« 2013年7月 | トップページ | 2013年9月 »

2013年8月

2013年8月26日 (月)

2013年34号(3.18-26 通算687号)  国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年8月18-26日(アジア時間)
 

◆エジプト政権が強硬鮮明、同胞団トップ逮捕、元大統領保釈 ☆
・暫定政権が強硬姿勢を鮮明化した。
・ムスリム同胞団最高指導者バディア氏を20日逮捕。他の幹部も相次ぎ逮捕した。
・22日にはムバラク元大統領を保釈。刑務所勾留→自宅軟禁にする。
・同胞団は封じ込められ、23日の金曜礼拝後に抗議活動も小規模にとどまった。
・ただ同胞団は反発を強め、地下潜行しテロに走る懸念も指摘される。
・強硬姿勢には、暫定政権寄りだったリベラル派も反発。離反を招く可能性がある。
・14日の強制排除後の衝突では、全国で900人以上が死亡した。
・情勢は混迷を深め、テロや内戦の懸念も消えない。

◆シリア化学兵器使用疑惑で緊張(21日)☆
・ダマスカス近郊でアサド政権による化学兵器使用の新たな疑惑が表面化した。
・反体制派「国民連合」幹部は、計1300人が死亡したと発表した。
・国連安保理は21日非公式の緊急理事会を開催した。
・国境なき医師団は、ダマスカスの3病院で3600人が神経ガス症状にあると発表した。
・アサド政権は使用を否定。反体制派の使用と主張する。
・米欧は政権側使用と暫定評価。ロシアは反対の見方を示す。
・シリア情勢は今年に入り政府軍が盛り返したが、状況が動く可能性がある。

◆中国薄熙来事件初公判、ブログ実況で演出(22-25日)☆
・収賄などで起訴された薄煕来被告(元重慶市トップ)の公判が山東省で開かれた。
・公判は予想を上回り4日続いた。被告は罪状を全て否認した。
・裁判の一部はミニブログ微博(ウェイボ)で公開。映像も流れ、現地で会見も開かれた。
・一方自由な取材は禁止するなど、政治的な演出の色彩も強い。
・裁判は終了し、今後判決が言い渡される。時期は未定。
・同氏は共産党有力者→2012年に全職から解任された。背後に党内権力闘争がある。
・習近平政権は公判で、反汚職を強調。透明性を示す意図も見える。
・一方、起訴対象に重慶市トップ時代の案件が少ないなど、政治的思惑も目立つ。

◆一部新は興国の通貨、株下落 ☆
・ブラジルレアルが1ドル=2.4レアル台を記録。4年半ぶりのレアル安にを記録した。
・インドのルピーは1ドル=63ルピー台と過去最安値を更新。
・インドネシアルピアも対ドルで4年ぶりの安値に下落した。
・インドネシア、タイなどの株価は下落。マレーシア、トルコなども株価低下した。
・米国の緩和縮小観測をきっかけに、新興国からマネーの流出が続いている。
・特に経常赤字の大きい国は流出の度合いが大きい。
・新興国は成長の減速も目立つ。新興国リスクが、様々な形で目立つ。

◆福島第1原発で過去最大の汚染水漏れ、「レベル3」 ☆
・東京電力福島代位1原発で新たな汚染潜水漏れが発覚した。
・東電は20日、流出量が300トンに上ると発表した。過去最大。
・原子力規制委は21日、今回の流出が「レベル3」との評価原案を公表した。
・IAEAに詳細を通報。回答を踏まえて最終的に決める。
・管理の脆弱さや情報隠ぺい体質が改めて露呈した。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ           
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【エジプトとシリア】 中東情勢が引き続き激しく動いている。エジプト暫定政府は14日反体制派強制排除に続き、ムスリム同胞団トップを逮捕、ムバラク元大統領を保釈した。強硬姿勢を強め、同胞団を力ずくで抑え込む姿勢を鮮明にした格好だ。当面ムスリム同胞団の動員力は低下しているが、そのまま容易に押さえ込まれると見るのは非現実的だ。地下潜行→テロの懸念も広がる。地元の市民からは「アラブの春は終わった」との自虐的な発言が多数届く。
 シリアでは新たな化学兵器使用疑惑が表面化。国連安保理など国際社会を巻き込んでの動きが加速している。米欧はアサド政権による使用の可能性が高いとするが、確証はまだない。シリア紛争が厳しい情報戦であることを踏まえ、情勢を注視する必要がある。

