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2019年3月

2019年3月31日 (日)

◆ロシア疑惑:モラー報告の衝撃 2019.3.31

 米トランプ政権のロシア疑惑を巡るモラー特別検察官の調査が終了。報告書をまとめてバー司法長官に提出し、長官は24日概要を公表した。内容をひとことで言えば「クロではない」。トランプ氏は意気を高め、議会での大統領弾劾の動きはしぼんだとの見方が多い。影響は大きい。

▼2年近くの捜査

 ロシア疑惑の争点は、(1)2016年の大統領選時にロシアが行ったとされる選挙妨害や世論誘導にトランプ陣営が共謀したか、(2)トランプ大統領による捜査妨害があったか、の2点が中心。

 モラー氏は2017年5月に特別捜査官に就任。捜査を続けてきた。捜査の過程では2800を超える召喚状を発行し、約500人の証人にインタビューしたという。また、捜査に関連し30人以上の個人や団体(ロシア人も含む)が訴追された。

▼トランプ氏勝利の内容

 モラー氏は報告書をバー司法長官に提出。バー氏がその概要を公表した。それによると、報告書は共謀について確認ができなかったとした。また、捜査妨害については「大統領が罪を犯したと結論付けるものではないが、彼の無実を証明したものでもない」と判断を保留した。

 事前の予想では、モラー氏の報告書はトランプ大統領にとってさらに厳しい内容になるとの見方が多かった。それもあり米メディアは、政権に批判的なNYタイムズなども含め、多くがトランプ大統領の勝利と評した。

▼弾劾に向けた動き、勢い削がれる

 民主党は疑惑が解明されたわけではないとし、モラー報告の全文公開を求めるとともに、議会に舞台を移して追及を続ける構え。ただし、大統領弾劾を目指す動きは勢いを削がれた。

 トランプ氏は「無罪が証明された」とし、野党民主党に対する攻撃を強めるなど政治的に攻勢に出る構え。2020年大統領選に向けたキャンペーンを始動させた。

▼米政治、新しい局面

 ロシア疑惑はトランプ政権発足以来、政権にとってのアキレス腱となり、米政治を揺らす材料になってきた。メディアは関係するニュースを連日のように大々的に報じ、民主党は政権の攻撃材料として表に出してきた。醜聞スキャンダルは絶好の話題となった。

 ただ、関心は大統領との共謀に向き、そもそもロシアによる選挙妨害疑惑にどう対応すべきかという問題が深く論じられたことは少ない。この問題は専門家の関心事にとどまり一般国民に共有されたとは言い難い。
 
 モラー報告で疑惑が片付くわけではない。しかし一つの節目を超えたことは間違いない。米政治は一つの節目を超え、新しい局面に入っていくとみていいかもしれない。

▼トランプ氏へのけん制材料減少?
 
 トランプ大統領は就任後、「米国第1」の政策を前面に掲げ、米国内政治、経済政策、外交各面で旧来のルールにとらわれないGame Changerとなってきた。移民規制の強化、メキシコ国境への壁建設のための非常事態宣言、中国に対する高率関税、中東でのイラン核合意からの離脱やエルサレムへの駐イスラエル米大使館の移転などが典型だ。

 こうした政策は、米国内の分断を一層拡大させた。そして、世界は大統領に振り回されている。

 ロシア疑惑は政治的には、トランプ大統領に対するけん制材料の一つになっていた。この意味合いが縮小すれば、世界への影響も出て来かねない。

▼疑惑の位置付け

 大統領弾劾につながる動きが終了するならば、疑惑としては尻すぼみになっていくかも知れない。ニクソン大統領のウォーターゲート事件はもとより、クリントン大統領の不倫疑惑と対比しても、後世話題になることは少なくなる可能性がある。

 ただし、Game Changerであるトランプ政権の歴史的役割や、大統領と議会の関係、大統領の機能などを考える場合、疑惑は欠かせない材料になる。含むところは多いだろうが、全貌はまだ全く総括されていない。
 
◎ 灰色に高笑いする大統領
◎ 「証拠なし」大国の政治を思う夜

2019.3.31

2019年13号 (3.25-31 通算977号)国際ニュース・カウントダウン

 
◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年3月25-31日
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◆ロシア疑惑、トランプ大統領の罪認めず(24日)☆
・バー司法長官はロシア疑惑に関する調査結果の概要を公表した。
・モラー特別検察官がまとめた報告書に基づく。
・2016年大統領選でトランプ陣営がロシアと共謀した証拠はないとした。
・トランプ氏の捜査妨害の容疑は、バー氏が証拠不十分と結論付けた。
・野党民主党はモラー報告の全文公開を要求。議会で疑惑追及を進める。
・ただ大統領弾劾の動きは後退する可能性が大きい。
・NYタイムズなどのメディアもトランプ氏の勝利と報じた。
・ロシア疑惑は終結したわけではないが、大きな節目を超えた。

