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2013年10月

2013年10月27日 (日)

◆「メルケル首相盗聴」が突きつける問題 2013.10.27

 米情報機関がメルケル独首相の携帯電話を盗聴していたとの疑惑が表面化し、米欧関係に新たなヒビが入った。元CIA職員スノーデン氏によるリークをきっかけに米情報機関による不正情報収集が相次ぎ暴露されているが、問題は打ち止めになるどころか拡大している。米国を中心とした世界の安全保障体制の基本理念をも揺るがしかねない。

▽同盟国首相への盗聴

 メルケル首相への盗聴疑惑が表面化し他のは23日。独政府は調査の結果、盗聴の可能性があると公表。メルケル首相はオバマ大統領に直接電話し、説明を求めた。オバマ大統領は「現在および将来においてそのような事はない」という趣旨を述べたが、過去については否定できなかったとされる。

 ドイツは米国の同盟国であり、欧州最大の経済大国。メルケル首相は基本的に親米で、米国にとって対欧州関係の最重要パートナーのひとりだ。外交の世界では「盗聴は常識」とはいえ、同盟国首相へのあからさまな盗聴活動は(少なくとも一般国民には)衝撃的で、米独関係や米欧関係を揺るがす問題になった。

▽世論の怒り

 2日前の21日、仏ルモンドは米国家安全保障局(NSA)が昨年末から30日間で、仏国民の通話情報を7000万件以上収集していたとの情報を報じた。ファビウス外相は駐仏米大使を読んで説明を求めた。

 欧州市民からは抗議や批判が上がり、欧州議会は米EU自由貿易交渉を中断して不正情報収集問題への対応を優先すべきとの決議をした。もちろん、「怒れる世論」を受けての動きだ。

 すでに中南米などでは同様の問題が相次ぎ表面化。反米感情の高まりにさえつながっている。中南米は米情報機関による介入の歴史が長かった地域。怒りは一過的なものと受け取るべきでない。ブラジルのルセフ大統領は、米国訪問を中止し抗議の姿勢を示した。

▽スノーデン事件

 当局による情報収集や盗聴は、情報機関の世界では常識であるばかりか、必要な行動と認識される。しかし具体的に表面化し、大きな国際問題になることは少なかった。時にスパイ事件が発覚しても、一部の人間や機関による活動として片付けられたり、不確定な話として処理されることが多かった。
 
 状況を変えたきっかけはスノーデン事件。今年6月に元CIA職員スノーデン氏が、米情報機関による広範は個人情報への不正アクセスなどを暴露した。同氏のリークの基づいて具体的な盗聴や不正情報収集事件が相次ぎ表面化。

 国民の批判を受けて、各国の政治リーダーも「公式には未確認」などと曖昧な問題処理で済ませるわけにはいかなくなった。今回の独メルケル首相の盗聴事件も、こうした動きの中で表面化した。

▽対応に苦慮

 メルケル首相など欧州各国首脳は、米国への「抗議と釈明の要求」を強調。国内世論に配慮している。しかし、事態は米国を批判していればすむような単純なものではない。

 外交や情報機関などの間で「不正情報収集や盗聴が常識」なのは、繰り返し指摘する通り。もちろん米国だけでなく、多くの主要国が行っている。そして米国よりも中国や北朝鮮など非民主国家やロシアの方が、より人権無視の活動を行っているとの指摘も多い。

 21世紀入り、世界はテロ戦争の時代に突入した。テロ防止のために情報収集活動は欠かせない。「安全保障か人権か」という問題は、現代の世界が抱える宿命でもある。

 EUは24-25日の首脳会議は、米欧関係には「尊厳と信頼が必要」との氷原で米国の行動を批判した。一方で、米欧関係の重要性に配慮することも忘れなかった。この問題で米欧関係を決定的に損なうようなことは、米国にも欧州にも利益にならない。

