« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »

2019年8月

2019年8月27日 (火)

◆G7首脳会議が映した世界の変化 2019.8.26

 G7首脳会議が24-26日、仏南西部ビアリッツで開かれた。会議は米トランプ大統領に掻き回され、通商や環境など多くの問題で意見の違いが際立った。40年以上に渡る会議で初めて包括的な首脳宣言の採択を見送るなど、世界の変化を映した。

▼包括的首脳宣言なし

 今年の会議は包括的首脳宣言の採択を見送った。採択見送りは前身のG5首脳会議が1975年に始まって以来初めてだ。

 首脳宣言は世界が直面する経済・政治問題全体をカバーし、G7首脳の共通認識や、協力して取り組むべき政策などを示してきた。向こう1年の世界の針路を示すものともいえた。内容は詳細で、2016年の伊勢志摩サミットの場合32ページだった。

 これに対して今年のサミットの「宣言」(G7 Leaders’ Declaration)は1枚。内容は、通商、イラン、ウクライナ、リビア、香港情勢の5項目で、いずれも1-4行のとどまる。宣言というよりメモのような形だ。

▼トランプ時代のサミット

 トランプ米大統領が2017年に登場してから3年。大統領はそれまで米欧など先進国の共通認識だった保護主義反対や多国間主義重視に異を唱え、自国利益第一(米国第一)の立場を鮮明にした。米国は地球温高防止のパリ条約や、イラン核合意からも脱退した。

 G7首脳会議に対しても懐疑的な姿勢を取り、不要論を公然を唱える場面もあった。昨年(2018年)のカナダでのサミットは首脳宣言にいったん合意したが、終了後に署名を拒否、混乱に陥らせた。

 こうした「トランプ時代の現実」を踏まえ、議長国フランスは最初から包括的首脳宣言の採択を前提としないで準備を進めた。その結果が包括的首脳宣言なしだ。

▼「保護主義反対」を言わない世界

 G7首脳会議は元々、世界経済を議論するために始まった会議。その世界経済を揺り動かすのが米中貿易戦争だ。会議で各首脳は米中貿易戦争に懸念を示したが、それ以上の具体的な議論は進まなかった。

 宣言には世界経済の安定希望など常識論を盛り込んだ。また米国の立場に配慮してWTOの抜本的な改革の必要性を指摘した。一方、トランプ大統領の登場以降、主要な国際会議の宣言から消えた「保護主義反対」の表現は今回もなかった。それどころか議論も行われなかった。

▼地球温暖化問題とアマゾン火災

 地球温暖化問題も米国と仏独などが対立したままだった。議長国フランスのマクロン大統領は温暖化問題を正面から取り上げて、トランプ米大統領と衝突するのを避け、からめ手で環境問題の議論を進めた。

 焦点を当てたのがアマゾンの火災。アマゾンは地球全体の酸素の5分の1を生み出していると推測されるが、今年に入り火災が急増している。ブラジルのボルソナーロ大統領が自然保護より開発優先の政策を打ち出し、その結果、農地開発や牧畜のため森林焼却が増えているためとされる。

 G7で取り上げたことから、この問題を巡る国際的な報道が急増。ブラジルに対する国際世論の批判が高まった。G7としても2000慢ドルの緊急支援など支援策を表明した。ボルソナーロ氏は支援を拒否したものの、国際世論に配慮し、軍隊を派遣し消火活動に動き出した。

▼イラン外相の電撃訪問

 マクロン氏はイラン問題でも独自色を出した。会議の場所にイランのザリフ外相を招き同氏の電撃訪問を実現。イラン核問題に新たな議論を引き起こした。訪問は、米国との事前調整などなしに進めたと報じられる。

 首脳会議にはアジアや中東、アフリカの首脳も招き、G7の枠組みの会合のほか、拡大版の会合も多数開催した。

▼首脳間の相性

 G7サミットの中継からは、首脳間の関係の良し悪しや相性も伝わってきた。夫人とともに各国首脳を迎えたマクロン氏は、メルケル独首相、トルドー・カナダ首相らとは親密に抱き合った上で話をし、良好な関係を示した。

 トランプ米大統領とはぎこちない握手の一方、会話に努めているように見えた。ジョンソン英首相とは、冷めた感じの握手ばかりが目立った。日本の安倍首相は緊密に迎えたが、直接の会話が難しいせいか共にいた時間は少なかった。

