« 2015年5月 | トップページ | 2015年7月 »

2015年6月

2015年6月22日 (月)

2015年25号(6.16-21 通算780号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2015年6月16-21日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆ギリシャ支援難航、6月末にらみ緊張 ☆
・ユーロ圏は18日財務相会議でギリシャ支援問題を協議したが、進展はなかった。
・年金改革など緊縮策を求めるEU側と、受け入れを拒否するギリシャの対立が続いた。
・ユーロ圏は22日に緊急首脳会議を開く。
・合意に達しなれば、6月末に見込んでいた72億ユーロの支援が実施されない。
・ギリシャはIMFへの支払い(15億ユーロ)などを抱えており、デフォルトに陥る危険がある。
・ギリシャのユーロからの離脱などのシナリオも現実を帯びてくる。
・ギリシャ国内世論は緊縮受入れ(ユーロ残留)派と反対派に2分。双方がデモを展開する。
・EUとチプラス首相はチキンゲームを続けているが、大詰めに差し掛かってきた。

◆香港選挙改革法案否決、制度見直し暫く見込めず(18日) ☆
・香港立法会(議会)は、2017年行政長官選を巡る選挙制度改革案を否決した。
・香港政府が中国の意向を受けて提出したもので、民主化の立候補を制限する内容。
・議員70人中民主派の27人全員などが反対。採決に必要な3分の2を下回った。
・梁振英行政長官は2017年までの任期中選挙制度をやり直さない姿勢を示した。
・このため、選挙制度改革案は次期総統選までストップ。普通選挙は早くて2022年になる。
・香港基本法は普通選挙の実施を目標に掲げ、2017年行政長官選が焦点になっていた。
・中国政府は昨年、民主派の立候補を締め出す案を提示。
・これに対し民主派は昨秋、70日に及ぶ民主化運動(雨傘革命)を展開した。
・現行の香港の立法会は、普通選挙を職能代表の2本立てで選出。民主派は制限される。
・行政長官は1200人の選挙委員の投票で、事実上親中派しか当選できない。
・改革案は500万有権者の普通選挙を導入するが、民主派は立候補を入口で制限される。
・1国2制度という矛盾の下、香港の政治体制は揺れ動き、香港社会の分断は長期化する。

◆米国人教会で銃撃、9人死亡、人種問題に再び注目(17日) ☆
・米サウスカロカロライナ州チャールストンの協会で銃撃事件が発生。黒人9人が死亡した。
・犯人は21歳の白人男性。人種差別主義者とみられる。
・オバマ大統領は19日演説し、銃規制に再度取り組む姿勢を強調した。
・大統領は2013年にも銃規制強化案を打ち出したが、議会の反対で実現しなかった。
・2012年末にコネチカット州で乱射事件ど、米国では乱射事件が断続的に起きている。
・事件は人種差別問題の深刻さも改めて浮き彫りにした。
・2016年大統領選でも、人種や銃規制がテーマになる可能性がある。

◆エジプト、モルシ元大統領に死刑判決(16日)
・刑事裁判所(1審)はモルシ元大統領に対し死刑判決を下した。
・2012年の大統領就任前の罪(脱獄など)に対する判断。
・同氏はムスリム同胞団主導の政権で大統領に就任。
・2013年の軍による事実上のクーデターで失脚した。
・判決には欧米などからの批判が強まる可能性がある。
・現政権下では、ムスリム同胞団関係者に死刑を含む厳しい判決が相次ぎ下っている。

◆デンマーク総選挙、野党勝利(18日)
・総選挙(一院制、定数179)が行われ、中道右派の野党連合が過半数を獲得した。
・社会民主党のシュミット首相は19日辞任。4年ぶりの政権交代となる。同党は第1党は維持した。
・野党連合では移民は威勢を訴える右派のデンマーク国民党が躍進。第2党になった。
・ラスムセン前首相が率いる自由党は第3党に後退した。
・ラスムセン氏を軸に連立交渉が始まったが、行方は流動的だ。

