« 2019年07号 (2.11-17 通算971号)国際ニュース・カウントダウン | トップページ | 2019年08号 (2.18-24 通算972号)国際ニュース・カウントダウン »

2019年2月21日 (木)

◆米非常事態宣言と国境の壁 2019.2.17

 トランプ米大統領が非常事態を宣言した。メキシコ国境の壁建設費を国防予算から賄うためだ。前例のない奇策は、様々な問題点を投げかける。

▼奇策

 非常事態宣言は1月からのねじれ議会との折衝の末に生まれた。大統領は壁建設を公約に掲げており、次年度予算で57億ドルを計上、234マイル(370キロ)の建設を目指していた。

 しかし民主党主導の下院は反対。次年度予算に壁建設費を盛り込まない案をまとめた。大統領は署名を拒否。2018年度末から1カ月以上、一部政府機関が閉鎖された。

 下院の共和・民主両党は2月に入り妥協案で合意。壁建設の費用は14億ドルのみ計上した。トランプ大統領はこれに署名をし、政府機関の再閉鎖を防いだうえで、非常事態を宣言した。

 暴動や自然災害が起きていないときに非常事態を宣言するのは異例。民主党は当然のごとく、権力の乱用の批判を強め、メインストリームのメディアなども同調している。

 民主党は提訴も辞さない構えで、宣言の是非の判断は法廷の場に進む。戦時と平治、大統領権限、移民規制のあり方など、様々な問題に問いを投げかける。

▼増加する壁

 今回の動きもあり、国境の壁に改めて脚光が当たる。米国・メキシコ国境は3145キロで、そのうち1100キロ余りはすでに壁やフェンスなどがある。トランプ大統領が当面建設を目指すのは残りのうち一部。大統領の建設計画に対する反対は野党民主党などから強いが、そもそも国境の壁をなくせという声はほとんど聞かない。

 イスラエルとパレスチナの間には、過去20-30年で頂戴なフェンスの建設が進んだ。2015年の欧州難民危機の際には、ハンガリーとクロアチアの国境などにフェンスが建設された。

 東西分断の象徴だったベルリンの壁が崩壊したのは1989年。その後30年で、世界には新たな壁が登場している。分断の時代象徴と言っていいだろう。

 トランプ米大統領の壁には話題が集中する。しかしこの壁を、特殊な大統領の異例の産物として片付けるのは、あまりに楽観的だろう。根は深い。

◎ 国境(くにざかい)いつの間にやら壁だらけ
◎ 壁崩壊 歓喜に酔った30年前
◎ また壁か当たり前になる日が怖い

2019.2.17

« 2019年07号 (2.11-17 通算971号)国際ニュース・カウントダウン | トップページ | 2019年08号 (2.18-24 通算972号)国際ニュース・カウントダウン »

アメリカ」カテゴリの記事

世界の潮流」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ◆米非常事態宣言と国境の壁 2019.2.17:

« 2019年07号 (2.11-17 通算971号)国際ニュース・カウントダウン | トップページ | 2019年08号 (2.18-24 通算972号)国際ニュース・カウントダウン »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