 【エジプト・イスラエル関係】 エジプト政変で、暫定政権とイスラエルの接近が目立つ。パレスチナ・ガザ地区を支配するイスラム原理主義のハマスは元々エジプトのムスリム同胞団が設立した組織。エジプトにモルシ政権が発足した後には、エジプトからガザに地下トンネルを掘り、物資を運ぶ量が拡大した。しかし軍による実質的なクーデターが起きた7月3に以降、同国軍は地下トンネル数百本を破壊。ハマスに武器などの物資が入りにくくなった。安全保障面でイスラエルとの協力を強めている。
 折しもイスラエルとパレスチナ自治政府(ファタハ)は和平交渉を再開したところ。エジプトなど各国の情勢変化は、玉つきのように変化を生んでいく。

 【MSバルマーCEOの退任】 マイクロソフトのバルマーCEOが23日、1年内の退任を発表した。パソコンソフトで一時代を築き、米ITの代表銘柄だった同社も、最近はスマホやタブレットでグーグルやアップルの先行を許している。バルマー氏退任は、若返りで新たな成長を目指す戦略と受け止められる。ITの変化は激しく、それが新たなダイナミズムを生んでいる。

◎今週の注目(2013.8.26-31)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・引き続きエジプト情勢、シリア情勢。新興国を中心とする市場の動き。

・G20首脳会議が9月5-6日にロシアのサンクトペテルブルクで開催。
・豪州の総選挙が9月7日に行われる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2013 INCD-club

2013年8月18日 (日)

2013年33号(8.12-17 通算686号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年8月12-17日

 

◆エジプトでデモ隊排除、衝突拡大(14日) ☆☆
・軍・治安部隊は、抗議活動を続ける親モルシ前大統領派の強制排除に踏み切った。
・各地で衝突が拡大し、全土で700人近い死者が出た。
・政府は全土に非常事態を宣言。夜間外出禁止などを命じた。
・しかしムスリム同胞団中心の前大統領派は抗議を継続。一部は武装の模様。
・金曜礼拝の16日には全国的な抗議を展開し、衝突で100人以上が死亡した。
・対立はデモなどの抗議活動→激しい衝突に発展。内戦の懸念すら生じている。
・軍による実質クーデターから1月半を経て、同国情勢は一層混迷を深めている。

◆エジプト情勢、国際社会は反応分かれる ☆
・米国はエジプト軍・当局による強制排除を批判。合同演習中止などを発表した。
・欧州も同様に批判した。
・ただ、欧米とも介入の意図はなく、影響力も限定的だ。
・周辺のサウジなどは軍の行動を支持。トルコは前大統領派支持が多い。
・国際社会は混乱の周辺への飛び火→地域情勢の不安定拡大、を懸念する。

◆独失業率、統一以来最低の5.4% ☆
・ドイツの6月の失業率は5.4%と、1990年の東西統一以来の最低水準に並んだ。
・2004-05年には11%前後だった。その後世界金融危機などに関わらず、半減した。
・2000年代初めからの経済改革の影響が出た面が大きい。
・ただ、非正規雇用の拡大のような特殊要因もある。
・南欧諸国は不況→失業率の上昇が続き、スペインはギリシャは20%を超える。
・ユーロ圏全体でも失業率は12%を超え、高失業は深刻。
・ユーロ圏内の格差の拡大を象徴する数字になっている。

◆ユーロ圏成長、7四半期ぶりにプラス(14日)☆
・ユーロ圏の4-6月の成長率は前期比0.3%増。年率換算1.1%増だった。
・2011年7-9月から13年1-3月まで6期連続でマイナス成長だったが、プラスに転じた。
・債務危機がひとまず鎮静化した影響が出た。底打ちを期待する見方もある。
・本格的回復の兆しはまだ見えない。
・日本の4-6月GDP は前期比0.6%、年率2.6%増だった。