▼変化を映す場面

 米CNNは首脳会議について、"Trump's Chaos on full display at G7" (トランプが引っ掻き回したG7)と論じた。トランプ時代の現実をよく表現する。一方で、中国やロシアが不在であるのもG7の現実だ。

 今年のG7首脳会議は例年以上に話題が多く、見えてくるものも多かった。

◎ G7昔は世界を仕切ってた
◎ トランプで会議ゴタゴタ織り込み済み
◎ 「価値観を共有」と言った4年前
◎ アマゾンの火災に唸る10億人

2019.8.26

 

 

2019年34号 (8.18-26 通算998号)国際ニュース・カウントダウン

 

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年8月18-26日(欧米時間)
 

◆G7首脳会議、包括首脳宣言見送り(24-26日)☆
・G7はフランスのビアリッツで首脳会議を開催。政治・経済問題を協議した。
・貿易や地球温暖化など多くの点で、米欧の意見が食い違った。
・このため包括的な首脳宣言の採択は見送った。ごく短い宣言を発表した。
・文書は1ページで、通商、イラン、ウクライナ、リビア、香港情勢に触れた。
・米中貿易戦争に多くの首脳が懸念を示したが、具体的議論に至らなかった。
・トランプ米大統領が反対する保護貿易反対や環境問題への深入りは回避した。
・G7として共通理念を打ち出し、世界の針路を示すかつての姿とは程遠かった。
・議長国の仏マクロン大統領はアマゾン火災問題をプレイアップ。
・会議地にイラン外相を招き核問題に焦点を当てるなど、独自色を出した。

◆中国が米に報復関税発表、貿易戦争の行方不透明(23日)☆
・中国は米国の対中制裁「第4弾」への報復措置を発表した。
・農産物など約750億ドル分の米国製品に5-10%の追加関税をかける。
・実施は米国の第4弾が部分的に発動される9月1日から。
・米国は合計3000億ドル分の中国製品に制裁関税を計画。9月と12月に発動する。
・米中貿易戦争は緩和の兆しがないまま激化。世界経済先行きへの不安が膨らむ。
・ただトランプ米大統領は26日、中国との協議再開の意向は示した。
・米国は台湾にF16戦闘機66機を売却する手続きを推進。軍事面でも緊張が強まる。

◆伊コンテ首相が辞任(20日)☆
・コンテ首相は上院演説で辞任を表明。マッタレッラ大統領に辞表提出した。
・連立政権構成の五つ星運動と同盟の対立が深刻化。政権維持は困難と判断した。
・大統領は21日から新政権樹立に向けて各党と協議に入った。
・同国では2018年の選挙後、ポピュリストと極右の連立政権が発足。
・首相には非議員のコンテ氏が選ばれた。
・しかし5つ星と同盟は財政政策などで対立。同盟は9日に内閣不信任案を提出した。
・これに対し5つ星は野党と組んで不信任案の採決を拒否した。
・5つ星と中道左派民主党が新政権を組むとの情報も流れる。
・イタリア政治は先行き不透明感が増大。国債の価格など経済にも影響が及ぶ。

◆日韓関係悪化が加速、韓国が軍事情報保護協定破棄(23日)☆
・韓国は軍事条約保護協定(GSOMIA)の廃棄を決定し通告した。11月22日失効する。
・同協定は日韓で情報の機密を共有する取り決め。
・破棄は日本による対韓輸出管理強化への対抗措置との見方が強い。
・日韓関係は徴用工訴訟問題や日本の輸出管理強化などで悪化が進んでいる。
・協定破棄の影響については議論が分かれるが、関係悪化を一段と印象付ける。
・米国は日韓の関係悪化に懸念を示したが、破棄の阻止にはつながらなかった。
・共に米国の同盟国である日韓の対立は、北朝鮮政策にも影響する。
・北朝鮮はここに来てミサイル発射を繰り返している。

◆トランプ氏がデンマーク訪問中止、グリーンランド買収拒否で(20日)(^^)
・トランプ米大統領は9月初旬に予定していたデンマーク訪問を中止した。
・同氏は先にデンマーク領グリーンランドの買収を希望していると表明。
・フレデリクセン首相は一蹴した。
・トランプ氏は拒否の仕方が非礼などとツイッターした。
・ただしその後、同首相を持ち上げ関係修復に努めた。
・領土の買収構想からして通常ではあまりない話。
・グリーンランド首脳は「売り物ではない」(Greenland is not for sale)と発言。
・笑える。

