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2018年5月

2018年5月28日 (月)

2018年21号(5.21-27 通算935号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年5月21-27日
 

◆米朝首脳会談中止表明、駆け引き続く(24日)☆
・トランプ米大統領は6月12日に予定していた米中首脳会談の中止を発表した。
・非核化の手法などで溝が埋まらなかった模様だ。
・金正恩委員長宛ての書簡では、今後の対話の可能性も強調した。
・これに対し北朝鮮側は高官声明などで協議継続の姿勢を示した。
・南北朝鮮は26日に、板門店で首脳会談を開催した。4月末に続き2回目。
・翌27日会見した文在寅韓国大統領によると、金委員長は非核化の意思を示した。
・トランプ氏は26日、米朝会談開催を目指すと表明した。
・北朝鮮は24日、北東部豊渓里の核実験場の行動を爆破した。
・外国のメディアの取材は認めたが、核専門家は招待されなかった。
・米朝首脳会談を中心に、北朝鮮の核問題は日替わりで激しく動いている。

◆米が自動車関税25%検討(23日)☆
・米国は自動車・自動車部品への輸入関税導入の検討を開始する。
・トランプ大統領が表明した。通商拡大報232条に基づく調査を指示した。
・安全保障上の問題を理由にしている。最大25%の関税を検討する。
・米国の自動車輸入は約750万台で、全輸入の15%を占める。
・NAFTA加盟のカナダ、メキシコと日本が最大の輸出国。独・韓国が続く。
・関税導入となれば、貿易全体に与える影響も大きい。
・トランプ政権は保護主義的な政策を相次ぎ打ち出し、世界を揺るがしている。

◆EUの新データ保護規則(GDPR)発効(25日)☆
・EUの新たな個人情報保護ルールが発効した。
・個人データ保護を基本的人権と位置づけ、データ利用に様々な規制を導入した。
・欧州で活動する企業の中には対応が間に合わないところも少なくない。
・米国の一部のメディアは欧州におけるサイトを一時閉鎖した。
・新規則はIT大手の収入源であるターゲティング広告のあり方にも変更を迫る。
・IT新時代のルール作りの重要な一里塚になる。

◆イタリア新首相にコンテ氏指名、五つ星・同盟が連立(23日)☆
・マッタレッラ大統領は次期首相に法学者のコンテ氏を指名した。
・ポピュリズムの5つ星運動と右翼の同盟が推す候補。
・両党の連立政権が近く発足する。
・コンテ氏は政治経験がなく手腕は未知数。5つ星のディ・マイオ党首に近い。
・同国では3月の選挙で過半数を獲得した政党がなく、連立工作が続いていた。
・5つ星、同盟は選挙戦でバラマキ政策を主張。財政赤字拡大の懸念がある。
・財政規律を重視するEUと衝突の可能性がある。欧州の新たな不安定要因だ。

◆マレーシア債務隠し疑惑(23日)☆
・マレーシア前政権が債務加牛をしていた疑惑が浮上した。
・リム財務省が記者会見で表明した。
・2017年末の債務残高は従来6800億リンギ(1700億ドル)で、GDP比約50%。
・これが実際は1兆リンギ(2500億ドル)、GDP比80%程度だった可能性がある。
・国際金融市場での信用が低下。海外投資資金引き上げなどの懸念がある。
・同国では5月の総選挙で建国以来初めて政権が交代した。
・前政権を巡るスキャンダルの解明も進もうとしている。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【急変の北朝鮮情勢】 トランプ米大統領が6月12日にシンガポールで予定されていた米朝首脳会談の中止を表明した。事前の交渉で非核化に向けた見解相違の溝が埋まらなかったためとされる。加えて、北朝鮮が米との会議の約束を反故にするなど、駆け引きの度が過ぎたとも指摘される。世紀の会談は当面幻に終わったか、と世界は受け止めた。

 ところがその後北朝鮮は姿勢を軟化。譲歩をうかがわせるかのようなメッセージを発信した。26日には板門店で2度目の南北朝鮮首脳会議を開催。米朝首脳会談開催に向けて様々な動きを見せている。これに対しトランプ大統領も、条件次第で応じるかのような姿勢だ。

 情勢は1日ごとに右揺れ、左揺れする。何があってもおかしくない。

 【EUのデータ新規制】 EUの個人情報保護ルールGDPRが25日発効した。ビッグデータが大きな価値を生み、GAFAに代表される米IT大手が世界の情報市場を牛耳ろうという時代の新ルールだ。

 GDPRは全99条(article)から成る膨大なルール。最初に個人情報の保護を基本的人権の一部と定めた上で、様々な保護規定を定めている。企業が本人の知るところなしに勝手に個人情報を使うことを禁じたり、情報をEU域外に勝手に持ち出すことも禁じている。違反した場合には多額の罰金などを科す。

 発効に合わせて企業はユーザーから同意を取ったり、データ管理の体制を整えるなどの準備を重ねた。しかし間に合わない企業も多く、米のニュースメディアの一部は欧州でのウェブでのサービスを一時停止した。

 EUが新ルール採用に動いた理由の一つには、IT市場の米企業独占に対抗しようという狙いも透けて見える。もう一つ重要なのは、経済規模の大きいEUのルールだから米IT大手の動きも規制できるという事実だ。これが英国やドイツ、フランスが単独に導入する規制だったら、影響力は限定的だったはずだ。EUの存在意義の一つが規模=パワーということを、改めて認識させる。

