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2012年6月

2012年6月30日 (土)

◆2012年前半の世界 2012.6.30

 2012年も半分を経過した。概観すれば、ユーロ危機に揺れた半年だった。一方、昨年のアラブの春や日本の震災・原発原発事故、ビンラディン殺害のような「予想外」の事件は少なかった。

▼ユーロ危機:ギリシャ再選挙、スペイン危機

 2009年末に表面化したユーロ危機は、3年目に入っても先行き不透明が続く。2012年に焦点になったのは、まずギリシャ。支援策の取りまとめは混迷、2月にようやく第2次支援がまとまり、市場が一段落した。

 ところが5月初めの総選挙で、EU支援の条件である緊縮策に反対する政党が躍進。緊縮派の旧連立与党が過半数割れし、組閣不能→再選挙という異例の展開に陥った。「ギリシャのユーロ離脱」も真剣に議論されるようになった。6月の再選挙で緊縮派がかろうじて処理し、一服したが、先行き不透明は変わらない。

 市場は標的はPIIGSに数えられる南欧諸国に及んだ。目下の視点は、銀行の経営悪化が深刻なスペイン。同国国債の利回りは危機ラインの7%を突破し、同国EUへの支援要請に追い込まれた。イタリアも国債利回りが上昇するなど黄色信号が灯った。小国キプロスは支援要請に追い込まれた。

 EUやユーロ圏首脳の対応は、後手後手に回ったとの印象を拭えない。南欧諸国は国民の反発を恐れ思い切った財政再建策を打てない。一方ドイツや北欧諸国は、財政規律重視を盾に支援に慎重。そうした対立構図が続く中で、危機の再燃と応急策が繰り返された。

▼新興国経済が減速

 ユーロ激震の影響もあり、世界経済は減速した。特に影響がはっきり出たのが新興国。中国の成長率は10%前後から8%ペースに低下。インドも減速し、2011年度(12年3月まで)は6.5%と前年の8%台から下がった。ブラジル、ロシアは5%以下に低下する見通し。各国はインフレ警戒から景気対応に政策の軸を変え、相次いで金融緩和に踏み切った。

▼指導者交代: ロシア、フランスは予想通り

 2012年は指導者交代の年。前半はロシア大統領選が行われ、プーチン氏が4年間の首相を経て大統領に復帰した。5月の仏大統領選では社会党のオランド氏が勝利し、17年ぶりの社会党政権を樹立した。オランド与党は6月の下院選でも勝利した。いずれも、事前の下馬評通りの結果となった。

 米大統領選はオバマ大統領と共和党のロムニー前マサチューセッツ州知事の一騎打ちが決まった。中国は秋の共産党大会で胡錦濤総書記から習近平氏に交代する見通しだが、人事を睨んで激しい権料闘争が表面化。常務委員の有力候補とみられていた薄煕来重慶市書記が失脚した。

▼中東

 中東情勢は混乱が続く。イラクは昨年、米軍の戦闘部隊が撤退しイラク軍に治安の全責任がゆだねられた。大混乱はないが、小さな混乱は続いている。

 アラブの春で独裁政権を打倒した国のうちエジプトでは6月にようやく大統領選が実施され、イスラム原理主義系の新大統領が当選した。しかし軍との関係は不安定だ。チュニジア、リビアも民主化の行方は見えない。シリアはアサド政権と反政府組織の対立が続き、内戦状態に陥った。

▼アフガン、パキスタン、ミャンマー

 アフガン情勢は引き続き深刻。パキスタンは大統領と軍の関係が抜き差しならぬ状況になっている。ミャンマーの民主化は魔がいなりにも進み、アウン・サン・スーチー氏が補選で当選。欧州などの訪問も実現した。

2012.6.30

2012年27号(6.25-30 通算627号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年6月25-30日

◆シリア「戦争状態」(26日)☆
・アサド大統領は同国が「新の戦争状態にある」と、内戦状態にあることを認めた。
・同日にはダマスカス周辺で激しい戦闘が起きた。
・大統領はこれまで「テロリストとの戦い」と述べてきたが、修正した。
・軍高官の亡命が最近相次ぎ、政権支配力が低下しているとの見方が強い。
・反体制は「自由シリア軍」はペルシャ湾岸諸国などの支援を受けている模様。
・同国の権力を握るイスラム教アラウィ派は人口の12%程度。70%はスンニ派。
・シリア情勢はいつ何があってもおかしくない緊迫状態に入ってきた。
・NATOは26日会合を開き、先のシリア軍によるトルコ軍機撃墜を非難した。

