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2020年7月12日 (日)

◆アヤソフィアの運命ーー歴史に揺れる遺産、トルコのイスラム化 2020.7.12

 トルコがイスタンブールにある歴史的建物「アヤソフィア」をモスクにすると決めた。同国を代表する歴史的遺産で、東西文化交流の象徴ともいえる建物。決定からは、トルコのイスラム化の印象を受ける。

▼キリスト教とイスラム教様式が並存

 アヤソフィアはローマ帝国時代に境界として最初の建物をし、東ローマ(ビザンチン帝国)時代の537年に再建された建物が土台。1453年にオスマントルコがコンスタンチノープル(現在のイスタンブール)を征服すると、モスクに転換された。

 キリスト教境界時代の建築様式が残り、その上にイスラム風の様式が加わった異例の建物。内装も、キリスト教風とイスラム様式が並存する。キリスト教時代のモザイクの上に、イスラム時代のデザインが上塗りされている場所も多い。世界に例のない「多層な文化」の建物になっている。

▼「世俗主義の象徴」の終わり

 1920年代に近代トルコを建設したアタチュルクは、政教分離と世俗主義を国是とした。アヤソフィアについては「宗教的に中立的な博物館」とすることを決定した。閣議の決議を経て、1935年に博物館とした。

 トルコではその後1990年代まで世俗主義が国是として守られた(軍医よるクーデターの頻発という問題もあった)。アヤソフィアは「宗教的中立」の象徴だった。また「多文化主義」「異なる宗教の共存」の象徴ととしても位置付けられた。

 今回のエルドアン大統領の決定で、アヤソフィアは世俗主義の象徴から、イスラムの施設に戻る。トルコの変化を映す象徴的な動きともいえる。

▼イスラム色強めるエルドアン政権

 エルドアン氏は1990年代のイスタンブール市長時代から、イスラム勢力の支持を背景に政治基盤を強化。2000年代初頭に首相として権力の座についてからは、イスラム色の強い政策を鮮明にした。

 一時はEU加盟を最優先課題に位置付け、欧米流の民主主義を尊重する姿勢も前面に出した。しかし、その後EU加盟は当面の目標から事実上降ろし、イスラム重視の姿勢が目立つようになった。岩盤の支持層であるイスラム保守派を意識した言動だ。

▼強権化

 2010年代に入ると、エルドアン政権は強権色も強めていく。2014年には大統領に就任。2017年には国民投票で憲法改正を実現し、大統領権限を強化した。

 新型コロナの流行後は、一層強権職を強める姿勢を出している。

▼アヤソフィアが見てきた歴史

 2000年代初めまでトルコは、欧米社会と中東のイスラム諸国を結ぶ橋渡し役を期待された。今では、そうした認識は後退した。

 現在の建物ができてから約1500年、アヤソフィアは幾多の歴史を目撃し、建物の位置づけも代わってきた。建物に投影される価値観も、キリスト教、イスラム教、多文化主義、特定の文化至上主義など、移り行く。今回も新たな変化は、1000年単位の歴史で見たらどんな風景に映るのだろうか。

◎ 多文化もイスラムも見てきた1000余年
◎ アタチュルクの夢が消えてく100年後
◎ 内向きの時代の多文化、受難なり

 

2020.7.12

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