▽グローバルガバナンスの正統性

 スノーデン事件表面化後も、欧州各国の首脳はあからさまな米国批判は避けている。これは米NYTや英Financial Times、英Economistなど世界の世論形成に影響のあるメディアも同様。むしろ、メディアによってはスノーデン氏を追訴する米政府の動きを支持した。

 ただ、欧米を中心とするグローバルガバナンスの柱(それは第2次大戦後においてはワシントン・コンセンサスと言っていいかもしれない)が「民主主義」や「人権」である事は動かし難い事実だ。不当な情報収集や盗聴が安全保障のために必要であり、国際政治の常識であっても、発覚した場合に表立って正当化することは難しい。グローバルガバナンスの根幹にかかわる問題なのだ。

 スノーデン事件の前には、2010年のWikileaks問題があった。不当情報収集の表面化と、世論の反応が突きつける問題は大きい。

2013.10.27
 
 

2013年43号(10.20-27 通算696号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年10月20-27日
 

◆米が独首相を盗聴、府政情報収集問題が拡大(23日)☆
・米情報機関がメルケル独首相の携帯電話を盗聴していた疑惑が表面化した。
・独政府は23日米国に説明を要求した。
・仏ルモンドは21日、米当局が仏市民の電話記録を大量に収集していたと報じた。
・オバマ大統領は独仏首脳と電話協議したが、全面否定などはできなかった模様。
・EU首脳会議でも協議。米欧関係を重視しつつ、尊厳と信頼が必要とクギを刺した。
・米当局による盗聴などは中南米諸国でも表面化。ブラジル大統領は訪米中止した。
・盗聴は情報機関の間では常識。しかし表面化した時、政治的に看過はできない。
・対応を誤れば米欧関係を揺るがす事態になりかねない。

◆米金融緩和長期化の観測強まる(22日)
・米9月失業率は7.2%。非農業部門の雇用増は市場の予想を下回った。
・発表を受けて市場では金融緩和長期化(年内→来春)の観測が強まった。
・NY株は反発。1カ月ぶりの高値を付けた。
・為替市場ではドル安が進み、新興国に資金が流入した。
・金融市場では米金融緩和が焦点になっており、世界経済の行方に直結する。

◆EU、銀行の統一査定始動、2014年の銀行同盟にらむ(23日) ☆
・欧州中銀はユーロ圏の主要128行を統一基準で資産査定すると発表した。
・2014年10月まで1年をかけて査定する。
・普通株など中核的資本が8%以上になるよう求める。バーゼル3より1%高い水準。
・ユーロ圏は銀行監督を欧州中銀に一元化する銀行同盟を2014年11月に始動する。
・統一査定は銀行同盟始動前に銀行の健全性を点検する狙い。
・ユーロ危機は小休止状態。当面の対策だけでなく、銀行同盟などにも焦点が当たる局面。
・EUは24-25日首脳会議を開催。経済では成長戦略などを盛り込んだ総括文書を採択した。
・しかし米情報機関による盗聴や、北アフリカなどからの移民・難民問題がより重要な問題となった。
・欧州の当面の関心は、ユーロ危機だけでなく外交・安保などに向いている。

◆中国東北部で大気汚染深刻(21日)☆
・中国東北部の広範な地域がPM 2.5 による深刻な大気汚染に見舞われた。
・黒龍省ハルピンでは1立法メートルあたり1000マイクログラムを超えた。
・10メートル先が見えなくなり、ハルピン市内の小中学校は休校となった。
・工場や自動車の排ガスに加え、石炭による集中暖房が始まったためとみられる。
・中国では今年初めに北京市などで大気汚染が深刻化し話題になった。
・中国の大気汚染は周辺国にも影響が及び、1国の問題でなくなっている。