◆EU首脳会議、銀行監督一元化、成長戦略強化(28-29日)☆
・EU首脳会議は銀行監督を欧州中銀に一元化すると決定。年末までに具体策を詰める。
・成長・雇用促進に1200億ユーロ投入することを決めた。
・ユーロ圏首脳はESMなど安全網から欧州の銀行に直接資本注入する事を決定した。
・加盟国の財政を悪化させず、銀行を直接支援する仕組みになる。
・南欧諸国の国債購入も検討する。
・ギリシャ、スペインと続く危機にEU首脳が危機感を強め、市場予想を上回る合意になった。
・決定後、ユーロは上昇、スペイン国債利回りは7%→6.4%に下がった。
・ただし、ユーロ危機がくすぶり続ける状況に変化はない。

◆エジプト大統領にモルシ氏、穏健姿勢を強調(24日)☆
・選管は大統領選でイスラム原理主義系のもモルシ氏が当選したと発表した。
・得票率は52%。対立候補の世俗派シャフィク元首相を上回ったが、投票は2分された。
・同氏はテレビ演説し、少数派キリスト教徒などへの配慮を強調した。
・イスラエルとの平和条約も維持する考えを示し、軍への批判は控えた。
・ムバラク政権崩壊から1年5カ月を経て、直接選挙の大統領がようやく登場する。
・ただ憲法はまだ制定されていない。
・軍は権力の保持に執心し、大統領権限を限定的にしようとしている。
・エジプトは大統領と軍という2大権力の状態で、安定の道筋はなお見えない。

◆米医療保険改革法、事実上の合憲判決(28日)☆
・米最高裁は、2010年に成立した医療保険改革法を事実上合憲とする判断を下した。
・同法は国民の大半に保険加入を義務付けた。約5000万人の無保険者を減らす内容。
・オバマ政権は第1期の最大成果の1つと位置付けてきた。
・同法は2014年からの施行が確実になった。
・共和党の全米26の州知事は同法が自由契約などに反すると違憲訴訟を起こしていた。
・違憲判決ならオバマ大統領の選挙に逆風になるところだったが、回避された。
・ただ医療保険を巡り米世論は依然2分されており、問題はくすぶり続けそうだ。

◆スペインが支援正式要請、キプロスも要請(25日)☆
・スペイン政府は25日、ユーロ圏に支援を正式要請した。銀行への資本注入に使う。
・支援の金額は未記入だが、同国政府は銀行の資本不足を620億ユーロと発表している。
・ユーロ圏はすでに最大1000億ユーロの支援を約束している。
・キプロスは25日、EUに支援を要請した。
・規模は100億ユーロにのぼる可能性がある。同国GDPの半分以上。
・支援要請はギリシャ、アイルランド、ポルトガルに続き4、5カ国目。

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 │INCDの採点
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 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【ビッグニュース】 前週に引き続き重要は動きが相次いだ。ベスト5以外では、英エリザベス女王

が北アイルランドを訪問し、自治政府のマクギネス副首相(元IRA令官)と会談、歴史的な握手を

交わした(27日)。ニューズ社は会社分割を発表、グーグルはタブレット端末を発売した。モンゴル

総選挙は野党が勝利宣言した。イタリアでは労働市場改革法が成立した。英米当局は英バーク

レイズに対し、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を不正に操作していたとして罰金を科した。

 【シリア情勢】 シリア情勢が重大局面を迎えている。首都ダマスカス付近でも戦闘が発生。政

府軍による反体制派の弾圧という構図から、内戦という図式が鮮明になってきた。体制変換のカ

ウントダウンも視野に入ってきたか、という感じもする。

 
◎今週の注目(2012.7.1-7)&当面の注目
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・エジプトの新体制、シリア情勢などに注目。

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2012年6月24日 (日)

◆ギリシャ再選後のユーロ情勢 2012.6.24

 ギリシャの再選挙(17日)は、財政緊縮派の旧連立与党が過半数を確保の、当面ギリシャのユーロ離脱の観測は後退した。しかし、スペインの長期金利が危険水域に上昇するなど、ユーロ危機は形を変えて続く。状況を整理する。

▼世界注目の1週間
 世界の注目がギリシャ再選挙に向かった。1週間の主な動きは以下の通りだ。

17日(日):ギリシャ再選挙で旧連立与党が過半数。
       欧州首脳が相次ぎ歓迎声明。
      仏下院選でオランド大統領与党(社会党)勝利。
18日(月):G20首脳会議(メキシコ)。欧州に自助努力求める。
       EU首脳国が銀行監督などの統合(Banking Union)を急ぐことで合意。
       スペイン10年物国債利回りが再び7%突破。
19日(火):スペインが1年物、1年半物国債の入札。10年物国債利回りは危険水域の7%超のまま。
20日(水):ギリシャNDなど3党が連立政権合意。首相にNDのサマラス党首。
21日(木):ギリシャ連立政権発足。閣僚はND・民間のみ。財務相は銀行家のラパノス氏。
           スペイン政府・中銀が銀行の資本不足620億ユーロと発表。
       ユーロ圏財務相会議。スペインが25日までに正式支援要請の見通し発表。
       ムーディーズが大手金融機関の格下げ
22日(金):ユーロ圏4カ国首脳会議。成長戦略協議。ユーロ共同債は前進なし。
23日(土):ギリシャ新政権が財政緊縮修正案公表。目標の2年先送り、公務員削減見送りなど。

