« 2012年8月 | トップページ | 2012年10月 »

2012年9月

2012年9月30日 (日)

2012年40号(9.24-30 通算640号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年9月24-30日
 

◆国連総会、シリア、イスラム反米デモ、東アジア領土に焦点(25日)☆
・国連総会は各国首脳による一般討論演説が開幕。国際情勢の課題に焦点が当たった。
・オバマ米大統領はイスラム圏の反米デモについて正当化できないと強調。
・きっかけになったムハンマド中傷映像は批判する一方、言論の自由順守も訴えた。
・潘基文事務総長などはシリア停戦を強調。一部では軍事介入論も上がった。
・尖閣諸島や竹島を巡る領土問題では日中韓の首脳が自国の権利を主張した。

◆中国共産党大会日程確定、薄熙来の党剥奪(28日)☆
・中国共産党は前重慶市トップの薄煕来氏の党籍剥奪を決めた。
・新指導部を選ぶ共産党大会を11月8日に開催する日程も発表した。
・薄氏処分は、胡錦濤総書記が党内保守派を押さえこんだ結果との見方が多い。
・人事を巡る権力闘争が一段落したとの観測が流れている。

◆スペイン、ギリシャで反緊縮に抗議活動 ☆
・スペイン政府は27日、2013年予算案を発表した。中央政府の支出を7.3%減らす内容。
・ギリシャ連立政権も公務員給与削減などの緊縮予算を予定している。
・ギリシャ2大労組は26日、緊縮財政抗議のゼネストに入った。6月のサマラス連立政権発足後初。
・スペインでも25日マドリッドで大規模なデモが発生。地方でも抗議活動が続く。
・ポルトガルなどでも緊縮財政に抗議する動きが出ている。
・南欧諸国では財政赤字削減が遅れる一方、緊縮財政で経済悪化・失業率上昇が続く。
・ユーロ圏の構造問題は未解決のまま、危機再燃の懸念がくすぶり続ける。

◆英国がLIBOR改革案を公表、金利算出は当局監督(28日)☆
・英政府はロンドン銀行間取引金利(LOBOR)の改革案を発表した。
・民間の英国銀行協会に代わる新組織を立ち上げ金利を算出。政府機関のFSAが監督する。
・銀行が申告する金利も想定金利から、実際に市場で取引をした金利に変える。
・業界の自主規制→金融当局による監督へと変更する。
・LIBORは世界の金融取引の基準金利。LOBORをベースに様々な金利が決まっている。
・6月にバークレイズ銀が不正申告をしていたスキャンダルが発覚。改革を迫られていた。

◆台湾漁船が尖閣周辺に侵入(25日)
・台湾の漁船など50隻以上が尖閣諸島の日本領海に侵入した。
・台湾船団による領海侵犯としては過去最大。
・尖閣を巡っては日本と中国の摩擦が激化しているが、台湾も存在感を示した格好。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらな籍い     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【国連総会に見る国際情勢】 国連総会の各国首脳などの演説が始まった。場外では首脳外交が演じられる。世界で何が問題になっており、各国がどんなスタンスを取っているかを映す。国際情勢の定点観測の絶好の場だ。
 焦点になったのはまず中東情勢。シリア、反米デモ、イランの核開発疑惑、イラク情勢、パレスチナ情勢などいずれも難しい問題が取り上げられた。
 シリア情勢は悪化の一途をたどり、国連の調停も不調。内戦ですでに3万人の死者が出ている。潘事務総長らは強い懸念を示し、オバマ米大統領はアサド大統領退陣を改めて求めた。ただ、決め手を欠くのが実情だ。
 オバマ大統領は、リビアの米領事館襲撃とそれに続く反米デモの拡大について「正統化できない」と強く批判した。きっかけになったムハンマド中傷の映像は批判する一方、言論の自由も尊重する姿勢を強調した。また、米国は世界から撤退しないと、中東をはじめ世界に関与し続ける姿勢を改めて強調した。全体的に冷静な対応だが、歯切れは必ずしも良くない。問題の難しさを改めて認識させる。
 イランの核問題について、オバマ大統領は核開発を容認しないとの姿勢を強調する一方、ぎりぎりまで外交的解決を目指す姿勢を示した。イスラエルによる攻撃などをけん制した格好だ。
 東アジアの領土問題・安全保障にも焦点が集まった。尖閣初頭や竹島を巡る領土問題では、日本と中国、韓国などが自国の主張を繰り返した。
 ミャンマーのアウン・サン・スー・チー氏は同国への投資を呼びかけた。
 全体的に明るい堤防より、課題山積という印象だ。

 【中国共産党:権力闘争の行方】 中国共産党は28日、薄煕来氏の党籍はく奪を決定。同時に共産党大会の日程も11月8日と決めた。人事を巡っては共産党内で激しい権力闘争が行われていたが、ひとまず片がついたとの見方が多い。
 中国国内の尖閣諸島を巡る反日デモも、共産党内の権力闘争と絡んでいる。党内保守派が胡錦濤総書記突き上げの手段として反日デモを活用したとの見方も少なくない。反日デモのプラカードに、故毛沢東主席の写真が使われていたのは象徴的だ。
 いずれにしろ、11月8日党大会で新体制がどうなるか。東アジアは無論、世界に影響する。

