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2018年4月

2018年4月23日 (月)

◆キューバ指導者交代と同国が問うもの 2018.4.22

 キューバのラウル・カストロ国家評議会議長が引退。新指導者にディアスカネル氏が選ばれた。ラウル氏は兄のフィデル・カストロ氏やチェ・ゲバラ氏とともに1959年のキューバ革命を主導した人々の1人。一方ディアスカネル氏は革命後の生まれ。革命世代→革命後世代へのバトンタッチになる。

 指導者交代を機にキューバに注目すると、日本や米国経由の情報は限定的で偏っていることに改めて気付く。

▼反米・米国追従でない60年

 米国の裏庭といわれる中南米(西半球)で、同国は革命以来約60年に独自の国づくりを進め、反米あるいは米国に追従しない立場を取ってきた。中南米にはキューバ以外にも反米政権が成立したが、崩壊したり(チリのアジェンデ政権など)、経済困難に陥った(ベネズエラなど)ケースが多い。これに対しキューバは、問題を抱えながらも国の安定を維持してきた。

 冷戦時代は東側に組みし、1963年には米ロ核戦争の直前に至るキューバ危機の舞台になった。社会主義的な政策は経済停滞を招く一方、医療費の無償かなど国民の生活に役立つ内容も多い。

 冷戦終了後は米国との関係改善などに動き、オバマ米大統領時代の2015年には54年ぶりに国交を回復した。しかし米国はトランプ米大統領時代になり政策を転換。対キューバ強硬色を強め、行方は波乱含みだ。

 ちなみに経済はサトウキビなどの農業、観光などの比重が高い。1人当たりのGDPは7500ドル前後だ。

▼社会主義体制維持の今後

 ディアスカネル氏は米国との関係改善や経済改革を訴えながら、社会主義体制の維持を強調した。対米追従でも昔の社会市議でもない、どんな路線を打ち出していくか。注目だ。

 世界で抱かれるキューバのイメージと言えば、革命とゲバラ、カストロ、野球、観光地(カリブの真珠)、陽気な人々、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ、さとうきびなどだろうか。情報が限定的なことにも改めて気付く。

 米国はトランプ時代に入って自国優先を強め、世界の警察官の役割を縮小している。米欧を先頭にした発展モデルでは、世界を語り尽くせない。各国の独自の発展やユニークな試みから学ぶべき点も多い。キューバを行方はそうした視点からも要注目、と改めて感じる。

◎ 世代超えカリスマいまだ地に落ちず
◎ 米州で非米を問うて60年
◎ 大国の圧力かわす意地と知恵

2018.4.22

2018年16号(4.16-22 通算930号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年4月16-22日
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◆北朝鮮が核実験中止声明(21日発表)☆
・北朝鮮は核実験とICBMミサイル発射を中止すると発表した。核実験場も廃棄する。
・威嚇のない限り核兵器を使用しないとも表明した。
・20日の朝鮮労働党中央委で決定した。
・トランプ米大統領はツイッターで「大きな前進」と評価した。
・大統領は18日、ポンペオCIA長官が訪朝し金正恩委員長と会談したと認めた。
・3月末-4月1日に訪問した。
・北朝鮮の核実験中止宣言は、米朝首脳会談をにらみ主導権を狙った模様だ。
・北朝鮮問題の焦点は、は27日の南北首脳会談、5-6月の米朝首脳会談へと続く。

◆米が中国通信機器の導入規制(17日)☆
・米FCCは国内通信会社に対し、中国企業などからの調達を禁じる規制を決めた。
・華為技術(ファーウェイ)とZTEを念頭に置いた措置。
・規制は安保上の懸念がある外国企業からの調達を禁じると定めている。
・商務省は16日、米企業とZTEとの取引を禁じた。
・同社がイランや北朝鮮との取引にかかわっていたという理由。
・スパイ活動など安保上に理由に加え、中国との技術競争も意識している模様だ。
・米国は貿易不均衡、安保、技術などの面から保護主義的色彩を強めている。
・一方中国は17日、自動車メーカーの外資規制の2022年撤廃を発表した。
・市場開放をアピールする狙いがある。

