発的にテロが発生する。
 3カ国の安全保障が、直接・間接につながっていることは言うまでもない。

 
◎今週の注目: 2009年8月16-22日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆アフガン大統領選
 8月20日にアフガニスタンの大統領選が行われる。今週のトップ5ニュースにも書いたように、タリバンは選挙を認めず、妨害活動を広げている。焦点はまず、選挙が無事に実施できるか。そして実施できた場合、どれだけの参加があるかだ。
 仮に実施できた場合、カルザイ大統領の再選は確実とみられる。ただ、治安の悪化、汚職の蔓延などでカルザイ政権の求心力は大幅に低下している。米国もカルザイに代わる候補者を模索したが見つからず、交代を断念したという情報が半ば公然に流れている。求心力なき大統領の下で、治安維持防止と経済再建に向けて米国や国際社会がどう動くか。選挙も動向から目が離せない。

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2009年8月 9日 (日)

◆クリントン訪朝と北朝鮮問題 2009.8.8

 クリントン米元大統領が突然訪朝。金正日総書記と会談した。拘束記者2人の解放という"土産"は事前に調整していたものだろう。ただ、会談内容については北朝鮮、米国の説明が大きく異なり、今後への影響も未知数だ。情報を整理する。

▽サプライズの訪問
 今回の訪問は、国際社会にとっても驚きだった。米国の大物政治家の訪朝は2000年10月のオルブライト国務長官以来9年ぶり。ブッシュ政権時代にはなかった。
 元大統領としては1994年のカーター訪朝以来2回目。この時は北朝鮮のNPTからの離脱をきっかけにした第1次の核危機が起きた時だ。

▽異例の歓迎
 空港には政府・議会の幹部が出迎え。金総書記との会談には、北朝鮮政府と朝鮮労働党の幹部が参加。主要国の現職首脳級の扱いをした。
 金総書記とクリントン前大統領が並ぶ写真は北朝鮮国内と世界に配信された。健康が懸念される総書記の健在ぶりをアピールする狙いもあったと、容易に想像される。
 北朝鮮がクリントン訪問を重視した姿勢が、様々な面から伝わってくる。
 この問題ではリチャードソン元エネルギー長官など他の政治家の訪朝も検討された模様。ただ、北朝鮮はあくまで元大統領のクリントン氏にこだわったとされる。

▽異なる見解
 会談を巡る両国の主張は大きく異なる。
 北朝鮮側は、拉致問題に関してはクリントン氏が謝罪を伝えたと主張。また口頭でオバマ大統領のメッセージを伝えられたと強調した。
 会談では核問題や米朝関係などを含む「諸問題を幅広く意見交換した」と、繰り返し主張する。
 これに対し米側は、今回の訪問があくまで私的なものだったと協調。謝罪もオバマ大統領のメッセージも否定する。会談内容については、詳細の説明を避けている。
 それぞれの国が異なる情報を流すのは外交では一般的だし、同床異夢の会談も珍しくない。それにしても、両者の違いがここまで大きいのはそう多くない。

▽危機創出
 北朝鮮はこれまでも一貫して米朝2国間協議の実現を目指してきた。2国間協議で対米関係正常化を実現し、体制の安定を確保。同時に国際社会からの支援引き出しを狙うのが、基本姿勢だ。
 核はそのための重要な材料。状況に応じて危機を創出、相手を交渉の場に引きずり出そうという危機創出外交、あるいは瀬戸際外交は常套手段だ。
 昨年夏、金正日総書記の健康悪化をきっかけに北朝鮮の体制が動揺。核を巡る6カ国協議のも行き詰まり傾向を示した。
 こうした中で北朝鮮は今年に入り、ミサイル発射や6カ国協議からの離脱宣言、再度の核実験などで危機を創出した。3月に発生した米国人記者の拘束も、こうした危機創出外交の一環ととらえるべきだろう。

▽視界は不良
 今回の訪朝は、クリントン政権時代のパイプがまだ機能することを示した。それは確実な成果という指摘がある。
 ただもちろん、北朝鮮情勢はクリントン訪朝で今後の行方が見えてくるほど単純なものではない。
 米国はオバマ政権に代わり、ブッシュ時代の強硬策を前面に打ち出すスタンスを変えつつある。6カ国協議が行き詰る中で、次の手を模索しているのは間違いない。
 しかし、核拡散防止には強いスタンスで臨む。金総書記の健康状況とそれに伴う北朝鮮の今後の体制が定かでないこともあり、様々な可能性を探っていると見るのが妥当だろう。
 一方の北朝鮮は、危機創出外交など不変な部分はある。しかし、そもそも閉鎖社会で情報が伝わってこないし、世界の外交常識で測れない対応が多いのは変わらない。動きは読みにくい。

▽緊張と妥協の繰り返し
 1990年代の最初の危機以来の北朝鮮の核問題を振り返ると、改めて「緊張と妥協の繰り返し」であることが分かる。
 緊張の動きは、北朝鮮によるNPT脱退、核実験、ミサイル発射、交渉打ち切りなど。一方米国はじめとする国際社会の対応としては、経済制裁などで応じてきた。
 一方妥協の動きは、北朝鮮による核開発計画凍結への同意、査察受け入れ、6カ国協議受け入れ。さらには国際社会による制裁解除や経済支援などだ。これが繰り返されてきた。
 今回の訪朝も、こうした大きい流れを踏まえながらとらえるべきだ。足元の動きだけにとらわれると、方向性を見誤る。

2009.8.8

2009年32号(8.3-8 通算476号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年8月3日-8日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆クリントン米元大統領が訪朝、拘束記者を解放(4-5日)☆
・クリントン米元大統領が平壌を訪問。4日金正日総書記と会談した。
・北朝鮮は5日、拘束していた米国人女性記者2人を恩赦で解放した。
・会談の内容などは不明。北朝鮮、米はそれぞれ異なる見解を表明した。
・北朝朝鮮は元大統領が謝罪の意を示し、オバマ大統領のメッセージを受けたと主張。
・また米朝間の問題も協議し、対話による解決で一致したと主張した。
・米側は詳細説明なし。訪朝は私的なものとし謝罪やオバマ氏のメッセージを否定した。
・北朝鮮と米などの関係は核実験の再実施など悪化。北は6カ国協議が崩壊したとする。
・北は米国との直接対話を模索。記者拘束で危機を演出、利用したとみられる。
・2人の記者は3月に中朝国境で取材中に拘束され、強制労働12年の判決を受けていた。
・核問題など今後の行方への影響も流動的だ。

◆イラン大統領が就任(5日)☆
・アハマディネジャド大統領の2期目の就任式が国会で開かれた。
・議員290人中、ラフサンジャニ元大統領やムサビ元首相ら50人が欠席した。
・改革派や保守派内部での対立が改めて露呈した格好。
・大統領第2期は、多難な出発となる。
・核問題など国際関係にも影響しそうだ。

◆インドネシア当局、銃撃戦で過激派掃討(8日)
・インドネシア当局は中部ジャワ州で、過激派アジトを包囲。銃撃戦を展開した。
・7月にジャワで起きたテロの首謀者とされるヌルディン容疑者が死亡した模様。
・容疑者は東南アジアの過激派組織、ジェマ・イスラミアのメンバー。
・2002年のバリ島テロなどにも関係したと疑われている。
・7月のテロは大統領選でユドヨノ政権2期目が発足した直後に起きた。

◆米上院、初のヒスパニック最高裁判事承認(6日)
・上院はソトマイヨールNY連邦高裁判事の連邦最高裁判事就任を承認した。
・初のヒスパニック系最高裁判事になる。
・オバマ大統領が指名していた。
・最高裁判事の構成は従来通り、保守派4人、リベラル派4人、中道は1人となる。

◆ロシア・グルジア紛争から1年(8日)
・グルジア紛争から1年を経過。グルジア、南オセチアで追悼式などを開催した。
・グルジア経済はロシアとの関係凍結、金融危機の影響などで疲弊している。
・ロシアはサーカシビリ政権への圧力を続け、野党からの退陣要求も表面化した。
・紛争は旧ソ連圏諸国のロシアへの警戒を再燃。
・各国は米欧とロシアとの距離感のバランスを模索している。

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◎寸評:of the Week
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 【サプライズ】 クリントン米元大統領の北朝鮮訪問はサプライズ。いつもの危機創出外交の一環ととらえるべきだが、こうした大物が出演すると仕掛けも大掛かりだ。

 【新疆・ウイグル騒乱1カ月】 中国・新疆ウイグルの暴動から1カ月を経た。当局の監視・警戒で暴動の再発は押さえられているが、暴動参加の疑いで拘束されたウイグル人は2000人を超えた。ウルムチを離れて帰らないウイグル人も多い。亡命ウイグル人の組織(世界ウイグル会議、カーディル首席)も、事件前より世界に知られるようになった。

 
◎今週の注目: 2009年8月9-15日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・米議会が休会。9月上旬まで夏休み。

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2009年8月 2日 (日)

2009年31号(7.27-8.2 通算475号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年7月27日-8月2日
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◆MSとヤフーが提携(29日)☆
・米マイクロソフトとヤフーが検索・広告分野での提携を発表した。
・ヤフーはMSの検索エンジンを活用。一方、MSサイトに広告を配信する。期間は10年。
・検索ビジネスを立て直し、首位グーグルを追撃する狙い。
・検索市場シェアはヤフーが20%、MSが8%で、単純合計28%になる。グーグルは65%。
・MSは08年1月にヤフー買収を提案したが決裂。
・ヤフーはその後グーグルとの提携なども模索したが失敗。結局MSとの提携になった。
・IT業界の覇権争いにも影響する。

◆ナイジェリア北部で騒乱、宗派対立深刻化(26日-)☆
・同国北部でイスラム過激派と警察当局などの間で大規模な騒乱が発生した。
・ボコ・ハラムと名乗る集団がメンバー逮捕をきっかけに警察を襲撃。
・その後キリスト教会や一般住民攻撃に広がり、数百人以上の死者が出た。
・混乱は長期化する懸念がある。
・過激派は欧米流の教育を否定し、イスラム法の厳格な適用を求めている。
・同国国民は南部のキリスト教徒と北部のイスラム教徒に2分される。
・1999年以降、北部諸州はイスラム法を導入。イスラムの影響が強まっている。
・そうした中で一部集団はさらに厳格な適用などを求め、過激化していた。
・これまでもキリスト教-イスラム教の衝突はあったが、今回の騒乱は新しい形。
・欧米メディアは「タリバン」(神学生)の反乱などと報じている。
・国際的なイスラム過激派のつながりを指摘する見方もある。
・ナイジェリアは南部の油田地帯でも、富の分配や環境問題を巡り対立がある。

◆米中戦略対話、協調を演出(27-28日)☆
・米中の戦略対話がワシントンで開催した。
・クリントン国務長官、ガイトナー財務長官、王岐山副首相らが参加。
・マクロ経済での協調、北朝鮮の核問題での協力などで合意した。
・オバマ大統領は開会式で、米中が協力して世界的問題に取り組むと強調した。
・人権など対立する問題を抱えながらも、米中協力を演出した格好。
・中国の存在感の拡大、米中相互依存の深化などを改めて認識させた。

◆米経済、底入れ兆し(31日)
・31日発表の米国の4-6月のGDPは前期比年率1%減。1-3月の6.4%減から改善した。
・オバマ大統領は声明を発表。経済が正しい方向に進んでいる兆候と述べた。
・企業の4-6月期業績も市場予測を上回るペースで回復している。
・米国と世界経済に底入れ観が出てきたとの見方を裏付ける。
・ただ雇用などは悪化が続く。金融危機再燃の懸念などリスクは続く。

◆新型インフル、拡大続く
・新型インフルエンザの拡大が予想通り、徐々に進んでいる。
・7月末時点で世界で15万人以上の感染を確認。
・流行期の冬を迎えた南半球だけでなく、北半球でも感染が止まっていない。
・WHOは29日、向う2年で世界人口の20-40%が感染する可能性があるとの見解を示した。

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◎寸評:of the Week
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 【経済底打ちと資本主義の変質】 世界経済の底打ち感が強まってきた。米国の4-6月GDPの減少率は前期から大きく改善。企業業績も下げ止まりを示した。もちろん雇用悪化、金融危機再燃の恐れなど懸念材料はあるが、底入れの希望的観測を裏打ちした感じだ。
 そうした回復(悪化歯止め)を支えているのが、国のお金。各国とも金融機関の救済はもとより、公共事業、消費者支援と広範だ。31日にも米下院が、低燃費車の購入支援に20億ドルを上乗せする法案を可決した。欧州や日本でも、同様の制度が導入されている。
 金融危機後、資本主義のあり方を問う議論が続いているが、方向性はなかなか見えてこない。しかし議論の行方を待つこともなく、資本主義の実態は既成事実の積み重ねを持ってすっかり変わってしまった。しっかりとらえておくべき現実だろう。 

 【オバマカラー】 米オバマ政権の支持率がまた下がった。NBCとワシントン・ポストの調査では支持率53%。CBSとNYタイムズ調査でも58%と、60%割れだ。
 就任直後の蜜月が終わり、支持率が下がるのは当然と言えば当然。気になるのは支持低下の原因が、選挙戦時からの肝いりである医療制度改革の難航にあることだ。政権提案の改革案には野党共和党ばかりでなく、国民の間にも結構抵抗が強い。当初夏前の合意を目指していた議会審議は、実質秋以降に先送りされた。
 こんな今週米国で話題になったのは、オバマ大統領主催のホワイトハウス庭でのビールを交えた一席。招いたのはハーバード大の黒人教授と警察官だ。鍵をなくして自宅に入るところを警察官が尋問、その後の措置や大統領のコメントなどを巡り政治問題化した。処理を誤ると人種問題に火がつきかねないだけに、大統領も火消しに必死になった。
 政治家には政策立案・実行や議会との調整など伝統的な政治力に加え、コミュニケーション力や人間の魅力が問われる。オバマ大統領は後者を特に得意としてきた。色々な意味で、オバマ流の力が問われる。 
 
 
◎今週の注目: 2009年8月2-8日
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・ナイジェリアの騒乱は同国固有の問題のみならず、国を超えたイスラム過激派の活動などアフリカ全体にも影響する問題。行方に注目。

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2009年7月26日 (日)

2009年30号(7.19-26 通算474号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年7月19-26日
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◆オバマ政権発足半年、依然高支持率(20日)☆
・米オバマ政権の発足から半年が経過した。
・支持率は一部調査で60%を切ったものの、依然高率を維持している。
・半年間の政策では、経済危機対応、外交での新方針提示などが目立つ。
・国内では医療制度改革を提示。政策論争の中心テーマになっている。
・22日には会見。医療制度改革実現に欲を示した。
・折しもハーバード大黒人教授の誤認逮捕を巡り人種差別論議が表面化。
・米社会と大統領にとって人種問題が常について回ることを再認識させた。

◆FRB議長議会証言、米経済安定の兆し(21日)
・FRBのバーナンキ議長が下院の委員会で証言。
・米景気の下降ペースは著しく緩やかになったと説明した。
・ただ、雇用や住宅価格の下落には引き続き懸念を示した。
・市場の見方とおおむね同じ。米国の認識を改めて確認した格好だ。

◆ASEAN外相会議、スーチー氏の開放求める(20日)
・ASEANはタイのプーケットで外相会議を開催。
・ミャンマー軍事政権にアウン・サン・スー・チー氏ら政治犯の解放を求めた。
・域内の人権問題改善に向けた組織発足も決めた。
・ASEANは内政不干渉を原則とし、人権問題でも罰則などの権限がない。
・新組織も効果は限定的の見通し。ただ人権問題への関与強化のメッセージとなる。

◆キルギス大統領選、バキエフ氏が再選(23日)
・キルギス大統領選が実施。現職のバキエフ氏が再選を決めた。
・選管によると得票率は88%。ただし野党勢力は選挙の不正を主張している。
・バキエフ氏は2005年のチューリップ革命後の大統領選で当選。
・アカエフ前大統領の強権的姿勢に対し民主化を主張した。
・ただしその後も政治的混乱が続き、民主化の具体的成果は少ない。
・キルギスには米ロの軍事基地が存在。バキエフ氏は両にらみの外交姿勢。
・天然資源が豊富なわけではなく国際経済は疲弊。立て直しが課題になっている。
・キルギスの動向は周辺の中央アジア諸国にも影響する。

◆イラン政局混乱続く、第1副大統領白紙に
・大統領選後のイラン政局の混乱が続いている。
・第1副大統領に指名されたモシャイ氏は24日、就任を辞退した。
・過去のイスラエル容認とも受け取れる発言に保守派が反発した。
・アハマディネジャド大統領の指名に、最高指導者ハメネイ師が再考を求めた。
・大統領を含む保守派内の足並みの乱れが露呈した格好。
・大統領選後、保守派vs改革派の他、世代間、保守派内の対立が表面化している。

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 【小動き】 比較的動きの少ない、おとなしい週。

 【オバマ半年】 オバマ米政権が発足半年を迎えた。政権発足時に最大の課題だった金融・経済危機対応ではまずまずの対応を示し、米経済もここにきて「最悪期脱出」の兆しが強まってきた(実際にそうかは議論が分かれるが、少なくとも世間の感覚は)。外交も対話重視の新政策を打ち出し、新風を吹き込んだ。
 ただ、経済にしろ外交にしろ、具体的成果が問われるのはこれから。国内問題では最大課題の医療制度改革論議が今後、山場を迎えようとしている。ABCとワシントンポストの世論調査では、大統領支持率は59%と初めて60%を切った。

 
◎今週の注目: 2009年7月26日-8月1日
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・世界は夏休みモードへ。
・医療制度改革や金融規制改革などを中心とした米議会の議論。4-6月決算を主要企業の経営などに関心。

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2009年7月18日 (土)

2009年29号(7.13-18 通算473号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年7月13-18日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆中国4-6のGDP.7.9%成長(16日)☆
・中国が発表した4-6月GDPは前年比7.9%増だった。
・1-3月の6.1%から大幅上昇し、景気回復を示した。
・ただ景気刺激策による設備や不動産投資が大きく、持続性は不透明感がある。
・15日に発表の6月末の外貨準備は、初めて2兆ドルを超えた(2兆1316億ドル)。
・中国は2006年2月から外準世界1。2位日本の倍以上になる。

◆日本が衆院解散、総選挙へ(14日)☆
・麻生首相は衆院解散、8月30日の総選挙実施とを決めた。
・13日の東京都議会選挙で与党が大敗。党内の反乱防止などを狙った判断。
・世論調査では野党民主党に遅れをとっており、選挙敗北→政権交代の可能性が大きい。

◆インドネシアでテロ(17日)
・ジャカルタ中心部の外資系ホテル2軒で爆発。9人が死亡、40人以上が負傷した。
・当局はイスラム過激派ジェマ・イスラミアの犯行とみて捜査を始めた。
・同国では8日の大統領選でユドヨノ再選が決まったばかり。
・治安不安の再燃となれば、経済にも影響は大きい。

◆米金融機関が黒字決算、ゴールドマンは最高益
・米金融機関の4-6月決算が相次いだ。
・公的資金を受けたシティなども含め各社とも黒字決算。1-3月に続き2期連続。
・個人部門の不振を引き受けなど法人部門が補った。
・ただし、なお大量の不良債権を抱えており先行きは不透明だ。
・ゴールドマン・サックスは最終利益34億ドルで、過去最高を更新した。
・好業績を背景に従業員への給与引き上げの動きもある。
・高給批判が高まっている米世論への影響もありそう。

◆アフガン駐留外国軍の死者増加
・7月のアフガン駐留外国軍の死者数が2001年の駐留以来最高に達した。
・APによると死者はすでに46人。うち米軍24人、英軍の15人など。
・米軍などが掃討作戦を実施。これに対する報復テロが激化しているため。
・8月20日の同国大統領選に向けて、治安安定は正念場を迎えている。

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◎寸評:of the Week
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 【中国経済トピック】 中国の経済を巡るニュースがいくつか。4-6月のGDPは前年同期比7.9%成長と、1-3月の6.1%から回復した。経済対策による押し上げもあり持続性は不明だが、少なくとも数字は「世界に先駆けて景気回復」を示した。
 外貨準備は2兆ドルを超えた。世界の中での中国経済の存在を改めて認識させる。
 一方、中国当局が英豪資源大手、リオ・ティントの社員をスパイ容疑で身柄拘束した事件が波紋を広げている。リオ側は通常の情報収集までが容疑になっていると懸念。一方、中国当局は中国の鉄鋼メーカー幹部もわいろ受領の容疑で取り調べをした模様。全容はまだ不明だが、いかにも中国らしいという印象がなくもない。
 先にはPC閲覧ソフト義務化を巡りどたばた劇があった。中国経済の成長と不透明性、リスクを改めて感じさせる。

 【太陽光ビジネス】 独シーメンス、ドイツ銀行など欧州の12社が13日、サハラ砂漠で太陽光発電などを事業化し、欧州に送電する事業開始で合意した。2050年までに総事業費4000億ユーロを投じて事業を進める。風力発電などとも組み合わせ、将来は欧州の電力需要の15%を賄う計画という。
 足元の太陽光発電ブームに便乗している感じもするし、どこまで実現性があるか不確かな面が多い。それでも、こうしたスケールの大きい話は小気味いい。
 

◎今週の注目: 2009年7月19-25日
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・オバマ政権が発足して20日で半年になる。最大案件の金融危機や自動車産業救済問題は一服。支持率はなお約60%と高率。大統領はなお、世界の楽観主義の希望の象徴であり続ける。しかし外交面では、アフガン情勢緊迫など「対話重視」では対処できない問題が増えてきたし、国内では医療制度改革など重大問題が控えている。メディアの特集など注目。

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2009年7月12日 (日)

◆サミットのポイント整理:G8と13、17、30の枠組み 2009.7.12

 イタリア・ラクイラで8-10日、G8など一連の首脳会議が開かれた。地球環境、世界経済、核拡散防止などについて協議。大見出しになるような成果はなかったが、おおむね事前予想に沿ったそれなりの結果を残した。それ以上に特徴的だったのは中印などを加えたG13 、地球温暖化を協議するG17などの役割が大きくなり、地球的問題を協議する枠組みの変化が一層際立った。

▼サミットでの決定事項と展望
 一連のサミットでの協議・決定事項と今後の展望を挙げれば、以下の通りだ。

(1)地球温暖化
 G8レベルでは2050年までに先進国の温暖化ガス排出を80%減で合意した。
 しかし、G8に中印などを加えたMEF(17カ国)は、2050年までに地球全体で排出量を半減という目標合意に失敗。途上国は温暖化ガス削減が経済成長の足かせになることを懸念。過去に大量のガスを排出した先進国の責任追及した。
 2050年の気温を産業革命時より2度より高めないことでは一致した。
 温暖化問題の次の節目は、12月にCOP15閣僚会議。欧米は会議に向けて「全地球で半減」合意の成果を残したかったが、目標は果たせなかった。交渉は先の読めない状況が続く。

(2)世界経済
 G8は宣言で、世界経済に安定の兆しが見えてきた点を確認。一方、将来不確実な状態が続いていると診断した。
 金融危機・世界不況対応は4月のロンドンでのG20首脳会議で議論。今回の宣言はそれを踏襲した形。次の節目は、9月に米ピッツバーグで開催するG20首脳会議に移る。
 貿易では、G8に中印、ブラジル、メキシコ、南ア、エジプトを加えた14カ国がWTOのドーハラウンドについて、2010年妥結を目指すことで合意した。
 交渉停滞に、政治的なメッセージは重要。ただ、金融危機後各国はむしろ自国産業保護を強めている。交渉の行方は見えない。

(3)核拡散防止
 米政府はサミット開催中の10日、来年3月に米ワシントンで、G30首脳会議を開催すると発表した。
 オバマ大統領の「核なき世界」に向けた核軍縮の意欲を示したもの。
 G8首脳も宣言で核なき世界を目指す姿勢を表明。CTBTの早期発効に向けた努力を強調し、G30首脳会議の支持姿勢も示した。
 北朝鮮については核実験を非難。イランの核問題は外交的解決を目指す方針を強調した。

(4)その他
 食料安全保障、アフリカ支援などについて協議。宣言を発表した。

▼膨大な文書
 サミットでは発表された宣言は膨大。G8では議長総括(Chair's Summary)のほかに、首脳宣言、政治宣言(political issues)、核不拡散に関する宣言、反テロ宣言などを採択した。
 G8に中国、インドなどを加えた13カ国(EUを加えて14カ国)首脳は、世界のアジェンダについての共同宣言を採択。また、韓国、オーストラリアなどを加えた17カ国は地球温暖化に関する宣言を発表した。
 専門家グループの報告などを加えると文書は10を超す。その一覧は以下のアドレスに掲載してあるが、どこに何が載っているか確認するのは骨が折れるほど。紙の洪水も、サミットの現状だ。

http://www.g8italia2009.it/G8/Home/Summit/
G8-G8_Layout_locale-1199882116809_Atti.htm

▼グローバルガバナンスの枠組み
 G8は1975年に始まったG5が前身。当時は世界経済に占める先進国の割合は圧倒的だったが、中国やインドの成長で状況は変わった。いまや、新興国を加えな変えれば地球規模の問題は解決できない。
 既に数年前からG8には中国、インドなど新興国やアフリカなど途上国代表を招き、拡大会議をダブルトラックで進めるのが恒例化した。
 今年は「G8より拡大会議」の傾向が一層鮮明になった。中心テーマの地球温暖化対策やWTO交渉の主役は、G13やG 17。金融危機対策も、昨年以来G8よりG20首脳会議が重要という感が強い。
 ただ、G8に代わり中心になるのがG13なのか、20かなどは不明。いくつものフォーラムが併存する体制を見る関係者も多い。
 オバマ米大統領は「今後数年で新しい組み合わせが見えてくる」という。

