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2020年8月 2日 (日)

◆李登輝死亡と中台関係 2020.8.2

 台湾の李登輝元総統が死亡した。1996年に初の総統選の直接選挙を実施して、民主化を推進した人物。その後中国との2国論を展開し、中国からは敵対視された。死亡に際しても国際社会や中国から様々な反響があり、影響力を示した。

▼国民党独裁の打破

 李登輝氏は1996年の民主化の前、国民党の要職を経て1988年から台湾の総統に就任していた。しかし、国民党の利益とは一線を画していたところが、重要なポイントだ。

 国民党は元々中国本土の政権を担っていた政党。第2次大戦後に共産党との内戦に敗れ、台湾に逃れて政権を樹立した。同党政権下の支配層の中核は中国から逃れてきた外省人が中心で、元々台湾にいた本省人は差別を受けていた。

 国民党の支配は独裁的で、1947年には政権による本省人の大規模な弾圧・虐殺事件が起きている(2.28事件、犠牲者は数万人と推計される)。国民党政権は、その腐敗も指摘された。

 元々本省人だった李氏は、農業の専門家からスカウトされる形で政治の世界に入った。そして国民党内で本心を隠す形で出世し、1988年に総統に就任。その後は、巧みな人事などで国民党独裁を徐々に解消した。

▼民主化と2国論

 そして1996年の直接選挙につなげる。直接選挙の前には、中国が台湾に圧力をかける台湾海峡危機が発生したが、計画通りに選挙を実現した。

 危機には米国の協力をはじめとする、国際社会の支援を獲得して乘り切った。選挙では圧勝した。

 その後1999年には、中国と台湾の関係を「特殊な国と国の関係」とする2国論を表明。中国の反発を受け、中台対話は中断した。 

 2000年の総統退陣後は出身の国民党ではなく、対立する民進党系の政治家に肩入れした。

▼民主化台湾がなければ

 台湾の民主化は、中華圏では初めてのものと言ってもいい。

 歴史にifはないが、仮に李登輝氏が登場せず、国民党による独裁、腐敗態勢が続いていたら台湾はどうなっていたか。台湾の魅力は、今より小さかったに違いない。中国による台湾統一が進み、中国共産党と国民党(国共)による1国2制ができていたとしてもおかしくない。

▼世界に反響

 李登輝氏の死亡に際し、ダライラマなど世界の要人が弔意を伝えた。これに対し、中国の外務省の副報道官は「国の統一は阻止できない」と李登輝氏を批判する声明を発表。中国共産党系メディアの環球時報は「中華民族の罪人」と主張した。

 台湾の蔡英文総統は、ツイッターで中国語のほか英語、日本語のメッセージを発信。日本語版には7月31日、「李元総統の遺志を継ぎ『台湾に生まれた幸福』を追求し続けます」と書いた。

 李登輝氏は死亡に際しても、世界に影響を投げかけた。

◎ 政治家逝き、民主、統一の議論に火
◎ 中華圏に民主化のサンプル ソフトパワー
◎ 国共の1国2制度冷めた夢
◎ この地球(ほし)で「生まれた幸福」何人か

2020.8.2

 

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