◆キューバ、ラウル・カストロ議長が引退(19日)
・ラウル・カストロ国家評議会議長(86)が引退した。
・同国国会はディアスカネル副議長(57)を後任に選出した。
・ラウル氏は兄のフィデル氏らと1959年にキューバ革命を実現した。
・新議長は革命後に生まれた。指導者が革命世代→革命後世代に代わる。
・新議長は共産主義体制の国づくりを継続すると強調した。手腕は未知数だ。

◆トルコが総選挙前倒し(18日)
・エルドアン大統領は大統領選と総選挙を2018年6月24日に実施すると発表した。
・従来は2019年11月の予定だった。約1年半の前倒しになる。
・同国は2017年4月に国民投票で憲法改正を承認。大統領権限を強めた。
・経済は2017年に7.4%の成長を実現したが、インフレやリラ安が続く。
・早めの選挙で政権基盤強化を目指す狙いとみられる。行方の不透明要素は多い。

◆前FBI長官が回顧録、トランプ大統領批判(17日)
・コミー前FBI長官の回顧本が全米で発売された。
・同氏は2017年5月にトランプ大統領に解任されている。
・著書はトランプ氏を非道徳的などと批判。メディアで大きく取り上げられた。
・トランプ政権の内幕本は元高官やジャーナリストが相次ぎ出版。話題を呼んでいる。

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◎寸評:of the Week
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 【北朝鮮情勢】 北朝鮮の金正恩委員長が、核実験やICBMミサイル発射の中止を決定。Breaking Newsとして世界に流れた。4月27日の南北朝鮮首脳会談や5-6月にも予定される米朝首脳会談をにらんで、交渉の主導権を狙った動きとの見方が強い。北朝鮮および韓国、米国の今後の一つ一つの動きは重要だ。どんな狙いが込められ、どんな影響が出てくるのか。

 【キューバ新指導者】 キューバのラウル・カストロ国家評議会議長が引退。新指導者にディアスカネル氏が選ばれた。(→国際ニュースを切る「キューバの指導者交代と同国が問うもの」)

◎今週の注目(2018年4月23-29日 &当面の注目)
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・南北朝鮮の首脳会談が27日に板門店で開かれる。世界が注目。

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2018年4月16日 (月)

◆FB議会証言とIT規制の行方 2018.4.15

 フェイスブックのザッカーバーグCEOが米議会で証言を行った。テーマは先月発覚した個人情報漏洩事件から、同社のデータ管理体制、プラットフォーマーのビジネスのあり方、大手ITの規制論など幅広い範囲に及んだ。議会証言としては異例の注目だった。

▼プラットフォーマーの発展と特権

 世界を急速に変えるIT革命を推進する中心が、ビッグ5に代表される米大手IT企業。FBやグーグルはネットの情報基盤を提供し、プラットフォーマーと呼ばれる。プラットフォーマーは便利なサービスを無料で提供する代わりに、利用者の情報を入手し、それをベースに広告収入を得る。そんなビジネスモデルが成り立ったのも、プラットフォーマーは利用者が投稿する情報の内容に基本的に責任を負わなくてもよかったためだ(利用者は規制を受けることなく自由に記事を投稿できた)。この点は、掲載内容の責任を問われる伝統的なメディアとは異なる。

 プラットフォーマーが提供するSNSなどのシステムは人々の生活や経済活動を便利にし、人々の貴重な情報源になり、アラブの春のような民主化の動きを後押しした。

 しかし一方で大量の個人情報が吸い上げられ、利用者の知らないところで個人情報が使われることが日常化している。2016年の米大統領選などでは大量の偽情報(ファイクニュース)がSNSを通じて拡散された。個人情報の漏えい事件も多数発生している。ネットを通じて集められた膨大なデータは中国など国家による監視強化の材料にも使われている。

▼規制論

 大手IT企業への情報独占に対してはこれまでも規制論が議論され、EUは今年5月に新たな一般データ保護規則(GDPR)を導入する。これに加え、米国でも規制論が強まってきた格好だ。