  ┌──────────────────────────── 
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【ギリシャ支援大詰め】 ギリシャ支援を巡る情勢が緊迫を強めている。6月末までに交渉がまとまらなければ、デフォルト→ギリシャのユーロ離脱というシナリオも現実を帯びかねない。チプラス首相とEUとの交渉は、お互いに立場を譲らないチキンゲームが続く。市場は先月-今月にかけて「デフォルト危機」を織り込み、ギリシャ国債の利回りが上昇した。その後は、様子眺めの状況が続く。月末にかけて目が離せない。

◎今週の注目(2015.6.22-28)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・ギリシャ支援交渉。22日にはユーロ圏首脳会議、25-26日にEU首脳会議がある。
・イラン核問題の期限が6月末。期間延長の情報もある。
・オバマ政権にTPPの通商一括交渉権を与える法案が米下院で今週中にも採決される。可決されれば交渉が一気に進む可能性がある。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2015 INCD-club

2015年6月19日 (金)

2015年24号(6.8-15 通算779号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2015年6月8-15日
 

◆トルコ総選挙、AKPが過半数割れ(7日投票) ☆
・総選挙が行われ、与党AKP(公正発展党)が過半数割れした。
・550議席中258議席にとどまった。過半数割れは2002年の政権獲得後初めて。
・クルド系政党の国民民主主義党が飛躍(同数第3党)。第2党は共和人民党。
・エルドアン大統領が目指す憲法改正(議席の5分の3)は遠のいた。
・エルドアン大統領の影響力低下は避けられなく、トルコは曲がり角を迎える。

◆韓国、MARS拡大の影響拡大 ☆
・韓国のMARS(中東呼吸症候群)感染拡大が続き、感染者が100人を超えた。
・朴大統領は14日から予定していた訪米を延期した。
・百貨店売上や映画館入場などが落ち込み、経済にも悪影響が出始めた。
・中銀は11日、政策金利を1.75→1.5%に引き下げた。

◆アウン・サン・スー・チー氏が訪中(11日)☆
・ミャンマー最大野党NDLのスーチー党首が訪中。習近平国家主席と会談した。
・習近平氏はスー・チー氏に建設的な役割を期待するなどと述べた。
・中国と距離を置くテイン・セイン政権へのけん制が込められていると見られる。
・訪中は中国の要請にこたえる形で実現した。2010年の自宅軟禁解除後初。
・NDLは今秋の選挙後政権参画の可能性もある。
・スー・チー氏も中国との関係再構築を模索したとの観測がある。
・ミャンマー与党は憲法改正案を国会に提出した。
・英国籍の息子がいるスー・チー氏の大統領就任を認めない内容。

◆中国、周永康氏に無期懲役(11日)
・天津市地裁は、周永康・前政治局常務委員に無期懲役の判決を下した。
・収賄などの罪。政治的権利の終身剥奪も言い渡した。
・死刑判決は回避し、党内の動揺を回避した模様。周氏は上訴しない。
・薄熙来元重慶市書記のケースとは違い、審理は非公開で行われた。
・習近平政権が今後、反腐敗と党内の動揺回避のバランスをどうとるか注目される。

◆ブッシュ氏が大統領選出馬表明(15日)
・共和党のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が大統領選出馬を表明した。
・共和党の立候補は11人目。ブッシュ氏は本命に位置付けられ、主要候補がそろった。
・2016年前半の民主・共和両党の候補者争い、秋の本選に向けて戦いが本格化する。
・民主党はヒラリー・クリントン元国務長官が最有力。

  ┌──────────────────────────── 
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【トルコ総選挙】 トルコの総選挙はAKPが過半数割れになり、エルドアン大統領がもくろんだ憲法改正→大統領権限の大幅強化は遠のいた。2002年のAKP政権獲得後、エルドアン氏は首相として強大な権限を行使。経済成長などで実績を残したが、強権的手法も目立つようになった。2014年に大統領になった後も権限を維持してきたが、今回の選挙で影響力低下は避けられないとの見方が強い。トルコのみならず、中東情勢にも影響する。

