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2019年7月

2019年7月29日 (月)

◆英ジョンソン新首相の意味 0219.7.28

 英国首相にボリス・ジョンソン元外相(55)が就任した。英国のEU離脱をリードした強硬離脱派の中心人物。型にはまらない言動で国民の人気が高い一方、言動の幅が大きくポピュリスト的な面もある。ジョンソン首相誕生で合意なし離脱のリスクが高まったが、Brexitの行方はなお不透明だ。英国の政治的混乱も続く。英政治の劣化を指摘する意見も多い。

▼離脱強硬派の新政権

 ジョンソン氏は、メイ前首相(前保守党首)辞任に伴う与党保守党の党首選を制して首相就任が決まった。約16万人の保守党員による選挙は、ジョンソン氏が9万2000票でハント外相(4万6000票)に圧勝した。これを受けてジョンソン氏は24日、エリザベス女王から首相に任命された。

 ジョンソン氏は24日、新政権の閣僚を発表。ほぼ全員を離脱強硬派で固めた。与党保守党からはBrexitを巡り離党者が相次ぎ、閣外協力を得ている北アイルランドのDUP(民主統一党)を合わせても実質過半数ギリギリ。政権基盤が脆弱な形での船出だ。

▼ポピュリスト的な側面?

 ジョンソン氏は新聞記者出身。保守党下院議員を経て2008-16年にロンドン市長を務めた。その後、下院議員としてEUからの離脱キャンペーンを先導。国民投票後に成立したメイ前首相の政権では外相を務めた。しかしメイ首相が2018年夏にEUとの関係を重視する離脱(穏健離脱)に転じると外相を辞任した。

 イートン→オクスフォードの典型的なエリート。しかし、歯に衣着せぬ発言と型破りな言動で庶民の人気をつかむカリスマ政治家の要素がある。ロンドン市場時代には自転車で通勤し話題になった。

 一方で主義主張に一貫性がなく、ポピュリスト的な側面があるとの批判も多い。元々反EUの色彩は強かったが、一貫してEU離脱派の先頭に立っていたわけではない。国民投票で離脱支持を鮮明にしたのは投票の4か月前だ。それも、ライバル関係にあったキャメロン元首相との関係を考えた判断、との報道がある。道化師的との評価は、定着していると言ってもいい。

▼Brexitの先行きは不透明

 ジョンソン氏は首相就任後、10月31日に離脱を何が何でも実現すると強調。EUとの交渉に期待を寄せつつも、交渉が不調な場合合意なし離脱も辞さないと述べた。しかし、実際に交渉をどのように進めたいかなど、具体策は示さなかった。

 懸案の北アイルランドの国境問題は、解決のめどがつくまで英国全体を関税同盟に残すという「バックストップ」に反対すると強調した。しかし、具体性のある代替案は示していない。

 EU側はメイ政権と合意した離脱案の微調整はあっても、再交渉には応じないとのスタンスを変えない。Brexitの行方は全く不透明なままだ。

▼解散や再度の国民投票の観測も

 保守党内にも合意なし離脱派避けるべきだ、との意見が多い。ジョンソン首相が強硬離脱で突っ走ろうとしても、下院が認めない可能性もある。そうなれば、解散・総選挙や2度目の国民投票が避けられない、という観測も出ている。

 Brexitの行方は、英国政治の行方とも表裏一体。ともに、先行き不透明の状態が続く野は避けられない。

▼英国の政治の劣化

 それにしても、英国政治の混乱は目を覆う。Brexitから3年以上を経過し、何も決められない状況が続く。国民の意見は分裂したまま。無責任なポピュリズム的な訴えに支持が集まる状況が続く。5月の欧州議会選では反移民のBrexit党が英国で最大の議席を獲得した。 

 仮に合意なし離脱になれば、経済的な混乱が拡大するだけにとどまらない。北アイルランド情勢の悪化や、悪くすれば紛争再燃の懸念も増す。スコットランドの独立問題が再燃する可能性も高い。

 強硬離脱派は「主権の回復が第一」と強調するが、こうしたリスクを十分に考えて対応しているのか。どうも、そうでないように思えてならない。

 もちろん、政治の劣化が指摘されるのは英国だけではない。フランスやドイツもポピュリスト政党や極右・反移民政党の台頭に悩む。イタリアではポピュリストと極右の連立政権が誕生した。米国はトランプ政権を選択した。しかし、英国の場合、小選挙区制に基づく議院内閣制に支えられて政治はここ30-40年、比較的安定していた。これがBrexitを契機に急速に揺らいだように見える。

