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2019年6月

2019年6月23日 (日)

2019年25号 (6.17-23 通算989号) 国際ニュース・カウントダウン

 

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年6月17-23日
 

◆イランが米偵察機撃墜、米は攻撃を直前に撤回(20日)
・イラン革命防衛隊は米国の無人偵察機を領空内で撃墜したと発表した。
・米国は領空侵犯はしていないと反論。対立が深まった。
・米国は同日夜、イランへの軍事攻撃を計画。実施10分前に中止した。
・トランプ大統領がツイッターで明らかにした。
・米のイラン核合意離脱(2018年5月)以来、米・イラン関係は緊張が高まる。
・6月13日にはホルムズ海峡付近でタンカー2隻が攻撃を受け、米は中東増派を決めた。
・ボタンの掛け違いから戦闘勃発の懸念が高まっている。

◆トランプ大統領が再出馬表明(18日)☆
・トランプ米大統領(73)が2020年大統領選への出馬を表明した。
・フロリダ州オーランドで開いた集会で演説した。
・スローガンはKeep America Great(前回はMaka America Great Again).
・中国に対しては厳しい姿勢を強調した。
・民主党は23人が立候補を表明。テレビ討論会が始まり、候補者選別が本格化する。
・トランプ氏再選のカギは、景気好調が続くかにかかるとの見方も多い。

◆習近平主席が訪朝(20-21日)☆
・中国の習近平氏が北朝鮮を公式訪問。金正恩委員長と会談した。
・核問題などを協議。習氏は米朝協議を呼び掛けた。
・中国国家主席の北朝鮮訪問は14年ぶり。市民を動員し大規模な歓迎ぶりを演出した。
・習氏は28-29日のG20に合わせた米中首脳会談をにらみ、北朝鮮カードを誇示した。

◆香港当局、逃亡犯条例の廃案、抗議は継続(18-21日)☆
・林鄭月娥行政長官は18日「逃亡犯条例」改正を巡る動きについて謝罪した。
・政府は21日条例改正作業を中止し、廃案を受け入れると認めた。報道官が表明した。
・しかし学生らの抗議活動は続いており、事態が収拾するかは不透明だ。
・条例を巡っては市民らが9日と16日に各100万、200万人規模のデモを展開。
・行政長官は15日に審議延期を発表したが、反対派は抗議を継続していた。
・条例の改正は香港で捉えた犯人を中国本土などに引き渡せるようにする内容。
・民主派は香港に対する中国の支配がさらに進むとし、反対運動を展開している。

◆FBが仮想通貨(18日)
・米フェイスブックは、仮想通貨を使った金融サービスを2020年に始めると発表した。
・「リブラ」という仕組みで、米ビザやマスターカード、イーベイやウーバーなどが参加。
・ドルやユーロと一定比率で交換できる「ステーブル・コイン」とする計画。
・FBは世界で27億人のユーザーを抱え、それを土台に普及を目指す。
・各国当局はマネーロンダリングや安全性で疑問を呈し、実現までには曲折もありそう。
・ただ仮想通貨の利用が様々な形で広がっていく流れは定着。規制のあり方も問われる。
・FBの計画がインパクトを与えることは間違いない。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【イラン情勢緊張高まる】 イラン情勢を巡る緊張が一気に高まった。同国の革命防衛隊は20日、米国の無人偵察機を撃墜した。米国は反発しイラン攻撃を計画。一度は攻撃にOKが出たという(攻撃は10分前にトランプ大統領が中止を命じた=大統領がツイッターで表明)。
 事件には分からない部分が残る。イランは偵察機を領空内で撃墜したと主張するが、米国が公海上と主張する。真相は明確になっていない。米軍によるイラン攻撃は、イラン側に150人の死者が出るという予測を聞いてトランプ大統領が中止を命じたと伝えられる。しかし実際に誰がどんな計画を策定し、どういう経緯で実施寸前→中止に至ったのか。はっきりした説明はい。
 仮に攻撃が実現されれば、イラン側が様々な形で報復。戦火の拡大も想像された。今回のような形で戦争が始まるとすれば、あまりにも行き当たりばったりという感じがする。
 偶発的な戦争が起きるリスクは世界各地にある。世界最大の兵力を誇る米国がトランプ大統領の時代になり、そのリスクは一層拡大した。よく認識しておかなければならない。

