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2014年11月

2014年11月30日 (日)

◇世界の関心と国際世論48号(2014.11.24-30)

・原油価格に改めて注目が集まった。当面の原油価格動向や経済への影響はもちろん、より長期的なエネルギー生産など問題は複雑で多岐に及ぶ。英Financial Timesの11月27日(28日付紙面)社説は、
"The cartel’s weakness is welcome now, but a warning for the future"と分析した。

・Economist最新号はカバーストーリーで、グーグルなどIT革命時代の独占と規制に焦点を当てた。表紙の見出しは"Should digital monolopies be broken up?" 表紙のイラストは、人々がハンマーやつるはしをもってGoogleのロゴを打ち砕いている模様だ。11月27日には欧州議会がグーグルの分割検討を求める決議を採択した。こうした動きを背景にした記事だ。ただし、欧州のこうした動きが消費者の利益を守る狙いというより、欧州の産業を守る面もあると指摘する。

・英FTなど欧州メディアは、繰り返しグーグルなどIT大手企業と規制の問題を取り上げる。米国のルール作りの報道や分析、論評も多い。この問題が次の時代の経済の行方を左右するという問題意識は大きい。そして、問題に当事者としてかかわっていく姿勢を示している(この点は日本と大きな違いを感じる)。

2014.11.30

2014年48号(11.24-30 通算751号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年11月24-30日
 

◆原油価格の下落加速、OPEC減産見送り(27日)☆
・OPEC総会がウィーンで開かれ、原油生産の減産を見送った。
・原油価格は下落。WTI先物は28日、1バレル=65ドル台に落ちた。約5年ぶりの水準。
・原油価格は6月までの100ドル超から4割近く下落した。
・原油安はシェールオイル増産や世界経済減速などが原因。
・OPEC総会では減産合意が注目されたが、見送りで下落傾向に拍車がかかった。
・原油安は産油国の財政を悪化させるほか、シェールオイルの採算・生産にも影響する。
・世界経済のかく乱要因になっている。

◆米国防長官が辞任(24日)☆
・オバマ大統領はヘーゲル国防長官の辞任を発表した。
・イラクやシリア情勢を巡る大統領・側近との意見対立が背景。実質更迭の色彩が強い。
・オバマ政権の国防長官辞任は3人目という異例の事態だ。
・ヘーゲル氏は共和党穏健派で、第2次オバマ政権の目玉人事で入閣した。
・後任が決まるまで現職に留まる。
・オバマ政権の外交政策への打撃は避けらず、影響は大きい。

◆米各地で人種暴動、黒人青年射殺不起訴で(24以降)☆
・ミズーリ州の黒人青年射殺事件(8月)で、郡大陪審は白人警官の不起訴を決定した。
・これを受けて全倍化カナダで抗議活動が拡大。一部は暴徒化した。
・セントルイス近郊では10棟以上のビルが放火。地元警察は少なくとも61人を逮捕した。
・オバマ大統領は自制を呼びかけたが、聞き入れられなかった。
・米社会になお残る人種対立の根深さを、改めて見せつけた。
・事件はファーガソン事件として知られる。

◆香港「占領」を一部強制排除(25日)☆
・警察当局は、九龍地区・旺角の幹線道路を占拠していた民主派デモ隊を強制排除した。
・裁判所の明け渡し命令を受けた措置。抵抗するデモ隊数純人を逮捕した。
・占領は9月28日に開始。中心地の行政府周辺のほか、旺角、銅鑼湾の3カ所。
・うち1カ所の強制排除で、運動は一つの節目を迎えた。
・抗議活動は、民主派が2017年長官選の普通選挙を求めて開始された。
・中国政府の意向を受けた香港行政府は要求を拒否、対立が続いている。

◆イラン核協議、再延長(24日)
・イラン核問題を巡る米中ロ英仏独と同国の協議は、7カ月の再延長を決めた。
・11月24日が協議の期限だった。延長は7月に続き2度目。
・濃縮などを巡りなお対立が根深い可能性がある。同時に決裂回避も共有した。
・イラン核問題は世界の核管理上の重要問題。
・中東情勢の安定には、イランとの関係が重要な要素になる。

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 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ
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◎寸評:of the Week
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 【12月】 2014年も残すところ1カ月になった。ウクライナ危機(新冷戦?)、イスラム国(中東情勢)、エボラ、中国の膨張、香港民主派の抗議活動など、継続して世界の注目を集めている動きが多い。IT革命を始めとする経済の動きも激しい。年間回顧の時期だ。

 【欧州のグーグル警戒】 EUでグーグルへの圧力が強まっている。欧州議会は27日、グーグルの分割検討を求める決議を採択した。強制力はないが、欧州の世論を反映している。欧州では今年、欧州司法裁判所がいわゆる「忘れられる権利」を求める判決を決定。メディアもグーグルを始めとしたIT企業の活動に目を光らせている。その動きは米国以上に目立つ。
 アップルの時価総額が7000億ドルを超えた。日本円にすると80兆円。IT革命は、世界を様々な面から動かしている。