◆英のEU離脱、混乱のまま4月へ、合意なき離脱の懸念拡大(29日)☆
・英下院は29日、メイ首相が示したEUからの離脱協定案を否決した。否決は3回目。
・この結果、英国は4月12日にEUからの離脱を迫られる。
・EUや英国では、合意なき離脱の可能性が高まったとの見方が増えている。
・英の離脱期日は、離脱協定承認なら5月22日、ダメなら4月12日に設定された。
・メイ首相は27日、可決なら辞任すると表明したが、効果がなかった。
・議会では27日、首相の離脱案に代わる案の投票が行われたが、全て否決された。
・EU各国首脳は合意なき離脱への備えを促すメッセージを改めて発し始めた。

◆トルコ通貨・株が急落、新興国に波及(27、28日)☆
・トルコ・リラや株式が急落。市場を揺さぶっている。
・リラは22日に対ドルで6%下落。これに対し政府は取引規制などを導入した。
・その結果、海外資金の売りは株式市場に向かい、株価は27日に6%急落した。
・28日には再びリラが下落した。
・動揺は他の新興国にも波及。アルゼンチンペソやブラジルレアルが下落した。
・昨年8月にはトルコ・ショックが新興国市場を揺さぶった。
・動揺の拡大を懸念する向きもある。

◆欧州・中国首脳が会談(26日)☆
・習近平中国主席はパリでEUと仏独首脳と会談した。
・マクロン仏大統領、メルケル独首相、ユンカー欧州委員長の3人。
・マクロン氏は中国に対し、EUの結束を尊重して対応するよう要請した。
・中国は先にイタリアと、一帯一路で協力する覚書を締結。切り崩しを図った格好。
・EUは、中国企業による欧州ハイテク企業買収なども警戒する。
・一方で、対米関係や経済関係強化など、欧州と中国の立場が一致する分野も多い。
・欧州・中国関係は複雑な利害関係を抱えた状況で進展している。

◆米がゴラン高原「イスラエル主権」宣言に署名(25日)☆
・トランプ米大統領は、ゴラン高原がイスラエルの主権とする宣言に署名した。
・ネタニヤフ・イスラエル首相との会談の席で実行した。
・米国は前週(21日)、イスラエル主権を認めると表明した。
・国連や欧州諸国、中ロなど国際社会は反対を表明したが、米は意に介さなかった。
・トランプ政権による既存の国際秩序無視の事例がまた一つ増えた。

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◎寸評:of the Week
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 【ロシア疑惑報告書】 米トランプ政権のロシア疑惑を巡るモラー特別検察官の調査が終了。報告書をまとめてバー司法長官に提出し、長官は24日概要を公表した。内容をひとことで言えば「クロではない」。影響は他方っ面に及ぶ(→国際ニュースを切る)


◎今週の注目(2019年4月1-7日 &当面の注目)
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・英国のEU離脱を巡る動きが大詰めを迎える。4月12日までに打開策が見つからなければ合意なき離脱に進む。解散総選挙に進むなどの予測もあるが、展望は見渡せない。EU側は4月10日に臨時の首脳会議を開催、事態に備える。

・ウクライナ大統領選が3月31日に行われ、開票が行われる。39人の候補が乱立。世論調査ではコメディアンのゼレンスキー氏が首位で、ポロシェンコ大統領やティモシエンコ元首相が追う形。どの候補も過半数を得ず、4月21日の上位2人による決選投票が行われる可能性が大きい。

・米中貿易問題を巡る協議は、4月3日からはワシントンに舞台を移して続く。事務方の詰め→米中首脳会談の開催→合意を目指すが、行方はなお不明だ。首脳会議は当初に3月下旬を目標としたが、4月以降にずれ込んだ。

・イスラエルの総選挙が4月9日。


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2019年3月24日 (日)

◆ゴラン高原、イスラエルの主権容認のインパクト 2019.3.24

 中東情勢の争点の一つであるゴラン根源について、米国がイスラエルの主権を容認した。既存の国際秩序を一方的に覆す決定。地域に新たな不安定の材料を生み、グローバルガバナンスの基本をも揺るがす恐れがある。

▼第3次中東戦争で占領

 イスラエルの主権容認は、トランプ大統領が21日ツイッターで表明した。ボルトン大統領補佐官もツイッターで「イスラエルの立場を支持する」と応答。イスラエルのネタニヤフ首相は謝意を返した。