◆南北朝鮮、工業団地再開に合意(14日)
・韓国と北朝鮮は南北共同の開城(ケソン)工業団地再開の実務協議を開催。
・再開に向けた5項目で合意した。
・北朝鮮は今年前半、核実験や休戦協定破棄などを打ち出し、緊張が高まった。
・南北共同の象徴的な存在だった工業団地も稼働停止に追い込まれた。
・北朝鮮はその後、関係修復も模索する姿勢に転じた。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ           
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【エジプト情勢深刻、内戦の懸念】 エジプトで治安当局が抗議活動を続ける親モルシ前大統領派(ムスリム同胞団中心)の強制排除に動き、全国で衝突が拡大している。事態は収拾に向かうのではなく、むしろ悪化。内戦の懸念すらある。
 7月初めの軍による実質クーデターが起きた時から、すんなりと事態が収まるという見方は少なかった。モルシ前大統領が当事者能力をなくしていたとはいえ、選挙で国民に選ばれた裏付けがある。支持母体のムスリム同胞団が激しく反発するのは、当然予想された事だった。
 衝突の様子は映像で世界に流れている。それを見ると、親モルシ派には銃器などを携帯している人も多い。もはや単なる抗議活動を超えている感じがする。ムスリム同胞団の武装闘争回帰を懸念する向きもある。
 周辺への影響は大きい。欧米は軍による強制排除を批判するが、ムスリム同胞団中心のイスラム色が強い体制を懸念しているのも事実。エジプト情勢に直接関与する余力や意図はない。
 サウジなどはムスリム同胞団の勢力拡大を恐れ、エジプトの軍を中心とした暫定政権支持を鮮明にする。一方、イスラム系政党が政権の握るトルコでは、エジプトの親モルシ派支持のデモなどがあった。
 暫定政権の中で穏健派とされたエルバラダイ副大統領は、強制排除後に辞任した。暫定政権内でも見解の違いがある事をうかがわせる。
 背景には民主主義導入の難しさ、世俗派とイスラムの対立、貧困、開発、腐敗、当事者能力の欠如、過去のツケなど様々な問題がある。これがジプト情勢を複雑かつ先行き見えないものにしている。

◎今週の注目(2013.8.18-24)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・世界の注目がエジプトに集中。1国に留まる問題ではない。

・G20首脳会議が9月5-6日にロシアのサンクトペテルブルクで開催。
・豪州の総選挙が9月7日に行われる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2013 INCD-club

2013年8月11日 (日)

◆ワシントンポストの身売りとメディアの変化 2013.8.11

 アマゾン創業者のベゾス氏がワシントンポスト社の新聞部門を買収した。同紙はウォーターゲート事件の報道でも知られる同国を代表する新聞。新興ネット企業による買収は、メディア業界の変遷と主役交代を象徴する事はもちろん、メディアと権力の関係や世論動向にも影響する。

▼世界に波紋

 ワシントンポスト社はワシントンポスト紙のほかに外交専門誌のフォーリン・ポリシーや教育事業部門などを保有している。今回売却するのは新聞部門。買収価格は2億5000万ドル。ベゾス氏はアマゾンを通じてではなく、個人としてポスト紙を買収する。

 8月4日付のポスト紙は"Grahams to sell The Post"という見出しで売却を報道。ニュースは米国はもちろん世界に波紋を投げかけた。

▼調査報道の金字塔

 ワシントン・ポストは1877年創刊。1930年代からグラハム家が経営を握ってきた。1970年代初めのウォーターゲート事件報道は、ニクソン大統領辞任につながった。

 同事件巡っては、政権からの圧力を社主のキャサリン・グラハム氏らが退けて報道を継続。米調査報道の金字塔とも言われる。こうした歴史に支えられ、同氏はNYタイムズと並び米国を代表する新聞と評されてきた。世論形成への影響力も大きい。

 一方でネット化などの影響で部数は減少。90年代の70万部から最近は40万部台に落ち込んでいた。

▼ネットの雄

 アマゾン・ドット・コムはネット時代を代表する新興企業の1つ。1994年にジェフリー・ベゾス氏が設立した。ネットを通じた書籍の販売という新しい市場を開拓し、その後書籍以外の通販、電子書籍端末のKindleの発売などに事業を拡大した。

 アマゾンの登場により世界の書籍販売の市場は一変。人々の生活を変えた。同社ビジネスモデルを説くキーワードの一つであるロングテールという言葉も広く使われるようになった。1997年にはナスダックに上場した。

 ベゾス氏はアマゾン開始当初から数年間は利益を出せないことを見通し、その上で長期的視点から事業を成功させた。現在アマゾンがGoogleやアップル、フェイスブック、マイクロソフトなどと並びネット時代を先導する企業の1つになっているのも、同氏のビジョンとリーダーシップ抜きには考えられない。