 ┌──────────────────────────── 
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├───────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
 └─────────────────────────────

 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【G7首脳会議】G7首脳会議が24-26日、仏南西部ビアリッツで開かれた。今年の会議は様々な点で関心を集めた。(→国際ニュースを切る)

 【香港情勢】 6月から続く香港の抗議活動が3か月経過した。18日には民主派の呼びかけで170万人参加の大規模デモが開かれた。24-25日の週末には、デモ参加者と警察当局が衝突、負傷者も出た。事態の行方は依然みえない。

 【Brexit】 ジョンソン英首相が21-22日独仏を訪問。メルケル独首相、マクロン仏大統領と会談した。英国のEU離脱問題については従来の主張が繰り返された。10月末の「合意なし離脱」の可能性が膨らんだ、との見方が強い。
 英紙サンデー・タイムズは18日、合意なし離脱の場合の影響をまとめた英政府の内部文書をすっぱ抜いた。食料や医薬品の不足などを指摘。英国内で波紋が広がった。
 英政府は20日、EUの会合に9月1日から原則参加しないと発表した。首脳会議などEUに直接関係する会議のみ参加する。ジョンソン氏が「何があっても離脱する」という10月30日まで2カ月余。事態はどう動くか。

 
◎今週の注目(2019年8月27日-9月1日 &当面の注目)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・米国が9月1日、対中国制裁関税引き上げ「第4弾」の一部を発動させる。中国も関税引き上げで対抗する予定。米中貿易戦争は収束の行方が見えない。
・G7首脳会議でも話題になったアマゾン火災の行方が気になる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2019 INCD-club

 

 

2019年8月19日 (月)

2019年33号 (8.12-17 通算997号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年8月12-17日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆香港の抗議運動拡大、空港一時封鎖☆
・香港の抗議活動が拡大。12-14日には空港が一時封鎖された。
・数千人の若者らが座り込みを実施。12-13日には600便以上が欠航した。
・中国は人民武装警察部隊を隣接する深センに配置。圧力をかける。
・各地で抗議活動が継続。11日には各地で衝突し、負傷者が出た。
・香港抗議活動は発生から3か月を経過し、むしろ過激化している。
・動きは香港の将来の地位や中国の民主化対応を左右しかねない。影響は大きい。
・世界は固唾を飲んで見つめている。

◆イタリア内閣不信任回避、連立政権亀裂は決定的(13日)☆
・上院は与党の極右・同盟が提出した内閣不信任案の採決を見送った。
・連立相手の「5つ星運動」と野党・民主党が反対。採決を拒否した。
・内閣不信任→総選挙は当面回避された。
・ただ連立与党の亀裂は決定的になり、政権の行方は不透明だ。
・政権は極右とポピュリズム政党の連立で2008年の成立した。
・しかし税制やインフラ整備などを巡り意見対立が深まった。
・同盟は反移民などで人気を高め、5月の欧州議会選でも勝利した。
・5つ星や野党は、早期の選挙を避けたい思惑で一致する。

◆米長短金利が逆転、景気後退への懸念(14日)
・米国の国債市場で、短期利回りが長期を上回る逆転が起きた。
・2年物の利回りが10年物を上回った。逆転は12年ぶり。
・長短金利逆転は将来の景気後退を示唆する現象と受け止められる。
・米中貿易戦争で世界経済への先行懸念は強まっている。
・世界各地では景気減速の兆候が目立ち、英独の4-6月はマイナス成長。
・ロシアは2019年の第1、第2四半期の成長がともに1%を切った。

◆アルゼンチン大統領予備選で左派勝利、通貨安(11-12日)
・大統領選の予備選挙を11日実施。左派のフェルナンデス元首相が首位だった。
・得票率47%で、現職の中道右派マクリ大統領の32%に大差をつけた。
・予備選は大統領選出馬の条件で1.5%以上の得票が必要。大統領選は10月27日。
・フェルナンデス氏はIMFとの合意見直しなどを掲げる。
・結果を受け市場では12日、通貨ペソ安や株安が進んだ。
・マリク大統領は14日、最低賃金の引き上げなどの経済対策を発表した。
・マリク氏は2015年就任。市場重視の立場から経済改革推進を目指した。
・しかし2018年には大幅な通貨安などに見舞われ、経済は混乱した。

