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2016年10月17日 (月)

◆タイ国王死去の影響 20161016

 タイのプミポン国王が88歳で亡くなった。国王は国民の尊敬と支持を集め、国家の象徴として存在感を示してきた。国王死去が同国の政治・経済に与える影響は小さくない。

▽在位70年

 プミポン国王の在位は1946年から70年。当時アジアには中華人民共和国も存在しなければ、ASEANもなかった。第2次大戦後の混乱から東南アジア紛争の時代(ベトナム戦争など)を経て、冷戦後の時代がすでに4半世紀が経つ。その長期間を国王として、タイと共に生き抜いてきた。

 タイでは第2次大戦後、政治の不安定が続き、軍事クーデターが多発した(1932年の立件革命以降13回)。1960-70年代にはベトナム戦争など紛争が拡大した。そんな時代、タイが曲がりなりにも民主主義体制を維持し、経済発展を実現してきた。

▽「タイ式民主主義」の支柱

 それを可能にしてきたのは国王の存在。国王の権威を背景に「タイ式民主主義」が機能し、混乱の中にも安定が保たれてきたという見方は多い。

 クーデターなど混乱の節目節目で、国王は直接政治に介入し、事態を収拾してきた。とくに有名なのは軍事政権と民主派が衝突した1992年の「5月の虐殺」。国王は両派トップを呼び、政権に退陣を命じて事態を収めた。

 タクシン派と反タクシン派が対立を続けた2000年代以降は、国王の直接の政治介入はない。しかし精神的な支柱として、統治の正当性の拠り所にもなっていた。国家安定の象徴的な柱だったと言ってもいい。

▽後継者を巡る風評

 プラユット暫定首相は1年間を服喪期間にすると発表した。この期間は、次期国王の就任もない。

 次期国王としては、長男のワシラロンコン氏が1972年皇太子に指名されている。常識的には同皇太子が後継国王になる。ただし、同氏は国民に不人気で、むしろ次女のシリントン王女の方が人気が高い。いずれにしろ、プイポン国王のようなカリスマ性を求めるのは無理という見方が強い。

▽「国王の威光頼り」だった?

 タイには1970年代以降周辺国に比べ経済発展が進んだ。しかし貧富の格差や国内政治の混乱などにより、最近は成長率が低下している。1人当たりのGDP(米ドルベース)も、1996年には中国の4倍以上だったものが、現在では逆転されている(1997年のアジア通貨危機で通貨価値が大幅に下がった影響もある)。政治も経済も正念場にある。

 タイでは8月に新憲法草案が国民投票せ承認されたばかり。2017年中に総選挙を実施し、現在の軍事政権から文民政権に権力を移行する予定だ。しかし、新憲法下では軍の影響力はかなり残る。政治の混乱が形を変えて続くという見方も少なくない。

 プミポン国王の死去は、同国が「国王の威光頼り」だったことを改めて認識させたともいえる。行方は楽観できない。

2016.10.16

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