▼メディアの風景一変

 米国を中心とする世界のメディアは、過去20年あまりで風景が一変した。原動力になったのは、IT・ネット技術の発展と事業の国際化だ。

 90年代半ばからのインターネットの急速な普及で、世界の情報の流れは革命的に変化した。それ以前のニュース報道はテレビや新聞が中心だったが、今では「ニュースはネットや携帯から」という人は多い。2011年のアラブの春は、フェイスブックなどのSNSやツイッターが起爆剤になった。ネット広告市場は先進国ではすでに新聞を上回った。

▼加速する再編

 変化の中で、メディアの再編は加速している。

 1990年代には米国中心にテレビ局と映画制作スタジオなどの統合が進んだ。バイアコムのパラマウント買収(93年)、ディズニーのABC買収(95年)、バイアコムのCBS買収(99年、その前の95年にウェスチングハウスが買収したのを再度買収)、2000年のAOLとタイムワーナーの合併などが代表だ。

 21世紀に入ると、伝統的な新聞や報道機関を巻きこむ再編が加速した。2007年のニューズ社によるダウジョーンズ買収(ウォールストリートジャーナル紙発行)やトムソンによるロイター買収などが代表だ。

 米大手新聞社の経営危機が表面化し、シカゴ・トリビューン紙やロサンゼルス・タイムズ紙を発行するトリビューン社が経営破たんした。2009年のクリスチャン・サイエンスモニター紙に見られるように、紙の新聞発行を停止し、電子版だけにする動きも続いた。

 2010年代に入っても、この動きは基本的に変わらない。2013年からニュースウイーク誌は紙の発行を停止し、完全デジタル版に変わった。タイムワーナー社は出版子会社タイムの分離を発表した(実施は14年)。そして、今回のワシントンポストの売却だ。

▼体制は当面変えず

 2007年のニューズ社によるダウジョーンズ(WSJ)買収の際には、ニューズ社のマードック会長による編集介入などへの懸念が声高に叫ばれた。それに比べると、今回の買収への抵抗感などは少ないように見える。

 ドナルド・グラハムCEOはベゾス氏の人柄や手腕が決め手になったとコメント。ベゾス氏は買収後も当面ワシントンポストの経営や編集体制を変えず、編集に直接関与することもないとの姿勢を示した。

 一方で社員向けのメッセージで、「インターネットにより報道業界は様変わりしている」と指摘。時代の変化に応じた変革の必要性を訴えた。

▼EPIC2014の予言

 アマゾンと報道というテーマでは、10年前の2004年にネット上に公開された「EPIC2014」というビデオが話題になったことがある。このビデオは2014年から過去10年のメディアを解雇するという形をとったもの。

 その時には2008年にGoogleとアマゾンが合併して「Googlezon」が誕生。ニュース価値などまでを判断できるプログラムを開発し、優れたニュースサイトを作って市場を席巻していく。その結果、NYタイムズはネットの世界から撤退し、少数部数の紙媒体のみを発行するこじんまりとして存在になっている、という筋立てだ。

 ビデオの中では、SNSとネットサービスの発展、著作権、メディア再編など様々な問題が提起されている。そして何より「Googlezon」という言葉が、ネット時代の新勢力を象徴する言葉として広まった。

 実際の世界はビデオとは異なる展開になっているが、問いかけた問題の本質は変わっていない。

▼問われる報道機関の役割

 買収は報道の役割や国家と報道の関係という、古くて新たしい問題に改めて問いを投げかけた。

 買収決定後、ポスト紙オピニオン・ライターのEugene Robinsonは"Thanks, Graham family"と題する記事で同紙が果たした役割を強調。この他にもワシントンポストのこれまでの業績と、報道機関として求められる役割などに焦点を当てた記事がポスト紙をはじめ各紙に多数掲載された。

 「権力のチェック」という報道機関の伝統的かつ最重要の役割を語る上で、ウォーターゲート事件報道は欠かせない。スクープした記者、調査報道をリードした編集幹部はもちろん、権力との対立というぎりぎりの局面でリスクを負う決断ができた当時の社主キャサリン・グラハムが果たした役割は大きかった。

 ネット革命で情報の流れは変わり、報道機関の役割も問い直されている。アラブの春でみたように、いまやネットの世論形成力は時には新聞など伝統的メディアをしのぐ。しかしネットは情報の洪水になるだけのこともある。

 ネットと紙のコラボレーション、ビジネスモデルの組み替え、新しい企業形態--。伝統メディアは生き残りと時代に即した新しい役割を模索して試行錯誤している。

▼ネット時代のメディア

 従来想定外だった新たな問題も、次々に突きつけられる。米安全保障当局による個人情報の収集問題は、国家だけでなくネット企業やメディアに対しても「安全保障vs個人の権利」「個人情報管理」などの問いを突き付けた。2010年に起きたWikileaks問題も、本質は変わらない。

