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2013年1月

2013年1月27日 (日)

2013年04号(1.21-27 通算657号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年1月21-27日

◆テロへの警戒拡大。アルジェリア事件の死者・不明者は40人超 ☆
・アルジェリア首相は21日、人質事件で外国人37人が死亡、5人不明と発表した。
・犯人は29人を殺害、3人の身柄を拘束した。
・実行犯は尋問で、武器をリビアから調達したと供述。ロケット弾なども含まれる。
・フランスはテロへの警戒を強化。パリなどは武装兵士が警戒にあたっている。
・同国は1月にマリに軍事介入。イスラム過激派は報復を狙っているとされる。
・ダボス会議(23-27日)ではテロ対応がテーマになり、参加者は強い警戒を示した。
・事件をきっかけに世界がテロへの危機感を強めている。

◆米大統領第2期就任演説。リベラル色前面 (21日)☆
・オバマ大統領の第2期就任式典が行われ、大統領は就任演説をした。
・リベラル色の姿勢を出し、政府の役割も強調した。
・格差拡大への懸念を示し、富裕者への増税などに意欲を見せた。
・銃規制や環境問題などに言及し、共和党との対決も辞さない姿勢を示した。
・外交では「米国だけで世界の要求に応えられない」と同盟国との協力を重視した。
・世界を導くリーダーシップ、戦略メッセージは弱い。

◆日銀が2%の物価目標(22日)☆
・日本政府と日銀はデフレ脱却に向けた共同声明を発表した。
・日銀は物価目標を1%メド(goal)から2%(target)に変更する。
・14年から期限を定めず資産(国債など)を買い取る緩和策を実施する。
・政府は競争力・成長力強化への取り組むと約束した。
・合意は安倍首相が日銀に迫った形。ただ実現性を疑う見方もある。
・市場では決定を受けて円安が進展。2年ぶりに1ドル=91円台になった。
・欧州やロシアからは円安誘導との警戒・批判も出始めた。
・日本は90年代末から10年以上デフレを経験。新政策は世界も注目する。

◆イスラエル総選挙、ネタニヤフ政権継続、議席は中道にシフト(22日) ☆
・総選挙(120議席)は右派の与党統一会派(リクードなど)が第1党を維持した。
・ネタニヤフ首相が続投する。ただ議席は42→31に減少した。
・中道新党「未来がある」が第2党に躍進。右派・宗教政党と中道・左派が共に60。
・前評判が高かった極右ユダヤの家は11にとどまり、極右の政権入りはなさそう。
・首相は今後連立工作に入る。中道との連立の可能性もある。
・2009年発足のネタニヤフ政権は入植地の建設、対イラン強硬策などを進めた。
・選挙の結果、当面強硬策は進めにくくなる。連立交渉は地域情勢に影響する。

◆北朝鮮が核実験宣言、国連制裁強化に反発(24日) ☆
・北朝鮮が核実験を実施すると宣言した。国防委声明で表明した。
・国連安保理は22日、昨年末の北朝鮮のミサイル発射に対し制裁強化を決めた。
・核実験宣言は安保理決議への反発で、「全面対決に入る」を言明した。
・米国を攻撃目標にするとも明言。昨年のミサイル(衛星)も米国が目標と指摘した。
・核実験を行えば2006年と09年に続いて3回目。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【盛り沢山】 重要な動きが相次いだ。ベスト5以外にも、エジプトのデモで流血(25日)、ダボス会議(23-27日)、英国のEU離脱議論、アップルの時価総額世界1転落、米下院が国債発行の上限アップで合意(5月まで)など盛り沢山だ。

 【波紋広がるアルジェリアのテロ】 アルジェリアの人質事件は世界を震撼させた。16日の発生から軍による作戦終了まで4日間。セラル首相は21日、外国人の死者が37人、不明者5人と発表したが、さらに増える可能性もある。犯人が北アフリカなど各国出身者で構成されていたこと、地対空ロケットなど最先端の武器を保有していたこと、武器はリビアから調達したことなどが次々に判明した。
 各国は報復テロの警戒を強めている。マリに軍事介入しイスラム過激派の反発を買っているフランスは特に神経質だ。パリでは軍による警備が強化され、街は銃を持つ兵士であふれる。
 ダボス会議でもアルジェリア情勢や対テロ問題が話題を占め、G8首脳会議でもこの問題が中心テーマになる見込み。2001年の9.11やアフガン戦争、2003年にイラク戦争、2005年のロンドンのテロ、2011年のアラブの春・リビア内戦などに続き、今回の事件は「テロとの戦い」の重要な節目になる。

