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2014年5月

2014年5月26日 (月)

◆タイ・クーデターの警鐘 2014.5.25

 タイで軍によるクーデターが起きた。政治の機能マヒ長期化に軍が辛抱を切らせて行動を起こした格好。クーデターの背景には、タクシン派と反タクシン派の対立や、過去国王の指導力に極度に依存してきたタイ特有の事情もある。しかし、民主選挙で選んだ政府が機能しない→政治・経済の混乱→軍クーデター、と進んだ国は少なくない。民主主義の機能不全ともいえる問題は、タイに限らず新興国中心に世界に共通する課題として受け止めるべきだ。

▼5か月の混乱の末

 クーデターは、5カ月にわたる政治混乱の末に発生した。事態に至る経緯は以下の通りだ。

・2013年11月 政権が恩赦法を強行採決。これを機に反体制派の抗議活動が拡大。
・12月      インラック政権が下院解散
・2014年2月  総選挙。反対派の妨害で一部選挙区で投票できず。
・3月    憲法裁が選挙無効の判断を相次ぎ下す。 
・5月7日  インラック首相が失職。憲法裁判所の判断による。
・5月20日 軍が戒厳令。
・5月22日 軍がクーデター。インラック前首相らに出頭を命じる。
       米国はクーデターを批判。援助の縮小など表明。 
・5月24日 上院廃止を発表。
       一部市民は反軍のデモ。

▼10年来の対立

 今回のクーデターは5か月の混乱の末だが、タクシン派と反タクシン派の対立を構図とする政治混乱は10年近くに及ぶ。

 タクシン首相の愛国党は2001年の総選挙で勝利し、政権に付いた。支持基盤の農村や貧困者を支援する政策を進めた(バラマキの面も含め)。一方、富裕層や都市部住民の既得権を奪う政策を進め、反発を招いた。首相の強引な政治手法や利益誘導的な行動も批判の対象となった。

 こうした中で反タクシン派の抗議活動が拡大。2006年に軍がクーデターを実施し、タクシン氏を追放した。背景には国王の意向もあったといわれる。

 その後反タクシン派のアピシット政権が発足すると、タクシン派による抗議活動が拡大。逆にタクシン派の政権ができると反タクシン派の抗議活動が拡大するなど、タイ政局はその都度混乱した。野党にあったタクシンの妨害で国際会議が中止になるなど、国際的な波紋も広がった。主な出来事は次の通りである。

・1990年代 軍政に対する批判が高まる
・1997年 憲法改正
・2001年 選挙でタクシン氏の愛国党勝利。タクシン政権。
・2006年9月 クーデターでタクシン首相失脚。軍が実権。
・2007年8月 民政復帰。
・2007年12月 総選挙。タクシン派が多数。
・2008年1月 マサック首相就任。その後ソムチャイ首相となるが、スキャンダルなどで退陣。
・2008年11-12月 両派の衝突で流血。反体制派の空港選挙など。
・2008年12月 アピシット政権(民主党・反タクシン派)
・2009年 タクシン派がパタヤのASEAN首脳会議会場に押し入り
・2010年 タクシン派がバンコク中心部選挙
・2011年 総選挙でタクシン派勝利。インラック政権誕生。
・2013年 与党による恩赦法強行採決などをきっかけに反タクシン派の抗議行動拡大。
・2014年5月 クーデター

▼タイ式民主主義

 1932年に立憲君主制になってから、軍事クーデターが起きたのはこれで19回目。タイでは政治混乱→国王の調停が繰り返され、国王の意向を背景にした軍事クーデターも繰り返された。こうした独特な仕組みは、「タイ式民主主義」とも呼ばれた。

 1997年の憲法改正で民主化が進んだ後は、国王の権威に依存する民主化から、真の民主主主義への脱皮が期待された。しかし、期待通りに進んだとは言い難い。タクシン派と反タクシン派の激化→政局混乱→袋小路という構図が繰り返され、民主主義は機能不全に陥った。

▼将来展望は見えず
 
 2006年のクーデター時、軍は、悪循環の打破→リセット→過去を断ち切った民主政治を目指した。そのために早期の民政復帰を実現した。しかし、結果はそれまで以上ともいえる深刻な政治混乱だった。

 そうした失敗への反省もあるのか(ないのか?)、軍はクーデターの後に上院を解散。「選挙の前に両派の和解が必要」とし、権限把握の長期化を示唆している。当面の秩序維持には役立つかもしれない。しかし、その先の民主化や政治安定の展望となると、見えて来ないのが現状だ。