 新しい規制のあり方はまだ見えない。規制を強めすぎて技術革新の芽を摘んだら本末転倒だ。ITのサービスは国境を超えて展開しており、1カ国だけの規制は限界がある。従来の競争法や経済学の理論では対応できない。

 それでも、何らかの形の規制が模索されていくのだろう。これまでの「技術革新は自由に」という流れに何らかの変化が出るのは間違いない。

 FBのCEOは個人情報流出問題については自らの責任を認めて陳謝。フェイクニュースの監視強化など対策を表明した。また、政府による何らかの規制が必要なことを認め、法的に規制ができればそれに従うと述べた。証言自体は驚くような内容があったわけでなく、何ら結論を導くものではない。

 しかし、時代の節目として重要な意味を持つ。ザッカーバーグ氏がいつものTシャツではなくスーツ姿だったのは、境遇の変化を印象付ける映像だ。

 蛇足だが、国家による情報独占は、民間企業によるものより実はもっと深刻な問題になり得る。これは常に意識しておく必要がある。

◎ プライバシー「そんなのあった?」と聞く時代
◎ 大小のビッグブラザーが覇を競う
◎ 世直しも扇動も手助けSNS

2018.4.15

2018年15号(4.9-15 通算929号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年4月9-15日
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◆FB議会証言・規制不可避の認識(10-11日)☆
・フェイスブックのザッカーバーグCEOが米上下院で議会証言を行った。
・個人情報流出事件を巡り、十分な対策を打てなかったと過ちを認めた。
・そのうえで、何らかの規制は避けれれないとの認識を示した。
・法的な規制は受け入れると述べた。
・FBなどプラットフォーマーは無料サービス+広告収入で発展。IT革命を先導した。
・利用者が投稿する内容について責任を問われないことが発展の背景になった。
・しかし偽ニュースに利用され、米大統領選などに影響を及ぼしたと批判を浴びた。
・3月にはFBからの大量の個人情報流出が発覚し、責任を問う声が拡大した。
・米欧など各国では、ここにきて急速に規制論が強まっている。
・今回の証言は、大手IT企業を巡る規制議論にとって節目になる。

◆米英仏がシリア攻撃(13日)☆
・米英仏はシリアの対するミサイル攻撃を実施した。
・シリア軍が化学兵器を使用したと断定。攻撃に踏み切った。
・対象はダマスカスと中部ホムスにある化学兵器関連施設3か所。105発を発射した。
・トランプ米大統領はアサド政権と、支援するロシアやイランを非難した。
・米政権は対ロ追加制裁を表明。米ロ関係は一層緊張する。
・シリア政府軍は4月上旬首都近郊で、反体制派に化学兵器を使用した模様。
・米は国連安保理で調査機関新設などを求めたが、ロシアが拒否した。
・シリア政府は14日、首都近郊東グータ地区の制圧を宣言した。

◆2017年の世界貿易は4.7%増(12日)☆
・WTOは2017年のモノの貿易量が前年比4.7%延びたと発表した。
・2011年以来6年ぶりの幅。世界経済の実質成長率(3.0%)を上回った。
・2015-16年は新興国経済減速などの影響で、貿易量の伸びが経済成長を下回った。
・2017年は世界経済好調を反映した。
・今後は米トランプ政権の保護主義的政策や、金融市場動揺が懸念材料だ。

◆ウーバーが東南アジアでサービス停止(9日)☆
・米ウーバーは、東南アジアの6カ国で配車アプリ運用を停止した。
・タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、ミャンマー、カンボジアの6国。
・同社は3月、東南アジア事業を地域最大手のグラブに売却すると発表した。
・シンガポールやフィリピンは独禁当局が売却に待ったをかけ、サービス継続中。
・同社は配車アプリの草分けで、米欧中心に世界各地で事業を拡大した。
・しかしアジアでは地元企業などが同様のサービスを開始。競争激化した。
・ウーバーは昨年経営の混乱もあり、事業見直しを進めている。

◆北アイルランド和平20年、英EU離脱で状況不透明(10日)
・北アイルランド和平から20年が経過した。
・カトリック系とプロテスタント系の紛争は収まり、経済政権も進んだ。
・しかし2016年のBrexitをきっかけに、将来の展望が不透明になった。
・アイルランド共和国との国境の通行や管理がどうなるかは未定。
・北アイルランド自治議会は2017年以降14カ月開かれていない。

