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2018年9月

2018年9月30日 (日)

◆国連演説が映すトランプ氏の世界観 2018.9.30

 トランプ米大統領が9月25日に国連演説を行った。米国第1を前面に打ち出し、一部の国には悪意をむき出しにした内容。自画自賛の演説には顰蹙モノの中身も多いが、トランプ氏の世界観を描き出している面がある。

 トランプ演説は国連としては異例の注目を浴びた。報道では批判や揶揄が先立つものも多いが、実際何を語ったのか。整理する。

▼演説の内容

 演説はA4版で20ページ程度。内容を項目別に整理すれば、以下の通りだ。

(1)理念・国際関係に関係する分野
・国の主権を重視
・米国は国益を守るために行動する
・グローバリズムのイデオロギーを拒絶する
・米国の国際支援は友好国のみに使われるべきだ。
・愛国主義を強調

(2)外交
・北朝鮮との対話を評価。金正恩委員長に何度も言及。
・中東:新アプローチが効果を生んでいると強調。
・サウジアラビア、UAE、カタールのシリアやイエメン問題での関与を評価。
・シリアのアサド政権が化学兵器を使用すれば断固たる措置を取ると警告。
・イランを腐敗した独裁体制と批判。
・イスラエルの米大使館のエルサレム移転を「重要な一歩」と位置付け。
・ベネズエラのマドロ政権を非難。
・偉大な歴史などを称える国として、インド、サウジ、イスラエル、ポーランドを列挙。

(3)移民問題
・米国は中南米諸国と共に無秩序な移民、不法民問題に取り組んでいる
・不法移民は犯罪組織を支援し麻薬問題などを引き起こしている。
・国境管理の強化や犯罪組織の壊滅によってのみ、この問題を解決できる。
・米国民が甘受できない国際機関に、移民問題を任せるべきではない。

(4)経済・通商問題
・米国経済:減税効果などで好調と強調。
・通商は公正で相互的でなければならないと主張
・米・メキシコの通商合意や米韓自由貿易協定を評価。
・対中貿易の赤字や中国による知的財産権侵害などを看過できないと主張。

(5)エネルギー
・エネルギー安保は米国、同盟国にとって重要
・エネルギーのロシア依存を高めているとしてドイツを批判

▼米国第一、自画自賛

 演説内容は、トランプ氏が2016年の大統領選以来主張してきた内容が多い。米国第1を前面に出し、自由貿易より公正で相互的な貿易を求める姿勢だ。

 同時に、大型減税による米経済好調や、北朝鮮との対話など期間中のめぼしい動きを強調。自画自賛の内容だ。

▼通商と移民問題

 通商問題では対中貿易赤字や中国による知的財産権の侵害、技術移転を強引に求める姿勢などが許容できないとし、そんな行動が許されていた時代は終わったと断言した。

 目下話題になっている対中制裁関税を正当化する内容だ。対中完全などの政策が、決して思い付きなどで行っているわけでないことを裏付けた。

 移民問題への強硬な姿勢も正当化下。移民が犯罪や麻薬問題を引き起こしている決めつけ、国境管理強化は当然とした。グローバリズムより国家主権や愛国主義を優先している点も改めて鮮明にした。

▼敵・味方

 外交面では、自分の価値観に立脚して敵・味方を明確に線引きしている。中東ではイスラエル、サウジに明確に肩入れし、イラン敵視を改めて鮮明にした。欧州ではポーランドを持ち上げ、ドイツに厳しい姿勢を見せつけた。

 中南米では各国と移民問題などでの協力を呼びかける一方、ベネズエラのマドゥロ政権を酷評した。

▼語られなかった部分

 演説が「語らなかった」内容も重要だ。自分にとって都合のいい内容だけを語りるのは、この手の演説の常。しかし、通常は穏やかな物言いなどである程度のバランスを取るものだが、今回のトランプ大統領演説はそうした配慮が少ないように聞こえた。

 世界を揺るがしている格差の問題や環境問題、技術革新などの問題には触れなかった。世界の新たな問題になっている巨大IT企業の規制や、国家による情報独占などは、関連事項という形でもほとんど触れていなかった。ロシアについても触れず終いだった。

 テロの問題もさわりに触れる程度だった。米欧の同盟関係や、アジアの安全保障などもほぼ素通り。現在の貧困問題や格差が植民地主義など歴史に根付いたものであることは、意識の片隅にもないような印象を与えた。

▼古い秩序否定

 トランプ大統領の登場の際に、キッシンジャー米元国務長官は政権の目指すものについて、第2次大戦後の世界秩序の再編と分析した。演説にもその面はある。

 トランプ政権はすでに、従来の秩序を覆す政策をいくつも進めてきた。NATOを中心とした米欧安保体制の軽視、WTO体制を覆すな通商政策(制裁関税など)、エルサレムへの米イスラエル大使館の移転などだ。