 【G7サミット】 G7首脳会議がドイツのエルマウで開催された。ウクライナ問題、中東、南シナ海、地球温暖化、経済問題などを協議。日本のメディアでは中国の南シナ海の埋め立て批判が主見出しに取られていたが、欧州の新聞は地球温暖化対策などに焦点を当てた。首脳会議の際立ったアジェンダがなかったと言えばそれまでだが、内外の情報ギャップも目についた。

 【イラク増派】 米国がイラクへ軍事顧問団の増派を決めた。現地でイラク兵を訓練する目的。現在約3000人を派遣しているが、500人を追加する計画だ。「イスラム国」への対応が狙い。折しも6月10日はイスラム国がイラク第2の都市モスルを制圧して1年になる。モスル奪還はまだメドが付かない状況だ。

◎今週の注目(2015.6.15-21)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・ギリシャの金融支援問題が大詰めを迎えている。6月末には約72億ユーロの資金が必要になるが、これまでの交渉は不調。ギリシャ国債の利回りは30%にまで上昇した。18日のユーロ圏財務相会合が節目になる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2015 INCD-club

2015年23号(6.1-7 通算778号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2015年6月1-7日
 

◆FIFA会長が辞任表明(2日)☆
・FIFAのブラッター会長はチューリヒで会見し辞任を表明した。
・5月29日の会長選で5選を果たしたばかり。辞任は異例のタイミングだ。
・汚職疑惑で求心力が低下。会長本人が捜査対象との情報も伝わっていた。
・後任の選挙は今年末-来年初めに行われる見込み。
・先月末に米司法当局が副会長らを起訴。FIFAの汚職問題が一気に表面化した。
・ブラッター体制への批判が強まったが、会長選では対抗馬を退けた。
・FITAの混乱はなお続くと見た方がいい。

◆中国・長江で客船が転覆、400人超が死亡(1日) ☆
・中国・湖北省の長江で客船が転覆し沈没。400人以上が死亡した。
・転覆の原因は竜巻の可能性が指摘されるが、詳細は不明。
・中国当局は首相が現地入りするなど救済に全力の姿勢を示した。
・一方で取材や報道は厳しく規制した。遺族らからは不満も高まっている。
・問題は単なる水難事故にとどまらず、安全基準や報道規制など広がりを見せている。
・2011年の温州で高速鉄道事故では、当局が証拠隠しに走り批判された。

◆韓国でMARSが拡大 ☆
・韓国でMARS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスの感染者が拡大している。
・2日には初めての死者が確認された。
・病院での2次感染、3次感染が広がり、7日までに感染者は64人になった。
・各地で学校が休校になるなど影響が広がっている。

◆米政府職員の個人情報が盗難、中国ハッカーの可能性(4日)☆
・米人事管理局は、米連邦職員400万人の個人情報が盗まれたと発表した。
・中国に拠点を置くハッカーの仕業とみて、FBIなどが捜査を始めた。
・米国は昨年、中国人民解放軍の幹部をハッカー容疑で起訴している。
・サイバー攻撃は様々な領域で広がっている。

◆ウクライナ東部で緊張再燃
・ウクライナ東部で親ロ派が再度攻勢に出ている。
・ウクライナ政府は3日、親ロ派がドネツク近郊のマリインカに侵攻したと発表した。
・親ロ派はウクライナ側の攻撃への反撃であるなどと反論した。
・ロシアから親ロ派への武器供給などが続いている模様。
・ウクライナは停戦合意違反と批判。欧米などに対ロ制裁の継続を求めている。
・7日からのG7首脳会議でもウクライナ問題がテーマになっている。

  ┌──────────────────────────── 
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【G7首脳会議】 G7首脳会議が7-8日の日程でドイツのエルマウで始まった。世界経済のほか、途上国支援、中東情勢、ウクライナ問題などを協議する。議長国ドイツのメルケル首相は個別案件よりも、西側の結束の誇示を重視している。

 【天安門事件26周年】 天安門事件から4日で26周年を迎え、香港で市民らの追悼式が行われた。一部学生は市民団体中心の恒例の式に加わらず、別途集会を開いた。香港は昨年、民主化を求める運動を展開したが、具体的成果のないまま終了した。民主化の進め方や中国との関係など、難しい局面を迎えている。