 クーデターの後、バンコクなどでは反軍のデモも発生している。タイ政治混乱の出口は見えない。

 そして政治的混乱の長期化は、経済へのダメージにつながりかねず、地域の不安定にも悪影響を及ぼすと懸念される。

▼米国のジレンマ

 米国はクーデターを批判。タイへの援助削減などを表明した。

 選挙で選ばれた政権をクーデターで打倒するのは、民主主義の大原則に反する。米国が批判を表明するのは当然だ。しかし、批判すればそれで済む訳にいかないところが、難しい。

 過去数年を見ても、選挙で選ばれた新政権がうまく機能せず、混乱拡大→クーデターなどに進んだ事例は少なくない。代表例がエジプト。2011年のムバラク政権打倒後、2012年に民主選挙でムスリム同胞団の支援を受けたモルシ大統領が誕生したが、その後混乱は拡大。2013年にクーデターで軍が実権を握った。

 ウクライナでは選挙で選ばれたヤヌコビッチ政権が今年2月に(選挙ではない方法で)崩壊。その後の暫定政権下の情勢は混乱が続き、暫定政権の正統性を巡り欧米とロシアが対立した。5月25日の大統領選で、新規スタート→情勢の安定となるか予断を許さない。

 タイ情勢について、「それではどうしたらいいのか」となると、米政権はもちろん、欧米のメディアも歯切れが悪い。米国や国際社会のジレンマが見て取れる。

▼民主主義の機能不全

 1990年代には、アルジェリアの選挙でイスラム原理主義勢力が政権を把握すると、軍がクーデターを実施。同国は内戦に突入した。欧米は軍事政権を支持・黙認した。民主主義の機能不全と、それに伴う政治混乱は冷戦後も幅広い問題だ。

 世界は冷戦後期待されたほど「民主主義の拡大」による「政治の安定」に向かっていないようにも見える。その背景には、貧富の格差拡大、IT革命の進展による情報の拡散、古い秩序の信頼性の低下、イスラム原理主義の勢力拡大などの要因を指摘できる。

 民主主義が期待したほど広がっていないからこそ、開発独裁への一定の支持も生まれてくる。「ワシントン・コンセンサス」対「北京・コンセンサス」の問題は根深い。

 タイのクーデターは、こうした時代の課題も映している。

2014.5.25

2014年21号(5.19-25 通算724号)  国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年5月19-25日
 
◆タイでクーデター、軍が全権掌握(22日)☆☆
・軍がクーデターを遂行。憲法を停止するとともに、全権を掌握した。
・陸軍のプラユット司令官がテレビ演説で発表した。
・タイではタクシン派と反タクシン派の対立で、5カ月以上にわたり政治がマヒしていた。
・軍は20日に戒厳令を発令。両派と局面打開を協議をしたが失敗。クーデターに至った。
・軍中心の評議会は前首相らの出頭を求め拘束した。タクシン派中心に200人弱に及ぶ。
・タイのクーデターは、立憲君主制開始の1932年から19回目。2006年以来9年ぶり。
・米国はクーデターを批判。タイへの支援削減を表明した。
・民主主義が機能不全に陥った形。経済への悪影響は免れず、地域安定も揺るがしかねない。

◆ウクライナ大統領選実施、東部は妨害(25日)☆
・ウクライナ大統領選が実施された。
・東部の親ロ派は選挙反対を妨害。投票がほとんど行われなかった地域もある。
・ウクライナ国会は20日、国民和解に向けた覚書を採択。ロシア系住民の権利尊重を強調した。
・ロシア政府高官はこの動きを評価。プーチン大統領は23日、選挙を尊重する旨の発言を行った。
・一方、東部で公共施設を占拠する親ロ派過激派とウクライナ政権の衝突は続いている。
・事態収拾に向けた動きも出ている一方、対立の基本構図は変わらない状況。
・大統領選は、事態安定化へのステップと位置付けられる。
・選挙の結果、選挙後の動向は重要だ。

◆中国・ウイグルで爆破、当局は対テロ戦争宣言(22日)
・新疆ウイグル地区のウルムチで爆発事件が起き、39人以上が死亡した。
・中国当局はテロと断定。犯人5人を特定し公表した。いずれもウイグル族をみられる。
・宗教や分離独立を背景にした犯行の模様。
・ウルムチでは4月30日にも爆発事件があったばかり。警戒態下での再発となった。
・習近平指導部は「対テロ戦争」を宣言。取締りの徹底強化を指示した。
・分離独立派などの事件と取締り強化は負の連鎖のように続き、解決の展望は見えない。