 英国が保守党と労働党を2大政党とする政治体制に入ったのが1920年代(それまでは保守党と自由党の2大政党)。女性参政権が完全な形で実現したのは1928年だ(制限付きは1918年から)。それから100年近くを経過し、制度疲労を起こしているのだろうか。

◎ 道化師に宰相託す老大国 
◎ 混乱の上乗せの予感 新首相

 

 

 

 

 

 

 

2019年30号 (7.22-28 通算994号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年7月22-28日
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◆英首相にジョンソン氏(24日)☆
・英首相にボリス・ジョンソン氏が就任した。
・与党保守党は23日同氏を新党首に選任。24日女王から首相任命を受けた。
・会見した同氏は、10月31日にEUから離脱すると改めて明言した。
・EUとの交渉次第では合意なし離脱も辞さない姿勢を示した。
・ただし、具体的対策にはほとんど触れていない。
・新政権の閣僚人事では、EUとの関係を重視する穏健派をほぼ一掃した。
・与党内には合意なし離脱反対の勢力も多く、政権基盤は脆い。
・政権及びBrexitの行方は不透明。離脱再延長→解散総選挙の予想もある。

◆米司法省がIT大手を調査へ(23日)☆
・司法省はIT大手を対象に反トラスト法違反の調査に乗り出すと発表した。
・GAFAを念頭に置いている。
・司法省はこれまでIT大手の技術革新力を重視。欧州より規制に慎重だった。
・IT大手に対する規制強化への転換点になる可能性がある。
・同省は市場の支配力や競争を妨げていないかなどに注視すると説明。
・従来は価格(値上げ)に重点を置いてきたが、調査の観点を変更する。
・米公正取引委員会は24日、米FBに50憶ドルの制裁金を科すと発表した。
・2018年に発覚した8700万人の個人情報漏れの管理体制を追求した。

◆中国が国防白書、台湾武力行使放棄せず(24日)☆
・中国は国防白書を発表した。4年ぶり。
・米国が単独主義に走り、世界の安定を損ねていると名指しで批判した。
・台湾への武力行使を放棄しないと明記。強硬姿勢を改めて示した。
・南シナ海の諸島や沖縄県・尖閣諸島でも譲歩しない姿勢を強調した。
・米トランプ政権を牽制する色彩が濃い。米中は軍事面でも対立を強める。

◆インドが月着陸宇宙船打ち上げ(22日)
・インドは無人月探査機「チャンドラヤーン2号」を打ち上げた。
・月面探査車を搭載。9月に月の南極近くに着陸させる計画。
・成功すれば、米国、旧ソ連、中国に次ぎ4カ国目となる。

◆欧州で猛暑続く 
・欧州で猛暑が継続。パリでは25日に40度を超えた。
・フランスは熱波の影響で原発2基を停止した。
・各地で山火事の発生も記録される。

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◎寸評:of the Week
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 【英ジョンソン首相】 英国の首相にボリス・ジョンソン前外相が就任した。色々物議をかもしている。(→「国際ニュースを切る」)。

 【重要な動き】 トップ5以外にも重要な動きが多かった。ウクライナ議会選が21日行われ、タレント出身のゼレンスキー大統領の与党が圧勝した。モラー元米特別検察官が24日議会証言。トランプ大統領が捜査を妨害した疑惑については、大統領の無実が証明されたわけではないと述べた。

◎今週の注目(2019年7月29日-8月4日 &当面の注目)
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・米FRBが公開市場委員会(FOMC)を30-31日に開催する。利下げに踏み切る可能性が大きい。世界の市場への影響も予想される。
・イラン情勢の行方に引き続き注意。

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2019年7月23日 (火)

◆トランプ氏のGo Back発言の波紋 2019.7.21

 トランプ米大統領が野党民主党急進派の女性議員らに「国に帰ったら」とツイッターで発信。これに内外で批判が高まり、波紋を広げている。ドイツのメルケル首相は公然とトランプ氏を批判、米欧の首脳間で価値観を巡る対立が公然化するなど、事態は尋常ではない。