◎今週の注目(2015.6.8-14)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・トルコの総選挙が6月7日に行われた。エルドアン大統領の支持母体であるAKPを中心とする勢力が、3分の2の議席を獲得して憲法改正に進むかが焦点。トルコの行方を大きく左右する。
・G7首脳会議が7-8日、ドイツで開催中。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2015 INCD-club

◆FIFA疑惑のインパクト 2015.5.31

 米司法省が27日、FIFA(国際サッカー協会)の副会長らを14人を贈収賄やマネーロンダリングの疑いで起訴した。これまでもくすぶっていたFIFA疑惑は、一気に世界の注目を集める事項となった。今後の展開次第では、ワールドカップ開催を巡る不正が表面化する可能性もある。世界の人々が熱狂し、巨大ビジネスとなったサッカー界の疑惑は、国際情勢をも揺るがしている。

▼会長選を狙ったタイミング

 米司法省が起訴に踏み切った27日は、19日に予定していたFIFA会長選(臨時理事会)の前々日。FIFA幹部は占拠のため、スイスのチューリヒに集まっていた。容疑者の動きをとらえやすいタイミングを狙った動きとみられる。

 米司法省の起訴を受け、スイス司法当局は7人を逮捕した。さらに、スイス当局は2018年と2022年のW杯の開催地決定を巡る疑惑で捜査を始めた。

 動きは捕り物帳的だが、米国やスイス当局の本気度が伝わって来る。

▼くすぶり続けた疑惑

 FIFAの金銭を巡る疑惑はくすぶり続けていた。欧州サッカー協会(UEFA)はかねてブラッター会長の体制を批判してきたが、中南米とアジア、アフリカの支持をえる会長の体制は揺るがず、批判をはねつけてきた。

 起訴を受けて、UEFAは会長選の延期を要求。UEFAのプラティニ会長はブラッター会長の退陣を求めた。英国のキャメロン首相も同調して退陣を求めた。

▼会長5選

 しかし、ブラッター会長は29日選挙を強行。5選を果たした。欧州が反対したものの、アジアやアフリカ、中南米のかなりの支持を受けた。FIFAのメンバーは209で、ブラッター氏は1回目で133票を得た。

 選任後、会長は改革を強調した。しかし、金権体質改革の具体策を述べた訳ではない。課題はそのままで、多くは期待できないとの見方も多い。

▼ガバナンスに問題

 ブラッター氏は事務局長から1998年にFIFA会長に就任した。当初から中南米やアジア、アフリカを基盤として来た。W杯を2002年の日韓共催、2010年の南ア、2014年のブラジル、2018年のロシア、2020年のカタールと、アジア他アフリカの途上国で開催。サッカー市場を広げた。反面、金権体質は長く指摘される。

 複数の現役副会長の起訴というショックにもかかわらず、会長選では順調に5選。これも長らく指摘されているが、FIFAの自浄作用は機能していなく、FIFAのガバナンスに問題があると言うしかない。

 サッカーは今や巨大な産業となった。W杯のテレビでの観戦者数は2006年大会で延べ263億人と、2008年北京五輪の47億人を圧倒している。W杯が世界最大のスポーツイベントと言われるのは誇張ではない。そうした巨大スポーツを牛耳るのが、ブラッター会長を中心とする少数のメンバー。そして組織の運営や資金の使用は、不透明感の漂うまま。これが、サッカーの実態だ。

▼国際情勢にも影響

 サッカーは巨大スポーツであるばかりでなく、時には国際情勢や各国の社会・文化にも影響を与える。新興国での開催は、経済効果のほか、その地域にサッカーを普及させる役割がある。

 メッシやロナウドなどのスーパースターが子供たちに与える影響は絶大。欧州や南米ではサッカーはパブや人々の集まりの話題であり、その傾向はアジアやアフリカにも広がっている。メルケル独首相はW杯や欧州選手権に必ずと言っていいほど出かけ、首脳外交を展開する。

