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2019年2月

2019年2月24日 (日)

2019年08号 (2.18-24 通算972号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年2月18-24日
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◆米が金融引き締め終了前倒しへ、世界経済の懸念強まる(20日) ☆
・米FRBは1月29-30日の公開市場委員会の議事要旨を発表した。
・参加者の大半が、保有する資産の縮小(引き締め)を年内に終えると見た。
・従来は終了時期を2021-22年と見る意見が多かったが、大幅前倒しとなった。
・世界経済の減速が予想以上に早く進んでいるため。
・米中貿易戦争の影響で、各国で貿易減少などの影響が出始めている。
・世界経済の行方は、不透明さを増している。

◆米がシリア撤退を修正(22日)☆
・トランプ米大統領は、米軍をシリアから全面撤収させる方針を撤回した。
・少数の兵を残すと語った。
・大統領は昨年12月に全面撤退を表明した。
・しかし与党共和党はISなど過激派組織の完全壊滅を優先すべきだと主張。
・シリア内でISと戦うクルド人勢力なども反対。米国への不信を強めた。
・トランプ氏の決断は、混乱と不信感を残して撤回される形となった。

◆ベネズエラ情勢緊迫 ☆
・情勢が緊迫度を増している。
・トランプ米大統領は18日、軍の兵士にマドゥロ大統領からの離反を促した。
・フロリダで演説し、マドゥロ氏支持を続ければ全てを失うと警告した。
・ベネズエラ政府は21日、ブラジル国境を閉鎖した。
・国境を通じ野党陣営への支援物資が流入するのを防止するため。
・23日にはコロンビアと断交した。
・ベネズエラでは1月野党指導者のグアイド氏が暫定大統領就任を宣言。
・米欧や中南米の多くの国はグアイド氏を支持。中ロなどはマドゥロ氏を支持する。

◆ホンダが英国生産撤退(19日)☆
・ホンダは英南部スウェンドン工場の閉鎖を発表した。
・同工場は1985年設立。同社唯一の欧州生産拠点で25万台の生産能力がある。
・現在はシビックなど16万台を生産している。
・世界的な生産拠点再編の一環とするが、英のEU離脱も影響した模様。
・英のEU離脱交渉は、期限まで1月となったがまだ方向性が見えない。
・合意なし離脱のリスクも高まっている。
・企業などは合意なし離脱も織り込んだ対応を急いでいる。

◆米中閣僚級貿易協議(21日-)
・米中両国はワシントンで閣僚級の貿易協議を開催した。
・中国は米国製品の輸入拡大や人民元安誘導の制限などを約束した模様。
・当初予定を延長し、24日まで協議を継続する。
・中国の知的財産権保護や産業政策などで意見の違いが残ると伝えられる。
・協議次第で、3月2日に予定する中国製品の関税引き上げが先延ばしされる。
・トランプ大統領は習近平国家主席との首脳会談開催に期待を述べた。

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 │INCDの採点
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 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
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 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【米中貿易戦争】 米中の貿易協議が大詰めを迎えている。ワシントンで21日から開催した閣僚級協議は、中国側が米国製品の輸入拡大などを約束。当初予定より日程を延ばして交渉が続く。トランプ大統領は、3月末に米中首脳会談を開催し、最終合意に結び付けたいと発言した。しかし知的財産権保護や中国の産業政策などを巡りまだ対立が残ると、メディアの報道は伝える。米国は十分な前進がなければ、3月2日以降に中国からの輸入品の関税を引き上げるとの立場だ。
 米国は昨年、順次対中関税の引き上げを実施。世界経済にインパクトを与えている。両国間の貿易が落ち込んでいるだけでなく、東南アジアから中国への輸出なども減少し始めた。米FRBは1月のFOMC(連邦公開委員会)で、世界経済の先行きに対する見方を厳しく変更。米金融の引き締め(量的緩和の修正)終了の時期を従来見通しより前倒しした。
 影響は広範囲に及ぶ。

