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2019年12月

2019年12月31日 (火)

◆2019年の10大ニュース 2019.12.31

 

 2019年が終了する。世界は今年もトランプ米大統領の政策に揺れ動いた。10大ニュースの形で、2019年をレビューする。

▼INCDの10大ニュース

 INCDが選ぶ2019年の10大ニュースは以下の通り。

(1)米中貿易戦争継続、世界経済減速
(2)米・イラン緊張と中東緊張拡大
(3)香港で抗議活動
(4)Brexitに道筋、英首相にジョンソン氏
(5)トランプ大統領を弾劾、ロシア、ウクライナ疑惑で
(6)温暖化対策求め世界中で大規模デモ、米はパリ協定離脱手続き
(7)IT大手への規制強化の動き、リブラ計画に警戒
(8)ベルリンの壁崩壊30年
(9)中国建国70年、習近平政権による締め付け、高度監視社会化が進む
(10)米欧関係の緊張高まる

▼トランプ大統領に揺れる世界

 2017、2018年に続き、トランプ米大統領の政策に世界が揺れる状況が続いた。

 具体的な事例を挙げれば、(1)対中関係=貿易戦争やハイテクを巡る対立、(2)中東政策=イランとの対立の深刻化、イスラエルによるヨルダン川西岸への入植容認など、(3)地球温暖化・環境問題=パリ協定からの離脱手続き開始など、(4)移民規制の強化=メキシコ国境の壁建設のため非常事態宣言、(5)欧州との関係悪化=貿易を巡る対立、安全保障での負担増要求など、(6)単独主義的色彩への一層の傾斜=G7サミットで総括的な合意文書なし、(7)FRBの金融政策に対する介入や圧力の強化、などだ。

 トランプ米大統領は就任以来、国際協調や多国間主義を重視する伝統的な姿勢を否定し、米国第1を前面に打ち出す姿勢をあらわにした。2019年もその延長線上で、スタンスを一層鮮明にした。

 キッシンジャー元国務長官はトランプ大統領の登場の歴史的意味について、第2次大戦後の秩序の再編という趣旨の指摘をした。2019年の行動も、その脈略で捉えるべきだろう。

 問題は、政策の一つ一つに必ずしも整合性がなく、時に思いつきのような決定な行われることだ。中東政策などに典型的に表れる。この傾向も、2017年の就任以来変わらない。

▼大統領弾劾と大統領選

 米国では野党民主党多数の下院がトランプ大統領をウクライナ疑惑で弾劾した。問題は年明け、上院での審議に入る。与党共和党多数の上院では大統領解任には至らない可能性が大きいが、米政治はこの問題に揺れ動く。

 米政治はもう一つ、2020年11月の大統領選をにらんだ動きが佳境に入りつつある。民主党の候補は乱立気味で、行方は混とんとしている。これがトランプ氏再選につながる可能性もある。

 トランプ大統領だけでなく、米国内の政治動向は世界に影響を与える。2020年の大統領選をにらんだ影響は、早くも世界に及んでいる。

▼経済不透明

 世界経済は米中貿易戦争の影響で減速が進んだ。一方、金融市場では2018年の欧米における正常化(引締め)→緩和に流れが変わり、再び大量の緩和資金が出回っている。これが株式や不動産などの価格上昇や、途上国の金融市場の乱高下などに結びついている。

 実体経済の減速+金あまりの状況で経済は2020年に入る。バブルの発生などリスクを指摘する声もある。

▼香港の抗議活動と中国の高度監視社会化

 香港では犯人引き渡し条例の改正をきっかけに6月から市民による抗議活動が拡大。同月には200万人デモが行われた。これに対し中国を後ろ盾にする香港政府は強硬姿勢を変えず、緊張が継続。1国2制度の在り方が改めて問われた。

 11月の地方選では民主派候補が圧勝、民主化を求める民意が示された。問題は7か月経っても解決の行方が見えないまま年を越す。

 中国は10月1日に建国70周年を迎えた。習近平政権は、米中経済摩擦で経済面で難しい問題に直面しながら、政治面では強硬な姿勢を崩さない。香港問題でも民主派への譲歩を否定している。

 こうした政治、経済情勢の中で、ネットにより人々の行動を監視する「高度監視社会」化は急速に進む。この問題は、世界全体にとっても2020年代の重要な課題になる。

▼IT大手規制強化 

 GAFAに代表されるIT大手への規制は、2019年曲がり角を迎えた。これまでも規制に前向きだったEUに加え、米国も規制強化の方向に舵を切った。相次ぐ個人情報流出の発覚やなどが背景にある。

 一方、環境問題では欧州が温暖化対策やプラスチックごみ対策を強化する一方、米トランプ政権はパリ協定からの離脱手続きを正式に取るなど、温度差が明確になった。

 9月20日には世界各地で数百万人が参加し、温暖化対策を求めるデモが繰り広げられた。この運動の鮮度訳の1人が16歳のスウェーデンの少女、グレタ・トゥンベルさん。環境運動の新しい旗手として注目が集まった。