◎今週の注目(2014.12.1-7)&当面の注目
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・12月入り。2014年の世界回顧の時期。
・各国で来年の経済見通し作成や予算編成が進む。地政学リスクや原油安などを背景に、世界経済の先行きには不透明感が強まっている。
・香港当局が民主派の強制排除に動き始めた。動向に注目。
・エボラ、イスラム国には引き続き関心事項だ。

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2014年11月25日 (火)

◇世界の関心と国際世論47号(2014.11.17-24)

・アジア太平洋地域の首脳会議に関心が集中した前週と異なり、今週は関心集中のテーマはなかった。

・日本の衆院解散・総選挙はsnap election(急な選挙)と受け止められ、解散については「なぜ」という疑問が多い。一方Abenomicsへの評価はさて置き、選挙結果に関わらず経済改革が必要という論調は、欧米主要メディアの間で共通している。

2014.11.24

2014年47号(11.17-24 通算750号)  国際ニュース by INCD-club

世界は今、どう動いているか--。国際ニュースの流れを3分間で、面白おかしくかつ日本にとらわれない視点から把握できるメールマガジン。

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年11月17-24日(アジア時間)
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◆日本が国会解散(21日)☆
・日本の国会が解散され、12月14日に総選挙が行われる。
・経済政策アベノミクスの評価が1つの争点となる。
・ただし解散は与党の選挙戦略上の狙いもあり、唐突感が消えない。
・安倍首相は18日、消費財率引き上げの1年半先送りを表明した。
・日本の経済政策・経済改革の行方を左右する。

◆米大統領が移民法案署名、共和党は追訴(21日)☆
・オバマ米大統領は移民制度改革を進める大統領令に署名した。
・不法移民の一部に滞在を認める内容。米市民権を持つ子供の親などが対象となる。
・推定1100万人とされる不法移民のうち、最大500万人を3年間認める。
・同法案は昨年6月に上院が可決したが、下院は採決を拒否してきた。
・野党共和党は大統領の職権乱用にあたるとし、連邦裁判所に追訴した。
・大統領と共和党の対立は決定的になり、今後の政権運用にも影響する。

◆中国が2年4月ぶり利下げ(21日)
・人民銀行は銀行貸出金利と預金基準金利の引き下げを決めた。
・貸出(1年)は6→5.6%、預金は3→2.75%とする。
・利下げは2012年7月以来2年4か月ぶり。
・同国は住宅市場の冷え込みや企業投資の鈍化で、景気減速感が強まっている。
・7-9月のGDP成長は、前年比7.3%と5年ぶりの低水準に落ち込んでいた。

◆ウクライナで連立政権合意(21日)
・ウクライナの親欧米派5政党は連立内閣設立で合意した。
・10月の議会選で親欧米派は定数の3分の2近くを占めた。
・合意文書にはNATO加盟の方針を明記した。
・ポロシェンコ大統領を支える政治基盤が整った。
・ただし、同国東部では親ロ派との戦闘が再燃する兆しがあり、情勢は予断を許さない。

◆チュニジア大統領選(23日)
・チュニジアで大統領選の投票が行われた。2011年の革命以来初。
・世俗派のカイドセブシ元首相の当選が有望視されている。
・同国では2011年の暫定議会選でイスラム政党アンナハダが第1党になった。
・しかし10月の議会選では世俗派のニダ・チェニスが第1党になった。
・大統領選は民主化の区切りとなる。エジプトなど他の国に比べると混乱は少ない。
・ただ失業率は15%、若年は30%に達する。経済安定が喫緊の課題だ。

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◎寸評:of the Week
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 【比較的静か】 前週、アジア太平洋地区の一連の首脳会議が注目を集めたのに比べると、比較的目立ったニュースが少なかった。

 【イラン核協議】 イランの核疑惑を巡る協議は継続中。当初の期限は24日。決裂を避ける形作りが行われている模様。世界の核管理、中東情勢などにも影響する。

◎今週の注目(2014.11.24-30)&当面の注目
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・香港当局が民主派の強制排除に動く可能性がある。一部地域のバリケード排除25日にも行われる見込み。動向に注目。
・エボラ、イスラム国に引き続き注目。

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2014年11月16日 (日)

◇世界の関心と国際世論46号(2014.11.10-16)

・最大の関心はAPEC首脳会議を始めとする首脳外交。

・英Economistは16ページの特集を掲載。アジア太平洋が「今世紀の世界の行方を左右する」としたうえで、米中のパワーバランスの変化などを論じている。この地域が経済成長を実現しているだけでなく、軍備も拡大していると指摘(世界全体に占める武器の輸入は2004-08に比べ2013年は7ポイント上昇)。この地域は繁栄しているとともに複雑であり、米国や中国が内海にすることはできない、という視点も提供している。