◎今週の注目(2012.10.1-7)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・中国が10月1日に国慶節を迎え、休日に入る。11月8日の共産党大会をにらみ、胡錦濤主席(総書記)をはじめ首脳がどんなメッセージを発するかに注目。
・米大統領選候補の第1回目討論が10月3に行われる。大統領選は今のところオバマ大統領リードとの見方が多いが、討論は情勢を変える重要な機会。2、3回目の討論は、16、22日に行われる。投票は11月6日。
・10月7日にベネズエラ大統領選。野党候補の追い上げで、チャベス大統領再選を危ぶむ見方もある。
・IMF、世銀総会が10月12-14日に東京で開催する。11日にはG7蔵相・中銀総裁会議が行われる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2012 INCD-club

2012年9月23日 (日)

2012年39号(9.17-23 通算639号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年9月17-23日

◆中国のデモ一段落、領土問題「平和的解決」(21日)☆
・中国当局は19日以降、反日デモの押さえ込みに動いた。
・習近平国家副主席は21日演説。周辺国との領土問題は平和的に解決すると述べた。
・18日には全国100都市で反日デモが起こり、工場破壊や商店略奪が行われた。
・一連のデモは当局主導も指摘され、海外での中国の評価も悪化した。
・中国政府は対日圧力を維持しつつも、事態鎮静化に重点を変えた模様。
・背景には領土問題のほか中国国内の格差拡大、権力闘争などもあり、尾を引きそうだ。

◆リビアでデモ隊と民兵が衝突、治安悪化(21日)☆
・リビアのベンガジで21日、一部武装したデモ隊と民兵組織が衝突。多数の死傷者が出た。
・デモ隊はイスラム過激派民兵組織「アンサール・シャリア」の本部を襲撃した。
・同国では内戦で武器が多数流出。民兵組織は内戦終了後も武装解除に応じていない。
・先の米領事館襲撃ではイスラム過激派が声明を出し、民兵の関与が指摘される。
・衝突の詳細はなお不明。リビアは相当な混乱状況にあり、治安は悪化している。

◆イスラム圏の反米欧デモ続く(21日)☆
・イスラム圏の反米デモが続き、金曜礼拝日の21日には各地で大規模な活動が展開された。
・パキスタンではデモ隊と治安当局の衝突で17人が死亡した。
・19日には仏紙がイスラム中傷の風刺画を掲載。反欧デモも加わった。

◆インドが大型小売業外資開放、事業者が抗議(20日)☆
・政府はスーパーなど大型小売業への外資規制を緩和した。
・これまで外資参入が禁じられていた総合小売業は、51%までの出資を認可する。
・単一ブランドのみを扱う専門小売は、十リアの51%→100%まで認める。
・インドは90年代以降徐々に外資への市場開放を進めてきたが、小売は遅れていた。
・これに対し小売業者は反発。各地で抗議活動を展開している。

◆国連総会開幕(18日)
・第67回国連総会が開幕した。25日から各国代表の演説が行われる。
・イスラム圏での反米デモ、核管理、東アジアなどの領土問題などが焦点になる。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【中国のデモと国内事情】 中国が領土を巡る反日デモの鎮静化に動いた。当初は政府・共産党指導部が反日デモを黙認・支援する形だった。しかしデモ隊が工場破壊や商店略奪を展開するなど暴徒化。故毛沢東主席の写真を掲げたり、中国のパトカーを破壊するなど、民衆の批判の矛先が指導部に向かう懸念も出始めていた。
 背景に格差の拡大や、仕事に就けない若者の不満が指摘される。高成長を続ける中国は様々な問題を抱える。格差の拡大、若者の就職難、一党独裁における正統性の欠如等々だ。そうした潜在的な矛盾が改めて認識される事態になっている。
 中国の抱える不安定要因は、ひいてはアジアや世界の不安定要因に転化される。現在の国際情勢の現実だ。

 【ユーロ圏】 ユーロ圏ではポルトガルとアイルランドの国債利回りが低下。EUへの支援要請前の水準に戻った。一時の14-15%からポルトガルは8%台、アイルランドは5%台に下がった。経済再建や財政改革に一定の方向が見えてきたことが影響している。一方、方スペイン国債については格付け会社の格下げ観測が流れ、目下の市場の注目の的。ユーロ危機も状況は複雑だ。

 
◎今週の注目(2012.9.24-30)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・国連総会の各国代表演説が25日から始まる。オバマ米大統領の演説は25日。
・IMF、世銀総会が10月12-14日に東京で開催する。11日にはG7蔵相・中銀総裁会議が行われる。
・米大統領選は10月3、16、22日に大統領候補の討論。投票は11月6日。
・10月7日にベネズエラ大統領選。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2012 INCD-club

2012年9月16日 (日)

◆イスラム圏の反米デモの背景と意味するもの 2012.9.16

 20001年の同時多発でもから11年後の11日、リビア・ベンガジの米領事館が武装勢力に襲われ、大使が殺害された。その後中東などイスラム各国で反米デモが拡大、混乱が広がっている。

