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2012年7月29日 (日)

◆ロンドン五輪のメッセージ 2012.7.29

 ロンドン五輪が27日始まった。五輪はスポーツの祭典であるとともに、政治、外交、文化など様々なメッセージを発する場。ロンドン五輪のメッセージを探ってみる。

▼政治・文化のイベント

 7月27日の開会式は英国流の趣向を凝らしたものだった。エリザベス女王は映画「007」中の映像と二重写しになる形で登場。ベッカムやミスター・ビーン、ハリーポッターなどが登場し、ビートルズのポール・マッカートニーが締めるなど英国文化を世界に再発信した形。英国の歴史も映像で世界に示した。

 開会式に先立ってバッキンガム宮殿で世界各国首脳を招いた式典を開催。この機会を利用した首脳外交も繰り広げられた。ロンドンという場と英国の歴史、王室の影響力などを誇示した格好だ。

▼さまざまな五輪論

 4年ごとの定例ではあるが、様々な五輪論が語られている。開催地や開催国を巡る論争もかまびすしい。主なものには、以下のような視点がある。

▼五輪と世界劇場

 情報通信革命により情報が世界中に同時に送受信される時代になった。まずは1980年代に、TVによる「劇場型イベント」の時代が到来。湾岸戦争や9.11でその実態を見せつけた。

 いまでは世界の大イベントが「劇場型」で伝えられるのは常識。堅い話では、イラク戦争やアラブの春、米大統領選などの政治上のイベント(革命・戦争はそのハイライト)があり、災害などが大きな関心を集める。

 一方柔らかい話まで入れれば、五輪とサッカーのワールドカップは最大の集客力を持つイベント(それに続いてウィンブルドンのテニスなど)。この領域では、2位以下(たとえばアジア大会など)との格差はむしろ広がっている。五輪は「一人勝ちの状況」と謳歌しているといっていい。

 この状態が今後どうなるのか。長い目では変化はいつか訪れる。しかし短期的には、傾向がさらに進展する予感もする。

▼五輪と情報革命

 一つのカギになるのが、情報通信革命のさらなる進展だろう。情報の同時送受信は、テレビのようなマスメディアから、インターネットやSNSなどに移っている。情報機器もスマホ中心の時代が来ようとしている。

 ロンドン五輪は本格的なSNS時代、スマホ時代になってからの初の五輪。情報の流れという面でも、「次の時代」を予感させる動きが出てくるかもしれない。大いに注目したい。

▼五輪とグローバル化・愛国心

 経済のグローバル化んびともない、政治・社会・文化もグローバル化が否応なしに進む。その一方で、愛国心や国家への執着がむしろ強まる側面もある。

 五輪は(やはりサッカーのワールドカップなどと並び)愛国心高揚の一例。普段は国家の悪口を言っている国民がこの時とばかりに国旗を振り、代表を応援する。国家もメダルで愛国心を高めることに熱中する。その傾向は中国など新興国・途上国で特に顕著だ(冷戦時代には社会主義国でそうした傾向が強かった)。

 しかし、新たに国家や国民を問う事例も増えている。外国の有力選手に国籍を与えて自国代表としメダルを狙う傾向は、すでに十数年の動き。「グローバル化の矛盾」の好例ともいえる。今回も、どんな「先端の例」「おかしな例」が出てくるか。

▼五輪と女性

 ロンドン五輪にはサウジからも女性選手が出場し、200か国・地域のすべてに女性選手が加わった。これは五輪史上で初めてだ。ロゲIOC会長もその点を強調した。
 女性のスポーツ進出は先進国ではすでに言い尽くされた感もある議論。しかし、一部の国では依然信じられないような差別が存在する。五輪がそうした事実に改めて光を当てた。

▼スーパースター

 五輪は上記のように愛国心と絡むから、各国での報道は自国選手中心になる。自国では英雄でも、世界的には全く知られない金メダリストがほとんどだ。そうした中で世界に知られるスーパースターとなると、本当に限られる。

 過去には東京(64年)のアベベ、モントリオール(76年)のコマネチ、ロサンゼルス(84年)のカール・ルイスなどは文句なくそうした存在だった。メキシコ(68年)のチャスラフスカのように競技はもちろん、後の政治的活動も含めて歴史上のアイコンになった人もいる。

 今大会でスーパースターになるとしたら、100メートルのボルトなのだろうか。

▼五輪と経済

 五輪と経済も言い尽くさた感もするテーマ。戦後の五輪は、64年の東京や88年のソウル、2008年の北京など経済発展の証のような大会があった。coming-out event (先進国の社交デビュー儀式)と揶揄する分析もあるほどだ。

 一方で、五輪の肥大化とお金の無駄遣いへの批判もある。84年のロス五輪で問題意識はピークに達し、その後はコンパクトな五輪や環境にやさしい五輪が一つのキーワードになっている。今回のロンドン五輪でも、当然そうした問題意識が問われた。こうした問題意識は、ロンドン論とも絡んで議論される。

▼ロンドン論

 ロンドンでの五輪開催は1908年、1948年に続いて3回目。1都市で3回目の開催は初めてだ。

 今回の大会は、都市開発の観点からは環境の悪化したイーストエンドの再開発が進んだ。またコンパクトな五輪という観点からは、既存施設の利用(テニスのウインブルドン、サッカーのウエンブリー、ハイドパークなど)が注目された。

 世界の主要メディアは五輪委先立ち、様々な角度からロンドン論を展開した。ロンドンはかつて大英帝国に首都そして、世界の中心であり、今なお世界の重要都市。この点だけは、他の都市にはない特徴だ。

2012.7.29

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