・日中首脳会談にも関心が注がれた。関係修復の第1歩という位置づけ、修復には時間がかかるという分析は、多くのメディアに共通する。FTが”As Xi and Abe meet, a chilly lingers”、AWSJが”Chilly handshake"という表現を使うなど、chilly(冷え冷えとした)がキーワードだ。

・米中の温暖化ガス合意については、方向については歓迎するものの、中身が伴ったものではないとの見方が多い。

2014.11.16

◆アジア太平洋首脳外交のキーワード 2014.11.16

 北京でのAPEC首脳会議をはじめとする一連のアジア・太平洋地域の首脳会議が開かれた。世界の注目の中での会議を通じ、目立ったのは中国の存在感の拡大と、地域秩序の枠組みを変えようという動きだ。もちろん、動きは複雑であり、単純化が禁物であることは言うまでもない。一連の「アジア太平洋首脳外交」のキーワードを拾ってみる。

▼APECブルー

 一連の首脳外交は、北京でのAPEC首脳会議(10-11日)からミャンマー・ネピドーでの東アジア首脳会議(13日)、豪州・ブリスベンでG20の首脳会議(15-16日)と続いた。3つの会議に付随して、TPP首脳会議、ASEAN首脳会議、米中、日中を始めとする多数の2国間首脳会談などが開かれた。

 中でも注目されたのはAPEC首脳会議。中国政府は会議開催に威信をかけ、期間中は大気汚染防止や渋滞緩和のために、工場操業や自動車の乗り入れを禁止。学校を休校した。普段はPM2.5の汚染で視界の悪い北京の空は、「APECブルー」に晴れ渡った。

 式典や首脳会談は派手に演出され、メディアを通じて中国国内や世界に配信された。中国の「大国ぶり」「存在感の拡大」を十分に意識したものだった。

▼10時間会談とChilly Shakehand

 中国の習近平国家主席と米国のオバマ大統領の会談は、食事を踏まえた話も含め2日間で10時間に及んだ。2度目の会談後の12日には、両首脳出席の下に記者会見が行われた。習近平主席の会見は、就任以来初めて。

 中国の演出の背景には、米国と共に(同格で)世界をリードしていこうという狙いが透けて見える。G2の虚実はさて置き、それを意識した動きだ。

 会談の開催という意味では、米中よりむしろ日中首脳会談が注目された。尖閣諸島を巡る対立などで日中関係は悪化、2011年12月以来首脳会談が行われない状況が続いていた。この状況は地域不安定の要因として、周辺諸国矢欧米も懸念していた。今回の階段は、関係修復に向けた一歩と受け止められる。

 しかし会談中、習近平主席は終始渋い表情を見せた。欧米メディアはChilly Shakehand(寒い握手)と表現した。

▼温暖化米中合意

 米中首脳は会談で、温暖化ガス削減に積極的に取り組むことで合意。それぞれが目標を表明した。米国は2025年までに2005年比で26-28%削減。中国は2030年をピークにそれ以上増やさないと表明した。

 米中は世界1の2の温暖化ガス排出国で、世界全体の排出量の4割を占めながら、この問題への取り組みは消極的だった。現行の京都議定書にも加わっていない。今回、米国は初めて2020年以降の目標、中国は数値の目標を示し、従来の姿勢を一変してこの問題で主導権を取っていこうという姿勢を明確にした。

 ただし、米国では野党共和党が温暖化ガス削減に消極的。中国も経済発展優先を求める事情がある。今回の合意も詳細が伴っているわけではなく、課題は今後との見方が多い。

▼FTAAP、中国版マーシャルプラン、新秩序

 中国はAPEC首脳会議で、21か国・地域が参加する「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)の早期創設を提案。宣言に盛り込んだ(時期の盛り込みはなし)。地域の新たな貿易・投資ルールとしては、米国主導のTPPがすでに動き出している。TPPに参加しない中国として、これに対抗する構想を示した格好だ。

 中国はまた、東アジア首脳会談で、ASEAN加盟国を対象にインフラ整備支援に200億ドルの融資枠を設定すると発表した。金融支援をてこに、インフラ整備で主導権を取る狙いとみられる。海外メディアは、中国版のマーシャルプランなどと表現した。

 中国はロシア、インドなどとBRICS投資銀行の設立を決定。最近は中国主導でアジアインフラ投資銀行の設立に合意した。国際金融の分野でも、米欧主導のIMF、世銀体制に挑戦し、新秩序作りを目指す姿勢が垣間見える。

▼アジア戦略の核心、対立と協調

 一連の会議では世界経済や貿易、安全保障、エボラ、イスラム国など、世界が直面する多くの問題が話し合われた。東アジア首脳会議ではイスラム国非難などの声明、G20ではインフラ投資を軸にした成長などを表明した。