 きっかけになったのが、米国で作成されたイスラム中傷ビデオで、9.11時から変わらぬイスラムと西洋文明の「文明の衝突」がうかがえる。イスラム過激派の台頭も深刻化している。昨年のアラブの春の後も続く中東諸国の混乱は、世界の安全保障を揺るがる不安定要因であり続ける。

▼米大使殺害事件

 ベンガジの米国領事館襲撃は衝撃的だった。報道によれば武装集団が11日夜、ロケット弾や小銃で領事館を攻撃。大使館を保護するリビア治安部隊は撤収した。領事館は群衆に収奪された後に炎上した。米国のスティーブンズ大使は殺害された。

 その後アルカイダ系の組織が犯行声明を出した。リビア制憲議会のマガエイエフ議長は謝罪を表明。リビア当局はその後、容疑者を逮捕したと伝えた。しかし、当局のそうした意図にかかわらず、過激派が野放しになっている状況を映し出した。 

▼ムハンマド冒涜ビデオ

 事件のきっかけになったのがムハンマド中傷ビデオだ。預言者ムハンマドと女性の奔放な関係を描いた内容で、ユダヤ系の米国人が作成。動画投稿サイトなどで公開された。

 イスラムではムハンマドを描くビデオ作成すること自体が冒涜。ましてや内容が悪意に満ちたものとあり、反米感情が改めて高まる引き金になった。

 エジプトのカイロでは11日、映像に抗議するでも数千人が米大使館前に集まり、デモを展開した。一部は敷地内に侵入して米国旗を奪った。

▼広がる反米デモ

 9.11の動きをきっかけに、反米デモはその後拡大した。12日にはチュニジアやスーダン、モロッコにも反米デモが拡大。エジプトのムスリム同胞団は、14日の金曜礼拝後に全土でデモを呼びかけた。

 13日にはエジプト、リビア、イエメン、イラク、クウェートなど中東からバングラデシュなど10か国に反米デモが拡大。イエメンの首都サヌアでは数百人が米国大使館に押しかけ、治安部隊の発砲で死者が出た。

 イスラム教の礼拝日の金曜日に当たる14日には、各国で抗議活動が拡大。標的は大使館だけでなく、英国やドイツの大使館、米国の民間施設にも及んだ。反米の動きは中東にとどまらず、全イスラム圏を覆っている。

▼過激派の影響

 デモの背景には様々な事情がある。指摘されるのが、過激派の台頭、そして昨年のアラブの春以降の中東諸国の混乱、国民の不安、そして文明の衝突などだ。

 まず過激派の存在。リビアの米領事館襲撃は、民衆の運動というよりむしろ武装勢力の仕掛けによる。犯行声明を出したアルカイダ系組織も、リビアの混乱や治安の悪化に乗じて活動を広げた可能性が大きい。さらにリビア国内には内戦により、多数の武器が流れている。極めて不安定な状況だ。

 他の中東諸国も、独裁政権の崩壊→治安の悪化→過激派の流入、という構図に変わりはない。

▼混乱と国民の不満

 経済・治安の悪化に伴う国民の不満の高まりも重要だ。アラブの春以降の国の再建は進まず、治安は改善しない。経済は悪化し、失業率は上昇。人々の不満は高まっている。

 エジプトのモルシ大統領はムスリム同胞団に秩序あるデモを訴えた。しかし、そうした状況が守られる状況ではない。国内では米国大使館への攻撃だけでなく、少数派のコプト教(キリスト教の一派)への暴行などの動きも頻発している。

 エジプト以外の各国政府も、同様に秩序ある講義を求めている。しかし、そうした要請が受け入れられる土壌にはない。各国では一部デモ隊が暴徒化したり、武力の衝突につながる事態が頻発している。

▼文明の衝突

 イスラム冒涜の動画と、それに対する反発は、9.11以降何度も指摘された「文明の衝突」を改めて想起させた。2005年にはデンマークの新聞に反ムハンマドの風刺がが掲載されたことをきっかけに、イスラム圏で反欧州・反米の抗議活動が起きた。フランスやベルギーでは、スカーフ着用を巡りイスラムの価値観とキリスト教(近代民主主義)の価値観が対立する構図が繰り返されている。

 オバマ大統領はベンガジでの過激派の行動を強く批判。クリントン米国務長官も過激派を批判した。同時に、イスラム中傷の映像については批判した上で、米国政府とは関係ないと強調した。しかし、イスラム教徒はそうは見ない。米政府が自分の責任ではないと言えば言うほど、イスラム諸国にとっては反米批判が高まる負のスパイラルの構図に陥りかねない。

 さらに視点を広げると、グローバル化による貧富の格差の拡大もある。富を巡る争いは激化し、新たな対立の構図として浮かび上がってくる。この構図は、11年前から変わらない。

▼米国にフィードバック

 今回の事件は、米国にもフィードバックし、11月の大統領選の争点の一つになる可能性もある。ロムニー候補はオバマ大統領の対応と、中東政策全体を批判した。これに対しオバマ大統領は、ロムニー候補が個別の政策ばかりを取り上げて批判するなどと反論する。