▼オバマ大統領の存在感
 サミット初参加のオバマ米大統領の存在感が目立った。
 核軍縮に関連して、ほとんど事前調整なしにG30の首脳会議の開催を決定。先のプラハでの「核なき世界」演説に沿って、軍縮で強いイニシアティブをとる姿勢を示した。
 地球温暖化では「米国は責任を欠いていた」と明言。ブッシュ時代からの転換と、この問題でイニシアティブをとろうという意欲を示した。
 G8首脳会議は、最近では世界の定点観測の場としての意味合いも大きい。今年はこんな風景を示した。

20090712

2009年28号(7.5-12 通算472号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年7月5-12日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆中国・新疆で暴動(5日)☆
・中国の新疆ウイグル自治区のウルムチで暴動が発生。180人以上が死亡した。
・ウイグル人によるデモがきっかけだが、推移の詳細などは不明。
・6日以降も各地で抗議行動などが発生した。
・中国当局は7日までに約1500人を拘束。無届集会禁止など戒厳体制を敷いている。
・漢民族による反ウイグルデモも発生。民族対立が表面化した。
・中国で大規模な民族暴動が起きたのは昨年3月のチベット暴動以来。
・胡錦濤国家主席は8日、イタリアのサミット出席を取りやめ帰国した。
・背景にはウイグル人の漢民族支配への反発、独立要求などがある。
・中国の民族問題の根の深さを改めてうかがわせた格好だ。

◆G8など首脳会議、環境、経済、核など協議(8-10日)☆
・G8、G8+新興国など一連の首脳会議がイタリアのラクイラで開かれた。
・G8は温暖化ガス排出を2050年までに半減で合意した。
・ただし途上国を含めたG17は、地球全体で半減の合意に失敗した。
・地球気温上昇を産業革命時より2度以内にとどめることでは合意した。
・G8+中印などはWTOドーハ・ラウンドの来年合意で一致した。
・核問題は拡散防止で一致。核なき世界を目指し来年米国で首脳会議を開く。
・これに先立ち米ロ首脳は6日モスクワで、戦略核弾頭の大幅削減で合意した。
・一連の会議は若干の前進(A modest step=英Economist)という評価が多い。
・世界統治の枠組みは、G8→新興国を加えた体制への変化が改めて鮮明になった。

◆米韓に大規模サイバー攻撃(4日以降)
・米国と韓国の官庁などのウエブサイトがサイバー攻撃を受け、影響が出た。
・米主要官庁、NY証取などのサイトが4日以降不正アクセスを受け、障害が生じた。
・米政府が8日発表した。韓国のパソコン経由で攻撃を受けた模様。
・韓国では大統領府、国会、銀行などのサイトが7日攻撃を受け障害が発生した。
・米韓では北朝鮮が関連する組織の仕業との見方が出ている。
・サイバー攻撃のリスクを改めて認識させた。
・グルジア紛争の際に同国サイトが攻撃を受けるなど、非常時の危機も表面化した。

◆グーグルが新OS(7日)☆
・グーグルはパソコン用の新OSを発表した。PCメーカーに無償提供を始める。
・クロームOSという名称で、Linuxベースに開発した。
・まずネットブック用を提供。2010年に搭載機が登場する見込み。
・クラウド・コンピューティング化を一層促進する見込み。
・OS分野で圧倒的優位を維持するマイクロソフトへの挑戦となる。
・メディアは"Clash of Titans"などと報道。業界の行方を左右しそう。

◆インドネシア大統領選、ユドヨノ再選確実(8日)☆
・大統領選が実施。ユドヨノ大統領の再選が確実になった。
・速報では60%程度の得票を獲得。決選投票なしで当確となった。
・2004年からの第1期中に同国政治は安定。経済成長も順調で、実績が評価された。
・09年の経済も2-3%のプラス成長が見込まれている。
・失業率の上昇などが課題となる。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【ラクイラ・サミット】 G8首脳会議など一連の首脳会議がイタリアのラクイラで開催された。G8とG14、17、約30などが入り乱れての会議。テーマの地球環境、世界経済、核軍縮などを協議した。中身を枠組みは「国際ニュースを切る」で整理。 

 【中国暴動】 中国の新疆・ウイグル地区で暴動が発生。緊迫した状況が続いている。
 発端はウイグル人のデモだが、何が暴動に火をつけたのかなど詳細は不明。現地からの映像は、ウルムチ中心部の店舗の破壊、バスの横転など事態緊迫を伝える。漢民族による反ウイグル人のデモなどもあり、対立が対立を呼ぶ悪循環に陥った感がある。
 中国での民族暴動は昨年春のチベット以来。いずれも漢民族支配への反発、自由の要求などでは一致している。
 胡錦涛国家主席は情勢対応のためイタリアでのサミット出席を取りやめ、急きょ帰国した。Economist誌最新号は「中国の悪夢」(China's nightmare)というカバーストーリーを展開。中国のジレンマは大きい。
 ただ、ウイグルの場合チベットのダライ・ラマ14世のような国際的に存在感のある指導者がいない。イスラム原理主義と結び付いた勢力が地区内にいる点も異なる。
 国際社会もイスラム原理主義への警戒などから、チベット動乱時のように中国批判をするには至っていない。経済、民族、宗教、国際情勢等々取り巻く環境は単純ではない。

 【GM再建スピード処理】 米GMは10日、優良資産を新生GMに譲渡する手続きを完了したと発表した。6月1日の連邦破産法11条申請からわずか40日あまり。予想以上のスピード処理になった。
 背景にあったのは、オバマ政権の後押し。そして法的整理を申請する前に事前調整を進めた結果だ。
 GMは事業規模を大幅に縮小。2010年の再上場を目指す。計画実現には競争力のある商品を提供できるかなど、様々な条件がある。

 
◎今週の注目: 2009年7月13-18日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・中国・新疆ウイグルの暴動の行方に注目。
・アフガニスタン情勢の悪化が深刻。

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2009年7月 5日 (日)

◆オバマと経済危機:2009年半年の動き 2009.7.5

 2009年も半年が経過した。この間の世界の重大な動きといえば、米オバマ政権の発足と経済危機の推移だろう。

 オバマ政権は経済危機への対応に追われる一方、外交面ではイラクからの撤退方針、アフガンの兵力増強、グアンタナモ捕虜収容所の閉鎖決定、イスラム社会との対話促進、核軍軍縮への前向きな取り組みなど、新路線を打ち出した。環境政策への積極的な取り組みでもブッシュ時代から大きく方向転換した。

 その成果はまだ評価できる段階ではないが、オバマ大統領は依然、「世界の楽観主義の希望」であり続けている。

 経済は昨年後半に金融危機に続き、今年前半にはGM、クライスラーが破綻した。2009年の世界経済は戦後初めてマイナス成長になり、先進国のGDPは5%近く減りそう。

 しかし、年初のように毎週、経済悪化のニュースが週刊トップ5のニュースに登場するような状況は変わりつつある。経済悪化には歯止め感が出て来た。もちろん今後、金融危機再燃などがいつあってもおかしくないが、張り詰めた空気は多少緩んだ感じがする。

2009年27号(6.28-7.5 通算471号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月28-7月5日
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◆米軍戦闘部隊、イラク都市部から撤退完了(30日)☆
・戦闘部隊の都市部からの撤退が完了。治安権限をイラクに移譲した。
・28日までに撤退作業を終え、30日にオバマ大統領が正式発表した。
・撤退は2003年以来6年ぶり。イラク政策は重要な節目を越えた。
・ただイラクでは最近テロが再燃。治安維持は早速正念場を迎えている。
・一方アフガンで米軍は、大規模な武装組織掃討作戦に出ている。

◆中国PC検閲ソフト義務化の波紋広がる、当面は延期(30日)☆
・中国のパソコン検閲ソフト搭載義務化政策を巡り、波紋が広がっている。
・同国は6月9日、国内で7月1日以降販売するPCへの掲載義務付けを発表した。
・ポルノや暴力など有害サイトへの接続遮断が狙いと説明した。
・しかし米国やEUは、消費者の自由を阻害すると撤回を要求。
・米社は中国政府指定のソフトが、同社情報の盗用と米裁判所に提訴した。
・中国は30日になり義務化延期を発表。理由の説明はない。
・米HPやデルは掲載見送りを表明。一方レノボやソニーなどはすでに搭載した。
・中国ビジネスには政府規制との関係が付いて回る。今回もその一例だ。

◆ホンジュラスでクーデター、国際社会は批判(28日)☆
・28日未明にクーデターが発生。セラヤ大統領を国外追放した。
・軍や議会が主導。議会は新大統領にミチェレッティ議長を指名した。
・大統領は再選に道を開く憲法改正を提案。28日に国民投票を予定していた。
・同国憲法は大統領再選を禁止。国民投票決定は議会の権限となっている。
・大統領はベネズエラのチャベス大統領に接近。左傾化が目立った。
・動きに対する国内世論は分裂。クーデター支持派と反対派が集会を開催した。
・一方米州機構や米国はクーデターを批判。大統領の帰国を求めている。
・不正義と不正義の衝突のような面もあり、情勢混乱は続きそうだ。

◆米カリフォルニア州が非常事態宣言(1日)☆
・シュワルツェネッガー知事は非常事態宣言を発令した。
・経済悪化による税収減少で同州財政は悪化。危機的状況にある。
・州議会が赤字解消策の合意に失敗。資金確保のめどがつかなくなった。
・民間企業などへの支払いは当面、借用書発行でつなぐ。
・公共サービスや施設の休日拡大なども決定した。
・他の州も加州同様、財政危機に直面。全米的に深刻な影響が出ている。

◆米民主党、上院で安定多数確保(30日)☆
・ミネソタ州最高裁は昨年11月の上院選選挙で、民主党系候補の勝利を確定した。
・この結果、上院の民主党議席は60に達した。
・共和党の議事妨害(filibuster)を阻止できる安定多数に達した。
・オバマ政権の議会運営は有利になり、政策運営に影響する。

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◎寸評:of the Week
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 【米政局の当たらな動き】 米政局に注目すべき動きがいくつか。昨年11月の選挙の結果が判明していなかったミネソタ州上院議員の議席が民主党候補当選で確定。議会で民主党が60議席を占めることになった。共和党の議事妨害を阻止できる安定多数となり、オバマ政権の議会運営は極めてやりやすくなる。
 オバマ政権が重視する政策は、国内では医療制度改革や環境政策など。今後は共和党との意見対立より、民主党内での意見対立調整の法に焦点が当たるケースも増えそうだ。
 劣勢が続く共和党では、昨年の大統領選で副大統領候補になったアラスカ州のサラ・ペイリン知事(45)が3日辞任を表明した。任期を1年半残しての辞任。2012年大統領選出馬に向け、運動展開の準備との見方が広がっている。同氏の注目度は高く、Economist誌はAn Alaskan mysteryと報じた。

 【中台経済交流】 台湾当局が中国企業からの直接投資を解禁に踏み切った。第1弾としてパソコンや携帯電話など100分野を対象にした。台湾経済は金融危機のあおりで苦境にあり、中国からの投資呼び込みで経済活性化を狙う。
 中国企業の直接投資受け入れは、1949年の中台分断以来初めて。中台の経済統合が進むのは確実だ。長期的には、中台政治関係にも影響する可能性がある。

 【イラン情勢】 イランの護憲評議会が29日、大統領選でのアハマディネジャド再選を正式発表した。予想通りの展開。開票に不正があったとするムサビ元首相ら改革派の主張を押さえ込んだ。
 これに対し改革派ムサビ元首相は批判を継続。大統領に正当性はないとする。さらに重要なのは、一連の混乱を通じ現体制に対する国民の不満が覆い隠せないものとなり、保守派内部でも対立が表面化したこと。英Economistは、大統領は権限を維持したが特に中間階級の間で正当性を失ったと評した。イラン政局の行方は不透明な状況が続きそうだ。

 【北朝鮮制裁包囲網とミサイル発射】 北朝鮮が4日、弾道ミサイルを発射した。合計7発で日本海に着弾した。日米などは国連安保理決議違反とみて批判した。
 国連安保理は6月、地下核実験を実施した北朝鮮に対し制裁決議を採択した。金融制裁や一部船舶の貨物検査強化などを盛り込んでいる。ここにきて東南アジア諸国なども制裁への協力姿勢を強め、北朝鮮包囲網が強化されている。
 金正日総書記の健康、後継問題とも絡み、北朝鮮情勢は緊迫した状況が続く。

 
◎今週の注目: 2009年7月5-11日
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・G8首脳会議が8-10日、イタリアのラクイラで開催される。金融危機・世界不況への対応、環境、イラン、テロなどがテーマ。中国、インドなどの首脳を加えた拡大会議も開催される。
・米ロ首脳会議が6日からモスクワで開かれる。核軍縮が最大のテーマ。
・インドネシアの大統領選が8日開催される。現職のユドヨノ大統領とメガワティ前大統領、ゴルカル党首のカラ副大統領の争い。世論調査ではユドヨノ有利と出ている。

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2009年6月27日 (土)

2009年26号(6.21-27 通算470号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月21-27日
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◆イラン政局混乱続く ☆
・大統領選を巡る混乱は2週間を経ても終息せず混乱が続く。
・最高指導者ハメネイ師は再度選挙の正当性を強調。抗議活動中止を求めた。
・調査委員会設置など一部で譲歩を示し、決着を図っている模様。
・一方改革派のムサビ元首相は合法範囲内での抗議継続を主張している。
・アハマディネジャド大統領再選を祝う24日の会は、国会議員の過半が欠席した。
・オバマ米大統領やG8外相会議は武力鎮圧を非難。国際社会も圧力をかけ始めた。

◆イラクの治安、再度悪化の懸念 ☆
・駐留米軍戦闘部隊の都市部からの撤退期限が30日に迫った。
・撤退をにらみ各地でテロが相次ぎ、治安再度悪化の懸念が広がっている。
・24日にはバクダッドのテロで72人が死亡。26日も約20人が死亡した。
・アルカイダやスンニ派過激派の犯行とみられる。
・治安権限を引き継ぐイラク軍の能力が早速試される。
・米国は撤退計画に変更ないとしている。
    
◆米保険改革、議論が本価格始動 ☆
・米国の医療制度改革論議が本格化し始めた。
・上下両院の委員会が25日までに、法案の概要や審議の論点をなどを発表。
・医療改革はオバマ政権が内政の最重点課題の1つに掲げているもの。
・無保険者の解消、医療費抑制、医師・保険の選択自由の確保を目指すとされる。
・実現すれば半世紀ぶりの改革となる。政権は年内の成立を目指す。
・しかし改革には大幅な増税が必要がある。
・共和党からは大きな政府への警戒がある。産業などからの反発も大きい。
・クリントン政権も15年前に同様の法案を提出したが、挫折している。

◆米の新型インフル感染者、延べ100万人との推計(25日)
・米疾病対策センター(CDC)は、感染者が延100万に達したとの推計を発表した。
・夏になっても感染者は減少していない模様。
・公式の確認感染者は2万8000人にすぎない。実態とのギャップは大きい。

◆マイケル・ジャクソンが死亡。世界的に話題(25日)(^^)
・歌手のマイケル・ジャクソン氏がロサンゼルスで死亡した。50歳。
・死因は不明。当局が調査に当たる。
・同氏は1980年代スーパースター。音楽と映像の融合で新時代を開拓した。
・90年代以降は幼児虐待などスキャンダルが話題を呼んだ。
・最近はコンサート復活を計画。準備をしていた。
・80年代以降の大衆文化論に欠かせない人物として、メディアのカバーも大きい。

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◎寸評:of the Week
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 【イランの混乱】 イランの混乱が予想以上に長引いている。国民の不満の鬱積、対立構図の複雑さ(保守派vs改革派、保守派内の対立、世代間対立など)は前号でも指摘した通り。
http://homepage2.nifty.com/INCDclub/clm2009/clmIran2009621.htm
 注目すべきは、ハネメイ師が抗議活動停止の命令を出したのにもかかわらず混乱が続いていることだ。「どうせイランは宗教指導者の国家」という従来の枠組みだけでは理解できない事態になるかもしれない。

 【北朝鮮の世代交代】 北朝鮮の世代交代を巡る情報が色々流れている。5月末頃から金正日総書記の後継者として3男正雲氏が決まったの情報が流れているが、北朝鮮ウォッチャーによると同氏を讃える歌の披露増加など追加情報が相次いでいる。先の再度の核実験など最近の強硬姿勢も、世代交代を関連付けて解説する向きがある。いずれにしろ、いつ表の動きが出てきてもおかしくない。

 【米国の医療改革】 オバマ大統領が選挙戦でも肝いりで主張してきた医療改革論議が動き出す。
 米国の医療制度は、世界的に見ても特異な存在だ。国民皆保険が基本の欧州先進国や日本と違い、先進国で唯一無保険者が多数(5000万人)存在する。先端分野の医療水準は世界1なのに、医者にかかれない人が多い。
 医療費は高く、GDP比は16%程度と世界最高。その矛盾は、マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」にこれでもかと示されている通りだ。
 オバマ大統領は改革の目標として、(1)無保険者をなくす(2)医療費抑制(3)医師・保険の選択自由の確保を目指す、などを掲げている。大統領は今月の演説で、「改革しなければGMのようになってしまう」と訴えた。
 しかし、反対意見は根強い。大統領も改革の財源に、増税が必要と認めている。共和党には、「大きな政府につながる」と警戒する。既得権に手を突っこまれる医療産業は、強力なロビー活動を仕掛けてくるだろう。
 国民の意見も多様だ。ある調査では、国民の68%が現在の医療システムの優れていると評価している。クリントン政権が15年前、改革にとん挫したのもこうした背景があるためだ。
 医療改革は、米国に限らず世界に共通する大問題。オバマ政権の改革の行方は、世界にとっても注目の的だ。

 
◎今週の注目: 2009年6月28日-7月4日
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・引き続きイラン情勢に注目。
・イラク駐留の米軍の戦闘部隊が30日、都市部から撤退する。治安権限はイラク軍に移る。撤退を前にイラクの治安は再度悪化の兆しもあり、情勢の行方は流動的。節目の局面だ。

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2009年6月21日 (日)

◆米欧の金融規制強化案 2009.6.21

 米国と欧州が新しい金融規制案を発表した。金融危機をもたらした現行の規制・監督体制の不備を正そうというもの。その行方は今後の金融システム、ひいては資本主義の在り方を左右しかねない重要な問題だ。
 関係者は新規制が必要性では一致するが、それを「いかなる方法で」「どこまで」となると意見は対立する。議論の行方は曲折が予想される。

▼米国の改革案
 米国の改革案はWhite Paperの形でオバマ大統領が17日発表した。
 88ページの白書の要点は(1)これまで銀行、証券、保険に分かれていた大手金融機関の監督権限をFRBに集中(2)OTSなど一部監督機関を統廃合(3)財務省主導の協議会を設置(4)デリバティブ販売時の規制強化(5)金融消費者保護庁の設置など。
 米国の金融監督体制は複雑に入り組んでいる。現在、銀行はFRBと通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)など、証券はSEC、保険は州当局が監督しているほか、S&LはOTSなどが責任を持つという体制。横の連携はいいとは言い難い。
 金融機関の業務は1980年代以降自由化が進み、業態の垣根が消滅した。それにもかかわらず監督体制の改革は遅れ、これが金融危機の原因の一つになったと指摘される。

▼大恐慌以来の改革?
 オバマ大統領は「砂上の楼閣だったリスク規制の新しい土台に他ならない」と強調。英Economistは「政府が市場経済の中により深く入り込み、過去30年の市場自由化を一部戻すもの」と評した。
 改革実現となれば、1930年代以来の規制体系の大変革になる。米メディアも「大恐慌以来」という表現で報じる。
 ただ、調整の行方は不透明だ。
 リスク管理を重視する立場からは、「これだけで十分か」という指摘が出ている。改革案が実現しても、監督体制はなお複雑だ。
 一方、市場機能を重視する立場の人々は、規制強化の行き過ぎを警戒する。米ウォール・ストリート・ジャーナルは「大統領は市場を守ると言いながら政府の支配を広げている」と警戒。議会にはFRBの権限拡大を警戒する見方もある。消費者保護拡大には、金融業界の強烈なロビーイングも予想される。
 Economistも、「最終的にどうなるかはなお不確か」と指摘している。

▼EUの改革案
 EUの改革案は18-19日に開催した首脳会議の共同宣言で表明した。
 要点は、(1)欧州全域の金融動向を監視し、金融システム全体の危機を防止する欧州システム・リスク理事会(European Systemic Risk Board=ESRB)を設置(2)各国当局の情報を吸い上げる欧州金融監督システム(European System of Financial Supervisors=SFS)を設置、など。
 EUは共通通貨ユーロを共有し(参加は16カ国)欧州中央銀行を持っている。それにも関わらず、金融監督は各国ばらばら。このため金融危機発生時にも、各国が連携して対応できなかった経緯がある。
 首脳会議宣言は、共通監督機関設立に向けた計画を示そうというもの。ただ、中身はまだ詰まっていないところが多く、具体論はこれからだ。

▼同床異夢
 各国とも適切な規制強化では一致する。しかし、汎欧州的な組織の強化を訴えるフランスなど大陸諸国と、金融センター・シティを抱える英国の利害は大きく異なる。英国のブラウン首相は汎欧州の新組織ができても「英国政府の規制政策が欧州の命令を受けることはない」と強調した。
 大陸諸国内でも、細かい点になるとフランスとドイツなど各国の意見は異なる。
 英Economistは「EUのインチキの銀行(規制)改革」(An EU fudge on bank reform)と皮肉を込めた見出しで報道。EU各国首脳はあいまいな銀行規制案で決定的な喧嘩を避けたと分析した。
 米国も欧州も議論の先行きはまだ見えない。議論の行方は今後の世界経済にとって極めて重要だ。

20090621

2009年25号(6.14-21 通算469号) 国際ニュース・カウントダウン 

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月14-21日(日本時間)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米欧が金融規制改革案を発表(17日)☆
・オバマ大統領は金融規制改革案を発表した。
・銀行、証券、保険別だった大手金融機関の監督権限をFRBに集約する。
・監督機関の統廃合、デリバティブの販売規制強化等も盛り込んだ。
・金融消費者保護庁を創設し、消費者・投資家の保護も強化する。
・議会と調整をし、年内の実施を目指す。
・実現すれば1930年代以来の抜本改革となる。ただ調整の行方は流動的だ。
・一方EUは19日首脳会議宣言で、新たな金融監督体制の方向を示した。
・全欧州のシステム・リスクを監視する理事会を設置する。
・各国の金融監督情報を吸い上げる全欧的監督体制整備なども掲げた。
・金融危機後の課題だった欧米の金融監督体制改革論議が具体論の段階に入る。
・その行方は今後の世界の金融・経済のあり方に影響する。

◆イラン、改革派が大規模な抗議活動(15日-)☆
・大統領選でムサビ元首相を支持した改革派市民らが抗議活動を展開。
・15日のテヘランのデモには数十万人が参加。その後連日、全国で活動が続いた。
・16日には当局と衝突。死者が出る事態になった。
・アハマディネジャド大統領当選とされる選挙の不正を主張。再投票を求めた。
・最高指導者ハネメイ師は19日選挙は正当とし、活動停止を要求した。
・これを受け改革派は20日の大規模集会を中止したが、一部市民は強硬実施した。
・行方は流動的だが、イラン政局は重大な局面を迎えている。
・革命から20年を経て、イラン国内の現支配体制への不満の蓄積がうかがえる。
・支配者層内でも保守派vs改革派、世代間の対立等があるとされ、状況は複雑だ。

◆イスラエル首相、パレスチナ国家樹立容認(14日)☆
・ネタニヤフ首相は、条件付きでパレスチナ国家樹立を認める方針を発表した。
・条件としてパレスチナの非武装、エルサレムのイスラエル帰属などを挙げた。
・パレスチナ難民帰還の実質拒否なども主張している。
・イスラエル首相が国家樹立を認めたのは初めて。
・背景には米国の圧力があった模様。米政府は歓迎の声明を発表した。
・ただ条件は、パレスチナにとって受け入れられるものとは言い難い。
・パレスチナ和平は、これで前進するほど情勢は単純ではない。
・ただ発言が一つの節目になる可能性はある。米関係者は「ルビコン川」と表現した。

◆BRICs首脳が初の会議(16日)
・中ロ印ブラジルの首脳がロシア中部で初の非公式首脳会議を開いた。
・声明で多極的な世界秩序支持を表明。米1極主義をけん制した。
・現地で開催した上海協力機構首脳会議に合わせて開催した。

◆EU、バローゾ委員長再任(18日)
・EUは18-19日の首脳会議で、バローゾ欧州委員長の再任を内定した。
・任期は2014年まで。
・委員長はポルトガル元首相から2004年に就任。中道右派。
・委員長は行政機関のトップとしてEUの顔を務める。

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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【金融規制】 金融危機から10カ月を経て、米国と欧州の新しい金融規制案が発表された。規制強化では一致するが、それを「いかなる方法で」「どこまで」となると関係者の意見は対立する。議論の行方は曲折が予想される。

 【イラン抗議活動の読み方】 イランで改革派市民らの抗議活動が続いている。大統領選でのアハマディネジャド大統領当選との発表に対し、市民らが連日デモを展開。その規模は数十万人から百万人と大規模。場所も首都テヘランのみならず各主要都市に及び、国民の不満の鬱積をうかがわせるに十分だ。
 最高指導者ハメネイ師は19日になって選挙の正当性と抗議活動中止を求める声明を発表。抗議を力で押さえつける姿勢を鮮明にした。これで当面の活動は終息する可能性もあるが、潜在的な問題解決にはほど遠い。
 抗議活動の背後には改革派だけでなく、前回の大統領選で敗北したラフサンジャニ元大統領ら穏健保守派も存在すると指摘される。革命から20年を経て、支配階級内でも利害対立が大きくなっている。
 20年前の宗教革命以降、イランから伝わってくる情報は、political correct(宗教的に正しいこと)ならぬreligious correct(宗教的に正しいこと)な建前と、本音の乖離が著しい。ハメネイ師ら宗教指導者が何を考えているか、政治の奥の院で何が起きているかなど、不明なことは多い。
 12日の大統領選は高投票率で、国民の政治への関心の高さを垣間見させた。それに続く抗議活動のうねりは、不満の鬱積と変化への期待を反映している。
 少なくとも、次の変化へのマグマが蓄積しているのは間違いないだろう。