 ゴラン高原はイスラエルとシリアの国境にある地域で、レバノンとも接する。1973年の第3次中東戦争でイスラエルがシリアから奪い、占領を続けている。

 国連は1967年の決議でイスラエルに対し占領地からの撤退を求め、イスラエルの主権を認めていない。しかしイスラエルは1981年に一方的に併合を宣言していた。

▼新イスラエル・反イラン

 この時期に主権容認を表明した背景には、いくつかの理由が考えられる。

 一つは現地情勢。ゴラン高原周辺では、シリアのアサド政権と近いイランが勢力を拡大していると(主に米メディアなどにより)伝えられる。また、アサド政権やイランに近いイスラム原理集団のヒズボラも活動を活発化しているという。

 トランプ政権の中東政策の基本は、親イスラエル(とサウジアラビア)で、対イラン強硬スタンスだ。今回も親イスラエル・反イランを鮮明にした。

▼国内支持基盤強化

 イスラエルが4月9日に総選挙を予定していることも影響した可能性がある。ネタニヤフ首相は汚職疑惑を抱え、逆風が吹いている。ゴラン高原の主権容認は、協力関係にあるネタニヤフ政権を側面支援になる。

 さらに米国内の事情だ。対イスラエル支援強化は、支持基盤であるキリスト教福音派の支持確保につながる。ロシア疑惑などの問題を抱える大統領にとって、支持基盤の再強化は優先課題だ。

▼既存国際秩序を無視

 既存の国際秩序を無視する形で、突然、一方的に重要政策を変更するのは、いかにもトランプ流だ。2017年末に突然、駐イスラエル米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転を決定した時もそうだった。この時は、国連総会による批判決議を全く無視する形で、翌年、実際に大使館を移した。

 イランの核合意離脱、パリ協定離脱なども突然かつ一方的な判断。トランプ大統領の行動パターンに従来の常識が通用しないことは改めて明確になった。

▼世界の基本理念揺さぶる

 問題はその影響だ。ゴラン高原についてイスラエルの主権を容認するのは、武力による国境の変更を認めるのに等しい。しかし、国連の決議に反しての決定だ。

 2014年のロシアによるクリミア併合などを、国際社会は容認せずに非難してきた。背後にあるのは、武力による国境変更を認めないという基本認識だ。これは現代の世界秩序の基本理念だ。

 超大国米国の大統領であるトランプ大統領は、こうした理念をいともあっさり捨てているようにも見える。それは中東情勢など地域の問題にとどまらず、世界の在り方そのものに問いを投げかける。

◎ 覇権国 作ったルールを「チャラにする」
◎ 呟き(ツイート)が 何万の民をもてあそぶ

2019.3.24

2019年12号 (3.18-24 通算976号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年3月18-24日
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◆米、ゴラン高原の「イスラエル主権」認める(21日)☆
・トランプ米大統領はイスラエルによるゴラン高原の主権を認めると表明した。
・同高原は1967年の第3次中東戦争でイスラエルがシリアから奪った地域。
・イスラエルは81年に一方的に併合を宣言した。
・国連は主権を認めず、イスラエルの撤退を求めている。
・トランプ氏は決定で、国内のキリスト教福音派の支持拡大を図るとみられる。
・しかし武力による国境変更の容認になり、国際秩序を揺るがしかねない。
・中東情勢やグローバルガバナンスに影響しかねない。
◆英離脱、4月12日に期限設定(21日)☆
・英国を除くEU27か国は、英離脱の判断を4月12日までに決める。
・3月29日に定めていた英国のEU離脱を、短期間延期することで合意した。
・英議会が離脱案を可決すれば5月22日、否決なら4月12日まで延期する。
・議会が否決の場合は、合意なき離脱か長期間の離脱延期になる見通し。
・3月29日の期限を前に、英国はEUに対し6月末までの延長を要求した。
・しかしEU側は英議会通過などの見通しを欠く引き延ばしを警戒。
・4月12日に期限を区切り、英国に最後通牒を突き付けた格好だ。
・英の離脱通知から2年経つが、いまだ展望を描けぬまま混乱が続く。
◆FRBが政策転換、超緩和是正→景気警戒に(20日)☆
・米FRBが金融政策を超緩和の是正(正常化)→景気改革に転換した。
・中銀の資産縮小を5月から減速し、9月に停止。量的引き締めを終了する。
・2019年中の利上げも見送る。海外景気減速への対応が理由、と説明する。
・パウエル議長がFOMC(公開市場委員会)後の会見で表明した。
・米はリーマン・ショック後に金融緩和を進め、市場に大量資金を提供した。
・その後2014年に量的緩和終了。15年ゼロ金利解除。17年保有資産縮小に転じた。
・この「正常化」の流れを再び転換する。
・9月の資産は3.5兆ドル(リーマン前0.9兆ドル)の予定。大量の緩和資金が残る。
・米金融政策の転換が、世界の金融市場や経済に与える影響は大きい。
◆ロシア疑惑捜査終了、特別検察官が報告書提出(22日)☆
・モラー特別検察官は「ロシア疑惑」を巡る捜査を終了した。
・報告書をまとめ、バー司法長官に提出した。司法省が22日発表した。
・長官は24日にも報告書の概要を議会に報告する予定だ。
・特別検察官は2016年大統領選での陣営とロシアの共謀、捜査妨害などを捜査。
・これまでにトランプ氏の元側近など34個人と3団体を訴追した。
・野党民主党は安保・外交機密などを除き報告書全文の公開を求める。
・ただし、公開範囲は司法長官が決定する決まりだ。
・民主党は疑惑追及を強める構え。弾劾の動きも含め、行方は流動的だ。
◆イタリアと中国が一帯一路で覚書(23日)☆
・中国の習近平主席がイタリアを訪問。コンテ首相と会談した。
・両国は一帯一路に協力する覚書を交わした。G7諸国では初めて。
・両国はインフラ整備やエネルギー分野などで協力する。
・イタリアにとっては中国マネーに期待する意味合いがある。
・欧州では中国企業による企業買収やハイテク投資拡大への警戒が拡大。
・EUレベルや独仏で買収規制強化などの動きが出ている。
・イタリアの動きは独仏などと一線を画す。
・連立与党の五つ星運動が、5月の欧州議会選をにらみ対中接近した側面もある。
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◎寸評:of the Week