◆広東省地方紙記者拘束巡り物議 ☆
・広東省の地方紙「新快報」の記者が18日、湖南省長沙市の当局に拘束された。
・記者は同市の建設大手、中聯重科が不正経理をしたと報道。当局は不当報道とした。
・新快報は23-24日、記者の釈放を求める記事を掲載。各地から同紙を支持する動きが出た。
・その後国営中央TVが、記者が反省の弁を語る映像を放映。新快報も26日謝罪記事を載せた。
・ただ詳細に不明な点も残り、単純な不当報道や誤報かは不透明だ。
・中国では当局による言論統制が強化。各地で問題が生じている。
・今年1月には広東省の「南方週末」が当局による記事改竄に抗議。国際的に注目された。

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◎寸評:of the Week
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 【メルケル独首相への盗聴問題】 米当局による個人情報の不正収集問題が人がっている。メルケル独首相の携帯盗聴問題が表面化し、米独関係、米欧関係を揺るがしかねない問題に拡大した。

 【欧米の金融規制】 欧州中銀は23日、ユーロ圏の大手銀行128行の資産査定を統一基準の下に実施し、結果を2014年10月に公表すると発表した。EUが銀行監督強化策の核とする「銀行同盟」実現に向けた対応だ。銀行同盟には実効性などを巡り批判や疑問の声もあるが、一歩一歩進んでいるのも否定できない。
 米FRBは24日、大手銀行に国債の流動性の高い資産の積み増しを強化する事を決めた。2017年1月から導入する。国際的な自己資本規制である「バーゼル3」のルールより2年前倒しする内容だ。

 JPモルガン・チェースは25日、2008年の金融危機前の住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売を巡り、米当局との間で総額51億ドルの和解金支払いで合意した。同行が買収したベア・スターンズやワシントン・ミューチュアルが行っていた取引に関する者が中心。JPモルガンは米当局と他の係争も続けており、今回の和解は一連の案件の一部。高額和解に追い込まれた背景には、オバマ政権の金融機関に対する厳しい姿勢がある。
 リーマンショック後、世界は金融機関の暴走を食い止めるため、新たな規制強化策を模索した。ショックから時間が経つにつれ、当初描いていた大胆な規制は後退した。それでも、ある程度の規制導入は進んでいる。

◎今週の注目(2013.9.10.28‐11.3)&当面の注目
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・米による盗聴・不正情報収拾問題で米欧関係の緊張が高まっている。落としどころも含め行方に注目。

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2013年10月20日 (日)

2013年42号(10.14-20 通算695号)  国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年10月14-20日

◆米、債務不履行当面回避(16日)☆
・上下両院は財政に関する暫定措置法案を可決した。
・連邦政府に来年2月7日まで国債発行を認め、1月15日までの暫定予算を作成する。
・米政府が債務不履行に陥る危機は当面回避。政府機関の一部停止も解消される。
・予算を巡り野党共和党は歳出削減や医療保険改革撤回などを求め抵抗。
・10月の新会計年度入りまでに成立せず、政府機関の一部停止に追い込まれていた。
・国債の新規発行が認められないと国庫が底をつき、デフォルトに陥る危機も拡大した。
・世論では共和党強硬派への批判が高まり、同党穏健派も妥協に動いた。
・医療保険改革の抜本修正などは合意に盛り込まれてない。
・ただし、暫定合意期間後はまた対立表面化の可能性がある。時間稼ぎの面もある。

◆中国の7-9月DGP持ち直し(18日)☆
・中国の7-9月GDPは前年同期比7.8%増だった。
・1-3月の7.7%、4-6月の7.5%から回復した。
・ただし、成長のうち4.3%は投資が寄与。消費の費用は3.3%にとどまった。
・投資依存の成長は、不動産も含む投資加熱やバブル発生などの懸念もはらむ。