 【エジプトの政情不安】 エジプトの政情不安が深刻化しつつある。2年前に反ムバラク運動が始まった記念日である25日には、各地で反モルシ大統領派、大統領支持派のデモが繰り広げられた。スエズでは反大統領派のデモが治安当局と衝突。8人の死者が出る流血事態になった。全国で300人の負傷者が出た。
 6月にイスラム系のモルシ大統領が選出されてから半年以上が経過した。大統領支持派と反対派の対立が深まり、混迷は深まる。反大統領派は新たな独裁と警戒する。背景には経済状況の悪化があり、失業率は12%、若年質量率は20%を超える。
 アルジェリア事件やシリア情勢に象徴されるように、北アフリカ・中東の治安は深刻化している。地域大国のエジプトは安定の要として期待されてきた。実態は、安定どころか不安定に向かっている。

 【日本の金融政策】 日本の政府と日銀がデフレ脱局の共同声明を発表した。この中で日銀は2%のインフレ目標(target)を設定(従来は1%のメド=goal)。また、2014年から毎月、期限を設定しないで国債やRIETなどの資産を買い取ることを決めた(従来は年度末の残高を決めていた)。
 従来より踏み込んだ金融緩和策で、実現の背景には日銀法改正もちらつかせた安倍首相の日銀への圧力があった。首相は共同声明について、レジームチェンジと強調した。
 これに対して白川日銀総裁は、金融政策だけでデフレ脱却は難しいとの考えを強調。政府の成長戦略の実現や規制緩和など政府の責任を強調した。
 今回の政策につい定見は分かれる。金融専門家の中ものデフレ脱却に必要との意見がある(クルーグマンなどは従来からインフレ目標設定・金融緩和を主張)。その一方で、実態経済が弱い中での金融緩和には限界があるばかりか、無理な目標設定はかえって混乱を招くなどの反対意見もある。
 市場でも様々な思惑、読み方が交錯する。決定をにらんで円安が進み、2010年以来1ドル=90円台になった。欧州などからは日本が円安誘導をしているとの警戒が広がり、メルケル独首相はダボス会議で懸念に言及した。IMFのラガルド専務理事は為替競争の引き金にならないかとの懸念を示した。
 波及効果は未知数だ。ただ、久しぶりに日本の金融政策が世界から注目されていることは間違いない。

 【アップルの時価総額】 アップルの時価総額が25日、世界1から転落した(エクソンモービルが逆転)。iPhoneやiPadを武器に世界一になったのが2012年。時価同額はピーク時(7000億ドル弱)から約40%下がった。
 背景には、次の成長期待が見えにくいこと。iPhoneやiPadはタッチパネルやアプリという新しいサービスを広げた。それに続く大きなサービスは、今のところ見えない。
 アップルの株価には、ITサービスの未来そのものへの思惑も反映されている。

◎今週の注目(2013.1.21-27)&当面の注目
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・北朝鮮が核実験に踏み切る可能性がある。北朝鮮は「高い水準」の核実験を行うと予告しており、従来のプルトニウム型でなく、濃縮ウラン型核兵器の可能性がある。
・日本の禁輸政策などを材料に、金融市場が動く可能性がある。

・オバマ大統領の一般教書は2月11日。
・米国債発行の上限を拡大する協議の期限が2月末。

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2013年1月20日 (日)

◆アルジェリア人質事件が問いかける問題 2013.1.20

 アルジェリア東部のガス施設を16日イスラム過激派が襲撃。人質を取って立てこもり、外国人を含め多数の死傷者が出た。事件はアルジェリア及び北アフリカにおける過激派の勢力拡大、不安定な政情、世界にとっての安全保障上のリスクなど多くの問題を突き付けた。現時点で分かっている情報をベースに問題点を整理する。

▼事件の経緯

 事件は唐突に発生した。同国東部イナメナスの天然ガス開発の施設をイスラム過激派が襲撃。当初空港に向かうバスを襲撃したのち、施設の居住区やプラント本体を占拠し、外国人を含む人質多数を取って立て籠もった。犯人はアルカイダを名乗って犯行を認め、仏軍のマリ攻撃の停止や米国で拘束されている過激派の釈放などを求めた。

 アルジェリア政府はテロに屈しないと表明。軍が施設を包囲し、17日に攻撃を開始。同日にいったん作成終了を発表した後も、19日まで攻撃を繰り返した。

 この過程で多数の死傷者が出た。内務省の19日の発表では人質23人、犯人32人が死亡したとしているが、被害はさらに増える可能性が大きい。

 事件があったのは天然ガスを開発する施設で、ノルウェーのStatoil、英国のBP、アルジェリアの国営企業の合弁。首都アルジェから1300キロ東南方に立地する。プラントの周辺には居住地域があり、アルジェリア人と外国人合わせ多数の人間が働いていた。事件後解放された人質は800人以上に上る。

 外国人は英国、フランス、日本の技術者などで、国際社会に衝撃を与えた。国連安保理はテロを強く批判する報道声明を出した。

▼アルカイダ系の犯行グループ

 アルジェリア内務省の情報によれば、事件は元AQIM(イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ)幹部のモフタール・ベルモフタールが率いるグループが実施した。この人物はアルジェリア出身。90年代にアフガンで活動した後に帰国。AQIMで活動をした後に新組織を立ち上げた。鉱物資源や武器の密輸に手を染めていたという情報がある。実行犯はニジェール出身のアルナイジリ氏が率いたという。