 しかし、それ以上に目立ったのは中国の存在だ。オバマ大統領と習近平国家主席の10時間会談では、様々な問題が協議され、オバマ大統領は中国との関係をアジア戦略の核心(heart)と指摘。課題に協調して取り組む必要性を指摘した。一方、TPPや金融秩序、さらには南シナ海の領土問題など多くの面では対立が目立った。対立と協調が共に際立った。

▼パワーバランス

 欧米メディアの論評はまちまちだ。しかし、アジア太平洋地域における中国の存在の重要性は共通認識だ。英Economist誌は16ページを使い特集を展開した。

 ドイツやロシアの勢力拡大とハプスブルク家のオーストリアの後退などの例を引き、パワーバランスが変わる時に紛争が起きやすいとの指摘も多い。アジア太平洋首脳外交の1週間は、多くの問題意識を突きつけた。

2014.11.16

2014年46号(11.10-16 通算749号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年11月10-16日

◆APEC首脳会談(10-11日)☆
・APEC首脳会議が北京で開かれ、21か国・地域の首脳が会合した。
・アジア太平洋自由貿易圏の早期実現などを盛り込んだ首脳宣言を採択した。
・会議と並行して多数の首脳会談が開催。中でも米中首脳は計10時間会談した。
・中国はアジアでの存在感を誇示。米主導に代わる新秩序を目指す姿勢を示した。
・会議期間中、北京は車両規制などで汚染が減少。APECブルーと呼ばれた。
・様々な面で、中国の存在を世界に誇示し、問題を投げかけた。
・APECに続いて東アジア首脳会議(ネピドー)、G20首脳会議(豪)が開催された。

◆米中首脳、温暖化ガス削減合意会談(11-12日)☆
・オバマ大統領と習近平国家主席が会談。温暖化ガス削減の数値目標を表明した。
・米国は2025年の排出量を05年比26-28%削減。中国は2030年をピークとする。
・米国が2020年以降の目標を示したのは初めて。中国のピーク年表明も初。
・地球温暖化問題に従来以上に積極的に取り組み、議論の主導権を取る狙い。
・米中は合計で温暖化ガスの4割を排出するが、京都議定書には未加盟だった。
・国連は2015年末までにに、2020年以降の枠組みを決める目標を定めている。
・ただ、米中とも国内に削減への抵抗勢力を抱えており、実現への課題は残る。
・両首脳は、軍の偶発的紛争防止に向けた信頼性情勢措置などでも合意した。

◆日中首脳が3年ぶり会談(10日)☆
・安倍首相と習近平国家主席は北京の人民大会堂で約25分会談した。
・日中首脳の階段は2011年12月以来約3年ぶり。
・両国は尖閣諸島を巡る問題や歴史問題などで対立。
・首脳会談が行われない異常な状態に陥り、東アジア安定の懸念材料になっている。
・関係修復の第1歩になると位置づけられる。

◆欧州の無人探査機が彗星着陸(12日)☆
・欧州宇宙機構の無人探査機「ロゼッタ」の着陸機が彗星に着陸した。
・着陸したのはチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星で、太陽に接近中。
・彗星の有機物などを調べる。
・ロゼッタは2004年に打ち上げ。10年かけて到達した。

◆IEA展望、2040年までに原発廃炉200基、1000億ドル(12日)☆
・IEAは2014年の世界エネルギー展望を公表した。
・原発の容量は13年の392ギガワット(全体の11%)→2040年624ギガワット(12%)になる。
・原発の伸びは中国が多い。世界全体では27年で5割増にとどまる。
・2040年前に200基が廃炉になり、廃炉コストは1000億ドルに達する。
・2013年の世界の原発は434基。

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◎寸評:of the Week
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 【APECなど首脳会議の1週間】 APEC北京首脳会議からミャンマー・ネピドーの東アジア首脳会議、オーストラリア・ブリスベンのG20首脳会議と、首脳外交の1週間だった。キーワードは中国の存在。

 【重要ニュース】 ベスト5以外にも重要ニュースが多数。米国はイスラム国対応のためイラクへの軍事顧問派遣の拡大を決定。デンプシー統合参謀本部議長は、地上軍投入を検討していることを明らかにした。エボラ出血熱の死者数が5000人を突破。英米の金融当局は、外国為替市場の指標を不正に操作していたスキャンダルに絡んで、シティグループ、JPモルガンなど6港に合計43億ドルの罰金を科した。CNNがロシアでの放送中止を決めた。

◎今週の注目(2014.11.17-23)&当面の注目
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・香港当局が民主派の強制排除に動く可能性がある。動向に注目。
・エボラ、イスラム国には引き続き注目。

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2014年11月10日 (月)