 
◎今週の注目: 2009年6月21-27日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・イラン情勢はどんな変化があってもおかしくない。予断なく見守りたい。

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2009年6月13日 (土)

◆世界経済定点観測 2009.6.13

 世界経済は最悪期を脱したとの期待が高まっているが、依然先行きは不透明。株価は3月を底に上向きにあるが、一方で財政赤字の拡大など新たな問題も出てきている。足元のトピックを挙げる。

▼株価回復
 株価の回復が目立つ。世界の株価は3月頃を底に上昇。特に新興国はロシアが底から2倍増、中国やインドは約5割上昇した。日米欧は3月から2-4割上昇し、昨年末のレベルに回復。日経平均は1万円を回復した。
 世界経済の悪化に歯止めがかかり、底割れリスクが小さくなったという見方が背景。金融危機後安全資産に逃避していた資金が、再びリスク資産に戻ってきた。
 ただ経済悪化歯止めは期待先行の面がある。株価の上昇スピードは急激で、反動の懸念も指摘される。

▼商品価格上昇
 NY原油は1バレルあたり70ドルを回復。年初から2倍になった。金や穀物などの価格も上昇している。資金は株だけでなく商品にも流れている格好だ。

▼経済指標
 FRBは10日地区連銀報告を発表。米国の景気は一部に底入れ感もあるものの、なお悪化が続いていると判断した。5月の失業率は9.4%に上昇した。

▼産業支援
 クライスラーは10日、主要資産を新会社に譲渡する手続きを完了したと発表した。一部債権者などの差止め請求を裁判所が退けた。これにより、破産申請時に描いた法の保護の下での再建を進められる。同じく破産法申請したGMも、同様の手続きを進めている。
 米自動車部品産業は、近く総額100億ドルの支援策を政府に求める。同業界はGM破綻などの影響で経営困難に直面している。
 米国や欧州など各国政府は経済危機以降、様々な形で産業を支援してきた。この動きは、形を変えて続いている。

▼金融不安の推移
 米政府は9日、ゴールドマン・サックスなど金融機関10社の公的資金の前倒し返済を容認した。当局は昨年10月以降、主要金融機関に事実上強制的に、一律で公的金融機関を投入した。返済は、正常化に向けた動きの一歩となる。
 ただ、欧米金融機関の損失見込みはIMF予測で4兆ドル。処理済は半分にも届いていない。
 また、財務体質の比較的いい金融機関と悪い機関の格差は一層鮮明になる。今後、また形を変えて危機が表面化する可能性は少なくない。
 
▼財政悪化
 各国は景気刺激のため財政支出を拡大。財政は急速に悪化している。2009年の財政赤字の対GDP比は、日米英が10%以上、フランスは6%程度に膨らむ見込み。この影響で長期金利が上昇、経済回復に悪影響を与える懸念がある。将来のインフレ懸念も消えない。
 12-13日にイタリアで開催したG8の財務相会合では、経済危機後の財政改善など出口作戦も議論した。

2009.6.13
 

2009年24号(6.7-13 通算468号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月7-13日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆WHO、新型インフルの世界的大流行宣言(11日)☆☆
・WHOは警戒水準を最高度の6に引き上げ、世界的大流行を宣言した。
・パンデミック宣言は1968年の香港風邪以来41年ぶり。
・米国やメキシコに加え、南半球で感染拡大が始まったと判断した。
・ただ弱毒性のため、渡航制限などの勧告は出さない。
・新型インフルは4月から拡大。74カ国で約3万人の感染者、140人の死者が出た。

◆安保理が北朝鮮制裁決議(12日)☆
・国連安保理は核実験を実施した北朝鮮への決議を採択した。
・金融制裁、武器禁輸の拡大、船舶への貨物検査強化などを盛り込んだ。
・北朝鮮は13日声明を発表。制裁に激しく反発した。
・この中で核放棄を拒否。核開発推進を明言した。
・3度目の核実験実施の動きがある、との情報もある。
・緊張の高まりは必至。対話もしばらくは望めない情勢。
・米国務長官は、北朝鮮のテロ支援国家再指定を検討すると述べた。

◆イラン大統領選(12日)☆
・大統領選が12日実施。
・内務省は13日、アハマディネジャド大統領が60%以上を獲得と発表した。
・大統領は同日、勝利宣言した。
・改革派のムサビ元首相は選挙に不正があったとし、敗北を認めていない。
・大統領選は保守派の大統領と改革派の元首相の事実上の一騎打ち。
・選挙戦はテレビ討論などで盛り上がり、投票率は高かった。
・大統領は対米強硬路線を掲げ、核開発を急速に推進してきた。
・地域大国イラン大統領選の結果は、中東情勢にも影響が大きい。

◆米金融機関10社の公的資金返済を容認(9日)☆
・米政府は大手金融機関10社の公的資金前倒し返済を承認した。
・ゴールドマン・サックスなど10社で総額は680億ドル。
・米政府は昨年10月以降、大手金融に公的資金を一律注入していた。
・金融システムの正常化に向けた一歩となる。
・ただ、経営健全機関と脆弱機関の格差が一層鮮明になる。
・FRBは8日、シティなど10社が提出した資金増強計画を事実上承認した。
・米当局は5月、金融機関の資産査定を実施。10社に資本増強を求めた。

◆欧州議会選 ☆
・欧州議会選がEU27カ国で4-7日に実施された。
・中道右派の欧州人民党グループが最大議席を維持した。
・第2勢力の中道左派・社会主義グループは後退した
・移民排斥を訴える極右政党が議席を伸ばした。
・投票率は43%で、1979年以来の低水準。
・欧州議会はEUの政策決定権の一部を持つ。選挙は欧州の政治潮流を反映する。
・結果からは、EU熱の低下、移民規制の声の高まりなどが読み取れる。

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◎寸評:of the Week
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 【核問題】 国連が北朝鮮制裁の決議を採択。これに北朝鮮が反発し、核開発推進を表明した。イラン大統領選では強硬派のアハマデネジャド大統領勝利のに落ち着きそう。核拡散問題は、少なくとも短期的には悪い方向に進んだ。

 【新型インフル】 WHOが新型インフルエンザのパンデミック宣言をした。教毒性出ないため、発症当初よりは緊張感が低下した感があるが、今後数年は季節ごとに繰り返し流行が続きそう。1968年の香港カゼでは100万人が死亡したとされる。

◎今週の注目: 2009年6月14-20日
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・北朝鮮が国連制裁を受けてどう動くか。
・イラン大統領選ではアハマディネジャド大統領の当選が正式発表されそう。開票などを巡り混乱が生じる可能性がある。

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2009年6月 7日 (日)

◆天安門事件20年の中国と世界 2009.6.6

 中国が学生らの民主化運動を弾圧した天安門事件から20年が過ぎた。事件後の中国は大きく混乱、将来展望を危ぶむ見方も少なくなかった。しかし20年後の現実を描写すれば、経済成長がすべての矛盾を飲み込んで推移している、という状況だ。

 事件後、欧米は中国を厳しく批判。中国は国政的に孤立した。事件からほどない1989年夏‐秋には東欧革命が勃発。2年後にはソ連が崩壊し、社会主義陣営は瓦解した。

 中国も政治的な正統性なしに国を支配できるかを問われ、社会主義的市場経済という矛盾は持続できないとの指摘も多かった。

 しかし、政治的には強硬姿勢を維持しながら経済成長を優先させる政策が上手く作用。その後年率10%前後の経済成長を達成した。いまや中国は「世界の工場」のみならず「世界の市場」に成長し、GDPは世界3位、貿易は世界最大。世界経済は中国を抜きに語れなくなった。

 米国や欧州はその後も節目節目で、人権軽視批判や民主化要求を繰り返す。それでももはや、中国の体制そのものを否定したり、中国の存在を無視することはできなくなった。特に昨年の金融危機後、世界の関心が民主主義より安定に向かい、中国批判や中国警戒の声は一層後退した感がある。

 米国のクリントン国務長官は20周年をにらみ、民主化活動家の釈放などを求めた。しかし、同じ時期にガイトナー財務長官が中国を訪問。経済協力促進を打ち出した。米国の対中姿勢は、明らかに民主化・人権要求より協調強化に傾いている。

 中国国民の生活は20年で一変した。経済開発は沿岸部から徐々に内陸に浸透。国民1人当たりの所得は、20年で10倍になった。

 もちろん国の抜本的な課題は変わらない。民主化は限定的で、1党独裁体制は変わらない。正統性に疑問が持たれる体制が続き、社会主義と市場経済共存の矛盾は消えない。

 非民主主義社会では、法による支配の確立も自ずから限定的になる。国内では格差拡大、汚職、環境汚染などが深刻だ。

 それでも、今のところ人々の不満は限定的なレベルに押さえ込まれている。経済成長が政治や社会の矛盾を飲みこみ、爆発を防いでいる格好だ。

 世界の枠組みが変わる中、20年後はおろか、10年先の予想も立ちにくい。それでも、「天安門事件から20年」の中国は、事件当時の悲観シナリオを回避し、最も楽観なシナリオに近い状況で推移してきた。比較的恵まれた立ち位置から、次の20年を臨める立場にいる。

(2009.6.6)

◆GM破産法申請の意味するもの 2009.6.6

米GMが連邦破産法11条の適用を申請した。20世紀を代表する企業の破産申請は、経済的のみならず社会・文化的にも影響甚大。資本主義の在り方が変わる中で、確実に一つの時代の終わりを象徴する。ただ、企業・組織の視点からみると、世の評価は「変われない組織は滅びる」という1点に集中している。

▼再建計画
 GMの再建計画を一言で言えば、不採算部門を切り捨て、縮小均衡による再建を目指すもの。10あったブランドはシボレーなど4つに集約。米国内の工場は08年末の47から33程度に縮小し、ディーラーも大幅に削減する。
 米国内の工場労働者は現在の6万人から約2万人削減。生産量は約3割削減して600万台に減らす計画だ。2007年まで世界最大だった同社は、3-5位グループで再建を目指す。

▼法的保護と政府支援
 GMの債権者や労働組合などとの権利関係は極めて複雑で、事前の交渉では調整がつかなかった。このため連邦破産法の保護の下で再建を目指すことになった。
 GMは8月末までに新会社への資産譲渡など破産法手続きを完了。6-18カ月以内に再上場を目指す。
 米政府は再建を全面的に支援する方針を表明。300億ドルの追加融資を提供し、
株式の約6割(カナダ政府と合わせて約7割)を保有し実質国有化する。オバマ大統領は「古いGMが終わり新しいGMが始まる」と強調した。

▼関係者の反応
 市場の反応は比較的冷静だった。すでに過去数週間の大詰め交渉で、破産法申請不可避の情勢になっており、GM株は前週75セントまで落ち込んでいた。市場はGM破産をすでに織り込んでおり、発表後NY株は上昇した。
 市民や従業員、関係者の反応も予想された範囲内だった。デトロイトの市民やGM従業員は口ぐちに残念と語ったが、抗議行動などはなし。
 部品メーカーなど関係産業も、政府による救済策などが準備されたこともあってパニックに陥るようなことはなかった。

▼GMの100年:成功体験~時代に乗り遅れ
 1908年創業のGMは、20世紀の米国を代表する企業だった。中興の祖と言われたアルフレッド・スローン氏の下で近代経営を確立。1931年にフォードを抜いて世界1の自動車メーカーになり、以後70年代までは世界最大かつ最も優れたメーカーであり続けた。同社CEOからアイゼンハワー政権の国防長官に就任したウイルソン氏の「GMにいいことは米国にいいこと。逆も真なり」という発言も、GMが米国のシンボルであったことを反映している。
 しかし1970年代以降は時代の波に乗り遅れた。時代が求める低燃費の小型車の開発では日本エーカーなどの後塵を拝した。1980年代にはデータ事業など多角化に走ったが、失敗した。
 1970-80年代の危機の際には、米政府がなりふり構わぬ態度でGMなど自動車業界救済に動いた。すそ野の広い自動車業界を潰すことは、当時選択肢として政治的に考えられなかった。
 その後GMは90年代‐2000年代、低燃費車の開発よりも利益率の高い大型車の事業拡大に傾斜。70-80年代の救済で与えられた時間的猶予を生かすことはできなかった。2006-07年の原油価格高騰や金融危機による消費落ち込みで大型車販売が激減すると、経営が行き詰った。

▼レガシーコスト 
 もう一つGMの重荷になったのが、従業員やOBへの医療保険などいわゆる「レガシーコスト」だ。公的医療保険が全国民をカバーしない米国において、GMの「企業による保険」は従業員の福祉と利益を高める20世紀の成功モデルになった。

 しかし何十年もたって、負担は一方的に膨らんだ。近年は米国内のGM社員9万に対し、OBや家族は数10万人。自動車1台あたり、1000ドルのレガシーコストがかかるようになり、競争力は大いに低下した。情勢が変化しても制度変更ができず、耐えきれない負担になったわけだ。

▼変われないツケ
 破産法申請に対するメディアや関係者の評価は比較的一致している。変化に対応することができない組織は滅びるということ。そして、GMが過去の成功体験にとらわれ、自己改革ができなかったという分析だ。
 複雑かつ多岐な利害関係者を抱える企業が、過去を捨て、多大なコストを甘受して変身することは容易ではない。しかし、GEやIBMはそれができた。フォードは破産法適用に追い込まれていない。GMの経営に問題があったことは明らかだ。
 1980年代には政治的に自動車業界を潰すことはできなかった。しかし、経済は製造業中心からITやサービス業中心に変化した。「大きすぎて潰せない」(too big to fail)も最早通用しない。破産法申請は、この観点からも時代の終わりを象徴する。

▼再建の行方
 再建の行方は必ずしも楽観的ではない。
 第1に再建は、スピードとの戦い。まず60-90日で破産法手続きを済ませる必要がある。新会社に移す資産・事業と清算会社に残す資産・事業の分類だけでも大変。債権者や組合など権利関係者との調整も、破産法保護下といえ容易ではない。
 目先の自動車販売がどうなるか、将来に向けて売れる車を作れるかなども懸念材料だ。オバマ政権により実質解任されたワゴナー会長は在任時、「破産法適用になれば、消費者のGM離れが起きる」と言っていた。その懸念が当たれば影響は深刻だ。
 米産業の年表的には大きな節目を超えたが、実社会・実経済への影響という面では、正念場はこれからだ。

(2009.6.6)

2009年23号(6.1.6 通算467号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月1-6日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆GMが破産法適用申請(1日)☆☆☆
・米GMは連邦破産法11条の適用をNY破産裁判所に申請した。
・米政府が実質国有化。規模を縮小した上で、法の保護下で再生を図る。
・資産規模は823億ドル、負債は1728億ドルで、製造業の破産では史上最大。
・再建案では米加政府が新生GM株の7割を保有。396億ドルを追加融資する。
・ブランド数は10→4に集約。工場やディーラーも大幅集約。生産規模は3割縮小する。
・その上で6-18ヶ月で再上場する「スピード再建」を目指す。
・GMは低燃費車開発の遅れや重い年金負担などで競争力低下。
・世界的な不況で資金繰りがつかなくなり、自力再建を断念した。
・GMは20世紀の米国を代表する企業。その破産は産業史に特記される。
・米国の社会・文化へのインパクトも大きい。

◆天安門事件20年、抗議行動は封じ込め(4日) ☆
・1989年の天安門事件から20年を経過した。
・中国当局は天安門周辺に警戒態勢を敷き、抗議行動などを封じ込めた。
・香港では15万人が集まり犠牲者を悼む集会を開催した。
・ただ国際社会の関心は概して低調。チベット問題時のような講義の広がりもない。
・金融危機後の世界の関心は人権より安定に集中。そうした時流も反映した。
・米国務長官は民主活動家釈放を要求したが、中国当局は内政干渉と批判した。

◆北朝鮮総書記が3男後継指名の情報(1日)☆
・金正日総書記が、三男の正雲氏を後継者に指名したとの情報が流れた。
・韓国の国家情報院が1日、国会に説明。韓国のメディアなどが伝えた。
・米高官からも同様の情報が流れている。
・後継指名は先月25日の核実験直後と言われる。
・背後には総書記の健康悪化が指摘される。
・同国内の権力構造についても情報が交錯。長男・正夫氏の中国亡命情報もある。
・指導者交代を含め、いつ重大変化があってもおかしくない。

◆米大統領がカイロ演説、イスラム社会に融和訴え(4日)☆
・オバマ大統領が演説。イスラム社会との融和を訴えた。
・イラク戦争で亀裂が深まった米とイスラム社会の新たな始まりを求めると強調した。
(to seek a new beginning between the United States and Muslims)
・パレスチナ問題は、2国家共存が唯一の解決策と明言した。
・イランには核開発容認しないと強調する一方、対話の前進を呼びかけた。
・4月のトルコでの演説をさらに発展させた内容。
・演説は14ヶ国語に翻訳され、イスラム社会に広く送信された。
・今後繰り返し引用される節目の演説になる可能性がある。

◆原油、穀物価格が上昇
・原油や穀物の価格が上昇している。
・NY原油先物は70ドルを記録。年初から2倍の水準になった。
・大豆やトウモロコシも年初を底に上昇に転じている。
・世界経済はなお下降しているが、下げ止まりの兆候も出てきた。
・こうした中で投機資金が商品市場に流入。価格を押し上げている。

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  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【節目の出来事】 節目のニュースが相次いだ。20世紀を代表する企業だった米GMが

破産法適用を申請。2008年9月のリーマン・ショックの時ほどではないが、世界経済の

風景は1週間で変わった。オバマ大統領のカイロ演説は、米欧とイスラム社会の関係に

一石を投げかけるもの。天安門事件20周年は、世界と中国の変化を様々な角度から印象

付けた。北朝鮮の後継指名情報も、時代の節目になり得る。

 【オバマのカイロ演説】 オバマ米大統領が訪問先のカイロで演説。イスラム世界と

の融和を訴えた。
 55分に及んだ演説では信仰と自由など相互理解の根底にかかわるものから、パレスチ

ナ問題、対イラン関係など具体的な課題まで言及。世界にとっての大きな課題である「

イスラムとの共存」に向けて、強い意欲を示した。
 反応はもちろん様々だ。パレスチナのアッバス議長が歓迎の意を示した一方、2国共

存に後ろ向きのイスラエル・ネタニヤフ政権は黙殺の構え。アルカイダのビンラディン

は、演説を前にアラブのメディアにビデオを送り「ブッシュ政権と変わらない」と批判

した。
 それでもアラブ社会の反応は概して好意的だ。相互理解と尊重を全面に打ち出したオ

バマ演説は、米国の正義と米国流民主主義を押し付けたブッシュ時代とは明らかに違う

。そうした変化が伝わった格好だ。
 もちろん理想先行で具体的展望がないとの批判もある。期待が失望に変わるリスクは

否定できない。
 それでも、演説が世界のムードを変え、「何か変わるかもしれない」という期待感を

抱かせたのは事実。プラハでの「核廃絶演説」が核問題に新たな議論をわき起こしたの

と同様に、「カイロ演説」がイスラムとの共存について新たな議論のスタートになる可

能性はある。
 演説全文は以下のメルアド参照。
http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Remarks-by-the-President-at-Cairo-

University-6-04-09/

◎今週の注目: 2009年6月6-14日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・北朝鮮が実施した核実験に関する国連安保理の審議が大詰め。近く決議が出そう。
・イラン大統領選が6月12日に行われる。
・FRBが大手金融機関からの公的資金返済を承認する。昨年の金融危機の際に一律投入

したが、先の資産査定結果などを経て健全機関からの返済を受け入れる。金融機関の格

差が明確になる。

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2009年5月31日 (日)

2009年22号(5.25-31 通算465号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年5月25-31日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆北朝鮮が核実験(25日)☆
・北朝鮮が地下核実験を実施。成功したと発表した。
・2006年10月に続く2回目。核抑止力による自衛を強調した。
・同国は続いて短距離ミサイル発射を連続で実施した。
・危機演出で国際社会との交渉を有利にする狙いとみられる。
・核拡散を助長しかねない動きで、国際社会は警戒を強めている。
・国連安保理は対応を協議。日米などは制裁を主張している。

◆GM、破産法適用ほぼ確実に ☆
・米GM救済の大詰め調整が進展。連邦破産法の適用が濃厚になった。
・債権者やUAWとの交渉は、一部で決裂。
・オバマ大統領は30日、政府が過半を出資すると明言した。
・大統領は1日に会見を予定。GMのヘンダーソンCEOも会見する。
・GM株は29日、75セントまで下落。1999年の10分の1以下に下落した。
・独子会社オペルは30日、カナダの部品大手マグナへの売却が決まった。
・独政府などが15億ユーロのつなぎ融資を実施する。

◆米大統領、イスラエルに入植停止を要求(28日)
・オバマ大統領はパレスチナのアッバス議長と会談した。
・パレスチナとイスラエルの2国家共存を目指す姿勢を確認。
・会談後、イスラエルにパレスチナでの入植停止を要求した。
・大統領は6月4日から中東を訪問する。

◆モンゴル大統領選、元首相が勝利(24日)
・大統領選が投票され、第2党民主党のエルベグドルジ元首相が勝利した。
・第1党人民革命党のエンフバヤル現大統領は敗北を認めた。
・汚職や開発優先政策への国民の不満が出た形。
・人民革命党と民主党は大連立を組んでいる。
・同国では過去大統領選や総選挙時に混乱が発生したが、今回は平静だった。

◆パキスタンで爆弾テロ(27日)
・第2の都市のラホールで大規模な爆弾テロがあり、30人以上が死亡した。
・情報機関や警察を狙ったテロとみられる。
・イスラム過激派掃討作戦への報復の可能性がある。
・同国は今年に入りアフガン国境地域での掃討を強化。
・情勢不安が拡大している。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【北朝鮮の核問題】 北朝鮮が地下核実験を実施した。米国などとの交渉の展開や国内体制引き締めなどを狙った瀬戸際作戦の一環とみられるが、世界にとって核拡散が引き続き深刻な問題であることを改めて見せつけた。
 オバマ大統領は先のプラハでの演説で、核廃止に向けて意欲を示したばかり。ロシアとの新たな核軍縮交渉も始動させた。しかし、現実の厳しさを改めて突き付けられた格好だ。
 現在核問題が焦点になっている北朝鮮、イランはいずれも先行きを読みにくい国。核問題の推移は、多大な不確実性を踏まえながら観察する必要がある。

 【GM破産】 米GMの救済は、連邦破産法11条の適用が濃厚になり、市場や関係者もすでにそれを前提に動き始めた。大企業の破綻はこれまでもあったが、米国を象徴する企業の破綻は、経済面のみならず社会・文化的影響も大きい。6月1日の発表の後にどんな動きが表面化してくるか。歴史的な局面になる。

 【公的資金】 金融危機以来、公的資金による企業の救済が相次いでいる。米欧の金融機関はもちろん、事業会社も対象に広がった。米クライスラーやGM、独オペル、日本の電機、自動車メーカーなど枚挙にいとまがない。
 こうした公的資金が、企業の公正な競争をゆがめているという批判も多い。ただ、議論の整理がす進むという段階にはまだ至ってない。

◎今週の注目: 2009年6月1-7日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・GMの救済を巡り、オバマ大統領とヘンダーソンCEOが1日に会見する。連邦破産法適用を申請する可能性が大きい。米産業史にとって、歴史的な節目になる。
・欧州議会選の投票がEU27カ国で4日から始まる。各国政治への直接の影響は限定的だが、欧州政治全体の行方を映す選挙。欧州統合への影響も無視できない。
・オバマ米大統領が4日から中東を訪問する。パレスチナ問題などを協議する。カイロでは演説、イスラム社会へのメッセージを送る。
・ガイトナー米財務長官が1日から中国訪問。
・中国は4日、天安門事件20周年を迎える。

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2009年5月26日 (火)

2009年21号(5.18-24 通算465号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年5月18-24日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆スリランカの内戦終結(18日)☆☆
・政府はタミル人武装勢力LTTE(解放のトラ)を制圧。戦闘終結を宣言した。
・LTTE最高指導者のブラバカン議長は戦闘で死亡した。
・25年以上に及んだスリランカ内戦は、政府軍勝利で終結した。
・内戦は多数派シンハラ人とタミル人が対立。LTTEは一時国土の3割を実効支配した。
・いったん成立した和平も崩壊。LTTEは過激色を強め、米欧はテロ組織に指定した。
・内戦終結で、焦点は国民の融和と経済復興に移る。
・ただしこりは大きく、安定・復興への道は容易ではない。

◆韓国前大統領が自殺(23日)☆
・盧武鉉前大統領が、同国南東部の自宅の裏山で転落死した。
・遺書などが発見され、自殺とみられる。
・盧氏は2003-08年大統領。革新系政治家として旧体制打破などに努めた。
・退任後に親族の不正資金疑惑が発覚。先月30日に自身が検察に事情聴取された。
・韓国では大統領経験者が5代連続で、自身や身内の疑惑が発覚した。
・盧氏の死を、同国政治風土の問題と関連付けてみる意見が多い。

◆グアンタナモ閉鎖、議会が異義(20日)☆
・上院はグアンタナモ収容施設閉鎖の必要予算を認めない法案を可決した。
・収容施設はキューバの米海軍基地内にあり、オバマ大統領は閉鎖を表明していた。
・しかし上院は米本土に移送すればテロの危機が高まるとし、90対6で法案可決した。
・与党民主党も多くの議員が賛成。大統領にとっては打撃になった。
・同収容施設はアフガンやイラクの捕虜を収容している。
・捕虜への虐待が発覚。ブッシュ政権下の人権侵害の象徴となっていた。