 

 【トランプ氏の再選出馬】 トランプ氏が18日、2020年の米大統領選への出馬を表明した。フロリダ州での集会で訴えた。キャッチコピーは”Keep America Great." 第1期キャンペーンのコピー(Make America Great Again)と異なるが、米国第1主義を強調するところは変わらない。
 トランプ氏の出馬表明で、今後の米政治は大統領選にらみの要素がますます強まる。上記イランに対する攻撃の最終局面での中止も、大統領選への影響を考えた決断だった、との解説が流れてる。米大統領選が世界情勢を左右。そんな季節に入ってきた。

 

◎ 戦争の間際にいたよ、とツイッター
◎ 戦火切れ!根拠は後から探すもの 

 

◎今週の注目(2019年6月24-30日 &当面の注目)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・G20首脳会議が28-29日に大阪で開かれる。会議に合わせて米中首脳会談が行われる。

 

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2019年6月17日 (月)

◆香港の抗議デモと世界への問いかけ 2019.6.16

 香港で「逃亡犯条例」改正を巡り市民らの抗議活動が拡大。行政長官は改正の延期を表明した。しかし今後事態がどう展開するか、予断を許さない。香港の事態は、民主主義体制の経つを米欧などが中国とどう付き合っていくかなど、世界への問いも投げかける。

▼100万人の抗議デモ

 条例改正は、香港で逮捕した容疑者などを中国本土に送れるようにする内容。英語ではExtradition lawと表記されることが多い。親中派が多数の立法会は、20日ごろまでに採決の構えを見せていた。

 民主派は条例が改正されれば、中国にとって都合の悪い人物が不当逮捕され大陸に送られると懸念。同派が呼び掛けた9日のデモには、主催者発表で103万が参加した。この規模は、2003年の固化安全条例反対(50万人)や、2014年の雨傘運動(10万人)をはるかに上回る。

▼揺らぐ1国2制度

 香港は1997年の返還後、50年間は1国2制度を認められるはずだった。しかし現実には中国の支配が次第に強まり、自由な言論や政治活動が抑制されている。今回条例改正が実現すれば、司法や警察でも中国による支配がさらに強まりかねない。

 そうなれば、香港の法律体系の上に回っている経済活動にも影響が出てくる。実際、外資系企業の撤退や拠点縮小がささやかれる。

 こうした心配があるから、抗議活動には民主派だけでなく、一般市民が加わり、経営者も理解を示した。

▼延期表明後→200万人デモ

 林鄭月娥行政長官は15日、対立緩和のために規制の延期を発表した。しかしあくまで撤回ではないと主張した。

 これに対し民主派は撤回を求め、16日も抗議集会を継続。参加者は主催者側発表で約200万人に達した。行政長官の辞任を求める声も上がった。

▼雨傘運動の記憶

 今回の抗議活動の舞台は、香港島の立法院前とその周辺の道路。2014年に雨傘運動の中心になった地と同じだ。雨傘運動は2017年の香港行政長官選挙に事実上親中派のみしか立候補できず、自由選挙でなくなることに抗議する学生らが始めた。同年9月26日から12月15日まで80日あまり続いたが、結局要求を聞き入れられることなく終結した。

 今回は雨傘運動に比べ、市民の参加者も多く、とりあえず条例改正の延期を勝ち得た。しかし、香港当局屋中国がこのまま撤回に応じると見るのは楽観すぎる。今後の行方は全く不透明だ。

▼天安門事件30年の年

 抗議活動は、天安門事件30周年に起きた。6月4日、香港や台北などでは追悼式典や様々な行事が行われたが、北京は全くの平穏だった。中国では、事件について何も語られなくなった。これが香港の未来図か、と不安を抱く人も多い。

▼世界への問い

 実際大きな流れとしては、中国による香港支配の強化が進んでいるのが現実だ。この先、再び強硬策が導入されても不思議ではない。

 条例改正は、1国2制度の行方(まやかし)、中国による自由社会支配のあり様、住民の生き方など様々な問題に問いを突き付ける。それは、世界が中国とどう付き合うかという問題にも関係する。奥は深い。