 ITの技術、サービスの変化は激しく、実際に新規性がどれだけ効果を発揮し、どんな影響が出てくるか読み切れない。しかし、これまで野放図とも言えたデータ利用に、包括的なルールを設定する意味は大きい。一里塚として受け止めるべきだろうし、GDPRは時代の新たなキーワードだ。

◎ 本人も忘れた情報をGAFAが持つ
◎ EUの存在示すGDPR(データ規制)
◎ 知らぬでは済まない言葉がまた一つ

 【トルコリラ急落】 トルコリラが急落。23日には1ドル=4.92リラと史上最安値を更新し、中銀は通貨防衛のため同日利上げ(13.5→16.5%)を決めた。エルドアン大統領は6月24日の大統領選・総選挙をにらみ景気を優先、中銀の引き締めをけん制する発言をした。これが中銀の独立性を損なう動きと見られ、リラ安を加速させた面がある。選挙の行方も波乱含みになってきた。

 【ベネズエラ大統領選】 20日投票のベネズエラ大統領選は、現職のマドゥロ氏の再選となった。野党のボイコットや当局による情報操作などの中で行われた茶番ともいえる選挙で、予想通りの再選。同国経済は破綻に直面し、国民の海外流出も相次ぐ。混乱は続く。

◎今週の注目(2018年5月28日-6月3日 &当面の注目)
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・北朝鮮を巡る情勢が引き続き大きく動く。米朝首脳会談はこのまま中止になるのか。それとも…。目が離せない。

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2018年5月21日 (月)

◆新世界無秩序 2018.5.20

 中東情勢や通商問題など、既存の秩序を覆す変化が連鎖反応的に進んでいる。震源地は米トランプ政権。イラン核合意からの離脱、イスラエルへの大使館移転、中国に対する多額の関税決定などを引き金に、様々な枠組が変わっている。現状をどう見たらいいのか。

▼核合意離脱:国際協調から対イラン姿勢に

 中東情勢が揺れている。問題の一つは米国のイラン核合意からの離脱だ。トランプ大統領は5月8日に離脱を表明。同時にイランに対する制裁を再開する大統領令に署名した。

核合意はイランとP5+ドイツの間で2015年に成立した。イランが核濃能力の削減などを通じ、核兵器開発の可能性を少なくする一方、米欧などはイランに対する経済制裁を撤廃する内容。中東における安保上の懸念の一つを緩和するものだった。

 トランプ政権は合意内容が不十分で、イランが約束を十分に順守していないなどと批判。合意から離脱し、制裁再開を決めた。イランや英独仏など欧州、ロシア、中国などは離脱を批判。イランとEUは米国に気でも合意の枠組みを維持するよう協議を始めた。

 一方、イスラエルやサウジアラビアは米国の判断を支持・歓迎する。両国はイランと敵対する。オバマ政権時代に米国の中東戦略は、国際協調とイスラエルに対し距離を置く姿勢を基軸にしていた。これがトランプ政権で逆転した。

▼危険なドミノ

 インパクトは強烈だ。イランとEUは枠組み維持を模索するが、容易ではない。逆にトランプ政権は、21日に対イラン新戦略を発表すると表明した。これにイランが理解を示すとは思い難い。

 米国の対イラン制裁再開は、イランとの直接取引に留まらない。同国との取引を行う欧州などの企業にも及ぶ。このため、仏トタルやエアバスは、イランでのプロジェクト中止や輸出停止に追い込まれる可能性がある。核合意で再開したイランとのビジネスが停止状況になりかねない。

 ビジネス中止が避けられなくなれば、イランが再び強硬姿勢に転じる懸念がある。そうなれば、核開発の再開→中東での核開発のドミノや、新たな紛争・戦争の勃発につながるリスクが生じる。極めて危険なドミノが始まりかねない。

▼エルサレム大使館のインパクト

 5月14日はイスラエルの建国記念日だ。しかしパレスチナ人にとってその日は、大惨事(ナクバ)の日になる。1948年のイスラエル建国の際に、70万人のパレスチナ人が故郷を追われた。パレスチナ紛争はその後も解決の方向が見えないまま、中東紛争の火種であり続ける。

 イスラエル建国70年に当たる今年の5月14日、米国は大使館をテルアビブからエルサレムに移転した。トランプ政権は昨年末、エルサレムをイスラエルの首都として認める決定をした。

 過去数十年にわたり、パレスチナ和平の基本となる考え方がイスラエル、パレスチナの2カ国共存。そしてエルサレムを双方の首都とする案だった。1990年代に一時、和平ブームを高めたオスロ合意も、こうした考えに沿うものだ。イスラエルがエルサレムを首都として既成事実化する事態を避けるべきだというのは、国際社会のコンセンサスだった。

 トランプ政権はいとも簡単にそうした既存概念をひっくり返した。国際社会からは当然、大きな批判が湧き出た。国連総会が反対決議をしたのも一例だ。

▼パレスチナの動乱

 パレスチナのガザでは14日、大使館移転に反対する抗議デモが拡大。イスラエル治安当局と衝突し、50人以上の死者が出た。騒乱は各地に広がる。

 イスラエルvsアラブの対立構図が単純明快だった20世紀後半と異なり、今回の抗議活動はアラブ全土に広がったわけではない。サウジアラビアなどはイスラエルとの対立よりむしろイランとの対抗を重視し、今回の大使館移転に対する動きも、政府の言動としてはそれほど目立たない。