 ツイッター発信は14日に行われた。Huffington Post日本語版によれば、ツイートは「興味深いことがあります。いわゆる“進歩的“な民主党の女性議員たちはもともと、政府が完全に崩壊していて、最悪で、腐敗していて、世界中のどこにあっても機能しない国の出身です。(もしそれが政府と言えるならの話ですが…)」

 「そんな議員たちが、地球上で最も偉大で最も強力な国家であるアメリカ合衆国の人々に、私たちの政権運営への悪口を吹聴しています。なぜ彼女たちは政府が崩壊して犯罪が蔓延している出身地に戻って、手助けしないのでしょう?」

 「その後戻ってきて、どうやって解決したのか教えて欲しい。そうした国は、あなた方の援助をひどく必要としているから、簡単には戻って来れないがね。(民主党の)ナンシー・ペロシ下院議長が喜んで無料の旅券を手配してくれると確信しています!」

▼民主党4議員

 女性議員の名指しはしなかったが、幼少期にソマリアから移住したイルハン・オマル氏、プエルトリコ系のアレクサンドリア・オカシオコルテス氏、パレスチナ系のラシダ・タリーブ氏、アフリカ系のアヤンナ・プレスリー氏の4人とみられている。

 ツイートは直ちに世界に拡散。トランプ氏の"Go back to your country"発言として認識された。

 4人は15日会見し白人至上主義の考えであるなどと批判。下院は16日大統領批判の決議を採択した。海外ではメルケル独首相が会見でトランプ発言(発信)を批判、自分は4人の議員側に寄り添うと表明した。

▼白人至上主義の影

 トランプ支持者は集会で発言を歓迎。トランプ氏の"Go back"をさらに強めて"Send back"などと連呼する動きも出た。これにはさすがにトランプ氏も距離を置いた。

 言葉の細かいニュアンスなどについては議論が分かれるところがあるだろう。しかし、米大統領がここまで人種差別に無警戒な発言をし、社会にインパクトを与えた例は少ない。トランプ支持層に、本音では白人至上主義の人々が多く含まれている表れと見ることも可能かもしれない。メルケル独首相が論争に参加するのも異例だ。

 トランプ氏はビジネスマン時代、テレビ番組で"You are fired"の発言で一段と有名になった。私企業(のモデル)ならとにかく、国が”Go Back"と言ったら基本的人権に抵触する問題だ。

 

 トランプ発言の一つとして、歴史的にも記録されるものになるだろう。しかし後味はかなり悪い。

 

◎ 「米国第1」も「国に帰れ」もはや定着
◎ "Go Back" トランプの姿に重なりぬ

2019年29号 (7.15-21 通算993号) 国際ニュース・カウントダウン

 

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年7月15-21日

 

◆イランが英タンカー拿捕(19日)☆
・革命防衛隊はホルムズ海峡で英石油タンカーを拿捕した。
・航行規則に従わなかったためとしている。
・ただ英は先にジブラルタルでイランのタンカーを拿捕。報復との見方が強い。
・米国は18日、ペルシャ湾でイランの無人偵察機を撃墜した。
・米は19日サウジの米軍駐留を再開すると発表した。2003年以来16年ぶり。
・また19日は有志連合に関する非公式会議を開催。60か国超が参加した。
・英BA、独ルフトハンザなどはカイロへの就航を当面停止すると発表した。
・イラン情勢が一層緊迫し、中東情勢の緊張が高まっている。

◆トランプ大統領の「国に帰れ」発信が内外で波紋 ☆
・大統領が移民政策に批判的な民主党議員らに「国に帰ったら」と発信。波紋を広げる。
・発言はソマリア難民のオマール氏、パレスチナ系のトレイブ氏などが念頭とされる。
・下院は16日、大統領の発言を非難する決議を採択した。
・メルケル独首相は19日の会見でトランプ発言を批判。民主党議員に寄り添った。
・大統領氏支持者は集会で「国に帰れ」発言を連呼。トランプ氏はこれには距離を置いた。

◆リブラ規制論強まる ☆
・FBなどが計画するデジタル通貨リブラの規制論が強まっている。
・IMFは15日デジタル通貨の報告書を発効。中銀の金融政策が機能を失う懸念を示した。
・米上院銀行委は16日公聴会を開催。マネロンや消費者保護の懸念が問われた。
・G7財務相・中銀総裁会議は17日、デジタル通貨規制の枠組みが早急に必要と判断した。
・FB代表は規制に従うとの立場を示した。