 【重要な動き】 トップ5以外にも重要な動き。ロシアのプーチン大統領は20日、年次教書演説を実施。社会福祉の向上、教育の強化などを国民生活重視の施策を強調した。同時に、INF廃棄条約破棄を踏まえ、米国が欧州に短・中距離核を配備すれば対抗すると述べた。カシミール問題を巡るインドとパキスタンの対立が激化。インドは最恵国待遇(MFN)の取り消しに踏み切った。フィリピンのミンダナオ島に設立予定の自治政府に関し、ドゥテルテ大統領は22日暫定議会議員を指名。イスラム過激派モロ・イスラム解放戦線(MILF)のエブラヒム議長が暫定政府首相に就任した。メキシコは中南米からの集団移民に対する政策を変換、受け入れ拡大に舵を切った。ナイジェリアの大統領選が23日、当初予定より1週間遅れで実施された。

 【Brexitと本田の英国撤退】 本田が英南部にある工場の閉鎖を決定した。世界的な生産体制の見直しの一環というが、Brexit影響もある模様。工場の従業員は約3500人で、解雇される見通し。現地ではBrexitの影響と結びつけて報じられた。
 英国のEU離脱期限まで残すところ1カ月。この2年間の英脱交渉では、英国の迷走ばかりが目立った。国内で離脱強硬派と対EU関係重視派の対立がこじれ、対EU交渉のスタンスも定まらない状況だ。
 このままでは合意なし離脱も現実味を帯びてくる。企業もしびれを切らせ、合意なし離脱を前提に計画を立て始めた。目前の悲劇が分かっていながらただ迷走する姿。世界の歴史を変えてきた偉大な英国はどうなってしまうのか、との思いを禁じ得ない。

◎ もう待てぬと出ていく企業に納得し
◎ 英離脱 嘆息ばかりが深くなる

◎今週の注目(2019年2月25日-3月3日 &当面の注目)
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・米中の閣僚級貿易協議が24日までワシントンで行われる。
・米朝の2回目の首脳会談が27-28日にベトナムのハノイで行われる。
・英国のEU離脱期限まで26日で残り1カ月となる。

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2019年2月21日 (木)

◆米非常事態宣言と国境の壁 2019.2.17

 トランプ米大統領が非常事態を宣言した。メキシコ国境の壁建設費を国防予算から賄うためだ。前例のない奇策は、様々な問題点を投げかける。

▼奇策

 非常事態宣言は1月からのねじれ議会との折衝の末に生まれた。大統領は壁建設を公約に掲げており、次年度予算で57億ドルを計上、234マイル(370キロ)の建設を目指していた。

 しかし民主党主導の下院は反対。次年度予算に壁建設費を盛り込まない案をまとめた。大統領は署名を拒否。2018年度末から1カ月以上、一部政府機関が閉鎖された。

 下院の共和・民主両党は2月に入り妥協案で合意。壁建設の費用は14億ドルのみ計上した。トランプ大統領はこれに署名をし、政府機関の再閉鎖を防いだうえで、非常事態を宣言した。

 暴動や自然災害が起きていないときに非常事態を宣言するのは異例。民主党は当然のごとく、権力の乱用の批判を強め、メインストリームのメディアなども同調している。

 民主党は提訴も辞さない構えで、宣言の是非の判断は法廷の場に進む。戦時と平治、大統領権限、移民規制のあり方など、様々な問題に問いを投げかける。

▼増加する壁

 今回の動きもあり、国境の壁に改めて脚光が当たる。米国・メキシコ国境は3145キロで、そのうち1100キロ余りはすでに壁やフェンスなどがある。トランプ大統領が当面建設を目指すのは残りのうち一部。大統領の建設計画に対する反対は野党民主党などから強いが、そもそも国境の壁をなくせという声はほとんど聞かない。

 イスラエルとパレスチナの間には、過去20-30年で頂戴なフェンスの建設が進んだ。2015年の欧州難民危機の際には、ハンガリーとクロアチアの国境などにフェンスが建設された。