◆米中間選挙と世界 2014.11.9

 米中間選挙は野党共和党が上下両院で勝利した。英ブックメーカーなどの予想通り。世界のメディアの選挙報道では、渋い顔のオバマ大統領の映像ばかりが目立った。

 
 中間選挙で与党が苦戦するのは通例。それに加え今回は、オバマ大統領の政治スタイルに問題があったとの指摘が欧米メディアでは多い。オバマ氏が野党共和党指導者と「話せる関係」の構築に失敗。結果、「決められない政治」を打開できなかったという指摘だ。もちろん、その背後には米世論・米政治がリベラルと保守に2極分化し、中道の現実的な議論がしにくくなったという構造的な問題もある。

 いずれにしろ与党敗北で、オバマ大統領の政局運営が一層難しくなったことは間違いない。

▼課題

 内政では、医療保険制度改革が焦点だ。オバマ大統領が最重視したこの政策に、共和党は反対。廃止を求めている。もちろんオバマ政権としては、認めることはできない。

 大統領と共和党支配の議会の関係改善が見込めなければ、財政や予算を巡る対立→政府機関の閉鎖、が再燃する可能性もある。それは国民い新たな政治不信を生む。

 外交への影響も出てきそうだ。共和党はオバマ政権の弱腰を批判してきた。今後、ウクライナを巡るロシアへの対応や南シナ海での中国の動きに、より強硬な姿勢を求めてくる可能性がある。中東ではより積極的な軍事的介入を求める可能性がある。それはアフガンとイラクからの撤退というオバマ政権のレガシーを否定することになりかねない。容易に妥協できる問題ではない。

 一方、貿易交渉で共和党は自由貿易促進の姿勢が強い。政権への一括交渉権などで、オバマ大統領に有利になる可能性もある。

 経済では、共和党は伝統的にビジネス寄り。ウォール街も共和党伸長を歓迎する。IT政策など民主党でも共和党でも大きく変わらない政策もあるが、税制、金融機関規制、環境などでは共和党色の強い政策を求めてくる可能性がある。選挙結果を受けて、株価は上昇した。

▼弱い指導力の下での世界

 分野による違いは色々あり、一つ一つ分析していくと事情は異なる。しかし、総じて押さえておくべき点は、大統領の求心力が弱まり、かじ取りが一層難しくなるという(当たり前の)こと。重要政策を「決められない」「動けない」状況が続く懸念も払しょくできない。そうれは当然、世界の安全保障や経済にも影響する。

 世界が「弱い米国大統領」の下で歩まなければならない情勢は、実は選挙前からあまり変わらない。しかし選挙結果を受けて、そのことを改めて認識する必要がある。

2014.11.9

◇世界の関心と国際世論45号(2014.11.3-9)2014.11.9

・世界の関心は米中間選挙。結果は想定の範囲内だったため、驚きは少ない。ほぼ共通する分析は、オバマ大統領の政権運営がますます厳しくなるというもの。

・英Financial Times紙社説(ネット5日発信)”Obama faces a big test of his relevancy”(オバマ大統領が真価を問われる)”The Republicans’ midterm sweep has left the White House isolated”(ホワイトハウスは一層孤立)というのは、欧米主要メディアにほぼ共通する見方だ。

・ただ、過去6年の経緯から見て、大統領に過度の期待をする向きは少ない。仏ルモンド社説など、冷めた感じのする評価も少なくない。

・日中首脳会談実現には、多くの欧米メディアが関心を示した。英FTは”China and Japan to resume security talks”という題で初報を伝えたが、日中関係が地域の安全保障問題であるという、当たり前の問題意識を反映した見出しだ。

2014.11.9

2014年45号(11.3-9 通算748号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年11月3-9日
 

◆米中間選挙、オバマ民主党大敗(4日)☆
・中間選挙が行われ、野党共和党が上下両院で勝利した。
・上院(100議席、36議席改選)は、共和党が52議席を確保。多数派の座を奪った。
・下院(435議席)は243議席以上を確保、1946年以来の多数となった。
・中間選挙は政権への信任投票的な意味合いがあり、国民のオバマ離れが表れた。
・米政治は保守とリベラルの分断が進み、ねじれ議会の下で「決められない政治」が続く。
・メディアは大統領の指導力不足を指摘。大統領支持率は40%程度に低下していた。
・中間選挙で求心力は一層低下。レームダック化の懸念も強まる。
・一方共和党の責任も従来以上に拡大。大統領‐共和党の協調の模索も始まった。
・「指導力の空白」となれば、世界情勢への影響も大きい。

◆日中首脳が3年ぶり会談決定(7日)☆
・日本の安倍首相と中国の習近平国家主席が北京で会談することが決まった。
・日中両国政府が合意文書を発表した。
・懸案の歴史問題、尖閣問題については、玉虫色の表現を盛り込んだ。
・日中関係は2012年9月の尖閣国有化などをきっかけに悪化。
・首相‐国家主席の会談は2011年12月の野田・胡錦涛以来となる。
・国際会議などの際にも首脳会談が行われない異常な状態になっていた。
・日中の関係悪化は地域の不安定要因になると、欧米も懸念している。

