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2011年12月

2011年12月25日 (日)

◆2011年のレビュー(2) 中東革命・原発・ユーロ危機 2011.12.25

 2011年が間もなく終了する。1年をレビューすると、中東革命(アラブの春)、日本の震災と原発事故などの大ニュースがあり、ユーロ危機に世界経済が揺れた年だった。前週に続き、主要メディアの報道などを参考に今年をレビューする。

▼INCDの10大ニュース

 INCDが選んだ10大ニュースは以下の通り。

(1)中東革命(アラブの春)
(2)日本の地震・津波・原発事故
(3)ユーロ危機
(4)スマホ革命の進展
(5)ビンラディン殺害
(6)反ウォール街など世界各地で抗議デモ
(7)世界人口70億人突破
(8)世界経済減速、米など先進国相次ぎ格下げ
(9)ロシア・プーチン首相が大統領復帰へ、抗議も表面化
(10)米がイラク撤退、イラク・アフガン情勢は不安定続く

▼中東革命--長期政権打倒、ネット、イスラム

 1月のチュニジア・ジャスミン革命を皮切りに、民主化・政権打倒の動きが中東全域に広がった。2月にはエジプト・ムバラク政権が崩壊。リビアにも飛び火し、内戦を経て8月にカダフィ政権が崩壊。カダフィ大佐は10月殺害された。
 イエメンは反体制運動が拡大する中、サレハ大統領が退陣を表明したが、実行はなお不透明。バーレーンでは反体制運動が封じ込められた形。シリアではアサド政権による弾圧が続いている。
 政権交代した国々は、いずれも長期独裁政権下で自由の抑圧、富の独占などが続き、民衆の不満が蓄積していた。それが爆発したのには、フェースブックやツイッターなどのネットが果たした役割が大きい。
 ただ、政権打倒後の国の再建は難しい。憲法制定→選挙→民主政権の樹立を進めようとしているが、各国とも多くの利害調整が必要になり、混乱が続く。エジプトではなお権限を握り続ける軍への不満が表面化し、衝突も起きた。
 アラブでは60-70年代に国づくりの求心力になった社会主義や民族主義が力を失った後、イスラムへの回帰が起きた。中東革命後の各国でも、イスラム組織や政党が力を得る傾向が出ている。

▼自然災害と原発事故--日本の地震・原発事故

 3月の東日本大震災と津波被害は、世界に自然災害の凄まじさを改めて見せつけた。津波被害などの映像は世界に送られ、人々の記憶に強いインパクトを与えた。

 生産拠点の被災による生産体制の麻痺は、世界経済がサプライチェーンで結び付き、リスクが波及することを見せつけた。この問題は、10-11月のタイの洪水被害でも再度確認された。

 福島第1原発の事故は原発の安全に改めて問題を突き付け、ドイツやイタリアなどが脱原発を決定。世界のエネルギー産業に多大な影響を与えた。フクシマの名前はヒロシマ、ナガサキと並んで世界の記憶になった。

▼ネット革命進展--スマホ時代、中東革命、サイバー攻撃、アップル

 ネット革命は引き続き加速。スマートフォン時代が本格的に到来し、先進国の多くでは従来型の携帯電話の出荷台数を上回った。

 アラブの春ではネットが世界の変化に決定的な役割を果たしていることを見せつけた。こうした動きを受けて、中国などではネット規制を強化。また、サーバー攻撃の問題が従来以上に認識されるようになり、米国防総省は陸海空軍に続いてサーバーを安全保障上の領域にする方針を表明した。

 ネット時代の象徴企業とも言えるアップルが時価総額世界1の座を記録。創業者のスティーブ・ジョブズの死は、単に経営者の死亡を超えたニュースとして世界に受け止められた。

▼金融危機のツケ--ユーロ危機、米国債格下げ

 ユーロ危機が深まった。2010年にはギリシャ、アイルランドがEUやIMFへの支援要請に追い込まれたが、2011年はポルトガルが支援要請。ギリシャは2度目の支援要請に陥った。また危機がイタリア、スペインなど南欧諸国に波及し、国債の利回りが急上昇。PIIGSと呼ばれる5カ国(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)で政権が退陣に追い込まれた(選挙あるいは市場圧力を受けた退陣)。