◆英がイラン籍タンカー解放(15日)
・英領ジブラルタルは7月に拿捕したイランの石油タンカーを解放した。
・イラン側からシリアへ輸送しない確約が取れたためという。
・米国は拘束の継続を求めていたが、要請に答えない形で解放した。
・イランがペルシャ湾で拿捕した英国タンカーの解放に結びつくかは不明。
・英は米国が提唱したペルシャ湾でのタンカー護衛の有志連合には前向き。
・イラン情勢は、各国の利害が複雑に絡み合う形で緊張が高まった状況が続く。

   ┌──────────────────────────── 
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├───────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【香港混乱】 香港の混迷が深まっている。容疑者の中国への引き渡しを容易にする法案を巡り、抵抗運動が拡大したのが6月。それから3か月を経過し、住民の抵抗運動はむしろ拡大し、過激化している。11日には各地で衝突が起こり、1人の女性が警察の暴行を受けて失明したとの情報が流れた。これをきっかけに、数千人の若者が12-13日にかけて空港を占拠。2日で600便が欠航に追い込まれた。空港占拠の映像は世界に流れ、世界の関心が集まっている。
 中国は武装警察部隊を隣接する深センに配置。香港への圧力を強める。ただ、実際に香港への派遣となれば、民主化運動を武力で制圧した1989年の天安門事件の繰り返しになりかねない。国際的な非難を浴びるのは必至で、中国当局もそうした事態は望んでいないとの見方が強い。
 トランプ米大統領は香港情勢に関するツイートを繰り返し、中国をけん制する。
 問題は香港の一国二制度の行方、中国の民主民主化への対応、米国など国際社会の中国手の対峙の仕方などに影響する。
 2014年の雨傘運動は、民主派の運動が制圧される形で終わった。今回はどうなるか。
 雨傘運動の現場には、ジョン・レノンのイマジンの詩が掲げられた。今回の抵抗運動では、レ・ミゼラブルの「民衆の歌」が歌われる。抵抗運動を支える精神も重要だ。
 香港情勢から目を離せない。
 
◎ 中国の覇権へ抵抗3月(みつき)超ゆ
◎ 自由への勇気支える歌がある

 
◎今週の注目(2019年8月18-25日 &当面の注目)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・香港情勢の行方から目を離せない。中国の全人代は22日から常任委員会を開催する予定。香港問題を協議する可能性がある。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。
 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2019 INCD-club

 

 

 

2019年8月12日 (月)

2019年32号 (8.5-11 通算996号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年8月5-11日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米、中国を為替操作国指定、摩擦貿易→通貨へ(5日)☆
・米財務省は中国を「為替操作国」に指定した。
・ドル元相場が1ドル=7元台に下落。年2回の見直し時でなく緊急に判断した。
・米国の為替捜索指定は1994年以来25年ぶり。
・米中の貿易交渉が暗礁に乗り上げ、新たなカードを切ったとの見方が強い。
・米国は9月1日から中国からの輸入のほぼ全量に、高率の関税をかける予定。
・米中摩擦は貿易からハイテク、通貨へと範囲を広げ、深まっている。

◆インド、カシミールの自治剥奪(6日)☆
・インドは北部ジャム・カシミール州に自治権を剥奪した。
・自治権を認める憲法の規定を削除した。
・同州をジャム・カシミールとラダックの2つの連邦直轄地に再編した。
・テロの危機などに対応する狙いとする。
・同州を含むカシミール地方の領有権を争うパキスタンは反発。緊張が高まる。
・カシミールは印パと中国が領有権を巡り対立。紛争を繰り返してきた。
・同州はインド領ながらイスラム教徒が多い。
・インドはイスラム過激派が同州を拠点に活動していると主張。
・ヒンズー教重視の与党人民党は、選挙で同州の自治権剥奪を主張した。

◆イタリア政権崩壊の危機、連立与党内で不信任案(9日)☆
・連立与党の極右「同盟」は内閣不信任案を上院に提出した。
・連立相手の5つ星運動と予算や経済政策で対立が深まった。
・サルビーニ党首(副首相)は修復不可能と判断。不信任→選挙を求めた。
・早ければ10月に総選挙が行われる可能性がある。
・現政権はポピュリズムと極右政党の連立で2018年6月に成立した。
・市場は政局不安を警戒。国際価格は下落(利回りは上昇)した。