▼ベルリンの壁崩壊30年

 2019年はベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終了して30年(1世代)の年だった。同時に、中国で民主化運動を弾圧した天安門事件からも30年を数えた。世界で過去30年を振り返る議論が行われた。

 30年前には世界の民主化が進み、グローバル化のプラスの面が実現していくと期待された。結果はそうはならず、格差の拡大、テロや地域紛争の拡大などの問題が深刻化した。2008年のリーマン・ショックは、資本主義の在り方に疑問を突き付け、問題は今も解決されない。

 30年目の節目は、こうした課題を再認識させた。

▼APの10大ニュース

 AP通信が世界の編集者を対象にアンケートしまとめた10大ニュースは以下の通り。米国内と国際ニュースを分けていない。

(1)トランプ大統領の弾劾  TRUMP IMPEACHMENT:
(2)トランプ政権の移民規制強化 IMMIGRATION
(3)ロシア疑惑 TRUMP-RUSSIA PROBE
(4)フロリダ州などの乱射事件 MASS SHOOTINGS
(5)オピオイド問題 OPIOIDS
(6)地球温暖化問題、米はパリ協定から正式に離脱手続き CLIMATE CHANGE
(7) BREXIT
(8)米中貿易戦争 US-CHINA TRADE WAR
(9)ボーイング737Maxの事故、安全問題 BOEING JETS GROUNDED
(10)香港情勢 HONG KONG
(番外)NZモスクでのテロ、民主党大統領選候補選び、ノートルダム寺院火災

◎ トランプに揺れる世界は4年目に
◎ 秩序という言葉を忘れて年回顧
◎ 16の少女が運ぶエコの新風

2019.12.31

 

 

2019年52号 (12.23-31 通算1016号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年12月23-31日
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◆2019年の世界経済、実体経済減速、金融緩和で資産拡大(31日)☆
・2019年の世界経済は、米中貿易戦争の影響で減速が続いた。IMF予測は3%成長。
・一方、世界的な金融緩和の影響で資産価格が上昇した。
・世界の株式時価総額は86兆ドルと過去最大に増加した(QUICK・ファクトセット)。
・金や債券の価格も上昇した。
・NYダウも12月に入り連日最高値を更新。
・相場上昇は経済実態の反映よりカネ余りの影響、との指摘も多い。

◆ロシアがクリミアに鉄道橋(23日)☆
・ロシア本土とクリミア半島を結ぶ鉄道協が完成。プーチン大統領が横断した。
・同半島は2014年にロシアが併合。欧米などは認めていない。
・鉄道協は全長19キロ。自動車橋はすでに18年に完成している。
・クリミア問題は2014年の発生から5年を経て、対立が続く。
・ロシアと欧米の関係も、冷却した状況で2020年を迎える。

◆ゴーン日産元会長が日本出国(31日)☆
・日産元会長のカルロス・ゴーン被告が日本をひそかに出国。レバノンに到着した。
・31日に米国の広報担当者を通じて声明を発表した。
・日本が人質司法と批判。有罪前提の裁判で、人権が無視されていると訴えた。
・ゴーン氏の弁護士は事前に知らず、驚いていると語る。
・東京地検は2018年、有価証券取引法違反などでゴーン氏を逮捕。
・ゴーン氏は今年4月に保釈されたが、国内滞在などが条件だった。
・事件は海外の関心も大きい。予想外の展開で、また別の反応や議論も予想される。

◆日中韓首脳会議(24日)
・日中韓の首脳会議が中国の成都で開催。貿易や北朝鮮の核問題などを協議した。
・日本の安倍首相と韓国の文大統領は1年3月ぶりに会談。
・元徴用工問題など、ぎくしゃくする2国間関係の改善を協議した。
・3か国首脳会談を持ち回りで開催するようになったのは2008年から。
・東アジアの枠組みの1つになっている。

◆米が親イラン勢力を攻撃、現地で反発(29日)
・米軍はイラクとシリア領内5か所を空爆した。親イランの武装勢力が対象。
・国防総省が発表した。武装組織ヒズボラの武器庫や司令部を攻撃したという。
・攻撃に対しイランは反発。イラク国内でも米国批判が強まった。
・イラクでは先に首相が辞任。大統領も辞任をほのめかしたばかり。
・シリアではアサド政権が反体制派への攻勢を強めている状況。
・いずれの国も混迷が続く。そうした中で米・イランの対立が強まる状況だ。
・中東情勢は混乱が続くまま越年する。

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 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【2020年終了】 2020年が終了する。昨年に続き、トランプ米大統領の動きに世界が振り回された感が強い(→国際ニュースを切る「2019年の10大ニュース」)。

 

◎今週の注目(2020年1月1-5日 &当面の注目)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
・台湾の総統選が1月11日に行われる。
・世界のメディアや調査機関などが2020年の展望を発表する。

 

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2019年12月22日 (日)