▼ギリシャ選挙:ユーロ残留を選択
 ギリシャ総選挙は緊縮派の新民主主義党(ND)が29.7%の得票を得て129議席を獲得し、第1党を確保した。同じ緊縮派の全ギリシャ社会主義運動(PASOK、12.3%、33議席)と合わせて300議席の過半数を維持した。一方、反緊縮の急進左派連合は71議席(得票率26.9%)と5月総選挙の52議席から大きく伸ばしたものの、第1党には届かなかった。
 選挙結果を受けてNDはPASOK、民主左派(19議席)と連立交渉に合意。21日にNDのサマラス党首を首相とし、PASOKなどが閣外協力する政権が発足した。
 国民が緊縮派のNDなどに投票したのは、ユーロ離脱への懸念から。NDなどは仮に急進左派連合が勝利し、EUとの合意を破棄すれば、ギリシャ派ユーロからの離脱を余儀なくされるとキャンペーンを張った。これがが地方住民や高齢者などを動かし、緊縮策とユーロ残留を掲げる緊縮派に傾いたとみられる。

▼部分修正
 選挙結果を受けてEU各国は歓迎声明を発表。市場もギリシャのユーロ離脱懸念が当面遠のいたと判断し、大きな混乱は生じなかった。
 ただ、早くも次の問題が浮かび上がってきた。1つが、ギリシャの財政再建の見直し問題だ。
 NDなど緊縮派も選挙戦ではEUに約束した緊縮策の一部見直しを主張せざるを得なかった。ギリシャは今年で5年連続のマイナス成長になる見込みで、失業率は4人に1人を超えている。増税や福祉切り下げで国民の間には改革疲れの気持ちも蔓延しており、選挙で勝つためには「一部見直し」の約束が必要だった。
 新政権発足後、NDは財政削減の2年先送りや公務員削減の見送りを表明した。ただ緊縮策緩和を巡っては、PASOKや民主左派との温度差の違いも目立つ。
 EUも一部緩和には応じる姿勢を示しているが、具体論となると交渉は一筋縄では行かない。

▼スペイン緊迫
 世界の目がギリシャに向かう中、市場の関心はスペインに向かった。
 6月に入りスペインはEUに支援要請する意向を表明、EUも支援を約束した。それでもスペイン国債の利回り上昇は止まらず、一時危険水域と呼ばれる7%を上回った。ギリシャ再選後の18日には再び、7%超えとなり、黄色信号が点滅する。
 国債利回り上昇の背景にあるのは、海外金融機関の動き。海外勢が信用不安を抱えるスペイン国債の売却を進めた結果、完全な供給過剰になっている。スペインは資金調達がままならない状態に追い込まれた。
 スペイン政府と中銀は21日、同国の金融機関の資本不足が620億ユーロと発表した。25日には正式にEUに資金支援を要請する見込み。こうした策で不安を払拭する狙いだ。
 しかし先行きは当然ながら不透明。綱渡り状況が続く。

▼問われる欧州の意思
 18-19日のG20首脳会議もユーロ危機が中心テーマになった。各国首脳はギリシャの選挙結果を歓迎うする一方、欧州に問題解決の自助努力を促した。
 欧州首脳は銀行監督など政策の統合を進めるBanking Union創設での合意を強調した。ユーロ危機の背景には、金融は単一通貨に統合したが財政はバラバラという構造的矛盾が指摘される。抜本解決の1つとして指摘されるのが、さらなる統合の推進。Banking Unionは、そうした方向に沿うものだ。
 しかし、総論ではまとまっても具体論が伴わない。これまで繰り返してきたことと同じだ。
 ユーロ危機の表面化以来、「欧州指導者の政治的意思が問われる」と何度も指摘されてきた。その構図はいまだ変わらない。市場は当面、28-29日のEU首脳会議を注目している。

2012.6.24

2012年26号(6.17-24 通算626号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年6月17-24日

◆ギリシャ再選挙、緊縮派が勝利(17日)☆
・再選挙が行われ、財政緊縮派の新民主主義党(ND)が第1党を確保した。
・300議席中129議席を獲得。旧連立与党のPASOK(33)と併せ過半数を維持した。
・反緊縮派の急進左派連合は71議席だった。
・NDにPASOK、民主左派が閣外協力する連立政権が発足。サマラス首相が就任した。
・ユーロ離脱の懸念は一時遠のいた。EU各国は歓迎の声明を発表した。
・ただ選挙戦では与党も緊縮策の部分見直しを約束。今後の展開は不透明だ。
・市場はギリシャ問題での動揺はなかった。しかしスペイン国債利回りは危険水域に上昇した。
・ユーロ危機は依然くすぶり続ける。