 東西分断の象徴だったベルリンの壁が崩壊したのは1989年。その後30年で、世界には新たな壁が登場している。分断の時代象徴と言っていいだろう。

 トランプ米大統領の壁には話題が集中する。しかしこの壁を、特殊な大統領の異例の産物として片付けるのは、あまりに楽観的だろう。根は深い。

◎ 国境(くにざかい)いつの間にやら壁だらけ
◎ 壁崩壊 歓喜に酔った30年前
◎ また壁か当たり前になる日が怖い

2019.2.17

2019年07号 (2.11-17 通算971号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年2月11-17日
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◆トランプ大統領が壁建設で非常事態宣言(15日)☆
・トランプ大統領は「非常事態」を宣言した。
・議会承認を得ずにメキシコ国境の壁建設を進めるため。
・国防予算などから約80億ドルを壁建設に使えるようにする。
・野党民主党は権力乱用などと批判。法廷闘争に持ち込む構え。
・議会においても対立激化は避けられず、政策協議は停滞しそうだ。
・トランプ氏は57億ドルを投じ国境に234マイルの壁建設を主張していた。
・しかし民主党優位の下院が作成した予算は壁建設費を含まず、対立が続いた。
・その影響で昨年12月-今年1月末には、政府機関が一部閉鎖された。
・下院の与野党は壁建設費を14億ドル55マイルとする予算を作成。
・トランプ氏はこれに署名したうえで、宣言で残りを調達する。
・一連の動きは大統領権限のあり方の議論、政権の行方など多方面に影響する。

◆アマゾンがNY第2本社計画断念(14日)☆
・アマゾンは、東部NYに第2本社を建設する計画を断念した。
・同市クィーンズ地区に第2本社を建設、2.5万人の雇用を生むとしていた。
・NY市・州は30億ドルの助成金や税制優遇を打ち出していた。
・しかし住民や地元政治家の反対運動が高まり、撤回に追い込まれた。
・地元住民の雇用は少ない事、住居費高騰の懸念などが反対理由。
・経済振興と地域社会の利益の乖離が表面化した格好だ。
・同社はシアトルに次ぐ第2本社を計画。238の自治体が候補になった。

◆スペインが議会解散、総選挙へ(15日)☆
・サンチェス首相が上下院を解散。4月28日に前倒し総選挙を実施する。
・与党・社会労働党は350議席中84しかない少数与党政権。
・予算案が議会を通らず政策運営が難しく、民意を問う。
・現時点の世論調査では過半数を見込める政党はない。
・極右政党ボックスの台頭も予想される。
・サンチェス政権は、保守のラホイ首相不信任を受け昨年6月成立。
・親EU路線で、難民の受け入れにも柔軟。カタルーニャ問題は対話重視だ。
・同国には反移民・難民の声も多く、地方選などで極右政党が台頭する。

◆イランが革命40周年、対米強硬姿勢を強調(11日)
・イラン革命から40年を経過。式典が開かれた。
・1979年に親米のパーレビ王政を打倒した。11日に革命側が権力を掌握した。
・ロウハニ大統領は演説し、ミサイル開発を続けると表明した。
・大統領は穏健派だが、米による制裁復活などを受け強硬色を濃くした。
・テヘランでは数十万人が更新。反米、反イスラエルを唱えた。
・米は2018年にイラン核合意から離脱した。
・以降、イランと米国、イスラエル、サウジなどの対立が鮮明になっている。

◆ミュンヘン安保会議、米はファーウェイ排除呼びかけ(15日)
・欧米などの閣僚級が集まるミュンヘン安保会議が開催された。
・ペンス米副大統領は中国のファーウェイを名指しし、排除を呼び掛けた。
・副大統領は一連の欧州訪問で、対イラン強硬姿勢を示した。
・トランプ政権が核戦力やミサイルの強化を進めることも強調した。
・米政権が中国やロシア、イランに対し強い姿勢で臨む構えを印象付けた。
・ただし対イランでは、対話継続を模索する欧州との乖離も目立つ。

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◎寸評:of the Week
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 【世界各地の動き】 トップ5以外にも興味深い動きが相次いだ。エジプト国会は憲法改正を承認。国民投票を通れば、現職のシシ大統領が2034年まで続投可能になる。米中貿易交渉は事務レベルで突っ込んだ話が続き、交渉期間の60日延長の情報も流れる(現在の期限は2月末)。米朝は今月末に予定する2回目の首脳会議に向けて調整を進めるが、ここにきて北朝鮮による新たなミサイル秘密基地発見などのニュースが表面化した。
 英国はBrexitの期限まで1カ月半となったが、迷走が続く。ナイジェリアの大統領選は、投票の1週間前になって延期が決まった。
 アマゾンのベゾスCEOが米メディアAMI(傘下にタブロイド紙のナショナル・エンクワイアラー)から脅迫を受けたという事件は、各方面に波紋が広がる。エアバスは超大型旅客気A380の生産中止を決めた。

 【米非常事態宣言と国境の壁】 トランプ米大統領が非常事態を宣言し、メキシコ国境の壁の建設費を国防予算から賄う策を打ち出した。(→国際ニュースを切る)