◆モルディブ政局混乱、警察が再投票中止(19日)☆
・選管は大統領選決選投票の中止を発表した。実施予定日朝に急きょ表明した。
・警察当局の妨害で選挙実施が困難になったと判断した。
・選挙は9月に第1回投票が行われたが過半数獲得者がなく、決選投票に進んだ。
・決選投票はナシード前大統領が優勢。警察など反対勢力が選挙阻止に動いた模様。
・同国では2008年に民主化後初の大統領選が行われ、ナシード氏が当選した。
・しかし2012年に事実上のクーデターで失脚した。今回大統領選で復帰を狙っている。
・同国は人口40万人で大半がイスラム教徒。漢口を主力産業とし、他は伝統的漁業など。
・経済などの改革を目指すナシード氏とイスラムの保守勢力などが対立する構図だ。
・動きの背後にイスラム過激派の存在なども指摘され、真相は不明な部分が多い。
・小国の政変劇にとどまらず、影響が周囲に及ぶ可能性も否定できない。

◆イラン核協議(15-16日)
・米英ロなど6カ国とイランはジュネーブで実務者協議を開催した。
・イランは各施設の査察拡大を含む譲歩案を提示した模様。
・協議は6カ月ぶりでロウハニ大統領就任後では初めて。
・11月7、8日に再度協議する。
・イラン譲歩案が意味あるかは不明だが、協議そのものには従来より前向き姿勢を示している。

◆ツイッターがNY証取に上場へ(15日)
・米TwitterはNY証取に上場する。SECに提出した書類で明らかにした。
・年内上場を予定しており、10億ドルの調達を目指す。
・ツイッターは世界にユーザーを抱え、アラブの春など世論形成では大きな影響力を発揮している。
・ただ事業は黒字化を果たしていなく、2012年の売上は3.1億ドル、8000万ドルの赤字。
・今年ナスダックに上場したフェイスブックに続く大型上場として注目を集める。
・グーグルの株価は18日初めて1000ドルを突破。時価総額も3370億ドルと米3位になった。
・同社の2004年の上場時の株価は100ドル。10年で10倍に達した。

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◎寸評:of the Week
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 【財政問題と米国・世界】 米国の与野党が財政問題でやっと妥協に達し、米国が国債債務の支払いができなくなるデフォルト危機は回避された。連邦政府の一部閉鎖も解除される。ぎりぎりまでチキンゲームを続けた挙句に、デフォルト期限ぎりぎりの16日に妥協した動きはシナリオ通りと言えなくもない。
 それにしても世界をハラハラさせ、あきれさせた決着だった。政府機関閉鎖で、自由の女神やグランドキャニオンなど観光施設は閉鎖。オバマ大統領はアジア外交の核としたAPEC首脳会議やTPP首脳会議への欠席を余儀なくされた。テレビでは与党民主党と野党共和党がののしり合い、分裂した米国の実態を晒した。
 無論、過去にもこの種のドタバタは何度もあるし、ベトナム戦争後などに比べたら米国ダメージは限定的かもしれない。情緒的な威信低下論をあまり強調し過ぎるのは適切ではない。
 それでも、米国が受けた(受けている)傷の深さは深刻だ。オバマ大統領の表情からは精彩が失われ、4年前に「世界の希望」と言われていた面影はない。大統領が語った「米国は世界の警察官ではない」という言葉はしっくりくる。そして、国際情勢の解説で「Gゼロの時代」などの説明を聞くと、物事がすっきり見えてくる。
 財政問題は今後も形を変えて表面化するが、世界との関係を的確にとらえて眺めたい。 

◎今週の注目(2013.9.10.21-27)&当面の注目
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・米財政問題がとりあえず決着。市場の動向に注目。

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2013年10月14日 (月)

2013年41号(10.7-14 通算694号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年10月7-14日

◆米FRB議長にイエレン氏、雇用重視(9日)☆
・オバマ米大統領はFRB次期議長にイエレン副議長を指名した。
・2014年1月に就任する。初の女性議長。雇用を重視するハト派として知られる。
・金融緩和が当面継続され、緩和縮小が来年に持ち越されるとの見方もある。
・次期FRB議長を巡り、大統領は当初サマーズ元財務長官を模索したとされる。
・しかし与党民主党内からも反対が表面化、サマーズ氏は指名辞退した。
・FRBは2008年の金融危機後、実質ゼロ金利や量的緩和政策を実施した。
・景気を維持しつつ、量的緩和からの「出口作戦」の模索が当面の課題となる。
・バーナンキ議長の「緩和縮小」発言に市場が過敏反応するなど、世界はFRBの政策に揺れる。