◆中ロ首脳会議、連携強化で米国に対抗(20日)☆
・習近平国家主席とプーチン大統領が上海で会談。共同声明を発表した。
・政経両面で連携強化を強調。米国への対抗姿勢を打ち出した。
・南シナ海の紛争(中国)やウクライナ問題(ロシア)を背景に、対抗軸を示した。
・21日には、ロシアの天然ガスを中国に供給する契約を結んだ(ガスプロムとCNPC)。
・経済面でも連携を深め、PRした形だ。
・両国にを加えたCICA(アジア信頼醸成措置会議)は21日首脳会議を開催した。
・演説で習主席は、アジア安保の新局面を開きたいとの意向を表明した。

◆米がサイバー攻撃スパイ容疑で中国軍5人訴追(19日)☆
・米司法省は中国人民解放軍の5人をいわゆるスパイ容疑で刑事追訴した。
・上海の軍のハッカー組織「61398部隊」所属。米WH社から原発情報などを盗んだなどの容疑。
・ボルダー司法長官は会見で、5人の指名手配ポスターを示し、中国の対応を批判した。
・中国側は容疑を否認した。
・軍事や産業情報を巡るサイバー攻撃は年々激しさを増している。中国は強化を急いでいる。
・今回の追訴は氷山の一角。サイバー攻撃は、今後ますます重要性を増していく。

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 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
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 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ
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◎寸評:of the Week
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 【重要事件相次ぐ】 近年にないほど重要な事件が相次いだ。ベスト5以外にも、欧州議会選(22-25日)、韓国大統領が人事刷新(22日)、クレディスイスに対する罰金(脱税ほう助)、バークレイズ銀に制裁金(価格操作)、米ファイザーによる英アストラゼネカの買収話、米GEによる仏アルストム事業の買収話など、継続案件も含め国際的に大いに注目されているニュースのオンパレードだ。

◎今週の注目(2014.5.26-31)&当面の注目
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・5月25日実施のウクライナ大統領選の結果が出る。その後も動きも含め、世界の関心が集まる。ウクライナ議会がロシア系住民の権利保証や自治拡大を約束する覚書を採択し、ロシアのプーチン大統領が選挙結果尊重を示唆する発言をするなど、事態打開への動きは出ている。しかし、政権と親ロ派武装勢力との衝突は続き、行方はなお不透明だ。

・タイ情勢。当面は、クーデターで実権を握った軍がどんな策を打ち出してくるかが焦点。反クーデターのデモなど予期できない動きも出てくるとみられ、目を離せない。

・南シナ海の領土をめぐる中国とベトナム、フィリピンの対立が続く。この行方からも目を離せない。

・欧州議会選(加盟28カ国、22-25日投票)の結果が出る。選挙は欧州の現状と統合への姿勢を示すバロメーターとして重要。極右・反EU勢力の伸長は間違いないと思われるが、どの程度までかが重要だ。投票率も注目ポイント。

・エジプトの大統領選が26-27日に行われる。シシ元国防相の勝利は確実。当選後、強いリーダーになれるかが問われる。

・サッカーW杯が6月12日から。決勝は7月13日。

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2014年5月19日 (月)

◆インド総選挙と現状 2014.5.18

 インドの総選挙で野党の人民党が圧勝。10年ぶりに政権交代し、モディ首相が誕生する。勝利をもたらした新首相の経済改革への期待が注目されがちだが、人口13億人を抱えるインドの国情は複雑で、課題は多岐多様にわたる。選挙を機にインド情勢を整理する。

▼人民党圧勝

 4月上旬から5月12日まで10回に分けて投票されたインドの総選挙は、野党のインド人民党が議席の過半を獲得し圧勝した。10年ぶりに政権交代し、首相にはグジャラート州首相を務めてきたモディ氏が就任する。

 2004年から政権を維持してきた国民会議派は、議席を4分の1に減らし惨敗し下野する。シン首相はすでに、選挙の結果に関わらず退陣する意向を表明していた。

▼経済高成長→成長鈍化

 人民党圧勝をもたらした1つの理由が、モディ氏の経済改革への期待だ。

 インド経済は2000年代に入り成長軌道に乗り、BRICsの一員として脚光を浴び、中国と並ぶアジアの2大新興国に位置付けられた。バンガロールなどは世界のIT産業の新成長拠点として注目され、英語を武器にしたコールセンターなどの産業も発展。リーマンショック後の2010年も10%成長を実現している。

 しかしその後、成長が鈍化。2012年、2013年とも4%台の成長にとどまった見通しだ。

▼フラジャイル5

 インド経済は恒常的に財政赤字、経常赤字を抱える。市場は最近になり、成長性より構造的な問題に注目を移した。資金の流出、通貨の下落へとつながった。インドルピーは昨年あたりから、インドネシア、トルコ、南ア、ブラジルと並び、フラジャイル5と呼ばれている。

 ちなみに物価上昇立は8%前後。失業率は、都市部については3.7%などという数字があるが、信用できる統計はない。大卒者の失業率は都市部で26%、農村部では36%などという数字もある。 