 犯行声明では仏軍によるマリ攻撃に抗議しているが、犯行グループはかなり前から犯行を計画し、今回もリビアから入ったとの情報がある。当初は誘拐と身代金請求が目的で、偶発的に立てこもりになったとの観測も流れている。

▼政府の強硬姿勢・情報統制

 ブーテフリカ大統領の政権は犯行グループとの交渉を一切拒否し強硬策を取った。同時に事件発生後情報を統制。海外メディアの取材なども規制した。軍による施設攻撃は、英国や日本など人質を取られている国の政府にも事前連絡なしで行い、その後も発表は限定的だった。

 英国や日本などはアルジェリア政府に対し、連絡の不足などを抗議した。一方、英国米国は基本的にはアルジェリア政府の対応策を支持している。

▼アルジェリア情勢:軍事政権vsイスラム

 事件の背景として押さえておかなければならない点は、まずアルジェリア情勢だ。アルジェリアは1962年にフランスから独立。現在、人口は約3500万人、国民の99%がイスラム教スンニ派。海岸線沿いを除く国土の多くは砂漠(サハラ砂漠)で、天然ガス、石油、鉄鉱石、リンなどの鉱物資源に恵まれている。

 1991年、初の複数政党制による選挙でイスラム原理主義政党のFISが圧勝すると、軍部は92年初めにクーデターを起こし、国家非常事態を宣言した。その後2000年代初めまで軍とイスラム戦力による内戦が続き、10万人を超える死者が出た。1999年の大統領選でブーテフリカ大統領が当選(2009年に3選)。以後同大統領の下で軍事独裁制が続いている(非常事態宣言の撤回は2011年)。

 近年はAQIMなどイスラム過激派の活動が広がり、たびたびテロなどが発生。昨年は200件のテロがあったとの情報がある。軍事独裁、イスラム過激派との対立は、状況把握の基本情報だ。

▼アフリカ・中東のイスラム過激派

 もう1つ押さえておくべき点は、アフリカ・中東におけるイスラム過激派の動向だ。

 1990年代からアフガニスタンやソマリア、イエメンなどの「失敗国家」にイスラム過激派が入り込み、そこを拠点に活動を広げた。2001年の9.11で「対テロ戦争」が世界の共通認識になり、アフガン情勢ではアルカイダが同国を拠点に世界にネットワークを広げている実態が白日のもとにさらされた。

 2003年のイラク戦争で、イラクが過激派の巣窟になった。過激派は、イエメン、ソマリア、中央アジア、北アフリカなどに分散している。2000年代前半-中半にかけては、ロンドンやマドリッド、バリ、ロシア南部がなど世界各地でイスラム過激派によるテロが起きた。

 イスラム過激派とテロは世界の安全保障を考えるうえで重要なキーワードになっている。中東と北アフリカは、その中心地になっている。

▼アラブの春と北アフリカの不安定化

 2011年のリビア内戦では多数の過激派が傭兵として入り込んだといわれる。カダフィ政権が崩壊すると、武器は北アフリカに拡散した。それが過激派の活動拡大の余地を与えた。この地域では人々も過激派も国境を超えて移動し、国境にとらわれないで活動する。それが不安定要因を1国から地域全体に広げる原因になっている。

 こうした情勢が2012年のイスラム過激派によるマリ北部の制圧にもつながった。マリ全土がイスラム過激派の支配下にはいれば、地域の安定はさらに損なわれる。フランスが泥沼化の懸念を抱きつつも、現政権支持のためにマリに軍事介入し、米国や英国が支持しているのもこのためだ。

▼非民主国家と世界の安全保障上の懸念

 イスラム過激派の勢力拡大と北アフリカ・中東地域の不安定化は、世界の安全保障の根底を揺るがしかねない。

 ただ、この地域の政府は非民主的な独裁政権が多く、国民の支持を得ているとは言い難い。米欧などが単純に政権支持といえないのもこのためだ。民主化や情勢安定の見取り図は描きにくく、そこにイスラム原理主義が勢力拡大する土壌がある。