◆TPP首脳会議、大筋合意至らず(8日)☆
・APEC(アジア太平洋21カ国)とTPP交渉参加国(12カ国)の首脳会議がバリで開かれた。
・TPPは大筋合意に至らず、年内妥結に向けた決意を示すにとどまった。
・APECは域内貿易自由化への目標堅持などを確認した。
・首脳会議にはオバマ米大統領が欠席。議論の推進力を欠いた。
・参加国の米に対する対応も冷ややかで、米国のアジア外交は足踏みした。
・ASEANは9日ブルネイで首脳会議を開催。2015年の経済共同体創設への努力を確認した。

◆リビア首相が一時拘束(10日)☆
・トリポリで暫定政権のゼイダン首相が武装集団に一時拉致された。
・数時間後に解放された。元民兵組織の犯行との見方が強い。アルカイダ関与の観測もある。
・同国では米軍が対テロ作戦を5日実施、アルカイダ幹部を拘束した。事件は報復との見方が強い。
・リビアでは民兵組織が国土を支配し、治安は極めて不安定。事件はそうした状況を映した。

◆エジプトで衝突、米は軍事支援縮小(6-9日)☆
・ムスレム同胞団が6日抗議活動を展開。治安部隊を衝突し、50人以上が死亡した。
・暫定政府は同胞団弾圧が強化。9月には裁判所が同胞団と関連団体の活動禁止を命じた。
・政府は8日、同胞団にNGOとしての認可を取り消した。非合法化の布石と見られる。
・米政府は9日、エジプトに対する軍事支援を大幅に縮小すると発表した。
・同国への2.6億ドルの資金援助を停止。F16など大型の軍事支援を停止する。
・7月のモルシ前大統領排除を「クーデター」と位置付けるには至っていない。

◆ノーベル平和賞、OPCWに(11日)☆
・2013年のノーベル平和賞が化学兵器の廃棄計画を進めるOPCW(ハーグ)に決まった。
・ノルウェーのノーベル小委員会が発表した。
・同機関は国連安保理が決議したシリアの化学兵器全廃の実施を担う。
・ノーベル賞授与にはこうした活動を後押しする狙いがあるとみられる。
・ノーベル物理学賞はヒッグス粒子を予言したヒッグス博士らに決まった。

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◎寸評:of the Week
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 【米財政問題】 米の予算、連邦債務上限を巡る与野党調整は依然対立が続き、政府機関は一部停止したまま。17日には連邦政府の国庫が底をつき、デフォルトの危機に直面する。
 ワシントンで開催したG20財務相・中銀総裁会議は11日共同声明を発表。その中で米国に対し、財政問題で「緊急の対応を取る必要がある」と言及した。米財政が世界経済を揺り動かす状況が続く。

 【FRB新議長と米金融政策】 米FRBの新議長にイエレン副議長の就任が決まった。次期議長決定には二転三転があり指名劇そのものが世界の関心事になったが、今後重要なのは新議長の政策。イエレン氏は雇用重視のハト派と言われ、緩和の安易な縮小には慎重とみられている。
 金融危機後の世界経済は、歴史的にもまれな「先進国の金融超緩和」の下にある。米国と日本は実質ゼロ金利。欧州中銀や英国の金利も0.5%と低レベルだ。加えて資金供給を拡大する「量的拡大」を継続中だ。
 この緩和政策は経済を下支えする一方、バブルの発生や新興国への資金流入・インフレという副作用ももたらしてきた。量的緩和からの「出口作戦」は、世界経済が抱える大きな問題だ。
 FRBのバーナンキ議長が6月に量的緩和縮小の可能性に触れると、世界の市場は動揺。新興国からは資金が流出した。米国の金融政策ひとつで、新興国はじめ世界の経済が揺れる状況だ。
 イエレン議長決定を受け、市場は緩和縮小の時期が遅れると読み、好意的にとらえた。世界はこれから「イエレン発言」に揺れ動かされる。
 