2019年51号 (12.16-22 通算1015号)国際ニュース・カウントダウン

 

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年12月16-22日
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◆米下院がトランプ大統領弾劾(18日)☆☆
・米下院本会議はトランプ大統領を弾劾訴追する決議案を可決した。
・ウクライナ疑惑に絡み権力乱用と議会妨害を行ったとの内容。
・弾劾訴追を受けた大統領は史上3人目だ。
・野党民主党のが賛成。与党共和党は全員が反対し、分断が鮮明になった。。
・1月にも上院で弾劾裁判が行われる。
・上院は共和党多数で大統領罷免になる可能性は少ない。
・それでも弾劾の事実は重い。大統領選にも影響する可能性がある。

◆インドで国籍法改正に抗議活動拡大 ☆
・インド上院が新国籍法を11日に可決。反対する抗議活動が全国に広がった。
・同法は2014年までに周辺3か国から不法入国した人にインド国籍を与える内容。
・ただしヒンズー教徒や仏教徒に限り、イスラム教徒は対象外とする。
・インド国内のイスラム教徒がこれに抗議。デモや大学の授業ボイコットが広がる。
・政府は19日、ニューデリーで一部通信を遮断した。デモ抑制の狙い。
・モディ首相は5月の総選挙で国籍法改定を公約に掲げていた。
・インドでは近年イスラム教排除の動きが強まる。
・8月にはイスラム教徒が多いカシミール地方で自治剥奪を決めた。

◆スウェーデンがマイナス金利終了(19日)☆
・中銀は政策金利(レポ金利)をマイナス0.25%→0%に上げると発表した。
・マイナス金利長期化で生じた、家計の負債拡大などの副作用に配慮した。
・同国は09年一部金利に初のマイナスを採用。15年にレポ金利をマイナスにした。
・現時点で景気回復は弱く、物価上昇も目標の2%を下回る。
・しかし家計の債務が拡大し、住宅価格が不安定になるなど、弊害が出ている。
・世界ではユーロ圏や日本が、景気刺激や物価上昇を狙いマイナス金利を採用する。
・効果は限定的である一方、銀行収益悪化→金融仲介機能低下などの弊害が出ている。
・ただ他に適切な政策手段がなく、継続しているのが現状だ。
・スウェーデンの政策変更がどう影響するか、注目される。

◆米国が宇宙軍創設(20日)☆
・米国の2020会計年度(19年10月-20年9月)の国防予算を定めた国防権限法が成立した。
・トランプ大統領は6番目の独立軍となる宇宙軍の創設を宣言した。
・同軍は陸海空軍の宇宙関係の機能を統合。1万6000人が異動する。
・米国で指揮権が独立した軍は、陸海空軍と海兵隊、沿岸警備隊がある。
・再編には、宇宙分野の軍事力を強化する中国い対抗する狙いがある。
・米国は1980年代以来数度、宇宙軍の組織再編を繰り返してきた。

◆スコットランド首相が住民投票実施要求(19日)☆
・スタージョン首相は、住民投票実施の権限を求める要求を英政府に出した。
・スコットランド議会が投票実施を決定できるようにするもの。
・現状は、住民投票実施には英政府の同意が必要だ。
・英国は今月の総選挙で保守党が勝利。来年1月のEU離脱が決まった。
・スコットランドはEU残留派が多数。総選挙では住民投票を求める民族党が大勝した。
・スコットランドは2014年住民投票で英国残留を決めたが、Brexit前の話だ。
・英国のジョンソン首相は住民投票を認めない姿勢。
・住民投票を巡り両者の駆け引きが過熱する。欧州の地域分離運動も左右する。

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◎寸評:of the Week
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 【大統領弾劾】 米下院がウクライナ疑惑を巡り、トランプ大統領を弾劾訴追する議決案を可決した。大統領が弾劾されたのは、南北戦争後の1868年のアンドリュー・ジョンソン17代大統領、1998年のクリントン42代大統領に続き3人目。米国史上もまれな出来事だ。
 追訴の理由は、大統領が対ウクライナ外交を2020年の大統領選に利用ようとした「権力乱用」と、議会の調査を妨害したとする「議会妨害」の2点。いずれも条項も、野党民主党の賛成多数で可決し、与党共和党は全員が反対した。米国の分断が、ここでもあからさまに出た格好だ。
 今後、上院での弾劾裁判が1月にも始まる。上院は共和党多数で、大統領罷免になる可能性は極めて小さい。しかし、審議の過程で何が出て来るか分からない。
 審議は大統領選の予備選と並行して進む可能性があり、大統領選への影響も予断を許さない。
 それにしても一連の疑惑や弾劾から感じるのは、スキャンダルまみれのトランプ政権、党派対立丸出しの米政治、米国の分断、政治の劣化、等々だ。
 世界の警察官をやめたとはいえ、超大国の米国。その外交は世界を揺るがす。そして外交は国内政治に影響されて動く。
 ドタバタ劇としてみるのなら面白いが、世界への悪影響を考えると、笑い話で済まなくなる。