 各国は財政危機克服のために再建計画を策定。社会保障削減や増税を打ち上げた。しかしこれには国民が反発し大規模な抗議活動を展開。状況ままらなない。

 ユーロ危機の深まりには様々な要因がある。ユーロの持つ構造的な矛盾の表面化(金融政策は一体だが財政はばらばら)、政治的リーダーシップの不足、市場の暴走を食い止める規制の欠如などだ。しかし2008年の金融危機のツケという面も大きい。各国は財政支出の拡大で不況をしのいだが、その矛盾が形を変えて露出してくる。ユーロ危機は、その一環だ。

 財政の構造的な問題はユーロ圏以外の先進国にも共通する。米国の財政赤字もなおGDP比10%前後。S&Pなどが初めて米国債格下げ(最上位のトリプルAから引き下げ)に踏み切ったのも、こうした問題点の反映だ。

▼世界経済減速と重心の移動

 財政のツケもあり、先進国経済は低迷。IMFなどは成長予測の下方修正を繰り返した。財政危機、金融市場の不安定などがあり、世界経済の行方は不安定。2010年ごろに模索された超緩和政策からの「出口戦略」も描けない状況だ。

 中国をはじめとする新興国も、インフレ警戒と減速懸念の狭間を行き来する。それでも新興国経済は成長を維持、世界経済の重心変化をさらに印象付けた。

▼テロ戦争10年--ビンラディン殺害とアフガン、イラク情勢

 2011年は9.11から10年の節目の年。テロの懸念は消えず、アフガニスタン、イラク情勢の不安定は変わらない。

 そうした中で、米軍によるオサマ・ビンラディン殺害は衝撃的な事件だった。ビンラディンは9.11以来のテロのアイコンのような存在。殺害の象徴的な影響は計り知れない。

 イラク駐在の米軍は12月に撤退した。イラクやアフガン、中東、中央アジアなどでテロは連日のように起きている。世界がテロの脅威にさらされている事実に変わりはなく、その背景にある貧富の格差拡大やイスラム過激派との価値観の違いは何も解決されていない。しかし、その中でも出来事は積み重ねられていく。

▼1年前のテーマ: 想定内と想定外

 1年前の世界の大きなテーマは、(ⅰ)金融危機後済の行方(ⅱ)中国など新興国の台頭による世界の構造変化(ⅲ)アフガン・イラク情勢など安全保障(ⅳ)IT・ネット革命の進展などだった。米中ロなどの体制が変わり「政治の年」になる2012年をにらみ、「2011年は踊り場の年」という観測もあった。

 想定の範囲内で動いたのはまず金融・経済。(3)のユーロ危機、(8)の世界経済減速と米格下げなどが該当する。IT・ネット革命の進展=(4)のスマホ革命に代表=も詳細はとにかく、予想される動きだった。安全保障もビンラディン殺害(5)は予想もつかなかったが、(10)のアフガン・イラク情勢などはある程度の想定が出来た。

 一方、想定外だったのは(1)の中東革命や(2)の日本の地震・津波・原発。いずれの問題も、来年以降に引き継がれて世界を動かし続ける。

▼APの10大ニュース

 参考にAP選出の10大ニュースを挙げる。米国内と世界のニュースの区別をつけていない。ペンシルバニア州立大のスキャンダルなど、いかにもアメリカらしい話が入っているのは笑える。

(1)オサマ・ビンラディン殺害
(2)日本の地震・津波・原発事故
(3)アラブの春
(4)ユーロ圏危機
(5)米経済
(6)ペンシルバニア州立大のセックス・キャンダル
(7)リビア・カダフィ政権崩壊とカダフィ殺害
(8)連邦債務上限引き上げ、増税など巡る議会対立
(9)反ウォール・ストリートデモ拡大
(10)ギフォーズ議員狙撃