◆新型インフル患者1万人超、警戒引上げは見送り
・新型インフルエンザは24日までに46カ国に拡大、患者は1万2000人以上。
・ただ毒性は弱く深刻な症状は比較的少ない。
・WHOは警戒水準を据え置き。最高の6への切り上げは見送った。

◆イラクで爆弾テロ(20日)
・バクダッドでテロがあり、40人以上が死亡。70人超が負傷した。
・同国では一時の治安改善→先月以来シーア派住民らを狙ったテロが相次ぐ。
・6月末には米軍が都市部から完全撤退する予定。
・治安維持の正念場を迎えている。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
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  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【スリランカ内戦終結】 4半世紀続いたスリランカ内戦が「終結」した。反政府武装勢力のタミル・イーラム解放のトラ(LTTE)の最後の拠点が陥落。最高指導者のブラバカン議長は死亡した。ラジャパクサ大統領は勝利宣言をした。
 同国内戦はもともと、多数派シンハラ人の優遇に対する少数派タミル人の抵抗が発端。1980年代に内戦が勃発。LTTEは一時国土の3分の1を実効支配した。
 その後2000年にノルウェーの仲介でいったんは停戦が成立したが、和平条件などを巡り決裂。米国はLTTEを国際テロ組織に指定した。ここ2、3年は政府軍が攻勢を強め、今回の制圧につながった。
 7万人の死者を出した内戦の終結は朗報だ。しかし「終戦」で国民の融和や経済復興が一気に進むと期待できるほど、情勢は甘くない。
 両民族の対立の根は深い。仏教徒が多いシンハラ人に対し、タミル人はヒンドゥー教徒が多数。英国のインド・スリランカ支配時代には、植民地支配に抵抗するシンダラ人に対し、タミル人が支配に協力した歴史がある。
 ラジャパクサ大統領は19日の議会演説で、シンハラ語とタミル語を使って民族の融和を強調した。しかし、タミル人の間には「2級市民として差別されている」という意識は消えない。
 問題はスリランカのみにとどまらない。タミル人はインド南部などに多数の同胞を抱え、内政時代にも海外からの資金支援を受けていた。スリランカ国内にとらわれず、海外同胞との連携を目指す「大タミル構想」も消えない。1991年のラジブ・ガンディー元インド首相の暗殺もLTTEの関与が指摘される。
 今後もひと揺れもフタ揺れもあると見るのが自然だろう。

 
 【グアンタナモ閉鎖】 オバマ大統領が熱意を示すキューバ・グアンタナモ海軍基地内の収容施設閉鎖に対し、議会が厳しい一撃を与えた。上院は20日、必要予算を認めない決議を90対6の圧倒的多数で可決した。 
 閉鎖後に容疑者をどこに運ぶかはまだ未定。米国内に移送すればテロの危険性が高まるという指摘があるし、国民も感情的に反発しそうだ。
 オバマ大統領は就任直後、事後処理のめどが立っていないのにもかかわらず1年内の閉鎖を表明した。同収容施設は捕虜虐待などが発覚。ブッシュ時代の人権侵害の象徴となっていた。それを閉鎖することで、時代の変化を印象付ける狙いがあった。しかしいざ実施の段階にきて、具体的計画作りが遅れていたことのツケが回ってきた格好だ。
 大統領は21日の演説で米国内への移送も含めた対応に国民の理解を求めた。これに対しチェイニー前副大統領がオバマ政権の政策を公然と批判。急速に政治問題化している。

◎今週の注目: 2009年5月25-31日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・GMが近く連邦破産法を申請するとの報道が流れている。米政府の定めた期限は6月1日。大詰めの動きがある。

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2009年5月17日 (日)

◆インド総選挙の読み方 2009.5.17

 インドの下院選結果が発表され、国民会議派中心の与党連合が勝利した。事前予想を大幅に上回る快勝。国民は現政権の改革路線と穏健スタンスを強く支持した形だ。

▼インドの政治地図
 多様な地域・民族・宗教を抱えるインドの政治・政党地図は複雑だが、現在の構図を単純化すれば次の通りだ。

1.国民会議派(the Congress Party)中心の与党連合
 中道左派。会議派はインド独立時の政治運動の中心で、ネルー首相以来70年代までインド政治を事実上支配。冷戦時は社会主義的な傾向が強かったが、冷戦後は経済改革路線に転換した。世俗政党で、支持基盤は各層に広く及ぶ。ネルー→インディラ・ガンジー→ラジブ・ガンジー各元首相と続くガンジー家の存在が無視できない。
 連立与党は地方政党など。
 2004年からのシン政権は経済改革路線を推進。国内政治や外交では現実的・穏健的な政策をとってきた。

2.インド人民党(Bharatiya Janata Party=BJP)中心の野党連合
 中道右派。BJPはヒンズー教至上主義を掲げ、外交的には国家利益を前面に打ち出す傾向が強い。経済は改革路線。前身の政党は70年代、事実上の1党独裁だった国民会議派の腐敗体質を批判する中から誕生。98-2004年には政権を担当した。この際に核実験を実施した。

3.共産党など第3勢力
 格差の是正を重視。共産党は西ベンガル州やケララ州を金城湯池としてきた。
 2004-2009年のシン政権下では、キャスティングボードを握り存在感を発揮してきた。

4.その他少数政党

▼政権基盤強化
 与党連合は選挙前の222から260議席に伸長。会議派は150→206議席と、過去18年で最大の議席を獲得した。逆にBNPは130→116議席に後退。共産党は62→24議席に大幅減少した。
 
 与党はこれまで共産党など第3勢力の協力を得なければ政策運営が難しかったが、今回の勝利で政権基盤が大幅強化された。シン首相は5年の任期満了の後に再選されるが、これはネルー首相以来だ。

▼選挙の争点
 争点の一つが経済問題。好調だったインド経済も、金融危機の影響で先行き不透明感が漂い始めた。格差拡大なも重要な問題だ。
 
 この経済については、与野党とも改革推進を主張。根本的な政策対立にはならなかった。共産党などは格差是正を前面に打ち出した。

 一方、治安や安全保障問で人民党は昨年11月のムンバイのテロの対応が生ぬるかったと政府を批判。対パキスタンなどの外交で断固たる対応を主張した。国内ではヒンズー教文化や生活尊重を訴えた(ただし表向き過激な事を言ったわけではない)。

 これに対しシン首相は、テロ事件では適切な対応だったと弁護する一方、外交面では現実的な対応を強調。宗教問題では「政府は世俗主義に立つべきだ」とBNPを批判した。

▼経済改革・現実路線支持 
 選挙結果を見る限り、国民は格差是正に傾斜することなく、経済改革路線による成長維持を支持した。また外交・治安では与党の現実路線を支持した格好だ。政治家への信頼という観点では、シン首相の実績が信認されたと見ていいだろう。もちろん金融危機の悪影響がまだ限定的にとどまっていることも、与党に幸運に作用した。

 インドは21世紀に入って6-8%の高成長を維持。社会の発展は著しい(発展は今年のアカデミー賞受賞作・Slumdog Millionaire によく映し出されている)。現時点では、シン流の改革路線が支持され、推進力を与えられた。

▼注目点
 もちろん、難問は山積している。世界不況の影響がどの程度で収まるかは不明。予想以上の経済悪化なら、せっかく支持された改革路線もとん挫しかねない。
 外交面では隣国のパキスタン、スリランカの情勢悪化が深刻。それは過激派の台頭やテロの拡大に結び付きかねず、インドにとってもアキレス腱だ。 
 信認高いシン首相も76歳で、5年の任期を務め終えると見る人は少ない。ネルー・ガンジー王朝4代目のラフル・ガンジー氏(ソニア・ガンジー会議派総裁の長男)の入閣、将来の首相就任を予想する声も早くも出ている。

2009.5.17

2009年20号(5.10-17 通算464号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年5月10-17日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆インド総選挙、与党が勝利(16日)☆
・下院選結果が開票され、国民会議派中心の連立与党が勝利した。
・与党は38増の260議席(定員545)と事前予想を上回る議席を得た。
・BJP中心の野党連合は後退。共産党も議席を大幅に減らした。
・会議派のガンジー総裁はシン首相の続投を表明。連立協議に入った。
・穏健な経済改革・成長路線を進める与党の政策が支持された格好だ。
・シン政権の政治基盤は強化される。
・経済改革がさらに進む可能性が大きく、ビジネス界は歓迎表明した。
・選挙は4月16-5月13日まで地域ごとに5回に分けて投票された。

◆ミャンマーがスー・チー氏を起訴(13日)☆
・軍事政権は民主化指導者アウン・サン・スー・チーさんを起訴した。
・自宅軟禁の条件を守らず、国家転覆防御法に違反したとの主張。
・スーチーさん宅に前週米国人男性が侵入。その時の対応が問題とする。
・現在の自宅軟禁は今月末に期限を迎えることになっていた。
・事件を口実に軟禁期間延長を目指す狙いとの見方が強い。
・民主化勢力は反発。欧米諸国も軍事政権を強く批判した。
・ミャンマーでは来年、総選挙を実施の予定。
・公正な選挙なら、野党勢力の勝利は確実との見方が多い。

◆米がデリバティブ規制(13日)
・米政府はデリバティブ規制の改革案を議会に提出した。
・店頭ディリバティブの決算を一元化。その機関を当局が監督する。
・金融機関には資本規制を導入する。
・自由取引重視から規制に方向転換。欧州など各国と協調を目指す。
・ただし、具体的方法については詰めるべき問題も多い。

◆スリランカ、戦闘被害が深刻に
・スリランカ内戦の民間人被害が拡大。国際社会は重大懸念を表明した。
・国連安保理は13日懸念を表明。米大統領も戦闘停止などを求めた。
・スリランカ政府軍は過激派LTTEの最後の拠点に総攻撃中。
・これにLTTEが民間人を人間の盾に取り、抵抗している状況だ。
・ただし、国際社会もLTTEをテロ組織に認定。政府軍の制圧は容認している。
   
◆ローマ法王が中東訪問(15日)
・法王は8-15日にヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区を訪問した。
・各地で聖地を回るとともに、政治指導者らと会談した。
・イスラエルではパレスチナとの2国家共存を呼び掛けた。
・ただネタニヤフ首相は2国家共存に否定的。
・カトリックによる過去のユダヤ人迫害についても一部から批判が出た。

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◎寸評:of the Week
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 【一進一体】 世界経済は下降をたどる中で、今後の方向について好材料、悪材料が交錯する状態が続く。ユーロ圏の1-3月GDPは前期比2.5%、年率10%の減少。企業は人員削減やリストラを加速する。一方で、景況の先行指数などは改善の傾向もある。米GMの救済など大きな材料も控えている。

 【人間の盾】 スリランカ政府による反政府武装組織、タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)掃討作戦が最終局面。ここでLTTEが人民を人質に取り、多大な被害が出ている。パキスタンのアフガニスタン国境地域でも、米国や政府の掃討作戦に際し、過激派(タリバン)が人民を人質に取っている。紛争の残酷さを改めて思い知る。

 【インフルエンザ】 新型インフルエンザは引き続き拡大を続け、40カ国、8000人以上が確認された。ただし弱毒性ということもあり、ニュースとしての騒ぎは一段落した感じだ。

◎今週の注目: 2009年5月18-24日
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・世界経済、新型インフルエンザを引き続き注目。

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2009年5月 9日 (土)

2009年19号(5.4-9 通算463号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年5月4-9日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米が金融機関の資産査定、10社で740億ドル資本不足(7日)☆
・米政府とFRBは大手金融機関19社の資産査定(stress tests)を発表した。
・景気悪化を見込んだ潜在的損失は来年末までに計6000億ドルと予測。
・19社中10社が資本不足に陥り、総額は計746億ドルになると査定した。
・10社はバンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴなど。
・資本不足を指摘された社は、増資など資本増強策を打出した。
・査定結果は市場の事前予測より良い内容。このため発表後株価は上昇した。
・米は昨年主要金融機関に一律公的資本注入したが、選別した格好。

◆新型インフルエンザ、拡大続く
・新型インフルエンザの感染拡大が続いている。
・日本時間9日までの感染確認は27カ国。3400人以上になった。
・米墨に続きカナダでも死者が出た。
・WHOの警戒水準の6への引上げは、今週は見送られた。

◆米大統領、アフガン・パキ首脳と会談(6日)☆
・オバマ大統領はワシントンでアフガン、パキスタン大統領と会談した。
・このところ悪化が進む両国の治安問題などを協議した。
・米は3月、両国の問題に包括的に対応する方針(AfPac)を表明。
・アフガンへの増派計画(2.1増派し6万人に)も発表した。
・しかしタリバンが勢力を拡大。情勢は悪化している。
・パキスタン北西部では大量の難民が発生。誤爆等を機に反米感情も高まった。
・首脳会談は問題への強い危機感を示すものとなった。

◆南ア大統領にズマ氏(6日)
・議会はANC議長のズマ氏を大統領に選出。9日に就任した。
・ANCは先の総選挙で圧勝。非議員のズマ氏は大統領就任に必要な議席を得た。
・同氏は国民の人気が高いが、大衆迎合的な傾向も指摘される。
・アフリカの大国として、政権の行方は周辺地域への影響も大きい。

◆世界の株価が回復
・世界各地の株価が3月を底に回復している。
・欧米の主要株価は年初の水準まで回復。インドなど新興国も戻している。
・経済悪化に歯止めの兆しが見えてきた、との見方から。
・先行きはまだ予断を許さないが、2-3月の悲観ムードは一服している。

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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【インフルエンザ】 先週以降の1週間は「予想の範囲内で感染が拡大が進んだ」という印象。パニックも今のところ起きていない。

 【ロシア双頭体制1年】 ロシアでメドベージェフ大統領とプーチン首相の体制が発足して1年を経過した。当初は「大統領はプーチン氏の操り人形」という見方もあったが、それなりの存在感を誇示。文字通り双頭体制になっている。この間の経済悪化も当然権力関係に影響しているだろう(ただしどう作用したか、クレムリンの内幕はなかなか伝わってこない)。不況で人々の不満がさらに高まれば、リスクを取って思い切った決断が必要になる局面も出てくるだろう。その時に政治はどう動き、力関係はどうなるのか。政治権力の構造上、双頭体制は不安定、という歴史の実例も忘れてはならない。

◎今週の注目: 2009年5月10-16日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
・引き続き新型インフルエンザ問題。
・1カ月に渡って行われたインドの総選挙が13日の第5回投票で終了。16日に一斉に開票される。

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2009年5月 3日 (日)

◆新型インフルエンザと世界 2009.5.3

 新型インフルエンザの感染が一気に拡大。世界はこのニュースで一色という状況になった。昨年9月のリーマン・ショック時、「世界の風景は一週間で一変した」と言われたが、今回もそんな印象だ。

▼1週間の推移

 事態の変化は急で、情報は氾濫。時には交錯している。まず事実関係を簡潔に押さえれば以下の通りだ。

(経緯)
4.24 WHOがメキシコで豚インフルエンザ感染の疑いを発表。
   米が国内での感染発表。
27  WHOが警戒水準を3→4に。
   欧州でも感染確認(スペイン)。 
29  WHOが警戒水準5(2カ国以上で人→人の感染拡大)に引き上げ。
   米国で死者確認。
   メキシコへの渡航制限の動き広がる(欧州諸国など)
5.1  メキシコが5日間の一斉休業。
   感染アジアに拡大(香港)。  
3   18カ国で感染確認。 

(新型インフルエンザ)
 新型インフルエンザは季節性インフルエンザと同じA型のH1N1型。世界的流行となれば4人に1人が感染の見込み。今のところ弱毒性で、致死率はそれほど高くない。

▼パンデミック不可避 

 この1週間で明確になった点を整理すると、第1に新型インフルエンザの「封じ込め」がもはや不可能となり、世界への拡散が避けられなくなったことだ。WHOが国境閉鎖や渡航禁止を勧告しなかったのも、封じ込めは無理との判断からだ。

 各国の認識もこの点は同じ。どこも公式発表はしないが、各国の政策目標は「感染阻止」ではなく、「感染の急速な拡大防止や感染規模の抑制」「社会・経済的な混乱回避」。各国の対応も、この脈略でみるとわかりやすい。

 これまでの具体策は以下の通り。いずれも上記戦略に沿ったものだ。
・世界主要国が相次いで入国管理や検疫体制を強化。
・患者発生時の病院などの受け入れ態勢を整備。
・メキシコ政府が5月1-5日に不要不急の活動自粛を求める「一斉休業」を実施。
・米国各地で相次いで学校閉鎖。
・欧州や米州各国がメキシコとの航空便を制限。

▼学習効果

 第2に、世界は比較的冷静に対応している。
 メキシコでは先月末以来繁華街から人通りが減り、サッカーの試合も中止になった。それでも、人々はパニックに陥ることなく、比較的冷静に家にとどまっている。
 感染者が出た米国や欧州諸国、韓国などでも事情は同じだ。

 感染発覚後、各国政府は事実関係を国民にかなり正直に伝え、冷静な対応を呼びかけた。
 各国メディアは感染拡大の様子やWHOの決定、空港での検疫強化の様子などを逐一報告。隠し事はほとんどない。
 こうした情報伝達があるから、「パニックになるな」という呼びかけも比較的素直に受け止められている。もちろん、新型インフルエンザが弱毒性にとどまっていることが大きいのは言うまでもない。

 SARSや鳥型インフルエンザの流行を機に、世界は国際連携の強化や正確な情報伝達の重要性などの教訓を得た。とりあえずは「学習効果」が出ている格好だ。

▼長期戦

 第3に新型インフルエンザとの戦いが長期戦になること。インフルエンザの流行は大きな山が1つあって終わり、というものではなく、第2派、第3派があるのが通常。とくに北半球が冬になる今年末からは、正念場になる。
 各国はそうしたシナリオをにらみながら、ワクチン製造など対応を検討している。

▼不確実性

 第4に問題は不確実性が大きく、今後どうなるか予断を許さないことだ。
 先進国や主要新興国の動きはこれまでのところ、上記のように冷静だ。しかし途上国には、国民への情報伝達ネットワークが未整備立ったり、そもそも政府が全く信用せれていない国も少なくない。そんな国に感染が広がった時に、先進国のように冷静な対応が期待できるか覚束ない。
 さらにインフルエンザは突然変異が多い。仮にウイルスが強毒性に変わった場合、事態は全く別のものになる。
 1918年のスペインかぜは全世界で2000-4000万人、57年のアジアかぜは100万人、68年の香港かぜは200万人の死者を出したといわれる。今回どの程度の被害になるかは、想像もつかない。
 
▼世界への影響

 世界は第2次大戦後最悪と言われる世界経済への対応に四苦八苦している。そこに今回の新型インフルエンザ。新たな別の何m今が加わったのみならず、経済にさらに悪影響を与えるのも確実だ。その悪影響がどんな形で、どの程度出るかは、まだ未知数としか言いようがない。
 とりあえず最初の1週間‐10日間は、学習効果が効いた。しかし、長期戦の1回の表が始まったばかり。Don't be panic(パニックになるな)は、各国(政府から)国民のみならず、政府自身にも向けられる。

20090503

2009年18号(4.26-5.3 通算462号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年4月26日-5日3日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆新型インフルエンザ、世界に拡大 ☆☆
・メキシコ発の新型インフルエンザが世界各地に伝播し始めた。
・感染者は北米から欧州アジアに広がり、2日までに17カ国で確認。
・2次感染も広がっている。
・WHOは27日に警戒水準を4に引上げ。29日には5に変更した。
・各国は入国管理の強化、渡航制限などの対応を打出している。
・しかし封じ込めは不可能。世界的流行になるとの見方が多い。
・工場の操業停止、学校閉鎖など経済・社会的な影響も出ている。
・焦点は流行被害の縮小、経済・社会的悪影響防止に移りつつある。

◆クライスラーが破産法申請(30日)☆
・クライスラーは連邦破産法11条の適用を申請した。
・資産を新会社に移管し、法の保護下で再建を目指す。
・30-60日で手続き完了する「早期決着」を目指す。
・米加政府が再建を支援。計105億ドルを拠出する。
・伊フィアットとの提携でも合意した。
・オバマ大統領は会見し、強いクライスラーへの再生を期待した。
・同社は経済悪化などで経営悪化。政府に支援を求めていた。
・自主再建案は債権者や労組との調整がつかず、法活用に踏み切った。
・ディーラー網の縮小など大幅な事業再編に動く可能性が大きい。
・ただ関係者利害は交錯しており、60日内の完了は困難との見方も強い。
・同社は世界11位だが、旧ビッグ3の一角。米社会への衝撃も大きい。
・6月1日に期限を迎えるGMの再建計画の行方にも影響しそうだ。

◆オバマ大統領100日 (29日)☆
・オバマ大統領が就任100日を経過。記者会見を開いた。
・この間、難問の経済対策に大きな失点なく対応。
・外交は対話重視の政策を打ち出し、ブッシュ前政権と一線を画した。
・会見は課題幅広く国民に語りかける予定だったが、状況が変化。
・クライスラー支援や新型インフルインフルエンザなどに関心が集中した。
・国民の支持率は依然高く、オバマブームはなお続いている。
・ただ、諸課題解決のめどが見えてきたわけではなく、正念場はこれから。

◆韓国、前大統領を聴取(30日)☆
・韓国最高検察庁は盧武鉉前大統領から事情聴取した。
・夫人ら親族が不正資金を受領したとの疑惑に関するもの。
・前大統領は反既得権層を掲げていたが、周囲の癒着を断ち切れなかった。
・背後に李明博政権の野党揺さぶりの思惑を指摘する向きもある。
・韓国では80年代の全斗煥政権以来、5代の大統領に不正疑惑が表面化。
・政治風土の構造的な問題を指摘する声も多い。

◆米1-3GDP、6.1%減(29日)
・米国の1-3月のGDPは、年率前期比6.1%減少した。3・4半期連続のマイナス。
・4月の米自動車販売は前年比34%減少した。
・ドイツは29日、1009年の成長率見通しをマイナス6%と発表した。
・経済指標に一部では悪化下げ止まりの兆しもあるが、悪化自体に変わりはない。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【新型インフルエンザ】 新型インフルエンザが各地に伝播。世界はこのニュースで一色だ。昨年9月のリーマン・ショック時、「世界の風景は一週間で一変した」と言われたが、今回もそんな印象だ。問題が問いかけるものは多い。

 【クライスラー破綻】 クライスラーがついに破産法申請に踏み切った。米自動車救済をめぐっては、「オバマ政権は民主党だからビッグ3をつぶさないだろう」という思惑もあったが、簡単に裏切られた。世界はもはや、そんな「昨日の政治の理屈」で動くような時代ではない。変化を改めて印象付けた。6月1日に期限を迎えるGMの再建議論に大きな影響を与えるのは必至だ。

 【メーデー】 日本ではほとんど死語になっている感もあるが、欧州や中南米などでは5月1日のメーデーは依然重要。今年はとくに世界経済悪化で労働者の不満も高まっており、事前の関心は高かった。当日各地ではデモなど様々な活動があった。ただ、世界の関心は新型インフルエンザに向かい、インパクトは薄いものになった。

 【イラク情勢】 イラクの情勢が再び悪化している。29日にはバクダッド地域で2件の爆発があり40人以上が死亡した。1-2月にはテロがかなり減少したが、そのまま平穏化に向かうと見るのは楽観的すぎる。一進一退が続くと見るのが妥当だろう。「イラクは好転、アフガンは悪化」というのは大きな流れとしてはそうなのだろうが、事態はそう単純ではない。

◎今週の注目: 2009年5月2-8日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・新型インフルエンザの感染拡大がなお進むのは確実。WHOが経過水準を6に引き上げ、Pandemic(世界的大流行)宣言するのも近いとみられる。

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2009年4月26日 (日)

2009年17号(4.19-26 通算461号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年4月19-26日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆豚インフルエンザが拡大、WHOが緊急委員会(25日)☆
・メキシコと米国で豚インフルエンザが拡大している。
・メキシコ政府は25日、1300人の感染と81人の死亡を確認と発表。
・メキシコ市は25日から10日間イベントを中止。休校なども相次いでいる。
・米国では加州やテキサスで11人以上の感染が確認された。死者はいない。
・豚から人のみならず、人から人への感染の可能性がある。
・WHOは25日緊急委員会を開催。声明で「公衆衛生の世界的危機」と指摘した。
・チャン事務局長は加盟各国に緊急調査を要請した。
・新型インフルのパンデミック(世界的流行)の可能性があり、世界の関心は高い。
・ちなみに豚インフルはswine flu.
・☆はとりあえず1つだが、今後の推移いかんでは2つにも3つにもなり得る。

◆南ア総選挙、与党ANCが勝利(22日)☆
・南アの総選挙が実施され、与党ANCが勝利した。
・過半数を大きく上回り、議席の約3分の2を占める見込み。
・ANCのズマ議長が来月初め、大統領に選出される予定。
・ANCは昨年、内部対立→反ズマ派の新党設立があった。
・しかしズマ氏の人気などで、当面国民の信認を得た形だ。
・南アは経済悪化、貧民拡大などを抱えるが、選挙選で議論されたとは言い難い。。

◆G7が年内回復に期待(24日)☆
・G7の財務相・中銀総裁会議が24日ワシントンで開催した。
・声明は世界経済に安定化の兆候も出ているとし、年内の底打ちに期待を示した。
・一方で悪化リスクもあると言及。必要なあらゆる行動をとると強調した。
・4月2日のG20首脳会議を踏襲し、景気刺激、金融安定化策を総動員する姿勢だ。
・続いてG20財務相・中銀総裁会議やIMFの委員会が開かれた。
・これに先立ちINFは21日、米欧日の金融機関の損失推定を発表。
・07-10年の貸し出しや保有証券の劣化に伴う損失は、4兆ドルとみている。
・米欧の金融機関は、8700億-1.7兆ドルの資本増強が必要と推計した。
・当局に対し、資本注入をためらうべきでないと促した。