 今回の事件の詳細や真相はまだ不明な点が多い。しかし、問題から世界の抱える深刻な問題が浮かび上がってくる。
 
▼1990年代からのイスラム過激派と世界

 90年代からのイスラム過激派の動向にかかわる主な動きは、以下の通り。押さえておきたい。

・1989年: ソ連のアフガン撤退完了。90年代にかけてアルカイダ結成(ウサマ・ビンラディン)。
・1990年: 湾岸危機
・1993年: ソマリア内戦。首都モガディシュの戦闘をきっかけに米軍が撤退決定。
       無政府状態になった同国とアフガンを拠点にアルカイダが国際テロ組織として発展。      
・1998年: タンザニア、ケニアの米大使館爆破事件。
・2001年: 9.11。対テロ戦争が世界の安保の問題として認識される。
・2001年: アフガン戦争
・2003年: イラク戦争。イスラム過激派がイラク及び中東各地拡散。
・2005年: ロンドンで同時多発テロ。このころマドリッド、バリ、ロシア南部など世界各地でテロ。
・2011年: アラブの春、リビアのカダフィ政権崩壊。武器が北アフリカに拡散。
       米特殊部隊がビンラディンを殺害(パキスタン潜伏中)。
・2012年: マリ北部をイスラム過激派が制圧。
       リビアの米領事館襲撃事件。北アフリカの過激派、民兵の活動拡大。
・2013年: アルジェリアのガス施設人質事件。

2013.1.20

2013年03号(1.8-20 通算656号)  国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年1月14-20日

◆アルジェリアでガス施設襲撃テロ、死傷者多数(16日)☆
・アルジェリア東部のガス関連施設を武装勢力が襲撃。多数の人質を取り立て籠もった。
・実行犯はアルカイダを名乗り犯行声明を出し、仏軍のマリ攻撃中止などを求めた。
・軍は17日施設を攻撃。同日いったん作戦終了を発表の後、19日まで攻撃を続けた。
・内務省は19日人質23人と犯人32人が死亡したと発表した。死者はさらに膨らみそう。
・同施設では天然ガスを開発。英米仏や日本の技術者らが滞在していた。
・国連安保理は18日、事件をテロとし強く批判する報道向け声明を発表した。
・同国は1990年代から軍事政権が支配。国内にはイスラム過激派のテロも頻発する。
・2011年のリビア内戦後は北アフリカに武器が流出。過激派の活動が拡大している。

◆B787に運航停止命令(16日)☆
・米連邦航空局はB787の運航見合わせを命令した。日本など各国も同様の命令を出した。
・B787はボーイングの最新鋭中型機。現在世界で49期(8社)が運航している。
・バッテリー炭化などの事故が続き、安全性が問われた。
・調査は長期化の可能性があり、ボーイング社や航空各社への影響は深刻だ。

◆オバマ大統領が米銃規制強化案(16日)☆
・大統領は銃規制の強化案を発表した。
・個人売買を含むすべての銃購入希望者への犯罪歴調査を義務付ける。
・十発以上を装填できる半自動小銃など攻撃用銃器の新規製造・販売を禁止する。
・実現すれば93年のブレイディ法以来20年ぶり。銃購入者の調査義務付けなどの内容。
・ただし全米ライフル協会が反対。議会にも反対の勢力が強く、法案成立の行方は流動的だ。
・大統領は23項目の大統領に署名。学校警備員の増員など法案が不要な策を盛り込んだ。
・昨年末のコメチカット州での乱射事件を契機に、米国では銃規制の世論が高まっている。
・米国では憲法修正2条で銃所有の権利が認められている。

◆中国の2012年成長率7.8%(18日)☆
・中国国家統計局は2012年成長率を発表した。
・実質成長率は7.8%で、13年ぶりに8%を割り込んだ。10-12月は7.9%増。
・輸出の伸びなどが鈍化した。
・13年は8%前後の成長を見込む意見が多い。

◆中国大気が汚染化
・中国の大気汚染が深刻化している。
・北京の微小粒子量が一時PM2.5と、WHO指針値の40倍に達した。
・ぜんそくや気管支炎、肺がんを発症させる可能性がある。
・周辺国への飛来も懸念される。

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 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【アルジェリアのテロ】 アルジェリアのガス施設テロ事件は世界に衝撃を与えた。情報はなお交錯しているが、イスラム原理主義の拡張、北アフリカの政情不安など多くの問題を問いかけているのは間違いない。世界のアキレス腱であることを、改めて認識する必要がある。

 【オバマ政権第2期】 米国のオバマ政権が20日から第2期に入る。休日明けの21日に就任演説を行う。

 【中国「南方週末」事件】 中国当局は、広州の週刊紙「南方週末」の記事改ざん問題の事態収拾を模索している。当局寄りの編集長更迭で問題解決を図る動きなどが出ている。その一方で、報道規制強化の動きもある。一つ一つの動きが重要な局面だ。

 【パキスタン首相に逮捕命令】 パキスタン最高裁は15日、アシュラフ首相を逮捕するよう当局に命じた。電力会社を巡る汚職への関与の疑い。こうした中で、操作担当官が死亡しているのが発見された。警察は自殺、他殺両面で捜査を開始した。パキスタンではザルダリ大統領をトップとする文民政権と軍の対立が深刻化。軍へのコントロールが利かなくなる中で、カシミールを巡るインドとの対立、国内での過激派の活動など情勢が不安定になっている。南アジア情勢に与える影響も大きい。

