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2013年7月

2013年7月28日 (日)

2013年30号(7.22-28 通算683号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年7月22-28日

◆朝鮮戦争休戦60周年(27日)☆
・朝鮮戦争の休戦協定が締結されて60周年を迎えた。
・北朝鮮は平壌で大規模な軍事パレードを実施した。
・金正恩第一書記の演説はなく、政治局員が防衛力強化などを訴えた。
・中国から李源潮国家副主席が参加した。
・韓国はソウルで記念式典を行い、北朝鮮に核放棄などを求めた。
・朝鮮半島情勢を巡る情勢は、緊張と対話の間で揺れ動きながら変化している。

◆エジプトで衝突拡大(26日)☆
・暫定政権支持派とモルシ前大統領支持派が各集会を開催した。
・治安部隊と親モルシ派が衝突し、75人以上が死亡。数百人以上が負傷した。
・同国では今月初め、軍が事実上のクーデターでモルシ大統領を解任。
・軍と前大統領支持のムスリム同胞団などの対立が先鋭化している。

◆中国、薄熙来元政治局員を起訴(25日)
・中国検察当局は元重慶市トップの薄煕来氏を収賄や職権乱用で起訴した。
・同氏は昨年4月に全党職を剥奪されていた。
・失脚の背景には胡錦濤前総書記体制との対立など、党内権力抗争があったとされる。
・習近平執行部が早期起訴に踏み切ったのは、権力基盤固めを急ぐ姿勢との見方がある。
・真相は明らかでないが、習体制の権力基盤、党内の力学など様々な背景が控えている。

◆ローマ法王ブラジル訪問(22日から)
・ローマ法王フランシスコが初の外遊先としてブラジルを訪問した。
・できる限り一般の信者と触れ合う機会を作っている。
・ブラジルは1億2000万人のカトリック信者を抱え世界最大。
・しかし最近はプロテスタントへの改宗者も増え、信者離れが問題になっている。
・中南米では4億人の信者を抱え、初の同地域(アルゼンチン)出身法王誕生の背景になった。
・法王は中絶などでは従来のカトリックの主張を堅持。他宗教との対話などには積極的だ。

◆英皇太子夫妻に男児誕生(22日)
・英国のウィリアム王子妻のキャサリン妃が男児を出産した。
・ジョージと名づけられた。皇位継承権第3位で将来の国王になる。
・従来のように宮殿での育児だけでなく、キャサリン妃の実家でも育てられる予定。
・世界の注目を集めた出産で、多くの話題を提供している。

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◎寸評:of the Week
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 【スペインの列車事故】 世界の動向を象徴したり行方を左右する類の話でないが、注目を浴びるのが事故。スペイン北西部ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステラ近郊でで25日、高速鉄道脱線事故が起き、80人超が死亡した。スピードの出し過ぎが原因とみられる。同地はキリスト教の巡礼地として有名で、25日は聖ヤコブの日の祝日だった。横転する列車の映像は、衝撃的だった。

◎今週の注目(2013.7.29-8.4)&当面の注目
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・エジプト情勢は対立が先鋭化。予期せぬことが起きてもおかしくない。
・シリア情勢も泥沼化のまま。EUは反体制派への武器輸出禁止を8月から解除することになっているが、実際には反体制派内も対立が続き、武器がテロリストに流れるリスクも増大している。簡単に禁輸解禁に動ける情勢でもない。
・市場は引き続き不安定な動きが続く。

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2013年7月21日 (日)

2013年29号(7.15-21 通算682号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年7月15-21日

◆デトロイト市が財政破綻(18日)☆
・米デトロイト市が連邦破産法9条を申請し、財政破綻した。
・負債総額は180億ドル。
・自動車大手のGMが2009年に破綻。生産の海外移転もあり税収が減少した。
・治安の悪化で住民は周辺に移動。人口は1950年代の250万人→70万人。
・公務員の年金などレガシーコストが大きく、財政を維持できなくなった。
・産業構造変化→地方財政悪化の典型的事例。世界が抱える問題の象徴例といえる。

◆日本参院選、国会のねじれ解消(21日)☆
・参院選が行われ、与党の自民、公明党が非改選を合わせ過半数を確保した。
・この結果、衆参院の多数が異なるねじれが解消された。
・安倍政権は2012年12月の発足以来高支持率を維持、政権基盤が強化された。
・日本の政権は2006年以来ほぼ1年ごとに交代。久しぶりに長期政権の可能性がある。

◆中国、銀行貸出金利の下限撤廃(18日)☆
・人民銀は銀行の貸出金利の下限規制を撤廃すると発表した。
・これまで貸出金利には下限、預金金利には上限を設定。銀行は利幅を確保できた。
・硬直的な金利体系が歪みを生み、シャドーバンキング拡大などをもたらしていた。
・金利自由化に一歩踏み出す形。