◆エジプト大統領選イスラム系勝利、軍との対立深刻化(16-17日)☆
・決選投票が行われ、イスラム原理主義系のモルシ氏の勝利が確実となった。
・同氏はムスリム同胞団傘下の自由公正党の党首。
・世俗派で旧ムバラク政権下で首相を務めたシャフィク氏を破った。
・ただ正式発表は予定を過ぎても行われていない。
・現時点でエジプトに憲法はなく、大統領権限も定まっていない。
・実権を握る軍は大統領権限を制限する方針を表明。交戦権などが保持する方針。
・さらにイスラム系政党が勝利した昨年の選挙を無効とし、解散を求めた。
・これに対し原理主義支持者や若者らは19日、抗議デモを展開した。
・エジプト民主化の道筋は見えず、むしろ軍との対立が拡大する懸念が拡大した。

◆国連リオ+20会議、具体論は先送り(20-22日)☆
・国連の持続可能な開発会議がブラジルで開催された。
・190カ国・地域から約100人の首脳を含む約4万人が参加。協議した。
・環境保護と経済成長両立のため、新目標設置(SDGs)で一致した。
・しかし、具体的な数値目標などは先送りした。2014年合意を目指す。
・会議は92年の地球サミットから20年後で、リオ+20と呼ばれた。
・同サミットが定めたミレニアム開発開発目標は15年で終了。後続設定を目指した。
・欧州経済危機などで先進国に資金的余裕がなくなった事が環境政策にも響いている。

◆中国が有人宇宙船ドッキング(18日)
・中国は有人宇宙船「神舟9号」と実験船「天宮1号」のドッキングに成功した。
・有人ドッキングの成功は米ロに次ぎ3カ国目。
・女性を含む3人の宇宙飛行士が搭乗。打上げは「長征」ロケットで実施した。
・中国は2003年に米ロに続いて有人宇宙船飛行に成功した。
・その後も宇宙開発に力を入れ、2020年に宇宙ステーション建設を目指す。
・中国の宇宙開発は事実上人民解放軍が主導。今回の宇宙飛行士も軍人だ。

◆仏下院選、大統領与党の左派が勝利(17日)
・仏下院選の第2回投票が行われ、社会党が単独過半数を獲得した。
・定員577のうち314議席を獲得。オランド大統領は政治基盤を固めた。
・大統領が政治主導力を発揮しやすい環境が整った。

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◎寸評:of the Week
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 【世界が動いた週】 今週は重要ニュースが目白押し。世界注目のギリシャ再選挙は緊縮派が勝利し、当面のギリシャのユーロ離脱懸念は後退した。しかし、スペインの長期金利が上昇するなどユーロ危機が形を変えて現れる状況に変わりはない。
 これまた世界注目のエジプト大統領選は、イスラム原理主義派の候補が勝利した。しかし実権を握る軍が権限維持の姿勢を露骨に示し、むしろ混乱が深まりそうな情勢だ。
 地球環境のリオ+20会議やメキシコで開催したG20首脳会議も、静かな週なら最大のニュースになるテーマ。しかし今週は3番手以下だ。中国の宇宙開発や人民元直接取引、パキスタン政局なども重要な動き。中東ではシリアによるトルコ軍機撃墜、サウジ皇太子死亡などもインパクトの大きいニュースだった。

 【人民元の直接取引】 中国が米ドルを介さない「人民元と他国通貨の直接取引」を拡大している。2010年にロシア、マレーシア通貨との直接取引を始めたのに続き、6月1日には日本の円との直接取引を開始。22日には台湾に中国銀行が支店を開設し、近く台湾ドルと直接取引を開始する見込みだ。
 米ドルを介さなければ、為替交換の手数料の負担が減り、貿易取引が便利になる。これに加え、将来の人民元圏創設の野望が見え隠れする、との見方が多い。

 【パキスタン情勢混乱】 パキスタンのザルダリ大統領の政治基盤が、軍との対立から揺らいでいる。最高裁は19日、法廷侮辱罪で有罪判決を受けた大統領派・ギラニ首相の失職を宣言。後継に目された繊維相も捜査当局による逮捕状発行により指名できなくなった。結局22日になってアシュラフ情報技術相が下院で後継首相に選出されたが、政局の混乱は深刻だ。
 最高裁や捜査当局の動きは、軍の影響によるものと見られる。大統領は昨年秋、軍によるクーデター計画阻止を求めるレターを米国に出したと伝えられ、軍との関係が決定的に悪化した。最高裁はサルダリ大統領の汚職容疑への恩赦を無効としたが、ギラニ首相はそれを無視。このため首相を法廷侮辱罪で提訴した。
 パキスタン情勢の混乱は南アジアやアフガン情勢も揺るがしかねない。問題は内政にとどまらない。
 