◎今週の注目(2019年2月18-24日 &当面の注目)
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・ロシアのプーチン大統領が20日、年次教書演説を行う。
・ナイジェリアの大統領選が23日行われる。当初投票予定日だった17日の前日になり、突然延期発表されたいわく付きの選挙。本当に実施されるかも含み、要注意だ。

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2019年2月11日 (月)

◆王女擁立劇とタイ政治の現状 2019.2.11

 3月24日投票のタイ総選挙を巡り、首相候補への王女擁立劇があった。騒動は1日で終息したが、擁立劇はタイ政治の様々な面を映し出した。

▼突然の擁立

 擁立劇は突然だった。タクシン元首相派の国家維持党は8日、次期首相候補にワチラロンコン国王の姉のウボンラット王女(67)を擁立した。

 王女は米国人と結婚(のち離婚)し、1972年に王室を離脱している。法律的には一般人だ。しかし離婚・帰国後はタイでは王室関係者と同じように注目され、公的場面への登場も多い。政治的にはタクシン派に近いと言われ、昨年のロシアでのサッカーW杯では亡命中のタクシン元首相らと同席する姿が目撃された。

 国王が8日夜に擁立への反対声明を発表。これを受けて同党は9日、擁立を断念した。

▼タクシン派・反タクシン派の対立

 タイは2001年にタクシン元首相が率いる政党が選挙で勝利した。新政権は北部など地方の貧しい人々を支援する政策を積極的に推進。一方で、バラマキや汚職が進んだと言われる。

 軍は2006年にクーデターを実施。反タクシン派の政権を樹立させた。その後同国は、タクシン派(赤シャツ隊)と反タクシン派(黄シャツ隊)が対立する構図が続く。

 タクシン派は2007年12月の選挙で勝利した。しかし裁判所の解党命令で2008年2月-2011年は民主党(反タクシン派)のアピシット政権が発足した。

 その後2011年7月の選挙でもタクシン派が勝利、インラック政権が発足した。しかしタクシン派と反タクシン派の対立は続き、政治が不安定な状況が続いた。

▼クーデターと王室の影響

 そうした中2014年5月、軍がクーデターを実施。以後、プラユット暫定首相の政権が続いている。

 同国の政治を特徴づけるのは、まずタクシン派と反タクシン派の対立。社会に深い分断をもたらしている。第2に軍の関与。過去にも政治危機になると、軍によるクーデターが来る返された。第3に国王・王室の影響力。プミポン前国王(ラーマ9世)は、政治危機に仲介者としての役割を示し、タイ式民主主義に欠かせない存在だった。

 昨年即位したワチラロンコン国王に前国王ほどの威厳と存在感はないとされる。しかし今回の騒動は、王室や王族、元王族が持つ影響力を改めて見せつけた。

▼総選挙の行方

 総選挙は軍事政権寄り「国民国家の力」党(首相候補はプラユット暫定首相)と保守系の民主党(首相候補はアピシット元首相)、タクシン派の中核であるタイ貢献党(首相候補はスダラット元保険相)を中心に、今回話題になったタクシン派の国家維持等などが絡む。

 選挙後の首相の指名は、下院500議席に上院250議席を加えた投票で決める。上院は事実上軍の指名なので、軍事政権寄りの国民国家の力党が圧倒的に有利だ。

 ただし、下院ではタクシン派が多数を占め、ねじれになる可能性もある。

 選挙は5年ぶりの民政復帰のあり方を決め、同国の民主主義の行方を決定する重要な節目だ。そこに王女(元王族)の首相候補擁立という予想外の出来事が絡み、国王の声明で一夜で解決した。いかにもタイ的とも言える。

 関係者の狙いがどこにあったかは定かでないが、世界からの選挙への関心を一気に高めたことは間違いない。話題性は十分だ。

◎ 20年、混乱分断の日常化
◎ 赤黄シャツ、軍に王室バンコク流
◎ 王女兼首相を見たい気もしたが

2019.2.11
 

2019年06号(2.4-11 通算970号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年2月4-11日
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◆米大統領一般教書(5日)☆
・トランプ米大統領の一般教書演説が行われた。
・貿易政策転換、インフラ整備などを主張。民主党へ協力を呼び掛けた。