 中銀はラジャン総裁が就任した昨年9月以降、3回にわたり利上げを実施した。景気刺激の必要もあるものの、インフレ警戒や通貨防衛などを配慮せざるを得ない状況だ。

▼構造的問題

 シン首相はこうした課題に対応するため、規制緩和や外資の導入などを進めようとした。しかし、保守派の抵抗、政権長期化による汚職などで改革は思うように進まなかった。

 また、国民会議派がもともと農村を基盤とし、農村への配慮を優先させざるを得ない事情もある。シン首相の経済政策は、分配(農村への利益配分)を重視しすぎたとの批判がある。

 インフラ整備は遅れ、各地で停電が頻発。また、法整備の不備や労働市場の硬直性などを理由に紛争も多発した。日本のNTTドコモや第一三共が事実上撤退に追い込まれたのも、こうした点が一因と言われる。

▼モディノミクス

 新首相になるモディ氏は、グジャラート州首相として経済改革に実績を残した。2001年に就任以来、外資の誘致や工業団地の整備を進め、同州をインド随一の高成長地域に育てた。グジャラートはインド内で唯一停電のない州ともいわれ、グジャラートの奇跡と(実態以上に)賞賛された。その手法はCEO的と言われ、経済政策はモディノミクスとも呼ばれる。

 選挙戦ではこうした実績を強調。インド全土でも経済改革・高成長を実現すると訴え、国民の支持を得た。

 ただ、グジャラート州で通用した手法が全国で通用する保証はもちろんない。懐疑的な見方もある。それでも市場はモディ首相誕生を歓迎する動きを示した。

 ちなみにモディ氏は下層カースト出身で、チャイ売りから身を立てた立身の人物。強力なリーダーシップを発揮する一方、手法が強引で敵が多いとの指摘もある。いずれにしろ、強力なインパクトを放つ人物であることは間違いない。

▼「ヒンズー至上主義」の懸念

 一方でモディ氏はヒンズー至上主義者として有名だ。自身もそれを隠さない。これが、インド国内の宗教対立を煽らないかと懸念する声も消えない。

 グジャラート州では2002年、ヒンズー教徒がイスラム教徒を虐殺する事件が起き、1200人が犠牲となった。この時に、モディ氏が州首相として適切な対応を取らなかったとの批判が浴びせられた。米国はこの件を理由に、モディ氏に対するビザ発行を停止している。

 選挙戦でもモディ氏はヒンズー教至上主義と受け止められかねないような発言をした。インドの首相に就任すれば立場は変わるだろうが、宗教対立がインド社会の抱える重要な問題であることは間違いない。処理を誤れば、経済不振などにとどまらず、国の安定を揺るがしかねない。

▼まだまだ貧しい社会

 近年は経済成長(そして直近は減速)が注目されたが、インドはまだ貧しい。2013年のGDPは1.8兆ドルで世界10位、購買力平価ベースでは世界3位との推定があり、規模は大きい。しかし、1人当たりのGDPは1500ドル程度で、日本の30分の1、中国の約4分の1に過ぎない。

 1日1.12ドル以下で暮らす貧困者の率(貧困率)は、2010年時点で30%以上。世界の貧困層の5分の1がインド人、という統計もある。衛生状況にも問題がある場所が多く、平均寿命は66歳(2011年)と世界で140位前後だ。農村などにはトイレのない家も多く、教育サービスのレベルは低い。

▼複雑な社会・古い因習

 インド社会が極めて複雑であることも、軽視してはならない。

 インドの人口は12億人強で、2015年には中国を抜いて世界最大になる見通し。民族は大きく分けてアーリア系約70%、ドラビダ系約25%などと言われるが、細かく分けると「多数」という表現がぴったり。地方公用語となっている言語は20を超える。

 古くからのカースト制度の伝統は、今なお各所に残る。男尊女卑などの伝統は農村のみならず都市部にも残り、2012年にはデリーで集団レイプ殺人事件が起き、世界を震撼させた。こうした事件がまだ起こる社会だ。

 赤子の誘拐や障害者にして物乞いをさせる行為、マフィアの暗躍など先進国の常識では信じられない話も残る。こうした状況は、映画Slumdog Millionaire(2008年)などに垣間見る通りだ。

▼国際的な影響

 政治面に限っても、テロ対応、対パキスタン関係など難問山積だ。

 昔のインドと違うのは、こうした問題への対応がインド1国にとどまらず、地域(南インド)や全世界への影響が大きくなっていることだ。G20やBRICS首脳会議など、発言が注目される機会も増えている。