◎ 雨傘の記憶再生 もう5年
◎ 自由なき大国の膨張どう生きる
◎ 怖いけどただ飲み込まれてなるものか

2019.6.16

2019年24号 (6.10-16 通算988号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年6月10-16日  

 

◆香港、逃亡犯条例に抗議、当局は延期表明、16日200万人デモ☆
・香港で「逃亡犯条例」改正を巡り大規模な抗議活動が続く。
・9日の100万人規模のデモに続き、12日にはデモ隊と警官が衝突。
・催涙弾がデモ隊に発射され、70人以上が負傷した。
・香港行政長官は15日、条例改正を期限を定めず延期すると発表した。
・しかし民主派市民らは撤回を求めて抗議を継続。16日は200万人規模デモ。
・条例改正は、香港で拘束した容疑者を中国本土に引き渡せるようにする内容。
・中国に批判的な人が恣意的に逮捕・引き渡しされるとの懸念が高まった。
・香港は1997年の返還後、50年間の1国2制度が約束されている。
・しかし、中国による締め付けが強まり、制度の空洞化が進んでいる。
・欧米企業などは条例改正に抗議。拠点撤退の動きも見せ始めている。

◆ホルムズ海峡でタンカー攻撃(13日)☆
・ホルムズ海峡付近のオマーン湾で、石油タンカー2隻が攻撃を受けた。
・1隻は日本の国華産業が運航するパナマ国籍船。他はマーシャル諸島船籍。
・攻撃は日本の安倍首相がイラン訪問し、ハメネイ師と会談した日に起きた。
・米国務長官はイランに責任があると批判。英外相も同調した。
・イランは米国の主張に根拠はないと反発している。
・同海域では5月下旬にもサウジ国籍などのタンカーが攻撃された。
・イランと米国、サウジなどとの緊張が高まり、偶発的事態発生が懸念される。
・イランのハメナイ師は米との軍事衝突を望まない姿勢を強調した。

◆米がGAFA規制で独禁法新解釈(11日)☆
・米司法省は反トラスト法(独禁法)の新たな運用方針を発表した。
・グーグルなどIT大手を想定。寡占の弊害を問題視する姿勢を鮮明にした。
・新解釈では消費者の不利益の範囲を従来より拡大する。
・競合相手の買収で、革新的サービスの普及が抑えられる事態も含める。
・プライバシー保護がおろそかになることも、消費者の不利益とする。
・従来の解釈は、価格の引き上げを重視していた。
・政策の転換は、GAFAのビジネスモデルにも影響する可能性がある。
・米国では1974年に独禁法でAT&Tが解体。90年代にはMSが制約を受けた。

◆G20、プラスチックごみ規制で声明(16日)
・G20エネルギー・環境相会合は、プラスチックごみ対策の声明を発表した。
・軽井沢で会議。海に廃棄するごみ対策の国際枠組み構築に合意した。
・各国が削減に自主的に取り組み、内容を定期的に報告し合う。
・数値目標などは盛り込まれず、実効性は不透明な部分が残る。
・EUは今年、2021年から使い捨てプラの使用禁止を決定。
・カナダも2021年から禁止の方針を打ち出した。
・世界的にプラごみ規制が強まる流れだ。

◆上海協力機構首脳会議、米けん制の決議(14日)
・中ロ印など8カ国の上海協力機構がキルギスで首脳会議を開催した。
・共同宣言で保護主義反対を強調した。
・イラン核合意の維持でも一致。米国けん制の姿勢を打ち出した。
・会議にはイランのロウハニ大統領も準加盟国として参加した。

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◎寸評:of the Week
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 【香港の抗議デモ】 香港で「逃亡犯条例」改正を巡り市民らの抗議活動が拡大している。(→「国際ニュースを切る」)

 
◎今週の注目(2019年6月17-23日 &当面の注目)
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・トランプ米大統領が18日、2020年大統領選への再出馬を表明する。どんなメッセージを打ち出すか。
・FRBが公開市場委員会を18-19日に開催する。米金融政策の行方に世界の注目が集まる。
・トルコでイスタンブール市長選のやり直し選挙が23日行われる。

