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2019年3月24日 (日)

◆ゴラン高原、イスラエルの主権容認のインパクト 2019.3.24

 中東情勢の争点の一つであるゴラン根源について、米国がイスラエルの主権を容認した。既存の国際秩序を一方的に覆す決定。地域に新たな不安定の材料を生み、グローバルガバナンスの基本をも揺るがす恐れがある。

▼第3次中東戦争で占領

 イスラエルの主権容認は、トランプ大統領が21日ツイッターで表明した。ボルトン大統領補佐官もツイッターで「イスラエルの立場を支持する」と応答。イスラエルのネタニヤフ首相は謝意を返した。

 ゴラン高原はイスラエルとシリアの国境にある地域で、レバノンとも接する。1973年の第3次中東戦争でイスラエルがシリアから奪い、占領を続けている。

 国連は1967年の決議でイスラエルに対し占領地からの撤退を求め、イスラエルの主権を認めていない。しかしイスラエルは1981年に一方的に併合を宣言していた。

▼新イスラエル・反イラン

 この時期に主権容認を表明した背景には、いくつかの理由が考えられる。

 一つは現地情勢。ゴラン高原周辺では、シリアのアサド政権と近いイランが勢力を拡大していると(主に米メディアなどにより)伝えられる。また、アサド政権やイランに近いイスラム原理集団のヒズボラも活動を活発化しているという。

 トランプ政権の中東政策の基本は、親イスラエル(とサウジアラビア)で、対イラン強硬スタンスだ。今回も親イスラエル・反イランを鮮明にした。

▼国内支持基盤強化

 イスラエルが4月9日に総選挙を予定していることも影響した可能性がある。ネタニヤフ首相は汚職疑惑を抱え、逆風が吹いている。ゴラン高原の主権容認は、協力関係にあるネタニヤフ政権を側面支援になる。

 さらに米国内の事情だ。対イスラエル支援強化は、支持基盤であるキリスト教福音派の支持確保につながる。ロシア疑惑などの問題を抱える大統領にとって、支持基盤の再強化は優先課題だ。

▼既存国際秩序を無視

 既存の国際秩序を無視する形で、突然、一方的に重要政策を変更するのは、いかにもトランプ流だ。2017年末に突然、駐イスラエル米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転を決定した時もそうだった。この時は、国連総会による批判決議を全く無視する形で、翌年、実際に大使館を移した。

 イランの核合意離脱、パリ協定離脱なども突然かつ一方的な判断。トランプ大統領の行動パターンに従来の常識が通用しないことは改めて明確になった。

▼世界の基本理念揺さぶる

 問題はその影響だ。ゴラン高原についてイスラエルの主権を容認するのは、武力による国境の変更を認めるのに等しい。しかし、国連の決議に反しての決定だ。

 2014年のロシアによるクリミア併合などを、国際社会は容認せずに非難してきた。背後にあるのは、武力による国境変更を認めないという基本認識だ。これは現代の世界秩序の基本理念だ。

 超大国米国の大統領であるトランプ大統領は、こうした理念をいともあっさり捨てているようにも見える。それは中東情勢など地域の問題にとどまらず、世界の在り方そのものに問いを投げかける。

◎ 覇権国 作ったルールを「チャラにする」
◎ 呟き(ツイート)が 何万の民をもてあそぶ

2019.3.24

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