 演説はそれを再度確認した。パレスチナ問題について、従来の立場からの批判を「古いドグマ」(Old dogmas)と着り捨てた。

 旧秩序の否定・新秩序の模索は、早計に結論を求めるような軽いテーマではない。しかし国連演説が、トランプ氏の世界観を掻い巻きさせたのは間違いない。まずはきちんと把握する必要がある。

◎ 国連のトランプ劇場言い放題
◎ 面白く破壊的なり世界観
◎ 極論と冷笑するのは容易だが

2018.9.30

2018年39号 (9.24-30 通算953号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年9月24-30日
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◆トランプ大統領が国連総会演説(25日)☆
・国連総会の一般演説が行われ、トランプ米大統領が演説した。
・自国の利益を優先させる「米国第1」の姿勢を鮮明に打ち出した。
・グローバリズムのイデオロギーを拒絶し、愛国主義を強調した。
・対中貿易赤字を許容できないと批判。移民規制強化を正当化した。
・イランを強く批判する一方、北朝鮮の動きを評価した。
・従来の国際秩序を否定するトランプ大統領の姿勢が改めて鮮明になった。
・国連総会の演説としてはこれまでにないほど注目を集めた。

◆米国対中関税の第3弾発動(24日)☆
・米国は中国に対する制裁関税の第3弾を発動した。
・総額2000億ドル。7-8月発動の第1弾、第2弾と合わせると2500億ドルになる。
・中国からの輸入の半額に相当する。
・中国も同日、報復関税を発動した。規模は600億ドルと米より少ない。
・米中貿易戦争が一層エスカレートしている。

◆米利上げ、新興国も追随(26日)☆
・米FRBは政策金利を1.75-2%→2-2.25%に引き上げた。
・利上げは2015年12月に開始して以来8回目。
・先行き見通しは年内に1回、2019年に3回利上げのシナリオを中心に据える。
・米利上げで新興国通貨は動揺。アルゼンチンペソやトルコリラは下落した。
・インドネシアとフィリピンは米利上げを受けて27日利上げを実施した。
・米金融政策が、通常以上に世界経済を揺るがす状況になっている。

◆SECがテスラCEOを提訴(27日)☆
・米商品取引委員会(SEC)は電気自動車テスラのマスクCEOを提訴した。
・8月に株式非公開化を巡り、投資家を欺く情報を流したという理由。
・SECは同氏に制裁金支払いや、公開企業の経営者会からの退場を求めた。
・同氏は8月、ツイッターに非公開化の方針を流し、その後撤回した。
・ツイッター情報を受けて同社の株価は動いた。同社はナスダック上場。
・マスク氏はスペースXなども経営するカリスマ経営者。
・提訴は同社の行方や米証券市場のルールなどに重要な影響を及ぼす。

◆スウェーデン首相不信任、政治空白の懸念(25日)
・議会は中道左派ローベン首相の続投を否認(不信任)した。
・穏健党など中道右派と、極右の民主党が不信任に回った。
・今後穏健党のクリステルソン党首を候補に調整を進めるが、難航は必至。
・同国は9月の選挙で極右政党が伸長。国会でキャスティングボードを握る。
・政治的空白が長引くリスクも高まってきた。

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◎寸評:of the Week
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 【トランプ氏の国連演説】 トランプ米大統領が国連総会の一般演説を行った。中身には顰蹙ものの内容も多いが、演説には同氏の世界観が表れている(→国際ニュースを切る「国連演説が映すトランプ氏の世界観)。

◎今週の注目(2018年10月1-7日 &当面の注目)
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・ノーベル賞の各賞が1日以降発表される。
・ブラジルの大統領選が7日に行われる。

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2018年9月23日 (日)

2018年38号 (9.17-23 通算952号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年9月17-23日
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◆米が対中関税第3弾、総輸入額の半分に(17日)☆
・米国は中国に対する制裁関税の第3弾の発動を発表した。
・知的財産権侵害を理由とし対象は家電など2000億ドル。発動日は9月24日。
・7-8月発動の1-2弾と合わせ対象は計2500億ドル。中国からの全輸入の半分だ。
・関税率は年内は10%、来年から25%に引き上げる。
・中国も対抗措置を発表したが、対象額は600億ドルと米国より少ない。
・トランプ大統領の判断の背景には中間選挙での支持拡大がある。
・加えて中国とのハイテク競争を意識した政策との見方も強まっている。
・世界の貿易や経済に与える影響は大きい。
・米中貿易戦争は本格的に拡大。収拾の方向は見えない