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2019年6月11日 (火)

◆天安門時代30年の問いかけ 2019.6.9

 中国で1989年の天安門事件から30年が経過した。中国はその後、世界の予想を大幅に上回る高成長を実現し、国際社会における存在感と影響力を大きく高めた。一方、民主化や政治的自由はむしろ後退。欧米とは異形の大国になった。

 中国の台頭は、様々な面で世界を揺るがす。開発独裁的な中国型の成長モデルは、途上国にとって一つの見本になった。冷戦後の規範になると思われた米欧流の「民主主義+市場経済」モデルに、中国モデルが挑戦している図式だ。天安門事件後の中国の30年の歩みは、世界の価値観をも揺るがしている。

▼香港・台湾で追悼、北京は厳戒

 天安門事件から30年の6月4日、香港や台湾では民主派団体らが追悼集会を開いた。香港のビクトリアパークの集会には主催者発表で18万人(警察発表は3万7000人)が参加。犠牲者を追悼するとともに、政治犯の釈放などを求めた。台北の自由広場でも集会が開催された。

 米国のポンペオ国務長官は、中国を国際社会に組み入れればより開かれた社会になると期待したが「希望は打ち砕かれた」と表明。EUのモゲリーニ外交安保上級代表も中国で「表現、集会、報道の自由への抑圧が続いている」と批判した。

 一方、中国・北京の天安門広場では、普段より多数の警官を配備し、多くの監視カメラを配置するなど厳戒態勢が敷かれた。当日、広場には普段通り観光客らが集まり、あたかも「何もなかった」かのように1日が過ぎた。

 30周年を前に中国当局は、インターネットやパソコンの監視を強化し警戒を強化。そこには当局が平静をよそに、神経質になっている面もうかがわせた。

▼30年間で経済規模30倍

 天安門事件の後、米欧は中国に対し経済制裁を実施。中国経済の先行きを危ぶむ見方も強まった。

 しかし、実際には事件直後の成長率こそ実質4%程度に落ち込んだものの、その後実質10%前後の成長を実現。名目のGDP(米ドル換算)は、事件前の1988年の4110億ドルから2018年には13兆4570億ドルに30倍に増えた(IMFのWEO2018年10月推計)。購買力平価のGDPは、2014年から世界1だ。

 30年の間に中国経済は「世界の工場」から「世界の市場」へと発展。アリババやテンセントなどの世界的なIT企業も育ってきた。中国政府は「一帯一路」構想を打ち上げ、世界的なインフラ開発などのプロジェクトでも主導権を取ろうとしている。

▼政治的抑制、凄まじい監視社会

 一方で、政治的には抑圧が強まった。天安門事件に参加した学生や知識人は厳しい監視下に置かれたり、自ら中国を去ったりした。メディアに対する規制は強まり、政治的な批判を載せる場はなくなっていった。

 インターネットやSNS時代になると、ネットの監視や検閲、ネットを使った世論誘導を強めた。2017年に施行したインターネット安全法は、事実上当局に対しネットの内容を検閲したり規制することを認めるもの。ビッグデータや監視カメラを使い、国民一人一人の行動やネットでの活動履歴を追跡することも可能になり、中国は凄まじいまでの監視社会になりつつある。

▼政治・軍事的膨張

 国際的には経済でなく、政治、軍事的な膨張も目立つ。
 
 南シナ海では南沙諸島(スプラトリー諸島)に軍事基地を建設するなど、実行支配を拡大。ベトナムやフィリピンなど周辺国との緊張を繰り返しながら、勢力を拡大している。一帯一路戦略に沿って、スリランカやギリシャの港湾の利用・運用権を獲得し、米国などの警戒を呼び起こした。アフリカ諸国との経済・政治面での結びつき着々と強化している。