◆中国経済成長、4-6月6.2%に減速(15日)
・中国の4-6月の成長率は前年同期比6.2%。1992年以降で最も低くなった。
・米中貿易戦争の影響で輸出と投資が低迷した。
・中国は2012年の党大会で2020年までにGDP倍増を掲げた。
・これが守れるかどうかも微妙になってきた。

◆次期欧州委員長承認(16日)
・欧州議会は次期欧州委員長人事を承認した。
・フォンデアライエン独国防相が11月に委員長に就く。
・定数751中383票の賛成を得た。安定運営のメドとされる400には届かなかった。
・新委員長がどこまで手動力を発揮できるか、不透明な要素も残る。

 

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◎寸評:of the Week
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 【トランプ氏のGo Back発言】 トランプ米大統領が野党民主党急進派の女性議員らに「国に帰ったら」とツイッターで発信。これに内外で批判が高まり、波紋を広げている。(→国際ニュースを切る)

 

◎今週の注目(2019年7月22-28日 &当面の注目)
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・英国保守党の新党首が23日に発表される。新党首は24日に新首相になる可能性が大きい。
・ウクライナの議会選が21日に行われた。結果が判明する。
・イラン情勢は緊迫した状況が続く。ペルシャ湾での有志連合を巡る会議が、25日に米フロリダ州のタンパで行われる。米中央軍が司令部を置く場所。

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2019年7月15日 (月)

2019年28号 (7.8-14 通算992号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年7月8-14日
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◆米がペルシャ湾で有志連合(9日)☆
・米国はイラン沖を航行する船舶護衛のため、有志連合を結成する計画だ。
・ダンフォード統合参謀本部議長が表明した。
・有志連合はmultinational military coalition
・英国や日本などが呼びかけ対象とみられる。
・イランを巡る情勢は米の核合意離脱と経済制裁強化、イランの合意破りで緊迫。
・ホルムズ海峡付近ではタンカーに対する攻撃も起きている。
・同海峡を通過する船舶は年間1700隻。うち500隻はタンカーだ。
・米国はペルシャ湾内に第5艦隊司令部を置く。

◆トルコにロシア製ミサイル導入開始、NATO加盟国に異例(12日)☆
・トルコ政府はロシア製地対空ミサイルシステム「S400」の導入を始めた。
・アンカラ周辺の空軍基地に部品の搬入が始まった。早ければ年内に運用が始まる。
・NATO加盟国のトルコにロシア製ミサイルシステムは異例。
・トルコはシリアとの国境地帯防衛などを理由にミサイルシステム導入を決定。
・当初は米パトリオット導入を検討したが、条件が合わなかった。
・米はロシアからの導入に反対。撤回しなければ戦闘機F35を売却しない方針。
・米・トルコの軋轢が強まる可能性がある。

◆ギリシャ総選挙、中道右派が勝利(7日投票)
・総選挙が行われ、野党中道右派の新民主主義党(ND)が勝利した。
・300議席(1院)中158議席を獲得。党首のミツォタキス氏が首相就任の見通し。
・与党の左派ポピュリスト政党のSYRIZAは86議席に後退した。
・同国は2015年にチプラス首相のSYRIZA政権が誕生。通貨危機が再燃した。
・チプラス氏は当初、EUが求める財政緊縮に反対する強硬姿勢を誇示した。
・しかし最終的にEUの支援の代わりに緊縮財政を受け入れた。
・選挙ではSYRIZA政権に失望した人々が、消去法的な理由でNDを選んだ模様だ。

◆米、台湾に大量武器輸出(8日)
・トランプ政権は台湾への戦車や地対空ミサイルなどの売却を承認した。
・総額は22億ドル。米議会に通知した。
・台湾重視の姿勢を改めて示した格好だ。
・蔡英文台湾総統は11日NYに立ち寄り、17か国の国連大使らと会談した。
・台湾総統が米国で表立った行動を取るのは異例。
・米政府が容認したとみられ、ここでも米国の台湾寄りの姿勢が目立つ。

◆トランプ大統領批判の英大使辞任(10日)(^^)
・英国のダロック駐米大使が辞任した。
・大使は本国への公電でトランプ米大統領を「無能」などと評した。
・それが英メディアに漏洩し、今月報道された。
・英政府は当初、大使を支持する姿勢を打ち出した。
・しかし米側が閣僚会談を中止するなど実務の影響が出始め、辞任となった。
・いかにも大人げないという感じのいざこざ。今のワシントンの雰囲気を映す。