◆南北朝鮮首脳会談、共同宣言(18-20日)☆
・韓国の文在寅大統領が訪朝。金正恩委員長と会談した。
・共同宣言を発表。北朝鮮は米国の相応な措置を条件に核施設廃棄を表明した。
・南北をつなぐ鉄道・道路の整備や。金委員長のソウル訪問の意欲も明記した。
・両首脳は20日に聖地とされる白頭山を共に登頂。融和をアピールした。
・韓国からは財界首脳も同行。経済協力推進に意欲を見せた。
・両者の会談は4月27日、5月26日に続き3回目。韓国大統領の訪朝は11年ぶり。
・6月12日の米朝首脳会談以降、米朝協議は滞っている。
・朝鮮半島非核化を巡る事態の推移は、先を見通せない状況が続く。

◆米国株が最高値更新、ドル高進展、貿易戦争の懸念の中で(20日)☆
・NYダウは20日2万6656ドルとなり、1月26日以来最高値を更新した。
・米中貿易戦争への懸念から一時下落していたが、再び上昇した。
・足元の経済指標が強かったことなどが理由。ITや製薬株などが上昇した。
・ドルも強含みで推移。実効レートは9月に入り16年ぶりの高値水準だ。
・米景気の強さや、利上げ観測がドル高を支えている。
・トルコやアルゼンチンなど新興国市場が混乱。貿易戦争への懸念も強い。
・そうした中で株高、ドル高が起こっているのが現状だ。

◆広州-香港の高速鉄道が開通(23日)☆
・香港・広州間173キロを結ぶ高速鉄道が全線開通した。最短48分。
・深センや東莞、マカオを含む地域の結びつきが一層強まる。
・香港・マカオ間の海上橋(55キロ)も年内に開通の予定だ。
・中国による香港からの人の移動の管理や、政治活動監視は強まりそう。
・経済面でのつながり強化と共に、香港の1国2制度も曲がり角に直面する。

◆トルコが歳出削減、成長目標引き下げ(20日)☆
・トルコ政府は2021年までの中期計画を発表した。
・新規インフラの事実上の凍結など歳出を切り込む。
・成長率目標を引き下げ、従来の2018-20年=各5.5%→2-4%とした。
・歳出カットや引き締めでインフレ率の抑制を目指す。、
・同国は米国との対立などをきっかけにリラが下落。インフレ率も上昇した。
・当面高成長路線を犠牲にし、経済安定を重視する方向に転換した格好だ。

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◎寸評:of the Week
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 【米中貿易戦争の見方】 米国のトランプ政権が対中制裁の第3弾を発動する。7-8月の第1-2弾に比べ幅広く、総額は2000億ドル。1-3次の総額は2500億ドルで、中国からの全輸入の半分に達する。貿易戦争は留まるところを知らない状況だ。
 これまで貿易戦争を論じる際には、世界経済への影響や保護貿易の弊害、米中間選挙への思惑、米国の産業保護に対するトランプ政権の姿勢などの視点から分析する論調が多かった。
 しかし、ハイテク分野で追い上げる中国に対する対抗という視点からの分析も増えてきた。安全保障の側面を重視する見方だ。対中の新たな封じ込め戦略という位置づけも可能だろう。
 安全保障の視点を加味すると、中国IT企業に対する制裁やサイバー攻撃への対抗などの行動も同じ脈略の中に収まる。
 そうした視点で物事を見ると、現在起きていることは米中の覇権をかけた闘いの一幕となる(トランプ大統領が、どのように意識しているかは別問題)。
 中国側の反撃も、従来のように対米対話と自由貿易の重視を(本当に信じているかどうかはとにかく)打ち出す、という戦略から変わってくる可能性が大きい。

◎ トレード・ウォー(防衛戦争)に 「G2」時代を感じる秋
◎ 経済と安保は分けて、と言えた頃

◎今週の注目(2018年9月24-30日 &当面の注目)
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・米国による対中制裁関税第3弾(2000億ドル相当)が24日発動される。
・国連総会の首脳演説が25日から始まる。
・米韓首脳会談が24日。
・FRBが25-26日にFOMCを開催する。利上げの可能性がある。
・国連安保理は26日イラン問題を協議する。トランプ米大統領が議長を務める。

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2018年9月18日 (火)

◆リーマン・ショック後10年の世界 2018.9.17

 リーマン・ショックから10年を経過した。世界経済は恐慌を回避したが、金融緩和によるカネ余りは今に至る。金融暴走防止の対応は決定打を欠き、新たなバブルの発生も指摘される。危機後に焦点が当たった資本主義システムの見直しは、事実上棚上げされた。過去10年の間に、IT革命が加速、中国が伸張し、貧富の格差拡大が進むなど世界経済の構造は大きく変わる。リーマン・ショック後10年の世界経済を整理する。