 世界的な知性バランスで見れば、インドはアジアにおける中国への対抗勢力となる。NPTに入らない核保有国であるのにもかかわらず、米国などが原子力協定を結んだのもこうした事情画あるからだ。

▼世界最大の民主選挙

 インドは、経済成長や経済改革だけを重視して見るのではいけない。長い歴史、複雑な社会構造、宗教など様々な要素を踏まえてみないと、核心が見えて来ない。モディ氏の資質・手腕も、一面からだけ見ていたのでは判断を誤る。

 ただ、インドが多くの問題を抱えているといっても、冷戦終了後の四半世紀で国の近代化と経済成長うを実現してきたこと、世界の中で存在感を急速に拡大したことは重要だ。そして、有権者8億人もの「世界最大の民主選挙」を、大きな混乱もなく実現した事実も重い。

 インドを見る際には、まず事実や歴史をきちんととらえて、という当たり前のことが、他国以上に重要になる。

 
▼参考=インドの最近の経済指数などは以下の通り

・経済成長:2000年代は10%近い成長。2011年から減速が目立つ。
  2002-13の成長率=3.8、7.9、7.9、9.3、9.3、9.8、(08)3.9、8.5、10.2、(11)6.6、4.7、(13)4.3
・物価上昇率: 基本的に2ケタ近い高い上昇が続く。2013年12月のCPI上昇は9.1%。
・失業率: きちんとした統計はない。都市部の失業率3.7%とか、都市部大卒26%とかまちまち。
・財政赤字: 慢性的な赤字財政が続く。GDP比10%近い。2012年8.3%。
・政策金利: リーマンショック後の緩和→2011年秋には8.5%→景気対策で緩和→13年夏7.25%→
         通貨安対応などで2013年9月以降利上げ、2014年4月現在8%

2014.5.18

2014年20号(2014.5.18 通算723号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年5月13-18日

◆インド総選挙、人民党が圧勝、モディ首相(16日)☆
・総選挙(下院)の開票が行われ、最大野党インド人民党が過半数を獲得し圧勝した。
・グジャラート州首相のモディ氏が首相に就任する。同党は10年ぶりの政権復帰となる。
・選挙は4月上旬から9回に分けて行われた。有権者8億人の世界最大の選挙。
・モディ氏の主張する経済改革への期待が同党支持へと結びついた。
・国民会議派は議席を4分の1に落とし下野する。
・インド経済は2000年代の高成長から最近減速。政権の汚職も問題になっていた。
・モディ氏はヒンズー教至上主義者としても知られ、宗教対立の高まりを懸念する声もある。

◆ベトナムで反中国デモ拡大、中国人に死者、緊張高まる ☆
・南シナ海の対立を契機にベトナム・中国の緊張が高揚。ベトナム各地で反中デモが拡大した。
・13-14日には一部が暴徒化。外国企業約400社が襲撃され、中国人少なくとも2人が死亡した。
・バラセル諸島付近では両国の船舶がにらみ合う状態が2週間にわたって続く。
・ASEANは首脳会議で深刻な懸念を表明。米副大統領、国務長官も中国に自制を促した。
・しかし中国は姿勢を変えない。
・フィリピン・中国が領有権を争う南沙諸島一部では、中国による埋め立てなどが発覚した。
・各国で開く閣僚会議などを使った外交戦も激化している。
・事態安定の展望はいまのところ見えない。

◆ウクライナ東部州が独立宣言、混迷続く
・東部2州の住民投票(11日)→主権国家宣言と進んだ。議会設置など整備を進める。
・新政権側と親ロ派武装勢力の衝突は断片的に続いている。
・新政権は14日、東部の代表も交えた円卓会議を開いた。OSCEの提案に沿うもの。
・ただし、会議に武装勢力代表は参加してなく、効果は不透明だ。
・親ロ派勢力内の内部対立も指摘され、情勢は複雑だ。情報も交錯している。
・ウクライナ情勢は混迷が続く中、5月25日の大統領選をにらむ。

◆ブラジルでW杯反対デモ(15日)
・各地主要都市でサッカー・ワールドカップ開催反対の抗議デモが繰り広げられた。
・W杯開催の8都市が含まれ、デモ参加者は2万人余り。
・W杯より教育、福祉への予算使用を求めている。
・W杯を巡っては、施設建設の遅れも問題になっている。
・同国はサッカー大国として有名だが、必ずしも歓迎の声だけではない。

◆トルコで炭鉱事故、300人超死亡(13日)
・トルコ西部マニサ県ソマの炭鉱で爆発・落盤事故があり、300人以上が死亡した。
・同国の炭鉱事故としては史上最悪となった。
・事故後に取り残された生存者の救出作業が続いたが、17日打ち切られた。
・事故を巡り、エルドアン政権の経済発展優先政策への批判が表面化。デモも発生した。
・8月に予定している大統領選を含め、政治にも影響を及ぼす。