◎今週の注目(2013.1.21-27)&当面の注目
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・アルジェリアの人質テロ事件を巡る情報がいろいろ出てくる。同国や北アフリカ情勢に与える影響も大きい。
・オバマ大統領の第2期の就任式が21日行われ、就任演説を行う。
・イスラエルの総選挙が22日。ネタニヤフ首相率いる右派リクードの優位が伝えられる。
・ダボス会議が23日に始まる。今年のテーマは「弾力ある活力」。

・オバマ大統領の一般教書は2月11日。
・米国債発行の上限を拡大する協議の期限が2月末。

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2013年1月14日 (月)

◆中国のメディア規制と習近平体制の課題 2013.1.13

 中国のメディア規制に世界の関心が集まった。広州の「南方週末」での記事書き換え問題をきっかけに、記者らによる公然の抗議→ネットを通じた批判拡大という、これまでにない動きが広がったためだ。メディア規制は中国共産党の支配の根幹で、将来的には体制の動揺にもつながりかねない。習近平体制の対応が、さっそく問われる。

▼異例の抗議

 問題になったメディアは広東省・広州の週刊紙「南方週末」。元々リベラルな論調や汚職告発で存在感を示し、部数は170万部。香港情報も入る広州市民などの支持を得ている。

 同紙の1月3日付け正月特集記事を、広東省の当局が勝手に書き換えたのが事件の発端。これに記者らが抗議し、ストや抗議行動を展開。動きはネットなどであっという間に全国に広がり、広州市では抗議活動を支持する動きも続いた。中国当局はネットの記事削除などで対応したが。とても追いつかない状況だ。

▼当局の調停

 共産党は事態を重く見て早期収拾に動いた。広東省のトップに就任したばかりの胡春華委員会書記は、報道規制の原則を維持する一方で記者に一定の理解を示す形で調停を始めた模様。具体的には同氏編集長と広東省宣伝部長の両者を退任させるなどの情報が流れている。

 1月10日付の新聞は通常通り発行された。また抗議活動を行った記者の解任などもなかった。

▼止まぬ波紋

 しかし、問題はくすぶり続ける。10日付南方週末では、事件とは直接関係ない別の記事で法度規制批判をほのめかす内容が掲載された。ネットでは継続して、報道規制への批判が続く。

 北京の「新京報」では党が指導した記事の掲載に抗議した社長の辞任騒ぎがあり、記者が泣き崩れる映像がネット上を流れた。

▼繰り返される報道規制

 中国で報道規制を巡る問題が表面化するのは珍しくない。最近の事例は以下通り。いずれも、報道機関側が処分を受けただけで終わったか、喧嘩両成敗などの形での幕切れになった。

2006年:「氷点」に停刊命令。歴史教科書の批判記事。
2009年:「南方週末」編集長更迭。オバマ大統領単独取材。
2011年:北京の「新京報」「京華時報」が北京所共産党委の管理下に。列車事故の報道で。
      アラブの春の後ネット規制強化。
2013年:「南方週末」事件。

▼「報道の自由」を認めない体制

 民主主義国家にとって、報道の自由は体制を支える基本。しかし、独裁国家にとっては体制を揺るがす原動力になりかねない。1980年代末-90年代初頭の東欧革命とソ連の解体は、西側からの情報の流れが引き金の一つになった。2011年所アラブの春を、ネットを通じた情報の流れが引き起こしたのは記憶に新しいところだ。

 中国も1949年の建国以来、共産党による指導を大原則とし、メディアをその手段として位置づけてきた。当然ながら、報道の自由は認められない。中国共産党にも政府にも報道、メディア規制を担当する部局があり、膨大な資金と人間をかけて目を光らせている。

▼ネット・グローバル化の波

 ただ、押さえつけだけで物事が済まなくなっているのも現実だ。

 ネットの急速な発展で、情報の流れは旧来型の規制では押さえ込めなくなった。中国当局はアラブの春依頼、ネット規制を強めているが、規制をかいくぐって情報発信する速度の方がはるかに速い。

 汚職や腐敗の深刻化への対応、経済改革推進の必要性なども、メディア規制を単純でなくしている。地方メディアなどは汚職や腐敗の告発に大きな役割を果たしており、メディアなしにはこうした問題に対応できない。自由な情報収集や情報発信なしでは、経済改革も覚束ない。

 そうした中で、高圧的に報道の自由を押さえ込むだけではどこまで効果的な疑問が残る。稚拙な規制は、共産党への批判となって跳ね返ってくる可能性もある。

▼習近平体制へのテスト

 習近平総書記は、汚職・腐敗の払しょくや経済改革推進を進めていくと強調した。一方で政治体制は共産党一党支配を維持する姿勢を堅持している。「政治は1党独裁・経済は自由主義」という矛盾は続く。

 冷戦後、世界では「民主主義・自由経済の勝利」が強力な支持を得た時期があった。それが凝縮された姿が「ワシントン・コンセンサス」だったといってもいいかもしれない。しかし中国の急速な経済成長やリーマンショックを経て、「ワシントン・コンセンサス」に対抗する中国型の発展モデルが「北京コンセンサス」として、一部途上国などの支持を獲得した。