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◎寸評:of the Week
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 【イラン情勢】 イラン情勢が一段と緊迫している。ホルムズ海峡でのタンカー攻撃などを受けて、米国は有志連合を組む計画を打ち出した。イランに対して圧力をかけることはもとより、海外軍事費の負担を同盟国に求める意味合いもある。
 海峡のタンカー護衛などを巡り、国連への働きかけはほとんどなかった。イラク戦争尾時もそうだったが、国連抜きが当たり前のようになっている。
 米国はペルシャ湾のバーレーンに第5艦隊の司令部を置き、カタールやUAEに航空部隊を配備する。世界の警察官をやめた徒いっても、その軍事的存在感は大きい。
 トランプ政権になり、世界の安全保障の体制は急速に変わっている。今回の動きは、危うさも透けて見える。

◎ 国連の姿がかすむ有志軍
◎ 警察官やめても世界に基地基地基地

 

 【FBへの罰金】 米FTCは2018年に大規模な個人情報流出事件を起こしたフェイスブックに対し、最大50憶ドルの制裁金支払いを求めるなどの和解案を決めた。米司法省の検証を経て正式に決定する。FBの誇示情報流出事件は、巨大IT企業のデータ独占に対する批判が強まり、規制見直し論が浮上するきっかけにもなった。
 米国は巨大IT企業を経済成長と米国の競争力の源泉とみなしてきた。規制についても欧州に比べ消極的だ。それでも従来よりIT企業に厳しくなっている。50憶ドルはかつてない規模だが、これをどう解釈すべきか。

 

 【電子マネーと金融政策】 FRBのパウエル議長は10日の議会証言で、7月末にも利下げに転じる可能性が大きいことを示唆した。一方11日の議会証言では、米フェイスブックなどが発行を目指すデジタル通貨「リブラ」について、リスクを慎重に調査する必要があり、審査終了までに1年以上かかるとの見通しを示した。FBは2020年前半の実用化を目指すと表明したが、後ろにずれ込む可能性が大きくなった。

 

◎今週の注目(2019年7月15-21日 &当面の注目)
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・米政権が不法移民の一斉摘発を14日から始める計画。12日発表した。対象は退去命令を受けたがとどまっている人々。摘発に対し、「家族をバラバラにするな」などという反対運動が広がっておる。どんな動きが出て来るか。
・ウクライナ議会選が21日
・英国保守党の新党首が23日に発表される。新党首は24日に新首相になる可能性が大きい。

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2019年7月 7日 (日)

2019年27号 (7.1-7 通算991号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年7月1-7日
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◆欧州委員長候補に独国防相、EU次期首脳人事固まる(2日)☆
・EUは臨時首脳会議で、11月以降の次期EU首脳の人事案を決めた。
・欧州委員長には女性のファンデアライエン独国防相(中道右派)を決定。
・EU大統領(首脳会議議長)はベルギーのミシェル首相(中道リベラル)。
・欧州中銀総裁には仏出身の女性ラガルドIMF専務理事を充てる。
・欧州議会議長はイタリアのサッソリ議員(中道左派)。
・外交安保上級代表にはスペインのボレル外相(中道左派)。
・欧州委員長などは欧州議会の承認が必要。決定は7月中旬の予定だ。
・時期体制を巡っては各国の利害調整が難航。
・6月30日から3日間続いた首脳会議でようやく妥協した。
・ただし独仏首脳が密室で決めたという批判も出ている。

◆香港デモが議会占拠、過激化で局面転換も(1日)☆
・逃亡犯条例の改正撤回を求めるデモ隊が議会に突入し占拠した。
・警察は2日までに排除。7日までに数十人を超える参加者らを逮捕した。
・現地では1日、中国への返還22周年の式典が行われた。
・民主派団体がデモを行い主催者発表で55万人が参加。一部が暴徒化した。
・香港では逃亡条例改正を巡り先月以来、民主派や市民が抗議運動を展開する
・200万人規模のデモも行われ、林鄭月娥行政長官から改正撤回の譲歩を得た。
・しかしデモ隊の過激化で、香港政府は姿勢を硬化。中国もそれを後押しする。
・国際世論も破壊行為には批判的だ。香港情勢は局面転換の可能性もある。