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◎寸評:of the Week
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 【南シナ海波高し】 南シナ海での中国とベトナムの対立をきっかけに、地域の緊張が高まっている。ベトナム全土で反中デモが拡大、一部が暴徒化し中国人少なくとも2人が死亡した。南シナ海では中国・ベトナムの船舶のにらみ合いが2週間を超える。
 ASEAN首脳会議は深刻な懸念を表明し、ケリー米国務長官やバイデン米副大統領は中国に自制を求めた。しかし中国は姿勢を変えない。むしろ、フィリピンと領有争いをする南沙諸島で施設建設を進めるなど、自己主張を強化している。
 中国の勢力拡大→領土問題が深刻化→地域安保を揺るがす、というシナリオは、長らく指摘されてきた懸念。それが現実となって突きつけられている格好だ。
 外交は真価を問われる。ASEANは先の外相会議、首脳会議に続き、19-21日国防相会議を開く。ベトナムのズン首相は21-23日にフィリピンを訪問し、アキノ大統領と首脳会談を行う。対中国共闘を探る可能性がある。
 一方、上海では20-21日にCICA(アジア信頼性醸成措置会議)が開かれプーチン・ロシア大統領もこれに合わせて訪中する。この会議は1992年創設で、G7など主要先進国が入っていないのが特徴。これまであまり注目されてこなかったが、今回は時が時だけに注目が集まる。会議の名称通り、信頼性情勢が進むか。
 17日から中国・青島で開催したAPECの貿易相会議では、中国・ベトナムや、尖閣問題を抱える日中の閣僚会合も開催された。様々な会議を機に和平を探る動きは、当然ながら重要だ。
 それでも、緊張→局地戦に発展という懸念は消えない。楽観は禁物だ。

◎今週の注目(2014.5.19-25)&当面の注目
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・5月25日にはウクライナ大統領選が予定されている。クリミアの独立宣言とロシアへの編入、東部2州の独立宣言など、緊迫した事態が続く。当面の節目の大統領選を巡り、どんな動きが出てくるのか。
・南シナ海の領土をめぐる中国とベトナム、フィリピンの対立が続く。目先は、ベトナム首相のフィリピン訪問、上海でのCICA会議などに注目。
・プーチン・ロシア大統領が20-21日訪中する。ウクライナ情勢、南シナ海問題両方に関連して重要。

・欧州議会選が加盟28カ国で22-25日に行われる。欧州議会の権限はかつてに比べ拡大したとはいえ限定的。しかし、欧州統合やEUに対する民意を映すうえで重要だ。いくつかの国では、反EUの極右や極左が勢力を伸ばしており、選挙結果にどのように表れるか注目される。投票率も重要だ。

・サッカーW杯が6月12日から。決勝は7月13日。

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2014年5月12日 (月)

2014年19号(5.7-12 通算722号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年5月7-12日(日本時間)
 
◆ウクライナ東部2州が住民投票強行、独立を支持(11日)☆
・ドネツク、ルガンスク州の親ロシア派勢力は独立の是非を問う住民投票を実施した。
・親ロ派は同日、約9割が独立を承認したと発表した。
・ウクライナ新政権は住民投票を違憲と批判。欧米諸国も認めていない。
・ロシアのプーチン大統領は7日住民投票の延期を要請したが、親ロ派は従わなかった。
・東部各地での衝突はその後も続いている。
・ウクライナの対立の構図は一層深まり、緊張が高まる懸念が大きい。

◆中国・ベトナム対立激化、ASEANが懸念表明(7-11日)☆
・南シナ海の島々の領有権を巡り、中国とベトナムの対立が激化した。
・7日には中国による石油掘削強行を阻止しようとしたベトナム船に中国戦が体当たり。
・負傷者が出る事態に発展した。両国船舶はにらみ合いを続けている。
・ベトナムでは11日から反中国のデモが発生。万人単位が参加している。
・ASEANは10日ミャンマーで外相会議を開き、南シナ間の現状に深刻な懸念を表明した。
・11日には首脳会議で、関係国に自制を促すネピドー宣言を採択した。
・中国名指しは避けたが、会議では中国批判が出た。
・中国周辺には多くの領土問題が点在。偶発紛争など地域安保を揺るがす懸念が大きい。

◆タイ首相が失職(7日)☆
・憲法裁判所は、インラック政権が実施した2011年の政府高官更迭に違憲判決を下した。
・これを受け、決定にかかわった首相と閣僚9人が失職した。
・後任首相にはニワットタムロン・ブンソンパイサーン副首相兼商業相が就いた。
・タクシン元首相派の政権は、7月に総選挙を実施し混乱の収拾を狙う。
・しかし反タクシン派は体制打倒をめざし、9日には大規模デモを展開した。
・違憲判決には司法によるクーデターとの批判もある。
・タイの政治混乱はさらに長引く見通しになった。