2011.12.25

◆金正日総書記死去を巡る情報整理 2011.12.25

 北朝鮮の金正日総書記が死亡した。北朝鮮は3男の金正恩氏を後継者に打ち出したが、権力継承の行方は読めない。北東アジア情勢の不安定につながる懸念も消えない。

▼突然の死亡

 北朝鮮が金正日総書記の死亡を発表したのは19日正午。17日に視察移動中に列車内で心筋梗塞で死亡したとする。同時に金正恩氏を「卓越した指導者」と呼び、葬儀の序列1位と発表するなど後継者の地位を明確にした。米韓など国際社会は事前情報を得ていなかった。

▼Mystery Theatre

 一連の動向に関係しては、多くの疑問が残る。まず北朝鮮で起きていることがベールに包まれている。死亡の公式発表の真偽についても、疑問を挟む向きがある(列車内は疑わしいなど)。

 それにもまして不透明なのが、今後の行方だ。海外メディアの報道も推測情報が多く、確信はない。英Economist誌は"Mystery theatre"とも出しを付けたが、状況をとらえている。

▼不透明な問題

 主な疑問・謎を挙げれば以下の通りだ。

(1)金正恩体制はどうなるか。軍の掌握はできるか。
 金正恩氏は28歳で経験も少ない。今後は集団指導体制になるという指摘があり、総書記の妹やその夫など親族が支えるという解説もある。最も重要なポイントは、軍の支持を得られるかどうか。これは不透明としか言いようがない。金正恩氏がリーダーシップを発揮できるかは予測しがたい。

(2)経済動向
 北朝鮮の経済は低迷が続き、餓死者も出ているほど。この再建のメドは見えない。ただ、現状がどこまで酷いのかについては様々な見方があるし、新体制の経済政策は未知数。当然、経済危機が続けは、国民や軍の離反の可能性も否定できない。

(3)核問題
 金正日総書記は外交主導権確保などのために国際的な緊張を作り出してきた。核開発もこうした文脈の中で進められ、核保有国となり、ミサイル開発などを進めた。外交の基本戦略が直ちに変わるとは予想しがたいが、この方針は微妙な駆け引きを伴うもの。ぼたんの掛け違いや暴走→深刻な事態も排除できない。

(4)国家の存続
 北朝鮮にとって最大の問題は国家の存続や体制の維持。冷戦終了後の1990年代から北朝鮮の国家崩壊の懸念は度々指摘された。この懸念は、いまだに消えないし、核と並ぶ最大の問題であり続ける。

▼金正日時代20年の推移

 北朝鮮の現在を理解する上では、金正日総書記時代の20年を振り返ることが不可欠だ。1994年の金日成主席の死亡後以降の主な動きは以下のようなポイントにまとめられる。

*経済の悪化と国体維持の危機: 北朝鮮の経済は悪化。飢餓も常態化した。冷戦崩壊を受けて国家は崩壊の危機に直面してきたことは、上記の通り。
*先軍政治で国内締め付け: 態勢固めに軍を重視。軍の利益を優先する先軍政治を推進した。国内では締め付けを強化した。
*瀬戸際外交の演出と核開発: 瀬戸際外交で危機を演出。国際的存在感を高めた。NTPから脱退し核開発を推進。2006年には核保有国となった。テポドンなどミサイルの発射を繰り返した。
*柔軟外交の使い分け: 2000年に南北朝鮮首脳会談を実施。2002年には日朝首脳会議で拉致問題の存在を認めるなど一定の柔軟姿勢も見せ、支援の引き出しを狙った。

 年表をたどって主な動きを挙げれば、以下の通りだ。 

1994年 金日成主席死亡。
1998年 テポドン発射。
2000年 初の南北首脳会談
2001年 米国が「悪の枢軸」。小泉首相訪朝。日朝平壌宣言
2003年 NPT脱退宣言。6か国協議開始。
2006年 核実験。核保有国に。
2008年 金正日総書記脳卒中の情報。
2010年 3男の金正恩氏後継へ
2011年 金正日総書記死亡。