 しかし、その北京コンセンサスも内容はあいまいな点が多いし、メディア政策となると大きな矛盾を抱えている。今回の事件は、そうした実態の一面をのぞかせた。

 英Economistは、習近平総書記にとって最初の政治的テストと評している。

20130113

2013年02号(1.7-13 通算655号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年1月7-13日(欧米時間)

◆中国で報道規制に公然抗議、「南方週末」問題 ☆
・広州の週刊「南方週末」の3日付記事を当局が改ざん。記者らが公然と抗議した。
・ネットやブログを通じ問題が全中国に広がり、現地では抗議集会が繰り返された。
・異例の公然批判に共産党は危機感を強め、胡春華広東省書記が調停に動いた。
・この結果、10日付は通常発行に戻ったが、ネットなどの抗議は散発的に続く。
・北京では日刊紙「新京報」の社長が共産党の指示の抵抗する動きも出た。
・「南方週末」は170万部。不正追及などで定評がある。
・報道規制は共産党支配の根源。同党は言論の自由を認めない姿勢で一貫する。
・しかしグローバル化で国民の意識は変化。ネット時代に単純な規制は通じない。
・中国の体制や社会の行方にもかかわる問題だ。

◆オバマ政権第2期の体制固まる ☆
・大統領が7-10日、第2期の主要閣僚を相次いで指名した。
・財務長官はルー大統領首席補佐官。行政管理予算局長などを務め財政通。
・国防長官は共和党のヘーゲル元上院議員。イラン制裁などは穏健派。
・CIA長官はブレナン大統領補佐官。中東の専門家。
・ケリー国務長官と合わせ、議会対策を重視した布陣になっている。

◆シリア大統領が調停拒否(6日)☆
・アサド大統領は演説し、反体制派と徹底抗戦する姿勢を強調した。
・国連などのブラヒミ特使の示した反体制派を含む移行政権は拒否した。
・大統領の演説は昨年6月以来。
・シリアは当面交渉が動かず、大統領派と反大統領派の内戦が続く。

◆ベネズエラ、大統領不在で就任式、健康問題で政局波乱含み(10日)
・チャベス大統領第4期の就任式が同氏不在で行われた。宣誓は延期した。
・同氏はがん治療でキューバ滞在中。ビデオメッセージもなく、健康状況は深刻な模様。
・マドゥロ副大統領、ボリビア・モラレス大統領らが列席。大統領支持の市民も集まった。
・野党は大統領が職務不能として選挙実施を要求。政局は波乱含みだ。
・チャベス氏は99年に就任。貧困保護や石油企業国有化などで支持を得てきた。
・憲法改正で4選を可能にし、昨年の選挙で選出されたばかり。
・国際的には反米路線で影響力は大きい。同国情勢は地域全体に波及する。

◆フランスがマリに軍事介入(11日)
・仏政府は西アフリカのマリに軍事介入した。
・マリのトラオレ暫定大統領が10日軍事支援を要請。これに応えた。
・暫定大統領がマリ全土に非常事態宣言をした。
・同国では昨年春クーデターが発生。
・混乱の中でイスラム過激派が北部を制圧し、国土が2分されている。
・米英などは仏の行動を支持した。

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 │INCDの採点
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 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【中国のメディア規制】 中国のメディア規制問題に世界の関心が集まった。広州の週刊紙「南方週末」の記事書き換えがきっかけだ。中国共産党支配の体制の在り方、習近平体制の行方など、多くの問題を投げかける。

 【印パ紛争】 カシミール地方の帰属などを巡るインドとパキスタンの衝突がまた発生した。1月6日以降銃撃戦が散発し、死傷者が出ている。パキスタン国内にいる過激派が関与しているとの情報もある。
 パキスタンは5月ごろに総選挙を控える。サルダリ大統領と軍の関係も悪く、大統領が軍を把握できている状況には程遠い。政治は不安定だ。過激派による少女銃撃事件など、治安も不安定だ。
 一方のインドではシン政権の政治基盤弱体化の兆しがある。レイプ事件及び抗議活動の広がりは社会矛盾の噴出である一方、政府への批判にもつながっている。
 政治力が不安定な時だけに、紛争拡大などの懸念も大きい。

 【米国の銃規制論議】 米国の銃規制論議が重要な局面を迎えている。オバマ大統領は新たな銃規制導入に前向きで、バイデン副大統領を責任者に調整を開始。副大統領は15日までに対策を提出すると述べた。コネチカット州の乱射事件の記憶が鮮明なうちに、短期間で問題を進めようという意識がのぞく。
 銃規制は米社会の抱える重要な問題で、代表的な成果としては93年のブレイディ法がある。銃購入者の調査を義務付ける内容で、81年のレーガン大統領暗殺未遂時に銃弾を受けたブレイディ報道官らが中心になって進めた。
 過去も乱射事件があると規制論議が盛り上がった。しかし時間の経過とともに尻すぼみになったケースも多い。
 議会の調整が難しい法案にとらわれず、大統領令などで規制する時間重視の方法も浮かんでいる。動向から目を離せない。