 【ヒッグス粒子と素粒子物理学・宇宙論】 ノーベル物理学賞がヒッグス粒子を予言した英エジンバラ大学のヒッグス博士とブリュッセル自由大学のアングレール博士に決まった。両氏は物質に質量を与えるヒッグス粒子の存在を1964年に予言した。昨年、スイスCERNの加速器などが粒子の存在を確かめた。
 世界や宇宙の在り方を問う素粒子物理学・宇宙論は、過去半世紀で大きく発展した。物質を形成するクォークや、力を伝える光子などの素粒子が次々に確認。ヒッグス粒子で17素粒子が確認され
た。これに合わせて物質間に働く4つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)の理論が発展した。
 一方で、従来知られていなかった暗黒物質や暗黒エネルギー、ニュートリノ振動など新たな発見も続き、従来の世界観や宇宙観が覆される出来事が相次いでいる。
 ヒッグス氏らへのノーベル物理学賞授賞は、そんな問題意識にも再度火をつける。

◎今週の注目(2013.9.10.14-20)&当面の注目
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・引き続き米財政問題に焦点。17日前後に国庫が底をつく。

・シリア情勢、イランと米欧の対話、エジプト情勢に引き続き注目。
・新興国を中心とする市場の動きも目が離せない。

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2013年10月 6日 (日)

2013年40号(9.30-10.6 通算693号)  国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年9月30-10月6日

◆米政府機関一部閉鎖、18年ぶり(1日)☆
・暫定予算を巡る与野党協議が決裂。予算不成立のまま2014会計年度入りした。
・これを受けて一部政府機関が閉鎖に追い込まれた。18年ぶり。
・各地の観光施設などが閉鎖。職員200万人中80万人が一時帰休を迫られる。
・野党共和党はオバマ大統領が進めた医療制度改革の事実上撤回などを要求。
・大統領は拒否し、与野党対決が継続。閉鎖に追い込まれた。
・1日以降も歩み寄りはなく、閉鎖解除のメドは立っていない。
・与野党は連邦政府の債務上限引上げでも対立。
・このままだと新規国債の発行ができず、17日には国庫が底をつく見通し。
・米国の予算を巡る与野党対立は、世界を揺るがしている。

◆米大統領が東南アジア訪問中止(3日)☆
・オバマ大統領は5-12日に予定していた東南アジア訪問を中止する。
・政府機関閉鎖解除のメドが立たず、国内の与野党調整を優先させる。
・APEC首脳会議、TPP首脳会議(バリ)、東アジアサミットなどに参加予定だった。
・米国のアジア重視外交に悪影響を及ぼすのは避けられない。
・TPP首脳会議の行方も不透明さを増し、年内妥協にも黄信号が灯る。

◆伊議会が首相が信任、元首相は議員資格停止へ ☆
・下院は2日、レッタ首相への信任投票を行い可決した。上院も前日可決した。
・信任で首相の政治的な立場は強化された。
・今回の政局の発端はベルルスコーニ元首相に対する脱税での有罪判決。
・元首相は先月末に連立離脱を表明。議員資格はく奪に揺さぶをかけた。
・これに対し首相は信任投票実施で対抗した。
・上院は10月中に剥奪を可決する見通し。元首相の影響力低下は不可避だ。
・政局混迷で伊国債利回りは上昇したが、落ち着きを取り戻した。