2011.12.25 

2011年52号(12.19-25 通算600号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年12月19-25日

◆北朝鮮・金正日総書記が死亡(19日発表)☆☆
・金正日総書記が17日死亡した。69歳。北朝鮮メディアが19日伝えた。
・メディアは3男の金正恩氏を指導者と表現。後継者と位置付けた。
・金総書記は94年の指導者就任後、核開発など瀬戸際外交で体制を維持した。
・一方で国内経済は悪化。多数の餓死者が出るなど深刻化した。
・金正恩氏は28歳と若く、指導力は未知数だ。
・当面は集団指導制を敷くとの見方が強いが、軍の暴走などを懸念する声もある。
・北東アジア情勢は、不透明性を増している。

◆イラク副大統領逮捕、宗派対立激化(19日)☆
・イラク当局はハシミ副大統領に逮捕状を出した。爆弾テロ関与の疑い。
・副大統領は20日会見し、容疑を否認した。
・副大統領はスンニー派で世俗政党連合。政府を率いるマリキ首相はシーア派。
・政府内では今回の動きの前から、宗派対立が激化していた。
・22日にはバクダッドで10以上の爆弾テロが発生。宗派対立との関係指摘もある。
・18日には米軍が撤退を完了。重しがなくなった状況で、治安悪化の懸念が強まる。

◆ソ連崩壊20年、プーチン時代曲がり角へ(25日)☆
・ソ連崩壊から20年が経過した。
・この間ロシアはエリツィン時代の混乱、プーチン時代の強権体制へと推移。
・資源高を背景に経済は成長し、民主化も限定的ながら進んだ。
・来年の大統領選ではプーチン首相の復帰が確実視される。
・しかし、先の下院選挙後には反プーチンの動きも表面化。曲がり角を迎えている。
・モスクワなどでは24日、抗議集会が改めて開催された。
・メドベージェフ大統領は22日年次教書演説で抗議の動きをけん制した。

◆トルコ、駐仏大使を召還(22日)
・仏下院は旧オスマン帝国によるアルメニア人虐殺の否定を禁止する法案を可決した。
・トルコは反発。エルドアン首相は駐仏大使の召還や軍事協力停止を発表した。
・仏・トルコ関係の悪化は必至で、トルコのEU加盟交渉などにも影響する。
・虐殺は1915年に150万人が殺されたとするもの。トルコは戦闘や飢餓が主因とする。

◆中国、広東省などで衝突相次ぐ
・広東省などで住民と地元政府の衝突が相次いでいる。
・烏坎村では村幹部による土地の不正処分を巡り住民が抗議活動を展開。
・仙頭市では火力発電所建設を巡り住民と警察官が衝突した。
・地方幹部の汚職や利権乱用に対する抗議は各地で相次いでいる。
・企業での労働争議も頻発している。
・ただ、件数等をとらえる情報はないのが現状だ。
 
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 │INCDの採点
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 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【2011年終了】 2011年賀間もなく終了。INCDも今年最後の発行になる。アラブの春、日本の地震と原発事故、ユーロ危機などがヘッドラインを飾った年だった。

 【金正日死亡】 北朝鮮の金正日総書記死亡という大ニュースが飛び込んできた。死亡の真相、後継者の金正恩氏の素顔などナゾだらけ。明確なことは、北東アジア情勢の不透明さが増す事だ。
 

◎今週の注目(2011.12.26-2012.1.1)&当面の注目
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・2012年に持ち越すテーマのうち、年末・年始にかけて要ウォッチなのは、ユーロ危機、中東革命の行方、北朝鮮と北東アジア情勢、ロシア情勢など。

・2012年の展望について、メディアなどの論調が報道される。

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2011年12月18日 (日)

