« 2020年52号 (12.22-31 通算1068号) 国際ニュース・カウントダウン | トップページ | ◆Brexit後の欧州の課題――英国の完全離脱後の展望 2020.12.31 »

2020年12月31日 (木)

◆2020年の世界10大ニュース 2020.12.31

 2020年が終了する。今年の世界は新型コロナの感染に揺れ動き、風景は一変した。感染終息のメドは立たず、衝撃波はなお広がる。コロナを中心に2020年の世界を10大ニュースの形で振り返る。

▼INCDが選ぶ10大ニュース

 INCDが独断と偏見で選ぶ10大ニュースは以下の通り。

1.新型コロナ感染世界に拡大、経済・社会を揺るがす
2.米大統領選バイデン氏勝利、トランプ時代幕引きへ
3.英国がEU離脱、EU加盟国初めて減少
4.香港国家安全法、1国2制度空洞化
5.人種差別抗議運動、米から世界に拡大
6.イスラエルとUAEなど国交、中東の枠組み変化
7.米司法省がグーグル提訴、大手IT規制強化
8.米や豪で森林火災、脱CO2の動きも加速
9.コロナでオンライン化加速、個人の行動監視強化も進む
10.米中対立、ハイテクや安保で一段と進む

(番外)
・世界的なカネ余りで不況下の株高、NYダウ3万ドル突破
・ロシア憲法改正、プーチン長期政権に道
・スペースXが初の民間有人宇宙船
・ベラルーシで反体制デモ
・アルメニア・アゼルバイジャン紛争

▼コロナの感染拡大

 世界は2020年を通して新型コロナ感染に揺れ動いた。最初に大規模な感染が表面化したのが中国の武漢で、1月下旬に都市封鎖した。その後感染は欧州や米国に伝播し、3月にはWHOがパンデミックを宣言。欧州や米国は3-4月の感染の第1波で、大規模なロックダウン(都市封鎖)に追い込まれた。イタリアなど一部の国は、医療崩壊に直面した。

 感染は新興国にも拡大。世界各国は感染封じ込めのための行動規制強化と、経済活動維持のための緩和を繰り返した。世界各国の感染は拡大の加速と一服を繰り返しながら、全体としては増加。2020年末現在、感染確認者は8000万人を超え、死者は約180万人に達している。実際の感染者は数億人以上という推測もある。

 各国はワクチン開発を急ぎ、12月からは欧米など一部の国で本格的な接種が始まった。しかし、接種が広く普及するまでには、数か月-1年以上かかるとの見方が強い。この間も、感染拡大が続いている。

▼世界の風景が一変

 コロナの感染拡大で世界の風景は一変した。変化は経済、社会、政治、人々の暮らし、世界の枠組みなど多岐に及ぶが、主なものをまとめれば以下のようになる。

○暮らし
・人々の行動規制が進み、海外旅行はほぼ全面的に停止
・飲食店や観光業が大幅な打撃、巣ごもり需要拡大など消費行動の変化
・テレワークやオンライン教育の急速な普及
・マスク着用の普及など衛生概念の変化

○経済
・経済活動の大幅な縮小、世界のGDP成長率はマイナス4-5%に落ち込む
・財政支出拡大や金融緩和でカネ余りに、株価など上昇、財政赤字リスクの拡大

○IT化、監視社会
・IT化の加速
・感染追跡ソフトの活用などで個人情報監視が強化

○社会・政治
・格差の拡大(社会的弱者にコロナの被害が一層重くのしかかる)
・コロナ対策を理由にした国家権限の強化(一部の国で)

○国際関係・世界の枠組み
・グローバル化のあり方の変化(人の移動の縮小、オンラインによる情報交換の拡大)
・米中関係など国際関係の変化(米国の中国批判、マスク外交を通じた中国の影響拡大など)

▼一層の変化

 コロナの影響はすでに多方面に及んでいるが、世界的な物流網は維持され、金融システムの安定も損なわれていない。しかし潜在的リスクとして拡大していることは間違いない。財政赤字の拡大やカネ余り、格差拡大に伴うリスクなども無視できない。