◎今週の注目(2012.6.24-30)&当面の注目
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・EU首脳会議が28-29日に開かれる。ギリシャ再選挙やスペインの支援要請を受けたユーロ危機問題が焦点。ギリシャ新政権は緊縮策の部分修正を求めており、EUの対応が注目される。金融政策統合に向けた協議も関心。
・スペインが25日にもEUへの支援を正式要請する見込み。

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2012年6月16日 (土)

2012年25号(6.11-16 通算625号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年6月11-16日

◆シリア「内戦状態」(12日)☆
・国連のラズースPKO局長がシリア情勢について「内戦状態」と語った。
・国連平和維持活動は機能不全になり、停戦調停は事実上崩壊した。
・シリア国土の多くを反体制派が把握。政府軍が奪い返している状態。
・シリアでは砲撃や戦闘で多数の死者が出る状態が続いている。

◆ギリシャ再選挙前夜、欧州市場は緊張 ☆
・ギリシャ再選挙を17日に控え、欧州市場は緊張が続いている。
・スペイン国債の利回りは、前週のEUの支援表明にも関わらず7%まで上昇。
・イタリア国債の利回りも上昇した。
・EUはギリシャのユーロ残留を求めるなど、鎮静化に努める。
・各国中銀は資金供給の準備を表明。混乱を押さえようとしている。

◆日本が原発再開決定(16日)☆
・日本政府は関西電力大飯原発3、4号機の稼働再開を決定した。
・7月上旬以降運転が再開する。稼働原発ゼロから2カ月ぶりの再開となる。
・日本は福島原発事故後、定期点検に入り原発運転の再開を見送ってきた。
・その結果、5月には42年ぶりに全原発が停止する状況になっていた。
・原発政策を巡る議論は割れたまま。安全問題より電力不足解消を優先した形だ。

◆スー・チー氏がノーベル賞受賞演説(16日)
・アウン・サン・スー・チー氏がオスロでノーベル平和賞受賞演説を行った。
・同氏はミャンマー民主化活動に対し、1991年に平和賞を受賞した。
・受賞がミャンマーへの世界の関心を引きつけたと評価。
・その上で民主化推進への決意などを強調した。

◆フォークランド住民投票決定(12日)
・フォークランド諸島議会は、英領にとどまるかの住民投票を行うと発表した。
・実施は2013年の予定。残留賛成が多いと見られる。
・同諸島の住民は約3000人。その9割は英国籍を持つ。
・同諸島には1982年アルゼンチンが侵攻。その後英国が奪回した。

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◎寸評:of the Week
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 【ギリシャ再選挙前夜】 ギリシャの再選挙が17日に行われる。選挙結果いかんでは金融危機の深刻化やギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びるとあって、世界の強い関心が集まる。各国中銀はいざという場合は豊富な市場に豊富な資金供与をする方針を表明するなど、混乱の防止に必死だ。
 再選挙のインパクトは大きく、第1波が収まるまでに少なくとも数日はかかりそう。ということもあり、今週のINCD(2012年25号)は16日締め。

 
◎今週の注目(2012.6.17-23)&当面の注目
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・ギリシャの再選挙が17日に行われる。直前の世論調査発表は禁止されているが、緊縮派のNDと緊縮政策見直しを主張する急進左派連合が拮抗しているとの見方が強い。選挙結果いかんでは、金融市場の混乱やギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びることも予想される。世界の金融市場・経済に大きな影響を与える可能性も大きい。世界が注目だ。
・G20首脳会議が18-19日にメキシコで行われる。ギリシャ再選挙の結果を受けたユーロ危機問題や世界経済を協議する。
・エジプト大統領選決選投票が16-17日に行われる。5月の第1回投票で1、2位を獲得したイスラム原理主義組織ムスリム同胞団系自由公正党のモルシー党首と、世俗主義派で軍出身のシャフィーク元首相が大統領の座を争う。
・フランス下院選の第2回投票が17日に行われる。オランド大統領与党の社会党が有利な展開で、過半数を得られるかどうかが焦点。

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2012年6月10日 (日)

◆スペイン支援要請~ギリシャ再選挙前夜のユーロ情勢 2012.6.10

 スペインがEUに支援要請する見通しになった。

 スペインでは先月大手銀行バンキアの経営危機が表面化。経済の悪化もあり、国債利回りが上昇、6%台後半で推移している。その結果、国債の借り換えや銀行の資金調達が極めて難しくなった。

 ラホイ首相や蔵相は、スペインが国際金融市場から締め出されていると認めたうえで、EUやIMFの支援が避けられないとの見通しを表明した。これを受ける形でユーロ圏は9日電話会議を開き、最大1000億ユーロの融資方針を決めた。