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◎寸評:of the Week
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 【FB議会証言】 フェイスブックのザッカーバーグCEOが米議会で証言を行った。(→「国際ニュースを切る」参照)

 【世界貿易】 世界の貿易に関して気になる動きがいくつか。トランプ米大統領は12日、TPP復帰に向けた条件の検討をUSTRに指示した。TPP離脱は大統領が選挙公約し、就任早々に実施したこと。復帰といっても「米国第1」を弱める姿勢であるはずがない。自由化重視に舵を切った、などという錯覚は禁物だ。中国の習近平国家主席は10日の博鰲で開催したアジアフォーラムで演説し、自由貿易擁護の姿勢を強調した。このところ米国が既存体制の打破を求め、中国が既存体制擁護という、従来の立場逆転したような動きが目立つ。WTOは2017年の世界貿易が6年ぶりの伸びになったと発表した。

◎今週の注目(2018年4月16-22日 &当面の注目)
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・米国が対ロ追加制裁を発表する見通し。米ロ関係の緊張が度合いを増す。
・日本の安倍首相が17日訪米。トランプ大統領と首脳会談を行う。米国から日米FTA協議の提案が出る可能性がある。

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2018年4月 9日 (月)

2018年14号(4.2-8 通算928号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年4月2-8日(アジア9日)
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◆米中貿易摩擦激化、米が対中裁原案発表、中国も対抗 ☆
・米中の貿易摩擦が激化。貿易戦争の懸念が強まった。
・米は3日対中制裁の原案を公表。生産機械など1300品目に25%の輸入関税を課す。
・対象は500億ドルに相当する。スマホや衣料品など消費財は含まれない。
・中国は4日報復措置を発表。大豆や飛行機など106品目に25%の関税を課す。
・対象額は米国の措置と同じ500億ドル。中国はWTOへの提訴も表明した。
・これに対し米国は5日、1000億ドルの積み増しを検討すると発表した。
・両国は関税回避の協議を続けているが、事態は悪化。報復合戦が加速する。
・トランプ米大統領は、中国が知的財産権ルールに違反しているとして制裁を表明。
・USTRが具体的な原案を作成した。 
・米中摩擦激化→貿易戦争の懸念が拡大。市場の動きも不安定になっている。

◆マレーシアが野党の活動停止、議会解散(5-6日)☆
・当局は5日、最大野党プリブミ党の活動を30日間停止した。
・書類不備などを理由とするが、実態は政治的な判断と見られる。
・ナジブ首相は翌6日、下院を7日に解散。総選挙を実施すると発表した。
・2009年就任のナジブ氏を巡っては、政府権ファンドが絡むスキャンダルが発覚。
・マハティール元首相はナジブ氏退陣を求め野党に転じた。
・ナジブ氏は野党の活動停止という強攻策で選挙勝利→政権維持を目指す構えだ。
・同国では与党連合が一貫して政権を維持。政権交代などが機能した実績はない。
・それでも今回の強硬措置は、政治の強権色をいっそう深めた。
・同国経済は比較的順調に推移。中心国の罠を乗り越えられるかが注目だ。

◆ハンガリー総選挙、オルバン首相与党圧勝(8日)
・総選挙を実施。オルバン首相率いる与党フィデスが圧勝した。
・2010年、2014年の選挙に続く勝利。オルバン氏が続投する。
・同氏は反移民を強調。2015年の欧州難民危機では強硬な流入禁止を取った。
・反EU色が強く、民族主義的な傾向も顕著だ。
・強権的な姿勢も強く、欧州の民主勢力からは批判されることが多い。
・欧州では反EU、反移民や極右政党の台頭が社会を揺るがしている。
・ハンガリーはそうした動きの象徴の一つ。選挙結果は欧州全体にも影響する。