◆2011年のレビュー(1) 2011.12.18

 2011年が間もなく終わる。年初には踊り場の年という予測もあったが、中東革命、ユーロ危機、日本の大震災と原発事故など大事件が相次ぎ、世界の枠組みが大きく変わった。レビュー(1)として、英Economist誌の年末レビュー、Time誌のPerson of the yearを参考に今年を振り返ってみる。

 Economist誌がのThe world this yearで取り上げた出来事は以下の通り。大手メディアの10大ニュースとは違い、ランキングはつけていない。普段日本からはあまり意識されない出来事も含んでいる。

▽アラブの春
 1月のチュニジア・ジャスミン革命がアラブ各国に波及。2月にはエジプトでムバラク政権が崩壊した。リビアは内戦の末にカダフィ政権が崩壊。カダフィ大佐は殺害された。イエメンではサレハ大統領が3月以内の退陣に著名した。
 モロッコとヨルダンでは、王権の縮小など民主化の動きがあった。
 一方、バーレーンの反政府性運動はサウジの支援もあり鎮圧。シリアでは反体制派デモへの弾圧が続いている。
 中東革命ではネットが大きな力を示したのが特徴だ。革命後の国づくりが混沌としている点も共通する。

▽世界各地での抗議活動
 米国では9月から反WSのデモが繰り返され、世界各地に広がった。米ウィスコンシン州では公務員の給与削減などに抗議して10万人デモ。
 イスラエルでは生活レベルの向上を求める45万人のデモがあり、チリでは教育改善などを求める子供を含む示威活動があった。インドでは著名活動家の反汚職ハンストが話題を集めた。
 The protesuterはTime誌のPerson of the yearにも選ばれた。

▽ユーロ危機と政権交代
 ユーロ圏の経済危機が再燃。2010年のギリシャ、アイルランドに続いてポルトガルが支援を要請。ギリシャも再支援要請に追い込まれた。
 危機の影響はスペイン、イタリアにも及び、国債利回りが上昇。5カ国の政権はいずれも退陣に追い込まれた。
 ギリシャ支援などユーロ危機対応策は遅れ、それが危機を一層深刻化させた。格付け機関の格下げが相次ぎ、独仏国債も格下げ検討の対象に入った。
 EUは12月の首脳会議で税制規律強化の新条約制定で合意したが、危機の行方はなお不透明だ。

▽日本の地震と原発事故
 東日本大震災と津波被害で約3万人の死者・負傷者が出た。地震は世界のサプライチェーンを麻痺させた。
 福島第1原発の事故で放射能汚染が拡大。ドイツが脱原発を決めるなど、世界の原発に大きな影響を与えた。

▽世界経済
 世界経済は減速。IMFの9月予測では、世界の成長率は2012年4%、先進国は2%に落ちる。中国やブラジルなど途上国は金融緩和に転じ、インフレ重視から景気配慮にスタンスを変えた。

▽ビンラディン殺害とイラク・アフガン
 米国は5月、ウサマ・ビンラディンをパキスタンの潜伏先で殺害した。9月には2011年の9.11から10年が経過。テロ戦争の節目の年になった。
 オバマ米大統領は12月、イラク戦争の終結を宣言。アフガンでは情勢不安定が続く。
 アフガン情勢などに絡み、米国とパキスタンの関係がぎくしゃくした。

▽その他
・世界の人口が70億人を突破。
・米経済も減速し、S&Pは米国国債の格付けをAAAから引き下げた。
・中国では中東革命でネットが大きな役割を果たしたことに反応し、ネット規制を強化。
・ロシアのプーチン首相は2012年の大統領選に再出馬すると表明した。しかし、与党統一ロシアは12月の選挙で後退。開票を巡る不正行為も表面化し、2000年のプーチン体制発足後最大の抗議活動が起きた。
・英国では怒れる若者らによる全国的な暴動が発生。ノルウェーでは銃乱射事件が発生。
・メキシコでは麻薬戦争が続く。
・ミャンマーでは形の上で軍事政権が終了、民政に移った。米国務長官が半世紀以上ぶりに同国を訪問。
・南スーダンが独立。東アフリカでは深刻な飢餓被害が広がった。パレスチナが国連に国家としての承認を求めた。

