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2019年5月12日 (日)

◆米中貿易戦争再燃 2019.5.12

 

 休戦状況にあった米中の貿易戦争が再燃した。米中の貿易協議は難航し、米国は10日、中国からの輸入品2000億ドル相当に対し、関税を10%→25%に引き上げた。米国はさらに、対象を中国からの輸入品全品に拡大する制裁関税の「第4弾」を導入する方針を示した。中国は対抗措置を講じると表明した。

 貿易戦争には経済的利害はもちろん、ハイテク分野の競争や国家の覇権争いが絡む。行方は世界経済の行方にも大きく影響する。

▼広範な課税

 米中の貿易戦争が始まったのは2018年。トランプ米大統領は、中国が知的財産権保護に違反しているなどとして制裁関税の発動を表明。同年中に3段階にわたって追加関税を導入した。第1弾は340億ドルに25%(7月)、第2弾は160億ドルに25%(8月)、第3弾は2000億ドル分に10%(9月)だった。

 関税を引き上げた合計2500万ドルは、米国の中国からの輸入のほぼ半分に当たる。

 米国はさらに2000億ドル分の関税を10%→25%に引き上げる方針を打ち出し、12月から中国と貿易協議に入った。

▼産業補助金などで対立解けず 

 協議では中国側が外国企業に対して課してきた技術移転義務をなくすなど、歩み寄りもあった。しかし、米国は中国の産業補助金廃止や、知財保護の強化などを要求。対立が解けなかった模様だ。

 対立の背後には構造的な問題が横たわる。中国の産業補助金は、国有企業の存続に直結し、「国家資本主義」の経済モデル根幹にも関わる。中国としても簡単には譲れなかったとみられる。

 トランプ大統領はさらに、報復関税の対象を中国からの輸入品全品目に広げる方針を示した。追加分は3000億ドル。詳細は13日にも発表する。

 米大統領は同時に、今後も中国と協議を続ける点を強調した。同時に、交渉は急がずゆっくり進む姿勢を示した。先行きは予断を許さない。

▼風景様変わりの1年

 トランプ米大統領が対中制裁関税や、世界各国からの鉄鋼・アルミ製品への課税を打ち出したのが2018年3月。それから1年強で、関税引き上げは対象・金額とも急速に広がった。この現実の前に、「自由貿易に反する」などという(まっとうな)批判は埋没しがちだ。

 米国が中国に対して仕掛けている貿易戦争は、単なる経済上の利益を巡る紛争ではない。ハイテク分野での主導権争いや、国家の覇権争いが背後に控える。この点は最も重要なポイントだ。

 米中貿易関係や世界の通商体制は、すでに1年前に比べて全く異なる光景になった。交渉の行方がどうなるか不透明だが、さらに大きな変化が予期されることだけは確実だ。

 良きにせよ悪しきにせよ、トランプ米大統領が「ゲーム・チェンジャー」(ルールを変える人)。その認識を改めて想起させる。

◎ 自由貿易 つい昨日まで「いいね!」だった
◎ 関税に練り込む覇権と面子かな

2019.5.12

 

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