◆黒人少年射殺に無罪、全米で抗議デモ(13日)
・フロリダ州で黒人少年が射殺された事件に評決があり、被告の白人男性は無罪だった。
・これに対し14日以降、全米各地で抗議のデモが繰り広げられた。
・オバマ大統領は19日、事件について「35年前の自分だったかもしれない」とコメントした。
・抗議の広がりは、いまだ人種差別の名残りが残る米国社会を映す。

◆ロシア野党指導者に有罪、ロシア民主化後退の批判(18日)
・中部キーロフ州の裁判所は、野党有力指導者に禁錮5年の有罪判決を下した。
・A・ナワリニー氏で汚職追及のブロガーとして有名。11年の反プーチン抗議活動でも中心。
・2018年大統領選への出馬を表明。9月のモスクワ市長選にも届け出をしていた。
・森林売却に絡む横領の罪で当局に起訴されていた。
・背景には政権による同氏封じ込めの思惑があったとの疑いが強い。
・判決にはモスクワなどで抗議活動が展開され、ゴルバチョフ元大統領も批判した。
・国際的にもロシアの民主化後退への批判が強まり、投資にも悪影響を及ぼしそう。

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◎寸評:of the Week
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 【G20と世界経済・金融】 G20の財務相・中銀総裁会議が20日モスクワで開催。世界経済や金融について協議した。世界経済は新興国の減速などで回復力が弱く、IMFやアジア開発銀行なども成長見通しの下方修正をしたばかり。金融市場では米FRBのバーナンキ総裁の「緩和縮小」発言などを受けて動揺、新興国からマネーが流出する「マネー逆流」も起きている。中国ではシャドーバンキング問題に焦点が当たる。ユーロ圏では南欧諸国の財政改革への抵抗が依然根強い。様々なリスク要因を抱える実態が映し出された。

◎今週の注目(2013.7.22-28)&当面の注目
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・7月も後半を迎え、夏休みシーズンに入る。夏は不測の時間や騒乱が起こりがち。エジプトやシリアを中心とした中東情勢、北アフリカなど要注意の地域は多い。
・世界経済と金融も不安定な状況が続く。要注意。
・28日にカンボジア総選挙。

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2013年7月14日 (日)

2013年28号(7.8-14 通算681号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年7月8-14日

◆エジプト組閣、前大統領支持派は抗議継続 ☆
・マンスール暫定大統領は8日、憲法宣言を発表。民主化のロードマップを示した。
・年内に憲法改正の国民投票を実施。来年初めまでに議会選、大統領選を行う予定。
・暫定大統領は9日、ベブラウェ元財務相を首相に指名し、組閣を命じた。
・副大統領にはエルバラダイ前IAEA事務局長を指名した。
・モルシ前大統領支持派は抗議活動を続け、8日には当局の銃撃で51人が死亡した。
・モルシ氏支持のムスリム同胞団は、12日にも大規模なデモを展開した。
・エジプト情勢は引き続き混迷が続き、事態収拾の展望は見えない。

◆米中戦略・経済対話(10-11日)☆
・米中は経済・外交を話し合う戦略対話をワシントンで開催した。
・経済では投資協定の交渉推進などで合意。中国の金融問題なども協議した。
・サイバー攻撃や米政府による情報収集は平行線をたどった。
・協議にはケリー国務長官やルー財務長官、楊国務委員、汪副首相らが参加した。
・同対話は2006年から隔年で開催している。

◆LIBOR算出をNY証取Gに移管(9日)☆
・NYSEユーロネクストは、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の算出を引き継ぐと発表した。
・LIBORは国際的な基準金利。従来は英国銀行協会が算出していた。
・2012年に大手銀による不正操作が発覚。英当局が改革に乗り出していた。
・算出主体を公募した結果、米系企業グループに任せることになった。
・監督は引き続き英金融当局が行う。

◆中国、住民デモで核燃料工場建設中止(13日)☆
・広東省江門市政府は、核燃料工場建設計画を撤回すると発表した。
・大規模な反対デモが発生。中止に追い込まれた。
・工場は2020年に完成。年1000トンの金属ウランを原発に供給する予定だった。
・中国の原発は建設中も含め45基。2020年までに50基を新設する予定。
・中国の国家プロジェクトが住民の反対で中止になるのは異例。
・各地で頻発する抗議活動にも影響する可能性がある。

◆英空港でB787が発火(12日)
・ロンドン・ヒースロー空港で、停止中のエチオピア航空ボーイング787型機が発火した。
・アジスアベバから到着し、引き返す途中だった。
・B787は今年初めにバッテリートラブルで発火。4月から運航再開した。
・事故の原因などは調査中。