▼ショックの推移

 2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻。世界金融危機が表面化した。先進国の金融当局はまず、公的資金を使った金融機関の救済、市場への資金供給(金融緩和)、景気対策、監督の強化などの手を繰り出し、金融システムの崩壊→世界恐慌の防止に努めた。

 危機はあっと間に米国から欧州などに波及。欧州ではその後ユーロ危機(ソブリン危機)へとつながっていく。

 金融緩和や財政支出拡大の効果もあり、世界経済は2009年を底に回復に向かい、その後も起伏を繰り返しながらも成長を維持している。一方で金融緩和で供給された巨額の資金はカネ余り現象を生み、新興国や株式市場、先進国の不動産などに流れ込んだ。これが新たなバブルを形成しているとの指摘も多い。

 主な節目の出来事は以下の通りだ。

▼節目の動き
 
・2008.9.15 リーマン破綻。
・9.16   米政府とFRBがAIGを管理下に。
      その後、国家・当局による支援や国有化、民間企業の買収などによる欧米金融機関救済相次ぐ。
・9.18   米欧日6中銀が1800億ドルの資金供給。その後も資金供給措置。
・10.3   米議会が経済対策可決。国による金融救済、景気対策などの枠組みを徐々に打ち出す。
・10.8   米欧日の中銀が協調利下げ。
・10.25   IMFがアイスランドに緊急支援。その後小国などでソブリン危機表面化
・11.9   中国が4兆元の景気対策発表
・11.27   米FEDが量的緩和(QE1、2010年6月まで)。その後QE2(2010-11)、QE3(2012-14)
・12.16   米がゼロ金利、米欧で金融緩和進む
・2009年  先進国経済マイナス成長、世界経済の成長はゼロ前後
・2009.6  GMが破産法申請、破綻
・2009.10  ギリシャの政府債務の粉飾発覚、ユーロ危機の引き金に
・2010   中国が世界第2の経済大国に
・2010-12  ユーロ危機(ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインの支援要請など数波に及ぶ)
・2011   アップル時価総額世界1に、スマホ、ネット活用加速
・2013.4  日本QQE(量的・質的緩和)
・2013.5-6 バーナンキ・ショック(世界市場の混乱)
・2014.6  ユーロ圏マイナス金利含む緩和策
・2014   資源ブーム→後半から原油価格下落。
・2014.10  米量的緩和解除(QE3終了)
・2015.1  欧州中銀が量的緩和
・2015.1-7 ギリシャ危機
・2015.12  米ゼロ金利解除、米金融正常化第1歩 
・2016.6  Brexit
・2016.11  米大統領選でトランプ氏当選
・2017   米株高(トランプ相場)、金融規制の緩和へ
・2018.8  トルコ・ショック。アルゼンチンなど新興国の市場動揺。

▼政策

 リーマン・ショック直後、各国はあらゆる政策を総動員して金融システムの崩壊、恐慌突入の回避に努めた。先進各国の協調による資金提供や金利引き下げなどを実施し、G20首脳会議も設定した。各国ベースでも、金融機関の監査強化や国有化の仕組み整備などを進めた。

 危機が一段落した後には、再発防止のために様々な策を検討した。「大きすぎて潰せない」を回避するための金融規制の強化、金融監督の新しい仕組み、各国間の相互協力の枠組み整備などが検討され、一部実施された。ただ、こうした策も将来の危機を完全に回避できるものではもちろんない。

 年月を経過するに従い、危機への意識が薄まり、ビジネス機会拡大を求める声が次第に強まっているのも見逃せない。

▼金融緩和の10年と新たなバブル

 リーマンショック後の金融緩和で、世界ではカネ余りが続いた。世界の政府、企業、金融機関、家計の債務の対GDP比は、2008年末の2.9倍から2018年3月末には3.2倍に拡大(IIF統計)。政府の債務残高は米国で2007年のGDP比65%→2017年108%(IMF統計)、日本は183%→236%、英国は42%→87%などと膨らんでいる。

 溢れた資金の一部は株式や不動産市場に向かい、株価を引上げている。世界の株式時価総額は2008年末の33兆ドル→2018年3月末の85兆ドルに2.6倍増した。別の一部は新興国に流れ込み、米欧の金融政策などを材料にそれが還流すると金融市場の動揺を生んだ。2013年のバーナンキ・ショック、2018年のトルコ・ショックなどはこうした構造の中で起きている。

 カネ余りの中で、新たなバブル形成を懸念する声は各方面から上がる。次の危機があるとすれば、従来の危機と同じ形ではなく、全く新たな分野から発生するだろうとの見方も多い。