◆スリランカ軍、反政府勢力最後の拠点に侵攻 ☆
・政府軍が反政府組織タミルの虎(LTTE)の最後の拠点制圧に攻勢に出ている。
・同国北部の海岸線地域で、陸海から包囲。降伏を呼び掛けている。
・制圧となれば、約25年に及ぶ内戦が政府軍の勝利の形で終結する。
・同国では1980年代に多数派のシンハラ人と少数派タミルの間で内戦が勃発。
・2000年にノルウェーの調停で成立した停戦も崩壊した。
・政府は07年以降攻勢を強め、東部、北部のLTTEの拠点を次々奪回した。
・この間、穏健派はLTTEを離脱。米国やEUはLTTEをテロ組織と認定した。
・攻勢にあたり、民間人約10万人が避難した。

◆アイスランド総選挙、中道左派が初の過半数(25日)☆
・総選挙が実施され、社会民主同盟中心の中道左派連合が過半数を獲得した。
・暫定政権を運営するシグルザルドッティル首相が信認された格好。
・同国では1944年の独立以来保守の独立党が第1党だった。
・独立党政権は金融危機後崩壊したが、選挙で改めて責任を問われた。
・EU加盟に関しては、賛成派3党が過半数を超えた。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【潮目の見極め】 相変わらず重要経済ニュースが相次ぐ。GDPや失業率などの経済データは悪化の一途。企業の収益悪化やリストラや人員削減のニュースも続く。23日発表のマイクロソフトの1-3月決算は、売上高が前年比16%減と、1986年の上場以来初の減収となった。
 一方、1-3月の米金融機関決算は大手6社のうち5社が黒字を記録。昨年10-12月の5社赤字から数字の上では大幅に改善した。ただ、特殊な会計処理で利益をかさ上げしたとの見方もあり、評価は難しい。
 IMFは21日、米欧日の金融機関の07-10年の損失が4兆ドルとの推定を発表した。昨年の1.2兆円に比べれば大幅増だが、もっと多いはずという見方もある。
 24日のG7は、世界経済にについて下振れのリスクがなお残るとしながら、安定化の兆候も見られると指摘、年内の回復開始を期待を込めて予想した。政治的に明るいメッセージを出したいのは当然だが、見通しにどれだけ根拠があるかは不透明だ。
 2009年は世界経済の成長がマイナスになるなど厳しい環境が続くのは間違いない。金融危機も再燃の不安を抱える状況が続く。しかし、そろそろ「下げ止まり」を迎えてもおかしくない、という見方も増えている。米国ではGreen Shoot(芽ぶき)という言葉が、期待を込めてよく使われるようになった。
 見極めが難しい局面だ。

 【重大ニュース】 経済以外でも重大ニュースが相次いだ。豚インフルエンザはメキシコから米国に伝播。スリランカでは25年の内戦が政府軍勝利の形で終わろうとしている。南アは不安を抱えながらズマ体制がスタートする。ちなみに同国は、2010年のサッカーワールドカップ開催国だ。

◎今週の注目: 2009年4月26日-5月2日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・オバマ米大統領が29日に政権発足から100日目を迎える。米国では、最初の100日は新大統領に対する意味のない批判を抑え、実績を見守ろうという政治文化がある。その意味からも100日目の節目は重要。大統領はこの日午後8時に記者会見。テレビで全米に中継し、内政や外交の実績や課題を取り上げる。大統領の記者会見は1月の就任後3度目。
・GMとクライスラーの救済議論が白熱している。米紙は最近、クライスラーが近く連邦破産法11条の適用を申請すると報道した。クライスラーが提携を目指すフィアットとの関係や労組、債権者との駆け引きとも絡み、情報リークには思惑があるので鵜呑みは禁物。しかし何があってもおかしくない状況にある。
・韓国の最高検が盧武鉉前大統領に対し、親族が有力後援者から不正な金銭を受け取った疑惑に関連して事情聴取する。

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2009年4月19日 (日)

2009年16号(4.12-18 通算460号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年4月12-18日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆タイ政権がデモ隊排除、撤収(13日)
・タイ国軍部隊は反政府デモの強制排除に踏み切った。
・各地で発砲が相次ぎ、軍とデモ隊合わせて70人以上の負傷者が出た。
・デモ隊は14日撤収を表明。混乱はひとまず収拾に向かった。
・しかし政権とタクシン派の対立は根深く、政情不安定が続きそうだ。
・前週にはデモで一連のASEAN会議が中止。タイの国際的信用は失墜した。
・格付け機関は同国の国債や社債を相次いで格下げしている。

◆国連が北朝鮮非難声明、北は6カ国不参加表明(13日)☆
・国連安保理は北朝鮮のテポドン打ち上げを非難する議長声明を採択した。
・北朝鮮は反発。6カ国協議に参加しないとの外務省声明を発表した。
・14日にはIAEAに活動の協力停止を通告。米専門家にも退去を求めた。
・北の核を巡る対応は手詰まり状態に陥っている。

◆米大統領が中南米訪問、関係修復模索(17日)☆
・オバマ米大統領が中南米諸国を訪問した。
・17日にはトリニダードトバコで米州首脳会議に出席。
・中南米と対等な関係構築に努めると強調。関係修復に意欲を見せた。
・敵対関係の続くキューバにも関係改善のサインを送った。
・ベネズエラのチャベス大統領と握手。ブッシュ時代との違いを見せた。
・中東、欧州に続き対中南米でも政策転換の姿勢を示した格好だ。

◆米金融、業績悪化に一服感 ☆
・米国の金融機関が1-3月決算を相次いで発表した。
・業績は概して市場の予測より良い結果となった。
・シティグループは6・4半期ぶりに黒字転換した。
・住宅ローン証券などの損失処理がとりあえずピークを超えたため。
・金融の業績悪化一服で、経済全体に明るい兆しを指摘する声もある。
・先行きはなお不透明だが、2月末-3月の緊迫感は緩んだ状況だ。

◆インド総選挙開始(16日)
・任期満了に伴うインドの総選挙が始まった。
・選挙区別に5月13日まで5回に分けて投票する。
・国民会議派中心の連立与党と、人民党中心の野党の争い。
・与党は経済成長の実績、野党は治安強化などを主張する。
・政権交代となれば、経済政策や対パキスタン関係などに影響が出る。
・国際的関心も高い。

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 INCDの採点
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◎寸評:of the Week
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 【インド総選挙】 インドで16日総選挙が始まった。5月中旬まで5回に分けて投票を行う長期選挙で、国民会議中心の与党の政権維持か、人民党中心の野党による政権奪還かが焦点。インドの国際社会における地位の上昇で、世界的な関心はかつてなく高い。
 インドの近年の経済成長は、現政権の経済開放路線によるところが大きい。しかし金融危機で世界圭ザの環境は変わってきた。一方、政治的には冷戦後、親欧米路線を維持してきたが、先のボンベイのテロに代表される治安の悪化や隣国パキスタンの情勢悪化で環境は変化。外交方針のあり方が改めて問われている。
 多数派ヒンズー教徒とイスラムなど少数宗派の対立もくすぶる。野党人民党は治安強化を強調しており、政権交代となれば政策転換もあり得る。
 広い選挙区では、冷静な政策論争が行われているとは言い難い。文盲の有権者も多く、投票行動がどこまで合理的か疑問を呈する声もある。これも世界最大の民主国家を自任するインドの現状だ。
 そうした「民主主義のコスト」も踏まえて総選挙に注目すると、政治・経済に注目するだけでは見えないものも見えてくる。ちなみにアカデミー賞をとったSlumdog Millionaire は、インドの混沌と不条理、エネルギーが実によく映し出されている。

 【パキスタン支援国会議】 パキスタン支援国会議が17日東京で開催した。31カ国と18国際機関が参加。2年間で総額50億ドル以上の支援を確認するなど、国際社会としての支援を打ち出した。
 イスラム過激派の活動拡大で、同国の治安は急激に悪化。このままでは失敗国家になるとの懸念が強まっている。
 今やアフガン安定にはパキスタンの安定が欠かせないこと、アフガン情勢とパキスタン情勢は切り離せないこと、そしてこの地域の安定なしには世界の安定は望めないということは、国際社会の共通認識になりつつある。今回の会議で支援を打ち出したのも、そうした危機感の上に立つ。
 とはいっても急速に改善が期待できるわけではない。国際社会は辛抱強い対応を覚悟しなければならない。
 
 【米イラン関係】 米政権交代をきっかけに、米国とイランの接近の動きがある。先にオランダの国際会議で両国高官が接触。東京でのパキスタン支援会議でも、短時間の接触があったとされる。一方でイランは18日、同国で取材していた米イラン国籍のジャーナリストに
対しスパイ容疑で懲役8年の判決を下した。新しい関係作りは水面下で着実に進んでいるようだが、一筋縄ではいかない。

 【拷問】 キューバにあるグアンタナモ軍事基地で、イスラム過激派に対し水攻め、暗黒牢への放置などの尋問がブッシュ前政権に容認されていたとの資料が公表された。人権団体などは「拷問」と避難。オバマ政権も問題ありとしている。
 すでにグアンタナモの収容所閉鎖の方針も決定。オバマ政権の政策に直接影響があるものではない。しかし、米国では大きな問題になっている点は、留意しておくべきだろう。

◎今週の注目: 2009年4月19-25日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・G7とG20の蔵相・中銀総裁会議が24日にワシントンで開催。

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2009年4月12日 (日)

2009年15号(4.5-12 通算459号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年4月5-12日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆オバマ米大統領が核軍縮演説(5日)☆☆
・オバマ大統領はプラハで核軍縮について演説した。
・長期的な目標として、核兵器なき世界を追及すると明言。
・米議会にCTBT(包括的核実験禁止条約)批准を促す。
・核軍縮は、ロシアとの交渉推進を強調した。
・核拡散防止に向けては、核物質の安全管理などの提案をした。
・軍事力を重視したブッシュ政権時代からは明確な方針転換になる。
・内要は理想主義的な部分もあるが、米大統領が決意を明確にした意義は大きい。
・オバマのプラハ演説として引用されそう。国際社会への影響も重そうだ。

◆タイ政局混乱、ASEAN首脳会議中止(11日)☆
・タクシン元首相支持派がアピシット政権退陣を求め、デモを拡大。
・ASEAN首脳会議や東アジア首脳会議開催のパタヤでは、会場に乱入した。
・このため、一連の国際会議は中止に追い込まれた。
・首相は12日、バンコクや周辺地域に非常事態宣言を出した。
・同国では08年に反タクシン派のデモをきっかけに親タクシン政権が崩壊。
・タクシン支持派は反撃の機会をうかがっていた。
・政局混乱→国際会議中止は異例で、タイの国際的信用失墜は必至だ。
・経済対策などアジアや国際社会への影響も大きい。

◆米大統領がイスラムとの対話強調(6日)☆
・オバマ大統領はアンカラのトルコ国会で演説。
・イスラム社会との関係改善に強い意欲を示した。
・米国は過去も将来もイスラムと戦いはしないと述べた。
・トルコのEU加盟については、全面的に支持すると述べた。
・米は欧州と中東のかけ橋、イスラムとの融合の要としてトルコを重視する。
・大統領は7日、トルコからイラクを予告なしで電撃訪問した。

◆北朝鮮最高人民会議、金総書記を軍治委員長に鎖線(9日)☆
・立法機関の最高人民会議を開催。国防委員長に金正日総書記を再任した。
・国防委員には新たに側近の妹婿の張成沢・党行政部長らを選んだ。
・朝鮮中央テレビは金総書記が歩く姿を放映。
・健康不安説がくすぶる中で、体制の求心力維持に努める姿勢を示した。

◆モルドバで暴動、選挙巡り(7日)
・モルドバで5日総選挙が実施。選管は与党共産党が勝利を発表した。
・野党支持者は不正があったとしてデモ。7日暴徒化した。
・ウォロニン大統領は親ロ派。
・野党は親欧米で、隣国ルーマニアとの関係も指摘される。
・旧ソ連では経済悪化やロシアの勢力伸長を背景に、政局が流動化している。
・グルジアでは9日、野党勢力が大統領退陣要求の大規模デモを展開した。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【オバマ演説】 オバマ米大統領が欧州訪問で、重要な演説を繰り広げた。5日のプ

ラハでの核軍縮演説では、「核のない世界」を目指す姿勢を明言。ブッシュ政権時代に

お蔵入りだった米国によるCTBT批准や、ロシアとの核軍縮交渉推進に意欲を示した。ま

た、核拡散防止に核物質管理体制の強化などを提案した。
 「核のない世界」を理想主義的というのは簡単だ。しか演説は正確な現状認識を踏ま

えて綿密に練られたものと理解すべきだろう。演説に先立って、ロシアのメドベージェ

フ首相とはSTART1に代わる核軍縮交渉の開始で合意。CTBT批准をきっかけに、NPT体制

を立て直し、国際的な核の管理強化に結び付けようという姿勢が見られる。
 核なき世界の理想は、オバマ氏が大統領選で繰り返し主張してきた。何よりも、現職

の米大統領が国際社会の舞台で正式に提案した意義は大きい。今後の核問題の議論にも

、影響を及ぼすだろう。
 一方、6日のトルコ国会での演説では、イスラム社会との関係改善を強調した。こち

らも理想主義的な色彩があるが、中東などイスラム各国で歓迎されたのは事実。
 世界はブッシュ政権当時から時代が変わったことを、改めて認識した。

 【タイの政情不安定とアジア情勢】 タイで親タクシン派によるアピシット政権批判

デモが拡大。ASEAN首脳会議や東アジア首脳会議が中止に追い込まれた。こんな事態は

前代未聞ではないかもしれないが、ほとんど聞いたことのない出来事。会議参加をあき

らめて帰国する各国首脳も半ばあきれ顔で、国際社会におけるタイの信用は失墜した。
 タイと言えば、ASEANの中心国。しかしここ数年はタクシン元首相派と反タクシン派

の確執が拡大。2006年のクーデターから政局混乱が続いている。最近は反政権派が「市

民グループ」を名乗ってデモを展開。混乱拡大→国の機能マヒというパターンが定着し

ている。
 隣国のフィリピン、インドネシアでも政情は安定しない。東南アジアは経済面で中国

の陰に隠れるようになったのみならず、政治的にも弱さが目立つようになっている。

◎今週の注目: 2009年4月12-18日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・パキスタン支援国会合が17日に東京で開かれる。

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プです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト

5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分か

りやすく地球を鳥瞰しています。
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2009年4月 7日 (火)

◆G20の読み方 2009.4.5

 G20首脳会議は、世界経済回復のための「結束」を強調して閉幕した。しかし、具体的内容にはあいまいな点も多い。ほぼ市場の事前予想に沿った成果だったという印象だ。

▽首脳宣言の内容
 首脳宣言のポイントをまとめると、(1)2010年に2%成長への回復を目指す(2)そのためにG20で総額5兆ドルの財政出動(3)ヘッジファンドの規制など金融規制の見直し(4)IMFの財政基盤を3倍に強化(5)保護主義に対応し、2010年まで新たな貿易障壁を作らない、などだ。
 ただし中身をよく見ると、かなりあいまいだ。
 財政出動の5兆ドルは、各国がこれまでに決定した内要を積み重ねたもの。英Financial Timesの解説によると、新たなコミットメントはゼロだ。米国が当初主張した、GDPの2%に相当する財政支出は見送られた。
 金融規制ではヘッジファンド規制などが盛り込まれたが、ドイツやフランスが求めたより厳密な内要にはならなかった。タックスヘブンの監視についても、あいまいな妥協に落ち着いた。
 何より、不良債権の処理など金融システムの再建に対する具体的なシナリオが見えてこない。

▽予想通り
 ただ、今回の会議に決定的な対応(Breakthrough)を期待するのは当初から非現実的だったし、市場も関係者も当てにしていなかった。むしろ、金融規制を巡る米欧と独仏の主張の違いなど、利害対立が表に出かねないとの懸念もあった。
 その意味では、宣言で「課題克服への政治的結束」を打ち出せたのは、読み筋の中ではまあまあの内容。メディアの評価も比較的好意的で、市場も肯定的に反応した。

▽垣間見させるもの
 主要国が集まっただけに、会議には世界の抱える様々な問題が映し出され、注目すべきエピソードもあった。たとえば以下のものだ。

◇反グローバル化デモ
 ロンドンなどで大規模名でもが展開された。参加者の主張は経済回復、雇用維持、反温暖化、反原発、反資本主義などてんでんばらばら。しかし、現在の経済・社会システムに対する根本的な疑問を映していたのは共通する。たとえば、アングロサクソン流の金融資本主義がそもそもおかしい、などとする「問題設定の大きな批判」だ。本質をついている部分もある(解があるわけではもちろんない)。

◇中国の存在感の拡大
 メディアは「米中のG2時代」という言葉も使った。

◇ポスト経済危機の主導権争い
 景気回復に財政出動拡大を主張する米英と、それより金融監督・規制の見直しを優先っさせる独仏は対立した。仏サルコジは、金融規制など意味のあることを協議するのでなければ「退出」すると発言。物議を呼んだ。
 背景にあるのは、危機克服後の世界経済システムを巡る主導権争い。米英は多少の修正を加えるにしても、自由市場に基づく経済システムを維持するつもりと読むべきだろう。ここに財政優先がです。これに対し独仏は米英主導システムの見直しを目指している(ブレトン・ウッズの見直しなどというレトリックをつかって)。
 主導権争いは、アングロサクソンと独仏にとどまらない。先進国と新興国の対立もある。
 その内容も単純ではなく、中国とフランスはタックスヘブンを巡り対立した(中国はタックスヘブンの香港・マカオを抱える)。構図は複雑だ。

2009.4.5

2009年14号(3.30-4.5 通算458号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年3月30日-4月5日
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◆G20首脳会議、経済回復に結束を強調(2日)☆☆
・G20首脳会議がロンドンで開催。首脳宣言を採択した。
・世界経済回復のために、あらゆる行動を取ると強調。
・景気刺激策、金融規制見直し、IMFの資金基盤強化、保護主義防止を挙げた。
・2010年に2%成長への回復、財政出動総額5兆ドルなどの数字も列挙した。
・ただ、中身には抽象的な点も多く、金融再生のシナリオは見えない。
・それでも市場は会議をG20首脳の結束をそれなりに評価。株価は上昇した。
・会場外では大規模なデモが展開。世界の行方に対する様々な声が反映された。

◆NATO首脳会議、アフガンに5000人増派(3‐4日)☆
・NATOはストラスブールなど仏独国境地区で首脳会議を開催した。
・首脳宣言でアフガン対策強化を表明。5000人の増派を打ち出した。
・米以外の各国は、うち3000人を担当する。
・宣言はまた、NATOの新たな役割を定める新戦略概念策定の始動で合意。
・対ロシア関係改善でも一致。合同理事会を夏までに再開する。
・次期事務総長にはデンマークのラスムセン首相で合意した。

◆北朝鮮がロケット発射(5日)☆
・北朝鮮がロケットを発射した。
・第1弾、第2段の機体は日本海と太平洋上に落下。被害はなかった。
・同国は衛星と主張するが、日米などは弾道ミサイル実験の可能性を指摘。
・米日韓などは打ち上げを安保理決議違反と批判。安保理は協議を開催した。
・核問題で北朝鮮は自国権利を簡単に曲げない姿勢。それを改めて見せつけた。

◆米ロ首脳会談、核軍縮交渉(1日)☆
・オバマ、メドベージェフ大統領がロンドンで会談。
・12月に失効するSTART1に代わる条約締結のため、交渉開始で合意した。
・核兵器のさらなる削減を想定している。
・米国のミサイル防衛システム欧州配備については、協力の可能性を模索する。
・米政権の交代や国際情勢の変化で、米ロは新たな協力の方法を模索している。

◆米自動車支援、最終判断先送り(30日)☆
・オバマ大統領はGMとクライスラー支援について演説した。
・両社の再建計画を不十分とし、GMはワゴナー会長の退任を要求。辞任させた。
・そのうえで60日以内の再建計画見直しを求めた。つなぎ資金は提供する。
・クライスラーについては30日以内にフィアットとの提携合意を求めた。
・リストラや提携が進まなければ、破産法適用の可能性もあると明示した。
・発表は市場の予想を上回る厳しい内容。GM株は下落した。
・自動車救済は、政治決定をいったん先延ばしした格好だ。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【首脳外交】重要な首脳外交が相次いだ。週を通じ金融危機を協議するG20首脳会議(4月2日)、NATO首脳会議(3-4日)、米EU首脳会議(5日)が開催。その間に米ロ、米中など重要な2国間会議が相次いだ。いずれも世界の今後のあり方や、地域安保の行方を左右し得る重要な会議。普段なら「今週の最大ニュース」にすべき動きだ。

 【オバマ外交】 一連の会議は、オバマ米大統領の欧州デビューであり、マルチ外交の場への初登場だった。現地では一挙一動が大々的に報道され、大いに注目を集めた。
 一連の外交の場では、各所でブッシュ前政権時代からの転換を打ち出すとともに、まとめ役を演じた。ロシアとは新核軍縮交渉開始で合意。ブッシュ政権時代に冷え込んだ関係修復に意欲を見せた。G20ではタックス・ヘブン対策を巡る中仏の対立を仲介。英Financial Timesの表現によれば、会議とりまとめに貢献した(Handshake brokered by Obama saves day)。
 オバマバブルともいうべき期待値はなお続いている。それを改めて印象付けた。

 【NATO首脳会議とアフガン情勢】NATO首脳会議がアフガニスタンへの5000人増派を決定した。決定が映すのは、アフガン情勢の悪化だ。
 同国情勢は2001年のタリバン政権崩壊→カルザイ政権発足で一時は安定に向かうかに見えた。しかし経済改善の遅れや汚職の蔓延から国民の不満は高まり、タリバンが勢力を回復している。治安はここ2-3年で急速に悪化した。
 生活のために麻薬の栽培が拡大。最近では世界の流通の90%はアフガン産と言われる。昨年の米兵の死者は150人に上り、イラクを上回った。
 過激派は同国とパキスタンの間を行き来。アフガン情勢悪化はパキスタン情勢の不安定化と同期する。増派には加盟各国の抵抗も大きかったが、他に選択肢はなかった。
 米オバマ政権はイランとの関係修復にもサインを送り始めた。これもアフガン情勢への対応がひとつの原因になっている。
 世界の安全保障のアキレス腱になっていることを、改めて認識させる。

 【イスラエル新政権】 イスラエルに31日、右派中心のネタニヤフ政権が発足した。首相のリクード中心に、極右の「わが家イスラエル」などが加わる。
 首相は対パレスチナ強硬派で、イスラエルとパレスチナの「2国共存」には懐疑的な姿勢を示してきた。2国共存を基本に対パレスチナ和平を進めてきた中道カディマとは基本的立場を異にする。
 パレスチナは過激派のハマスがガザ、穏健派のファタハがヨルダン川西岸を実効支配し、事実上の分裂状態。国際社会はアッバス議長を中心とするファタハ政権を支持し、和平の道を探っている。しかし、イスラエル新政権の発足でパレスチナ内で強硬派が一層支持を集める可能性がある。そうなれば、和平は一層遠のく。
 新しいボタンの掛け違いが生じる懸念は消えない。

◎今週の注目: 2009年4月5-11日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・G 20を受けた市場の動き。最初の反応は好意的だったが、これがどう消化されていくか。
・北朝鮮のロケット発射を巡り、国連安保理が議論。国際社会はどんな対応を示すか。

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2009年3月29日 (日)

2009年13号(3.23-29 通算457号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年3月23-29日
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◆米アフガン包括政策発表(27日)☆
・オバマ大統領はアフガン、パキスタンの包括戦略を発表した。
・アフガンの軍・警察育成に米軍4000人を派遣する。
・パキスタンにはアルカイダ対策を要求する一方、支援を強化する。
・イラン、中印ロとの協力強化も明記。合計15項目を挙げている。
・オバマ政権はイラクからアフガンに重点を移行している。
・政権発足から2か月を経て、その具体策が示された。
・ただパキスタンの協力、周辺国との関係改善など課題は多い。

◆中・東欧で相次ぎ政権崩壊、金融危機で(24日)☆
・チェコ下院は24日、トポラーネク内閣の不信任案を可決した。
・経済運営の失敗が理由。首相は同日、辞意を表明した。
・チェコは現在EUの議長国で、EUの運営にも悪影響が予想される。
・21日にはハンガリーの首相が辞任。
・ラトビアでは2月に反政府デモから内閣が総辞職に追い込まれた。
・金融危機→経済悪化→社会不安→政権崩壊、が続いている。

◆米金融規制強化策を発表(26日)☆
・ガイトナー財務長官は26日、金融規制の改革案を発表した。
・銀行だけでなく証券・保険を加えた金融機関全体の取引などを一元管理する。
・ヘッジファンドの登録制化、デリバティブ監視の枠組み創設なども含む。
・実現すれば、米金融規制は約80年ぶりの大幅強化となる。
・23日には、金融機関の不良資産買取り計画を発表した。
・官民共同出資で複数の基金を設立。FRB融資等と組み合わ不良資産を買い取る。
・2月10日に発表した案を具体化する内容だ。
・買取りは価格決定が困難など課題が多く、計画は複雑になった。
・市場はひとまず計画を好感。ただ金融機関の参加など実効性はなお不透明だ。
・G20首脳会議をにらみ、金融規制などの具体策を打ち出した格好だ。

◆北朝鮮がミサイル発射準備(25日)☆
・北朝鮮は東北部のミサイル基地の発射台にミサイル機体を設置した。
・長距離弾道弾テポドン2とみられる。米国の偵察衛星などが確認した。
・北朝鮮は通信衛星と主張。国際会議機関に4月4-8日の打上げを通知している。
・日刊、米などは動きを警戒。核問題協議に影響する可能性もある。