 EUへの金融支援要請は、2010年4-5月のギリシャ(第1次)、2010年11月もアイルランド、2011年3月のポルトガル、2011年7月からのギリシャ第2次に次いで大きなものでは4回目。支援規模はいずれも1000億ユーロ規模だ(ギリシャ第2次支援を巡っては、その後何度も新たな問題が表面化し、現在ももたついている)。

▼ユーロ圏4位の経済

 スペインの経済規模はユーロ圏第4位。ギリシャに比べれば4-5倍だ。揺らぐようなことがあれば、その影響はギリシャなどの比ではない。

 今回の特徴は、正式支援要請の前にEUが「支援の用意」を表明したこと。市場の混乱を避けようとりする意図が見え見えだ。

 もう一つは、6月17日にはギリシャの再選挙が待っているというスケジュールだ。再選挙で反緊縮派の政党が勝てば、ギリシャ支援の前提が崩れ、ギリシャのユーロ離脱などこれまで以上の混乱が起きる可能性がある。市場はギリシャ再選挙をにらみ模様眺めの状況。スペインの危機は、そうしたムードの中で起きた。

▼ユーロ危機の背景

 2009年にギリシャの財政粉飾発覚をきっかけにユーロ危機が表面化してから、2年半以上が経過した。この間、危機の表面化→支援などの対応策→一服→危機の再燃、を繰り返してきた。

 危機の背景には、ユーロの持つ構造的問題や経済改革に対する国民の抵抗などがあり、金融政策のみでは語れない。根の深い問題だ。そして、危機脱出までには数年-10年以上の長期間かかるということは、すでに共通認識になった。

 ただ、ギリシャ再選挙の結果ユーロ離脱などになれば、単なる「危機の再来」とは全く異なる局面に入る。ユーロの仕組みそのものが変わり、1999年のユーロ誕生以来の大枠の変化になる。それは金融・経済はもとより、EU統合の将来像や欧州の政治・社会の風景をも変え得る。それだけに、ギリシャ再選挙は重みがある。

 スペインの支援要請はそれ自体大ニュースだ。しかしギリシャ再選挙と比べると、「前夜のイベント」として位置付けたくもなる。それがユーロ危機の現況だ。

2012.6.10

2012年24号(6.4-10 通算624号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年6月4-10日
 

◆スペイン支援要請へ、EUは1000億ユーロの支援用意(9日)☆☆
・スペインは近くEUに支援要請をする考えを表明した。
・EUはスペインに最大1000億ユーロの支援を用意すると約束した。
・ユーロ圏財務相が9日、緊急電話会議を開き決めた。
・支援は欧州金融安定基金や安定メカニズム(ESM)を通じて提供する。
・IMFは8日、同国金融機関が最低400億ユーロの資本増強が必要と報告した。
・ギリシャ危機の余波で同国銀行経営や経済は悪化。資金調達が困難になった。
・国債利回りは6%台後半に高止まりしている。
・支援用意表明は動揺を抑える狙い。ギリシャ再選挙を睨みユーロの緊張は続く。

◆シリアで再び虐殺(6日)☆
・シリアの中部ハマで攻撃があり、住民55人以上が死亡した。
・先月末のフーラでの100人以上の住民が殺された事件に次ぐもの。
・欧米はシリア非難を一層強化。国連安保理での決議に向けて調整している。
・ただロシアの姿勢は慎重。4日のEUとの首脳会議でも制裁などで相違を残した。
・ラブロフ外相は5日、アサド退陣容認をにおわせつつも欧米の対応を批判。
・イラン等周辺国を含んだ国際協議を主張した。

◆中国3年半ぶりの利下げ(7日)☆
・中国人民銀は政策金利を0.25%下げた。貸出基準金利(1年)は6.31%になる。
・利下げは2008年12月以来3年半ぶり。
・景気底入れを優先、緩和に踏み切る。
・インドやブラジルはすでに利下げに動いており、新興国の金融緩和が鮮明になる。

◆上海協力機構、アフガンがオブザーバー申請(6-7日)☆
・中ロと中央アジアの上海協力機構首脳会議が北京で開催した。
・アフガニスタンのオブザーバー申請を受け入れた。トルコは対話パートナーになる。
・5日には中ロ首脳会談が行われ、アジア太平洋安保での協力などを強調した。
・中ロは利害対立をはらみながら、米国牽制などで協力を探る。

