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2019年7月29日 (月)

◆英ジョンソン新首相の意味 0219.7.28

 英国首相にボリス・ジョンソン元外相(55)が就任した。英国のEU離脱をリードした強硬離脱派の中心人物。型にはまらない言動で国民の人気が高い一方、言動の幅が大きくポピュリスト的な面もある。ジョンソン首相誕生で合意なし離脱のリスクが高まったが、Brexitの行方はなお不透明だ。英国の政治的混乱も続く。英政治の劣化を指摘する意見も多い。

▼離脱強硬派の新政権

 ジョンソン氏は、メイ前首相(前保守党首)辞任に伴う与党保守党の党首選を制して首相就任が決まった。約16万人の保守党員による選挙は、ジョンソン氏が9万2000票でハント外相(4万6000票)に圧勝した。これを受けてジョンソン氏は24日、エリザベス女王から首相に任命された。

 ジョンソン氏は24日、新政権の閣僚を発表。ほぼ全員を離脱強硬派で固めた。与党保守党からはBrexitを巡り離党者が相次ぎ、閣外協力を得ている北アイルランドのDUP(民主統一党)を合わせても実質過半数ギリギリ。政権基盤が脆弱な形での船出だ。

▼ポピュリスト的な側面?

 ジョンソン氏は新聞記者出身。保守党下院議員を経て2008-16年にロンドン市長を務めた。その後、下院議員としてEUからの離脱キャンペーンを先導。国民投票後に成立したメイ前首相の政権では外相を務めた。しかしメイ首相が2018年夏にEUとの関係を重視する離脱(穏健離脱)に転じると外相を辞任した。

 イートン→オクスフォードの典型的なエリート。しかし、歯に衣着せぬ発言と型破りな言動で庶民の人気をつかむカリスマ政治家の要素がある。ロンドン市場時代には自転車で通勤し話題になった。

 一方で主義主張に一貫性がなく、ポピュリスト的な側面があるとの批判も多い。元々反EUの色彩は強かったが、一貫してEU離脱派の先頭に立っていたわけではない。国民投票で離脱支持を鮮明にしたのは投票の4か月前だ。それも、ライバル関係にあったキャメロン元首相との関係を考えた判断、との報道がある。道化師的との評価は、定着していると言ってもいい。

▼Brexitの先行きは不透明

 ジョンソン氏は首相就任後、10月31日に離脱を何が何でも実現すると強調。EUとの交渉に期待を寄せつつも、交渉が不調な場合合意なし離脱も辞さないと述べた。しかし、実際に交渉をどのように進めたいかなど、具体策は示さなかった。

 懸案の北アイルランドの国境問題は、解決のめどがつくまで英国全体を関税同盟に残すという「バックストップ」に反対すると強調した。しかし、具体性のある代替案は示していない。

 EU側はメイ政権と合意した離脱案の微調整はあっても、再交渉には応じないとのスタンスを変えない。Brexitの行方は全く不透明なままだ。

▼解散や再度の国民投票の観測も

 保守党内にも合意なし離脱派避けるべきだ、との意見が多い。ジョンソン首相が強硬離脱で突っ走ろうとしても、下院が認めない可能性もある。そうなれば、解散・総選挙や2度目の国民投票が避けられない、という観測も出ている。

 Brexitの行方は、英国政治の行方とも表裏一体。ともに、先行き不透明の状態が続く野は避けられない。

▼英国の政治の劣化

 それにしても、英国政治の混乱は目を覆う。Brexitから3年以上を経過し、何も決められない状況が続く。国民の意見は分裂したまま。無責任なポピュリズム的な訴えに支持が集まる状況が続く。5月の欧州議会選では反移民のBrexit党が英国で最大の議席を獲得した。 

 仮に合意なし離脱になれば、経済的な混乱が拡大するだけにとどまらない。北アイルランド情勢の悪化や、悪くすれば紛争再燃の懸念も増す。スコットランドの独立問題が再燃する可能性も高い。

 強硬離脱派は「主権の回復が第一」と強調するが、こうしたリスクを十分に考えて対応しているのか。どうも、そうでないように思えてならない。

 もちろん、政治の劣化が指摘されるのは英国だけではない。フランスやドイツもポピュリスト政党や極右・反移民政党の台頭に悩む。イタリアではポピュリストと極右の連立政権が誕生した。米国はトランプ政権を選択した。しかし、英国の場合、小選挙区制に基づく議院内閣制に支えられて政治はここ30-40年、比較的安定していた。これがBrexitを契機に急速に揺らいだように見える。

 英国が保守党と労働党を2大政党とする政治体制に入ったのが1920年代(それまでは保守党と自由党の2大政党)。女性参政権が完全な形で実現したのは1928年だ(制限付きは1918年から)。それから100年近くを経過し、制度疲労を起こしているのだろうか。

◎ 道化師に宰相託す老大国 
◎ 混乱の上乗せの予感 新首相

 

 

 

 

 

 

 

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