 それでも、今回の決定がパレスチナ和平の進展を益々難しくし、アラブ・中東地域での反米感情をまた一つ強めたのは否定できない。米国は中東における仲介者の立場というより、親イスラエル、サウジ寄りの色彩を一層濃くした。

▼米中貿易戦争

 トランプ政権は3月に入り正面でも強硬策を強めた。中国に対しては知的財産権侵害があるとして、500億ドルの制裁関税を表明。各国からの鉄鋼・アルミ製品への関税導入も決定した。一方的な措置であるともに、保護主義的な色彩の強い政策だ。

 米中はその後通商協議を開催。米国はここで両国間の貿易赤字の大幅削減などを求めた。交渉は今のところ進展が少なく、合意のめどは見えてこない。

 決裂となれば、相互に制裁関税を導入する事態にもなりかねない。貿易戦争の勃発だ。米中はじめ世界の経済は相互依存が進み、貿易や投資の自由が後退すれば経済にも悪影響が及ぶ。1920年代の保護主義→世界恐慌の再現を懸念する声もある。

▼トランプ政権の原点回帰

 トランプ政権は2017年1月の発足直後、TPPからの離脱、NAFTAの再交渉、中東からの移民規制、メキシコとの国境への壁建設などの政策を相次ぎ打ち出した。政策は選挙戦で打ち出したもので、「米国第1」を前面に打ち出しているところが特徴。既存の常識を覆すものだ。

 その後、動きはやや収まっていたが、この3月以降再び加速した。イラン核合意離脱、エルサラムへの大使館移転、対中など関税はいずれも選挙公約で掲げたものだが、インパクトは大きい。この時期には同時に、ティラーソン国務長官の解任・ポンペオ新国務長官の任命など人事も実施した。

 11月の中間選挙をにらみ、支持基盤を固めるために原点回帰したとの見方が強い。それが世界に多大な影響を与えている。

▼世界の枠組み変化

 第2次大戦後の歴史を振り返ると、実は10年単位で大きな地殻変動が起きている。1950年代のスエズ動乱やハンガリー動乱、米マッカーシズム。1960年代のキューバ危機や仏アルジェリア危機、ベトナム戦争、文化大革命、1968年の反体制運動。1970年代のニクソンショックや石油危機、ベトナム終戦。欧州の動脈硬化。1980年代のレーガン・サッチャー革命、チェルノブイリ原発事故、ベルリンの壁崩壊と冷戦終結、天安門事件。1990年代のソ連崩壊、インターネット革命、グローバル化の進展、アジア通貨危機。2000年代の9.11、イラク戦争、世界金融危機、中国の台頭。200年代のアラブの春、イスラム国、欧州難民危機といった具合だ。

 世界の枠組みは安定には程遠いし、枠組み変化は常に起きている。昨日までの常識が覆されることも常だ。

 ただ現在の変革は、覇権国米国の基本姿勢の変化に伴う点に留意する必要がある。米中間で覇権国と挑戦国のせめぎ合いが厳しくなっているのも現実だ。さらに、IT革命で世界の経済や社会の仕組みが根本的に変わり、世界的なテロなど過去の時代にはなかった要素も背後に存在する。

▼見取り図なき破壊

 トランプ政権は現状に不満を持つ米国の所得者などの支持を背景に成立した。背景には世界的な格差拡大、グローバル化への警戒、ポピュリズムの高まりなどがある。そしてトランプ政権の位置づけは、第2次戦後の世界秩序の再構築にあるとの指摘がある。

 再構築と言っても、次の方向が見えているわけでは全くない。覇権国の大統領という世界の最高権力者が、落としどころが見えないまま既存秩序を破壊している。それが、米国内政治である中間選挙対策上にあるところが厄介だ。

 英FT紙は月日付けの紙面で、”The World New Disorder”’(新世界無秩序)と書いた。世界の現状をよく表す表現だ。

◎ 覇権者が秩序破壊のドミノ押す
◎ しきたりも朝令暮改 新世界
◎ 「米国の平和」が過去になっていく

2018.5.20

2018年20号(5.14-20 通算934号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年5月14-20日
 

◆米がエルサレムに大使館移転、ガザなどで衝突・混乱(14日)☆☆
・米国はイスラエルの大使館をエルサレムに移した。
・米は昨年末エルサレムを首都と認定。14日は同国建国70年に当たる。
・国際社会は移転に反対。国連総会も反対決議を採択している。
・パレスチナのガザ地区では移転反対のデモが発生。
・イスラエル軍と衝突し50人以上が死亡。2000人以上が負傷した。
・イスラエル独立時には70万人以上のパレスチナ人が故郷を追われた。
・14日はそれを記憶する「ナクバ(大惨事)」の日だ。
・パレスチナ和平は2カ国共存、エルサレムは両国の首都が前提だった。
・そのため、世界各国はエルサレムの首都承認を見送ってきた。
・米国の決定は、こうした前提を崩し、新たな混乱を引き起こしかねない。
・ただし、サウジなどアラブ諸国は目下イランとの対立を優先させる。
・このため米国の移転への抗議もまとまりを欠くのが現状だ。

◆米金利上昇、新興国から資金流出 ☆
・米金利が上昇、10年物国債利回りは16日3.1%を越えた。
・2011年7月以来6年10月ぶりの水準。米利上げが加速するとの思惑が背景。
・市場ではドル高が進展。一部新興国からは資金が流出した。
・影響が目立つのはアルゼンチン、トルコ、ブラジル、インドネシアなど。
・トルコリラは15日過去最低値を記録した。大統領の発言がきっかけ。
・エルドアン大統領は中銀の独立性を否定するかのような発言をした。
・ブラジル中銀は16日、利下げの見送りを決めた。
・インフレ低下などで12回連続で利下げしていたが、通貨防衛を優先した。
・インドネシア中銀は17日政策金利を4.25%→4.5%に引き上げた。