 【ボーイング787】 ボーイングの新型中型機、B787 で発火事故などが発生。米当局が調査を始めた。同機は最先端の素材などを使った新型機で、2011年に就航。同社はB787を武器にエアバス社への攻勢をかけていた。同社の経営はもちろん、巨大先端技術の安全性、世界の航空システムの行方などの観点から注目に値する。

◎今週の注目(2013.1.14-20)&当面の注目
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・バイデン米副大統領が15日、銃規制の案を提案する。
・オバマ大統領の第2期が20日に始まる。21日に就任式が行われる。1月下旬に一般教書。
・イスラエルの総選挙が22日。ネタニヤフ首相率いる右派リクードの優位が伝えられる。

・オバマ大統領の一般教書は2月11日。
・米国債発行の上限を拡大する協議の期限が2月末。

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2013年1月 6日 (日)

◆2013年の展望(2) 英FTの2013年予測 2013.1.6

 英Financial Timesは2012年12月30日付で、2013年の焦点と予測記事を掲載した。コメントを加えたのは各分野の専門記者。主なポイントは以下の通りだ。

▼世界の安全保障
・欧米はシリアへの軍事介入に踏み切るか:Yes
・オバマ米大統領はイランを攻撃するか:No。米国と攻撃を主張するイスラエルの間で緊張が高まる可能性も。
・日中の軍事衝突はあるか:No。しかし紛争は続く。

▼政治
・イタリアのモンティ首相は選挙後も首相の座を維持するか:イタリア外の多くの人が望むが難しい。財務相(あるいは大統領)になる。
・9月のドイツ総選挙はどうなる:キリスト教民主同盟と緑の党の連立政権になる可能性。

▼経済・産業
・米国は世界金融危機前の3%成長に戻れるか:No.
・ギリシャ経済のマイナス成長は止まるか:プラス成長に転じる。
・英国は3段底の不況に陥るか:No
・英国は原発の新設に踏み切るか:No

▼科学技術
・火星に生命存在の証拠が発見されるか:生化学的な証拠が発見される
・2013年の医学・医療の進歩は:C型肝炎の治療の進歩が期待できる。

▼スポーツ
・2020年の冬季五輪の開催地はどこになるか:イスタンブール。ただし東京は安全な賭け。
・英国サッカーのビッグ4の監督は交代するか:変わる

20130106

◆2013年の展望(1)焦点 2013.1.6

 2013年が始まった。昨年、世界の主要国では指導者が交代し、世界は新体制下で動き出す。ユーロ危機や世界経済の行方、混乱が続く中東情勢などが当面の焦点になる。
 
▼中国新体制の行方と米外交政策

 中国では昨年11月に、習近平総書記を指導者とする新体制が発足した。今年3月の全人代では国家主席も胡錦涛主席から引き継ぎ、首相を始めとした体制が固まる。

 胡錦涛前総書記の10年間、中国は急速な発展を遂げ、世界第2の経済大国になった。国際的な影響力も格段に発展した。政治的な混乱も押さえ込んだ。しかし、格差拡大や汚職など矛盾も隠しおおせなくなっている。

 習氏は総書記就任後、改革・開放政策の維持や汚職、腐敗、官僚主義の打破などを強調した。ただ、政治改革については触れなかった。具体的などんな政策を打ち出すかは、中国の行方を左右し、アジアや世界情勢に影響する。

 米オバマ政権は1月20日に第2期が始まる。国内では経済・財政問題が注目されるが、国際的には外交・安全保障問題の行方が焦点。中東→アジアへのリバランシングの具体策は、中東・アジア情勢に大きく影響する。

 プーチン大統領が再登板したロシアは、資源依存の経済の転換を迫られている。プーチン体制は強権色を強めており、行方は流動的だ。

▼中東と各地の情勢

 2011年にアラブの春を経験した中東は、2012年混乱が拡大した。シリアは内戦が深刻化し、アサド政権の崩壊がいつあってもおかしくない。エジプトではモルシ大統領派と反大統領派の対立が深刻化している。リビアは治安が悪化している。

 パレスチナ問題は先行きが見えず、イランの核開発問題もくすぶり続ける。イラクはテロが頻発し続ける。背景にはイスラム原理主義の広がりが横たわる。中東各国では何があってもおかしくない状況が続く。

 インドはシン首相の体制が変わる、ヒンズー教食の強い政権が生まれる可能性がある。パキスタンはイスラム過激派の活動などが止まない。民主化が進み始めたミャンマー、チャベス大統領の健康問題が表面化したベネズエラ、政治混乱が続く西アフリカなど、政治変動の要因を抱えている国は各地に散在する。