◆マレーシア与党、新総裁にナジブ氏(26日)
・統一マレー国民組織は、党大会で新総裁にナジブ副首相(55)を選出した。
・アブドラ首相(69)と交代。近く首相に就任する予定。
・与党は利権体質批判などから昨年3月の総選挙で後退。首相交代で回復を目指す。

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 【G20にらみ】 世界は、4月2日のG20首脳会議をにらみ動いた。米国は金融機関の新たな規制案や不良資産処理の計画を発表。米国やロンドンでは、政府と民間金融機関代表との意見交換が行われた。各国は金融・経済危機克服に知恵を絞るとともに、将来の金融規制のあり方を巡る主導権争いにも余念がない。
 3月28日には開催地のロンドンで、経済対策・雇用確保から反グローバル化までも含む大規模なデモが展開。政治・社会的にもG20を意識した動きが出ている。

◎今週の注目: 2009年3月30日-4月4日
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・G20首脳会議が4月2日にロンドンで。金融・経済対策を巡りあっと驚くような結果が出てくるとは予想し難い。それでもどこまで具体策がまとまるか、主要国の首脳がどんなメッセージを発するかなど重要だ。
・3-4日にはNATO首脳会議が独仏で行われる。オバマ米政権が発足して初のNATO首脳会議。アフガン安定に向けた対応、対ロ関係(NATO拡大、ミサイル防衛構想の進め方)など注目度は高い。
・次いで5日にはプラハで米EU首脳会議。
・一連の会議の期間には、数多くの2国間の首脳会談も行われる。米ロ、米中などに注目。
・オバマ米大統領が30日にも自動車産業の追加支援についての声明を発表する見込み。破産法の適用などドラスティックな方法に一気に進むという見方は少なくなっている。これに先立ち、GMは25日に新たな人員削減策を発表するなど、動きがまた急になっている。
・北朝鮮が4-8日にミサイル打上げの可能性が大きい。国際海事機構(IMO)にこの期間の「人工衛星」打ち上げを通報済み。米国の監視網がどう作動するかなども要注目。
・イスラエルにネタニヤフ氏を首班とする政権が発足する見込み。右派中心だが、24日には左派労働党も連立参加を表明した。パレスチナ和平推進は期待薄との見方が多い。

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2009年3月23日 (月)

◆AIG賞与スキャンダルと米金融危機対策 2009.3.22

 総額1700億ドル(約17兆円)以上の公的資金を受けたAIGが、幹部に多額の賞与を支給したことが発覚。AIGへの批判はもちろん、オバマ政権への信頼性を揺るがしかねない問題に発展している。

▼政権にも批判

 事件が15日メディアの報道で発覚すると、当然のことながらAIG批判の嵐が巻き上がった。世間はもちろん、政治家や政権関係者も非難合唱の輪に参加。リディAIG会長を招いた18日の米下院公聴会では、グリード(貪欲)、高慢などの言葉が飛び交った。

 世間の批判は、支給を防止できなかったオバマ政権へも向かった。ボーナス支給を防止する機会があったとすれば、AIG支援を決めた救済法制定時。その時に事態を予見できなかったガイトナー財務長官への批判が集中し、野党共和党からは辞任を求める声も上がっている。

 オバマ大統領はたびたび会見を開催。今回の事態について「怒り」を表明する一方、財務長官については「いい仕事をしている」と擁護。国民の理解を求める。ただ、釈明調の印象はぬぐえず、国民の支持率も低下し始めた。

 議会は支給ボーナスの70-90%を課税する法案を可決。「納税者のカネが多額ボーナスに使われるのは許せない」という世間の批判のに応えようと努める。しかし、支給の合法性や、高度なデリバティブの知識をもった人材流失防止とのバランスなど複雑な問題を抱えている。事態鎮静化は一筋縄ではない。

 米金融救済は、複雑かつ関係者の利害が対立する。このため、予期しない事態が連発するのはある程度織り込み済みだった。それでも今回のようなスキャンダルが起きると、改めて唖然とする。

▼ボーナス文化の矛盾

 スキャンダルは、金融危機対応に関し多くの課題を改めて提示する。

 第1に今回の金融危機を引き起こした米金融界のボーナス文化。1980年代以降、米金融界は金融工学を駆使して少額の資金を元に多額のおカネを動かす仕組みを発達。この金融バブルの中から利益を生み出してきた。

 それを遂行する人材をつなぎとめてきたのが、多額のボーナスだ。金融バブルが破裂し、これまで水面下に隠れていた社会の伝統的価値観とボーナス文化の矛盾が、一気に表面化した格好だ。AIG以外にも、政府管理下にある住宅公社のファニーメイやフレディマックなどでもボーナス支給問題が表面化しようとしている。

 第2に、米金融救済の対応が場当たり的であり、ループホール(抜け穴)が多いこと。金融のプロと言われたガイトナー財務長官が、救済法案策定時に今回のような事態を想像できなかったのはどうしてか。スタッフが十分にそろっていないという指摘もある。今後も、こうしたループホールが出てくるのは不可避と見た方がいい。

▼オバマ政権の信頼問われる

 第3に金融規制や資本主義のあり方を巡り、米国内で価値観の対立が根強いことだ。金融危機で市場万能主義はさすがに勢いを失った。しかし、政府の役割と市場機能をどこでバランスさせるべきか、金融規制をどこまで、いかに行うべきかなどでは、様々な意見が噴出し、百家争鳴の状態だ。欧州などを加えた国際的な意見の違いはさらに複雑だ。

 AIG賞与問題への批判も、社会の常識やモラル面からのものがほとんど。それは感覚的にもっともだが、金融危機はもっと複雑なところに根ざしている。落とし所の見えない展開になっているのもこのためだ。

 第4に、政治への信頼だ。金融危機のように難しい問題に対応するためには政治への信頼不可欠。2か月前に発足したオバマ政権への信頼と期待値は非常に高く、これが米国にとっても世界にとっても、金融・経済危機克服の最大の安心材料になっていた。
 今回のスキャンダルは、信頼性に対する大きなテスト。オバマ政権の危機管理や政策対応、世論説得の能力が問われている。信頼性が大きく傷つくとすれば、米国や世界の将来にとって大きな懸念材料になる。 

2009.3.22

2009年12号(3.15-22 通算456号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年3月15-22日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆AIGが幹部に多額賞与、オバマ政権を揺らす(15日)☆
・破綻して公的支援を受けたAIGが、幹部に多額賞与を支給した事が発覚した。
・400人を対象に総額1億6500万ドル。最高は650万ドルとされる。
・AIGに対してはもちろん、阻止できなかった政権にも批判が集中した。
・議会は19日、高額賞与に70-90%の効率税金をかける法案を可決した。
・ただAIGによれば支給は契約に基づき実施。人材流出防止からも不可避だった。
・事態は単純ではなく、公的資金投入実施の思わぬ落とし穴が表面化した格好だ。
・オバマ大統領やガイトナー財務長官は繰り返し会見。釈明に努めている。
・しかし世間の怒りは収まらず、政権発足以来最大の試練になっている。
・政権の支持率も高水準を維持しているとはいえ、陰りが見えてきた。

◆IMF予測下方修正、世界経済マイナス成長(19日)☆
・IMFはG20財務相・中銀総裁会議で示した経済見通しを公表した。
・2009年の世界経済は0.5-1%のマイナス成長に転落する。
・マイナス成長は第2次大戦後初。
・米は2.6%、ユーロ圏は3.2%、日本は5.8%の大幅下落を予想した。
・4月の次期予測では、さらに下方修正の可能性もある。

◆イラク戦争6年、生活改善徐々に進展(20日)☆
・イラク戦争開戦から6年が経過した。
・戦争後の数年間、極度に悪化していた治安は改善傾向にある。
・電気や水道の供給など生活インフラもかなり改善してきた。
・イラク治安部隊は約60万人になり、数の面では体制整備が進んでいる。
・米オバマ政権はイラクからの撤退計画を発表した。
・とはいえテロは散発的に続き、宗派対立もくすぶり続ける。
・米国はイランなど周辺国とも協力し、地域の安定を模索している。
・オバマ大統領は20日イランに向けビデオメッセージを公開。関係改善を訴えた。

◆米FRBが長期国債購入(18日)☆
・FRBは公開市場委員会で、最大3000億ドルの長期国債購入を決定した。
・景気悪化防止の量的緩和政策の一環。大規模な国債購入は半世紀ぶり。
・財政規律を棚上げしても、景気の底割れ防止に努める姿勢を鮮明にした。
・同時に住宅ローン担保証券購入増加なども決定。追加資金供給は1兆ドルになる。
・決定を受け、長期金利は低下(国債価格は上昇)。ドルは急落した。
・長期国債購入は英国が3月上旬に決定。日銀も実施している。
・経済危機対応のため、異例の金融政策が相次ぐ。

◆パキスタン、最高裁長官が復職、大統領の威信に傷(16日)☆
・パキスタン政府は前最高裁長官の復職を表明した。
・シャリフ元首相ら野党の要求に応じた形。
・野党は前長官の復職を求め、首都で大規模デモを計画していた。
・サルダリ大統領は当初要求を拒否。一時はシャリフ氏を自宅軟禁した。
・しかし与党のギラニ首相や軍が譲歩を要求。米国も妥協を促し、譲歩した。
・当面の混乱は回避されたが、大統領の威信は大きく傷付いた。
・パキスタン情勢は一段と混乱を深める懸念がある。

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 【AIGスキャンダル】 AIGの多額賞与給問題が発覚。米オバマ政権の信頼性に傷をつけかねない問題に発展している。発足から2か月たったオバマ政権にとって、初の正念場だ。

 【長期国債購入】 米FRBが長期国債の購入を決めた。政府が財政規律に縛られずに国債を発行することを、事実上是認する内容。平時なら考えられない政策だ。しかし、経済の底割れ防止のためにやむを得ないと判断した。英国や日本も税制規律を棚上げにした量的緩和政策に踏み切っている。金融政策が「何でもあり」の異常事態に入っていることを象徴する動きだ。

 【イラク戦争6年】 イラク戦争から6年を経過した。治安は一時の「内戦状態」から改善。バクダッドの街でも家族が夕涼みをする風景が見られるようになった。米軍の撤退計画も2-3年前なら荒唐無稽でしかなかったが、今では現実的な選択肢として受け止められる。しかし、宗派対立は続き、テロは散発する。「民主的」とされる選挙は行われるようになったが、捉え方は多数派のシーア派、少数派のスンニ派など立場によって異なる。サダム・フセイン政権時代との対比を問えば、人々の答えはまちまちだ。6年間に失ったものと得たものは何か。いろいろ考えさせられる。

 【エルサルバドルに左派政権】 中米エルサルバドルで15日大統領選が行われ、旧左翼ゲリラの野党FMLNのマウリシオ・フネス候補が当選した。同国は1980-92年に内戦を経験。米国が支援する右派政府軍に対し、左翼ゲリラが対抗した。内戦終結後は右派のARENAが政権を担ってきたが、貧富の格差拡大などを背景に、国民は政権交代を選択した。
 当選したフネス氏は社会改革を訴えながらも、米国との関係維持を強調。外交面では現実主義を打ち出している。この点、反米を前面に出しているベネズエラのチャベス政権などとは異なる。しかし同国やブラジルなどに続き、中南米にまた左派政権が誕生する意義は重要だ。世界の構造変化は、色々なところで出ている。

◎今週の注目: 2009年3月22-28日
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・4月2日のG20首脳会議に向けて様々な調整が行われる。市場の反応と併せて注目。

2009年3月15日 (日)

2009年11号(3.8-14 通算455号) 国際ニュース・カウントダウン

 

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年3月8-14日
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◆G20財務相会議(14日)☆
・G20の財務相・中銀総裁会議がロンドン南方で開催した。
・4月2日の首脳会議に向け意見調整した。
・共同声明は成長回復にあらゆる行動を取ると表明。
・各国は財政出動と金融緩和を継続する姿勢を確認した。
・格付会社やヘッジファンドの登録制など規制策も盛り込んだ。
・しかしIMFの増資や国際的な金融監督体制は結論が出なかった。
・首脳会議をにらみ、主要国は政策兆勢力を問われる。

◆米、ES細胞研究助成を解禁(9日)☆
・米政府はES細胞研究への政府助成を解禁する。
・オバマ大統領は大統領令に著名した。
・ES細胞は再生医療な難病治療への応用が期待されている。
・しかし宗教右派が反対。ブッシュ前大統領は2001年に禁止した。
・政策の転換で、科学技術はもちろん社会的意義も大きい。

◆北朝鮮が衛星打上げ通報(12日)☆
・北朝鮮は国際海事機関などに通信衛星打上げを通知した。
・4月4-8日に打ち上げるとしている。
・同国は過去に衛星と説明して弾道ミサイルを発射している。
・今回もミサイル開発との関係が指摘され、関係国は警戒している。
・判断の背後には国内引締め、オバマ政権への牽制などが指摘される。
・地域の緊張を高めるのは必至だ。

◆チベット動乱50周年、中国は主要都市封鎖(10日)☆
・ダライ・ラマ14世が亡命したチベット動乱から50年が経過した。
・14日には昨年のチベット騒乱から1年となる。
・各地では様々な抗議活動が起きている。
・中国当局はチベット自治区の主要都市を封鎖。封じ込めの姿勢。
・ただ周辺地域の状況を全て把握するのは難しく、管理にも限界がある。
・チベット問題は50年を経て、解決の展望がないままくすぶり続ける。

◆仏がNATO軍事機構復帰(11日)
・サルコジ大統領はNATO軍事機構に復帰すると発表した。
・仏は自主防衛を掲げて1966年に軍事機構から脱退した。
・しかし国際情勢の変化を踏まえ、43年ぶりに政策転換する。
・ただ、核戦略は引き続き独自性を残す方針。
・NATOは対ロ関係、アフガン対策などで、再度あり方を問われている。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【G20】 4月2日のG20首脳会議の前哨戦ともいえる財務相・中銀総裁会議が開かれた。財政・金融のあらゆる手段を使って景気回復への政治的意思を示したのは読み筋通り。一方で国際的な金融ルールづくりでは、ヘッジファンドや格付け機関登録など一部の合意はあったものの、金融監督基準などは先送りになった。これも、事前予想の範囲を大きく逸脱するものではない。
 この間も世界経済は悪化を続け、金融危機の不安がくすぶる。株価もNYダウで12年ぶりの安値を記録するなど下落を続けた。
 当面の市場の関心は、G20首脳会議の合意とメッセージ。世界恐慌の危機を抱えながら、関係国の調整が続く。 

 【中国全人代】 中国の全人代が13日閉幕した。8%成長の目標、大規模な財政支出による経済刺激などの方針を改めて確認した。それにしても、中国の経済政策が「世界経済全体にとっての意義」という視点から、大々的に報じられることはこれまでなかった。世界における中国の存在感の拡大を、改めて認識させる。

◎今週の注目: 2009年3月15-21日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・G20財務相・中銀総裁会議の結果を、市場がどう消化し、どう反応するか。

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2009年3月 8日 (日)

2009年10号(3.1-7 通算454号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年3月1-7日
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◆世界経済悪化、株価は下落 ☆
・世界経済の悪化、金融不安が加速した。株価が世界的に下落した。
・NYダウは2日、12年ぶりの安値を記録。欧州アジア株も大幅下落した。
・米国が6日発表の2月失業率は8.1%と25年ぶりの水準に上昇した。
・欧州中銀は5日ユーロ圏の09年見通しを‐2.7%に下方修正。
・金利は2→1.5%に下げた。
・英中銀は1→0.5%に利下げ。同時に量的緩和政策を導入した。

◆米AIG追加支援、英はロイズ国有化(2、7日)☆
・米政府は2日大手保険のAIGの追加支援策を発表した。
・資本は最大300億ドルを追加注入。昨年11月の400億ドルに続くもの。
・生命保険子会社アリコの株式はFRBが間接的に保有する。
・同社の2008年決算は、992億ドルの赤字。10-12月期は赤字616億ドル。
・AIGは昨年9月に経営破たん。政府救済下で再建を目指している。
・英国政府は7日、ロイズ・バンキングGの実質国有化で合意した。
・すでにRBSも実質国有化を決めており、大手4行で2行目。

◆全人代開幕、8%成長目標(5日)☆
・全人代が北京で開幕した。
・温家宝首相は政府活動報告で、8%成長を目指す方針を表明。
・都市失業率は4.6%以内を目標に設定。景気刺激に2年で4兆元投資する。
・2009年の政府支出は総計7.6兆元。赤字はGDPの3%程度となる。
・台湾に対し平和協定の交渉を改めて呼びかけた。

◆米ロ外相会談、新核軍縮条約年内合意目標(6日)☆
・クリントン米国務長官とラブロフ・ロシア外相がジュネーブで会談した。
・オバマ政権になって初の会談。
・START1に代わる新核軍縮条約の年内合意を目指すことで一致した。
・ブッシュ政権時代に冷え込んだ関係修復への取り組みを演出した。
・ただ、MD配備やグルジア紛争などで対立は深刻化。解消は容易でない。

◆パキスタンでテロ(3日)☆
・ラホールでクリケットのスリランカ代表チームのバスが襲撃された。
・警官ら8人が死亡、選手・コーチ7人が負傷した。
・地元過激派が関与した可能性が強い。
・現地当局は昨年のムンバイ・テロに似ていると指摘した。
・パキスタンの治安悪化を象徴する出来事。

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 INCDの採点
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◎寸評:of the Week
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 【経済悪化の加速】 引き続き世界経済悪化がトップニュースを飾り続けた。株価は世界的に下落し、金融機関の経営不安は増幅。米国はAIGの追加支援策を発表し、英国はロイズ・バンキング・グループの実質国有化を発表した。米失業率は記録的な悪化を示し、欧州中銀は経済見通しを大幅下方修正した。それでも先行き不透明感は全く晴れない。

 【モグラたたき】 米オバマ政権は今週、AIGの救済策を打ち出すなど金融不安解消、景気対策に必死。しかし、期待通りの成果が出ているとは言い難く、株価は大幅下落が続いた。
 そもそも対応策については、政権と野党共和党の間には抜本的な意見の違いがある。たとえば銀行国有化については、欧州など各国が必要に応じて次々実施しているのにもかかわらず、共和党内には絶対反対の意見が根強い。景気対策についても、共和党は公共事業大幅増に懐疑的で減税を重視。先の対策法も妥協の産物となった。
 こんな事情もあり、今のところろ政権の対応に芯の通った一貫性は見出しにくい。危機の発生に緊急対応する「モグラたたき」的な処理にとどまっているとの印象だ。先行きの不透明感を晴らすには全く至っていない。
 批判はこれまで、主にブッシュ前政権の政策に向かっていた。しかし、オバマ政権の対応についても厳しい意見が出始めた。保守系のWall Street Journalは3日の社説でThe Obama Economy(オバマの経済だ)と掲載。責任を問い始めた。

 【クリントン外交】 クリントン米国務長官の外交が本格始動し始めた。先のアジア訪問に続いて今週は中東を訪問。ジュネーブではオバマ政権に代わって初の米ロ外相会談を開催した。
 中東では2日のガザ復興支援国会議に参加。エジプト、イスラエル、パレスチナ自治区を訪問した。一連の活動で明らかにしたのは、イスラエルとパレスチナの2国共存の原則に従って和平を積極的に推進する方針と、ハマス排除の姿勢だ(この点はブッシュ政権時代と変わらず)。
 米ロ外相会議では、ここ数年冷え込んだ米ロ関係修復に向けて意欲を見せた。ただ、関係悪化の原因となるNATO拡大、ミサイル防衛システム配備など元に戻ることのできない事実が積み重ねられている。ロシアのグルジア侵攻や南オセチア独立承認も、覆水盆に返らずだ。
 長官はいずれの問題でも意欲を誇示したが、具体策はこれからのお手並み拝見だ。

 【ICCがスーダン大統領に逮捕状】 国際刑事裁判所(ICC)がスーダンのバシル大統領に対し、ダルフール紛争に関する「人道に反する罪」および「戦争犯罪」で逮捕状を出した。現職の国家元首に対する逮捕状は初めてだ。
 ICCは2002年に発足した。締約国は108カ国。1990年代以降、戦争犯罪や人道に対する犯罪については国家主権を超えて国際社会が責任を追及できるという流れが強まった。そうした潮流の具体化例だ。
 スーダンは当然反発。首都ハルツームでは多数の住民が大統領支持のデモを展開した。アラブ、アフリカ諸国やロシア、中国もICCの決定に反発。正義と国家主権、国際秩序などに関し、改めて問題を提起している。

◎今週の注目: 2009年3月8-14日
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・金融危機が引き続き続く。当面は株価動向など。
・14日にG20首脳会議の前哨戦となる財務相会議がロンドンで開催される。

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2009年3月 1日 (日)

◆金融・経済:2月末の危機再燃 2009.2.28

 昨秋以来何度目になるか、金融・経済危機が再度深まった。

▽米国の動揺
 米国では前週あたりから、金融不安が再燃した。
 景気悪化に加え、当局による大手行に対する資産の厳格審査開始(25日から)で自己資本不足や債務超過が表面化する懸念が浮上。金融株が大幅下落した。
 このため米金融当局は週明けをにらんで23日朝、緊急声明を発表。必要な場合には緊急融資や公的資金注入を行うことを改めて強調し、不安払拭に努めた。
 それでも、23日のNYダウは12年ぶりの安値水準まで低下した。
 市場には、大手行の完全国有化への警戒感も根強い。こうした状況を受けて、バーナンキFRB議長は24日の議会証言で、主要銀行の国営化(50%超の株保有)は行わない旨を表明。警戒軽減に努めた。
 その3日後の27日には、シティ・グループの追加救済策を発表。優先株の普通株転換により、最大36%の株式を保有し事実上政府管理下に置くことにした。国有化と微妙な言葉の使い分けで、あいまいな点もあるが、危機に対し「何でもあり」を示した格好だ。
 この間も経済悪化は続き、GMは2008年に308億ドルの赤字決算を発表。シティは277億ドルの赤字、JPモルガンチェースは1万人以上の人員削減を発表した。米国の2008年10-12月のGDP改定値は、前期比年率マイナス6.2%と、1月発表の速報値より2.4ポイント下方修正した。

▽中東欧危機
 ここに来て金融危機危機が深刻化しているのが中東欧だ。
 この地域は西欧の銀行からの融資などをてこに高成長を続けてきたが、金融危機以降は逆回転を始めた。ここにきて資金流出が加速し、国内企業も資金調達困難に直面。景気悪化と通貨危機のダブルパンチを受けた形だ。
 東欧経済が破たんすれば、貸し倒れの拡大を通じ西欧にも跳ね返ってくる。政治的にも、EU拡大で実現した東西欧州融合が深刻な危機に直面する。英Economistは、欧州を破壊しかねないツケ(The bill that could break up Europe)という特集で、もし東欧が崩壊すればEUを深刻な事態に引きずり込むと書いた。
 EUは支援策を協議。27日には世銀、欧州投資銀行、欧州開発銀行などが資金供給を決めた。しかし、当面のつなぎに過ぎず、問題はくすぶり続ける。

▽欧州・ドバイ
 欧州では金融機関の決算発表が相次いだが、いずれも惨憺たる内容。特に英国のRBSは2008年の赤字240億ポンドという英史上最大の損失を計上。英政府は1月に打ち出した損失保証制度の第1号として適用し、3200億ポンドの損失保証実施を決めた。
 株価は欧州でも下落。ドイツ、フランス、イタリアなどで昨年来の安値を更新した。
 資源国ブームの象徴的存在だったドバイは、政府系開発会社の資金繰りが急速に悪化。22日にはドバイ首長国が発行する国債の半分をUAE中銀が引き受け、事実上の支援に乗り差した。

▽懸念材料
 2009年の先進国の成長率はマイナス3%程度になるという見方もあり、世界全体でマイナス成長になるという懸念も消えない。欧米金融機関が抱える損失のうち、償却済みはまだ半分に至らないという観測も消えない。データを見る限り、状況の厳しさを再確認させられる。
 先週は警戒シナリオのうち、主要金融機関の経営危機(シティ、RBSなど)、周辺・新興国危機((中東欧危機)、主要企業の破綻(サーブなど)、資源国の経済危機(ドバイ)、株価の下落などが相次いで起きた。こうした動きが、今後も断続的に発生することは間違いない。
 当面はこうした材料に加え、米自動車産業救済、G20首脳会議に向けた調整などが焦点になるだろうし、もちろん現在は広く認知されていない水面下の問題が頭をもたげる事もあり得る。

2009.2.28

◆米国のイラク撤退計画 2009.2.28

 オバマ大統領がイラク撤退計画を発表した。2009年8月までに全戦闘部隊(約10万人)を撤収。イラク治安部隊の教育などの目的で残る3.5-5万人はその後、2011年末までに完全撤退させるというスケジュールだ。

 イラク撤退は当面の米外交政策で最も重要な案件で、オバマ氏の選挙公約でもあった。米国にイラク政策はブッシュ時代の戦争推進→泥沼化を経て、新段階に入る。

 「政策の大転換」以外に計画の特徴を挙げれば、まずオバマ大統領が現実的な判断をした点。大統領選では16か月以内の戦闘部隊の撤退を主張していたが、国防総省などの意見を入れて3カ月延ばした。大統領選からの支持者には早期撤退を求める声も大きいが、現地での混乱をなるべく避けて撤退を目指すシナリオを採用。現実主義者としての側面をのぞかせた。

 第2にイラクの復興と安定に周辺国の協力を求めて取り組む姿勢を明確にしたこと。イランやシリアも含む周辺国を関与させる方針を表明した。この点でも、イランへの敵意をむき出しにしていたたブッシュ政権からの大転換だ。