◆仏トタルがイラン事業撤退、米制裁の影響広がる ☆
・仏石油のトタルはイランでの天然ガス事業中止を示唆した。
・米の経済制裁で、米からの資金調達が難しくなるため。
・欧州のエアバスもイランから受注した約100機の引き渡しが困難になる。
・仏ルノーの自動車事業、独シーメンスの発電プラントなども影響を受けそう。
・米は8日にイラン核合意離脱を宣言。対イラン制裁強化を発表した。
・制裁はイランと取引する欧州の企業なども対象。内容次第では影響甚大だ。
・欧州は米抜きでイランとの合意を目指すが、容易ではない。
・米の合意離脱、制裁再導入の影響はジワリと及び、中東情勢を揺さぶる。

◆イタリアで新連立政権歩み寄り、ポピュリズムの色彩 ☆
・新連立政権交渉が進展。近く発足の可能性が強まった。
・ポピュリズムの5つ星運動と極右の同盟の組み合わせ。
・同国では3月の総選挙後も新政権が決まらず、調整を続けていた。
・両党は政治信条や立場が異なるが、移民規制強化などでは一致する。
・バラマキ的な政策も多く、財政規律軽視や、EUのルール抵触などが懸念される。
・両政党の新政権発足となれば、EUへの影響も大きい。

◆イラク総選挙、サドル師派が伸長(19日結果発表)☆
・イラク総選挙(329議席)が12日実施され、選管が結果を発表した。
・シーア派有力指導者サドル師の政党連合が54議席を獲得して第1党になった。
・アバディ首相の勢力は第3党と伸び悩んだ。
・選挙は2014年以来で、「イスラム国」掃討の勝利宣言後では初。
・現政権には汚職体質への批判などが強かった。投票率は45%。
・連立政権交渉が始まるが、調整には時間がかかりそうだ。
・フセイン政権崩壊から15年を経過するがイラクの政治はなお安定にほど遠い。

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◎寸評:of the Week
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 【世界は動く】 前週ほどのサプライスのニュース(米がイラン核合意離脱、米朝首脳会談正式日程、マレーシア声援交代)は少なかったが、今週も重要ニュースのオンパレードだった。トップ5以外にも、ロシア・クリミア間の橋完成(15日)、がインドネシアのスラバヤなどで連続爆破テロ(13日以降)、原油価格上昇、米朝首脳会談にらみ駆け引き(南北閣僚会談中止)などの
動きがあった。

 【新世界無秩序】  中東情勢や通商問題など、既存の秩序を覆す変化が連鎖反応的に進んでいる。震源地は米トランプ政権。イラン核合意からの離脱、イスラエルへの大使館移転、中国に対する多額の関税決定などを引き金に、様々な枠組が変わっている。現状をどう見たらいいのか。(→国際ニュースを切る)

◎今週の注目(2018年5月21-27日 &当面の注目)
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・ベネズエラの大統領選が20日に実施される。反米左翼のマドゥロ大統領の政権は対立候補の制限などを実施しており、再選は固い情勢。問題は同国を巡る情勢だ。米国などの制裁もあり高インフレが進むなど経済は混乱。治安は悪化している。国民の海外流出が続き、その数は170万人に達したという推計がある。マドゥロ再選後の情勢はどうなるのか。注目だ。
インフレ

・EUの個人情報保護の新ルールが25日に導入される。世界のITに与える影響は大きい。

・米朝首脳会談が6月12日。開催までに様々な動きがありそうだ。

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2018年5月13日 (日)

◆マレーシア政権交代の意味 2018.5.13

 マレーシア総選挙で野党連合が勝利し、1957年の建国以来初めて政権交代が実現した。事前の予想を覆す結果。92歳のマハティール元首相の再登板も異例だ。政権交代は同国が直面する多くの課題に改めて焦点を当て、東南アジアの周辺国にも問いかけを投げかけた。。

▼驚きの結果

 選挙はナジブ首相(当時)が4月6日に議会を解散し、5月9日投票の日程を決めた。ナジブ首相の与党連合の国民戦線に対し、マハティール元首相の新党などから成る野党連合の希望連盟が挑む形となった。

 結果は下院222議席のうち、希望連合が過半数の113議席を獲得(連携する地域政党を含めると122議席)。マハティール氏が10日首相に就任した。

 事前の世論調査では、与野党の支持率は拮抗していた。しかし同国の選挙は小選挙区制で、区割りは与党に有利にできている。このため政権維持の見方が多かった。マハティール氏の勝利は予想外の結果(unexpected victory)と受け止められた。世界のメディアはまた、マハティール氏の就任を「選挙で選ばれた世界最年長の首相」という観点から、多少面白おかしく伝えた。

▼与党有利の体制

 政権交代は同国の建国以来初めてだ。同国は独立直後に民族衝突を経験したことなどもあり、
権威主義的な政治体制を維持。経済発展優先で推移してきた。1981-2003年の22年間首相の座にあったマハティール首相の手法は、開発独裁の典型とも指摘された。