▼10年間の世界経済の変化

 金融やマクロ経済面から見ると上記のようにカネ余りや新たな危機の懸念などが注目されるが、過去10年の世界経済を見ると別の分野でもっと重要といってもいい変化が起きている。

 一つはIT革命。2008年当時はスマホの普及の初期だったが、その後急速に発展。電子商取引が急速に拡大し、ライドシェアなどの新サービスが普及した。IT大手や中国など国家が個人の動きや財布の中身を(その気になれば)把握し、SNSが世論を形成する時代になっている。世界経済を主導する時価総額上位の企業は、GAFAや中国の大手IT企業だ。

 仮想通貨を初めとしたフィンテック技術も急速に発展している。中国では電子商取引による消費が全体の10%を超える。新しい金融危機は、フィンテックの分野が発生源になるという指摘もある。

 もう一つの重要な変化は中国などアジアの発展だ。米欧先進国や日本がこの10年間横ばいや微増の成長にとどまるのを横目に、中国やインド、東南アジア諸国などは5-10%の成長を実現。存在感を急速に拡大した。

 格差拡大も重要なポイントだ。米国では一部の大金持ちと没落する中間層以下の格差が拡大し、それが2016年のトランプ大統領当選の一因になったいわれる。英国のBrexitも、同様に取り残された人々の反乱という面がある。1990年以降進んだグローバリズムは、格差の拡大という問題を生み、先進各国はそれに対する有効手段を打ち出せなかった。グローバル化は逆流、あるいは見直しの局面にあるといってもいい。

▼ワシントン・コンセンサスvs北京コンセンサス

 金融危機後、金融機関中心の強欲資本主義が強く批判され、1980年代以降の市場原理主義の抜本改革を求める意見が強まった。しかし、その後の議論は思うように進まず、見直しも中途半端なものに終わっている。

 こうした中で磁力を強めたのが中国的な国家資本主義だろう。中国経済はこの10年、様々な問題を抱えながらも高成長を維持した。いまや経済規模は3位の日本の2-3倍に達し、アリババやテンセントなどの先端企業も育っている。アジアやアフリカの新興国には米欧ではなく中国の経済発展モデルをお手本にしようという声が強まる。

 リーマン・ショック10年の米欧のメディア報道では金融システムに焦点を当てるものが多い。しかし、経済体制のあり方や国家運営の価値観を巡るより大きな領域でも、様々な問題を提示している。その論議は、いまだ十分に深まっていない。

◎ 10年目「懲りてないな」と口に出す
◎ 強欲が頼りの経済に薄化粧
◎ 独裁制そろそろ破綻のはずなのに
◎ 世の怒りトランプ生むとは想定外

2018.9.17

  

 

2018年37号 (9.10-17 通算951号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年9月10-17日(欧米時間)
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◆リーマン・ショックから10年(15日)☆
・2008年のリーマン・ショックから10年を経験した。
・世界はショックの後、経済不況を経験。大手金融機関やGMなどが破綻した。
・危機は欧州に飛び火し、ユーロ危機につながった。
・米欧などは経済救済のため金融の超緩和政策を導入。量的緩和も導入した。
・世界経済はその後回復。しかし世界的カネ余りの元下で新たなバブル形成の兆候もある。
・危機を生んだ金融の暴走に対しては、数々の改革が検討された。しかし決定打はない。
・米欧は超緩和から正常化に向かう。これが新興国からの資金還流→市場の動揺を呼んでいる。
・危機により米欧型の市場主義への懐疑が強まり、中国型国家資本主義が勢いを増した面もある。

◆スウェーデン総選挙、反移民政党が一定の議席増(9日)
・議会選(349議席)が行われロベーン首相与党の社民党(中道左派)がかろうじて第1党を維持した。
・与党の得票率は約4割。中道右派・穏健党を中心とする野党連合がほぼ同じ得票を得て第2の勢力。
・反移民を掲げる極右の民主党は得票率を13→18%に拡大。議席を42→62に増やした。
・ただし伸びは一定に留まった。事前には大幅な躍進が懸念されていた。
・与野党の議席が接近、ハング・パーラメントになる。新政権樹立の調整には時間がかかりそうだ。

◆トルコが利上げ、アルゼンチン市場も動揺(13日)☆
・トルコ中銀は13日、政策金利を17.75→24%に引上げた。6.25%の大幅利上げ。
・インフレとリラ安に対応する動き。インフレ率は8月に17.9%に達し、リラ安は夏以降加速した。
・利上げを受けリラ相場は一時、1ドル=6.4リラ→6リラ前後に上昇した。
・エルドアン大統領はたびたび利上げをけん制。中銀の独立性や適切な金融政策が問われている。
・アルゼンチンの8月のインフレ率は34%に達し、通貨安も進む。
・ブラジルは10月の大統領選を睨み先行き不透明感が拡大。レアルの下落は年初以来20%を超える。
・トルコやアルゼンチンを始めとする新興国市場の動揺が続く。