・メキシコ国境の壁建設を改めて

強調した。
・北朝鮮の金正恩委員長との会談を2月27-28日にハノイで開催すると述べた。
・全体的に焦点は拡散し、メッセージは弱かった。
・ねじれ議会の下で、大統領が政策運営に苦労する状況がうかがえた。
・英FT紙は演説ポイントとして壁、北朝鮮、IS、経済、協力呼びかけを挙げた。 

◆タイ王女、首相候補擁立劇(8日)☆(^^)
・タクシン元首相派の国家維持党は次期首相候補に国王姉の王女を擁立した。
・ワチラロンコン国王の姉のウボンラット王女(67)。
・王女は米国人と結婚(のち離婚)。1972年に王室を離れている。
・しかし国王は擁立が不適切とする声明を発表。同党は9日、擁立を断念した。
・タイは2014年のクーデターの後、軍事政権が続く。
・3月24日に総選挙を予定。首相は下院と、事実上軍が指定する上院で選ぶ。
・軍事政権寄りの政党は現暫定首相のプラユット氏を首相候補に立てる。
・軍事政権と対立するタクシン元首相派には貢献党や国家維持党がある。
・わずか1日で終わった擁立劇は、タイ政治の様々な面を反映する。

◆ベゾフ氏がタブロイド紙からの脅迫メール公表、政治関与示唆(7日)☆
・アマゾンのベゾスCEOは、女性問題を巡りタブロイド紙から脅迫を受けたと表明。
・関係者間のメールのやりとりを公開した。
・タブロイド紙はAMI傘下にあるナショナル・エンクワイアラー。
・同紙は今年1月、同氏の不倫を示すテキストメッセージを報道した。
・ベゾフ氏はメッセージが漏れた理由などを調査していた。
・そうした中2月5日に、同紙の代理人からベゾス氏の代理人に連絡があった。
・同氏は脅迫として公表すると共に、背後に政治的な意図があるとの考えを示した。
・AMIのベッカー会長は、トランプ大統領のスキャンダル隠しに暗躍したとされる。
・問題はベゾフ氏のプライバシーを超え、政治的な影響など広がりを持つ。

◆マケドニアがNATO加盟、30カ国体制に(6日)☆
・NATOはマケドニアの加盟を承認する議定書に署名した。
・加盟29カ国大使とマケドニア外相がブリュッセルのNATO本部で署名した。
・同国の加盟は国名を巡りギリシャが反対。30年近く実現しなかった。
・同国が国名を「北マケドニア」とする事でギリシャと合意。条件が整った。
・NATOはHPのNewsで「future Republic of North Macedonia」と表現。
・対立の再燃がないよう気使った。
・NATOは冷戦終了時の16カ国→30カ国に拡大する。
・旧ソ連勢力下にあった東欧諸国なども相次ぎ加盟した。

◆仏が駐伊大使召還(7日)☆
・仏政府は駐イタリア大使の償還を発表した。
・ディ・マイオ副首相は仏の反政権運動「黄色いベスト」参加者と面会。
・こうした行動が内政干渉であるなどと批判し、抗議の姿勢を示した。
・EU加盟国間の大使召還は異例。仏の駐伊大使召還は第2次大戦後初だ。
・副首相は5月の欧州議会選をにらみ、国内の反EU勢力などにアピールした模様。
・副首相はポピュリスト政党の5つ星運動の代表。
・欧州各国の亀裂やポピュリズム、反EU勢力の台頭などの動きを映す。

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 【王女擁立劇が映したタイの政治情勢】 3月24日投票のタイ総選挙を巡り、首相候補に王女擁立劇があった。騒動はタイ政治の様々な面を映し出す。(→国際ニュースを切る)

◎今週の注目(2019年2月11-17日 &当面の注目)
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・米中の閣僚級の貿易協議が14-15日に北京で開催される。米国による中国の追加制裁関税発動を回避できるかの交渉。期間を2月末とする中で大詰めの調整になる。

・ナイジェリアの大統領選が16日に行われる。再選を目指すブハリ大統領と野党候補のアブバカル元副大統領の争い。同国はアフリカ最大の人口と経済規模、原油生産を誇る。政情は地域情勢に影響する。

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2019年2月 3日 (日)