◆ナイジェリアで女子生徒ら拉致、国際的な問題に ☆
・北東部ボルノ州でイスラム過激派による女子生徒らの拉致が続発。国際的問題になっている。
・4月中旬に女学校の寮が襲撃され、10台の女子生徒200人以上が拉致された。
・その後も誘拐・拉致事件が発覚。7日には武装集団による町の襲撃が報道された。
・イスラム過激派のボコ・ハラムの犯行とみられる。
・過激派は西洋教育を悪と主張。協会や学校への襲撃を繰り返す。
・米国は少女救出への全面的な協力を表明。国際社会も政府に協力姿勢を示す。

◆南ア総選挙、与党勝利、得票率は低下(7日) ☆
・下院選が実施され、与党のANC(アフリカ民族会議)が約6割を獲得し勝利した。
・ズマ大統領が再選される見通し。
・ただANCの得票率は全会の66%から下落した。
・高失業や政権の汚職に不満が高まっているためとみられる。
・今回の選挙はマンデラ元大統領死亡後初の総選挙だった。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【各地で紛争】 世界各地で紛争がエスカレートした。ウクライナ情勢は東部2州の住民投票で、一層緊迫。南シナ海の島の領有権を巡っては、中国とベトナムの対立が船舶の衝突に発展した。世界に伝わった体当たりの映像は生々しい。ナイジェリアでのイスラム過激派による女子生徒誘拐・拉致も衝撃的。このところ世界が安定化より、混乱に向かう動きが目につく。

 【M&Aと国家利益】 前週から引き続き、米ファイザーによる英アストラゼネカの買収話と、GEによる仏アルストムの買収話がメディアをにぎわしている。特徴的なのは、買収が英国、フランス経済に与える影響が、正面から問われている点。特に雇用への影響は重要だ。キャメロン英首相はじめ政治家も「民間の事」とは言わずに、コメントを発する。国家が国民利益を重視するのは当然だが、目先の痛みと、長期的な経済発展の恩恵、国家安全保障への影響など要素は複雑だ。色々考えさせる。

 【アリババ上場】 中国電子商取引最大手のアリババが6日、米SECに新規株式公開の申請書類を提出した。資金調達は200億ドル規模になるとの見方が強い。フェイスブックやグーグルをも上回り、この分野で過去最大規模になる見通し。ネット時代、中国経済発展の時代を象徴する動きの1つになる。

◎今週の注目(2014.5.13-18)&当面の注目
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・ウクライナ情勢は引き続き緊張が続く。5月25日のウクライナの大統領選が予定通りに実施されるかも含め、情勢は不透明だ。
・インド総選挙は5月12日に投票(地域に分けて9回)が終了。5月16日に一斉開票する。
・TPPの首席交渉官会合が12日からベトナムのホーチミンで始まる。19日には閣僚会合も予定。交渉は難航しており、打開の糸口が見つかるかは予断を許さない。
 

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 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
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2014年5月 6日 (火)

2014年18号(4.28-5.6 通算721号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2014年4月28日-5月6日(日本時間)

◆ウクライナ東部・南部で衝突拡大 ☆
・ウクライナ情勢は東部や南部で新政権と親ロ派の衝突が拡大。緊迫を増している。
・東部では4月末、親ロ派による公共施設占拠が拡大。10以上の都市に及んだ。
・新政権は2日東部各都市で特殊部隊をによる掃討作戦を開始。各地で衝突が拡大した。
・南部のオデッサでも2日大規模な衝突が起き、46人が死亡した。2月の政変後最大の惨事。
・3日以降も衝突は続き、東部スラビャンスクでは5日の衝突で4人以上が死亡した。
・親ロ派が4月下旬から拘束していたOSCEの監視員は3日解放された。ロシアの説得という。
・米欧を含めた外交折衝は断続的に続くが、事態改善には至っていない。
・ウクライナ情勢は内戦の危機をはらみ、緊迫したまま推移する情勢が続く。

◆中国新疆ウイグルで爆破事件、習主席の訪問狙う(30日)☆
・区都ウルムチの駅で爆発があり、3人以上が死亡。50人以上が負傷した。
・当局はテロと断言した。漢族支配に反発するウイグル族のテロとみられる。
・習近平国家主席は27-30日に同地を視察。その時期に合わせて行為の模様。
・習政権にとってはメンツをつぶされた形。同氏は徹底的な調査を指示した。
・3月1日には雲南省・昆明駅の無差別テロで29人が死亡した。ウイグル族のテロとされる。
・中国国内での事件の報道は極めて小さい。当局は早期幕引きを狙う姿勢とみられる。
・欧米メディアは習政権の対応を"strike first strategy"と表現する。

