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2021年2月 8日 (月)

◆ミャンマーのクーデターの衝撃 2021.2.7

 ミャンマーでクーデターが発生した。2010年代の民主化から約10年、2016年に選挙で選ばれたNDL政権が発足してから約5年目の出来事。民主化の逆戻りが、地域や世界に与える衝撃は小さくない。

▼選挙結果を否定

 国軍によるクーデターは1日早朝に発生した。国軍がアウン・サン・スー・チー国家顧問らを拘束。ムン・アウン・フライン軍総司令官に全権を委ねた。新軍事政権は2020年11月の選挙を無効とし、非常事態宣言を発した。

 人々は内外でクーデターへの抗議活動を展開。ミャンマー国内では抗議集会などを繰り広げる。海外在住のミャンマー人も呼応する。

 しかし軍は力ずくで押さえ込む姿勢を鮮明にする。政府などの主要施設は支配下に置いた模様だ。フェイスブックなどのSNSやインターネットを相次ぎ遮断し、言論対策も進める。

▼民主化の逆行

 ミャンマーは2010年代に民主化が進み、2015年の総選挙を受けてスー・チー氏をトップとするNLD政権が発足した。

 2020年11月の選挙でもNLDが圧勝、近く2期目が始まるところだった。クーデターはその直前に起きた。
 
 米国や欧州はクーデターを批判、制裁などの構えを見せる。しかし中国やASEAN諸国は静観の構えだ。

 軍は国際情勢などを見極め、用意周到でクーデターを実施した節がある。真相は不明な点も残るが、ミャンマー民主化が頓挫し、逆戻りしたのは間違いない。

▼民主化が成長助長

 ミャンマーは長らく、軍事政権が支配する国だった。1962年のクーデターでネ・ウィン氏(議長、大統領などに就任)をトップとする軍事支配体制を確立。鎖国下の社会主義政策を取りながら独裁支配を続けた。

 1980年代の民主化の動きを受け、1990年に総選挙を実施。NLDが勝利した。しかし軍は再度クーデターを起こし独裁体制を続けた。アウン・サン・スー・チー氏が軟禁下に置かれながら民主化のリーダーとして存在感を高めたのはこの時期だ。

 2010年代の開国と民主化の結果、欧米企業などの企業進出が進んだ。ミャンマーは「アジア最後の市場」として期待された。経済成長が進んだのも民主化の影響が大きかった。

▼先行き不透明感拡大

 肝いりで誕生したNDL政権が問題含みだったことは事実だ。イスラム教徒の少数民族、ロヒンギャ問題では、軍の強硬策を黙認していると国際社会の批判を浴びた。外資誘致も期待したほどの成果は上がっていない。ミャンマー国内の少数民族との対話も十分に進まない。

 しかし、国軍や軍指導者に国家建設の戦略があるかと言えば首をかしげざるを得ない。米欧などの企業進出は、クーデターで足踏みするのは必至。民主化を押さえつけるだけで成長の青写真は描けるのか。中国の支配強化を受け入れるのか。先行きは不透明感が増す。

 世界的にも強権国家の増加や民主主義の後退が指摘されている。しかし、選挙で選ばれた民主政権をクーデターで倒すとなれば、深刻度は異なる。

 民主化、アジアの勢力図、地域の安定ーーミャンマー情勢は様々な面で、地域や世界への広がりを持つ。

◎ 軍の銃声 常夏の国に冬が来る
◎ 「国中が監獄」歴史にとどめたい
◎ ネット遮断 焚書の記憶がよみがえる

2021.2.7
 

 

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