 中東を巡ってはシリア、パレスチナ、イランの核問題などが目白押し。大統領選ではユダヤ系などの支持を得るために、政策の大盤振る舞いが行われがちだ。それが今後の米国の政策を縛る事態にもなりかねない。今回の事件は、米大統領選にも影響しかねない。

▼世界の不安定要因

 英国のシンクタンクIISS(国際戦略研究所)は13日、2012年版の戦略概況を13日発表した。その中で、中東諸国は「厳しい過渡期」を迎えると指摘している。今回の動きも、まさにそうしたリスクを象徴する出来事と捕えるべきだろう。
 
2012.9.16

2012年38号(9.10-16 通算638号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年9月10-16日
 

◆中東で反米欧デモ拡大、リビアで米大使殺害(11日)☆☆
・リビア・ベンガジの米領事館を武装集団が襲撃。駐リビアのスティブン大使ら4人が死亡した。
・アルカイダ系の組織が15日、犯行声明を出した。
・エジプトなどでも11日、反米デモが発生。その後中東などイスラム諸国に広がった。
・13日には10カ国以上に拡大。14日にはスーダンでデモ隊が米大使館に侵入した。
・きっかけになったのが米国で作成されたムハンマド中傷の映像。7月頃から投稿サイト上に流出した。
・独裁政権崩壊による過激派の台頭、リビア内戦による大量の武器出回りなども背景にある。
・9.11後も変わらぬ文明の対立も改めて浮かび上がった。
・中東はアラブの春後も混迷が続き、世界の安全保障の不安定要因であり続ける。

◆中国で反日デモ拡大(15日)☆
・尖閣諸島問題を巡る日中の緊張が深まった。
・日本政府は11日、3島を地権者から買収した。
・中国政府はこれに抗議。尖閣周辺に監視船を派遣し、デモを一部容認する姿勢を見せた。
・そうした中で15日、北京など20以上の都市では反日デモが発生。16日には80
都市に広がった。
・一部デモ隊は暴徒化し、日本企業の工場焼き討ちやスーパー略奪などが行われた。
・対立は当面沈静化のめどがつかず、さらにエスカレートする恐れがある。
・日中の領土を巡る対立は、東アジア情勢をも不安定化させかねない。

◆米が量的緩和第3弾(13日)☆
・FRBは公開市場委員会で住宅ローン担保債権を追加購入する方針を決めた。
・月400億ドル位規模で、総枠や期限は設けない。量的緩和の第3弾(QE3)となる。
・事実上のゼロ金利政策は維持する。
・米経済は回復が弱く、失業率は8%台に高止まりしている。経済の改善を狙っている。
・米国は金融危機後の2008年秋に量的緩和の第1弾(QE1)、10年秋にQE2を実施した。
・量的緩和措置は4年間に入り、さらに長期化する可能性が大きい。

◆オランダ総選挙、ルッテ首相与党が第1党維持(12日)
・総選挙が行われ、与党の中東右派自由民主党が第1党を維持した。
・第2党には中道左派の労働党が議席を伸ばした。与党2党のキリスト教民主党勢力は後退した。
・ルッテ首相は勝利宣言をし、連立内閣の組閣作業に入る。ただし、時間がかかる可能性がある。
・自民党は小さい政府や財政規律の順守を主張。ユーロ危機ではドイツと強調する姿勢。
・ギリシャやイタリアなど南欧では反緊縮の動きがある。その反緊縮の動きに歯止めをかけた形だ。
・極右でEU脱退などを訴えた自由党は大きく後退した。

◆アップルがiPhone5発売(12日)
・アップルが最新スマホのiPhone5を発表した。21日に発売する。
・機能を高めたうえに軽量化・小型化などを実現した。
・新機種の発売は2011年10月のiPhone4Sからほぼ1年ぶり。4Sはすでに1億台を販売した。
・スマホ市場は急速に発達、今年の出荷は6億台にのぼり、競争も激しくなっている。
・iPhons5はスマホのそうした変化の先端を行く。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【中東の反米デモ拡大の衝撃】 中東を始めとするイスラム圏で反米デモが拡大。世界を揺るがしている。
 発端は世界同時テロから11年目の11日。リビアのベンガジで武装集団が米領事館を襲撃し、米大使が殺害された。アルカイダ系の組織が犯行を表明し、テロの脅威がなお深刻であることを印象付けた。
 事件の直接のきっかけはムハンマド中傷のビデオで、欧米とイスラム圏の「文明の対立」の根の深さが改めて認識された格好だ。反米デモは中東などイスラム圏に拡大した。インパクトは大きい。

 【日中対立の深刻化】 中国では尖閣諸島問題で反日デモが拡大。緊張が高まっている。
 今回の対立の発端は9月11日の日本政府による尖閣諸島の国有化。これに中国政府が反発、監視船を送るとともに、国内の反日デモを容認する姿勢を示した。8月末の香港活動家上陸による対立時には、中国政府がデモを抑え込んだが、一転した。
 この結果、15日には北京など20都市でデモが展開。16日には約80都市に広がり、工場焼き討ち、スーパーの略奪などが広がった。
 17日以降、中国漁船が尖閣周辺に集結するとの情報もあり、問題はさらにエスカレートする可能性がある。
 中国政府は10月の共産党大会を控え、弱腰の姿勢を見せられないとの観測がある。日本の政治も足腰が弱い状況が続き。歯止めが利きにくい状況だ。

