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2014年11月16日 (日)

◆アジア太平洋首脳外交のキーワード 2014.11.16

 北京でのAPEC首脳会議をはじめとする一連のアジア・太平洋地域の首脳会議が開かれた。世界の注目の中での会議を通じ、目立ったのは中国の存在感の拡大と、地域秩序の枠組みを変えようという動きだ。もちろん、動きは複雑であり、単純化が禁物であることは言うまでもない。一連の「アジア太平洋首脳外交」のキーワードを拾ってみる。

▼APECブルー

 一連の首脳外交は、北京でのAPEC首脳会議(10-11日)からミャンマー・ネピドーでの東アジア首脳会議(13日)、豪州・ブリスベンでG20の首脳会議(15-16日)と続いた。3つの会議に付随して、TPP首脳会議、ASEAN首脳会議、米中、日中を始めとする多数の2国間首脳会談などが開かれた。

 中でも注目されたのはAPEC首脳会議。中国政府は会議開催に威信をかけ、期間中は大気汚染防止や渋滞緩和のために、工場操業や自動車の乗り入れを禁止。学校を休校した。普段はPM2.5の汚染で視界の悪い北京の空は、「APECブルー」に晴れ渡った。

 式典や首脳会談は派手に演出され、メディアを通じて中国国内や世界に配信された。中国の「大国ぶり」「存在感の拡大」を十分に意識したものだった。

▼10時間会談とChilly Shakehand

 中国の習近平国家主席と米国のオバマ大統領の会談は、食事を踏まえた話も含め2日間で10時間に及んだ。2度目の会談後の12日には、両首脳出席の下に記者会見が行われた。習近平主席の会見は、就任以来初めて。

 中国の演出の背景には、米国と共に(同格で)世界をリードしていこうという狙いが透けて見える。G2の虚実はさて置き、それを意識した動きだ。

 会談の開催という意味では、米中よりむしろ日中首脳会談が注目された。尖閣諸島を巡る対立などで日中関係は悪化、2011年12月以来首脳会談が行われない状況が続いていた。この状況は地域不安定の要因として、周辺諸国矢欧米も懸念していた。今回の階段は、関係修復に向けた一歩と受け止められる。

 しかし会談中、習近平主席は終始渋い表情を見せた。欧米メディアはChilly Shakehand(寒い握手)と表現した。

▼温暖化米中合意

 米中首脳は会談で、温暖化ガス削減に積極的に取り組むことで合意。それぞれが目標を表明した。米国は2025年までに2005年比で26-28%削減。中国は2030年をピークにそれ以上増やさないと表明した。

 米中は世界1の2の温暖化ガス排出国で、世界全体の排出量の4割を占めながら、この問題への取り組みは消極的だった。現行の京都議定書にも加わっていない。今回、米国は初めて2020年以降の目標、中国は数値の目標を示し、従来の姿勢を一変してこの問題で主導権を取っていこうという姿勢を明確にした。

 ただし、米国では野党共和党が温暖化ガス削減に消極的。中国も経済発展優先を求める事情がある。今回の合意も詳細が伴っているわけではなく、課題は今後との見方が多い。

▼FTAAP、中国版マーシャルプラン、新秩序

 中国はAPEC首脳会議で、21か国・地域が参加する「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)の早期創設を提案。宣言に盛り込んだ(時期の盛り込みはなし)。地域の新たな貿易・投資ルールとしては、米国主導のTPPがすでに動き出している。TPPに参加しない中国として、これに対抗する構想を示した格好だ。

 中国はまた、東アジア首脳会談で、ASEAN加盟国を対象にインフラ整備支援に200億ドルの融資枠を設定すると発表した。金融支援をてこに、インフラ整備で主導権を取る狙いとみられる。海外メディアは、中国版のマーシャルプランなどと表現した。

 中国はロシア、インドなどとBRICS投資銀行の設立を決定。最近は中国主導でアジアインフラ投資銀行の設立に合意した。国際金融の分野でも、米欧主導のIMF、世銀体制に挑戦し、新秩序作りを目指す姿勢が垣間見える。

▼アジア戦略の核心、対立と協調

 一連の会議では世界経済や貿易、安全保障、エボラ、イスラム国など、世界が直面する多くの問題が話し合われた。東アジア首脳会議ではイスラム国非難などの声明、G20ではインフラ投資を軸にした成長などを表明した。

 しかし、それ以上に目立ったのは中国の存在だ。オバマ大統領と習近平国家主席の10時間会談では、様々な問題が協議され、オバマ大統領は中国との関係をアジア戦略の核心(heart)と指摘。課題に協調して取り組む必要性を指摘した。一方、TPPや金融秩序、さらには南シナ海の領土問題など多くの面では対立が目立った。対立と協調が共に際立った。

▼パワーバランス

 欧米メディアの論評はまちまちだ。しかし、アジア太平洋地域における中国の存在の重要性は共通認識だ。英Economist誌は16ページを使い特集を展開した。

 ドイツやロシアの勢力拡大とハプスブルク家のオーストリアの後退などの例を引き、パワーバランスが変わる時に紛争が起きやすいとの指摘も多い。アジア太平洋首脳外交の1週間は、多くの問題意識を突きつけた。

2014.11.16

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