◎ 弾劾もTVドラマなら楽しいが
◎ 弾劾劇 汚職と党利党略付き
◎ 超大国のドタバタ笑う顔ひきつる

 

◎今週の注目(2019年12月23-31日 &当面の注目)
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・2019年も終了。世界は今年もトランプ米大統領に揺り動かされた感じだ。
・メディアは2019年の10大ニュース、2020年に向けた展望などを報じる。

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2019年12月15日 (日)

◆英総選挙のインパクトーーBrexitの確定とEUの行方 2019.12.15

 英国の総選挙(12月12日)で保守党が過半数を制し、2020年のEU離脱に道筋がついた。Brexit後の欧州と英国はどちらの方向に進むのか。

▼保守党勝利でEU離脱に道筋

 選挙は保守党が650議席中365議席を獲得し、選挙前の298議席から67議席増やし過半数(326議席)を大きく上回った。野党第1党の労働党は243→203議席に減らし惨敗した。

 選挙では保守党のジョンソン首相が、2019年10月に決まったEUとの合意に基づき来年1月末に離脱すると主張。これに対し労働党は再度の国民投票を掲げ、離脱か残留かの主張を明確にしなかった。

 現地メディアの報道などによると、労働党の煮え切らない態度に支持離れが進んだ。従来同党の牙城だったイングランド北部の選挙区で、労働党→保守党へ投票を変えた有権者も多い。

 選挙の結果、英国のEUからの2020年1月離脱がほぼ確定した。

▼3年半の迷走

 英国は2016年6月の国民投票でEU離脱を選択した。しかし、その後の対応は混乱を極めた。

 国民投票では離脱支持と残留支持で国民が2分し、離脱の内容も曖昧なままだった(関税同盟や単一市場からも離脱するかどうかなど)。国内はEUとの合意なしの離脱も辞さない強硬派や、合意あり離脱に固執する穏健派、さらには再度の国民投票を求める立場などに分断された。

 国民投票後の2016年7月に発足したメイ政権は、保守党内のとりまとめに腐心。2017年5月に総選挙に打って出たが、過半数を失い政治基盤が弱体化した。その後、強硬離脱と穏健離脱の間を揺れ、苦労して2018年11月にまとめたEUとの合意は議会で再三否決された。その結果、2019年5月に辞意表明に追い込まれた。

▼ジョンソン政権誕生→Brexitにメド

 その後2019年7月にジョンソン政権が発足。同首相は2019年10月、EUとの間で新合意にこぎつけた。

 合意内容は離脱のボトルネックになっていた北アイルランドとアイルランド共和国の国境管理問題で、英国と北アイルランドの一体よりも国境の自由移動を重視したもの。北アイルランド切り捨てともいえる内容だ。

 この合意を巡っても国会で承認が得られない状況が続いたが、総選挙の勝利で合意承認→来年1月の離脱がほぼ確定した。

▼今後の通商関係は流動的

 Brexitにより英国はEUの単一市場や関税同盟から抜けるが、2020年末までは、暫定措置としてこれまで通りの立場を維持する。その期間中に、離脱後の新しい通商関係の協議をする。

 両者は自由貿易協定の締結などを想定するが、交渉は複雑で短期間にどこまでまとまるか定かではない。お互いに相手に一方的に有利な内容は受け入れないとの立場がある。期限内に合意できず、合意なし離脱に近いような状況に陥るリスクはまだ消えていない。

 英国民投票からすでに3年半を経過し、民間企業などでは「離脱後」を見越した準備も進んでいる。大手自動車メーカーは相次ぎ、英国の制裁拠点の縮小や撤退計画を打ち出した。

▼スコットランド独立の動き?

 そうした経済的な影響はもちろん重要だが、それ以上に大きな影響があり得るのが政治的な動きだ。

 英国では今回の総選挙で、スコットランド民族党が躍進した。スコットランドは元々EU残留派が多く、独立運動に火が付く可能性がある。同党のスカージョン党首は13日、スコットランド人には将来の選択をする自由があると強調した。

 北アイルランドのプロテスタント系住民が支持する民主統一党(DUP)は、保守党に閣外協力してきた。しかし10月の合意が事実上北アイルランド切り捨てになったことからジョンソン政権を「裏切り」と批判する。アイルランド系住民は元々、南のアイルランド共和国との一体化に前向きだ。EU離脱で不測の事態発生や構図が変わる可能性が生じる。

 英国でスコットランド独立などの動きが出てくれば、それはスペインのカタルーニャなど欧州の他の地域独立運動に影響する。

▼縮小に転じるEU

 EUは1958年の創設以来、拡大を続け28カ国にまで拡大した。しかし英国の離脱で初の縮小に転じる(1985年に自治領だったグリーンランドが脱退した事例はある)。

 EUは単一市場を形成し、ユーロ圏においては共通通貨を発行するなど、経済統合を進めてきた。また共通の外交、安保政策を強化するなど、欧州の枠組みの中心の存在になった。冷戦終了期に混乱が回避でき、東欧諸国が比較的円滑に西欧と融合したのも、EUがあったためだ。