 【米QE3】 経済では米FRBが第3次の量的緩和(QE3)を実施した。住宅再建担保ローンの買い入れを無期限で行う。2008年、2010年のQE1、QE2に続く措置だ。米経済は依然回復が遅く、失業率は8%台に高止まりしている。FRBは金融緩和策の継続の方針を示しているが、さらなる延長を余儀なくされている状況だ。
 9.15のリーマンショックから4年を経た。世界の経済・金融は依然不安定だ。

 【ユーロ圏の動き】 ユーロ圏でも重要な出来事が2つあった。一つは独憲裁判所の判断。ユーロ圏の金融安定メカニズム(ESM)について合憲判断を下した。オランダでは総選挙が行われ、ユーロ維持派の与党が勝利した。いずれも反対の結果ならユーロ動揺の新たな材料になるところだったが、回避された格好だ。
 ユーロ危機はなおくすぶり続ける。根本的な問題である南欧の財政改革や金融機関の不良資産処理の問題は残ったままで、危機の早期の解決は望むべくもないだろう。そうした状況をいかにうまくマネージできるかが問われている。
 ボタンのかけ違いがあれば、危機は一気に深刻化する。独憲法裁判断、オランダ総選挙など重要な動きを一つ一つ注視していく必要がある。

 【ネット時代】 上記の動きが象徴するのが安全保障と経済。それと並んで世界に動きにとって重要なのが、ネット化を始めとする技術革新だ。
 IT・ネットの代表銘柄ともいえるアップルがiPhone5を発表。同社の株価は上昇した。来週の発売で様々な反応が出てくる。

 【重要ニュース目白押し】 その他にも重要ニュースが目白押しだった。欧州防衛最大手のBAEシステムズとエアバス製造のEADSは12日、合併交渉を進めていると発表。実現すれば防衛・航空業界のトップが生まれる。中国の習近平副主席が15日、2週間ぶりに公の場に登場。病気説や怪我説などを払しょくしたが、中国トップの情報の隠ぺい体質は改めて話題になった。イランの核問題を巡っては、イスラエルの攻撃説が高まっている。イラクではトルコに事実上亡命中の副大統領に死刑判決が出た。背景には宗派対立があり、スンニ派の副大統領に対して多数派シーア派の攻撃が表面化した格好だ。

◎今週の注目(2012.9.16-22)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・イスラム圏の反米・反欧州デモが続く。さらにデモが拡大する可能性がある。
・日中の緊張が高まっている。17日以降、中国の漁船が尖閣周辺に結集する可能性がある。18日は満州事変の発端になった柳条湖事件が起きた日で、さらなる反日活動が広がるとの指摘もある。先行きは予断を許さない。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2012 INCD-club

2012年9月 9日 (日)

◆国債無制限買入れとユーロ危機 2012.9.9

 欧州中銀が6日の理事会で、南欧諸国の国債を条件付きながら無制限で買い入れる計画を決定した。南欧の信用危機を払拭する当面の切り札とも言える政策。ただ、ユーロ危機はこれだけで方向性が見えてくるほど単純なものではない。

▼前提条件付き、無制限

 欧州中銀が決定した計画のポイントは、(1)償還までの期間が1-3年の国債を集中的に購入する(2)購入額に上限を設定しない(3)資金繰り難に陥った国がESM(欧州安定メカニズム)に支援要請することを条件とする。その際には財政再建プログラムを示す事が前提になる(4)財政再建を怠った場合には購入を中止する--など。

 欧州中銀はユーロ危機発覚後の2010年5月以降も、国債購入を実施した。その時は買い取りの規模を最大で2000億ユーと上限を付けていた。買い取りの条件などは定めていなかった。また、買い取りの対象国、対象債権も明確でなく、罰則規定などもなかった。きちんとしたルールに基づいた買い入れというより、直面する危機に対応するため欧州中銀に一定の範囲内で対応を任せた側面が強かった。

 それに対し今回は、厳密なルールの下に大規模、無制限の対応になる可能性がある。

▼南北対立とドラギ総裁の指導力

 南欧諸国の国債買い取りを巡り、ユーロ圏内では南北で意見が対立した。ユーロ維持のために買い取りを求める南欧諸国やフランスなどに対し、ドイツや北欧諸国は財政再建の規律が緩む恐れがあると反対。欧州中銀内でも主に出身国による意見の違いが目立った。

 6日の理事会では、独出身の理事が最後まで反対した。しかし、ドラギ総裁の指導力で押し切った。総裁は理事会後の会見で、「ユーロは死守する」と強調した。

▼市場はひとまず評価

 ユーロ危機を巡る欧州諸国の対応は、これまで後手後手に回る傾向が強く、市場の評価は厳しかった。しかし今回の決断は市場の事前予測を裏切らない、あるいは予測以上のもので、市場は決定をひとまず評価した。

