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2020年6月 8日 (月)

◆米抗議デモ拡大の問いかけ 2020.6.7

 白人警官による黒人男性暴行致死をきっかけにした抗議デモが全米に広がった。デモは全米50州で行われ、6日まで12日間続く。一部過激派による暴徒化も見られ、40以上の都市で夜間外出禁止令が出た。1960年代の公民権運動や反ベトナム戦争の時期以来の抗議の広がりという指摘もある。

▼人種差別、格差が背景

 背景にあるのは、なお消えぬ黒人への人種差別や、格差拡大などに対する不満だろう。米国では1960年代の公民権運動により黒人への形式的な差別はなくなり、一部黒人や有色人種の社会奈進出も進んであ。しかし全体的に見れば、いまだ経済や教育などの格差は小さくない。目に見えにくい人種差別も残る。

 新型コロナの流行は、そうした差別や格差を改めてあらわにした。感染者や死亡者は、白人より黒人に多い。これは、黒人に仕事を休めない人や、労働環境の悪い職場で働く人が多いため、などと説明されている。くすぶっている不満が爆発する条件は整っていた。

▼大統領発言が助長

 トランプ米大統領は黒人差別や格差是正よりも治安の維持を優先。ツイッターやファイスブックなどのSNS、会見ではことさら一部過激な抗議活動を批判し、治安当局による鎮圧を求めた。表現の中には暴力を礼賛すると受け止められかねないものもあった(ツイッターは皇室発言に注記を付けた)。

 これが、参加者の怒りに火をつけ、抗議活動の拡大につながったという見方も少なくない。

 大統領の発言は社会の融合より、分裂をあおっているという批判も強い。

 重要なのは野党民主党の支持者だけでなく、与党共和党の支持者からも大統領批判が少なくないこと。現職エスパー国防長官は、連邦軍の出動の可能性を巡り大統領と異なる見解を表明した。マティス前国防長官は、トランプ氏の対応を公然と批判した。

▼社会の分断はさらに拡大

 大統領は、11月の大統領選をにらんで支持基盤を固めることを優先し、不支持者は鼻から無視し、全国民の融和などは重視していないとの見方も強い。

 問題は、大統領のこうした姿勢が社会の分断を一層深めていること。米国政治の分断は1980年頃から指摘され続けたが、それでも大統領は「融和の重視」を訴えた。トランプ時代になり、それが消えた感がある。

 今回の出来事は、米国社会に分断だけでなく甚大な混乱をもたらした。政治・社会の混乱はコロナ対策など優先すべき課題に滞りが出かねない。何より、多くの人が集まるデモは、コロナの感染拡大の場になりかねない。

 議論よりも力による制圧が先に立ち、米国の民主主義そのものが弱体化しかねない。こんな不安も拡大する。

▼コロナ時代の政治の現実

 1960年代の公民権運動時代、キング牧師はワシントンで有名な「I have a dream」演説をした。その運動は公民権法などに結びついた。ベトナム戦争への抗議活動は、終戦(実質米国の配線)に結びついたが、米国はその後、社会の安定を取り戻すのに10年以上の年月を要した。社会的混乱のツケは、軽いものではない。

 新型コロナの流行で世界は危機にある時。そんな時に世界最大の権力を持つ政治家が、上手く収めるべき混乱をむしろ拡大している。米国はそうした人物を4年前に大統領に選び、いまだに40%以上の支持率がある。

 喜劇のような感じすらしてくるが、コロナ時代の世界の現実である。米国政治が世界の安定要因でなく、不安定要因として働いているという認識が必要だろう。

◎ 「融和」という言葉が消えてるこの4年
◎ コロナから目をそらすかのよう強硬策
◎ 超大国 分断がカオスに変わった夜 

2020.6.7

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