2019年05号 (1.28-2.3 通算969号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年1月28日-2月3日
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◆米ロがINF廃止条約破棄、軍拡加速の恐れ(2日)☆
・米はINF(中距離核)廃棄条約の破棄をロシアに通告した。6カ月後に失効する。
・ロシアも義務履行の停止を表明した。
・同条約は1987年に締結。射程500-5500キロの地上型ミサイル配備などを禁止。
・核軍縮に弾みをかけ、冷戦終結にも寄与した。
・米は2014年、ロシアが新配備するミサイルが条約違反などと主張。
・トランプ政権は2018年10月、破棄の方針を表明していた。
・ロシアは新型ミサイルの開発を表明。核の軍拡が加速する懸念がある。
・米ロは中国なども巻き込む新たな軍縮の枠組みも模索するが、容易ではない。

◆米がファーウエイ起訴(28日)☆
・司法省は中国ファーウェイ(華為技術)と孟晩舟副会長・CFOを起訴した。
・イランとの違法な金融取引に関わった疑い。
・孟氏を逮捕したカナダ当局に引き渡しを求める。
・司法省はまた、産業スパイ関連で同社と米子会社を起訴した。
・TモバイルUSの企業秘密を窃盗した疑い。
・米中のハイテクを巡る摩擦は昨年以降激化している。
・ファーウェイに対し、欧州諸国なども5Gの中継機器使用禁止などに動く。

◆米が利上げ停止(30日)☆
・FRBは公開市場委員会を開き、FF金利の目標を2.25-2.5%に据え置いた。
・声明は、2019年中に2回見込んでいた利上げを棚上げする考えを示した。
・2017年秋からの保有資産縮小も、見直しの可能性を示唆した。
・米国経済は昨年末から株価が下落するなど、変調の兆しがある。
・FBRは経済環境変化に対応し金利据え置きを判断した。
・超緩和からの是正が遅れる可能性がある。バブル拡大などリスクもある。

◆ベネズエラで反政府デモ、対立激化(2日)
・野党呼びかけの大規模なデモがあり、マドゥロ大統領退陣を求めた。
・暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長らが主導した。
・マドゥロ大統領側は国会解散と年内総選挙に言及した。
・米国や欧州は暫定大統領側を支持。中ロは大統領を支持する。
・ベネズエラの混乱は加速。いつ事態急変が会ってもおかしくない。

◆英議会がEU離脱、一段と混乱(29日)
・英議会はEU離脱に関する複数の修正案を採決した。
・北アイルランド国境問題について、EUに再度協議を求める案を採択。
・同時に合意なき離脱に反対する決議も採択した。
・国会決議は英国内の意見の違いを露呈した格好。
・EUは再交渉拒否の姿勢を崩してなく、英国の要求が通る可能性はまずない。
・英国の離脱期間は3月29日で2カ月を切った。
・混乱は一層拡大。合意なし離脱の懸念は増している。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【IT大手の決算】 時価総額で世界の上位を独占するIT大手の2018年10-12月決算が相次ぎ発表された。アップルは、米中貿易戦争の影響によるスマホ伸び悩みなどで9四半期ぶりに減収となった。一方、マイクロソフトはクラウド好調で前年同期比12%の増益。アマゾンは史上最高益を更新したが、売上高の伸びは鈍化した。フェイスブックも増益だが利用者は減少。各社はそれぞれ異なる事情を持ち、明暗や注目点も様々だった。
 GAFAに代表されるIT大手は、2010年代の世界経済をリードしてきた。純利益は4半期で100億ドル(1兆円)前後以上(アップルは約200億ドル)と、収益力もけた外れだ。
 しかし2018年には情報独占への批判が拡大、規制論も強まっている。この先、どんな局面転換が訪れるかは分からない。
 時代・情勢の変化は、あらゆる分野に及ぶ。鉄壁の強さ誇ってきたIT大手も例外ではない。その変化は、時代そのものの方向を映すのだろう。

◎ GAFA流 ただ「凄い」と見たスマホ初期
◎ 決算を読んでは世界の行方問う

 【米寒波】 米国を寒波が襲い、シカゴなど中西部ではマイナス30度に低下。30日には全米で航空機2000便が欠航し、死者も出た。トランプ大統領が「地球温暖化は?」とツイッターしたのには、苦笑い。
 

◎今週の注目(2019年2月4-10日 &当面の注目)
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・トランプ米大統領の一般教書演説が2月5日に行われる。
・中国の春節が5日。2月4-10日は春節の休みとなる。

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