 サイバー分野での戦略も進む。人民解放軍はサイバー軍の強化に努め、軍が抱えるハッキング集団は強力だ。米国などへのサイバー攻撃がしばしばニュースになる。

 米トランプ政権が中国に対し、貿易と並んでハイテク戦争を仕掛けているのも、中国のこうした動向を警戒するためだ。

▼異形の大国

 冷戦終了後、欧米では民主主義と市場経済が世界の規範となるとの見方が広がった。フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」に代表された歴史観だ。中国も経済発展が進めば、政治的な自由化も徐々に進み、いずれ民主化されると、楽観論を唱える識者も多かった。

 実際に起きたことは別。経済面は市場経済ルールを活用して大いに発展した。しかし政治では民主化が進まないどころか、ますます抑圧が強まった。「政治は独裁・経済は自由」という欧米とは異なる、「異形の大国」に育ったと言っていいかも知れない。これが天安門事件後30年(1世代)の中国の歩みだ。

▼北京コンセンサス

 民主主義と言う価値観を共有しない一方で、経済発展著しい中国に対し、米欧は心穏やかではない。米トランプ政権は、中国の位置づけを協調する相手から「覇権を争う競争相手」へと明確に変えた。欧州諸国も中国を競争相手とする位置づけを強めている。

 しかし途上国の中には、中国式のモデルに魅力を感じる国は少なくない。特に、政治面で強権体制を敷いていたり、独裁的な政治指導者には都合がいい。この開発独裁的な、北京コンセンサスとも呼ばれるモデルが、価値観の面でじわじわ広がっているようにも見える。

 天安門事件は、こうした流れの出発点だった。

▼リベラル・デモクラシーの試練 

 英FT紙のギデオン・ラックマン氏は、6月4日付紙面で"Beijing, Berlin and the two 1989s"というコラムを掲載した。1989年は天安門事件が起きたとともに、ベルリンの壁崩壊で冷戦が終結した年だ。後者は自由主義体制が共産主義体制に勝利した節目として、世界史上の重要な事件に位置付けられてきた。

 しかし、欧米の経済と民主主義と経済はいま、重要な危機直面している。経済は成長が鈍化しているうえ、格差の拡大など深刻な問題が目立つ。

 民主主義に関係する動きとしては、欧州でも米国でもポピュリズムや極右政党の台頭が顕著。人々は内向き思考を強め、反移民政党が力を得ている。フェイク・ニュースが蔓延し、一部の国では権力者による情報操作も強まっている。トランプ大統領らは移民問題などで、しばしば強引(強権的)な手法を使う。

 ラックマン氏は、「未来の歴史家は、1989年の重要な出来事はベルリンの壁の崩壊ではなく、天安門事件だったと判断するかもしれない」と指摘する。

 米欧の近年のポピュリズムや反移民の動きの台頭や内向き思考、一部で見られる強権的手法への傾きの背景には、もちろん様々な事情がある。しかし、中国の成功に影響された面はないのか。そうだとしたら、経済や政治のみならず、価値観の面でも中国の影響拡大が、予想を超えて進んでいると言えるかもしれない。

▼知った気にならずに
 
 中国の天安門事件30年を語る時に忘れてはいけないのは、30年前に中国がこれだけ(経済的に)成功すると予想した人はほとんどいなかったという事実だ。現在から振り返って、「中国がなぜ成功したか」を明快に語れる経済学者もほとんどいない。我々は、実はあまり分かっていない。この点を謙虚に認めることは重要と、つくづく思う。

◎「こんな矛盾 持つわけない」と一世代
◎ 好調な独裁国家に「どうしよう」
◎ 自由より内向きが受けてる、正念場

2019.6.9

 

 

2019年23号 (6.3-9 通算987号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年6月3-9日
 

◆中国、天安門事件30周年(4日)☆
・1989年の天安門事件から30年が経過した。
・香港や台北、米国などでは追悼集会が開催。北京は厳戒態勢が敷かれた。
・米国務長官は人権問題で中国を批判。EUの外交上級代表も批判声明を出した。
・中国はこの30年間、10%前後の成長を維持。名目GDPは30倍に膨らんだ。
・GDPは2010年に世界2位なり、購買力平価でみたGDPは2014年から世界1だ。
・一方で政治活動や言論制限を強化。民主化に向かうとの期待は低下した。
・天安門事件30年は、世界の行方にも大きな問題を投げかける。