 第3にイラク撤退決定を機に、安全保障の重点をアフガニスタンに移すこと。大統領はすでに今夏までに1万7000人の増派(現在は3万3000人)を決定。アフガン重視を鮮明にしている。軍事力強化と、アフガン・パキスタン問題のホロブルック特別代表を中心にした外交戦略を両軸に、治安回復やテロ対策に注力する。

 撤退計画の前提となるイラクの治安は、昨年から改善。米兵や市民の被害は減少している。マリキ政権の基盤も安定してきたように見える。

 ただ先行きにはもちろん、不透明さが残る。英Economist誌はイラク国内の宗派対立から、少数派のスンニ派が多数派シーア派のマリキ政権にどこまでおとなしく協力するか不透明とし、「大きな政治的な問題が残る」と指摘した。

 オバマ大統領ももちろんこうしたリスクを踏まえたうえで決定した。成功の行方には、政治家の資質として欠かせない運の要素も加わるかも知れない。

2009.2.28

◆オバマ演説と政権1ヶ月 2009.2.28

 オバマ米大統領が議会演説を行い、政権の施政方針を示した。景気対策や長期的な成長戦略を示し、米国再生に向けて国民を鼓舞した。1月20日の就任から1ヶ月強の間に、新政権は矢継ぎ早に政策を打ち出し、動きは迅速だ。何が変わり何が課題になっているのか点検する。

▼施政方針演説
 演説は議会で上下両院議員を対象に行ったが、実際には国民向けのメッセージ。通常年の一般教書演説(新大統領就任の年にはない)に相当するものだ。
 大統領は米国が直面する問題の深刻さを隠すことなく説明。米国民にも「長期的繁栄よりが短期的利益を追求するような生活をしてきたと」反省と自覚を促した。その上で、米国は再建できると呼びかけた(このメッセージは演説の冒頭に近い部分で明確に示されている)。
 具体的政策については、まず短期的課題として景気対策と金融救済に言及。景気対策ではすでに何度も表明している「2年間で350万人の雇用創出」を改めて強調し、公共投資の役割や減税効果を訴えた。
 金融は救済策の詳細より、危機の深刻さと救済が不可欠な事情を説明。公的資金の使用については「いかに不人気か承知している」と素直に語った上で、「銀行を救うのではなく人々を助けるのだ」と理解を求めた。難しい中身はなく、自身と政権への信任を求めるトーンだ。
 一方、長期的成長戦略は、エネルギー、医療、教育の3分野を重点分野として明確に示した。省エネ産業の育成や地球温暖化対策の充実、医療改革、教育の拡充などを具体的な例を交えてかなり詳しく説明した。
 演説は経済が中心で外交政策への言及は限られていた。その中でもイラクとアフガン政策の転換や中東問題への取り組みに言及。また国際協調重視の姿勢を示した。
 演説の特徴を挙げれば、就任演説の基本的トーンを踏襲しながら経済政策中心により具体的な内容に踏み込んだこと。国(米国)が随所に顔を出していたこと。分かりやすい言葉で語りかけたこと。前政権の政策と理念を(直接的な批判というより)否定し米国民にパラダイムの変換を求めたことなどだろう。
 米メディアの評価は割れる。リベラルなワシントン・ポストなどが前向きな受け止め方だった一方で、保守派の米Wall Street Journalは具体的中身が伴わないと批判するなど、立場の違いが出た。ただ、海外では英Financial Timesが「良い演説」(A nice speech)と評するなど(その上で具体策の策定と実行を求めている)、期待交じりの好意的なトーンが多い。

▼矢継ぎ早
 演説と呼応する形でこの週、オバマ政権はいくつかの重要決定を打ち出した。
 26日には予算の基本方針を発表。2009年度の財政赤字が1.7兆ドルになるとの見通しを示した上で、金融安定への公的資金枠追加や医療保険強化への基金創設などを提案した。27日にはイラクからの撤退計画を発表。また、大手金融機関シティ・グループを事実上政府管理下に置くことを決めた。
 いずれも第1級の国際ニュース。米国と世界が激しい速度で動き、それに新政権が迅速に対応するスピード感が伝わってくる。

▼盛り沢山の1ヶ月
 政権発足から1ヶ月強の重要な動き振り返ると、以下の通りだ。

>演説・コミュニケーション
・就任演説(1.20)米国再建、新たな責任の時代などがキーワード
・議会演説(2.24)施政方針を説明
・週末ラジオ演説で国民にメッセージ
>金融危機対策
・金融安定化策発表(2.10)財務長官が発表。資金注入、不良資産買取り計画など。
・当局の緊急声明(22日)信用不安払拭に追加資本注入の用意など
・大手行の資産の厳格査定(ストレステスト)開始(2.25)
・シティ・グループ救済第3弾(2.27)実質政府の管理下に
>景気対策・経済政策
・景気対策法案(2.13議会可決、2.17署名・成立) 7870億ドル
・予算基本方針発表(2.26)
・排ガス規制強化の大統領令(1.26)加州の規制など承認。環境政策転換
>外交
・グアンタナモ基地の捕虜集要所の閉鎖指示(1.22)
・中東和平、パキスタン・アフガニスタンの特使指名(1.22)
・イランとの対話に意欲(2.9)
・アフガンに1.7万人増派発表(2.17)
・イラクからの撤退計画発表(2.27)
>政治情勢など
・ダシュル厚生長官候補が辞退(2.3)。野党共和党との対立表面化。

 新大統領が最初の100日に新政策を打ち出すのは常だが、オバマ政権の動きは特に急だ。中でも金融危機対策と景気対策は待ったなしで、矢継ぎ早に新政策やメッセージを打ち出している。外交も遅滞なく、前政権の政策を転換する決定を下している。1か月強の間の急激な変化と緊張感が伝わってくる。

▼焦点
 政権の政策に評価を下すのは、もちろんまだ時期尚早だ。現時点で言えることは、レームダック化身動きが取れなくなっていた米国が、新政権下で急速に動き出したこと。就任当初の熱狂は失われたものの、国民の支持と期待値はなお高いこと。「最初の100日」が過ぎないうちに野党共和党との対立が色々な局面で表面化し始めたことなどだろう(特に政府の介入の度合など、両党の基本哲学が異なる問題で)。
 もう一つ、重大な失敗はまだない。それが表面化したときの危機管理能力も、今後の焦点になる。

2009.2.28

2009年09号(2.22-28 通算453号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年2月22-28日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米政府、イラク撤退計画を発表(27日)☆☆
・オバマ大統領はNカロライナ州の海兵隊基地で、イラク撤退計画を発表した。
・2010年8月までに駐イラクの全戦闘部隊約10万人を撤退させる。
・撤退後は3.5-5万人体制に改め、イラク治安部隊の教育などに当たる。
・その後、地位協定で定めた2011年末までに全面撤退する。
・撤退でイラクでの軍事・財政負担を軽減。アフガン対策に重点を移す。
・イランを含む周辺国を関与を求めイラク復興に協力して取り組む方針も示した。
・戦争を主導したブッシュ政権から明確に転換。イラク政策は新段階に入る。
・米軍は2003年からイラクに駐留し現在14万人。すでに4000人超の犠牲者が出た。
・同国の昨年から治安が改善。撤退の条件が整いつつある。
・ただ、今後の情勢はなお不透明で、撤退実施には曲折の可能性もある。

◆米、シティGを政府管理下に(27日)☆☆
・米政府はシティグループの追加救済策を発表した。
・保有する優先株を普通株に転換。最大36%の筆頭株主になる。
・シティは事実上政府の管理下に入る。
・米政府は計450億ドルの公的資金を投入。シティも2分割などを打ち出した。
・しかし再建のメドはたたず、株価は一時1ドル台まで低迷した。
・米国を代表するシティの政府管理下入りで、金融救済は新たな段階に入る。
・米当局は25日には大手行の資産の厳格査定(ストレステスト)を開始した。
・潜在的な損失を確定し、資本不足の懸念解消に役立てる狙い。
・欧州でも主要銀の政府管理や国有化が進んでいる。

◆米大統領が姿勢方針演説、米再建を強調(24日)☆
・オバマ大統領は施政方針演説に相当する議会演説を行った。
・経済危機への対応を説明した上で、米国再建への取り組みを呼びかけた。
・演説ではまず目先の金融救済策や景気対策を説明し、理解と協力を求めた。
・長期的投資戦略は、エネルギー、医療、教育を重点分野として掲げた。
・短期利益優先など過去の反省を国民にも求め、将来への努力を促したのも特徴。
・新政権の政策方向が示され、焦点の焦点は具体策の肉付けと政策実施に移る。

◆中東欧の経済危機深刻化、世銀など緊急支援(27日)☆
・中東欧の経済・通貨危機が深刻化。
・世銀と欧州投資銀、欧州開発銀は、245億ユーロの緊急支援を表明した。
・昨年秋の通貨危機後、西欧の銀行などが中東欧からの資金を引き上げ。
・企業の資金繰り悪化が進み、経済の悪化、金融不安が深刻化している。
・ハンガリー、ポーランド、チェコの通貨は昨年秋以来3-5割下落した。
・中東欧経済破綻なら、貸倒れをなどを通じ西欧にも跳ね返りかねない。
・このためEU諸国も危機感を深めている。

◆UAE中銀、ドバイを救済へ(22日)☆
・UAE中銀はドバイ首長国発行の政府債200億ドルの半額を引き受けると発表した。
・ドバイの政府系企業が抱える債務返済に使う。
・UAEによる事実上のドバイ支援。
・ドバイは積極的なプロジェクトで近年急速に発展してきた。
・しかし金融危機後は成長が減速、膨大な借入が負担になっていた。
・中東の開発モデルの象徴だったドバイの苦境は、国際経済の潮目の変化を映す。

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  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【米国節目の週】 米国が大きく動いた。24日にオバマ大統領が施政方針演説を実施。27日には注目のイラク撤退計画を発表。経済では週明けの22日朝、金融市場の不安払拭に緊急声明を発表した。27日にはシティグループの追加救済策を発表し、実質政府管理に踏み切った。26日には予算の基本方針を示した。重要ニュースのオンパレードで、節目となる週だった。

◎今週の注目: 2009年3月1-7日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・中国の全人代が1日から。世界的経済悪化で中国の成長も減速。財政赤字の拡大や、特に地方での失業拡大などの問題に直面している。
・ASEAN首脳会議が3月1日
・米英首脳会議が3日にワシントンで。金融危機やイラク、アフガン政策などでどんな話を打ち出すか。

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2009年2月22日 (日)

2009年08号(2.15-21 通算452号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年2月15-21日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米がアフガンに1.7万人増派(17日)☆
・オバマ大統領はアフガンへの増派計画を決定した。
・海兵隊と陸軍の2個旅団1.7万人を夏までに派遣。兵力は計5万人になる。
・テロ対策の主戦場をイラクからアフガンに移す姿勢を明示した。
・19日にはNATO国防相会議で同盟国に説明。欧州に増派を求めた。
・ただ、欧州諸国がどこまで応じるかは不透明。
・アフガンではタリバンが勢力を回復。治安が悪化している。
・一方イラクは治安が徐々に改善。政治も安定し始めている。
・1月末の地方選は、マリキ首相派が14州中が10州で第1党になった模様。

◆ベネズエラ国民投票、大統領再選制限撤廃(15日)☆
・憲法改正を問う国民投票が実施され、修正案が承認された。
・大統領任期を連続2期までとする制限を撤廃。多選が可能になる。
・チャべス大統領の2013年の3選出馬→長期政権が可能になる。
・改憲は2007年の国民投票で否決されたが、再投票で覆した。
・大統領は1999年に就任。貧民層の支持を集める一方、ビジネス界とは対立。
・国際的には反米を前面に打ち出している。

◆カンボジア特別法定、公判開始(17日)
・ポル・ポト政権時代の虐殺を問う特別法廷で、元幹部の公判が始まった。
・被告は元収容所長。イエン・サリ元副首相らも近く起訴される見込み。
・法廷は国連と同国の合議で運営するが、法的には国内法廷という位置づけ。
・事件から30年を経て、歴史の清算が試みられる。
・同国では75-79年に200万人近くが虐殺された。

◆米住宅対策で900万世帯を支援、差し押さえ防止に750億ドル(18日)
・オバマ大統領は住宅市場の再建策を発表した。
・公的資金の活用などで返済条件を緩和。差し押さえ防止を目指す。
・対象は900万世帯。公的資金は750億ドルを投じる。
・具体的には低利ローンへの借り換え、契約見直しなどを促す。
・政権発足1月で、金融機関救済、景気対策に続き、住宅対策も打ち出した。
・ただし効果のほどは不透明。米経済運営は苦しい状態が続く。

◆米中、対話の枠組み強化など協議(21日)
・クリントン米国務長官が日中韓インドネシアのアジア4カ国を訪問した。
・中国では首脳と会談。政治・安保の戦略対話の枠組み設置などで合意。
・金融危機対応での協力も確認し、対話強化の路線を演出した。
・残り3国でも注文よりも、相手の話を聞く姿勢が目立った。

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◎寸評:of the Week
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 【経済の悪化継続】 引き続き世界各地から、経済悪化のニュースが続く。注目された材料は、日本の2008年10-12月経済成長が年率マイナス12.7%(関連して中川財務相の辞任話も面白おかしく伝えられた)。中東欧の資本流出危機表面化。米GMとクライスラーの再建計画提出(GMは最大166億ドルの追加支援要請)など。
 オバマ米大統領は17日に約7800億ドルの景気対策法案に調印。18日には住宅対策を打ち出した。しかし市場の不安を払拭させる内容とは到底言えず、20日には米NY株価が6年7か月ぶりの水準に低下した。
 悪いニュースのオンパレードという状態が、なおしばらく続くのは確実。世界各国は英知を絞って対策を繰り出すが、金融システム再建や経済回復のシナリオは描けない。いつどこで、景気や株価の底割れ、金融システム危機の再燃があってもおかしくない。 

◎今週の注目: 2009年2月22-28日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・オバマ大統領の議会演説が行われる予定。就任の年には一般教書演説がなく、それに代わり政策方針を総括的に説明する。経済対策はもちろん外交や社会政策などでどんなメッセージを打ち出すか。
・GMとクライスラーの再建計画提出を受けて、自動車産業救済論議が再び本格化する。

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2009年2月15日 (日)

◆オバマの経済対策:本格始動 2009.2.14

 オバマ政権の経済対策が本格的に動き出した。

 10日には、市場が待ちに待った金融安定化策をガイトナー財務長官が発表。前政権の支援策が十分でなかったと評したうえで、「政府支援策を抜本的に見直す」と熱弁をふるった。

 内要は、最大1兆ドルの官民ファンドの創設や資本注入の促進、貸し渋り対策など。ただ、これで金融危機を克服できる力強いものとは言い難く、具体的な詰めも不十分なところが多かった。

 市場の反応は冷ややかで、NY株価はその日381ドル安と、オバマ政権発足以来最大の下落となった。メディアも、十分でない(does not go far enough=英Financial Times紙)という反応だ。

 一方、議会の判断が注目されていた景気対策法案は、上下院の調整が進展。13日に両院が可決し、大統領が目標に掲げた16日までの法案成立が実現した。

 対策は総額7870億ドルで、3分の1が減税。3分の2が公共投資など。上下院の法案に差があった減税の割合(上院案約4割、下院案約3割)は中間で妥協した。上院の調整過程では、公共投資より減税という共和党議員の主張にも配慮した。

 総額はGDPの5.5%と最近の対策では例を見ない規模。それでも年1兆ドルの需要不足が数年続くといわれる米経済立て直しには、力不足との指摘が多い。トップ・エコノミストのクルーグマン、フェルドスタインなどは、早々そうしたコメントを発表追加策が必要と指摘した。

 法案に共和党は下院では全員が反対。上院でも賛成3人にとどまるなど、党派対立も表面化した。バイアメリカン条項など保護主義的な動きもくすぶる。

 金融危機対策も景気対策も当面の策は打ち出したが、根本治療には程遠い。オバマ政権の試練は始まったばかりだというのが実情だ。

20090214

2009年07号(2.8-14 通算451号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年2月8-14日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米が金融救済新政策と景気対策、評価は限定的(10、13日)☆
・ガイトナー財務長官は10日、新金融安定化策を発表した。
・不良債権買取りに官民で最大1兆ドルのファンドを設立。
・FRBの資金供給と金融機関への資本注入の拡大策も盛り込んだ。
・ただ金融危機解消には力不足との見方が強く、株価は下落した。
・一方、景気対策法案は上下院の調整が進展。13日に可決した。
・総額7870億ドルで、3分の1が減税、残りが公共投資など。
・米政府はGDP3%の押し上げ効果を期待する。
・総額はGDPの5.5%で、最近では例のない大型対策となる。
・ただ米国の需要不足は年1兆ドルとされ、まだ不足との指摘も多い。

◆イスラエル総選挙、右派勢力が伸長(10日)☆
・総選挙が実施され、右派・宗教勢力が伸長した。
・右派リクードが僅差の2位、極右わが家イスラエルが第3党に躍進。
・与党は中道カディマが第1党を維持したが、労働党は4位に後退した。
・連立工作の行方は不透明。リクード中心になるとの観測も強い。
・パレスチナ和平の行方は当面厳しくなった。
・中東和平促進を目指す米オバマ政権にとっても痛手だ。

◆イラン革命30周年、米と対話呼びかけ(10日)☆
・イランが革命30周年を迎え、式典を開いた。
・アハマディネジャド大統領は米との対話に応じる用意があると発言。
・オバマ大統領は9日の会見で、2国間交渉に意欲を示した。
・30年止まっていた対話が動き出す可能性がある。
・イラン政局は経済改善の遅れなどもあり、微妙な状況。
・改革派のハタミ前大統領は8日、6月の大統領選への出馬を表明した。
・保守派の大統領との一騎打ちになる。

◆豪州で山火事、死者130人超 ☆
・豪南東部ビクトリア州で山火事が発生。
・14日までに200人以上が死亡。最終的死者は300人超の可能性がある。
・火事は400か所以上に上り、同国史上最大級の山火事災害になった。
・放火も一因とみられ、当局は容疑者を逮捕した。

◆オバマ大統領が初の会見、経済対策に決意(9日)☆
・オバマ米大統領が当選以来初の記者会見を実施。
・無策なら経済は破綻すると危機感を表明。財政出動で克服を強調した。
・政策の優先順位として、雇用創出、金融安定化、住宅問題対処を挙げた。
・外交ではイランとの対話糸口を数か月内に探したいと期待を表明した。
・会見では保守系メディアの記者が指名されず、反発を呼んだ。

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◎寸評:of the Week
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 【オバマ政権の試練】 政権の閣僚人事で、商務長官に推薦されていたグレッグ上院議員は12日指名を辞退した。景気法案を巡る考え方の違いなどを原因としており、就任から3週間で党派対立が目立ってきた。外交でもイスラエルの総選挙結果は、オバマ政権にとって逆風の結果。予想したこととはいえ、試練が早くも始まった。

 【経済悪化】 米国以外も経済の悪化は続く。13日発表のユーロ圏の2008年10-12月GDPは、前期比年率6%のマイナス。ドイツは前期比2.1%、年率約8%のマイナス。日本が近々発表する数字も、年率でマイナス10%程度になりそうだ。14日のローマでのG7財務相・中銀総裁会議は、金融、財政政策総動員で経済悪化に歯止めをかけることを確認した。同時に、保護主義台頭に強い懸念を示した。

 【イスラエル総選挙】 イスラエル総選挙は右派・宗教勢力が伸長。従来の中道カディマと中道左派労働党中心の政権維持はなくなった。
 連立交渉の行方は流動的だ。右派は合計議席では過半数を上回るが、リクードが極右の極右のわが家イスラエルなどと連立を組むかは不明。カディマとリクード中心の大連立の可能性も排除できない。
 リクードは対ハマスで強硬姿勢を崩さず、パレスチナとの対話に慎重。パレスチナ和平の行方は、難しくなる。ただ、リクードも対話を求める国政社会の動きを無視できないのはもちろん承知だ。
 事前の世論調査では、リクードが第1党になる勢いだった。しかし、結果はカディマが予想外の健闘を見せ、第1党を維持した。ガザ紛争では強硬姿勢支持が多かったイスラエル国民の判断にも、迷いが見られる。情勢判断は難しい。

◎今週の注目: 2009年2月15-21日
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・米自動車産業の救済論議が再び山場を迎える。GMとクライスラーが求められている再建案の提出期限は17日。米メディアの報道では、GMは案の1つに連邦破産法11条の適用申請も盛り込むとの情報もある。一方、準備が間に合わず再び延長という観測も流れている。
・クリントン米国務長官が16日からアジア訪問。北朝鮮問題や対中政策などでどんな色を出すか。

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2009年2月 8日 (日)

◆経済悪化と米新政権 2008.2.7

▼経済悪化

 世界経済悪化のニュースが相変わらず続く。類型すれば(1)金融機関の経営悪化(2)企業のリストラや大規模な人員削減(3)マクロ指標の悪化、など。(1)ではドイツ銀行の戦後初の赤字決算、(2)ではパナソニックの人員削減、(3)では1月の米失業率が0.4ポイント増の7.6%に上昇(6日)などが典型だ。こうした状況は過去数カ月続き、今後もしばらくは変わらないだろう。

▼米景気対策

 そうした中で注目されるのが米国の景気対策。議会では法案成立に向けた調整が佳境で、今週中にも決着を目指す。金額は総額8000億ドル前後で、中間層を対象とした減税や公共事業などを盛り込んだ内容。上院は10日にも採決の予定で、可決ならその後、下院との調整に入る。

 オバマ大統領の危機感は強く、国民向けの演説で「迅速に動かなければ国家的破局になる」と訴えた。出業率は16年ぶりの高水準に達し、雇用は過去2か月、約50万人ずつ減少している。

 法案で先行き展望が開けると考えたら非現実的だが、成立の遅れが状況を深刻化させるのは間違いない。

▼オバマ政権に最初の試練

 オバマ政権の厚生長官に指名されていたダシュル元上院院内総務が就任を辞退した。納税漏れが発覚し、議会の承認が難航したため。厚生長官は医療改革を担当する重要ポストで、政権にとっては打撃になる。オバマ氏は指名責任を認め、判断のミスだったと陳謝した。

 経済は上記のように悪化の一途。景気対策は、調整の細部に入ると色々問題が噴出して来る。野党共和党は公共事業の中に無駄なものがあるなどと注文。一方与党民主党からは産業や労組保護の声が上がり、上院の法案にはいったんバイアメリカン条項強化が盛り込まれた。

 自動車業界に続き、部品業界なども公的保護を要求。金融支援策は決め手などなく、綱渡りの政策運営が続く。大統領の表情にも厳しさが増す。

 英Financial Times社説は、Bad week for Presidento Obamaと書いた。就任式の興奮は収まり、試練の時が始まった。

▼保護主義・大きな政府

 金融危機で新自由主義信奉は崩壊したが、その後の展望は視界不透明。経済運営の理念や政策も試行錯誤だ。金融救済では不良債権買い取りや資本注入、政府による保証などの案が出ては消え、修正が重ねられる(こうしている間に、緊急避難的に公的資金注入や国営化が続く)。

 景気対策を巡っては、減税か公共投資かなどでスタンスの違いがあちらこちらで露出。国際協調と絡んで、時には軋轢が表面化する。前州はサルコジ仏大統領が、減税優先型の英ブラウン首相の政策に批判的なコメントをし話題になった。

 こうした中で、兆候をとらえたキーワードをとらえれば信用収縮、保護主義の台頭、大きな政府の復活などか。「国際協調」は掛け声としては大きいが、まだ結実していない。

2009.2.7

2009年06号(2.1-7 通算450号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年2月1-7日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆保護主義台頭の懸念、米にバイアメリカン条項の動き(2日)☆
・米欧を中心に保護主義の動きが表面化してきた。
・米上院は景気対策法案の原案に、バイアメリカン条項を盛り込んだ。
・公共事業に米国製品の使用を求める内要。
・オバマ大統領がWTOとの整合性などを要求。案は一応修正された。
・英国などでも自国民の雇用優先、移民規制強化を求める動きがある。
・各国の公的支援は、金融から一般産業に広がっている。
・各国指導者は保護主義反対を表明するが、歯止めになっていない。
・英Financial TimesはProtectionism on riseと報じた。

◆キルギスの米軍基地閉鎖方針(3日)☆
・バキエフ大統領は同国内の米軍空軍基地の閉鎖を発表した。
・ロシアからの財政支援と引き換えに決断。首脳会談後に表明した。
・米軍基地は2001年の9.11後に首都ビシケク郊外に設置。
・約1000人が駐在し、対アフガン戦略の補給基地として重要。
・しかし基地使用料などを巡り、米国と交渉が難航していた。
・ロシアは旧ソ連圏の勢力回復に努め、支援を条件に閉鎖を求めた。
・ウズベキスタンの米軍基地も2005年に閉鎖している。
・中央アジアの勢力図、米欧のアフガン戦略にも影響を与える。

◆イラン、国産衛星打ち上げ(3日) ☆
・イランは国産の衛星を打ち上げ、軌道に乗せたと発表した。
・研究、通信目的としている。
・ただ技術はミサイル発射にも利用でき、欧米は警戒している。
・今月は革命30周年で、国威発揚の狙いもある模様。
・バイデン米副大統領は7日国際会議で、イランに直接対話を呼びかけた。

◆イラクの戦闘死者、1月は開戦以来最低に ☆
・1月の交戦死者が開戦以来最低になった。米兵4人、民間人138人。
・従来の最低は米兵が08年12月の7人。一般は08年10月と12月の238人。
・イラクの治安が以前よりは安定してきたことを物語る。
・1月末の地方選挙は大きな混乱なく終了。
・開票が進み、マリキ首相派が優勢で推移している。