 選挙制度は与党に有利に作られ、UMNO(統一マレー人国民組織)中心の与党が建国以来権力を維持してきた。こうした体制下でナジブ首相は2009年に就任。

▼強硬策vsSNS

 2015年に国営投資会社の1MDBを巡るスキャンダルが発覚。元首相のマハティール氏が政権批判に転じ、2016年の新党を結成した。

 マハティール氏は選挙戦で、かつて自分の政権の副首相でその後解任したアンワル氏の政党などと手を組み、野党連合の希望連盟を結成した(ちなみにアンワル氏は同性愛などの罪でマハティール時代に一度収監されたのち、ナジブ政権下で再度収監された。本人は容疑を否認している)。

 ナジブ首相は選挙戦前に、与党にさらに有利になるよう区割り変更法案を成立。フェイクニュース対策法で言論規制を強め、マハティール氏への捜査も実施した。選挙戦では運動妨害なども強行。英FT紙は「権威(独裁)主義のテキストに載っているあらゆる手段」を使ったと揶揄した。地元主流メディアの論調も概して与党寄りだった。

 これに対し野党連合は各地で、汚職体質を批判する演説などで対抗。SNSを使った運動も展開した。

▼汚職体質への怒り、中進国の罠

 投票分析はまだ十分に進んでいなく、野党勝利の本当の理由は分からない点がある。ただ、都市部などを中心に与党の長期政権への飽きや汚職体質への批判が蓄積していたとの指摘は多い。

 もう一つ見逃せないのが経済だ。同国は最初のマハティール首相時代に、外資の導入などをテコに発展。シンガポールを除く東南アジアの周辺国に比べ高い経済成長を実現した。2000年代には1人当たり国民所得約1万ドルと、先進国の仲間入りを目指すレベルにまで来た。

 しかし、自国の産業は思うように育たず、「中進国の罠」に陥る懸念に直面する。右肩上がりだった時代と違い、国民の間には閉塞感が漂う。物価上昇で、経済成長に見合う生活水準上昇の実感が得られないとの指摘も多い。こうした経済状況が、人々の政権批判を強めたとの指摘もある。

▼新政権の課題

 選挙戦では与野党ともにばら撒きの政策を掲げた。マハティール氏の野党連合は、ナジブ政権が2015年に導入した消費税の撤廃を訴えた。税率は6%で政府歳入の約2割を占める。選挙では様々な支出の拡大も約束した。

 実際の政策がどうなるかは不明だが、市場では財政悪化の懸念が出ている。

 マレーシアは1997年のアジア通貨危機時に、マハティール氏の主導で資本移動規制を導入した。当時のIMFの政策理念とは相反する決定だった。危機時の資本規制導入についてはその後、必要な政策手段として容認する見方が増えてきたが、海外投資家はマハティール氏に対する警戒を忘れない。

 外国為替や金融市場が混乱するような事態になれば、マレーシア経済の安定を損ないかねない。

 中心国の罠からの脱出は抜本的な課題だ。同国はこれまでも先端産業の育成、教育を通じた国民の人的資源の質向上などに取り組んできた。しかし、成果は一定の範囲にとどまる。マハティール氏あ再度この課題に取り組むことになる。

▼多様で複雑な方程式

 マレーシアは人口3100万人で、マレー系と華人系、インド系などが共存する。宗教もイスラム教(人口の約6割)のほか、仏教、ヒンズー教など多様だ。

 同国では長らく地元マレー系を優先するブミプトラ政策を採用してきたが、見直しの声も出ている。経済発展や社会の安定を維持する上でも、民族や宗教の多様性に対する配慮が欠かせない。問題は複雑だ。

▼民主化と強権化――東南アジアの政治の2つの流れ

 東南アジア政治はここ数年、民主化の流れと権威主義的な政権の強まりという2つの流れの中で動いてきた。ミャンマーでは2016年、軍事政権→文民政権が発足した。一方、タイでは2014年のクーデターの後、軍事政権が長期化。フィリピンではドゥテルテ大統領が権威主義的な色彩を強めている。カンボジアではフン・セン政権が野党の活動を停止した。

 背景には、米国のこの地域への関与縮小と、中国の存在感拡大もある。米欧流の民主主義は政治体制の基本原理として底流を流れる一方、中国流の権威主義的統治が影響力を増している。

▼世界の関心とマレーシア

 「世界」の視点から今回の選挙を眺めると、民主化の定着と周辺国への影響、中進国の罠の問題のほか、イスラム教徒多数の国家における民主主義の定着と経済発展などの関心もある。それは、世界が抱える課題にそのまま跳ね返るテーマでもある。

◎ 経済に民主化も脚光マレー式
◎ あの熱意卒寿のカリスマ世界(よ)を揺らす
◎ 寺院にてコーランを聞く多様の地

2018.5.13

2018年19号(5.7-13 通算933号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年5月7-13日
 

◆米、イラン核合意から離脱、中東に混乱拡大(8日)☆☆
・米国が、米欧など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱した。
・トランプ大統領が表明。対イラン制裁再開の大統領令に署名した。
・合意は2015年に成立。イランのウラン濃縮など制限+制裁解除の内容。
・トランプ氏は合意が有効に機能していないとし、離脱を決めた。
・制裁は金融やエネルギー幅広い分野でイランとの取引を制限する。
・英独仏や中ロは合意枠組み崩壊なら中東で核開発競争が進むと懸念する。
・英仏独は共同声明で米離脱に遺憾を表明。米抜きで枠組み維持を目指す。
・イランは米を批判する一方、欧州と合意維持の交渉をする姿勢。
・イスラエルは10日、シリア国内にあるイランの軍事施設を攻撃した。
・米離脱を引き金に、中東の混乱拡大が懸念される。