 中国などでは、ネット規制が一段と強まっている。サイバー攻撃はもはや一部専門家の話ではなく、皆の問題になった。問題意識は、ネット時代のメディア、ネット時代の社会という課題にも及ぶ。

 容易に答の出る問題ではない。買収は、そんなメディアを取り巻く実態や変化を改めて考えさせる。

2013.8.11

2013年32号(8.5-11 通算685号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年8月5-11日

◆アマゾン創業者がワシントンポスト買収(5日)☆☆
・アマゾンのベゾスCEOがワシントン・ポストの新聞部門を買収した。
・同紙はNYタイムズと並ぶ米国の代表的な新聞。
・ウォーターゲート事件報道(→ニクソン大統領辞任)等の実績があり、世論形成力は大きい。
・しかしネット化、読者の紙離れの影響で、部数はピーク時から半減した。
・新時代生き残りのために、売却に踏み切った。
・業務は従来体制を継続、編集方針も変わらないとする。ただ長期的には変化が予想される。
・2007年のニューズ社によるWSJ買収などに続き、メディア業界の変化を象徴する。

◆米ロ首脳会談見送り、関係再検討(7日) ☆
・米政府は9月にモスクワで開催予定の米ロ首脳会議を見送ると発表した。
・個人情報取得をリークした元CIA職員の亡命をロシアが認めたことに対する報復。
・オバマ大統領は9月5、6日にロシアで開催するG20首脳会議には参加する。
・大統領は9日会見し、米ロ関係のあり方を再検討する時期が来たと表明した。
・米ロ関係は新冷戦とも言われた前大統領時代→オバマ政権誕生でリセットした。
・しかしここに来てロシアの強権姿勢強化、シリア問題、核軍縮など対立が目につく。
・事務レベルでの協議は継続する。

◆A.ロドリゲスらに出場停止(5日) ☆
・米大リーグ機構は、薬物規定違反で13選手を出場停止処分にすると発表した。
・ヤンキースのA.ロドリゲスなど。
・ロドリゲスは異議を申し立て、同日の試合に出場した。他の12人は処分を受け入れた。
・選手は2009年から2012年にかけて、マイアミ州のクリニックから薬物提供を受けたとされる。
・今年1月に地元メディアが報道、大リーグ機構は昨年から内偵していた。
・大リーグは2003年からドーピング検査を導入。05年からは禁止薬物の範囲を拡大した。
・今季からは全選手の血液サンプルを採取することで合意している。

◆トルコが軍元幹部ら終身刑、政権転覆容疑で(5日)
・トルコ裁判所はエルドアン政権の転覆を図ったとして、軍元幹部ら19人に終身刑を言い渡した。
・バシュブー元軍参謀総長のほか、有力政治家や著名ジャーナリストら。
・転覆計画は2007年発覚。非合法民族主義組織が首謀したとされる。
・2008年から裁判が行われていた。
・背景には、親イスラムのエルドアン政権と、世俗主義の軍など反エルドアン勢力の対立がある。
・同国では5月末から反エルドアン政権のデモが続く。

◆米が中東の公館一時閉鎖、国民に退避勧告
・米政府は4-10日、中東北アフリカの19の公館を一時閉鎖した。
・テロ計画の情報が流れたため。
・6日にはイエメン滞在の自国民に対し避難勧告を出した。
・地域各地では、外国人を狙うテロが散発している。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ           
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【米ロ関係緊張】 オバマ米大統領が対ロシア関係の再検討を表明した。シリア問題、核軍縮の難航、米国によるミサイル配備などで対立が続いていたが、米安全保障当局の活動をリークした元CIA職員スノーデン氏の亡命をロシアが受け入れたことでダメ押になった格好だ。
 オバマ米大統領就任時(2009年)の対ロ政策は、前政権(ブッシュ政権)時代に「新冷戦」と言われるほどに悪化した関係を「リセット」し、協調関係を模索するスタンスだった。しかし、政権発足から5年目にして、軌道修正を迫られた形だ。
 2012年のプーチン大統領の再登板以来、ロシアは国内政治も強権化が目立つ。一方、オバマ大統領も発足時のリベラル的スタンスより、米国の利益を優先させる傾向が強まっているとの指摘が多い。

