◆コロナ:3か月の現実と各国の動向 2020.4.5
新型コロナウイルスの感染拡大から3か月。世界の確認感染者は4月2日に100万人を超え、世界で移動制限などの規制を受けている人は30憶人を超える。事実関係と各国の動向をまとめてみる。
▼感染拡大の経緯
中国・武漢で新型肺炎が確認されたのが昨年12月。新型コロナウイルスが報告されたのが2020年1月初旬だった。1月23日には武漢を封鎖し、感染は世界の行方を左右する出来事になった。その後の経緯は以下の通りである。
・1月30日 WHOが緊急事態宣言
・2月2日 フィリピンで感染者確認、初の中国外(1月23日から10日目)
・2月11日 中国で死者1000人
・2月21日 イタリアで感染者確認(29日目)
・2月23日 イタリアが北部の11自治体封鎖
・2月26日 5大陸で感染者を確認(34日目)
・3月2日 日本が公立学校休校
・3月7日 欧米で感染者が拡大、NY州が非常事態宣言【感染者10万人】(44日目)
・3月9日 イタリア全土に移動制限
・3月11日 WHOがパンデミック宣言、米が欧州からの入国禁止(48日目)
・3月12日 中国がピーク超えたと宣言
・3月13日 米が非常事態宣言、スペインが非常事態宣言、WHO「感染中心は欧州」
・3月17日 EUが外国人入国禁止【感染者20万人】(54日目)
・3月19日 イタリアの死者>中国
・3月20日 NY、イリノイなど外出禁止【死者1万人】
・3月22日 【感染者30万人】(59日目)
・3月24日 東京五輪・パラリンピック延期
・3月25日 インド全国封鎖
・3月26日 米国の感染者>中国
・3月27日 【世界の感染者50万人】、米国の感染者10万人(64日目)
・4月2日 【世界の感染者100万人】、30億人以上が移動制限(70日目)
(感染者数などはジョンズ・ホプキンス大のデータによる)
ちなみに、4月5日現在の世界の感染者は122万人。多い国は(1)米国31万人(2)(2)スペイン13万人(3)イタリア13万人(4)ドイツ(5)フランス(6)中国など。死者は6万6000人で、(1)イタリア(2)スペイン(3)米国などである。
▼各国の対応
各国の対応はおおむね3通りに分かれる。
(1)行動の規制:入出国の制限(禁止)、外出制限、店舗の開業規制など。いわゆるロックダウンも含み、10人以上の集会の禁止、学校の休校なども含まれる。感染の爆発的な拡大を防ぐ「封じ込め」作戦で、時間を稼ぐ面がある。
(2)医療体制の整備:病床の確保など。ワクチンの開発支援も急ぐが、メドは立っていない。
(3)経済的支援: 経済的な打撃→恐慌や経済破綻を防ぐために、財政、金融面から政策を総動員している。職場封鎖などで働けなくなった人への所得保証、企業の負債返済猶予なども含まれる。究極のバラマキにも近い政策。長期的に後遺症が出るのは避けられないが、将来に気を回すことなどできない状況だ。
▼予測・見通し
今後の行方は見えていないのが現状である。各国・企業はワクチン開発に取り組むが、1年程度かかるとの見方もある(ジョンソン&ジョンソンは2021年初めに新ワクチンんを提供すると表明)。患者や死者数の予測もまちまちだ。トランプ米大統領は、米国内の死者が10万-24万人に恐れがあると発言した。メルケル独首相は、国民の6-7割が長期的に感染する可能性があると警告した。
▼世界の変化:社会システム維持のリスク
欧米などの都市からは人通りが消えた。国際旅行者はほとんどいなくなり、世界中の空港は閑散としている。欧米やアジアでテレワークの人々が増え(不便ではあっても何とかこなしている)、学校ではビデオ授業が拡大している。
人の移動は減っても物流は何とか維持され、食料もガソリンも提供されている。主要国では社会秩序も一応は保たれている。一方で、患者の拡大による医療崩壊の懸念が強まる。
仮に物流、医療などのほころびから社会システムが崩れたら、影響は現在のレベルとは比較できないほどになる。そうした事態は、歴史的には戦争や革命などの時に出現した。
アフリカの一部の国や中東の難民キャンプなどでの感染拡大も気がかりだ。通常の国以上に、社会崩壊のリスクがある。こうした地が感染の温床となり、第2波、第3波の感染が世界に戻って来る可能性もある。
内向き傾向が強まりがちな状況だが、グローバルな視点が通常以上に必要ともいえる。
◎ 感染100万 世界は何とか 持ってるが
◎ 紛争地 他人事など言ってると
2020.4.5
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