◆米朝首脳会談正式決定、北朝鮮は拘束米国人を解放、中朝は再会談☆
・米朝首脳会談の6月12日にシンガポールでの開催が決定した。
・トランプ米大統領が10日発表した。
・朝鮮半島の非核化に向け、具体的な道筋を描けるかが焦点。
・北朝鮮の金正恩委員長は7-8日に大連を訪問。習近平国家主席と会談した。
・3月下旬に続き、1月強で2度目の訪中。中朝関係を誇示した形だ。
・ポンペオ米国務長官は9日北朝鮮を訪問。
・北朝鮮は拘束していた米国人3人を解放した。3人は10日帰国した。
・初の米朝首脳会談に向け、調整や駆け引きが続いている。

◆マレーシア選挙、建国以来の政権交代(9日)☆
・総選挙(下院222議席)が行われ、野党の希望連盟が過半数を獲得した。
・マハティール元首相が10日首相に就任した。
・同国は1957年の建国以来、UMNOを中心とする与党連合が政権を維持。
・初の政権交代となる。民主主義が機能したとの指摘もある。
・国営基金1MDBを巡る疑惑など与党の汚職体質に国民の怒りが向かった。
・経済成長を維持するものの、物価上昇などで生活改善に及ばなかった。
・同国は中進国の罠に落ちいているとの指摘もあり、経済改革の正念場だ。
・東南アジアではタイやカンボジアなど強権化に傾斜する国もある。
・マレーシアの政権交代が周辺国に与える影響にも注目だ。

◆アルゼンチン、IMFに支援要請(8日)☆
・アルゼンチンはIMFに支援要請すると発表した。
・300億ドルの融資枠設定が内容。IMFと協議を始めた。
・米利上げの影響などで同国からは資金流出・ペソ安が進展。
・当局は防衛のため4-5月に3度の利上げを実施。政策金利を40%に引上げた。
・ドル売り・ペソ買いの介入を継続したため、外準は減少している。
・背景には経済改革の遅れもあり、マクリ政権は正念場に直面する。
・米利上げの影響は、経済に脆弱性を抱える他の新興国にも及んでいる。

◆イラク総選挙(12日)☆
・国民議会(定数329、任期4年)選挙が実施された。
・「イスラム国」との戦闘がほぼ終了してから初の選挙。
・2005年発効の現行憲法下では05、10、14に次ぎ4回目の選挙となる。
・シーア派の現アバディ政権が継続するかが一つの焦点。
・シーア派の他の勢力やスンニ派、クルド人勢力との勢力関係も注目だ。
・1政党で過半数を取るところはなく、新政権成立までに時間がかかる見通し。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【イランと北朝鮮=広がりの大きいニュース】 大ニュースが続発した週だった。米国のイラン核合意離脱、米朝首脳会談はいずれも広がりが大きい出来事。中東ではイスラエルによるレバノン内のイラン軍事施設攻撃などが発生し、混乱の連鎖の懸念が広がる。北朝鮮関係では、中朝の2度目の首脳会談、ポンペオ米国務長官の訪朝、拘束米国民の解放と、これまでの常識を超えるペースで物事が動いている。

 【重要ニュース】 上位5つ以外にも重要ニュースが並んだ。ロシアのプーチン大統領が7日通算4期目に就任。首相にはメドベージェフ氏の続投を決めた。アルメニア議会は8日、野党指導者のパシニャン氏を首相に選出した。同氏は4月からの街頭デモを主導し、サルキシャン前大統領の首相横滑りによる長期政権化を防いだ。

 【マレーシア総選挙】 マレーシアの総選挙で、同国初の政権交代が実現した。(→国際ニュースを切る「マレーシア政権交代の意味」)

◎今週の注目(2018年5月14-20日 &当面の注目)
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・イスラエルが14日、建国70周年を迎える。米国は大使館をテルアビブからエルサレムに移す。

・英ヘンリー王子の結婚式が19日に行われる。相手は離婚経験者で黒人の血が入る米国人女優、と話題になった。英王室の変化を示す一例でもある。

・EUの個人情報保護の新ルールが25日に導入される。世界のITに与える影響は大きい。

・米朝首脳会談が6月12日。開催までに様々な動きがありそうだ。

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2018年5月 7日 (月)

2018年18号(5.1-7 通算932号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年5月1-7日(アジア時間)

◆ノーベル文学賞、今年は見送り(4日)☆
・2018年のノーベル文学賞の授賞が見送られる。
・賞の選考を行うスウェーデン・アカデミーが発表した。委員会の混乱が理由。
・18年受賞者は19年の受賞者と共に公表する。
・2017年に選考委員の1人だった女性詩人・作家の夫を巡る性的暴行疑惑が浮上。
・委員長などが辞任するスキャンダルに発展。アカデミーへの批判が高まった。
・夫の写真家・アルノー氏はアカデミーが資金提供するプロジェクトにも参加。
・受賞者情報を事前に漏らしていたという疑惑もある。
・ノーベル文学賞が発表されないのは、大戦中などごくわずかだ。
・1901年に発足したノーベル賞で最大級のスキャンダルになっている。