◆イエメン分離派が暫定政府拠点を制圧、内戦一層混迷(10日)☆
・イエメン分離・独立派のSTCが、ハディ暫定政権の拠点を制圧した。
・南部港湾都市アデンの大統領宮殿や軍事拠点を押さえた。
・STCは2017年に暫定政権から分離。対フーシ(イランが後ろ盾)では共闘してきた。
・暫定政権は主にサウジが支援。STCはUAEが支援してきた。
・今回の動きは両者の分裂を映すとの観測が強い。
・現在のイエメン内戦は2015年に本格化。
・サウジとイランの代理戦争の形で情勢は泥沼化した。
・食料や衣料品の不足で深刻な人道危機にある。

◆銃乱射、波紋拡大☆
・テキサス、オハイオ両州で3-4日に起きた銃乱射事件の波紋が拡大している。
・民主党議員は、トランプ大統領の人種差別容認的な姿勢が背景にあると批判。
・大統領はヘイトクライムを認めない姿勢を強調した。
・銃規制を求める動きも改めて高まっている。ただし反対勢力も大きい。

   ┌──────────────────────────── 
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├───────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【米中経済戦争さらに拡大】 米中経済戦争がさらに拡大した。米政府は中国を為替操作国と認定した。認定は、輸入制限など制裁措置に踏み切る理由にできる協力な武器だ。
 米国は昨年以来、中国が知的財産を侵害しているとして制裁関税を発動。9月にはほぼ全輸入品に高額関税を課した。さらにファーウェイとの取引を制限するなど、摩擦はハイテク分野に及んでいる。
 ここに通貨も加わった形で、経済戦争は戦線を広げている。
 すでに世界経済の減速など影響は多方面に及んでいる。世界経済の風景は、過去1年余りで風変わりした。

 

 【カシミール問題】 インドがジャム・カシミール州の自治権を剥奪し、中央政府の直轄地にした。テロ対策を理由とするが、同州内のイスラム系住民やパキスタンは強く反発。緊張が高まっている。
 自治権の剥奪は、与党のインド人民党が4-5月の総選挙で主張していた。人民党はヒンズー教至上主義も掲げる。インドのモディ政権は、国内の人気維持の目的もあり、強硬策に出たとの見方が強い。
 インドは人口の80%がヒンズー教だが、同州はイスラム系住民が多数だ。1947年のインドやパキスタン独立時に、同州を支配していた藩王がインド帰属を望んだ経緯がある。ねじれは歴史的な背景にに根差し複雑だ。
 同州を含むカシミール地方はインドとパキスタン、中国の間で領土の所有を巡り対立が続き、印パ間では過去3回戦争が起きている。インド国内ではイスラム過激派によるテロも頻発している。
 インド政府はイスラム過激派が同州内に拠点を起き活動をしていると主張。管理強化のために自治権剥奪という強硬策に打って出た。
 今回の措置に対し、イスラム系住民はもちろん、パキスタンンも強く反発する。パキスタン政府は7日、対インド貿易を停止すると発表した。現地で新たな住民対立やテロ発生の懸念も指摘される。カシミールは世界第2の高峰K2を代表とするカラコルム山脈を望む高地で、世界の屋根と言われる地域に連なる。歴史的にも多数の民族、宗教が衝突する紛争の地でもあった。緊張の一段の高まりに目を離せない。

◎ 世界の屋根、領土争い果てしなく
◎ 紛争地、強硬策は受けるけど

 

 【世界的な利下げ競争】 世界で利下げ競争が加速している。米国の利下げ観測が強まった春からその傾向が出ていたが、7月31日の米10年ぶりの利下げでより鮮明になった。8月に入りインド、タイなどが相次ぎ利下げを実施。この先欧州のさらなる緩和も予想される。
 米中貿易戦争の影響などで世界経済は減速。それに対応する動きだ。ただ、金融緩和で新たなバブルが膨らむリスクはもちろんある。

 
◎今週の注目(2019年8月12-18日 &当面の注目)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・世界の紛争地できな臭さが増している。イエメン、カシミールなどの情勢に注意。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2019 INCD-club

 

 

2019年8月 5日 (月)