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 【タイ総選挙】 総選挙(下院500議席)が24日実施された。2014年のクーデター以降で初の選挙。今後の体制を決める節目の投票だ。
 選挙は軍事政権寄りの政党と、タクシン元首相派の政党、両者に距離を置く民主党の3勢力を中心とした争い。地元メディアはタクシン派が最大勢力になると報じたが、単独過半数を得る政党はないと予測している。
 首相は下院の500人に、上院の250人を加えた750人によって選ばれる。上院は軍の影響を受けた議員が多く、下院選挙の結果にかかわらず軍事政権寄りの候補(プラユット現暫定首相)が有利だ。
 いずれにしろ、情勢が固まるまでには時間がかかりそう。目を離せない。


 【ゴラン高原、イスラエルの主権容認のインパクト】 中東情勢の争点の一つであるゴラン根源について、米国がイスラエルの主権を容認した。(国際ニュースを切る)


 【EU vs IT大手】 欧州委員会は20日、グーグルに14.9億ユーロ(約1900億円)の制裁金を命じた。インターネット広告事業でEU独禁法に違反したと判断した。グーグルへの制裁金は3度目だ。IT大手の独占に対する規制や政策は世界中で議論されているが、EUの動きは今のところ最も目立つし、影響も大きい。


◎今週の注目(2019年3月26-31日 &当面の注目)

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・米国のバー司法長官が、モラー特別検察官による報告書の内容を議会に報告する。どの程度まで報告するかは長官が判断する権限を持っている。モラー報告の内容がどこまで明らかになるか。また報告を受けて野党民主党はどう動き、トランプ政権側はどんな反応を示すか。重大注目事項だ。
・タイ総選挙の結果が判明する。その後の新政権発足に向けた動きに注目。
・中国の習近平国家主席が26日、パリでマクロン仏大統領やメルケル独首相、ユンケル委員長と会談する予定。中国は23日イタリアと一帯一路協力の覚書に署名したばかり。独仏やEUとの関係では、どんなメッセージを打ち出すか。
・米中貿易問題の水面下の協議が続く。事務方の詰め→米中首脳会談の開催→合意を目指すが、行方は不明だ。首脳会議は当初に3月下旬を目標としたが、4月にずれ込むとの情報も流れる。
・ウクライナ大統領選が3月31日。
・イスラエルの総選挙が4月9日。


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2019年3月18日 (月)

◆NZテロ事件が投げかけるもの 2019.3.17

 ニュージーランド・クライストチャーチのモスクで乱射事件があり、移民のイスラム教徒ら50人が犠牲になった。世界でも平和で寛容な同国での事件は、世界に衝撃を与え、課題を突き付けた。

▼金曜礼拝の襲撃 

 犯行は15日昼に金曜礼拝が行われていたモスク2か所で行われた。押し入った男が銃を乱射。50人が死亡し、50人が負傷した。

 被害に遭ったのは、パキスタン、トルコ、サウジアラビア、バングラデシュ、インドネシア、マレーシアなどからの移民が多い。シリアからの難民もいた。NZは移民受け入れに比較的寛容な国として知られる。

 動向当局が逮捕した犯行の中心人物は、28歳の豪州人の男。本人の供述など詳細はまだ分からない。しかし、分かっている事実だけでもいくつかの重要な点がある。

▼反イスラム・反移民

 一つは容疑者がSNSサイトに、反移民や反イスラム、白人至上主義的内容の投稿していたという点だ。犯行の動機を反移民や反イスラムに短絡的に結び付けるのは、現時点では慎重であるべきだ。しかし、これらの言葉がキーワードであるのは間違いない。