◆イランがウラン濃縮度を引上げ、情勢緊迫度高める(7日)☆
・イランはウラン濃縮度を核合意上限(3.75%)より引き上げると発表した。
・米国はイラン核合意から離脱、対イラン経済制裁を強める。
・イランは欧州に制裁回避の策を示すよう求めたが、妙案はなかった。
・同国は一方的に核合意に縛られる必要はないとし、引上げに踏み切った。
・1日には、低濃縮ウランの貯蔵量が合意の上限を超えたと発表した。
・仏マクロン大統領は6日、イランのロウハニ大統領と電話会談した。
・イラン核合意の枠組みが崩壊する懸念が広がる。米・イランの緊迫も高まる。
・英領ジブラルタルの当局は4日、イラン所有のタンカーを拿捕した。
・イランからシリアへの原油を積載していたとの疑い。

◆米独立記念日式典、トランプ氏が演説、政治利用の批判(4日)
・トランプ大統領はワシントンで開催した米独立記念日の式典で演説した。
・戦車や戦闘機、軍楽隊を動員。国威発揚を目指した。
・米メディアによれば、式典で大統領が演説するのは1951年以来。
・歴代大統領は伝統的に、式典に党派色が出ないよう控えめにふるまった。
・野党民主党からは、政治利用の場にしたとの批判が上がる。

◆米景気拡大10年を経過、史上最長に
・米国の景気拡大が10年を経過。7月1日から11年目に入った。
・記録が残る1850年以降で史上最長となる。
・今回の拡大はリーマン・ショック後の不況から立ち直った2009年7月に開始。
・従来の記録は1991-2001年だった。
・今回は拡大は長いが成長率は低く、平均2.3%。91-01年は3.5%だった。
・高齢化などにより、経済の潜在成長率が低下しているため。
・失業率は3.6%まで低下し、史上最低レベルだ。
・貧富の格差が拡大。金融緩和が続き、政府や企業の負債は膨らんでいる。

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◎寸評:of the Week
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 【下期入り】 2019年も半分を経過。後半に入った。世界がトランプ米大統領の動きに振り回される状況は変わらないだろう。中でも米中貿易戦争の行方や中東情勢の行方は要注意だ。

 

 【冷戦終了30年】 今年は冷戦終了から30年。11月にはベルリンの壁崩壊30周年を迎え、12月には冷戦終了宣言をしたマルタ会談から30年となる。

 1世代の間に、グローバル化が急速に進み、世界はテロ戦争の時代に入った。米国は超大国→トランプ政権下で自国利益優先の姿勢をはっきりさせた。中国は経済・政治大国になり、米国と覇を競うところまできた。内向きの姿勢を強める国が増え、ポピュリズムは民族主義が蔓延する。IT革命が急速に進み、人々の暮らしや経済・社会の在り方を変えている。

 いずれも30年前にはしっかり予測できなかった事。トランプ米大統領の誕生や、GAFAが支配する(?)世界も全く予想の範疇の外だった。

 

 【米景気拡大10年】 米国の景気拡大が10年を超えた。リーマン・ショック後の不況から回復し始めた2009年7月以来の景気上昇。史上最長という。ただ、それほど力強い回復でもないので、「史上最長」といわれてもあまりピンとこない。

 リーマン後の米経済は、底割れ防止のために金融の超緩和を続けた。金利は2008-2015年末までゼロ金利だったし、3度にわたる量的緩和(Q1-Q3)を行った。結果、経済は成長したが、財政負債や企業の債務は拡大。株や土地の価格が上昇し、貧富の格差が拡大した。

 米国は2015年末以来、超緩和からの正常化を目指し引き締め方向に動いた。しかし、ここにきて景気減速予防のために緩和ムードが高まっている。トランプ大統領がFRBに露骨に利下げを求めるなど、金融の独立性を損なうような言動も目立つ。

 トランプ政権はすでに大型減税を行うなど、財政・税制の面からも景気刺激型だ。財政悪化への配慮は少ない。2020年の大統領選挙睨みと解説されるが、そうした「刺激!刺激!」の政策がいつまで持つのか。次のバブルがどこかで膨らんでいると懸念する人は、市場関係者やエコノミスト、ビジネスマンの間にも多い。

 経済のネット化、低金利やマイナス金利の定着などで、従来の経済学に理論が通用。そう言われるようになって久しい。トランプ氏の政策は場当たり的な感じがする。しかし、その政策への批判が力強さを欠くのも否めない。皆を納得させる批判の理論構築が弱いのか。