◆米10年ぶり利下げの意味 2019.8.4

 米FRBが利下げに踏み切った。リーマン・ショック後の2008年10年以来10年半ぶり。2014年からの超緩和是正にも終止符を打つ。米中貿易戦争に伴う世界経済減速リスクへの備えの意味があるが、新たにバブル膨張の懸念もはらむ。

▼世界経済の下振れに警戒

 FRBは31日、FF金利の誘導目標を従来の2.25-2.5%→2-2.25%に0.25%引き下げた。会見したパウエル議長は、世界経済の成長の弱まりと貿易戦争による下振れリスクに対応する決定であると説明した。

 米経済の足元の数字は強い。景気は10年にわたり拡大しており、失業率は4月に3.6%と49年ぶりの低水準を記録した。

 しかし、米中貿易戦争の影響で先行き不透明感は増している。物価上昇率も目標とする2%を下回る。

 世界経済の不透明感は米国以上。IMFや世銀などは世界経済の成長見通しを相次いで下方修正した。中国の4-6月の成長率は6.2%と、4半期の数字としては1992年以来27年ぶりの低い水準になった。アジアの経済も減速している。

 こうした米経済の先行き不透明感や世界経済の先行き不安に対する「予防的な利下げ」の色彩がある。

▼超緩和是正の終了

 FRBはリーマン・ショックの後、異例ともいえる金融緩和策を実施した。2008年には利下げを繰り返しゼロ金利政策を採用。その後3回に渡る量的緩和政策を実施し(Q1-Q3)、米国債などの資産を大量に保有した。

 その超緩和政策の修正に動き出したのが2014年。量的緩和を停止し、翌2015年には金利の引き上げに踏み切った。2017年には膨れ上がった資産の縮小(FRBは正常化という言葉を使用)を開始。2018年には4回の利上げを実施し、昨年12月時点では、2019年にも2回の利上げ実施するとの見通しを示し、さらなる正常化を進める予定だった。

 2019年に入り状況は変わった。年初の株価が下落すると、FRBは1月利上げの停止を決定。資産縮小も年内で打ち止める姿勢を打ち出した。貿易戦争の影響などで米経済の先行きに不安が増してくると、3月には景気重視に政策スタンスを変換し、資産縮小の終了時期を9月に前倒した。

 今回の利下げは、2014年からの超緩和の修正(正常化)の終了を意味する。米金融政策の流れは一変した。

▼世界的に利下げ競争の様相

 米金融政策の転換を見込んで、世界各国はすでに動き出している。欧州中銀はさらなる金融緩和の姿勢を打ち出した。

 インドは今年に入り3回連続で利下げを実施。マレーシアやフィリピン、豪州なども5-6月に利下げに踏み切った。世界経済減速に利下げで対応しようとする動きで、世界規模での「利下げ競争」の様相を見せている。

 ただ、国際的な金融政策の動きが激しくなり不確実性が高まると、新興国の市場は大幅な変動のリスクに直面する。警戒の目は離せない。

▼新たなバブルの懸念

 もう一つ警戒すべきは、超緩和の是正先送り→新たなバブル発生の懸念が強まることだ。米国の実体経済は足元では完全雇用の状態。株価は変動が激しいものの、1年前、2年前に比べれば上昇している。トランプ政権は1兆ドル規模の大型減税を実施。財政出動による大型投資計画を打ち出している。そんな状況の下でさらなる金融緩和を実施すれば、実体経済が改善するより、むしろバブルの発生を助長する懸念がある。

 国際的には、民間企業などの債務がかつてない水準に膨れ上がっている。そこにさらなる金融緩和が加わるとどうなるか。リスクが高まる可能性がある。

▼トランプ政権のFRB批判

 トランプ政権は、さらなる金融緩和を求めている。今回の利下げについて、パウエルFRB議長は利下げが長期的な利下げサイクルの開始ではなく、「サイクルの半ばでの調整」であると説明した。これに対しトランプ大統領はさっそくツイッターで「長期的で積極的な利下げの始まりを聞きたかった」とパウエル議長を批判した。

 トランプ氏は昨年以来、より積極的な緩和を求めてFRB批判を繰り返している。中銀の独立性を軽視する発言はこれまでのコンセンサスを無視する行動で、異例だ。同時に、トランプ氏がバブルの懸念や長期的な財政問題にあまり配慮せず、短期的な景気維持を重視している姿勢を隠すことなく映している。