 2010年代にEUはユーロ危機や欧州通貨危機を経験し、求心力低下が叫ばれる。それでもEUは欧州という枠組みの核だ。

 国際的な舞台でEUが発言力や影響力を発揮できる背景には、欧州のほぼすべての主要国が加わる規模の力もあった。加盟国の縮小は、力や影響力の低下につながる。

▼問われるEUの存在意義

 EUは2016年の英国民投票まで、加盟国の離脱を事実上想定しない運営をしてきた。初の離脱で、基本的な仕組みや考え方に問いが突き付けられている。

 具体的な課題としても、難民問題への対応、極右やポピュリスト政党台頭への対処などEUの基本理念や戦略を問われる問題が多い。

 EUは英国民投票以降、こうした問題への協議を繰り返した。しかし人々を引き付ける、具体的な青写真は示せていない。

▼欧州の地殻変動

 欧州の枠組み、線引きは、冷戦が終了した1990年代前半以来の変動の時期を迎えた。

 Brexitの意味として、格差拡大への不満の発露やポピュリズムの台頭、移民問題などが指摘されることが多い。加えて、欧州の地政学に与える影響は甚大だ。今後、玉突きのように様々な変化が起きると心した方がいいだろう。

◎ Brexit 分断の時代の鍵言葉
◎ 英国と大陸の距離改めて
◎ 欧州の地図の塗り替え再号令

2019.12.15

 

 

2019年50号 (12.9-15 通算1014号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年12月9-15日
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◆英総選挙保守党勝利、来年1月EU離脱に道筋(12日)☆
・総選挙が行われ、保守党が過半数を獲得した。
・この結果、来年1月末のEU離脱がほぼ確定した。
・英国は2016年6月の国民投票で離脱を決定した。
・その後離脱条件を巡り国内で対立が続き迷走。3度期限を延長した。
・ジョンソン政権は昨年10月EUと離脱条件で合意していた。
・離脱の道筋がつき合意なし離脱が回避される。2020年末までは移行期間。
・今後英国とEUは貿易協定などの交渉を進める。難航も予想される。
・EUは1958年の創設以来拡大を続けてきたが、初めて縮小に転じる。
・英国の離脱が欧州の地殻変動の引き金になる可能性もある。

◆米中貿易交渉が「第1段階」合意(13日)☆
・米中が通商協議で「第一段階」(preliminary)合意に達し、それぞれ発表した。
・米国は15日に予定していた追加関税第4弾(PCなど1600憶ドル)発動を見送る。
・適用済みの追加関税も一部を引き下げる。
・中国は米農産物の輸入を拡大。知的財産保護なども強化する。
・ただし、具体的内容を巡り双方の見解の相違が早くも表面化した。
・今後の交渉の展望などはなお不透明で、米中貿易戦争の行方はなお流動的だ。

◆米FRBが利下げ見送り、金融緩和当面停止(11日)☆
・FRBは公開市場委員会(FOMC)で金利の現状維持(1.5-1.75%)を決めた。
・7月から3会合連続で利下げしたが、4会合ぶりに見送った。
・同時に発表した政策予測で、2020年は追加緩和なしとの見解を示した。
・米経済は緩やかな拡大が続き、緩和の必要はないと判断した。
・トランプ大統領はFRBに金融緩和の圧力をかけ続けるが、独立性を守った。
・米国はリーマンショック後の超緩和→2015年から正常化(引締め)に転じた。
・その後2019年に再度緩和に転換。世界的な金融緩和を引き起こした。
・今回の決定は、世界的な金融緩和の流れにも大きく影響する。

◆米加墨の新協定、発効にメド(10日)☆
・米、カナダ、メキシコはNAFTAに代わる新協定の修正版に署名した。
・米国内では政権と野党民主党が、新協定の修正案で合意したと発表した。
・この結果、新協定発効のめどが立った。2020年春以降の見通し。
・3か国は2018年11月に新協定USMCAに合意した。
・しかし米国の野党民主党が修正を求め、議会承認ができない状況だった。
・修正案は、メキシコ内の労働環境順守をモニターする機関設置などを含む。

◆米下院司法委がトランプ氏弾劾決議(13日)
・米下院の司法委委員会はトランプ大統領弾劾の決議案を可決した。
・下院は近く本会議で決議案を可決する見通し。下院は野党民主党が多数。
・ウクライナ疑惑関連で、権力乱用と議会妨害をしたとの内容。
・下院が決議案を可決した後、舞台は上院に移る。
・ただし上院は与党共和党が多数で、トランプ氏罷免に進む可能性は少ない。
・弾劾問題は、米政治や大統領選、米外交に影響する。

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◎寸評:of the Week
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【Brexitが実現(done)へ】 英総選挙で保守党が過半数を制する勝利を実現し、同国の来年1月のEU離脱が確実になった(→国際ニュースを切る)