 景気拡大史上最長は、様々な議論や疑問を投げかける。

◎ 2.3%(パー)の成長で「最長」といわれても
◎ 右上がりチャートがバブルに見えて来る
◎ 危なそう、でも宴続けよ選挙まで

 

◎今週の注目(2019年7月8-14日 &当面の注目)
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・英国保守党の新党首が23日に発表される。新党首は24日に新首相になる可能性が大きい。

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2019年7月 1日 (月)

◆米中休戦とプーチン発言―G20周辺発のニュース 2019.6.30

 G20首脳会議が大阪で開かれた。会議には世界の首脳が集合し、会議本体もさることながら、重要な2国間会談多数開催された。世界的なニュースがG20周辺発で流れた。

▼米中貿易協議再開

 世界の注目が集まったのが29日の米中首脳会談だ。貿易やハイテク分野を巡る米中の対立は、過去1年の世界のニュースのヘッドラインを提供し続け、世界経済に多大な影響を与えてきた。

 トランプ大統領は昨年3月、中国が知的財産権を侵害しているとして対中関税を引き上げると発表。その後3段階に分けて、今年5月までに合計2500億ドル分の中国からの輸入品に対する関税を25%に引き上げた。対象は米国の対中輸入総額のほぼ半分に相当する。

 加えて米国は中国のハイテク企業を狙い撃ち。昨年はZTEとの取引を禁止し、同社に対し多額の罰金や経営陣後退などの条件を呑ませた。昨年末からはファーウェイに狙いを定め、G5市場からの締め出しや事実上の取引の禁止などを打ち出してきた。

 米中は昨年12月のアルゼンチンでの首脳会議で、貿易協議に入ることで合意した。しかし協議は今年5月に事実上決裂。それを受けて米国は制裁関税の第4弾計画(2500億ドル=1-4弾合計で米国の中国からの輸入のほぼ全量)を発表するなど、米中摩擦の日は益々激しくなった。

▼見えない先行き

 大阪での首脳会談で米中は協議の再開を決定。米国は第4弾の関税引き上げを見送った。ファーウェイに対する取引も、一部容認する姿勢だ。

 ただ、米中対立を解くのは容易ではない。米国は技術的な優位を維持するために中国に対し知的財産権保護を保証するシステム導入を求める。一方中国は米国流ルールの押し付けに対抗する。その底流には、安全保障や経済での覇権争いがある。問題は構造的だ。

 世界経済はすでに、米中摩擦激化の深刻な影響を受け始めている。アジアからは輸出が減退。景況感も低下している。世銀やIMFなどは経済見通しを相次ぎ下方修正した。経済減速は金融市場の不確実性拡大にも繋がりかねない。

 米中首脳会談の結果はそうした懸念を一服させた。しかし先行きが見えてきたわけでは全くない。

▼波紋広げるプーチン会見

 G20首脳会議に先駆けて、ロシアのプーチン大統領が英FT紙と行ったインタビューが物議を醸している。プーチン氏は自由主義が時代遅れになっている(obsolete)と指摘。トランプ米大統領の一方的な政策を批判した。

 また2015年の欧州難民危機の際に独メルケル首相が判断した寛容な移民政策が間違いであり、後に問題を大きくしたなどと批判。リベラル派は影響を及ぼせなくなったと語った。

 インタビューは多くのメディアが引用。EUのトィスク大統領(首脳会議議長)は強く反発した。

 プーチン大統領の発言は意図的に刺激的な部分がある。しかし、ここ数年の難民危機やトランプ米大統領の誕生、英国のEU離脱決定(Brexit)など、寛容な精神に裏付けされた自由民主主義(リベラル・デモクラシー)の存在価値と力が問われているのは間違いない。そんな環境だからこそ、プーチン大統領の発言が波紋を広げているのだろう。

▼驚きの米朝首脳会談

 トランプ米大統領は大阪で北朝鮮の金正恩委員長との会談の可能性に言及。2日後には板門店で会談を実現した。米大統領が軍事境界線を越えて北朝鮮領に入ったのは初めてだ。

 トランプ大統領の予期しがたい行動が、ここでも現れた。同時に、周到な準備よりスピードを重視する同氏の特性が現れた格好だ。

 G20会議本体は、公正貿易などの理念や海洋プラスチックごみの2050年までの廃止などを盛り込んだ大阪宣言を採択して閉幕した。ただ、貿易については昨年に続き保護主義に反対する文言はなく、環境でも地球温暖化問題への言及はなかった(議長国日本が米国に配慮したためと、英FTなどは批判的に報じた)。