 スペインの国債利回りは下落し、7日の市場では5月以来の5%台にまで低下した。同国債の利回りは危機ラインといわれる7%を上回っていた。欧州各国の株式も上昇、米国株の上昇にも伝播した。

▼独連憲法裁判断とオランダ総選挙

 ただ、もちろんこれでユーロ危機の将来に明るい展望が開けてきたわけではない。

 目先の焦点は2つ。まず独憲法裁判所によるESM(欧州安定メカニズム)の憲法判断だ。ここで合憲という判断が出て初めて、ESMが10月にも発足する。逆に違憲となれば、シナリオの修正や遅れは必至だ。

 もう一つは12日投票のオランダ総選挙。オランダは元々南欧に対する支援拡大に慎重で、南欧国債買い入れにも否定的だった。選挙の結果、対南欧強硬派が伸長すれば、ユーロ圏内の調整は一段と難しくなる。

▼カギ握る財政再建

 中長期的にそれより重要なのは、南欧諸国の財政再建だ。国債買い入れの前提には資金難国によるESMへの支援要請が条件となっており、支援要請には財政再建計画の提出と順守が欠かせない。そしてもし計画が順守されない場合には、欧州中銀は国債買い入れを中止する。

 財政再建はユーロ危機表面化以来、南欧諸国などに求められてきた課題。しかし増税や公務員の削減、福祉の削減など痛みを伴うため、国民の抵抗は強い。ギリシャやスペインなどでは国民や公務員が大規模なデモやストを展開。ギリシャでは5月の総選挙で財政改革派の連立与党が敗北し、再選挙になった。この財政再建という根本問題は、なお変わらず残る。

 ユーロ危機克服には、思い切った政策や政治のリーダーシップが不可欠。その意味で、今回の決定はこれまでになるインパクトを及ぼす可能性がある。しかし、危機が引き続きくすぶり続ける構図は変わらない。

2012.9.9

 

◆米大統領選の争点 2012.9.9

 米大統領選は民主、共和党の党大会が終了、11月6日の投票に向けて本番に入る。党大会を経て明確になってきた争点と米国社会の動きを整理する。

▼オバマvsロムニー

 共和党はフロリダ州タンパで8月28-30日に党大会を開き、大統領候補にロムニー・マサチューセッツ前州知事、副大統領候補にライアン下院議員(ウィスコンシン州)を選出した。一方、与党民主は9月4-6日にノースカロライナ州のシャーロットで党大会を開き、オバマ大統領、バイデン副大統領の現職を正式候補に選出した。

 正式候補の決定で、大統領選は本番に向けた最終コーナーに入る。今後2カ月に行われるテレビ討論や有権者へのコミットメントが、目先の米政治の行方を左右する。それは世界情勢にも影響する。

▼対決色

 両党大会や大統領選に向けた政策綱領、両大統領候補の受諾演説を通じて明らかになったのは、「対決色」の強さだった。ロムニー氏は30日の受諾演説で、オバマ政権の4年間が米国に「失望と分裂をもたらしたと」批判。医療保険改革や経済政策などオバマ政権の政策をことごとく切って捨てる姿勢を示した。

 一方、オバマ大統領は共和党の政策を富裕層優遇などと批判、「選択するのは未来に向けた米国の進路であり、根本的に異なるビジョンだ」と対決色を前面に出した。またオバマ陣営は、ファンド経営者として巨万の富を築いたロムニー氏を富裕層の味方を決めつけるなど、攻撃を繰り返した。4年前の選挙で、オバマ候補は対決より融合を訴えた。今回はそれから様変わりだ。

▼小さな政府vs中間層

 ロムニー氏は元々共和党内では穏健派で、マサチューセッツ知事時代にはオバマ政権の医療保険改革に似た政策を実施している。しかし大統領選に臨んでは、共和党伝統の「小さい政府」や「強いアメリカ」を前面に打ち出し、保守色を強めた。副大統領候補の保守派ライアン氏はさらに徹底していた。自助努力を強調、タブーとされがちな高齢者の福祉にまで言及した。

 これに対してオバマ大統領は中間層の底上げや製造業の復活を強調。共和党の政策がの富裕層への富の集中をもたらすと批判した。また同性婚の容認やヒスパニック系への関心など、少数派への配慮も強調した。

 詰まるところ、理念の違いがはっきり出た格好だ。そのキーワードは小さな政府、強いアメリカ、中間層底上げ、富裕層批判などだった。

▼税、医療保険計画、金融規制、外交

 具体的な政策で特に違いが鮮明になったのは、税制、医療保険制度、金融規制、外交の領域だ。

 税制はブッシュ政権時に導入した減税措置の扱いが焦点。オバマ政権は中間層以下の減税を継続する一方、富裕層への減税は廃止する方針を打ち出している。しかし2010年の中間選挙で野党共和党が下院で多数を占めるようになった結果、政策は動いていない。これに対し共和党は支出の削減を前面に打ち出し、富裕層を含む全体の減税継続を主張した。