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◎寸評:of the Week
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 【ウインブルドンと英国】 テニスのウインブルドン男子シングルスで、A.マリーが英国人として77年ぶりに優勝した。英国で開催するのに活躍するのは外国人ばかり、という状況が「ウィンブルドン現象」と呼ばれるようになって久しいが、本家のテニスでは久しぶりに英国の存在感を見せつけた形だ。
 ただ、7月1日には中央銀行であるイングランド銀行の総裁にカナダ中銀総裁だったカーニー氏が就任。9日には国際的な金利基準LIBORの算出を、NY証取などを運営する米系のNYSEユーロネクストに任せることを決めた。「ウインブルドン現象」の呼び名の是非はとにかく、英国社会と経済と開放ぶりは変わらない。

 【吉田所長の死亡】 福島第1原発で事故後の処理を陣頭指揮した吉田昌郎所長がガンで死亡した。海外メディアによる週間ニュースレビューの代表格ともいえる英Economist誌の”Politics this week"も、このニュースを取り上げた。日本人の死亡でこの種の扱いを受けるのは、首相経験者でもめったにない。「フクシマ50」と吉田氏の存在が、世界的なニュースだったことの証だろう。

◎今週の注目(2013.7.15-22)&当面の注目
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・引き続きエジプト情勢に注目。

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2013年7月 7日 (日)

◆エジプトクーデターが突きつけるアラブの厳しい現実 20130707

 エジプトで軍がモルシ大統領を解任、実質的なクーデターを実施した。同国初の民主選挙で選ばれた大統領は、混乱の末、1年で座を追われた。独裁政権を打倒したアラブの春から2年を経て、混乱と対立ばかりが際立つ。

▼解任劇

 実質クーデターは混乱の極みの中、世界中の注目が集まる中で行われた。6月30日のモルシ大統領就任1年を前に、同国内では大統領退陣を求める反大統領派のデモが拡大。大統領支持派との衝突も頻発し、混乱が拡大していた。

 こうした中で軍は7月1日、大統領に対して48時間以内の事態収拾を要求。これに対し大統領は退陣拒否で応えた。軍トップのシシ国防相は3日になってテレビ演説。大統領の解任と憲法の一時停止、マンスール憲法裁判所長官への大統領権限移譲などを発表した。

 この後、軍はモルシ大統領の身柄を拘束。同時に大統領の支持母体であるムスリム同胞団ノ「バディア最高指導者や、同胞団傘下の与党自由公正党のカタトニ党首らも拘束した(バディア氏らはその後解放)。

 4日にはマンスール氏が暫定大統領に就任。同氏は上院の解散を命じた(下院は6月に憲法裁が選挙戦無効を宣言)。

▼徹底抗戦

 軍はモルシ大統領が国民の要求を満たす事に失敗したと強調。同時に、自らが前面に出ることはなく、早期に選挙を実施すると強調するなど、国民や国際社会への配慮をのぞかせた。

 しかしモルシ前大統領支持派は、当然ながら解任劇に反発。抗議集会を展開している。5日には前大統領の解任支持派と反対派が全土で衝突。20人以上の死者が出た。ムスリム同胞団は徹底抗戦を主張。混乱は一層拡大する可能性がある。

▼希望→混乱の1年

 モルシ大統領が昨年6月に就任した際には、支持母体のイスラム系ムスリム同胞団だけでなく、幅広い政治勢力を結集して国の再建に努めると公約した。しかし、現実には政府などの主要ポジションは同胞団系の人材が占め、世俗派やキリスト教徒らは締め出された。

 11月には大統領権限を強める政治命令を発表。司法による大統領のチェックを制限する内容が含まれ、「大統領独裁」との批判が強まった。イスラム色を強めた新憲法案を制定、12月の国民投票で承認させた。

 実務家らが締め出された影響もあり、国家再建や経済は低迷。30歳以下の失業率は60%に達するとの見方もある。海外からの投資も落ち込み、治安は悪化している。

 国は混乱を深め、過去1年で民主化への希望から混迷の拡大へと動いたといって過言ではない。

▼混乱長期化の懸念

 混乱が収まる見通しはない。ムスリム同胞団は態度を堅くしている。軍や暫定大統領を中心とした新体制に協力的になると考えるのは非現実的に見える。

 再度の選挙を行っても、組織力などに勝るムスリム同胞団系が勝利する可能性も大きい。そうなれば、1年前からの混乱の再現になりかねない。民主化と安定が相いれない状況が続き、エジプトは袋小路に陥ってしまった感じすらする。
 
▼欧米のジレンマ

 国際社会の反応は2分している。アフリカ同盟(AU)は軍による解任を批判、エジプトの資格を停止した。一方、サウジアラビアをはじめとする湾岸諸国は軍の行動を支持した。