◆ベルリンの壁崩壊25年(9日)☆
・東西冷戦の象徴だったベルリンの壁崩壊から25年を経過した。
・壁崩壊をきっかけに東欧各国の社会主義政権は1989年に相次いで崩壊した。
・同年末にはマルタでの米ソ首脳会談で冷戦終結が宣言された。
・ドイツは1年後の1990年に東西統一を実現。ソ連は1991年に崩壊した。
・4半世紀を経て、世界はグローバル化やIT革命、テロ戦争、中国台頭などを経験。
・欧州ではEUの拡大、ユーロ誕生、NATO拡大などが実現した。
・今年に入りウクライナ危機で新冷戦が懸念され中東は混乱が続く。世界は流動している。

◆APEC会議開始(7日)☆
・APECの閣僚会議・首脳会議など一連の会議が北京で始まった。7-8日は閣僚会議。
・首脳会議は10-11日に行われる。
・テーマは安全保障、経済、インフラ整備、エボラ対策など多岐にわたる模様。
・並行して米中、日中の首脳会談など首脳外交が行われる。
・中国は影響力拡大、米国は主導力発揮、ロシアは制裁網の打破などが課題に挙がる。
・期間中にTPPの首脳会議も開かれる。
・APECの後、ミャンマーと豪州に舞台を移して東アジア首脳会議とG20首脳会議が行われる。

◆カタルーニャ州が住民投票(9日)☆
・スペインのカタルーニャ州が9日、住民投票を実施した。
・独立の是非を問う内容。ただし合法性が認められず非公式の投票と位置付けられる。
・投票に対し同国憲法裁判所は非合法と判断。政府も中止を求めていた。
・同州では独立運動がくすぶり、9月のスコットランド住民投票を契機に運動が高まった。
・独立派は住民投票の結果を、今後の運動に活用していく姿勢だ。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【ベルリンの壁から25年--想像もできなかった変化】 ベルリンの壁崩壊から25年を経た。壁崩壊のニュースに世界の多くの人が感動し、無条件で「良かった」と感じ、「より良い世界が来る」と期待した。
 その後4半世紀の世界の変化は、今週のカウントダウンに書いた通り。経済グローバル化やIT革命で経済成長を実現した国は多く、豊かになった人は多数いる。一方でテロ戦争など、当時は予想すらできなかった混乱も拡大している。
 インターネットもスマホもグーグルもSNSも、また9.11もイスラム国も、当時は想像もできなかった。冷戦終結が遥か昔のように思われる。4半世紀の変化を改めて思う。

 【米中間選挙】 中間選挙は、オバマ民主党の敗北。想定内で織り込み済みとはいえ、世界の安保や経済への影響は大きい。

 【日中首脳会談】 北京でAPECの閣僚会議・首脳会議など一連の会議が始まった。焦点の1つの日中首脳会議の開催も決まった。会談に先立ち、両国は文書を発表するという異例の措置をとった。両国の国内向け説明の面もあると解決されるが、いずれにしても異例の事前文書は、いったんこじれた関係の修復がいかに困難かを物語る。会談の中身には、当然ながら大いに注目だ。

 【香港】 中国の習近平国家主席は9日、北京訪問中の梁振英・香港行政長官と会談した。主席は民主派座り込みに対する香港政府の対応を支持。民主派の学生に妥協しない姿勢を明確にした。これまで香港の混乱に対し、「APEC首脳会議の前に中国や香港政府が強硬手段をとることはないだろう」と言われてきた。APECが終わり、どうなるか。