◆米中貿易交渉、激しい応酬(3-4日)☆
・通商問題を巡る米中の交渉が北京で開催された。初の公式協議。
・米からムニューシン財務長官ら、中国から劉鶴副首相らが参加した。
・米は2020年までに貿易赤字2000億ドル削減を要求した。2017年対中赤字の約半分だ。
・中国側は米通商法301条による一方的措置を取らないよう求めた。
・応酬を通じて対立点などが浮き彫りになった。協議後の共同会見などはなかった。
・米トランプ政権は3月、知的賞有権侵害などを理由に500億ドルの対中制裁を発表。
・中国ハイテク企業のZTEとの取引禁止などの措置も打ち出した。
・米中間で緊張が高まり、貿易戦争を懸念する声も大きくなっている。
・米中交渉は問題の解決に向けた枠組みだが、改善は容易ではない。長期化は必至だ。

◆アルゼンチン通貨防衛に大幅利上げ、ドル高が一部新興国に打撃(4日)☆
・アルゼンチン中銀は政策金利を6.75%引上げ、年40%にした。
・4月27日、5月3日にも各3%上げており、8日間で3度目、累計12.75%の上昇だ。
・ペソ安、資金流出を防ぐ狙い。
・ペソは年初から約2割低下。1ドル=23ペソ程度で推移している。
・同国は2015年に左派政権→中道右派マクリ政権に交代。市場重視の経済運営に転じた。
・しかし高インフレ(2017年は約25%)、通貨安で経済は不安定だ。
・ここに来て米引締め加速観測→ドル高進展。一部深刻国から通貨流出の兆しがある。
・トルコなども資金流出の動きがあり、金融引き締めで対応している。

◆米韓首脳が会談、米朝会談にらみ調整(4日)
・韓国の文在寅大統領が訪米。22日にトランプ大統領と会談する。
・6月までに開く米朝首脳会談をにらんだ意見調整などが狙い。
・在韓米軍の削減などが話題に上がる可能性もある。
・中国の王毅外相は北朝鮮を訪問。金正恩委員長と会談した。
・王氏は先の南北朝鮮首脳会談が表明した朝鮮半島非核化などを支持した。
・米朝首脳会談をにらみ、調整や駆け引きが続く。

◆NY原油70ドル超(6日)
・WTI原油先物相場が時間外取引で1ドル70ドルを超えた。
・70ドル超えは2014年11月以来、3年5月ぶり。
・米国が対イラン制裁を再開するとの観測もあり、価格が上昇した。

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◎寸評:of the Week
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 【米中通商交渉】 米国と中国の通商交渉が北京で行われた。米トランプ政権は3月以降、対中制裁や大手ハイテク企業の締め出しなどを発表し、貿易戦争の懸念が高まっている。そうした中での開催だ。今回は意見の食い違いが際立ち、歩み寄りはなかったが、はなから簡単な決着などあり得ない話だ。

 交渉で米国は、対中貿易赤字の2000億ドル削減という数値要求を提示。サイバー攻撃を使った企業情報の取得などにも警鐘を鳴らした。一方中国側は、米通商法301条に基づく一方的措置の自制などを要求。溝の深さを示した。

 米中交渉が日米や米韓などの交渉と異なるのは、問題が経済の分野にとどまらず、今後の世界のルール形成や影響力にもかかわるためだ。両国が本当に貿易戦争に突入すれば、世界の枠組み自体が揺らぎかねない。今後の展開に要注目だ。

 【ドル高と振興国の資金流出】 アルゼンチンが金利の緊急引き上げに追い込まれた。通貨ペソの下落が続いているためだ。4月下旬から8日間で、都合3回、合計12.75%の利上げになる。政策金利は40%と、低インフレが定着している先進国の常識では想像できないレベルだ。

 同国は1980-90年代などにも経済危機を経験。2001年にはデフォルト(債務不履行)を経験している。2015年に発足した中道右派のマクリ政権は市場重視の政策を打ち出し、物価・通貨の安定や成長加速を目指しているが、道は険しい。2017年のインフレは約25%。ペソは年初から2割低下という有様である。ちなみに同国は1980年代末、年率5000%のハイパーインフレを経験している。

 米国はリーマン・ショックから10年を経て、超緩和状態だった金融の引き締め(正常化)に動き、ドル高が進んでいる。こうした中、一部の新興国で資金流出の圧力が強まっている。アルゼンチンやトルコなどがその事例だ。

 新興国にとって、外資導入による投資拡大は成長戦略の重要な柱の一つ。しかし、海外からの資金流入に依存した経済は、資金引き上げ→通貨危機などのリスクを伴う。新興国の中でも財政が脆弱な国や、高インフレの国は悪影響を受けやすい。

 約20年前にはアジア通貨危機があった。アジア諸国は経済・金融改革や外貨準備の拡大などで危機を表面化させない策を打っている。しかし、それがどこまで十分なものかは、国により異なる。

 アルゼンチンや他の新興国は、今回は大丈夫なのか。インフレ25%、金利40%の社会の行方そのものと合わせて気になる。

◎ インフレと通貨危機ばかりが目立つ国
◎ ゼロ金利の時代などと誰が言う
◎ 改革も米のくしゃみで飛ばされる

◎今週の注目(2018年5月7-13日 &当面の注目)
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・マレーシアの総選挙が9日に行われる。ナジブ首相の与党に対し、マハティール元首相が野党の首相候補として挑む形。

・ロシアのプーチン大統領の通算4期目の就任式が7日行われる。モスクワなどでは5日、反体制派による抗議デモが行われた。反体制派の動きはあるのか。大統領はどんなメッセージを発するのか。

