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2016年5月30日 (月)

◆オバマ氏広島訪問の意味 2016.5.29

 オバマ米大統領が広島を訪問した。原爆投下から71年。米大統領の被爆地訪問は始めてだ。

▼17分の演説

 大統領はまず原爆資料館を約10分訪問。原爆記念碑に献花し、その後17分演説した。

 演説は原爆の悲惨さについて改めて指摘するとともに、被爆者(日本人、朝鮮半島出身者、米国人捕虜)への哀悼の意を表した。被爆者は英語の表現ではなく、Hibakushaの言葉を使った。

 演説は人類の歴史を振り返りっても紛争が絶えなかった事実や、現在の世界がテロや抑圧に直面するなど厳しい現実を指摘。「核なき世界」が非常に難しい課題である認識を改めて示した。

 その上で、戦争が起き難い世界をつくる努力を強調。核保有国は核兵器のない世界を目指す勇気を持たなければならないと述べた。

 演説は現実を踏まえながらと理想主義を掲げ、歴史や哲学も踏まえた格調高いものだった。
 
 ちなみに原爆投下への謝罪はなかった。米国内には原爆投下が戦争被害を最小限に食い止めたと正当化する意見が現在も根強い。

 
▼抱擁の映像

 映像は印象的なものが残った。原爆ドームを背景に演説する米大統領の構図は、絵になった。被爆者と抱擁する写真は、ロイターなど通信社電を通じて世界に流れ、世界のメディアが繰り返し使った。

 きのこ雲、原爆ドームに比べるべくはないが、それに続く原爆関係の映像の記録に加わることは間違いない。

 広島と原爆関係のイメージが、今回の訪問を通じ改めて世界に広がったのは間違いない。

▼分かれる反応

 世界の反応は様々だ。訪問を評価する声は、欧米のメディアなどを中心に多い。一方で、オバマ政権下での核軍縮が進まなかった事実を指摘しつつ「核なき世界」が上滑りであるという批判もある。

 オバマ大統領が「核なき世界」を唱えた2009年のプラハ演説の後、世界の核情勢はむしろ悪化したとの見方もある。米ロの核軍縮の遅れに加え、テロリストなどへの核拡散の懸念が拡大し、北朝鮮は核実験を繰り返した(一方でイラン核問題の合意などもある)。広島訪問は、核管理にとってむしろマイナスとの指摘も米保守派などの間にある。

 ただ、いずれの立場も訪問が「歴史的」との認識では一致する。英FT紙は"Obama makes a hitoric visit to Hiroshima"と報じたが、シンプルかつ共通認識を示したものだろう。

 今回のオバマ演説の中からどの言葉が抜き出され、語り継がれるものになるか(あるいはならないか)は不明だ。メッセージがどう育つかは、もちろん今後の世界情勢の展開による。

 広島のドーム背後に理想問う
 原爆の年表に張る抱擁図
 HIBAKUSHAが世界語になる五月の夕

2016.5.28

 

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