◆朴韓国前大統領に懲役24年判決(6日)☆
・ソウル地裁は朴槿恵前大統領に懲役24年の実刑判決を言い渡した。
・収賄罪などの容疑が問われていた。
・朴氏は2017年3月に罷免され、その後逮捕された。
・3月には朴氏の前任の李明博元大統領が収賄などの容疑で逮捕された。
・相次ぐ逮捕・有罪判決の背景には、大統領権限など制度的欠陥が指摘される。

◆キング牧師暗殺50年(4日)
・米公民権運動指導者のキング牧師暗殺から50年が経過した。
・テネシー州メンフィスなど各地で記念集会や行進が行われた。
・同氏は人種差別廃止などを訴える運動を指導。
・1963年のワシントン行進では歴史的な"I have a dream"演説を行った。
・米では2008年に黒人のオバマ大統領が誕生したが、人種差別はなお残る。
・50周年は改めて問いを突きつける。

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◎寸評:of the Week
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 【貿易戦争?】 米中の貿易戦争への懸念が高まっている。米国トランプ政権は対中制裁関税の具体案を公表。これに対し中国は対抗策を発表した。報復合戦が貿易戦争に発展しないか、懸念が深まっている。
 現象を貿易面だけに限定すれば、米中貿易摩擦は1980年代の日米貿易摩擦と似ている。しかしことの本質はまったく違う。日本は当時経済大国として競争力を誇っていたが、安全保障面では米国に従属していた(それは現在も変わらない)。それに対し中国は、安全保障面も含め米国を頂点とする世界秩序への挑戦者だ。
 米中貿易摩擦は単に経済問題にとどまらず、世界秩序変更の一里塚になる可能性がある。様々な角度からの点検が必要だ。

 【強権国家】 マレーシアのナジブ政権が主要野党の活動を停止(形の上では監視委員会が停止命令を下した)。その上で議会を解散し、総選挙を実施する。選挙勝利のためになり不不利かまわずの策に出た感じだ。政権・与党は選挙を有利にする新しい区割りの設定法案や、ファイク・ニュース防止を名目にした報道規制のルールも決めた。民主主義や法の支配より権力維持を優先させ、強権色を強めていると見るのが素直だろう。
 ハンガリーでは総選挙が行われ、オルバン首相の与党が圧勝した。首相は反移民や反EUを掲げ、強権色が強い。
 プーチン大統領のロシア、エルドアン大統領のトルコ、習近平総書記の中国など世界各地で強権国家が増加。同時に強権国家に対する風当たりも以前より弱まっている印象がある。マレーシアやハンガリーの動きも、国際世論が「いかにも」という感じで受け止めていないか。

 【権力トップから監獄へ】 権力トップにあった政治家が逮捕、収監される例も目立った。ソウル地裁は韓国の朴槿恵前大統領に対し懲役24年の実刑判決を下した。ブラジルの司法当局は有罪判決を受けたルラ元大統領の収監を適切とする判断を下し、ルラ氏は出頭した。南アのズマ前大統領に対してもスキャンダルを問う勢いが強まる。一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだった政治リーダーの境遇の変化。これまた多くの問題を語る。

 【FBの情報漏洩問題】 FBの情報漏洩をきっかけに大手IT企業批判や情報保護の規制強化論が強まった。その余波がなお広がっている。FBのザッカーバーグ会長は6日、ネット広告規制を支持すると表明。議会公聴会で10日に証言することが決まった。英国ノハンコック・デジタル相は近くFB関係者と協議すると発表した。米産業界でも、テスラのマスクCEOらがFB批判を展開する。
 トランプ米大統領は継続的にアマゾン批判を行う。事態の行方は流動的だが、新たな規制議論が深まっていきそうだ。