◆トランプ米大統領が欧州訪問(3-6日)☆
・トランプ大統領が英国、アイルランド、フランスを訪問した。
・英国ではエリザベス女王と会談したほか、Dデイ75周年の記念式典に参加。
・メイ首相との会談に加え、Brexit党のファラージ党首らにも会った。
・ロンドンでは大規模な反トランプのデモが行われた。
・フランスではノルマンディのDデイ75周年記念式典に参加。
・米仏首脳会談で、マクロン氏は国際ルール重視を求めけん制した。
・欧米間の懸案のINF廃棄条約失効やイラン核問題で進展はなかった。

◆米、メキシコ関税見送り(6日)☆
・トランプ米大統領はメキシコからの輸入品に関税をかける計画を見送った。
・メキシコと不法移民流入防止策などで合意したため。
・同国政府はグアテマラ国境付近に国境警備隊を派遣すると約束。
・米国に不法入国して保護された移民は、メキシコ側での待機を徹底させる。
・大統領は5月30日、メキシコからの輸入品に6月10日から課税すると発表した。
・メキシコだけでなく、米国内の産業界も反対していた。

◆香港で返還後最大級デモ、中国への容疑者引渡しルールで(9日)☆
・民主派団体は中国への容疑者引き渡しルール改定に反対のデモを行った。
・参加者は主催者側発表で103万人、警察発表で24万人。1997年の返還後最大規模。
・ルール改定は、刑事事件の容疑者を中国に引き渡せるようにするもの。
・香港の立法会は6月中に成立させる計画だ。
・民主派は、中国にとって都合の悪い人物が対象になりかねないと危惧する。
・香港は返還後50年、1国2制度下で高度な自治を約束されている。
・しかし中国政府の締め付けは徐々に強まっている。

◆米国に早期利下げ観測、FRB議長が演説(4日)
・パウエルFRB議長はシカゴで演説。景気拡大の持続と適切な行動を強調した。
・市場では早期利下げ観測が強まった。
・米国は、リーマンショック後の超緩和を是正するため2014年から引き締めを推進。
・2015年末から合計9回の利上げを実施した。現在のFF金利誘導目標は2.25-2.5%。
・しかし米景気の先行き減速観測が強まり、利下げ予測も強まった。
・トランプ大統領は再三、利下げを求める発言をしている。
・米金利の政策変更は、世界の金融市場や世界経済に与える影響も大きい。

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◎寸評:of the Week
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 【天安門事件30周年】 中国で民主化の動きを武力で弾圧した天安門事件から30年が経過した。この間の中国の発展と影響力の拡大は、世界に大きな影響を与えている。(→国際ニュースを切る)

 【トランプ大統領の欧州訪問】 トランプ米大統領が欧州諸国(英国、フランス、アイルランド)を訪問した。英国では国賓としてエリザベス女王と面談。英仏ではノルマンディー上陸作戦75周年などに参加し、協調スタンスを見せた。しかし安全保障や中東、経済を巡る政策では亀裂が修復されることもなかった。米欧の軋みは、中国の台頭などと並び世界の枠組み変化の行方を左右する重要な事項だ。

 【重要ニュース】 今週はベスト5以外にも重要ニュースが多かった。ロシアのサンクトペテルブルクでは国際フォーラムが開かれ、プーチン・ロシア大統領と習近平中国国家主席がそれぞれ米トランプ政権の通商などの政策を批判した。タイではプラユット首相を首班とする新政権が発足。2014年のクーデタ―から6年を経て選挙で選ばれた政権が誕生したが、実態は軍事政権の延長に近い。英国のメイ首相が7日、保守党党首を辞し、後任選びがスタートした。FCA(フィアット・クライスラー)が仏ルノーに提案していた経営統合を取り下げた。中国の鉄鋼王手の宝武鉄鋼集団と馬鋼集団が経営統合を決めた。G20の財務相・中銀総裁会議が8-9日福岡で開かれた。

 
◎今週の注目(2019年6月10-17日 &当面の注目)
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・上海協力機構の首脳会議が13-14日にキルギスで。

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2019年6月 2日 (日)