 G20が始まった2008年は、リーマンショックの直後。最初のうちは世界恐慌防止と金融危機の拡散防止に、各国が必至で取り組む姿勢が伝わってきた。その後、会議は「集まること」が重要になり、周辺の2国間協議にむしろ注目が集まる。

◎ ボス集う 何かが動くこともある
◎ 先は不明 それでも安堵の米中休戦
◎ 自由批判 饒舌を許す 辛い時世
◎ 自由主義「古い」に「それなら」と質したい

2019.6.30

 

 

2019年26号 (6.24-30 通算990号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年6月24-30日  

◆米中首脳会談、貿易協議再開で合意(29日)☆
・トランプ米大統領と習近平中国国家主席が大阪で会談した。
・5月から途絶えている貿易協議を再開することで合意した。
・米国は追加関税の第4弾とした3000億ドル分への賦課を先送りする。
・ファーウエイへの部品販売も一部容認する。
・米中貿易・ハイテク戦争はいったん休戦、焦点は今後の交渉に移る。
・しかし両国の立場の違いは大きく協議の行方は不明。不透明が状況が続く。

◆板門店で米朝首脳会談(30日)☆
・トランプ米大統領が板門店を訪問。北朝鮮の金正恩委員長と会談した。
・協議再開などで合意した。
・米朝首脳会談は2018年6月(シンガポール)、2019年2月(ハノイ)に次いで3回目。
・トランプ氏は軍事境界線を越えて北朝鮮領に入った。
・米朝は1953年以来休戦下にある。板門店での会談は和平への象徴的意味がある。
・ただし、朝鮮半島の非核化や対北朝鮮経済制裁緩和などの道筋は不明だ。

◆G20首脳会議(28-29日)☆
・G20 首脳会議が大阪で開かれ、「大阪宣言」を採択した。
・自由で公正な貿易を目指すとする大阪宣言を採択した。
・2050年までに海洋プラスチックごみゼロを目指すことなども盛り込んだ。
・貿易に関しては、保護主義反対の文言が前回に続いて除外された。

◆イスタンブール市長選、反大統領候補が当選(23日投票)☆
・イスタンブール市長選の再選挙が行われ、野党のイマモール氏が当選した。
・同市はトルコ最大の都市で、エルドアン大統領が市長を務めていた。
・3月の統一地方選で野党候補が勝利したが、大統与党の抗議があり再選挙になった。
・再投票では票差が拡大。エルドアン氏も敗北を認めた。
・同国ではエルドアン氏は2003年から首相、大統領として権力を掌握する。
・与党のAKPはイスラム色が強く、かつての世俗主義は色褪せている。
・大統領は近年強権色を強めるが、今回の選挙が打撃になる可能性もある。

◆米が対イラン制裁追加、ハメネイ師を対象に(24日)
・米国はイランへの制裁を追加。対象にハメナイ師を加えた。
・イランによる無人偵察機撃墜などを巡り、イラン批判の姿勢を強めた。
・国家元首であるハメネイ師を制裁対象にするのは異例。
・イラン側は反発。対話を拒否する姿勢を示した。

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寸評:of the Week

 

 【G20と周辺発のニュース】 G20首脳会議が大阪で28-29日開催。世界各国の首脳が集合し、重要な2国間会談が開かれた。(→「国際ニュースを切る」)

 【重要ニュース目白押し】 トップ5以外にも重要なニュースが相次いだ。欧州を熱波が襲い、フランスでは同国観測史上最高の45度が記録された。デンマークで6月5日投票の総選挙の結果を受けて、社民党を中心とする政権が発足。41歳の女性のフレデリクセン党首が27日首相に就任した。2020年の米大統領選を巡り、民主党の候補者選びのTV討論が始まった。

 

◎今週の注目(2019年7月1-7日 &当面の注目)
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・2019年も7月入り。今年の前半もトランプ米大統領に世界が揺り動かされた。
・米中貿易交渉の日程など、行方に注目。
・英国保守党の新党首が23日に発表される。新党首は24日に新首相になる可能性が大きい。

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