 医療保険改革は、オバマ政権第1期の目玉政策。米国は先進国で唯一国民皆保険でなく、約5000万人が無保険者。これを広くカバーする制度の導入が改革の主旨だ。これに対し共和党は国民の行動の自由を阻害し、政府を肥大化させるなどとして反対。ロムニー氏は大統領に当選したら、初日に廃止すると対決色を鮮明にした。

 オバマ政権は金融規制の強化を打ち出している。2008年の金融危機を招いた高リスク体質を改める必要があるという姿勢だ。これに対しロムニー氏は、規制の行き過ぎが経済活力を損なうなどとして反対する。

 外交ではオバマ政権が国際協調路線を打ち出しているのに対し、共和党は強いアメリカを前面に打ち出した力の外交を強調する。対中国でも、オバマ氏が協調・共存路線であるのに対し、ロムニー氏は対決姿勢が強い。

▼カギ握る経済・失業率 

 米大統領選に対し、経済が及ぼす影響は大きい。過去の大統領選では不況なら与党に不利に左右し、失業率7%以上で現職が当選したケースは少ない。

 米国の失業率は8月で8.1%。数字だけではオバマ再選に黄信号が灯るところだ。ただし、米経済が抱える問題は、リーマンショックをもたらした共和党政権時代につくられたという認識が識者のみならず、国民にもある程度共有されている。民主党大会で演説したクリントン元大統領も、オバマ政権が負の遺産を受け継いで発足した点を強調した。

 経済の低迷はオバマ苦戦の原因になっている。しかし、必ずしもロムニー有利に結びついていない。

▼消えた希望

 4年前の選挙時、米国はイラク戦争泥沼化、リーマンショック以降の経済低迷と、ブッシュ政権の負の遺産に直面していた。そこに登場したオバマ候補は、新時代のリーダーとして米国民に期待とともに受け入れられた。初の黒人大統領となったのも、こうした期待に支えられてのものだった。しかし、今回の選挙でそうした期待や熱狂は消えている。

 現在の支持率は、オバマ、ロムニー両氏とも40%台で、オバマ氏が若干リードしているという調査が多い。いずれにしろ僅差で、今後3回行われるテレビ討論などで決着が決まる可能性が大きい。

 両候補とも決め手を欠き、選挙は支持を競うというより不人気の比較という感さえある。激しい個人攻撃、ネガティブ・キャンペーンが行われがちなのも、こうした傾向を反映している。

▼分裂する米国社会

 1980年ごろから米社会は民主党支持、共和党支持の州がはっきりしてきた。青い州がニューイングランドや西海岸、赤い州は南部などという構図だ。選挙は、その時その時の情勢でどちらかに流れる10余りのswing statesが左右するという傾向が定着した。 

 オバマ大統領登場によっても融和は進まず、むしろその傾向は拡大した。共和党内部で保守派のTea Partyが力を伸ばすなど、分裂は民主・共和党間だけでなく、政党内でも進んだ感がする。一方で、ネットの影響力拡大など新たな要素も加わる。

 大統領選により、米社会の変化もさらに見えてくる。

2012.9.9

 

2012年37号(9.4-9 通算637号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年9月4-9日

◆米民主党大会、オバマ氏選出(6日)☆
・民主党大会が4-6日NC州シャーロットで開かれ、大統領選候補にオバマ氏を選んだ。
・オバマ大統領は6日受諾演説をし、雇用の創出、中間層重視の政策などを強調した。
・また大統領選は2つの異なるビジョンの選択であると明言、共和党との対決色を出した。
・大統領選では税制、医療保険改革、外交、金融規制などを巡り対立が鮮明になった。
・今のところオバマ大統領、ロムニー氏とも支持率40%台とされる。
・11月6日の選挙では、Swing Statesと呼ばれる10州程度の取り合いが行方を決める。

◆欧州中銀、南欧国債買い入れ表明(6日)☆
・欧州中銀は、条件付きながら無制限で南欧国債の買い入れを実施する計画を発表した。
・理事会を開き決定した。
・償還までの期限が1-3年の国債を、購入額に上限を付けずに集中購入する。
・資金繰り難に陥った国がESM(欧州安定メカニズム)に支援要請することが条件になる。
・その際には、財政再建計画を提出し、認められることが必須になる。
・スペインなど南欧諸国の信用不安を払拭するのが狙い。
・国債買い取りに慎重な独出身理事などの反対を、ドラギ総裁が押し切る形で決めた。
・これまでにない思い切った政策に市場は反応、スペインなどの国債利回りは低下した。

◆APEC首脳会議(8-9日)☆
・APEC首脳会議がロシアのウラジオストックで開かれ、首脳宣言を採択した。
・宣言は保護主義防止を強調。2015年まで新たな貿易障壁を導入しないとうたった。
・エネルギー安保では、原発の安全利用やLNG利用のインフラ整備などを盛り込んだ。
・環境に優しいエコ製品54品目の貿易自由化リストを策定した。
・APECのロシア開催は初めて。会議期間中、多数の2国間会議が開催された。