2019年22号 (5.27-6.2 通算986号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年5月27日-6月2日

 
◆米国がメキシコに経済制裁、全輸入品に追加関税(30日)☆
・トランプ大統領は対メキシコ制裁を発表。不法移民対策が不十分との理由。
・6月10日から全輸入品に5%の関税を課す。
・メキシコの対応次第では段階的に25%にまで引き上げる。
・メキシコが効果的な対策を採ったと判断すれば関税を撤廃する。
・米国のメキシコからの輸入は3465億ドルで中国(5395億ドル)に次ぐ。
・自動車関連や電気製品などが多い。
・米国内の自動車メーカーなどは、関税で輸入価格が上がれば影響を受ける。

◆FCA、ルノーが経営統合協議(27日)☆
・フィアット・クライスラー(FCA)は仏ルノーに経営統合を提案した。
・ルノーも前向きに検討する旨を表明した。
・実現すれば販売台数は世界3位の870万台となる。
・ルノーグループの日産、三菱自動車を加えると1500万台で断トツとなる。
・統合は双方の株主が50%ずつを握る計画。
・自動車業界は20世紀後半以来何度かの再編を経験してきた。
・最近ではリーマン・ショック後にGM破綻、FCA誕生などの再編が起きた。
・現在は電気自動車の急速な普及などで、産業が大きく変わる局面にある。

◆イスラエル国会が解散、再選挙(30日)☆
・国会は解散を決定。やり直し選挙を9月に実施する。
・同国では4月の総選挙で、与党右派リクードが第1党を維持。
・ネタニヤフ首相が連立交渉を行ったが、不調に終わった。
・一部ユダヤ人の懲役免除を巡り、極右と宗教政党の利害対立が解けなかった。
・パレスチナ和平交渉が動き出す可能性は、当面小さくなった。

◆EU臨時首脳会議、時期体制の人事調整始動(28日)
・EUは臨時の首脳会談を開催した。
・欧州議会選挙(23-26日)を受けたもので、政治状況などを協議。
・秋からの新体制づくりに向けた人事調査が本格的に始まった。
・EUは10-11月にEU大統領や欧州委員長、欧州中銀総裁が任期を迎える。

◆トルコが2四半期連続でマイナス成長(31日)
・トルコの1-3月のGDPは前年比2.6%減。
・2018年10-12月期に続き2四半期連続でマイナス成長になった。
・イスタンブール市長選やり直しなどを契機に外資の逃避→通貨安が加速。
・高インフレで消費などが不振に陥っている。
・新興国ではブラジルも1-3月にマイナス成長を記録。
・経済に黄色信号が灯っている国が少なくない。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【米国が対メキシコ関税】 米国のトランプ大統領がメキシコからの輸入製品全品に関税を課すと発表した。6月10日に5%、以後4段階で引き上げ、最終的に10月1日に25%にする計画。メキシコが不法移民問題で十分な対策をとっていないためとする。突然の決定は、いつもながら「いきなりか」と驚きたくなるトランプ流だ。

 メキシコからの輸入は中国からに次ぐ2位。2018年で3465億ドル(中国は5395億ドル)に上る。自動車部品など、米国内の製造拠点に送っている分も多い。高関税になれば、当然サプライチェーンに影響が出る。

 不法移民問題は国境の「壁」建設が話題になるが、最近関税がニュースになることは多くなかった。昨年NAFTAの再交渉をまとめ、関税原則ゼロを維持できるめどが立ったところに、この決定だ。

 メキシコは当然反発。米国の自動車業界も反対を表明し、法的措置も辞さない姿勢を見せている。

 対中国だけにとどまらない関税の引き上げ。世界の貿易や経済に与える悪影響が懸念されることはもちろん、世界中で既存ルール軽視の風潮が広がっていかないか、不安も広がる。

 

◎ トランプ流びっくりのネタ東西南北 
◎ スパイにも移民にもまずは関税パンチ
 

今週の注目(2019年6月3-9日 &当面の注目)
 
・中国の天安門事件から4日で30年を迎える。中国では情報規制の強化が強まっている。
・トランプ米大統領が3-7日に英仏など欧州を訪問する。

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