 【キング牧師の夢】キング牧師暗殺から50年が経過。米国各地で記念式典などが行われた。キング氏らの公民権運動で、米国では法律の上では人種差別がなくなり、2008年には初の黒人大統領のオバマ氏が誕生した。しかし実質的な差別や人種による格差はなお残るのは知られる通り。加えて、グローバル化や技術革新、所得再配分機能の弱い税制などを背景に米国民の中で格差が拡大。これが恵まれない人々のエスタブリッシュメントに対する怒りを呼び、2016年米大統領選でのトランプ氏勝利へと結びついた。米社会の構造は複雑で、様々な形の社会の分断が深まっている。
 人種差別なき社会というキング牧師の夢に、米国は50年前よりは近づいたのかもしれない。しかし夢の実現までまったく遠いことは、改めて指摘するまでもない。
 キング牧師の業績を数えれば限りがないが、人々の心に最も残るのは1963年のワシントン行進時の"I have a dream"(私には夢がある)演説だろう。今では教科書のみならず、ネットに乗って拡散する。人類の共有財産として、褪せることはなく、いっそう価値を高めている。

◎ 「このバスに黒人乗るな」はつい先日
◎ 半世紀経てなお勇気生む「夢がある」
◎ 平等の名の下に潜む新差別

◎今週の注目(2018年4月9-15日 &当面の注目)
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・FBのザッカーバーグCEOが10-11日米議会で証言する。個人情報流出や2016年の米大統領選でFBを使いファイク・ニュースが流された問題などについて問われる見通しだ。

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2018年4月 1日 (日)

2018年13号(3.26-4.1 通算927号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2018年3月26日-4月1日
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◆金正恩氏が中国訪問(25-28日)☆
・北朝鮮の金正恩委員長が北京を訪問。習近平国家主席と会談した。
・金氏の訪中は2011年末に最高指導者に就いてから初めて。
・中国国営新華社によると金委員長は朝鮮半島の非核化に尽力すると発言。
・習近平主席に訪朝を招請した。
・中朝関係は冷却状況にあったが、和解を演出した。
・北朝鮮は4月末に南北朝鮮首脳会議、5月にも米朝首脳会談を予定する。
・対中関係修復を図り、米韓をけん制した可能性がある。
・朝鮮半島情勢は大きく動ている。

◆米欧各国がロシア外交官追放(26日)☆
・米国と欧州14カ国はロシア外交官らの国外追放を発表した。
・英国での元スパイ暗殺未遂事件にロシアがかかわったと判断した。
・英国も含め米欧約20カ国蛾決定。追放する外交官は100人以上になる。
・ロシアは報復措置として、米欧外交官の追放を発表した。
・米欧とロシアの対立が一段と激化している。

◆米大手ITに逆風強まる、株は大幅下落 ☆
・米国の大手IT企業への逆風が激化。規制論が浮上し、株価が大幅に下落した。
・フェイスブックからの個人情報流出がきっかけ。
・FBなどプラットフォーマーの責任を問う声が拡大した。
・加えて29日にトランプ大統領が、アマゾンが税金を払っていないなどと投稿。
・市場では政権がアマゾンへの課税強化に動くとの観測が強まった。
・IT大手5社の株価は3月中旬から約10日で10%近く下がった。

◆エジプト大統領選(25-28日)☆
・大統領選が実施された。国営メディアは現職のシシ大統領(63)の圧勝を伝えた。
・90%以上の得票だったという。正式発表はまだ。当選後は2期目になる。
・政権は他の有力候補の立候補を認めず、事実上の信任投票だった。
・エジプトはアラブの春の後、いったんイスラム色の強い政権が誕生。
・シシ氏は2014年のクーデターで権力を掌握した。軍をバックにする。
・強権で治安は維持しているものの、経済は高インフレなど難問に直面する。