 犯行後、様々なSNSやネット上に反イスラムなどを支持する投稿が寄せられた。世の中にそうした人々は、残念ながら少なくないようだ。そうした重い事実は、無視できない。

 世界金融危機と経済不況などを契機に、2010年代に入り世界的に反移民の動きが強まった。2016年の英Brexitや米トランプ政権誕生も、そうした流れの上に実現したとも指摘される。最近、欧州などで極右・反移民政党が台頭しているのも、そうした脈略でとらえられる。

 2001年の9.11以降、イスラム過激派によるテロが世界各地で起きた。そして「イスラム過激派」への対応は世界的な課題になった。欧米各国は、イスラム穏健派との協調などいくつかの課題を指摘するが、問題克服の展望は描けない。

 欧米などの一部には、反イスラムの感情をあからさまにする人々も表れ始めている。欧州の極右政党のいくつかは、反イスラムを公約に掲げる支持率を伸ばしている。

 今回の事件が今後どう解明されていくかは不明。しかし、反移民や反イスラムなど、現代の世界が抱える問題にイメージが重なるところがある点は否定できない。

▼犯行をネットで中継

 第2に容疑者が犯行の様子を、17分に渡りFB上に生中継した点も重要だ。ネットによる悪質な投稿の排除はここ数年、世界的に大きな課題になってきた。IT大手は対策の強化を強調する。

 しかし今回の事件では、極めて悪質といえる殺害の中継がそのまま映し出された。排除の難しさが改めて示されたともいえるし、FBはじめ大手ITがどこまで本気かを問いたくもなる。
 
 さらに、「銃」の問題だ。容疑者は銃を合法的な手段で取得していた。これが惨劇の一因にもなった。NZのアンダーン首相は早速、銃規制の強化を指示した。

 米国や欧州の一部、発展途上国の一部では、いまだに銃の野放しともいえる状態が続いている。こうした社会では、たびたび乱射事件が起きている。しかし本格的な規制は進まないのが現状だ。

▼問題の投影

 事件は、トランプ米大統領の言葉を使えば「頭のおかしい」人物が引き起こした問題かもしれない。しかし銃、イスラム、移民、ネットなどのキーワードが関連してくる。現在の社会が抱える重要な問題が投影されている。今後の展開に要注意だ。

◎ モスクの血 「平和の国」ではなかったか
◎ 移民、神、テロと繋がる言葉の連鎖
◎ 憎悪心広げるネット疾走中

2019.3.17

2019年11号 (3.11-17 通算975号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年3月11-17日
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◆英議会、EU離脱協定案を再度否決、方向見えぬまま期限へ ☆
・英下院は12日、メイ首相が示したEUからの離脱協定案を再び否決した。
・翌13日には合意なし離脱に反対する動議を可決した。
・14日には条件付きで6月末まで離脱延期を求める動議を可決した。
・条件は20日までに議会が離脱協定案を承認すること。ハードルは高い。
・さらに英脱延期のためには、EU27カ国の承認が必要となる。
・EU側は、英国の延期要求の理由などを見て判断するとしている。
・英国は2017年3月に離脱を申請。離脱期限は3月29日だ。
・しかし英国とEUはいまだ離脱条件の合意に至らない。
・合意なし離脱のリスクも高まったままだ。

◆NZのモスクでテロ、反イスラム主義者の犯行か(15日)☆
・NZ南島クライストチャーチの2つのモスクで乱射事件が発生した。
・50人が死亡。50人が負傷した。
・当局は豪州国籍の男タラント容疑者を主犯格として逮捕、訴追した。
・犯人は過去にネットに白人至上主義者をうかがわせる発言投稿している。
・反イスラム、反移民の情報も投稿している。
・犠牲者の多くはパキスタン、トルコ、サウジなどイスラム圏の出身者。
・シリアなどからの難民も含まれている。
・犯人は銃を合法的に入手した。NZのアーダーン首相は銃規制強化を表明した。
・事件の全容はなお不明だが、世界に大きな衝撃を与えている。

◆ボーイング新型機、世界各地で運航停止、米も判断(13日)☆
・世界各国でボーイングの新型機「737MAX」の運航停止が広がった。
・同機は2018年10月にインドネシア、2019年3月にエチオピアで墜落した。
・まず中国が運航を停止。欧州や中東諸国、カナダは12-13日に追随した。
・米国も13日、運航停止を発表した。世界で50カ国以上が停止した。
・事故の原因は調査中だが、ソフトに欠陥があったとの指摘がある。
・同機は120-220人乗りの小・中型機世界で、約370機が生産されている。