・アルメニアで新首相を選ぶ議会の特別会合が8日行われる。同国では2008年から10年間大統領を務めたサルキシャン氏が4月、首相に横滑りして長期政権を目指した。これに市民らが抗議デモを展開。首相は4月末に辞任に追い込まれた。その後後任首相を選ぶ特別会合が開かれたが、意見調整ができなかった。8日の会合で後任が決まらなければ、議会解散となる。

・米国の対イラン制裁解除の期限が12日に終了。トランプ大統領が延長するかどうかを判断する。米国内では対イラン強硬の声が強まっている。イラン核合意の破棄となれば、中東の緊張は一気に高まる。

・米韓首脳会談が22日。

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2018年5月 1日 (火)

2018年17号(4.23-30 通算931号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年4月23-30日(アジア時間)
 

◆南北朝鮮首脳会談、板門店宣言に署名(27日)☆☆
・文在寅大統領と金正恩委員長が板門店で会談。板門店宣言に署名した。
・朝鮮半島の[完全な非核化」を実現するとの目標を確認。
・年内に朝鮮戦争の終結宣言をすると表明した。
・定期的な首脳会談開催で合意。秋に文・韓国大統領が平壌を訪れる。
・南北首脳会談は2000年、2007年に次いで3回目。
・会談の映像は全世界に流され、融和に向けた姿勢が伝えられた。
・宣言は予測以上に踏み込んだ内容を含み、欧米メディアは歴史的と伝えた。
・ただ、非核化へ向けた具体的な計画などは曖昧だ。
・北朝鮮情勢を巡る次の焦点は、5月-6月に予定される米朝首脳会談に移る。

◆アップル、追徴課税に合意(24日)☆
・アップルはアイルランドに対し追徴課税を支払うことで同国と合意した。
・アイルランドはアップルに対し優遇税制を適用してきた。
・欧州委員会は税逃れと判断し、2016年に130億ユーロの追徴を命じていた。
・巨大国際企業による税逃れの象徴的な事例として注目されていた。
・アップルとアイルランドはひとまず欧州委員会の主張を受け入れた格好だ。
・ただし国際的な税制の統一ルール作りは進んでいなく、問題はくすぶる。

◆米仏首脳会談、仏がイラン核問題で新提案(24日)
・マクロン仏大統領が訪米。トランプ大統領と会談した。
・イラン核合意などについて協議した。
・合意はイランとP5+独が2015年に結んだもの。
・イランが核濃縮など削減する一方、米欧は経済制裁解除する内容。
・しかしトランプ政権は合意内容を批判。離脱をちらつかせている。
・英仏独などは合意の維持が重要と主張。米国のつなぎ止めに腐心する。
・マクロン大統領はイランの核開発抑止を強める新提案を示した。
・米政権が態度を決める次の節目は5月12日。行方は不透明だ。

◆米超金利が3%台に上昇、原油価格も上昇(24日)☆
・米10年もの国債利回りが24日に3%台に上昇した。2014年1月以来4年強ぶり。
・FRBが金融緩和を徐々に緩和。今後の利上げが予想されている。
・トランプ政権の税制改革・財政拡大でインフレ観測も強まっている。
・原油のWTI先物は68ドル程度で推移。3年半ぶりの水準だ。
・米国に連動し、世界各国の金利も上昇している。
・世界の金融市場は、2008年のリーマン・ショック後の緩和→出口の段階にある。

◆米司法省が華為を捜査、米中ハイテク摩擦強まる(25日)
・米司法省は中国通信機器大手の華為(ファーウェイ)の捜査に入った。
・米国製品をイランに販売していたとの疑い。
・米政府は16日に、米企業と中国ZTEとの取引を禁じている。
・FCCは先に華為とZTEを想定し、国内通信会社に調達を禁止した。
・ハイテク機器を巡る米中の摩擦が一段と強まっている。

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◎寸評:of the Week
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 【歴史的な南北首脳会談】 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が板門店で会談。板門店宣言に署名した。宣言は朝鮮半島の「完全の非核化」を目指すと明記。朝鮮戦争の終結を年内に宣言すると表明した。首脳会談の定期化や、偶発的衝突防止のための平和水域設定なども合意した。

 合意内容と並んで重要だったのが会談の演出。両首脳が並んで軍事境界線を渡り、歓談しながら歩く姿が世界に向けて発信された。「融和に向けた姿勢」の映像が印象付けられた格好だ。

 合意の内容は事前の予想以上との見方が多い。それもあり、世界のメディアの多くは「歴史的」と報じた。
 
 非核化実現への具体的な内容などは曖昧だ。北朝鮮は過去にも合意を反故にしてきた経緯がある。その辺まで含んだ会談の評価となると、見方は様々だ。

 今回の南北首脳会談は、5-6月に予定される米朝首脳会談への橋渡しと言う側面もある。焦点は米朝首脳会談に移っていく。

 トランプ米大統領はツイッターで、南北首脳会談を評価する発言をした。しかし北朝鮮に対し非核化の具体的約束を求める姿勢は譲らない。今後の行方は、不透明要素が多い。

 先行きは予断を許さないとしか言い様がない。しかし歴史が浮いていると実感させる出来事の連続だ。

◎ 絵になった 38度線越しの握手
◎ 休戦という名の戦時で2世代過ぐ

◎今週の注目(2018年4月30-5月6日 &当面の注目)
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・米FRBが1-2日にFOMCを開催する。米金融政策には世界の関心が集まる。

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