« 2013年11号(3.11-17 通算664号)  国際ニュース・カウントダウン | トップページ | ◆中国胡・温体制の遺産 2013.3.17 »

2013年3月17日 (日)

◆ローマ法王情報メモ 2013.3.17

 新しいローマ法王に13日アルゼンチン出身のフランシスコ1世が選ばれた。前法王ベネディクト16世の存命中の退位が異例(約600年ぶり)なら、新法王が米州出身、イエズス会出身なのも初めてだ。

 法王やカトリック教会を巡る問題は奥が深く、世俗的な視点からだけの表面的な分析はかえって本質を見誤らせる恐れがある。それでも今回の一連の動きからは、ローマ教皇やカトリック教会を巡る情勢変化や課題が見えてくる。情報を整理する。

▽新旧法王

 前法王ベネディクト16世(85)は265代目。ヨハネ・パウロ2世の死去を受けて2005年に就任した。独出身の法王は950年ぶり。今年2月に高齢を理由に辞任を表明し28日退位した。法王の存命中の退位は1415年のグレゴリオ12世以来約600年ぶり。

 新法王となったフランシスコ1世(76)は266代目。本名ホルへ・マリオ・ベルゴリオ氏で、ブエノスアイレス大司教を務めていた。両親はイタリア移民。大学で化学を学び、イエズス会に入会して聖職の道に入った。米州出身の法王は初めてで、イエズス会出身の法王も初。欧州出資以外は1300年ぶりという。

▽コンクラーベ

 新法王を選出するコンクラーベ(法王選出選挙)には80歳未満の枢機卿115人が参加。無記名投票で3分の2の表を集めると決まる。ただし、特定期間を過ぎた後には上位2人の決選投票などに切り替える。20世紀に置きなわれたコンクラーベは8回。2-3日で決まることが多かった。

▽信者数

 新法王の選出は、カトリック教会を取り巻く環境変化を抜きには語れない。全世界のカトリック信者12億人の地域的分布は、中南米が最大で4.8億人。次いで欧州の2.8億人、アフリカ2億人弱、アジア1.5億人、北米1億人弱などと続く。中南米は最大の信者を抱えるだけでなく、その伸び率も高い。

▽保守とリベラルの対立

 カトリック教会内部では、キリスト教の原理を忠実に追及すべきだとする保守派と、現代社会に即した行動を主張するリベラル派が対立してきた。1960-70年代には中南米で実践を前面に出した解放の神学が広がった(教会との関係は単純ではないが)。近年においても、保守対リベラルの対立は重要な問題点になっている。

▽他宗教との和解

 ヨハネ・パウロ2世(1978-2005年)時代から他宗教との対話・和解を推進した。同法王は就任後、プロテスタント諸会派との会合や東方正教会をの和解を推進。ユダヤ教のシナゴークも訪問した。2000年にはエルサレムを訪問し、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の和解に向けた姿勢を示した。こうした動きは他宗教・宗派からも一定の評価を受け、距離が縮まった。

 ベネディクト16世も和解を目指したが、2006年にイスラム教のジハードを批判する(と受け止められる)発言をし、イスラム諸国の反発を招いた。この影響もあり、イスラムとの対話促進は進まなかった。

▽スキャンダル

 カトリック教会内の権力闘争やスキャンダルはしばし表面化している。

 最近のスキャンダルで注目されるのは、カトリック聖職者による幼児の性的虐待スキャンダル。アイルランドやドイツ、米国などで表面化した。教官の威信を揺るがした。

 2012年には強硬あての告発文書がリークされる事件(バチリークス・スキャンダル)が発生。バチカン内の権力闘争を垣間見させた。

▽黒いカネ

 中でも深刻なのは、黒い資金を巡る問題。バチカンとカネの問題は古くから指摘され、1982年代にはバチカンの資金管理を行うアンブロシアーノ銀行の頭取がロンドン・テムズ川のブラックフレイアーズ橋で首吊り死体で発見される事件があり、世界の注目を浴びた。ヨハネ・パウロ2世時代にバチカンの資金がポーランドの連帯支援などに流れていたという疑惑もある。

 その後もマネーロンダリングの疑惑は消えず、近年は米国などが名指しで批判。海外銀行もバチカンとのATM取引を中止するなど問題が広がった。前法王に対しては、こうした問題に十分対処できていないなどの批判も出ていた。

▽海外メディアのコメント

 海外有力メディアのコメントは様々だ。

 新法王への期待はもちろん大きい。新法王の名前の元となった聖フランシスコは、貧しい人々を助け平和を愛した聖人。BBCはPope Francis wants "poor church for the poor"(新法王は貧しい人のための貧しい教会を望む)と評価した。

 NYタイムズは"With Blessing, Pope Shows an Openness to Other Faiths"(他の信念に寛容差を見せた)と他宗教との和解などに期待を示した。

 一方で、教会の改革は容易でないとの認識もうかがわせる。英FTは”A Pope in scandals to lead the Church"という社説で、New way pope faces old forces (新しいやり方を目指す法王は旧勢力と直面する)と指摘。貧困対策などに取り組むことが、スキャンダルに焦点が当たる現状の打開につながるとの見方を示した。

 英Economistは”Rejigging the colleage of cardinals, a thirs of whome are Italian、should be a priority"(枢機卿の改革が優先課題であるべき)と指摘した。

 問題の広がりは大きく、世界への影響も大きい。

2013.3.17

« 2013年11号(3.11-17 通算664号)  国際ニュース・カウントダウン | トップページ | ◆中国胡・温体制の遺産 2013.3.17 »

中南米」カテゴリの記事

世界の潮流」カテゴリの記事

欧州・EU」カテゴリの記事

社会」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ◆ローマ法王情報メモ 2013.3.17:

« 2013年11号(3.11-17 通算664号)  国際ニュース・カウントダウン | トップページ | ◆中国胡・温体制の遺産 2013.3.17 »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

ウェブページ