◎今週の注目(2013.8.12-18)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・エジプト、イエメンなどのテロ警戒など、中東での不穏な動きに注意。

・G20首脳会議が9月5-6日にロシアのサンクトペテルブルクで開催。
・豪州の総選挙が9月7日に行われる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2013 INCD-club

2013年8月 4日 (日)

2013年31号(7.29-8.4 通算684号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年7月29日-8月4日
 

◆イスラエルとパレスチナ、3年ぶりに直接交渉(29日)☆
・イスラエルとパレスチナは2010年秋以来3年ぶりに直接交渉を再開した。
・リブニ法相とアリカット交渉担当者がワシントンで会談した。
・米国が仲介。期限などは定めていない。
・2つの国家共存を原則とするが、国境線や入植地など解決すべき問題は多い。
・直接交渉の開始→信頼性醸成などの期待がある。
・シリア内戦、エジプト混乱など中東情勢は不安定を増している。
・そうした中で、米国はパレスチナ問題の改善を模索。3月にはオバマ大統領が訪問した。

◆ロシア、スノーデン氏の亡命受け入れ(1日)☆
・ロシアは米からスパイ容疑で起訴されている元CIA職員スノーデン氏の亡命を受け入れた。
・期限1年の臨時措置とする。国内での滞在先などは不明。
・同氏は米政府による個人情報などの収集を暴露。香港→ロシアに滞在していた。
・米政府はロシアを批判。米ロ関係が緊張する可能性がある。

◆カンボジア総選挙、与党が勝利宣言、野党は批判(28日実施)
・総選挙が行われ、フン・セン首相与党の人民党は過半数を獲得したと発表した。
・123議席中68議席を獲得。野党救国党は55とする。与党議席は前回の90から減少。
・野党は不正があったとして受け入れを拒否。与野党は調整員会を発足させる。
・同国ではフン・セン氏が28年間首相の座にある。
・経済成長を続けるが、格差拡大や汚職への批判も強まっている。
・選挙結果にもそうした不満が表れた。混乱が長引けば、経済にも影響する。

◆ベルルスコーニ元首相に有罪判決(1日)(^^)
・イタリア最高裁は、ベルルスコーニ元首相に禁錮4年の判決を下し、有罪が確定した。
・恩赦法により1年に減刑された。70歳以上のため刑務所収監は免れ、自宅軟禁となる。
・公職禁止については高等裁に差し戻し。上院議員資格は当面保たれる。
・元首相は所有するテレビ局メディアセットの脱税の罪で起訴されていた。
・元首相が売春疑惑などスキャンダルまみれでありながら、政治力を維持してきた。
・政界からの完全引退を強いる内容にはなっていないが、政治活動に影響する。

◆エジプト対立継続、緊張高まる
・暫定政府とモルシ前大統領支持派の対立が続く。
・金曜礼拝のあった2日、支持派はカイロなどで座り込みやデモを展開した。
・7月26日のような大規模な衝突・死傷者発生は報告されていない。
・治安当局は1日以降、速やかな撤去を要求している。
・強制排除の可能性も指摘され、緊張が高まっている。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ           
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【不透明な経済】 世界経済は部妙な状況が続く。米FRBは7月30-31日の連邦公開市場委員会で、量的緩和とゼロ金利の維持を決定。注目の量的緩和の規模縮小については、声明で景気や雇用状況を見ながら決定すると様々な解釈可能な表現だった。ユーロ圏では失業者数が2年ぶりに減少するなど景気底打ち感が出てきた可能性もある。中国は景況感小幅改善の指数があるが、金融システムの不安などは変わらない。

 【イラン大統領就任】 イランのロウハニ大統領が3日就任した。演説では、過激主義を排除すると国際社会との対話を重視する姿勢を示唆。欧米などによる経済政策の解除に意欲を示した。対欧米強硬を前面に出したアハマディネジャド前大統領と一線を画した。最高指導者ハメネイ師もとりあえず指示する姿勢だった。中東情勢が揺れ動く中、イランの動向は重要。新大統領には大いに注目だ。

◎今週の注目(2013.8.5-11)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・エジプト情勢は混乱が続く。当面、当局による強制排除があるかどうかが焦点。

・G20首脳会議が9月5-6日にロシアのサンクトペテルブルクで開催。
・豪州の総選挙が9月7日に行われる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2000-2013 INCD-club

« 2013年7月 | トップページ | 2013年9月 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