 【重要ニュース目白押し】 インパクトの大きいニュースが相次いだ。英総選挙のほか、米中は通商問題で「第1段階」の合意に達した。合意はにより12月15日予定だった追加制裁関税見送られる。貿易戦争は一時停戦し、世界経済へのさらなる悪影響を回避する。
 米FRBの利上げ見送りは、世界的な緩和の流れを一服させる。トランプ米大統領の弾劾問題は、近く予定される下院の議決案の採択で新たな段階に入る。
 トップ5以外にも重要なニュースが多い。地球温暖化を協議するCOP25の会議がマドリードで開かれ、温暖化に向けた総論は確認したものの、具体的な合意内容は乏しいまま閉幕。EUは首脳会議で2050年までに温暖化ガス排出ゼロを目指すと決めた。米Time誌は「今年の人」にスウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥンベリさんを選んだ。
 サウジアラビアのアラムコが上場を果たした。イスラエルの連立政権樹立交渉が失敗し、来年春にもやり直し選挙を行うことが決まった。選挙は1年間で3回目。
 米ワシントン・ポストは、米政府高官や軍人がアフガニスタンの軍事作戦や政策について、長年にわたり歪曲した情報を伝えていたとする内部文書をスクープした。

 

◎今週の注目(2019年12月16-22日 &当面の注目)
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・米下院がトランプ大統領の弾劾決議を採択する可能性がある。

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2019年12月 8日 (日)

◆NATO首脳会談と冷戦後30年 2019.12.8

 NATO首脳会談が3-4日、ロンドンで開催。NATOと世界の置かれた現状を映した。

▼米欧の軋轢

 今回の首脳会議は、創設70年と冷戦終了30年を記念するもの。節目を機に、加盟国の結束や新時代に向けた戦略を示すのが本来の目的だった。

 実態は、全く異なる。米トランプ政権の誕生をきっかけに米欧の亀裂が安全保障、通商など様々な分野で拡大している。今回の首脳会議でも、結束よりも軋みばかりが目立った。 

 カナダのトルドー首相はトランプ米大統領のメディア対応などを揶揄。これを知ったトランプ氏がツイッターでトルドー氏を「2枚舌」と攻撃するなど、同盟国の外交舞台と思えないような軋轢が表面化した。

▼中国、ロシア、サイバー

 会議に先立ち、マクロン仏大統領は英Economist誌とのインタビューでNATOは「脳死状態」と表現。問題の深刻さを際立たせた(マクロン発言の背景には、NATOに頼らない欧州の安保機能強化の狙いもある)。

 首脳会議が採択した宣言は、ロシアの脅威や中国台頭への対応を重視。サイバー攻撃対応を強調した。テロや拡散などへの備えや、アフガニスタンなど地域問題にも言及した。しかし、米欧間で姿勢の違いが目立つイラン核問題やパレスチナ問題は触れなかった。

 宣言は、欧州諸国が軍事費拡大に努める旨を記述した。米国の意向を受けたものだ。これが第2項目に記述され、上記の世界的な課題や戦略より前に来た。印象的な構成だ。

▼存立基盤の揺らぎ

 1949年創設のNATOは、冷戦を勝利に導いた。冷戦後は機能を地域紛争対応などに転換し、西側同盟の安全保障の基盤として存在価値を維持してきた。

 しかし、近年米欧の対立が激しくなり、その存立基盤の揺らぎも指摘される。

 首脳会議は、世界の行方の不確実性を改めて映したようにも見える。

2019.12.08

 

 

2019年49号 (12.2-8 通算1013号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年12月2-8日
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◆NATO首脳会議、米欧の亀裂露呈(3-4日)☆
・NATOが創設70周年を記念する首脳会議を開催。ロンドン宣言を採択した。
・宇宙やサイバーでの防衛強化、中ロの脅威への対応などを強調した。
・ただ、協議では米欧の亀裂が露呈。米国は欧州に軍事費拡大を求めた。
・トルドー・カナダ首相とトランプ米大統領が、揶揄、批判し合う一幕もあった。
・NATO内ではシリア北部の攻撃に踏み切ったトルコへの批判も強まっている。
・会議に先立ちマクロン仏大統領は、NATPが脳死状態と述べた。
・NATOは1949年に創設。冷戦時代は西側の安保の柱として機能した。
・冷戦終了後は地域紛争への対応などで活動する。
・しかし米トランプ政権発足後は、内部亀裂が目立つ。

◆米下院、トランプ大統領弾劾訴へ(5日)☆
・トランプ米大統領がウクライナ疑惑で弾劾訴追される可能性が高まった。
・ペロシ米下院議長は弾劾決議案の作成を下院司法委員長に指示した。
・下院は野党民主党が多数で、年内に可決される可能性が大きい。
・トランプ氏が弾劾訴追されれば米史上3人目。舞台は上院に移る。
・同院は共和党優勢で実現のハードルは高い。それでも追訴は大きな節目だ。
・大統領選への影響も様々な形で出て来る。

