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2014年9月28日 (日)

◆新たな「対テロ戦争」に直面する世界 2014.9.28

 イスラム過激組織「イスラム国」を巡る動きが加速した。空爆の拡大、国連外交を舞台とした包囲網の形成、そしてテロの脅威の拡散。世界は、9.11直後に続く新しい対テロ戦争に突入したという見方をしても無理がない。そして、シリア・アサド政権やイランとの関係など既存の国際秩序も、イスラム国問題をきっかけに変わっている。

▼シリア領空爆開始
 米国は23日、イラク領に加えシリア領で対イスラム国の空爆を開始した。軍事作戦にはサウジアラビア、UAE、ヨルダン、バーレーン、カタールの中東5か国が加わり、一種の有志連合の形をとった。
 翌24日には英国がイラク領での空爆参加を表明。英議会も26日承認した。オランダやベルギーも空爆参加を決定。すでに空爆に差成しているフランスに続いた。

▼日替わりで変化する情勢
 シリア北部からは、イスラム国の迫害を避けるクルド人15万人がトルコ領に脱出。イラク北部からの脱出者も多数で、深刻な難民・批判民問題が発生している。
 情勢はそれこそ「日替わり」のスピードで変化する。あたかも戦争報道を見る状況だ。
 その広がりと言い、影響度と言い、国際社会は新たな「対テロ戦争」に入ったという認識も可能だろう。

▼包囲網の形成~NYで国連外交
 NYでは「イスラム国」を巡り幅広い国連外交が展開された。
 オバマ米大統領は24日の一般演説でイスラム国打倒に結束を訴えた。そして対イスラム国の有志連合が40か国に上ると強調した。
 安保理は同日首脳会議を開き、各国の住民が外国人戦闘員としてイスラム国に加わることがないよう法規制などを求める決議を採択した。提案国には104か国が名を連ね、「イスラム国」の動きが世界の安全保障や秩序を揺るがす重要問題であるという認識を数の面でも示した。
 対イスラム国の先頭に立つ米国が進める包囲網の形成は、とりあえず実を結んでいる。

▼変わる国際秩序
 その過程で、国際秩序は変わっている。
 シリア領の空爆に先立ち、米国はアサド政権に事前に通知。水面下ではアサド政権との関係改善を模索しているとの情報もある。
 米欧とイランの関係は昨年のロウハニ大統領当選後、改善を模索する動きが続いているが、イスラム国問題を契機にその動きが加速している。
 イラン、ロシア、中国は米国などによるシリア領空爆について、「国連決議に従って実施すべきことだ」と批判した。しかし、イスラム国を脅威と認識する点では一致し、空爆そのものに反対しているわけではない。
 過去3か月で、イスラム国問題は国際的な安保問題の最重要課題になった。それまで米欧の優先課題だったシリアのアサド政権退陣はより優先度の低い課題に後退した。政策の優先順位の変更→国際秩序の変化が起きたわけだ。

▼長期化
 イスラム国に対する対テロ戦争が長期化するのは必至だ。空爆はそれなりの効果を示すだろうが、空爆を誘導する地上部隊がなくては限界がある
 米国は地上部隊派遣を重ねて否定する。イラク戦争時の時の容易に、米国が地上軍を派遣すれば掃討は進むかもしれない。しかし、それは現時点で米世論が許容できるものではない。オバマ大統領もよく分かっているから、「地上部隊の派遣はない」と言い続ける。
 地上軍を派遣できないのは、対有志連合に加わる欧州や中東の他の国も同様だ。結局、空爆で「イスラム国」の勢力拡大を空爆で押さえ、地上での戦いはイラク軍やシリアの穏健派反政府組織に期待、という対応を取らざるを得ない。
 オバマ大統領やキャメロン英首相が、戦いが長期化するとの見通しを強調するのは、こうした現実を見据えたもの。しかし、長期化が泥沼化にならない保証はない。

▼テロ拡大の懸念
 2001年の9.11→アフガニスタン戦争→2003年からのイラク戦争と続く動きの中で、世界各地ではアルカイダあるいはイスラム過激派によるとみられる多数のテロが発生した。大規模なテロはインドネシアのバリ島、スペイン・マドリッド、英国ロンドンなどで起きた。中東やアフガニスタンでの小規模テロを加えれば、それこそ毎日のように発生した。
 今回のイスラム国の台頭で、世界は再び「いつ、どこでテロがあってもおかしくない状況」になった。この意味でも、新たな対テロ戦争というべき状況になったと認識すべきだろう。
 しばらくは、日替わりの観測が欠かせない。

2014.9.28 

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