 2021年に入っても、感染拡大は続く可能性が大きい。さらなる変化が起きるのは不可避だろう。

▼米大統領選

 米大統領選は通常ならトップ級のニュースになが、今年はコロナの陰に隠れた感がある。それでも、世界の今後を占う動きとして重要だ。

 民主党のバイデン前副大統領の当選が確定し、4年間のトランプ時代が終わる。トランプ時代に米国は国際協調より自国利益を優先し、内向き化が進んだ。米中関係の対立が深刻化し、世界はハイテクなどの分野で米中両陣営に分かれる「デカップリング」の傾向が強まった。米国内的には国民の分断が一層進んだ。

 バイデン氏は欧州など同盟国との協調路線への復帰を強調する。ただ、中国に対しては強硬姿勢は維持する構えを基本としつつ、具体的な政策は明確でない。大統領選を通じ国内の分断が一層明確になり、バイデン政権の基盤が強くないとの指摘もある。

 バイデン氏当選は、政策への期待というより反トランプに支えられた面が強い。ポスト・トランプの米国がどう動くか。それは当然ながら、世界に大きな影響を与えるが、行方はなお不透明なところが多い。

▼Brexitと欧州の行方

 欧州では1月末に英国がEUを離脱。EUの加盟国は初めて減少した。その後11カ月の移行期間を経て、英国は2021年1月からEUのルールから離れるアウトサイダーとなる。

 英国は2016年、EUから主権を取り戻したいという意識や対EU不信など様々な理由から離脱を決めた。ただ、離脱に伴い経済的なマイナス効果は避けられない。長期的には、スコットランドの独立運動などが出て来る可能性もある。こうした懸念を払しょくできるだけの新戦略を打ち出せるか、真価が問われる。

 EUにとって、英国の離脱で規模が縮小し、国際的影響力低下の懸念が生じる。Brexitで突き付けられたEU求心力の低下への対応も待ったなしだ。EUは統合戦略の再構築を目指すが、今のところ明確に描き切れているとは言い難い。

▼香港1国2制度の黄昏

 香港では6月末に国家安全法が施行された。中国による直接統治が強まり、民主派の活動は厳しく制限されるようになった。1997年の返還時に約束された1国2制度は、空洞化が決定的になった。

 中国は香港の民主化運動に断固たる態度で対応をすることを改めて示した。こうした対応に、欧米などは批判を強める。欧米と中国の関係は一筋縄ではないが、経済やハイテク、安全保障など様々な分野で対立が広がっているのは間違いない。香港問題は関係の行方にとって重要なテーマの1つだ。

▼ITの進化と大手IT企業規制

 新型コロナの感染拡大で、ITの活用・普及は加速した。テレワークやオンライン授業が急速に普及し、9月の国連総会首脳演説もオンライン化した。Zoomなど新興IT企業が躍進した。GAFAなど大手IT企業の株価は上昇、アップルの時価総額は2兆ドルを超えた。

 一方で、大手IT企業に対する批判や規制強化の動きも目立った。米司法省は10月、グーグルを独禁法(反トラスト法)違反の容疑で提訴。米FTA(連邦取委員会)は12月にフェイスブックを提訴し、インスタグラムなどの米客を求めた。

 中国はアリババなどの調査をはじめ、EUの欧州委員会は12月新デジタル規制案を発表した。

▼世界の枠組み

 冷戦が終わった1989年以降、世界はグローバル化が進み経済の一体化が進展した。米トランプ政権の誕生によりこの流れに変化が目立つようになり、貿易やハイテク、安保などの分野で米中対立が際立った。米中デカップリングや新冷戦などの言葉も使われるようになった。

 そこにコロナの流行。香港問題に象徴される中国の姿勢、米中と並ぶ第3の極になり得る欧州(EU)の動向も、世界の枠組みの行方に影響する。10大ニュースにはそんな世界の枠組み変化を映し出す。

 

◎ 疫病が世界を変えるを忘れてた
◎ 超大国の選挙も脇役コロナの年
◎ ネット越し世界の変化を話し合う

2020.12.31

 

 

« 2020年52号 (12.22-31 通算1068号) 国際ニュース・カウントダウン | トップページ | ◆Brexit後の欧州の課題――英国の完全離脱後の展望 2020.12.31 »

世界の潮流」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 2020年52号 (12.22-31 通算1068号) 国際ニュース・カウントダウン | トップページ | ◆Brexit後の欧州の課題――英国の完全離脱後の展望 2020.12.31 »

2021年2月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28            
無料ブログはココログ

ウェブページ