◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2020年6月8-14日
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◆米差別抗議活動、世界に拡大、アトランタでは射殺事件 ☆
・白人警察による黒人男性射殺に端を発した抗議活動が止まらない。
・活動は全米で継続。バージニア州ではコロンブス像や南部連合大統領像が倒された。
・ワーナーメディアは、動画配信サービスで「風と共に去りぬ」配信を停止した。
・死亡した黒人フロイド氏の葬儀は9日ヒューストンで行われ、主要テレビが中継した。
・こうした中、アトランタで12日黒人男性が警察官に射殺された。
・警察は過剰反応だったとの批判が強まり、警察署長は辞任に追い込まれた。
・差別抗議の活動は欧州などにも波及。各地でデモが行われている。
・ロンドンではチャーチル元首相の像に人種差別主義者との落書きが描かれた。
・英国では極右によるカウンターデモも行われ、警察と衝突した。
・抗議活動とともに混乱が世界中に拡散する。
◆金融緩和長期化、株価は上昇傾向、実体と株価の乖離拡大 ☆
・FRBは10日の公開市場委で、2022年末までゼロ金利を継続すると表明した。
・新型コロナによる経済の打撃を支えるため。金融超緩和は数年続く。
・米株価は荒い動きを見せながら3月下旬を底に上昇傾向にある。
・ハイテク企業の多い米ナスダック指数は10日初めて1万ポイントを突破した。
・NYダウは3月下旬の1万8000ドル台から8日2万7500ドル超。その後下落した。
・市場は金融緩和やコロナ第2波への警戒などを材料に動く。
・実体経済と株価の乖離も顕著で、経済の先行きは見渡し難く、不安定だ。
◆世銀予測:2020年はマイナス5.2%
・世銀は2020年の世界経済の成長がマイナス5.2%との見通しを発表した。
・1月時点の予測(2.5%)から7.7ポイント引き下げた。第2次大戦後最大の落ち込み。
・米国は-6.1%、ユーロ圏は-9.1%、中国は+1.0%、インドは-3.2%。
・新興国全体は-2.5%で、過去60年間で初めてマイナスになる。
・IMFは4月に、2020年の世界経済を-3.0%と予測した。ただし計算方法は世銀と異なる。
◆コロナ、新興国で拡大加速、米では感染再拡大も ☆
・コロナの感染は新興国を中心に拡大。世界の感染確認者は700万人を超えた。
・ブラジルの死者は12日、4.1万と米国に次いで世界2位になった。
・米国では経済活動を再開した州などで感染拡大。累計感染確認者は200万人を超えた。
・NYなどでは感染拡大ペースが低下。NY市は8日一部経済活動を再開した。2月半ぶり。
・欧州委員会は、EUへの入国禁止措置を7月から緩和する方針を表明した。
◆香港、大規模抗議活動から1年(9日)
・逃亡犯条例改正をきっかけにした香港の100万人デモから1年を経過した。
・香港中心部では約1000人が抗議活動を行った。
・昨年のデモは、香港政府・議会による条例改正を断念に追い込んんだ。
・11月の区議会選では民主派が地滑り的に勝利。民主化を望む民意を示した。
・しかし中国は5月、香港国家安全法の制定を決定した。
・香港政府の頭越しに直接治安維持強化に乗り出す。
・HSBCなどの企業は、国家安全法支持を表明した。
・デモから1年を経過し、高度な自治を保証する1国2制度は揺らいでいる。
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│INCDの採点
│ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
│ ☆☆ 世界史の年表に載るようなニュース
│ ☆ 国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース
│ 無印 興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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│プラスアルファ
│ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
│ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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【コロナ感染後の新常態】 新型コロナ感染拡大で、世界の社会や経済の仕組みが大きく変わりつつある。変化には社会や経済の枠組みに関わるもの、生活慣習、業界や企業に関わるものなど様々だが、具体的な形が次々にあらわに。新常態の姿が浮かび上がってくる。
FRBは公開市場委員会で、2022年までゼロ金利を維持する方針を明らかにした。資金供給の拡大も継続する。欧州中銀も前週、量的緩和の継続を確認したばかり。米国はじめ世界中で金融の超緩和が続き、拡大される。大幅なカネ余が続くのが新常態。その後に何が来るのか。インフレ、金融市場の混乱など、懸念材料は尽きない。
世銀は2020年の世界経済がマイナス5.2%成長になるとの見通しを発表した。一方、米ナスダックは初めて1万ポイントを付けた。実体経済が落ち込むのに、株価は上向く。実体経済と金融市場の乖離はこれまでもなかった訳ではないが、今回は極端だ。
こうした現象を説明できる経済理論はない。懸念は強い。
コロナの感染防止では、様々な措置が同夕されている。シンガポールやカタールは、コロナの濃厚接触者の行動を追跡するアプリの利用を全住民に義務付けた。個人情報より感染防止を優先させるともいえるルール。ここでも新常態への移行が進む。
こうした事例は、毎週と言わず、毎日でも発見できる。
【世界に広がる抗議活動と混乱】 米白人警察官による黒人男性死亡事故に端を発した抗議活動が止まらない。最初の2週間で全米各地に広がり、前週にはバージニア州リッチモンドでコロンブス像や、南北戦争時の南部連合初代大統領像が倒される事件も起きた。動きは過激化している。
抗議活動には欧州にも伝播。ロンドンやパリでは警官隊などとの衝突が起きた。英国では、国会議事堂前に立つチャーチル元首相像に「Racist(人種差別主義者)」という落書きが書かれ、英政府はチャーチル像を覆った。
英国では13日、極右によるカウンターデモもあり、衝突が起きた。混乱が世界中に広がる。
そうするうちに、米アトランタでは12日、警察官による黒人の射殺時間が発生。新たな混乱材料になっている。
背景には世界中に残る差別や格差の拡大があるだろう。新型コロナ流行の影響で、経済的に苦しくなった人が増え、人々のストレスが高まっていることも重要だ。
本来ならば事態収拾に尽力すべき米大統領が、むしろ対立を煽りかねない言動を繰り返しているところにも問題がある(流石にここ数日、トランプ米大統領は黒人への配慮を示す行動をし、発言も無用な刺激を避けるよう注意しているようにも見えるが、行動は読み難い)。
過去1968年など、暴力や混乱が世界中に広がった。今年はコロナ感染下で「熱いい夏」にならないか。危うい状況にある。
◎ コロナ下に怒りの連鎖熱い夏
◎ チャーチルは偉いか不明の新常態
◎ 疫病後、荒廃の地に火薬庫多数
◎今週の注目(2020年6月15-21日 &当面の注目)
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・引き続き新型コロナ関係の動きに関心。
・反差別の抗議活動の行方は不透明だ。米国ではアトランタの黒人男性射殺事件の影響がどう出るか。欧州などでも混乱拡大の懸念がある。
・トランプ米大統領が11月の大統領選をにらんだ集会を、オクラホマ州で20日に開催する。コロナ感染拡大後では初の大規模集会。当初19日の予定だったが、奴隷解放の記念日にあたるため1日延期した。
・英国とEUが15日に首脳会談を開催。英国のEU離脱後の関係を巡る交渉に弾みを付けることを目指す。
・フランスのマクロン大統領が18日英国を訪問しジョンソン英首相と会談する。フランスでは地方選が28日に行われる。
・香港が府議会(立法会)の選挙を9月6日に実施する。
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