▼貿易戦争の影響

 そもそも米国経済や世界経済が減速し、先行き下振れリスクが高まっている最大の原因は、米中貿易摩擦だ。中国から米国への輸出に高率の関税がかかるようになり、貿易や投資が落ち込んでいる。貿易戦争の先行きは読めず、先行き不確実性が高まっている。

 それを引き起こしたのはトランプ大統領だ。米中貿易戦争を起点に、世界経済の行方や米金融政策に玉突きのように変化が連鎖している。結果が世界経済の減速にとどまらず、バブルの破裂などに及ぶリスクは、もちろん否定できない。

◎ 高関税、利下げで補えと言われても
◎ 正常化 いともたやすく打ち止まる
◎ またバブル?天仰ぎたくなる10年目

2019.8.4

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年31号 (7.29-8.4 通算995号)国際ニュース・カウントダウン

 

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年7月29日-8月4日
 
◆米が対中関税第4弾発動へ(1日)☆
・トランプ米大統領は対中制裁関税の第4弾を発動すると発表した。
・3000億ドル相当の中国製品に10%の関税を追加する。9月1日から。
・スマホやノートパソコンなどIT製品の消費財も含む。
・実現すれば、中国からのほぼすべての輸入品に高率関税がかかる。
・米中は7月末に閣僚会議を開催したが不調。大統領は第4弾を決断した。
・米国が対中制裁関税の第1弾(340憶ドル分)を課したのは2018年7月。
・それから1年余りで、制裁対象は合計5500憶ドルに拡大する。
・世界経済はすでに米中摩擦の影響で減速。影響は一層と深刻化しそうだ。

◆米が10年ぶり利下げ(31日)☆
・米FRBはFF金利を2.25-2.5%→2-2.25%に引き下げた。2008年12月以来。
・貿易戦争のリスクを警戒、景気悪化を防ぐ狙い。
・同時に量的引締め(保有資産の縮小)を終了した。当初予定より2か月前倒し。
・FRBの利下げは、世界的な利下げ連鎖を引き起こす可能性がある。
・パウエル議長は会見で、長期的な利下げ局面入りではないと述べた。
・トランプ米大統領は長期的な利下げが必要と主張。FRBを批判した。
・米金融政策の先行きは不確かで、世界の金融市場の行方も不透明感が残る。

◆日韓関係悪化に拍車(2日)☆
・日韓関係の悪化が加速している。
・日本は2日、韓国向け輸出管理の厳格化を決めた。安保上の理由とする。
・韓国は反発し対抗措置を取る構え。
・日韓関係は2018年10月の韓国最高裁による元徴用工訴訟判決を契機に悪化。
・従軍慰安婦財団解散、韓国海軍による自衛隊へのレーザー照射問題が起きた。
・米国は日韓の関係悪化を懸念。2日には日米韓の3か国外相会議を開いた。
・しかし問題改善の糸口は見えてこない。
・観光客の減少や日韓間の航空便の減少など、様々な影響が出ている。

◆米で乱射事件続発(3-4日)
・テキサス州エルパソの商業施設で3日、白人の男による銃乱射事件が発生。
・20人が死亡し多数の負傷者が出た。
・移民に対するヘイトクライムの可能性が大きい。
・4日未明にはオハイオ州デイトンでも銃撃事件があり、10人以上が死亡した。

◆中国が台湾への個人旅行禁止(31日)
・中国は大陸から台湾への個人旅行を当面停止すると発表した。
・台湾の観光業に悪影響が出る可能性がある。蔡英文政権への圧力とみられる。
・中国から台湾への観光客は205万人(2018年)。うち107万人が個人だ。
・夏休みシーズンや10月の国慶節の連休をにらんだ模様だ。

   ┌──────────────────────────── 
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├───────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
 └─────────────────────────────

 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【米利下げ】 米FRBが31日、10年ぶりの利下げに踏み切った。金融超緩和の是正の停止でもある。影響は大きい。 (→「国際ニュースを切る」)

 

◎今週の注目(2019年8月5-11日 &当面の注目)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・米国が対中制裁関税の第4弾を決定。それに対する中国側の反応などがどう出て来るか。
・世界の金融市場や経済に注目。
・イラン情勢に引き続き注意。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。
 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2019 INCD-club

 

 

« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