 欧米の反応は歯切れが悪い。フランスや英国は軍の行動を支持しない声明を発表した。ただ、エジプトやアラブ諸国の国民感情に配慮した側面もあり、表面通りに受け止められない。米国は暴力の即時中止などさし障りのない表現で双方に自制を呼びかけ、明確な立場表明を避けた。クーデターという言葉も使わなかった(クーデターを起こした国家には援助ができなくなる)。

 こうした対応も、ジレンマの表れだろう。民主化支持の姿勢は変えられない。しかし混乱の拡大から地域の安定が失われ、テロの温床が広がるのは甘受できない。イスラム系の台頭は避けたい。欧米にとっても、出口の見えない状況だ。
 
▼アラブの春の終焉?

 状況は、周辺国にも共通する。アラブの春で、ベンアリ独裁政権を倒したチュニジアでは、選挙でイスラム色の強い政党が政権を握った。しかし、世俗派などとの協調は難航し、経済再建は進まない。

 カダフィ政権を打倒したリビアでは、12年7月に国民議会選が行われ、権限を移譲された。しかし、正式な政府樹立の工程は遅れている。治安は安定せず、民兵の衝突が相次いでいる。

 シリアは内戦が続き、死者は10万人を超えた模様。イエメン、バーレーンなども混乱が続く。

 共通するのは民主化と安定の相克、経済再建の遅れ、イスラム原理主義の影響拡大など。アラブの春では、民主化の先に国の再建や安定、経済発展が期待された。その期待は、厳しい現実の前に色を失っている。

▼エジプトの悲劇

 英Economistは近況をエジプトの悲劇(Egypt's tragidy)と表現する。欧米主要メディアが「一刻も早い選挙実施を」などとしか主張できないところにも、ジレンマと手詰まり感が表れている。

2013.7.7

 

2013年27号(7.1-7 通算680号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年7月1-7日
 

◆エジプトでクーデター(3日)☆☆
・軍はモルシ大統領の解任と、憲法の一時停止を発表した。
・大統領権限はマンスール憲法裁長官に移管。同氏は暫定大統領に就任した。
・モルシ氏の身柄は拘束。母体のモスレム同胞団トップらも拘束した。
・事実上のクーデター。
・モルシ氏は昨年6月、初の民主的選挙で大統領に就任した。イスラム系の支持が支え。
・しかし社会の治安維持や経済再建に失敗。イスラム色を強め、世俗派らの反発を買った。
・先月からはモルシ大統領の退陣を求めるデモが拡大。混乱が広がっていた。
・軍は1日、大統領に対し事態収拾を求める声明を発表。2日後に解任に動いた。
・モルシ氏支持派は軍の行動への抗議儀活動を拡大。各地で衝突が起きた。
・軍は早期の選挙実施→安定を模索するが、混乱収拾のメドは立っていない。

◆クロアチアがEU加盟(1日)☆
・クロアチアがEUに加盟。EUは28カ国体制になった。
・新規加盟は2007年1月のブルガリアとルーマニア以来。
・ユーロ危機以来EUの求心力は揺らいでいる。
・それでも旧東欧など周辺諸国は、EU 加盟に安定を求めている面が強い。

◆ベネズエラが元CIS職員亡命受け入れ表明(5日)☆
・ベネズエラのマドゥロ大統領は、スノーデン元CIA職員の亡命受け入れを表明した。
・同氏は米安全保障当局による個人情報の収集をリークした。
・滞在先の香港からモスクワに移動。亡命先を求めていた。
・ボリビアも同様に亡命受け入れを表明した。

◆オバマ米大統領アフリカ訪問(6.26-7.3)
・オバマ米大統領がセネガル、南ア、タンザニアを訪問した。
・各国首脳と協議し、南アでは演説でアフリカ支援拡大などを表明した。
・中国など各国は近年アフリカとの経済関係強化を急ぎ、米国は出遅れ感がある。
・訪問中にマンデラ元南ア大統領の容態が深刻化。会見は実現しなかった。

◆アシアナ航空機が事故(6日)
・米SF空港でアシアナ航空のボーイング777が着陸に失敗し炎上。
・乗員・乗客307人中2人が死亡し、130人が病院に運ばれた。
・B777による死亡事故は初めて。

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◎寸評:of the Week
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 【エジプトのクーデター】 エジプトのクーデターが世界を震撼させた。「あってもおかしくない」状況になっていたが、実際に起きてみるとやはり衝撃的だ。民主化の難しさ、イスラム原理主義と世俗主義の相克など、中東・アラブ世界を覆う問題の難しさを改めて突きつける。それは、世界の安全保障の大問題でもある。

◎今週の注目(2013.7.8-14)&当面の注目
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・エジプト情勢から目が離せない。

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