2011.12.18

2011年50号(12.12-18 通算598号)  国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年12月12-18日

◆イラク戦争終結宣言(14日)☆
・オバマ米大統領はイラク戦争終結を宣言した。
・イラク駐留米軍は15日バクダッド国際空港で任務終了の式典を行った。
・2003年のイラク戦争開始から8年9カ月の駐留を終えた。
・この間米軍は最大16万人が駐留。4400人以上が死亡した。
・米軍の戦費は7000億ドル以上で、財政にも重くのしかかった。
・イラク民間人の死者は数10万人にのぼると推計される。
・イラク情勢なお不安定は、中東を揺るがす要因であり続ける。
・開戦時の世界は米国1極支配だった。戦争泥沼化で権威は大きく傷ついた。

◆ロシアのWTO加盟正式決定(16日)☆
・WTOはロシアのWTO加盟を正式決定した。
・1993年の加盟申請から18年で実現した。2012年夏実現の見込み。
・決定により、世界の主要国は全てWTO加盟国になる。

◆中国違法操業員が韓国警察官殺傷、両国関係緊張(12日)☆
・中国漁船の違法操業を取り締まっていた韓国人海洋警察官が殺害された。
・韓国西側の黄海上で、船長にナイフで刺された。
・韓国内では反中感情が高騰。政府の対応にも批判が強まった。
・現場の海域では中国漁船の違法操業が頻繁に起きている。
・李明博大統領の訪中日程や中韓FTA交渉へも影響する可能性がある。

◆タイム誌「今年の人」にprotester(抗議する者)(14日)☆
・米タイム誌は2011年のPerson of the yearにthe protester(抗議者)を選んだ。
・世界各地の抗議デモの参加者を指すとしている。
・今年は中東デモ、米国の反ウォール街デモ、欧州の財政緊縮反対デモなどが展開。
・ロシアの不正選挙抗議デモなども含め、30億人に上る抗議者がいたと指摘する。

◆シリアの弾圧5000人超(12日)
・シリア・アサド政権による反体制派デモ弾圧の犠牲者が5000人を超えた模様だ。
・国連人権高等弁務官事務所は12日発表した。
・アラブ連盟もアサド政権に自重を促しているが、効果は限定的。
・シリア情勢は緊張した状況のまま越年する。

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◎寸評:of the Week
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 【年末】 今年も残すところあと2週間。2011年の世界を揺るがした中東革命(アラブの春)、ユーロ危機などは、いずれも懸案を抱えたまま越年する。

 【先行きの見えないイラク戦争の"終結"】 オバマ米大統領がイラク戦争終結宣言を出し、現地でも任務終了の式典が行われた。8年以上にわたる駐在が公式には終わった。
 米国を中心にする多国籍軍は、2003年の戦争開始後サダム・フセイン政権を容易に打倒した。しかし、その後イラク情勢は泥沼化。米国は8年にわたりピーク時16万人以上の兵力を駐在させ、4400人以上の犠牲を出したが、イラク情勢はなお「安定」には程遠い。米国の威信は大きく傷ついた。
 イラク国内の反米感情は高まり、マリキ政権も形を変えた米軍の駐在を拒否した。イラクに引きとめられたのに米国が撤収したわけではない。この点には注意が必要だ。
 米国の都合からすれば、過去数年間で中東への石油依存度は低下した。オバマ政権にしてみたら、アフガンだけでも大変。イラクでの負担は政治的にも経済的にも軽減したかった。
 イラク情勢はこの先、どう変わるか分からない。中東情勢全体に影響するような事態になれば、米国も再度政策を考える必要があるだろう。「撤退」が実現しても、先行きの平和への展望が描けているわけではない。この点は当たり前だが、重要だ。

 【日本の冷温停止状態宣言】 今年3月に事故を起こした福島第1原発について、日本の野田首相が「冷温停止状態」になったと発表した。世界のメディアは「日本が発表した」と報道。安全性については、当然ながら慎重な解説だ。