◎世界を眺める視点
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◆米中間選挙と世界

 米中間選挙は野党共和党が上下両院で勝利した。英ブックメーカーなどの予想通り。世界のメディアの選挙報道では、渋い顔のオバマ大統領の映像ばかりが目立った。
 中間選挙で与党が苦戦するのは通例。それに加え今回は、オバマ大統領の政治スタイルに問題があったとの指摘が欧米メディアでは多い。オバマ氏が野党共和党指導者と「話せる関係」の構築に失敗。結果、「決められない政治」を打開できなかったという指摘だ。もちろん、その背後には米世論・米政治がリベラルと保守に2極分化し、中道の現実的な議論がしにくくなったという構造的な問題もある。
 いずれにしろ与党敗北で、オバマ大統領の政局運営が一層難しくなったことは間違いない。
 内政では、医療保険制度改革が焦点だ。オバマ大統領が最重視したこの政策に、共和党は反対。廃止を求めている。もちろんオバマ政権としては、認めることはできない。
 大統領と共和党支配の議会の関係改善が見込めなければ、財政や予算を巡る対立→政府機関の閉鎖、が再燃する可能性もある。それは国民い新たな政治不信を生む。
 外交への影響も出てきそうだ。共和党はオバマ政権の弱腰を批判してきた。今後、ウクライナを巡るロシアへの対応や南シナ海での中国の動きに、より強硬な姿勢を求めてくる可能性がある。中東ではより積極的な軍事的介入を求める可能性がある。それはアフガンとイラクからの撤退というオバマ政権のレガシーを否定することになりかねない。容易に妥協できる問題ではない。
 一方、貿易交渉で共和党は自由貿易促進の姿勢が強い。政権への一括交渉権などで、オバマ大統領に有利になる可能性もある。
 経済では、共和党は伝統的にビジネス寄り。ウォール街も共和党伸長を歓迎する。IT政策など民主党でも共和党でも大きく変わらない政策もあるが、税制、金融機関規制、環境などでは共和党色の強い政策を求めてくる可能性がある。選挙結果を受けて、株価は上昇した。
 分野による違いは色々あり、一つ一つ分析していくと事情は異なる。しかし、総じて押さえておくべき点は、大統領の求心力が弱まり、かじ取りが一層難しくなるという(当たり前の)こと。重要政策を「決められない」「動けない」状況が続く懸念も払しょくできない。そうれは当然、世界の安全保障や経済にも影響する。
 世界が「弱い米国大統領」の下で歩間なければならない情勢は、実は選挙前からあまり変わらない。しかし選挙結果を受けて、そのことを改めて認識する必要がある。

◎今週の注目(2014.11.10-16)&当面の注目
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・APEC首脳会議が11月10-11日に中国・北京で開催される。それに続き、東アジア首脳会議、G20 首脳会議など一連の会議が開かれる。今後の国際情勢の行方に重要な影響を及ぼす。
・日中首脳会談が北京で開かれる。こじれた関係をどう修復していくのか、どんなやり取りがあるか、大いに注目。
・香港情勢にも注目。APEC首脳会議が終わり、中国や香港政府のスタンスが変わる可能性も排除できない。

・米中間選挙を受けて、オバマ政権と野党共和党の新たな関係作りが進む。今週大統領は外遊中でが、様々なレベルで動きがある。
・エボラ、イスラム国には引き続き注目。

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2014年11月 2日 (日)

◇世界の関心と国際世論44号(2014.10.27-11.2)

・米中間選挙が近づき、当然ながら世界の関心の的になっている。現時点の報道は「どちらが勝つか」への関心が中心で、選挙の影響、選挙戦の分析などは少ない。英ブックメーカーの賭け率では、共和党勝利の予想が圧倒的。次いで、どちらも上院の過半数を制することができない(州により過半数の得票を得ないと再選挙がある)で、民主党勝利の予想はわずかだ。

・米NYタイムズは同時に行われる知事選に関連し、社説で幾つかの州取り上げ、政策の課題と支持・不支持を打ち出している。この新聞であるから当然のことながら、民主党寄りだ。

・アップルのクックCEOが同性愛者であることを公表した。日本ではせいぜい小さな記事で取り上げられただけだが、欧米メディアでは英FTが1面トップ、AWSJ紙も1面で報道するなど大きな扱い。見出しも、クック氏発言の”I am proud to be gay"を引用するなど、総じて好意的な報道だ。

・欧米ではこの4半世紀の間に、同性愛者の権利拡大が進んだ。米国ではすでに過半の州が同性婚やそれに相当する権利の保護が認められている。英国では著名な同性愛者のランキングがキワモノ的にではなく公表され、ランク上位者もそれを踏まえて権利拡大の活動をする、という具合だ(エルトン・ジョン、イアン・マッケラン、ピーター・マンデルソンなど)。性転換者(公表)が閣僚や市長になるケースすらある。

・英Economist誌は10月11-17日号で、”The Gay Divide"と題して同性婚に関するカバーストーリーを掲載。過去20年間の変化を報じた。同誌が1996年に同性婚に好意的な記事を掲載した時には反発の手紙が多かった。しかし今では米国の多くの州で同性婚が認められ、欧州や中南米でも同様だ。一方でロシアや中東などではむしろ反発の動きが出ていると報じ、divideの見出しを付けている。

・評価は色々ある。ただし、世界がこのように急速に動いている事実は重要だ。日本が「世界の動きからカヤの外」の事例の一つなのだろう。

2014.11.2

2014年44号(10.27-11.2 通算747号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年10月27-11月2日
 

◆米が量的金融緩和終了(29日)☆
・米FRBは量的金融緩和を10月末で終了した。29日の委員会で決めた。
・米経済や雇用の改善が進み、デフレ懸念も遠のいたと判断した。
・米国はリーマンショック後3度にわたり量的緩和(QE1-3)を実施してきた。
・異例の金融緩和は経済を改善。失業率は一時の10%超→5%台に低下した。
・一方で副作用による新たな不動産バブルの懸念も指摘される。
・新興国への資金流入による混乱、商品市況の上昇・乱高下などももたらした。
・終了は、米国のみならず世界の金融・経済に大きな影響を与える。
・今後の焦点は、金融緩和策のもう1本の柱であるゼロ金利解除の時期に移る。