◆米ウィスコンシン州知事リコール選、財政再建派共和現職が勝利(5日)
・リコール請求に基づく知事選が行われ、共和党の現職ウォーカー知事が勝利した。
・知事は10年の財政再建を訴え当選。公務員団体交渉権を制限する法案を出した。
・公務員労組は議事堂占拠やデモで対抗。米史上3度目のリコール選挙を実現した。
・選挙の勝利で知事vs公務員は当面知事に軍配が上がった形。
・選挙は11月の大統領選の前哨戦としても位置付けられ、オバマ氏に逆風となる。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【天安門事件23年】 1989年の天安門事件から4日で23年を経過した。香港では民主派が恒例のデモが展開した。しかし中国の人権状況はここにきて再び締め付けが厳しくなっている。
 2008年の北京五輪などをきっかけに、人権状況はやや改善したとの見方が強かった。しかし、2011年のアラブの春以降はネット規制を強化。今年は秋の共産党大会による人事交代を控え、管理強化が目立つ。経済では発展の続く中国の現実だ。

 【ロシアの規制強化】 ロシアでも規制強化が目に就く。上院は6日、大規模デモの規制強化法案を可決した。昨年末の下院選不正開票疑惑以降、政権批判デモが公然と行われるようになったが、プーチン政権と与党が締め付けに出た格好だ。
 一方、ロシア政府は7日、国営企業の民営化推進計画を決めた。石油大手ロスネフチなど資源やインフラの大手を含む。保守派の抵抗でどこまで実現するかは不透明だが、経済改革の意欲は強い。ロシアには強権と改革が混同する。
 
 【サッカー欧州選手権】 サッカーの欧州選手権が8日始まった。ポーランドとウクライナの共催。試合そのものとともに注目されるのが、EU諸国のウクライナに対する姿勢。EU諸国はヤヌコビッチ政権によるティモシェンコ前首相の逮捕・有罪判決を人権上問題ありと判断。首脳や政府関係者の観戦をボイコットしている。ロシアなどはこれを批判する。古くて新しい「スポーツと政治」の問題がクローズアップされる。

◎今週の注目(2012.6.11-17)&当面の注目
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・ギリシャの再選挙が17日に行われる。5月6日の選挙は旧連立与党が過半数割れ。連立政権交渉が不調に終わり、再選挙になった。焦点は、EU支援の前提となる財政赤字削減策。連立政権が緊縮策を進めてきたのに対し、急進左派党などが反対し、国民の支持を拡大している。緊縮策見直しとなれば混乱は必至で、ギリシャのユーロ離脱も指摘される。ユーロの将来にとって、決定的に重要な選挙になる。
・エジプト大統領選決選投票が16-17日に行われる。5月の第1回投票で1、2位を獲得したイスラム原理主義組織ムスリム同胞団系自由公正党のモルシー党首と、世俗主義派で軍出身のシャフィーク元首相が大統領の座を争う。
・10日投票のフランスの下院選結果が判明する。下馬評ではオランド新大統領与党の社会党系が有利。
・G20首脳会議が18-19日にメキシコで行われる。ユーロ危機が最大の焦点。

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2012年6月 3日 (日)

◆世界経済と市場の「質への逃避」 2012.6.3

 世界経済の先行き懸念が広がった。先週目立ったのは、ユーロ危機、新興国の景気減速。そして市場における質への逃避だ。

▼ユーロ危機と新興国経済の減速

 ユーロ危機はギリシャからスペインなど焦点を変えて動揺が続く。ユーロ圏の4月の失業率は11%になった。

 米国の5月の失業率は8.2%と11カ月ぶりに上昇した。雇用の減少は大統領選をも左右する材料。市場では、第3次の金融量的緩和(QE3)の観測も拡大した。

 新興国経済は減速が鮮明になり、ブラジルが1日発表した1-3月GDPは前年比0.8%増にとどまった。2012年の成長も3%前後に低下しそう。同国中銀は政策金利を過去最低の8.5%に引き下げた。昨年8月から7回連続、合計4%の引き下げだ。

 インドが31日発表した1-3月成長率は5.3%と7年ぶりの低成長にとどまった。中国の1-3月成長は8.1%を確保したが、従来の9%台以上から減速した。

▼リスク回避

 市場ではリスク資産を避けて安全資産に回避する動きが加速した。今週、世界の主要市場ではほとんどすべてで株式は下落。NYダウは年初来の安値になった。

 原油価格は1バレル82ドルまで低下(2007年には147ドル。その後下落→上昇を繰り返す)。

 ギリシャ、スペインなど財政や金融出不安を抱える国債の利回りは軒並み上昇(価格は下落)。スペイン国債は6.5%超えと半年ぶりの水準になった。

 一方、米国やドイツ、日本など目先は比較的安全とみられる国債は軒並み利回り低下。米国債10年物は1.5%、ドイツ国債は1.15台で史上最低を記録。日本国債は0.8%台。英国やオランドなどの国債利回りも低下している。

 円などに対しユーロの価格が下落。1日には1ユーロ=95円台と、11年半ぶりの円高・ユーロ安になった。ドル・ユーロは1年数カ月ぶりのユーロ安水準となった。

2012.6.3

2012年23号(5.28-6.3 通算623号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2012年5月28日-6月3日