 そうした影響力を持つサッカーの国際組織の不正を、国際社会はこれまで放置してきた。世界の実態と言えばそれまでだが、改めて課題を突きつけ、教訓を提供している。

 米司法当局やスイスの当局も、動いた以上は本気にならざるを得ない。今後も様々な動きが続くのは必至。予想もできないような結末になってもおかしくない。

2015.5.31

2015年22号(5.25-31 通算777号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2015年5月25-31日
 

◆FIFAスキャンダル、副会長ら起訴、会長は再選(27‐29日)☆
・米司法省は27日、FIFAの副会長ら14人を贈収賄などの疑いで起訴した。
・スイス司法当局は米国の要請を受け、このうち7人を逮捕した。
・スポーツ会社等から計1.5億ドルの賄賂を受けた疑い。資金洗浄も疑われる。
・スイス当局は別に2018年と22年W杯開催地選定に絡む不正の捜査を始めた。
・欧州サッカー連盟(UEFA)は29日予定のFIFA会長選の延期を求めた。
・しかし会長選は実施。ブラッター会長が5選された。中南米、アジア、アフリカの支持。
・FIFAは209の国・地域の協会が加盟。会長選はそれぞれ1票を投じる。
・ブラッター会長は1998年に就任。サッカーのアジア、アフリカへの拡大などを進めた。
・一方で金権体質への批判がくすぶり続けている。
・問題はなお揺れ動く可能性が大きい。

◆米国防長官が中国を名指し批判、南シナ海埋め立てで(30日)☆
・カーター米国防長官は中国南シナ海岩礁埋め立てを名指しで批判した。
・シンガポールで開催のアジア安全保障会議の機に講演した。
・中国は南沙諸島の人工島に砲撃用装置を持ち込んだ。米国が明らかにした。
・米国は5月、偵察機を南沙諸島周辺に送るなど中国の行動をけん制している。
・日米豪は30日防衛相会議を開き、中国の埋め立てに深刻な懸念を表明した。
・南シナ海での中国の勢力拡大は続き、緊張も高まっている。

◆インド・モディ政権発足1年、経済は好調(26日) ☆
・モディ政権発足から1年を経過した。
・支持率はなお高く、大都市で8割、それ以外で6割を超す。
・経済は好調で、15年の成長は7.8%を見込み、中国を上回りそう。
・インフレの低下、財政赤字の縮小なども進んでいる。
・経済改革への期待が高かっただけに、スピードへの注文が出ている。
・課題はあるものの、1年目はほぼ期待通りの成果を上げている。

◆ポーランド大統領選、保守強硬派野党候補当選(25日投票)
・決選投票が行われ、保守強硬派の野党「法と正義」の推すドゥダ氏(43)が当選した。
・保守穏健派で現職のコモロフスキ大統領の優勢が伝えられたが、逆転した。
・同国社会の右傾化を指摘する見方もある。
・同国では10月に議会選があり、8年ぶり政権交代の可能性も出てきた。

◆ロヒンギャ難民で国際会議、具体策は少ない(29日)
・ミャンマーからのロヒンギャ難民対策の国際会議がバンコクで開かれた。
・洋上を漂流する難民の救済や、密輸組織摘発で協力強化で合意した。
・しかし、具体策は少なく、問題の難しさを改めて浮き彫りにした。
・ロヒンギャはイスラム教徒の少数民族。
・5月に入り、数百-数千人単位の難民が海上を漂流している実態が流れた。
・これをきっかけに、難民問題が国際社会の重大関心事になった。

  ┌──────────────────────────── 
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【FIFA疑惑のショック】 米司法当局がFIFAの副会長らを起訴。FIFAショックに世界が揺れた。「国際ニュースを切る」参照。

◎今週の注目(2015.6.1-7)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・トルコの総選挙が6月7日に行われる。与党AKP(公正発展党)が3分の2の議席を獲得し、大統領権限を強化する憲法改正へと進むかが焦点。クルド系政党など非AKPが支持を拡大しており、行方は微妙だ。AKPはエルドアン大統領が実権を握る。選挙結果いかんでは、大統領の求心力が低下する可能性もある。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2015 INCD-club

« 2015年5月 | トップページ | 2015年7月 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