◆ウクライナ総選挙で大統領派勝利、ガス供給合意(26日投票、30日)☆
・総選挙はポロシェンコ大統領派が第1党。ヤツェニュク首相派が第2党となった。
・いずれも親欧米派で、大統領の政治基盤が強まった。
・ただし東部の親ロ派支配地域では投票が行われず、450議席中27議席は空白。
・同国の東西分裂が固定化する懸念もある。
・ロシアは選挙結果を受け、大統領を交渉パートナーとしていく姿勢を明示した。
・ロシア、ウクライナとEUは30日、ロシアからウクライナへの天然ガス供給再開で合意した。
・ウクライナは未払い金払いや今後の前払いを約束。ロシアは15年3月分までの供給を約束。
・EUはウクライナを資金面で援助する。
・ロシアから欧州へのガス供給はウクライナ経由も多く、欧州の冬季ガス不足が回避される。

◆ブラジル大統領選、ルセフ氏再選(26日投票)☆
・大統領選決選投票で現職のジルマ・ルセフ氏(66、労働党)が再選された。
・貧困対策や格差是正策により、貧困層などの支持を得た。
・野党のネベス氏は経済改革推進などを訴えたが、わずかに及ばなかった。
・市場はルセフ氏再選で経済改革が進まないと読み、リアル安、株安が進んだ。
・ただ、中銀がリアル安→輸入インフレを懸念し29日利上げを決定。通貨は持ち直した。
・同国は経済改革の遅れによる成長鈍化、財政赤字、物価高などに直面する。
・外交面での孤立や貿易保護主義の兆候も見られ、大統領2期目の課題は大きい。
・2016年のリオ五輪はルセフ大統領の下で開催する。

◆アップルのクックCEOが同性愛公表(30日) ☆
・アップルのクックCEOが同性愛者であると公表した。経済誌への寄稿で明らかにした。
・欧米主要紙は1面など大きな扱いで、好意的に報じた。
・欧米では同性愛者などの権利拡大の流れが定着。同性婚の承認が広がっている。
・同性愛者や性転換者が政治指導者になるケースも珍しくない。
・過去20-30年における世界の変化の1つだ。

◆日銀が異例の追加緩和(31日)☆
・日銀は追加金融緩和を決定した。
・資金供給量(マネタリーベース)の増加を、年60-70兆円→80兆円に増やす。
・景気回復のもたつきに対応した。消費税上げの決断に配慮したとの見方もある。
・米国が量的金融緩和終了の2日後に、逆の決定を行った。
・市場のサプライズは大きく、市場ではドル高・円安、株高などが進んだ。

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◎寸評:of the Week
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 【重要ニュース】 重要な動きが多かった。ベスト5以外にも、チュニジア総選挙(26日)で世俗派政党が第1党。米中間選挙選最終局面(民主党苦戦)。ウクライナの親ロ派支配地域で選挙(2日)。バージングループの宇宙船試験飛行失敗・墜落(31日)など。

 【経済好況下の米中間選挙】 米中間選挙が4日投票される。焦点は上院でオバマ大統領与党の民主党が過半数を維持できるかどうか。事前の情報では民主党苦戦が伝わっており、過半数割れとなればオバマ大統領の指導力低下→残り2年のレームダック化?が免れなくなる。
 中間選挙は大統領・政権に対する信任投票的な意味がある。その意味では、ある程度の負けは自然だ。オバマ大統領の支持率は40%程度にまで落ち込んでおり、激戦州では民主党候補者が大統領の応援を求めず、むしろ大統領と距離を置いている。
 昨年のシリア政策での迷走など、外交面での指導力不足を指摘する向きは多い(それはある程度的を射ている)。ただ、外交は票になりにくいといわれるのが通常の見方だ。一方内政の最大関心事であるはずの経済は、失業率5%台後半と完全雇用(5%台前半)に近いところに来ている。それなのに不人気な理由はなぜか。社会医療制度改革、移民政策など様々な問題はあるが、スパッと分かりやすい解説は少ない感じがする。米社会の、「曰く言い難しの部分」に絡む要素(社会構造、人種等々)も多いのではないか。
 ちなみに、選挙直前の状況では、エボラ対策も大きな論点になっている。選挙後の情報が楽しみだ。

◎今週の注目(2014.11.3-9)&当面の注目
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・米中間選挙が11月4日に行われる。オバマ政権の残り2年の行方を決める重要な選挙。世界への影響も大きい。
・APEC首脳会議が11月10-11日に中国・北京で開催。それに続き、東アジア首脳会議など一連の会議が開かれる。今後の交際情勢の行方に重要な影響を及ぼす。
・エボラ、イスラム国、香港情勢には引き続き注目。

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