◇世界の関心と国際世論32号(2014.8.4-10)
・この数週間、世界の安全保障の関心はウクライナ、イラク、パレスチナ。今週はイラク情勢、ウクライナ問題で重要な動きがあった。世界の関心も、当然そこに集中した。
・米国のイラク北部空爆について、欧米メディアは基本的に理解あるいは支持の姿勢を示す。たとえば英FT紙は8日付社説で、"Obama is right to take risks in Iraq"と論評する。英Economistも”Time To Act"という記事を掲載した。
・オバマ大統領の決断について、米NYタイムズは、"Obama with reluctance return to action in Iraq" (8月8日)と、やむを得ない選択だったと解説する。今回の決定はイラク・中東情勢の危機対応であることはもちろん、11月に中堅選挙を控える米政治への配慮も影響した。この点は各メディアとも共通する。
・一方、メディアの報道から見えてくるのは、空爆の効果やイラク情勢の明確な展望があるわけでないこと。イラクの情勢は入り組んでいるし、治安は悪化している。イラクの政府は内紛ばかりが目につく。先行きは決して明るくない。
・ウクライナ問題を巡っては、米欧とロシアの制裁合戦がエスカレートした。お互いに引けないチキンゲームのような様相にも見える。英FTは7日社説は、新たな主張というより制裁の効果を分析("Russian sanctions and the west""Moscow’s embargo on food will hurt Russia too")。冷徹な対応が必要であることをにおわす。
・Economistの読者投稿欄を眺めていると、(もちろんバイアスがかかっているが)率直な意見が目につく。「米国のイラク空爆とイスラエルのハマス攻撃はどこが違うのか」「ISISに資金支援したきたサウジアラビアやカタールの沈黙は」「オバマ大統領は史上最も当事者能力のない大統領のひとり。弾劾されるべき」等々。忘れている視点も含む。
2014.8.10
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