◆ミャンマー新大統領にウィン・ミン氏(28日)
・ミャンマーのティン・チョー大統領が辞任。
・議会は新大統領にウィン・ミン前下院議長を選出した。
・前大統領はアウン・サン・スー・チー氏に近いものの、影響力は限られていた。
・新大統領は政治経験がある。スー・チー国家顧問との役割分担が焦点になる。
・同国では2016年3月にスー・チー氏率いる文民政権が発足した。
・しかしロヒンギャ問題で国際社会の批判が強まるなど、多くの問題に直面する。
・民主化と経済建設の速度は十分でなく、民主化当初の熱狂は失われている。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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◎寸評:of the Week
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 【中朝首脳会談】 朝鮮半島情勢を巡りまたもサプライズのニュースがあった。北朝鮮の金正恩委員長が北京を訪問し、習近平国家主席と会談した。冷却化していた中朝関係を改善する動きで、4月の南北朝鮮首脳会談、5月にも予定される米朝首脳会談をにらんだ狙いであるのは間違いない。
 北朝鮮は昨年、核実験やミサイル発射を繰り返し、国際的な緊張を高めた。今年比入り、平昌五輪を契機に対話路線を表に出すようになり、南北朝鮮首脳会談や米朝首脳会談開催を発表。世界を驚かせた。そこに今回の訪中だ。
 ささくれていた中朝関係だが、考えてみれば1950年からの朝鮮戦争時に、中国は北朝鮮に義勇兵を送った。その戦争は終結したのではなく、停戦状況にある。中朝はなお戦争の同じ陣営に属する、との見方もできる。
 トランプ米大統領は例によってツイッターで反応を示したが、米国政府として練ったメッセージとの印象はない。日本や欧州の反応も目立ったものはない。
 金委員長の訪朝は飛行機では列車だった。父親の金正日総書記の時代も列車利用だった。航空機事故や暗殺を恐れているためと言われるが、時代掛かっている印象は否めない。
 北朝鮮情勢は複雑に入り組んでいて、情勢改善は一筋縄ではない。会談中身や裏で何があったかも、なかなかわからない。それでも、世界が急激に動いていること、はよく伝わってくる。

 【ハイテク企業の正念場】 米IT大手への逆風が一段と強まっている。3月中旬に発覚したFBの個人情報漏洩事件がきっかけ。「プラットフォーマー」と呼ばれるIT大手はこれまで、コンテンツの中身に責任を負わなくていいというルールの下で急成長してきた。しかし、ファイク・ニュースの拡大で、プラットフォーム提供者にも責任を問うべきだとの意見が強くなっている。ITビジネスは国境を越えた活動の把握が難しいく、税金逃れをしているとの批判も消えない。そうした不満・批判が、一気に噴出している状況だ。
 トランプ米大統領はツイッターで、アマゾンが税金を払っていないと批判した。FBのサッカーバーグ会長を議会の公聴会に呼ぶ動きも出ている。IT大手の株価はここ数日で大幅に下がった。
 29日には、電気自動車大手のテスラが主力車種「モデルS」のリコールを発表した。累積販売の4割にも上る数量が対象。同社は新型車の量産にも手間取っている。
 カーシェアリングのウーバーは、昨年の経営混乱に続き、最近は自動運転車が死亡事故を起こした。同行実験は当面凍結だ。
 時代の寵児ともてはやされてきた企業が、一転逆風にさらされている。
 いずれもIT革命を主導してきた企業であるだけに、その行方は一企業の問題にとどまらない。社会の変化の行方、新しい社会のルールのあり方にもかかわる。

 【エジプト大統領選】 エジプト大統領選が行われた。正式発表はまだだが、現職のシシ大統領圧勝は既定事実だ。
 同氏は2014年のクーデターで実権を掌握。それから4年だ。政権発足後、イスラム原理主義組織などへの弾圧を強め、軍の力で国内の治安を維持している。しかし民主化は後退。経済は高インフレなど苦境が続く。社会には閉塞感が漂う。シシ大統領2期目のエジプトは、難問山積としか言いようがない。
 アラブの春からはや7年。春は冬に変わり、各国は混乱の袋小路に入り込んだ感すらある。シリアでは内戦が続き、サウジとイランは対立を深める。トルコはエルドアン大統領が強権色を強める。米国は中東政策でイスラエル寄りの姿勢を強め、エルサレムを同国の首都と認めた。これがパレスチナ和平の行方を一層難しくしている。
 英FT紙は、In Egypt, elections turn Arab spring to winterと書いた。中東の混乱・閉塞感が続き、世界の火薬庫であるとの認識をますます強めてしまう。

◎ アラブの春今は昔になりにけり
◎ 投票はあの頃希望でいま茶番
◎ 春がありテロがありそして今がある

◎今週の注目(2018年4月2-8日 &当面の注目)
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・米大手IT企業への逆風が止まらない。FBのザッカーバーグ会長の議会喚問も含め、次の展開に注目。

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