◆米上院が非常事態宣言の無効決議、大統領は拒否権(14-15日)☆
・米上院はトランプ大統領の非常事態宣言を無効とする決議を採択した。
・野党民主党議員に加え、与党共和党から12人が賛成に回った。
・非常事態宣言は大統領が国境の壁建設予算確保のため2月15日に出した。
・下院は2月に無効決議を採択した。
・共和党議員の一部は、大統領権限の乱用を理由に賛成を投じた。
・大統領は15日、決議に対して拒否権を行使した。同氏の拒否権行使は初。
・共和党内部の結束にも影響しかねない判断だ。

◆アルジェリア大統領、5選出馬断念(11日)☆
・ブーテフリカ大統領(82)は4月の大統領選への出馬断念を表明した。
・同氏は1999年から大統領を4期務める。2013年に脳卒中で倒れた。
・5選を目指す動きに、2月以降市民らの反対デモが拡大していた。
・同国は1991年選挙でイスラム原理主義政党FISが勝利。
・翌年軍が実権を握りFISを非合法化。99年までの内戦で15万人が死亡した。
・同国は石油など資源が豊富。イスラム過激派など不安定要因を抱える。
・地域大国である同国の動向は、北アフリカ情勢にも影響する。

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 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【NZテロの問うもの】 ニュージーランド・クライストチャーチのモスクで乱射事件があり、移民のイスラム教徒ら50人が犠牲になった。(→国際ニュースを切る)

 【全人代閉幕】 北京で5日から開催していた全人代が15日閉幕。李克強首相が記者会見を行った。近い将来の強国への野心をあらわにした昨年(2018年)とは違い、今年は米国との協調を前面に出し、控えめな姿勢が目立った。米中貿易戦争は、中国経済にボディーブローのように効いている。そんな中、米国との関係維持を優先せざるを得ないとみられる。

◎今週の注目(2019年3月18-25日 &当面の注目)
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・英国のEU離脱期限まで残り僅か。英議会は6月末までの離脱延長案を採択したが、この案には20日までに議会が離脱協定案を採択するという条件が付く。行方は不透明だ。EUは21-22日に首脳会議を開催し、Brexit問題を協議するが、英国がそれまでに立場を固めなければ判断もできない。先行きは見にくい。1日1日が重要な動きになる。

・中国の習近平国家主席が22日イタリアを訪問する。焦点は中国の一帯一路戦略にイタリアが指示を表明するかどうか。イタリア政府内でも意見が割れている。

・米中貿易問題の水面下の協議が続く。事務方の詰め→米中首脳会談の開催→合意を目指すが、行方は不明だ。首脳会議は当初に3月下旬を目標としたが、4月にずれ込むとの情報も流れる。

・ウクライナ大統領選が3月31日。

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2019年3月10日 (日)

2019年10号 (3.4-10 通算974号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年3月4-10日
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◆中国全人代、2019年の成長目標6-6.5%(5日)☆
・全人代が開幕。李克強首相が政府活動報告を行った。
・2019年の成長目標は6-6.5%に設定した。2018年の6.5%前後から下げた。
・財政支出や減税を柱にした景気刺激策を打ち出した。
・経済減速に対応し、構造改革より景気刺激を優先させる格好だ。
・中国経済は米中貿易戦争の影響などで減速している。
・2018年の成長は6.6%と、1990年以来28年ぶりの低水準だった。
・国防費は7.5%増と、経済成長目標を上回る状況を継続した。

◆米韓が大規模演習打切り、新演習は規模半減(4日)☆
・米韓は毎年春に実施してきた2種類の大規模合同軍事演習を打ち切った。
・両国が2日発表した。
・規模を縮小した訓練に切り替える。4日から12日の予定で始まった。
・従来の演習の半分程度の規模になる。
・トランプ米大統領は北朝鮮との対話継続中は演習中止と表明している。
・今回の決定も、北朝鮮への配慮が一因とみられる。
・先月末の米朝首脳会談は物別れに終わった。しかし両国は対話継続の姿勢だ。

◆タイ、タクシン派政党に解党命令(7日)☆
・憲法裁判所はタクシン派政党の1つタイ国家維持党に解党命令を出した。
・同党は次期首相候補に王女擁立を試みた。これが立憲君主制に反するとした。
・タイは3月24日に総選挙を予定。5年の軍事政権→民政移管の予定。
・選挙は軍事政権に近い政党とタクシン派、反タクシンの民主派が争う。
・タクシン派は同党以外に2党があるが、今回の解党命令は打撃になる。
・同国では2008年と2014年にも憲法裁の判断がタクシン派政権の崩壊を招いた。
・選挙への影響とともに、タイ政治のあり方に問いを投げかける。

◆国際女性デー、国連は職員の半数以上を女性に(8日)
・国際女性デー(8日)にあわせて様々なイベントや報告書の発表が行われた。
・国連のグテレス事務総長は7日、10年内に全職員の半数を女性にすると表明した。
・女性比率は2018年末時点で39%。
・幹部職員は昨年昨年末時点で女性比率が50%に達している。