◆中ロが大規模共同演習(11-17日)☆
・中ロとモンゴルは東シベリアで大規模共同演習を実施した。
・中国国境に面しバイカル湖に近い地域。演習は11-17日の日程で行われた。
・兵員30万人弱、航空機やヘリコプター1000機以上、艦艇80隻が参加。冷戦終了後最大規模だ。
・プーチン大統領は13日演習を視察。ユーラシアの安定が目標などと述べた。
・NATOに対する対抗の意味合いがある。
・ロシアは11-13日にウラジオストクで東方経済フォーラムを開催。
・習近平・中国国家主席や日本の安倍首相らが参加した。

◆アリババの馬会長が退任
・アリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)会長が来年9月に退任する。同社が発表した。
・後任は張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)。
・同社は1999年に馬氏が設立。中国電子商取引の最大手で、同国を代表するIT企業。
・馬氏は引退後教育活動に専念するという。2020年までは取締役にとどまる。
・中国の企業のトップ退任が、世界のニュースとして注目される時代になった。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【リーマン・ショック10年】 リーマン・ショックから10年を経過。世界のメディアは特集を掲載している(→国際ニュースを切る「リーマン・ショック10年」)

 【対中関税第3弾】 トランプ米大統領は13日、対中追加関税をまもなく発動するとツイッター発信した。米メディアなどによると、制裁関税第3弾の準備を改めて関係者に指示した。第3弾発動となれば、規模は2500億ドル(第1弾、第2弾は合計500億ドル)となり、中国からの年間輸入の半分をカバーする。影響は従来にも増して大きい。 

 

◎今週の注目(2018年9月18-22日 &当面の注目)
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・韓国の文在寅大統領が18-20日に訪朝。金正恩委員長との南北朝鮮首脳会談を開催する。

・日本の自民党総裁選が20日に行われる。

・NAFTA再交渉を巡る米加協議は、当初の期限だった8月末を越え、9月に入っても続く。決裂となれば、米国はメキシコとの新通商協定を発効させ、NAFTAは事実上分裂する形になる。世界の貿易体制の将来に大きな影響を与える。

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2018年9月 9日 (日)

2018年36号(9.3-9 通算950号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年9月3-9日
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◆米トランプ政権で相次ぎ内部告発 ☆
・政府高官から内部告発が相次ぎ、政権を揺さぶっている。
・NYタイムズは5日匿名の現職高官の寄稿を掲載。大統領解任まで協議したという。
・著名ジャーナリストのウッドワード氏は11日に新著「Fear」を発売する。
・マティス国防長官が大統領について「小学校5-6年生の理解力」と語ったとする。
・シリア政策などで、大統領の命令を事実上無視したともいう。
・内部告発は従来もあったが、信用力などで次元が異なる。
・世論のトランプ支持は一定水準を維持し、同氏の共和党内の影響力は侮れない。
・しかし中間選挙を間近にし、権力を巡る混乱が再燃する可能性もある。

◆ブラジルで大統領戦でテロ、最有力候補刺される(6日)☆
・10月の大統領選で世論調査首位を走るボルソナロ下院議員が腹部刺された。重症。
・同氏は元軍人。過激な発言が多く極右とされる。
・南東部の州でキャンペーン中に男性に刺された。左派小政党の元党員という。
・次期大統領にはルラ元大統領の人気が高かったが、裁判所は6日資格を不承認。
・ボルソナロ氏はルラ氏に次いで人気が高く、世論調査の支持率は22%だ。
・同氏が選挙戦に復帰できるかは不明。影響も不透明だ。
・大統領選は混迷が続くが、テロも加わり混乱に拍車がかかる。
・同国は資源ブームの後に経済が停滞。汚職疑惑も多く政治は揺れる。

◆中国・アフリカ協力会議(3-4日)☆
・協力フォーラムが北京で開催。共同宣言と行動計画を採択した。
・同会議は3年ごとに開催。今回はアフリカ53カ国から首脳や高官が参加した。
・中国は600億ドルの経済協力を表明した。
・アフリカの産業支援や貿易の拡大、安保面での協力強化で合意した。
・中国は政治・経済両面でアフリカでの存在感を高める。会議は戦略を支える。

◆アマゾンの時価総額が1兆ドル突破(4日)☆
・アマゾンの時価度総額が1兆ドルを超えた。アップルに続き2社目。
・同社の時価総額は2015年初めの1400億ドルから3年半で7倍増した。
・米株価の上昇は近年、GAFAと呼ばれるIT大手が支える。
・米大手500社の時価総額に占めるGAFAの割合は13%を超える。
・アマゾンのPER(株価収益率)は100倍を超え、投資家は成長性を買っている。