◆オーストリア選挙与党辛勝、極右躍進(29日)
・下院選が行われ、大連立の社民党(中道左派)と国民党(中道右派)が辛勝した。
・183議席中99議席で過半数を維持した。前回より大幅に後退した。
・反ユーロの極右自由党が躍進。42議席を獲得し2大政党に迫った。
・同国はユーロ圏南欧諸国への支援国。国民の中には支援への不満も強まっている。

◆日本が消費税を来年4月引き上げ(1日)
・安倍首相は消費税の5%→8%の引上げを表明した。実施は2014年4月。
・日本の消費税率引き上げは1997年(3%→5%)以来17年ぶり。
・日本は2012年8月の野田政権下で消費税増税法を可決した。
・景気重視から変更を求める意見があったが、予定通りの実施を決めた。
・景気配慮から、東日本大震災復興の特別法人税の2013年度末廃止を検討する。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ           
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【米政府機関シャットダウン】 米連邦政府の予算を巡る与野党の協議が決裂し、政府機関が一部閉鎖に追い込まれた。1996年以来18年ぶり。NYの自由の女神など観光地や博物館は閉鎖され、政府職員が再開を求めて抗議行動を繰り広がる姿は、まさに異常事態だ。
 連邦政府の債務上限を巡る協議も対立が続き、このままでは新規国債発行ができない→国庫が底をつく→債務不履行→国際金融市場の混乱、という事態が懸念される。ルー財務長官によれば国庫は17日にも払底する。
 オバマ大統領はAPECやTPP首脳会議が開かれる東南アジア訪問を中止した。大統領は外交戦略にアジア重視を掲げ、APECやTPPをその核に据えていた。その会議欠席は、戦略にとっても打撃だ。
 米議会では上院と下院それぞれが可決しなければ予算が成立しない。現在は、下院を野党共和党が制するねじれ国会。妥協がなければ何も決まらない。
 背景には、1980年代ごろから顕著になってきた米社会の2極化がある。民主党支持と共和党支持がほぼ2分し、価値観の異なる2つの米国が様々な問題で対立する。特に2010年の下院選で、共和党で保守派のTea Party系議員が躍進してからは、対立が先鋭化している。
 英EconomistはNo way to run a country(国の運営なすすべなし)というタイトルの記事で、統治できない状況に見える(ungovernable)と状況を厳しく分析した。短期的には妥協の模索がもちろん第一だが、長期的には政治制度や選挙区割りの改革なども必要と指摘している。

 【イラン問題その後】 米オバマ大統領とイランのロウハニ大統領がイラン革命後初の電話協議を行ったのは9月27日。その後、イランでは保守派が対話反対の示威行為を展開。イスラエルのネタニヤフ首相は国連総会演説でロウハニ大統領を「羊の皮をかぶった狼」と批判し、必要なら単独行動も辞さないと警告した。空爆などを含むと見られる。イランと欧米やイスラエルとの対話は、当然のことながら一筋縄ではいかない。

 【米国の対テロ軍事行動】 米国の特殊部隊がソマリアとリビアで軍事作戦を展開。国防総省は5日、リビアでアルカイダ幹部のアルリビー被告を拘束したと発表した。同被告は1998年の在ケニア、タンザニアの米大使館爆破事件に関与したとされる。ソマリアでは過激派組織アルシャバーブの拠点を攻撃したとの情報がある。真相の詳細はまだ不明だが、注目すべき動き。

◎今週の注目(2013.9.10.7-13)&当面の注目
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・米財政協議を巡る議会の調整に世界の関心が集まる。問題は暫定予算と、連邦政府の債務上限の引き上げ。政府機関の一時停止解除には暫定予算の成立が不可欠。一方上限引き上げ問題が解決しなければ、米国の国家の払底→デフォルトのリスクが生じ、世界の金融市場が混乱する懸念がある。現在の上限は16.7兆ドル。国庫払底の時期は17日と予想される。
・ノーベル賞確証の発表が相次いで行われる。

・シリア情勢、イランと米欧の対話、エジプト情勢に引き続き注目。
・新興国を中心とする市場の動きも目が離せない。

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