◆ファイスブックが戦略転換、プライバシー優先宣言(6日)
・FBはネットの開放性よりプライバシーを優先させると宣言した。
・ザッカーバーグ会長が今後の戦略として公表した。
・ユーザーのデータの暗号化などを重視。私的メッセージの保存も短縮する。
・データ独占や情報漏洩への批判に応える。
・FBは昨年大量の個人データ漏えいが発覚、社会から強い批判を浴びた。
・同社以外の大手IT企業のデータ独占にも批判が拡大。規制論も強まっている。

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◎寸評:of the Week
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 【重要な動き】 トップ5以外にも重要な動き。中国ファーウェイ7日、テキサス州の連邦地裁に米政府を提訴した。同社製品が不当に排除されたとの理由。カナダで建設会社を巡る市場スキャンダルが浮上。閣僚2人が辞任し、トルドー政権が政治危機に直面している。欧州中銀は理事会を開催。年内の利上げを断念した。

 【中国全人代】 中国全人代が始まった。李克強首相の政府活動報告は、2019年の経済成長目標を6-6.5%と定めた。昨年の6.5%前後を下方修正し、目標が「6.5%確保」から「6%確保」に変わった格好だ。
 中国は過去40年間10%弱の成長を維持。GDPは40年で220倍になった。2019年は6-6.5%成長に減速するとはいえ、世界の水準から見れば高成長だ。
 しかし、これまでにない課題に直面する。米中貿易戦争の影響で輸出は減少。民間や地方政府の債務が拡大し、バブル崩壊の懸念がささやかれる。習近平政権は過去、経済構造の改革を強調してきたが、全人代のメッセージは景気対策優先になっている。これまでの延長線上では事態を見誤る。
 全人代がこれほどまでに世界から注目されるようになったのはここ10年あまり。世界の変化を物語る。

◎ 中国の「今年も」を確認 全人代  

◎今週の注目(2019年3月11-17日 &当面の注目)
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・英国議会(下院)は12日、メイ政権のEU離脱協定に関する投票を行う。議会の投票はすでに何度も繰り返されているが、今回は3月29日の離脱期限まで2週間となった中での投票。ここで決着しなければ、期限内合意は無理になる。そうなれば合意なし離脱か、あるいは離脱の延長などに動かざるを得ない。先行きは混とんとし、混乱は避けられない。

・中国の習近平国家主席が22日イタリアを訪問する。焦点は中国の一対一路戦略にイタリアが指示を表明するかどうか。イタリア政府内でも意見が割れている。

・米中貿易問題の水面下の協議が続く。事務方の詰め→米中首脳会談の開催→合意を目指すが、行方は不明だ。首脳会議は当初に3月下旬を目標としたが、4月にずれ込むとの情報も流れる。

・ウクライナ大統領選が3月31日。

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2019年3月 4日 (月)

◆米朝首脳会談の眺め方 2019.3.3

 ベトナムのハノイで27-28日に行われた米朝首脳会談は、合意文書の署名なしで終わった。朝鮮半島の非核化などに関する何らかの合意があるとの期待もあっただけに、いささか拍子抜け。会談の位置づけも難しい。

▼合意なし

 今回の会談は、2018年6月の「歴史的」な会談に続く2回目の会談。前回会談の後に行われた事務レベルや閣僚級の協議でも、朝鮮半島の非核化の道筋が見えてきたわけではない。それでも首脳会議が開催される以上、何らかの部分合意が発表されるとの観測が事前にはあった。

 しかし蓋を開けてみれば合意もなければ共同記者会見もなかった。金正恩委員長の仏頂面ばかりが目立った印象だ。

 米国が求めた全核施設の廃棄に北朝鮮が応じなかったとの情報が流れている。北朝鮮が求めた経済制裁の全面解除には米国が応じなかった模様。後講釈では、そもそも合意なしは当然のようにも見えるが、詳細はなお不明だ。

▼緊張から対話

 北朝鮮の核問題は2017年に緊張が高まった。同国は断続的に核実験やミサイル発射を実施。これに対し米トランプ政権は北朝鮮周辺海域に空母などを派遣するなど圧力を高めた。経済制裁も強化した。

 この年にはマレーシア、クアラルンプールでの金正男氏暗殺事件もあり、北朝鮮に対する国際的な批判が強まった。

 状況が変わったのが翌2018年。韓国で開かれた平昌冬季五輪を契機に対話ムードが強まり、同年6月のシンガポールでの米朝首脳会談につながった。

 しかし朝鮮半島の非核化に向けた米朝の思惑は異なり、シンガポール会談の共同声明も同床異夢の面があった。

▼パフォーマンス

 そして今回の会談。金正恩委員長は北朝鮮からハノイまで遠路鉄道で移動。世界の注目を浴びた。開催地のベトナム・ハノイでは歓迎パフォーマンスやトランプ氏、金正恩氏の髪型を模倣した人が出てくるなど、話題は万歳だった。