◆中国のGDPが購買力平価換算で世界最大に(29日)☆
・購買力平価(PPP)換算で比べたGDPで、中国が米国を抜き2014年に首位になる。
・世銀の29日公表の推計(2011年推計など)で明らかになった。
・名目GDPでは依然米国が首位で、2位中国の約2倍。
・1人当たりのGDPでは、PPP換算でも中国は米国の5分の1にとどまる。
・中国では報道はほとんどない。同国では経済大国ぶりを示す報道を控えるケースがある。
・PPP比較には様々な見方があるが、中国経済の存在は急ピッチで拡大している。
・PPP換算の世界のGDPは約90兆ドル。2011年時点では米中インド日本の順。

◆MSのIEに欠陥、世界に影響(26日)☆
・MSはブラウザーIEのバージョン6-11に、未修正の欠陥が見つかったと発表した。
・米国土安保省は28日、米機関にIEを利用しないよう警告を出した。
・欠陥をついたサーバー攻撃が米国内などで拡大したため。
・MSは1日修正プログラムの配布を開始した。
・対応には4月にサポートを終了したウィンドウズXP(OS)用も含めた。
・IEはブラウザーの市場で5割超のシェアを維持している。
・ネット時代のリスク、MSなどIT企業の経営へのインパクトなど様々な課題が浮かび上がった。

◆ソウルで地下鉄事故、韓国社会を揺さぶる(2日)
・ソウルの地下鉄で車両同士の追突事故が起き、170人あまりが負傷した。
・韓国では4月16日に旅客船沈没事故が起き、300人以上の死者・不明者を出した。
・船会社の経営姿勢、救助の対応などが問題になり、社会のあり方に疑問を突き付けた。
・そんな情勢下の地下鉄事故に、衝撃は一層広がった。
・朴大統領は29日、旅客船事故対応で問題があったと認め、初めて謝罪した。

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◎寸評:of the Week
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 【きな臭さ増すウクライナ情勢】 ウクライナ情勢は東部や南部で新政権と親ロ派の衝突が拡大。内戦の危機もはらみ、きな臭さを増している。
 最近のウクライナ発のニュースは、スラビャンスク、クラマトルスクなど東部の各都市での個々の衝突のニュースが目立つ。新政府による掃討作戦の開始、親ロ派の抵抗などがきめ細かく、しかも時には実況仲介で報道される。まるで内戦や戦争報道かのような感じがする。
 2日には南部のオデッサで衝突が発生し、46人が死亡した。2月の政変以来最大の惨事。極右勢力による親ロ派の建物放火などの情報もある。現地は「狂気の世界」に入りつつあるのか。
 注意しなければいけないのは、発信される情報にバイアスがかかっている事。衝突の原因など、詳しいことは分からないし、多分真実が伝わることもないのだろう。そうした状況であることを理解する必要がある。
 ウクライナは5月1日、徴兵制を復活させた。同国は昨年秋に志願制に変えたばかり。現在16万人強の兵力を今後5年間で7万人にまで削減する計画を立てていたが、軍事強化に方向転換だ。
 唯一の希望は、欧米、ロシアを含む関係者が、外交努力による解決という姿勢を変えてなく、対話のチャネルも機能している点。世界が試されている。

 【M&A新時代?】 M&Aが再び活発化している。目下の話題は仏重電大手、アルストムのエネルギー部門買収話。米GEによる買収が大詰めの段階に来ているが、独シーメンスもなお機会をうかがっている模様。ここにフランス国内の安全保障論議なども加わり、日々大きく報道されている。製薬では米ファイザーによる英アストラゼネカの買収話が話題の中心(全号参照)。ここに英国の税制などの問題も加わる。長引く金融緩和によるお金あまりや、グローバル競争激化により、M&A拡大の条件はそろっている。様々な事例が出てくるだろう。

◎今週の注目(2014.5.7-12)&当面の注目
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・ウクライナ情勢は引き続き緊張が続く。5月25日のウクライナの大統領選が予定通りに実施されるかも含め、情勢は不透明だ。
・南アの総選挙が5月7日に行われる。下院400議席を選び、下院が大統領を選出する。昨年12月にマンデラ元大統領が死亡してから初めての選挙。ズマ大統領が率いるANCが勝利するとみられるが、国民のANC離れは進んでいる。南ア民主主義の将来を占う選挙としての視点も必要だ。
・インド総選挙は5月12日に投票(地域に分けて9回)が終了。5月16日に一斉開票する。

 

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