▼ユーロ危機と世界経済

 2009年末以来のユーロ危機は2012年もくすぶり続け、2013年に持ち越した。ギリシャ、スペイン、イタリアなど各国の財政緊縮策には国民の抵抗が広がり、政権交代につながった。EUによる支援策→一段落→問題の再燃というパターンは、しばらく続くとの見方が多い。

 当面は2月にイタリアの総選挙が実施される。各国国債の償還期限をにらんで、市場では緊張が走る可能性が大きい。EU最大の°椅子では、9月に総選挙が行われる。EU全体としての危機対応策は、EU統合の将来にも影響する。

 世界経済を引っ張ってきた新興国の経済も、問題や課題が目につくようになった。先進国では金融緩和がしばらく続きそうだ。2008年の金融危機後の財政バブルからの出口戦略は結局片が付かず、世界経済の重しとしてのしかかる状況が続く。

▼IT革命・経済構造の変化

 こうした経済状況の局面打開として期待されるのは、技術革新や新しいビジネスモデル。IT・ネット革命は今年も加速しそう。世界経済の新興国への比重の移行も継続する。世界の潮流のキーワードは変わらない。

 脱原発を始めとしたエネルギー政策の行方、保護主義vs貿易自由化・地域統合の進展なども、世界を変える重要な要素だ。

2013.1.6
 

2013年01号(1.1-6 通算654号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2013年1月-6日(日本時間)

◆米「財政の崖」回避(1日)☆
・米議会の民主・共和両党は減税延長などの法案を可決した。
・年収45万ドル以下の減税を延長。歳出の強制削減は2カ月凍結する。
・この結果、減税失効と歳出削減が重なる「財政の崖」転落は当面回避された。
・市場は好感。2日のNYダウが大幅上昇した。
・ただ、包括的な財政再建策は協議先送りとなった。
・2月末に再び調整の山場を迎え、米財政問題はくすぶり続ける。

◆2012年NYダウは7%上昇、世界の市場は不透明な展開 ☆
・12月31日のNYダウ終値は1万3104ドルで取引を終了。1年間で7.3%値上がりした。
・世界の株式市場も、全体的には上昇して終了した。
・世界経済は減速し、先行きは不透明。
・そうした中で金融緩和が続き、資金が不動産などの資産やマーケットに流れている。
・デフレ下の資産バブルという側面もある。

◆米国防長官に共和党・ヘーゲル氏指名へ(4日)
・オバマ米大統領はパネッタ国防長官の後任にヘーゲル氏を指名する。
・米メディアが一斉に報じた。
・同氏は元共和党上院議員。共和党内では穏健派。
・野党からの国防長官指名は珍しく、クリントン政権のコーエン氏以来。

◆金第1書記が新年の辞、米前知事らが訪問(1日)
・北朝鮮の金正恩第1書記は朝鮮中央テレビを通じ国民に新年の演説を行った。
・新年演説は1994年の故金日成主席以来19年ぶり。経済発展などを強調した。
・米国のリチャードソン前ニューメキシコ州知事は5日、北朝鮮訪問を発表した。
・私人としての訪問。人道的使命が目的とし、拉致された米国人救済などが指摘される。
・訪問にはグーグルのシュミット会長らが同行する。目的などは不明で、様々な憶測が飛ぶ。
・訪問に米政府は事前に警戒を示した。

◆イタリア中道、モンティ氏前面の選挙体制(4日)
・中道政党は、2月の総選挙の政党連合の名称を「イタリアのためモンティと共に」と決めた。
・4日にモンティ首相が発表した。
・世論調査ではベルサニ民主党党首が率いる中道左派がリード。
・ベルルスコーニ前首相の中道右派、反緊縮派が続き、モンティ支持の中道は第4位。
・選挙は2月24、25日に予定され、結果はユーロ危機の行方にも影響する。

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◎寸評:of the Week
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 【財政の崖回避】 2013年が始まった。焦点だった米「財政の崖」は、議会が1月1日も調整を続けた結果、とりあえずの妥協が成立。崖からの即座転落は回避した。ただし、財政問題の包括解決は2月末に先送りした。財政の崖以外、世界の関心を集める大きな動きは少なかった。

 【米記者追放と中国の体質】 米NYタイムズの北京駐在記者が、ビザの更新を受けられず中国を撤去した。NYタイムズが昨年、温家宝首相一族の蓄財疑惑を報じた事に対する報復措置との見方が強い。中国はここにきて、ネット規制も一段と強化している。中国の現状をよく映す事例だ。

◎今週の注目(2013.1.7-13)&当面の注目
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・シリアのアサド大統領が6日演説。シリア情勢がどう動くか。
・オバマ大統領の第2期が20日に始まる。21日に就任式が行われる。1月下旬に一般教書。
・イスラエルの総選挙が22日。ネタニヤフ首相率いる右派リクードの優位が伝えられる。

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