◆米、仏のデジタル税を不当と断定、制裁関税検討(2日)☆
・USTRは、フランスが導入したデジタル税を巡る報告書を発表した。
・同税が米企業を不当に差別していると判断。制裁関税を検討する。
・チーズやスパークリングワインなど24億ドル分が候補。
・仏は19年7月、大手IT企業対象にネット事業売上げの3%に課税を始めた
・米国はGAFAなど米企業を狙い撃ちにしたとの批判を強めた。
・デジタル課税がOECDなどで協議が続くがなかなか結論が出ない。
・フランスは国際的議論の遅れを見て、先行導入を決めた。

◆グーグル、創業者が退任(3日)☆
・グーグル創業者の2人が持株会社アルファベットのトップを退任した。
・ラリー・ペイジCEOとセルゲイ・ブリン社長が役職を退任。
・アルファベットの新CEOは事業会社グーグルCEOのピチャイ氏が兼任する。
・ペイジ、ブリン両氏は今後、大株主や取締役として関与する。
・グーグルは1998年に設立。検索で世界をリードした。
・その後スマホOSのアンドロイドやYou Tubeなどを展開。
・世界のIT革命をリードする大手の1つだ。

◆冷戦終了のマルタ会談から30年(3日)☆
・米ソのマルタ首脳会談から30年を経過した。
・ブッシュ米大統領とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が会談。
・この年の東欧革命などを踏まえ、冷戦の終結を宣言した。
・世界はその後、米ソ2極→多極化。
・ソ連の崩壊、地域紛争やテロの多発、中国の台頭などを経験した。

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◎寸評:of the Week
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 【NATO首脳会談と冷戦後30年】 NATO首脳会談が3-4日、ロンドンで開催した。(→「国際ニュースを切る」)

 【アフガンでの中村医師の死】 アフガニスタンで医療や灌漑事業などの支援に取り組んできた医師の中村哲氏が4日、同国東部で射殺された。NGOペシャワール会の現地代表だった。
 事件は現地にも衝撃を与え、同氏の遺体を日本に送る際にはガニ大統領も棺を担いだ。
 アフガンでは治安の悪い状況が続き、複数の武装組織が跋扈する。トランプ米大統領は11月末アフガンを電撃訪問し、タリバンとの和杯交渉再会を主張したばかり。そのタリバンは、中村氏射殺とのかかわりを否定している。
 人道支援、紛争とのかかわりなどについて改めて思う。

 【新疆ウイグルの人権問題】 米下院は3日、ウイグル人権法案を可決した。中国の新疆ウイグル自治区における少数民族ウイグル人弾圧を重要視。トランプ政権に対し、中国当局者への制裁を求める内容。
 米議会は先に香港人権法を可決。トランプ米大統領の署名を経て法案成立した。こうした米国の動きに中国は反発する。 
 米中貿易戦争は、部分合意→停戦へと進む兆しもあった。しかし人権を巡る一連の動きが交渉の行方に影響する可能性もある。米中関係の行方は、様々な要因が絡んで動き、世界全体に波及する。

 【冷戦終了30年の世界・各地の抗議活動】 世界各地で様々な抗議活動が広がっている。
 フランスで年金改革に反対する抗議活動が拡大。5日には全土で80万人がデモに参加した。
 中東ではイラクのデモがアブドルマハディ首相を辞任に追いやった。イランではガソリン価格引き上げへの広範囲なデモが起きた。
 中南米のチリでは公共交通機関値上げへの抗議デモにより、政府がAPEC首脳会議やCOP25開催を断念した。エクアドルやコロンビアでも経済政策への抗議などのデモが拡大し、社会を揺るがしている。
 冷戦終了の30年前、世界には元平和が訪れるという期待(幻想)があった。1世代を経ての現実は、対立と抑圧、抗議活動が目につく。NATO首脳会議も同じ。2019年の世界の風景として、記憶しておく必要がある。

◎ 壁消えて平和の幻想抱いた日
◎ 対立と抗議が織り成した1世代

 

◎今週の注目(2019年12月9-15日 &当面の注目)
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・英国の総選挙が12日に行われる。保守党勝利ならば、2020年1月の英国のEU離脱の道筋がほぼ見えて来る。
・スペインで開催中のCOP25が13日までの予定。終盤は閣僚会議になる。
・サウジアラビアのアラムコが11日、同国証券取引所に上場する。同社は4日、IPOの受付を締め切り、合計256億ドルを調達する。2014年のアリババを抜いて史上最大規模になり、時価総額は約1兆7000億ドルと米アップルを抜き世界最大になる見込み。

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2019年12月 2日 (月)