◆中南米13カ国がベネズエラ難民対策協議(3-4日)
・13カ国はキトで会議を開催。ベネズエラからの難民流出を協議した。
・「キト宣言」を採択。難民を「十分に受け入れる」と明記した。
・ただ、具体策は限定的内容にとどまる。
・ベネズエラは人口約3000万人。300万人近くの難民が流出している模様だ。

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◎寸評:of the Week
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 【トランプ政権の内部告発】 トランプ政権から内部告発が相次ぎ、格好の話題になっている。一つはNYTへの寄稿で、現職ン高官が大統領解任を真面目に協議したなどとする秘話を暴露した。もう一つは、著名ジャーナリストのウッドワード氏による11日発売の書籍。マティス国防長官が、トランプ氏の理解力を「小学生5-6生並み」とこき下ろしたエピソードや、シリア政策で大統領の命令を無視した(面従腹背)話などを盛り込む。
 政権の内情暴露はこれまでもあるが、今回は少し違う。現職高官の暴露は記者に話したのではなく投稿。ウッドワード氏はウィーターゲート事件のスクープで世界的に有名なジャーナリストで、信用力は高い。
 動きを受けてトランプ政権は、内部調査を始めた。報道官が高官を「卑怯者」として辞職を促すなど、対応に大童だ。
 トランプ大統領の就任以来問われている大統領の資質や政権の信頼性という問題が、再び形を変えて噴出した格好だ。
 加えて中間選挙間近というタイミングだ。中間選挙の結果いかんでは、深刻な統治危機になってもおかしくない。
 ティラーソン前国務長官は、トリンプ氏を間抜け(moron)と言ったと伝えられた。
 トランプ氏の品性等に問題があるのは間違いないだろうが、それでも長期にわたる大統領選を勝ち抜いてきた人物。単に無知と片付けるだけでいいのかという気もする。
 ドラマとして見る分にも面白いが、不毛な騒動という感じはぬぐえない。
 
◎ 超大国子供並みの指導者なぜ選ぶ 
◎ ドラマあり疑惑ありでほぼ2年 

 【北海道の地震】 日本の北海道で6日地震があり、土砂崩れなどの被害が拡大。全道290万戸で停電した。日本では全域停電のニュースに衝撃が走ったが、海外の報道の見出しをみると土砂崩れ(landslide)の方が目立つ。大規模停電は、世界では時々発生する事象。そんな認識の違いか。

◎今週の注目(2018年9月10-16日 &当面の注目)
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・リーマン・ショックから9月15日で10年を迎える。折しもトルコやアルゼンチンの通貨危機で世界の市場が揺らいでいる。世界の金融システムのあり方に様々な角度から焦点が当たる。

・スウェーデンで総選挙が9日行われる。反移民を掲げる極右のスウェーデン民主党が第1党に迫ろうかという勢いだ。世論調査では20%以上の支持を得ている。欧州全体の反移民政党の伸長の観点からも、結果は重要だ。

・NAFTA再交渉を巡る米加協議は、当初の期限だった8月末を越え、9月に入っても続く。決裂となれば、米国はメキシコとの新通商協定を発効させ、NAFTAは事実上分裂する形になる。世界の貿易体制の将来に大きな影響を与える。

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2018年9月 3日 (月)

2018年35号(8.28-9.2 通算949号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年8月28日-9月2日
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◆新興国の通貨不安再燃、アルゼンチンやトルコ通貨下落 ☆
・アルゼンチンやトルコなどの通貨が急落。新興国の通貨不安が再燃した。
・アルゼンチンは29日IMFに追加支援を要請。中銀は30日金利を45→60%に上げた。
・しかしペソ安は止まらず30日には対ドルで1割下落。年初から5割下落した。
・ペソは5月に大幅下落。その後も売り圧力が続き、再度急落した。
・インフレ率は年初の約26%→30%超に上昇した。
・トルコリラも売り圧力が再燃。8月13日に記録した最安値に迫る。
・年初からの下落率は4割に達する。
・南アのランドやブラジル・レアルなどにも売り圧力がかかる。
・米金利上昇などを背景に、新興国から先進国への資金還流が進んでいる。
・通貨不安は世界経済混乱の引き金になるとの懸念もある。