◆米雇用鈍い回復、8月失業率は8.1%(7日)☆
・米労働省が発表した8月の失業率は前月比0.2ポイント減の8.1%。
・非農業部門雇用者は市場予測を下回る9.6万人増にとどまった。
・米失業率はリーマンショック後の10%超から改善したものの、8%台に高止まりしている。
・大統領選でも雇用は最大の焦点。過去の選挙では最低ラインは7%とされ、それより高い。。
・市場では12-13日のFRB公開市場委員会では追加金融緩和が予想されている。

◆欧米株が回復、中国などは低迷
・欧州中銀による南欧国債買い入れ決定を受け、欧米の株価が上昇した。
・NYダウは6日前日比1.9%高の1万3282ドルと、リーマンショック前に07年12月以来の高値。
・欧州各国の株式指数は3-6カ月ぶりの高値を付けた。
・中国の上海株式指数は、企業業績の低迷などを受けて下落。2009年2月以来の安値を付けた。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【欧州中銀の決断】 欧州中銀が条件付きながら、南欧諸国の国債を無制限差買い入れる事を決めた。「動けないユーロ圏」から一歩の前身。ドラギ総裁はユーロ死守の姿勢を示し、市場も当面評価した。

 【米大統領選】 前週の共和党に続き民主党が党大会を開催。オバマ大統領を候補に正式選出した。11月の選挙に向けて最終コーナーに入る。

◎今週の注目(2012.9.10-16)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・2001年の9.11から11年になる。21世紀の世界をレビューする機会。
・オランダの総選挙(下院選)が12日。
・12-13日に米FRBの公開市場委員会。新たな金融緩和を打ち出すとの観測が強い。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2012 INCD-club

2012年9月 4日 (火)

2012年36号(8.26-9.3 通算636号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年8月26日-9月3日
 

◆米共和党大会、ロムニー氏を指名(30日)
・米共和党大会が27-30日開かれ、大統領選候補にロムニー氏を指名した。
・同氏は受諾演説で、オバマ政権の4年間を米国に失望と分裂をもたらしたと批判。
・軍事面での「強い米国」、小さい政府など伝統的な共和党の政策を強調した。
・NYTはRomney Appealed to disillusioned voters(失望した有権者に訴えた)と評した。
・民主党は9月4日からの党大会でオバマ大統領を候補に指名。11月6日の投票を迎える。

◆シリア、8月の死者5000人超
・シリア情勢の悪化が加速。8月の死者は5000人を超えた。
・北部のアレッポ周辺で激しい戦闘が行われ、ダマスカスでも爆発などが相次ぐ。
・8月最終週の死者は1600人と週間過去最大になった。
・国連とアラブ連盟合同のシリア特別代表に1日ブラヒミ氏が就任した。
・同氏はシリア内戦の停戦実現について、ほぼ不可能だ」と述べた。

◆非同盟諸国首脳会議(31日)
・第16回非同盟諸国首脳会議がテヘランで開催。約120カ国の首脳や閣僚が参加した。
・欧米やイスラエルのイラン包囲を目指しているが、首脳・閣僚の出席を見送る国は少なかった。
・会議ではエジプトのモルシ大統領がシリアのアサド政権を激しく批判した。
・シリア支持のイランなどと対立が続いた。

◆サリドマイド製造会社が50年目に謝罪(31日).
・サリドマイドを製造した独製薬会社、グリュネンタールのシュトック社長が被害者に陳謝した。
・同社はこれまで遺憾の意を表明していたが、陳謝は50年で初めて。
・同社は1957年から61年までサリドマイドを製造。
・全世界で約1万人の子供が障害を持って生まれた。

◆フェイスブック株、公開時から半減(31日)
・米株式市場でフェイスブックの株価が低下。31日には18.06ドルと最低を更新した。
・7月26日の上場時の株価から半減した。
・時価総額は386億ドルまで下がった。
・同社への評価はスマホへの対応や広告収入の見通しを巡り、上場前に比べ低下している。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【米大統領選】 米大統領選の共和党大会が開かれ、大統領候補者に指名されたロムニー氏が受諾演説で政策を打ち出した。小さな政府、安全保障面での「強い米国」など伝統的な共和党の政策が目立ったが、それ以上に強調されたのがオバマ政権批判。米社会に失望と分裂を生んだなどと決めつけ、政権交代を訴えた。
 9月初めには民主党大会がオバマ大統領を正式に大統領候補に選出する。今後2か月、世界の目は米大統領に注がれる。

 【ハリケーンIsaac】 大統領選熱の季節は、米国の社会情勢も映し出す。今週のニュースの見出しを飾ったのはハリケーンのIsaac。大きな被害をもたらし、南部では水没した都市の映像が印象的だった。

◎今週の注目(2012.9.4-9)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
・米民主党大会が4日からノースカロライナ州のシャーロットで開催。オバマ大統領を大統領選候補に選ぶ。
・APEC首脳会議が8-9日にロシアのウラジオストックで開かれる。オバマ米大統領は欠席。
・オランダ総選挙が9月12日。ユーロ情勢の次の材料の一つ。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2012 INCD-club

« 2012年8月 | トップページ | 2012年10月 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