 しかし会談の成果に見るものはなかった。北朝鮮側の会談後の対応は、朝鮮中央通信などで断片的に情報を流すというお定まりのパターンだ。

▼不透明な今後

 会談をどのように位置づけるかには、世界のメディィアや専門家も苦労しているようだ。英BBCは”From enemies to frenemies”(敵から友人と敵の混じった関係)と表現していた。面白いが、分かったような分からないような。そもそも、この個性的な2人の間でどんな会話が成り立ったのか(あるいは成り立たなかったのか)、興味深い。

 ただ、1年前には米朝首脳会談の開催自体が「(当面は)あり得ない」話だった。会談があってもおかしくない状態になったのは、重要な状況変化だ。北朝鮮のミサイル発射や核実験もとりあえず止まっている。ただ、これがいつまで続くかは別の話だ。

 今後も引き続き対話路線が維持されるのか。それとも新たな緊張へと動くのか。事実関係の不明な部分も多いので予断は許さないが、目は離せない。

◎ 「2度目だと見出しは取れぬ」の例になり
◎ 兎に角に会談はありの世になれり
◎ 個性派コンビ 政治も旅も髪型も

2019.3.3

2019年09号 (2.25-3.3 通算973号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年2月25日-3月3日
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◆米朝首脳会談、合意文書署名なし(27-28日)☆
・トランプ米大統領と金正恩北朝鮮委員長の会談がハノイで行われた。
・昨年6月に次ぐ2度目の会談。
・米側は非核化に向けた北朝鮮の取り組みが不十分と判断。
・期待されていた合意文書の署名は見送られた。
・トランプ氏は対話の継続を強調したが、3回目の首脳会談などは未定だ。
・朝鮮半島非核化などの難しさが改めて認識された格好だ。

◆米中、貿易交渉延長(24日)☆
・米国は3月2日に予定していた中国製品の関税引き上げを延期した。
・トランプ大統領が表明した。中国との貿易交渉で一定成果があったためとする。
・3月下旬に米中首脳会談を開き、最終決着を目指す。
・米は、中国が知的財産権ルールに違反しているなどと主張。
・同国からの輸入品への関税を昨年、段階的に引き上げた。
・3月2日には2000億ドル相当の関税を10%→25%に引き上げる予定だった。
・米中は貿易、ハイテク戦争を巡り対立を激化。世界経済に影を落とす。
・問題はいったん棚上げになった格好だが、今後の展開は予断を許さない。

◆インド・パキスタン対立激化、空爆の応酬(27日)☆
・インド軍は26日パキスタン北東部バラコットのテロ組織拠点を空爆した。
・パキスタン軍は27日インド側を空爆。インドも応戦し、空爆の応酬となった。
・インド軍機が撃ち落とされ、兵士2人が捕虜になった。
・パキスタンのカーン首相は27日、インド側に対話を呼びかけた。
・しかしインドのモディ首相は28日、とりあえず対話拒否の姿勢を示した。
・今回の対立はパキスタンのイスラム過激派による自爆テロ(2月14日)が発端。
・その後対立がエスカレートし、空爆にまで発展した。
・核保有国である印パの対立は、地域情勢を不安定にする。

◆トランプ大統領元側近が議会証言(27日)☆
・トランプ米大統領元顧問弁護士のコーエン氏が下院委員会で証言した。
・トランプ氏の不倫相手への口止め料支払いは同氏の指示だったと発言。
・民主党陣営のメールが流出した件は、トランプ氏が事前に知っていたとする。
・米国メディアは証言を大々的に報道した。
・民主党は疑惑の追及を加速する構えだ。
・モラー特別検察官の報告書は近く提出される見通しだ。

◆ナイジェリア大統領選、現職ブハリ氏が再選(27日)
・選管は23日投票の大統領選で、ブハリ大統領が再選されたと発表した。
・ブハリ氏得票は56%。野党候補のアブバカル元副大統領は41%とする。
・投票率は35%にとどまった。
・投票は当初16日の予定だったが、土壇場で1週間延期された。
・アブバカル氏は不正があったとして受け入れ拒否の構えを見せている。
・同国は人口1.9億人を抱える地域大国。地下資源は豊富だ。
・2016年以降は原油価格下落の影響などで経済は低迷。失業増に悩む。

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 【シナリオ狂った?米朝首脳会談】 米朝首脳会談は合意文書の署名なしで終わった(→国際ニュースを切る)

◎今週の注目(2019年3月4-10日 &当面の注目)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・中国の全人代が3月5日に開幕する。
・英国のEU離脱は3月29日の期限まで1カ月を切った。
・米中首脳会談が3月下旬に行われる見通し。
・ウクライナ大統領選が3月31日。

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