◆米・カナダ交渉まとまらず、NAFTA維持正念場(31日)☆
・NAFTA再交渉を巡る米加の協議は、期限とした8月末までに合意しなかった。
・乳製品の市場開放や紛争解決手段などで対立が続いた。自動車では大筋合意。
・米政権は31日、メキシコとの新貿易協定を結ぶ意思を議会に通知した。
・米加は9月も協議を続けるが、妥協できない場合、米墨新協定の発足へと動く。
・そうなればNAFTAが事実上分裂する形になる。
・先に合意の米墨協定では、米の自動車輸入そ事実上、数量規制することが判明した。
・メキシコから輸入が240万台を越えたら、最大25%の関税を適用する。
・米墨合意に対し、英FTは害の方が大きい(will do more harm than good)と評す。

◆イエメン内戦、民間被害が拡大、国連は報告書 ☆
・内戦が続くイエメンで空爆→民間人被害が拡大している。
・国連人権委の専門家グループは28日に報告書を発表。
・サウジが支援するハディ暫定政権による空爆が、戦争犯罪に当たる恐れがあるとした。
・同時にイランが支援するフーシ派についても、拘束者虐待など犯罪の可能性を指摘した。
・サウジなどは1日、8月上旬に行ったバス空爆について事実を認めた。
・イエメンでは2011年のアラブの春をきっかけに各勢力が対立。
・2015年にはサウジなどが軍事介入。イラン支援のフーシ派と代理戦争の様相を呈す。
・同国は人口3000万人弱(サウジとそれほど変わらない)。1人当GDPは1000ドルと貧困だ。

◆プーチン・ロシア大統領が年金改革案修正(29日)☆
・プーチン大統領は政府が打ち出していた年金改革案の一部修正を発表した。
・女性の支給開始年齢を当初案の63歳→60歳に修正する。
・当初案は2019年以降段階的に、男性60→65歳 女性55→63歳に上げる内容だった。
・改革案には国民から反対が相次ぎ、各地で抗議デモが発生。大統領支持率も低下した。
・強力な権力基盤を持つプーチン政権にしても、年金改革の難しさを物語る。

◆EUがサマータイム廃止に動き(31日)
・EUが1970年代から導入しているサマータイムの廃止に動く。
・欧州委は31日にEU市民460万人を対象としたアンケート結果を発表した。
・8割が廃止を主張した。これを受け欧州委は廃止の検討に入った。
・欧州各国は3月の最終日曜日-10月の最終日曜日まで時計を1時間進める夏時間を採用。
・近年は高齢者や子供の健康に悪影響を与えるなどと、廃止論が高まっている。

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 【通貨不安】 アルゼンチン、トルコなど新興国の通貨不安が再燃している。アルゼンチンではペソ売りの圧力が止まらず、当局はIMFへの追加支援を要請。金利の再引き上げ(45%→60%)にも追い込まれた。それでもペソ安が続き、年初からの下落率は50%に達した。トルコは休暇による1週間の市場休場の後、再びリラが下落。8月中旬に一時記録した史上最安値に再び迫る情勢だ。エルドアン大統領は29日、牧師の解放などを巡る米国との対立などで一歩も引かない姿勢を改めて表明。それが再びペソ安の材料になっている。
 9月15日にはリーマン・ショックから10年を迎える。その後各国は新たな通貨危機に対し様々な再発防止策を導入したが、何が起きてもおかしくない状況は変わらない。
 過去10年間に、新興国の通貨不安は何回か発生した。その都度、バーナンキ・ショックとかfragile5などの名前がつけられた。今回もトルコについては、トルコ・ショックという名前が定着しようとしている。
 前回の危機の記憶が少し薄らいだが、「過去のものとなった」といえない頃に、次の危機が到来しているという感じだ。
 アルゼンチンやトルコの通貨不安は、「歴史的な経緯」の視点も踏まえ要注意だ。

◎ 通貨危機 「忘れる」前にやってくる
◎ 危機・ショック 通貨の年表に目白押し

 【NAFTA交渉】 NAFTA再交渉を巡る米国とカナダの協議は、当初期限の8月末までに合意に達しなかった。9月中にも協議がまとまれないと、米国はメキシコとの新貿易協定を先行させる方針。事実上のNAFTAの分裂となる。
 その米国・メキシコ合意だが、内容に米国への自動車輸出を事実上制限する条項が含まれていることが判明した。ここでも保護主義的な色彩が出ている。世界の(主流派)メディアの合意内容への評判はすこぶる悪い。

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・NAFTA再交渉を巡る米加協議は、当初の期限だった8月末を越え、9月に入っても続く。決裂となれば、米国はメキシコとの新通商協定を発効させ、NAFTAは事実上分裂する形になる。世界の貿易体制の将来に大きな影響を与える。

・9月9日にスウェーデンで総選挙が行なわれる。極右政党台頭が一つの焦点。

・リーマン・ショックから9月15日で10年を迎える。折しもトルコやアルゼンチンの通貨危機で世界の市場が揺らいでいる。世界の金融システムのあり方に様々な角度から焦点が当たる。

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