◆シリアへの国際非難高まる ☆
・同国中部フーラで5月末、女性や子供ら100人が殺害される事件が発生した。
・政府軍による攻撃とみられる。
・欧米各国はアサド政権への非難を強化。自国駐在シリア大使に退去を要求した。
・ドイツなどは国連安保理の開催を要求。非難決議や制裁の議論を想定している。
・しかしロシアは依然非難決議などに慎重な姿勢を崩していない。
・欧米はアサド政権を批判しつつも直接関与を避けてきたが、情勢が変わりつつある。

◆エジプト、ムバラク前大統領に終身刑判決(2日) ☆
・特別法廷はムバラク前大統領に終身刑の判決を言い渡した。
・同氏は反体制デモ参加者の殺害を指示した罪などを問われ、死刑が求刑された。
・判決への賛否は2分している。2-3日にはカイロで数万人が死刑要求デモを展開した。
・昨年1-2月の革命時には治安維持部隊が反体制派デモを制圧。850人が死亡した。
・アラブの春で崩壊した前政権の責任を問う裁判で、判決が出たのは初めて。
・同国では革命後も政治・社会の不安定が続き、大統領選1回投票でも票が割れた。
・16、17日の大統領選決選投票はムスリム系と世俗派候補が争う構図。
・今回の判決が、大統領選にも影響する可能性がある。

◆世界経済先行き不透明感拡大、質への逃避進む ☆
・世界経済の先行き不透明感が広がり、市場ではリスクを避ける質への逃避が進んだ。
・ユーロ危機ではスペインに焦点が当たり、同国国債利回りは上昇した。
・ブラジル、インドなど新興国の経済減速が鮮明になった。
・米国の5月の失業率は8.2%と、11か月ぶりに上昇に転じた。ユーロ圏4月は11%。
・株式や原油価格、スペインなど財政・金融不安を抱える国の国債利回りが上昇。
・米国やドイツ、日本などの国債利回りは、史上最低レベルに低下した。

◆BPがロシア石油合弁解消(1日)
・英BPはロシア石油合弁TNK-BPの株式50%を売却し、合弁解消の方針を発表した。
・同社はBPとロシアの投資家グループAARが2003年に設立。石油生産はロシア3位。
・BPにとってはグループの石油生産の3割を占める収益源になっている。
・しかし運営などを巡り対立。BPにとっては他社とのロシア事業展開の足かせにもなった。
・ロシア事業の難しさを改めて示した形だ。

◆アイルランド国民投票、EU財政協定承認(31日)
・EU財政協定批准の是非を問う国民投票が行われ、賛成60%で承認した。
・同協定は財政赤字をGDP比0.5%内に義務付けることなどを定めている。
・ユーロ圏17カ国中12カ国の批准で発効。アイルランドのみが国民投票にかけた。
・賛成はEUの財政政策への支持を表明した格好。
・ただし市場は賛成を織り込み済みで、反応も大きくなかった。

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◎寸評:of the Week
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 【シリアとエジプト】 シリア情勢に世界の関心が集まった。5月末のフーラで女性・子供を含む約100人が殺害された事件を、世界のメディアでは「虐殺」として報道。欧米各国は従来の言葉でのシリア批判から一歩進んで、自国駐留のシリア大使に国外退去を命じるなど、厳しい姿勢を示した。ただ、ロシアは依然慎重な構えを見せており、国連安保理の議論がどう進むかは不透明。アサド大統領は3日の発言でも、強硬姿勢を変えていない。
 エジプトではムバラク前大統領裁判に対する判決が出た。求刑の死刑に対し、判決は無期懲役。前大統領はサングラス姿でベッドの横たわり檻の中で判決を聞いた。判決には反前大統領派、支持派双方が反発。死刑を求める人々はカイロでデモを展開した。国家再建より、社会の分裂が目立つ印象だ。

 【米大統領選】 11月の米大統領選共和党候補に5月29日、ロムニー前マサチューセッツ州知事が確定した。テキサス州の予備選で勝利し、代議員数の過半数を獲得した。本選ではオバマ大統領と一騎打ちになる。
 同氏はモルモン教徒。共和党中道派に属し、保守化の進む共和党をまとめきれるかというジレンマに直面。予備選中は保守的政策を強調する場面もあった。候補者決定で、どのような政策を打ち出してくるかまずは注目だ。
 民主・共和両党の政策が対立するのは、富裕層への増税、金融規制など。しかしまだ論点が明確になっているわけではない。
 5月の失業率は11か月ぶりに上昇に転じた。オバマ大統領にとっては逆風の結果だ。大統領選では、経済状況が大きく影響する。

◎今週の注目(2012.6.4‐10)&当面の注目
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・ロシアのプーチン大統領が5-7日に中国訪問。
・ギリシャ再選挙が6月17日。
・エジプト大統領選決選投票は6月16-17日。

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