2019年48号 (11.25-12.1 通算1012号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年11月25日-12月1日
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◆米が香港人権法(27日)☆
・トランプ米大統領は香港人権・民主主義法に署名した。
・香港に1国2制度が機能しているかを、米政府が毎年検証。議会に報告する。
・上下院は先に同法案を可決していた。著名で同法が成立した。
・中国は内政干渉であると、激しく反発した。
・米中間の貿易交渉にも影響する可能性がある。
・香港では26日の区議会選で民主派が圧勝した後も、当局は強硬姿勢を変えない。
・11月30日ー12月1日の週末も抗議デモが続き、情勢の行方は不透明だ。

◆欧州委員会の新体制発足(1日)☆
・EUの欧州委員会の新体制が12月1日に発足した。
・欧州議会が11月27日に人事案を承認した。
・新体制はフォンデアライエン委員長以下27人。
・新委員長は、欧州のグリーンニューディールなど6本柱の政策を打ち出した。
・ミシェルEU大統領(EU首脳会議議長)も同日就任した。

◆アリババが香港上場(26日)☆
・アリババ集団が香港取引所に株式を上場した。
・初値は187香港ドルで、公開価格を6%上回った。
・5億株の新株を発行し、865億香港ドル(約1.2兆円)を調達した。
・アリババは2014年にNY証取に上場しており、重複上場になる。
・米市場依存を改善し、資金調達先を分散する狙いとみられる。
・発行株の種類を分けて経営陣の権限集中を残す形は維持される。
・ガバナンス上の問題点を指摘する声もある。

◆トランプ米大統領がアフガン電撃訪問(28日)☆
・トランプ氏はアフガニスタン東部の空軍基地を予告なしに訪問した。
・同国訪問は2017年の就任後初めて。ガニ大統領とも会談した。
・反政府武装勢力タリバンとの和平交渉再開への意欲を示した。
・米国は9月、最終段階にあったタリバンとの和平交渉を打ち切っていた。
・訪問で和平再会に道筋を開き、米軍撤退→外交の成果にしたい狙いとされる。
・ぎくしゃくしていた米軍との関係修復の狙いも指摘される。
・大統領は海軍特殊部隊員の処分に介入。軍の反発を受けていた。
・アフガンには現在、1万2000人の米兵が駐在している。
・同国では9月に大統領選が行われたが、いまだに選挙結果の公表ができない状況。

◆イラク首相が辞任、反政府デモ拡大で(29日)
・イラクのアブドルマハディ首相は、辞意を表明した。
・同国では高失業や電力不足、汚職などを背景に国民の不満が拡大。
・10月以来バクダッドなどで大規模な反政府デモが起きている。
・同国は2003年のイラク戦争後混乱が継続。ISも一時伸長した。
・現政権は2018年5月の選挙を経て、同年10月に成立した。
・イスラム教シーア派政党が首相を支持してきたが、混乱拡大で離反が目立つ。
・反政府デモを先導する組織など不明な点も多い。イラクの混乱は続く。

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◎寸評:of the Week
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 【株高】 米国の株高が続く。NYダウは27日、前日比42ドル高の2万8164ドルと3日連続で過去最高値を更新した。世界経済は減速感を強めているし、米中貿易戦争の行方など先行き不透明な材料は多い。そうした中での株高に警戒感も出ている。

 【地球温暖化】国連環境計画(UNEP)は26日、新しい報告書を発表した。地球の気温上昇を産業革命から1.5度以内に抑えるためには、温暖化ガス排出量を2020-30年に前年比7.6%減らす必要があるとの内容。現在各国が打ち出している目標では、気温が3.2度上昇する。COP25は12月25日からスペインのマドリードで開かれる。

 【AI対人間】 囲碁の韓国トップ棋士で世界最強ともいわれたイ・セドル9段(36)が引退を表明した。AIにはどうせ勝てないことを引退の理由に挙げた。
 同氏は2016年にグーグルが開発したアルファ碁と対決して敗れ、評判となった。コンピューターはすでに1990年代にチェスで世界チャンピョンに勝利。将棋でも人間を凌ぐ結果をのこしていた。ゲームで最も難しいと言われた囲碁も、2016年に追いついた。
 これからどんな分野で「AI対人間」が注目されていくのか。ゲームのように勝ち負けがはっきりするものではないが、翻訳や文章作成、作曲なども注目される。
 レイ・カーツワイル博士がいうシンギュラリティは2045年。AI対人間は、人類の在り方や地球文明の未来にも関係する問題だ。

◎ AIvs人 白熱していた3年前
◎ 人はどこに?頭悩ます未来予想

 

◎今週の注目(2019年12月2-8日 &当面の注目)
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・地球温暖化問題を協議するCOP25が2日、スペインのマドリードで始まる。13日まで。終盤に閣僚会議が行われる。
・NATO首脳会議が3-4日にロンドンで開かれる。
・WADA(世界反ドーピング機関)が9日の理事会で、ロシアの東京五輪・パラリンピック参加問題を協議する。11月25日に発表した処分案では、五輪や世界選手権などから4年間除外する。選手個人資格での参加は認める。決定に注目が集まる。

 

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