◆米、金融経営者の報酬制限(4日)
・オバマ大統領は公的支援を受ける金融機関経営者の報酬制限を発表した。
・年間報酬を年50万ドルまでに制限する。大統領の報酬とほぼ同じ額。
・納税者の批判に応え、金融支援への理解を得るために決定した。
・金融機関への公的資金投入後も、経営者への多額報酬が継続していた。
・欧州でも同様に、多額報酬への批判が高まっている。
・ただ、有能な経営者の維持、国家関与の一段の拡大など新たな問題も生じる。

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◎寸評:of the Week
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【イラン革命30周年】 イラン革命から今月で30周年を迎える。この間世界からの孤立が続き、米欧との関係は冷えたまま。ハタミ前大統領時代の経済改革は後退し、ここ数年は核開発など強硬姿勢が目立つ。
 しかし、イラク情勢混乱など中東情勢が大きく変わる中、イラントの関係見直しが重要問題であることは論じるまでもない。
 革命30周年を機に国際的メディアはイラン特集を展開している。中で面白いのが革命の精神的支柱だったホメイニ師の孫たちの動向だ。15人余りといわれる孫たちには政治に関与している者もいるが、いわゆる改革派が多い。 
 米政権の交代と経済危機で世界の枠組みは大きく変わっている。イランはどの方向に進むか。

◎今週の注目: 2009年2月8-14日
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・イスラエル総選挙が10日に行われる。ガザ攻撃でパレスチナ情勢が緊張する中、事前の世論調査では右派リクードがリードを保っている。第1党となれば中道カディマ中心の現政権から交代。パレスチナ問題ではさらに強硬姿勢に転じる可能性が大きい。
・米議会が景気対策法案の調整大詰めを迎える。上院は10日にも採決の予定。

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2009年2月 3日 (火)

2009年05号(1.25-31 通算449号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年1月25-31日
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◆ダボス会議、経済危機を協議(28日)☆
・ダボス会議が開幕。世界約40カ国の首脳らが参加し議論している。
・経済危機への対応が焦点になり、国際協調整備や米国への注文が出た。
・アナン前国連事務総長やブラウン英首相らは金融監視機能整備を強調した。
・プーチン露首相と温家宝中国首相は、米経済モデルの問題を改めて指摘。
・中東和平を巡ってはイスラエルとトルコ首脳が激しく対立した。
・一方ブラジルのベレンでは29日「反ダボス」の世界社会フォーラムが開催。
・中南米の左派政権の首脳が参加し、米への批判が相次いだ。

◆IMF予想、09年の世界経済成長戦後最悪(28日)☆
・IMFが発表した経済見通しによると、09年の世界経済の成長率は0.5%。
・先進国は軒並みマイナス成長。途上国も大幅に減速する。
・昨年11月予想から1.7ポイント低下し、第2次大戦後最悪の数字となる。
・民間予測では世界経済成長がマイナスに落ち込むとの見方もある。
・米国が30日発表した08年10-12月GDPは前期比年率3.8%マイナスだった。
・26日には欧米の大手企業が軒並み人員削減を発表。計7.5万人に上った。

◆オバマ政権、矢継ぎ早に政策転換、排ガスは規制強化(26日)☆
・オバマ米新政権が矢継ぎ早に新政策を打ち出している。
・外交ではグアンタナモ収容所閉鎖やイラク撤退計画の策定を開始。
・26日には排ガス規制強化を含む大統領令に著名。前政権の政策を転換した。
・カリフォルニア州の独自規制を容認。他州も追随し、連邦基準になる見込み。
・景気対策は2月半ばまでに成立させる方針。新金融救済策を近く発表する。

◆米特使がガザ紛争調停(28日)
・オバマ政権のミッチェル中東和平担当特使が現地を訪問。
・ガザ紛争を巡る調停活動を始めた。
・イスラエル首脳、パレスチナ自治政府のアッバス議長らと協議。
・ただし、ハマスの首脳と会談はしない。
・紛争は18日の一方的停戦以降、限定的な攻撃が生じている。

◆ロシア、ミサイル配備を中断(28日)
・ロシアはカリーニングラードへの新型ミサイル配備作業を中断した。
・オバマ米新政権の東欧へのミサイル配備の行方を見るためとみられる。
・ロシアはブッシュ前政権の進めたミサイル配備計画に反発。
・11月に飛び地への新型ミサイル配備計画を発表した。
・オバマ大統領は米ロ関係悪化防止の姿勢を見せている。

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◎寸評:of the Week
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 【ダボス会議の議論】 ダボス会議が28日始まった。世界的な経済危機の最中の会議とあり、注目度は例年以上。世界約40カ国の首脳のほか、経営トップらが参加した。
 世界経済の行方に対する危機感はほぼ全員が共有。国際協調の強化や金融監視システムの強化などでも一致した。米オバマ政権に対する注文や期待も強かった。
 ただ、国際協調強化などの具体案はいま一つ明確でなく、問題の難しさを改めて認識させた。
 個々の参加者で注目されたのは、初日のプーチン・ロシア首相と温家宝中国首相の演説。いずれも経済危機の原因となった米経済システムに厳しい見方を示し、欧米中心の政策運営を批判した。英Financial Times紙は、「中ロ首脳が西側リーダーを批判」(Wen and Putin criticise western leaders at Davos)と報じた。
 ジョージ・ソロスは世界主要メディアへの投稿も含め、経済危機について変わらず傾聴に値する見解を提示。オバマ大統領や欧州リーダーに、素早い財政政策、国際体制の思い切った見直しなどを求めた。

 【経済悪化・保護主義・ゼネスト】 世界経済の悪化が止まらない。今週も景気後退を伝えるニュースが相次いだ。
 IMFは2009年の世界経済成長が戦後最悪になるとの見通しを発表。米国の09年10-12月GDPは前期比年率3.8%の大幅マイナスになった。ユーロ圏の昨年12月の失業率は昨年より0.8ポイント増の8.0%に上昇。ドイツの1月の失業率は前期比で0.9ポイントも上昇し8.3%になった。ロシアは2009年の財政収支が赤字になる見通しになり、ルーブルは急落している。
 こうした中で世界的に保護主義の動きが目立ち始めた。WTOのまとめによると、最近の経済危機に関連し貿易保護的な手段導入に動いた国は16カ国。国内政策でも産業救済・支援の動きが広がっている。
 欧州では29日にフランスで、国鉄や学校勤務の労働者が雇用維持や政府の経済政策に抗議するストを実施。ドイツでも鉄道や航空会社がストを実施した。英国ではリンカーンシャー州の石油精製産業の労働者が、イタリア人労働者の請負により職を奪われていると抗議のデモを展開。これまで経済の領域にとどまっていた雇用問題が、社会問題に広がる兆しを見せ始めている。
 こうした中で注目されるのが各国政府の対応。中でも米国の動きに関心が集まる。 
 FRBは28日の公開市場委員会でゼロ金利政策の維持と長期国債購入の準備推進を発表。金融システムの破綻、経済の底割れ防止になりふり構わずの姿勢だ。
 一方オバマ新政権は、2月中旬までに8000億ドル規模の景気対策法案をまとめる姿勢を表明。28日には下院が8190億ドルの法案を可決。上院は8870億ドルの法案を協議中で、来週調整を急ぐ。
 一方、金融救済についても来週にも新政策を発表する予定で、大統領が31日のラジオ演説で国民に表明した。

◎今週の注目: 2009年2月1-7日
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・米オバマ政権が金融救済の新計画を発表の見込み。景気対策法案の審議も大詰めを迎える。
・ダボス会議が閉幕する。メッセージ総括はそうなるか。

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2009年1月25日 (日)

◆世界経済の冬景色 2009.1.24

 世界経済の悪化が一段と深刻化している。金融不安拡大と実体経済悪化の悪循環が続き、政府・当局の相次ぐ救済策も奏功していない。今週はマクロ数字の一段の悪化、金融不安の再燃、民間企業の業績悪化と人員削減拡大が集中した。動きをまとめると以下の通りだ。

▼人員削減の嵐
 オバマ米大統領就任直後の22日、経済的にショックなニュースが相次いだ。
 マイクロソフトが、業績悪化を理由に今後1年半で最大5000人の人員削減計画を発表した。創業以来初の大型リストラ。1980年代以降世界のコンピューター業界をリードし、時価総額で業界トップの同社だけに、世界にインパクトを与えた。
 ソニーも希望退職募集を発表。リストラの一段の拡大も表明した。2008年度の決算は14年ぶりに赤字になる。
 その他半導体大手のインテル、携帯電話のエリクソンなども計画を発表。ドバイの政府系投資会社のイスティスマルも人減らしに踏み切る。
 先年秋から金融機関中心に人員整理が進んだが、ここにきて自動車、電機など業種を問わず広がっている。世界を代表する優良企業もその列に加わった。1-2ヶ月後には失業率などの統計に影響が出てくるのは必至だ。

▼民間企業の収益悪化
 こうしたリストラを不可避にしているのが、企業の業績悪化だ。
 エレクトロニクス業界の「勝ち組」の代表だった韓国・サムスンは10-12月決算で、上場以来初の赤字を計上した。
 Web2.0時代をリードするグーグルは、10-12月に上場以来初の減益になった。世界を代表するハイテク企業も軒並み業績悪化だ。
 自動車はトヨタ自動車の赤字転落に象徴されるように、収益悪化が深刻。米ビッグ3は存亡の瀬戸際だ。
 サウジのキングダム・ホールディングなど産油国の投資会社も経営悪化している。
 DRAM5位の独キマンダは23日、破産手続きを申請した。経営破たんも相次ぎそうだ。

▼金融不安再燃
 欧米など政府・当局の支援にも関わらず、金融機関の業績改善は遅れ、金融不安が再燃する。
 米3大銀のシティ・グループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースは10-12月期に計445億ドルの損失処理を実施。シティが82億ドルなど多額の純損失を計上した。シティは再建のためグループ2分割に追い込まれ、バンカメは米政府から資本再注入、将来の損失肩代わりを柱とする再支援策を受けた。
 最近の特徴は、損失がサブプライムなど証券化商品だけでなく、個人ローンなどに広がっている点だ。実体経済悪化との悪循環を反映する。
 英国のRBSは19日、2008年に280億ポンドの損失見通しを発表。英政府は優先株を普通株に転換し持ち株比率を引き上げることを決めた。早晩、部分国有化から完全国有化が避けられないとの見方も強まっている。
 欧州ではドイツ銀行が2008年に通年で初の赤字になる見通しを発表。スイスのUBSの経営悪化も深刻だ。

▼マクロ経済指数の悪化
 経済指数の悪化も、ここに来て深刻さが際立つ。18-24日には次のような発表があった。

 米国の2008年住宅着工件数は33%減で1950年代以降の最低を更新。12月の数字は前年比半減、ピーク時の8割減になった。
 英国の2008年10-12月のGDPは前期比マイナス1.5%。2・4半期連続のマイナスで公式に景気後退入り。
 日銀は2008度の経済成長をマイナス1.8、2009年度をマイナス2%とする2年連続マイナス成長の経済見通しを発表。
 中国の10-12月の成長率は前年比6.8%で7年ぶりの低い水準となり、社会安定に必要といわれる8%を割り込んだ。2008年の成長率は9%で6年ぶりの1ケタ。
 欧州委員会は、2009年のユーロ圏の成長率がマイナス1.9%になると予想した。UNCTADの見通しでは、2009年の世界経済は最悪シナリオで推移した場合マイナス0.4%となる。

▼政府・当局の対応
 各国政府・当局は金融システム安定と景気刺激の2面から、対応策を繰り出している。
 英国は19日、社債やCP買い取りの基金創設などを柱とする追加金融安定化策を発表した。
 日銀は22日、資金供給拡大のためCPや社債の買取り導入を決定した。
 ドイツは13日に500億ユーロの景気対策を打ち出している。シンガポールなども追加策を発表した。
 当面の最大の焦点は、米オバマ政権の対応。景気刺激策については、向こう2年で300万人の雇用創出を目標に8250億ドルの対応策を打ち出す方針を表明。2月中旬までに関連法の成立を目指す。
 金融安定化策については、新たな対応の取りまとめを開始。4月初めのG20首脳会議までには全体像を打ち出す姿勢だ。

2009.1.24

◆オバマ大統領就任と米国・世界 2009.1.24

 米国の第44代大統領にバラク・オバマ氏が20日就任した。初の黒人大統領はそれだけで歴史的。しかも世界的な経済危機の中で米国のリーダーシップ回復への期待が高い時だけに、新大統領への期待は異常なほどに大きい。就任式と演説から、オバマ政権と米国・世界の行方と課題を展望する。

▼歴史的な就任式
 就任式はとにかく歴史的だった。ワシントンには200万人近い人々が集まり、新大統領の就任を祝った。
黒人は19世紀後半まで奴隷として使われ、半世紀前でもなお公然と差別されていた。その黒人大統領の誕生は、米国の持つダイナミズムを改めて感じさせた。効果的な演出も手伝い、米国には高揚感が漂った。

▼就任式の映し出したもの
 就任式は、色々な点で米国社会の特徴や抱える課題を映し出した。
 新大統領登場の際の紹介は、「バラク・H・オバマ」。ミドルネームのフセインを意図的に避け、イスラムに対する米国民の微妙な感情を反映した。
 祈りをささげる牧師には、同性婚反対運動を進めるキリスト教福音派のウォーレン牧師を起用。保守派への配慮を示した。
 式典では平和裏な権力の交代を(peaceful transition of power)繰り返し強調した。
 大統領宣誓は聖書に手を置いて実施。就任演説も、他の参加者のスピーチにも「神のご加護を」(God bless you)が入った。オバマ大統領は他宗教・他文化の尊重を強調したが、米社会がキリスト教中文化であることを改めて印象付けた。

▼就任演説のメッセージ
 オバマ大統領の就任演説は約20分。内容には大統領の問題意識、目指すもの、コミュニケーションの手法と能力などが凝縮されている。演説の筋立てを箇条書きで示せば、おおむね以下の通りだ。

(1)危機の認識と克服の呼びかけ、ブッシュ時代との決別
・危機意識の確認=経済危機、2つの戦争
・原因は強欲と無責任。さらには新時代に備えた選択をしなかった我々の責任==>ブッシュ時代との決別。国民に責任自覚要求
・米国再建の呼びかけ=克服は容易でないが可能。根拠は米国の力、建国以来の人々の努力。

(2)経済危機への対応
・経済再建の具体的構想=雇用対応と共に新しい成長の基礎。具体的に新インフラ、IT基盤、技術振興、新医療システム、環境技術。
・政府の役割・経済原理=大きい政府か小さい政府かではなく機能する政府。市場経済は大事だが監視も必要。

(3)外交政策
・安全か理想かの選択を拒否。国際協調を強調==>ブッシュ時代の善悪2元論、単独主義否定
・具体的課題として、イラク撤退、アフガン、核拡散、地球温暖化。
・テロとは断固戦う姿勢を明示。
・多様性と対話を尊重=多様性は米国の強みと。イスラム社会と相互尊重の対話を呼びかけ。

(4)米国民への呼びかけ
・世界が変わる中で米国も変わる必要がある。
・米国民に自覚と責任を求める=(ケネディとの類似性)
・新しい挑戦のために古い美徳の価値強調=正直さ、勤勉、勇気、公正さ、寛容性、好奇心、忠誠心、愛国心
・未来への責任=米国の歴史の例を引きながら。

▽キーワード
 演説のキーワードを挙げれば、米国再建(remaking America)、新たな責任の時代(New era of responsibility)、世界ともに変化( For the world has changed, and we must change with it)などだろう。
 NT Timesの分析によると、使用単語で多かったのは、nation, America, people, work, generartion, worldの順。イラク戦争開始後のブッシュ大統領2期目はfreedomが最多だった。歴代大統領の演説でも、nationが多いのはよくあることだ。
 NYTは初代ワシントン大統領以来の就任演説使用語を分析しており面白い。次のアドレスでアクセスできる。
http://www.nytimes.com/interactive/2009/01/17/washington/20090117_ADDRESSES.html

▽特徴
 ポイントをまとめれば、(1)ブッシュ時代との決別を明確に宣言し、米国再建を訴えたこと(2)経済危機と外交問題克服へのへの決意を強い意志で表明したこと(3)米国人に変化と新たな責任を求めたこと、などだ。
 政策課題への取り組みは極めて具体的。経済対策は、単に失業対策ではなく未来の成長につながる新インフラ、IT基盤、技術振興、新医療システム、環境技術に集中投資すると明言。特に環境では、太陽や風力、土壌を活用して自動車や工場を動かすと例示した。
 外交ではイラク撤退、アフガン、核拡散、地球温暖化を特に重点課題として例示。国際協調と対話の重要性を強調し、特にイスラム圏に対話促進のサインを送った。
 一方でテロ(平和を望まない勢力)には断固たる姿勢で臨むと宣言。硬軟両面の現実的な姿勢をうかがわせた。

▽伝統的価値と未来志向
 新時代への変化を求める一方で、米国の伝統的価値観に重きを置いたのも特徴。米国建国の精神、米発展の歴史を繰り返し、米国の潜在力を強調した。それにより、国民の自信回復と国民融和を促した。
 ブッシュ時代の政策は具体的批判こそしなかったものの、明確に決裂を宣言。同時にその選んだ国民にも責任と自覚を求めた。
 歴史に残る一節があったとは言い切れない。しかし演説は格調高く、大統領の読み上げも間の取り方がうまかった。内容的および演出を見ると、リンカーン、ルーズベルト、ケネディを意識しているようにうかがえる。

▼世界の期待
 新大統領に対する米国民と世界の期待は大きい。
 メディアはほぼ好意的な姿勢で報道。NYTは「オバマ宣誓、危機局面の国家は祝福」(Obama takes oath, and nation in crisis embraces the moment)と報じ、英Financial Timesは社説で「オバマの成功は世界にとって必要」(World needs Obama to succeed)と論じた。
 中国や南米のメディアもほぼ前向きに受け止め、中東はイスラム圏への対話呼びかけに期待する。
 ブッシュ時代に米国の信望は大きく失墜した。しかし米国のリーダーシップなしに世界は動かない。金融危機は、それを改めて認識させた。
 大統領交代を受け、世界は新時代の訪れに期待する。就任演説は、その北位置を一層高めた。

▼難問山積
 新政権は早速動き出した。就任早々、ブッシュ政権の人権軽視の象徴的存在だったグアンタナモ収容所の閉鎖を決定。イラク撤退計画の策定指示した。中東和平とアフガン・パリスタン問題では特使を任命。金融危機と景気対策は内容の取りまとめに拍車をかけている。
 政府関係者、議会関係者らとは精力的に協議。欧州主要国や中東諸国首脳との電話会談も積極的にこなし、すでにフル稼働だ。 
 もちろん経済危機克服とイラク、アフガンを中心に難問は山積。短期間での成果は限界がある。それでも、米大統領以上に期待できる人物は、地球上にいない。
 最初の100日は、野党共和党やメディア、国民とも蜜月関係が続き、思い切った対応ができる期間。世界は高い期待値を持って、新大統領のお手並み拝見となる。

2009.1.24

2009年04号(1.8-24 通算448号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年1月18-24日
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◆オバマ米大統領が就任(20日)☆☆☆
・米第44代大統領にバラク・オバマ氏が就任した。
・初の黒人大統領で、人種の壁を超えた歴史的な意義を持つ。
・ワシントンには200万人近くが集まり式典に参加した。
・就任演説はブッシュ時代との決別を示し、米国再建を強調。
・経済危機克服への決意や、国際協調外交への転換を表明した。
・世界は大きな期待感を持って新大統領を迎えた。

◆米大統領、グアンタナモ収容所閉鎖を指示(22日)☆
・オバマ氏は1年内に収容所閉鎖を指示する大統領令に署名した。
・同所はグアンタナモ基地内にあり、テロ容疑者250人を収容。
・容疑者への拷問などが発覚。前政権の人権軽視の象徴になっていた。
・容疑者の移送先をどうするかなどが焦点になる。
・大統領は21日には安保会合でイラク撤退計画の策定を指示した。
・中東和平特使とアフガン・パキスタン担当特別代表を指名した。
・経済対策では2月中旬までに景気対策策定の意向を表明した。

◆世界経済の悪化加速 ☆
・世界経済の悪化に拍車がかかっている。
・中国が22日発表した08年10-12月GDPは、前年比6.8%成長に低下。
・英国は23日、公式に景気後退入りした。
・UNCTAD予測では、2009年の世界経済はマイナス成長の可能性がある。

◆世界各地で相次ぎ人員削減 ☆
・08年10-12月決算の発表時期を迎え、民間企業の業績悪化が相次いだ。
・韓国のサムソンは上場来初の赤字。ソニーは通期で14年ぶり赤字。
・グーグルは上場来初の減益となる。
・こうした中、各社は合理化を推進。
・21日にはマイクロソフト、ソニーが人員削減計画を発表した。
・インテルなど優良企業の人員削減も相次いでいる。

◆イスラエルとハマスが一方的停戦(18日)☆
・イスラエルはガザでの戦闘停止を決定。21日までに撤退を完了した。
・ハマスも1週間の停戦を一方的に宣言した。
・昨年末イスラエルの空爆で始まった戦闘は、22日間でひとまず収束した。
・この間ガザは大々的に破壊され、死者は1300人を超えた。
・ただ、イスラエル軍はガザの経済封鎖を維持。
・長期停戦に向けた話し合いは進んでいない。
・情勢は不透明なまま、米オバマ政権発足、イスラエル総選挙へと進む。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【オバマ新大統領】 オバマ米新大統領の就任に世界が沸いた。初の黒人大統領誕生は、それだけで歴史的。首都ワシントンには歴史的瞬間をともに味わおうと200万人近い人々が終結。世界のメディアのカバーも熱狂的だった。人々にここまで期待を抱かせ、気持ちを高揚させた事例は近年あまりない。
 とはいえ、大統領自身が就任演説で強調したように、直面する現実は厳しく、課題は大きい。大恐慌以来の経済危機はここにきて再度深刻化。世界各地で経済悪化→社会不安拡大の悪循環の芽が見られる。こうした現実を反映してか、世論の祝賀ムードをよそに、20日のNY株式市場ではNYダウ株価が4%下落した。

 【米新大統領下の世界指導】 オバマ新大統領就任をきっかけに、世界が大きく動き始めようとしている。イスラエルとハマスは一方的停戦を表明したが、米新政権発足を意識した動き。大統領就任後、新政権は矢継ぎ早に新しい政策を打ち出した。グアンタナモ収容所の閉鎖決定のように政策の大転換もあり、それが世界にインパクトを与る。経済危機対応でも、近々いくつもの重要決定が出てくる見込み。変化の連鎖が様々な分野で起きるだろう。

 【一方的停戦】 イスラエルとハマスがともに一方的停戦を表明。昨年暮れからの戦闘はひとまず収束した。
 イスラエルは18日、ハマスの軍事施設をたたくという当初の目的を達成したとして、戦闘停止を表明した。背後には紛争の泥沼化懸念、国際的批判への反応などがあるが、20日の米オバマ政権発足も意識していたのは間違いない。ハマスもイスラエルの1週間以内の撤退、検問所の開放などを条件に戦闘停止を表明した。
 とはいえ、両者の間に停戦合意が成立したわけではない。
 立場の違いは決定的だ。イスラエルは選挙で選ばれたハマス政権を「テロ集団」として正統性を認めず、国際条約に違反するガザ閉鎖を続ける(150万人の住民が電気、水道の供給が不十分な劣悪な条件下で生活)。一方のハマスはイスラエルの存在を認めず、武力闘争を是とする立場を変えない。今回の紛争による死者は1300人を超え、憎悪の念は一層強まった。
 長期的な停戦には、ガザへの武器持込みを管理するエジプト・ガザ国境の監視やイスラエルによるガザ封鎖解除がカギになる。しかし実現は容易ではない。紛争がいつ再燃してもおかしくない。
 目先の焦点はオバマ米政権の対応と2月10日のイスラエルの総選挙になるだろう。米新政権の動きでは、ミッチェル元上院銀を中東和平担当の特使に指名する一方、大統領はイスラエルの立場に配慮する発言もしている。

◎今週の注目: 2009年1月25-31日
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・米オバマ新政権の動きは急だ。外交や経済対策で新方針を次々と打ち出す見込み。
・ダボス会議が28日から始まる。「経済危機後の世界のあり方」(Shaping the Post-Crisis World)をテーマに、世界各国の首脳、政治家、経済リーダーらが議論する。時宜を得たテーマで、通常以上に関心も高い。

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2009年1月18日 (日)

◆金融危機、またぞろ深刻化 2009.1.17

 金融危機が再び深刻な局面を迎えている。

 米欧大手金融機関の最新決算(2008年10-12月中心)は軒並み厳しい数字を記録した。世界的な経済悪化で資産の悪化が進み、新たな損失処理を迫られたためだ。当局の昨年後半の救済策にも関わらず、業績回復のシナリオは描けない。

 こうした中で米シティグループは17日、会社の2分割を発表した。銀行中心の中核部門と証券など他の部門に分割。非中核事業の売却・リストラを進めて何とか生き残りを図ろうという内容だ。これに先立つ13日には個人向け証券のスミスバーニーをモルガン・スタンレーに売却することを決めた。グループの事実上の解体ともいえる決断だ。

 米政府は昨年10月、主要行への資本の一斉注入を実施。11月にはシティを特に対象として追加資本注入など救済策を決定した。シティは5万人以上の大幅人員削減も決めた。それでも先行き不安は消えず、今回の決定となった。

 米大手銀で昨年9月の金融危機時には大手証券メリルリンチを買収したバンク・オブ・アメリカの業績も悪化。米政府は16日追加支援策を発表した。今後発生する損失を政府が肩代わりする一方、資本の再注入を実施するなど、11月のシティの追加救済策とほぼ同じ内容だ。

 欧州でもドイツ銀行、英バークレイズなど大手の業績悪化が続く。欧州当局は公的資金注入、国営化(部分国営化)、不良資産の買い取り構想の発表など対応策を相次いで打ち出しているが、打ち止