 【英国とEU】 英国でユーロ安定の新条約「不参加」について意見が割れている。キャメロン首相は先のEU首脳会議で新条約不参加を表明した。保守党内には決定を支持したり、さらにEUから距離を置くよう求める意見がある。一方で連立パートナーの自民党・クレッグ党首(副首相)は首相の決定を批判。議会での首脳会議結果説明も欠席した。いずれの論者も、EU内での英国の孤立傾向が深まったという認識では一致する。

 【新興国経済】 新興国経済は今年前半のインフレ懸念から、景気減速懸念へと変わってきた。資金の流出も続いている。各国は金融引締め→緩和政策を強めている。

◎今週の注目(2011.12.19-25)&当面の注目
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・クリスマス休暇入り。市場の動向、中東情勢などはいつ、どう動いても不思議でない。

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2011年12月11日 (日)

◆EU新条約合意の意味 2011.12.11

 EU首脳会議が財政規律強化のための新条約制定で合意した。27カ国が参加する基本条約の改定ではなく、英国を除く26カ国による条約となる見込みだ。

 今回の合意は、ユーロ危機対応の一策ではあるが、根本解決には不安払しょくにはなお力不足。一方、EUの未来については2スピード・ヨーロッパが一層強まるとの見方が強い。

▼26カ国で新条約

 8-9日に開かれたEU首脳会議は、ユーロ危機が深まる中で、近年まれな注目下で行われた。最大焦点の1つが財政規律の強化策。「金融政策は統合だが財政政策はバラバラ」というユーロの構造的問題を是正するために不可欠の課題とされた。

 ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領はEU基本条約の改正による財政規律強化を主張した。しかし、ユーロ非加盟の英国のキャメロン首相は拒否。夜を徹しての議論の末、結局ユーロ圏17カ国と賛同国だけで新条約を創設することで合意した。

 新条約は平時の財政均衡を求め、違反時には自動的に制裁を科すようにする。英国を除く26カ国が参加の意向を表明した。2012年3月までの署名を目指す。

▼セーフティネット強化

 首脳会議はセーフティネットの強化策でも合意した。欧州版IMFとも言える欧州安定メカニズム(ESM)は、当初計画の2013年から前倒しして2012年に設立することを決定した。

 現在のセーフティネットである欧州金融安定基金(EFSF)も2013年まで存続させる。IMFとの連携強化なども確認したが、詳細は未調整の部分が残る。

▼ユーロ共同債は継続協議

 ユーロ共同債の発行にはドイツなどが反対で、結論は出なかった。共同債は資金調達の有力手段として南欧諸国やフランスなどが積極的で、バローゾ欧州委員長も前向きな発言をしている。しかし財政規律を重んじるドイツは、安易な資金調達は財政削減圧力を弱めると反対。結局結論は出なかった。

 このほか、欧州中銀との連携についても個々の問題では意見が異なる。ドラギ欧州中銀総裁は欧州中銀による国債の引き受けには慎重な姿勢を見せている。

▼各国の動きと市場の反応

 イタリアとギリシャは財政赤字削減を盛り込んだ次年度予算案を採択した。金融支援要請に追い込まれたギリシャ、ポルトガル、アイルランドと、国債利回り急上昇に見舞われたイタリア、スペインは、今年に入り政権交代したばかり。各国新政権とも財政赤字削減の予算を作成、議会での協力も得ようとしている。

 しかし負担増を求められる国民の抵抗は続く。見通しは予断を許さない。

 市場では、今回の一連の合意について、危機克服にはパンチ不足との見方が強い。S&Pはユーロ圏各国や大手銀行の格下げ見通しを発表した。

 ユーロ危機の行方は、なお不透明だ。

▼EUの将来にも影響

 ユーロ危機ばかりに目が行きがちだが、今回の新条約合意はEU統合の行方にも影響が大きい。

 フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相は、首脳会議後、英国が特例を求めることには応じられないと強調。英国はユーロ圏の国ではないと、突き放したものの言い方をした。

 英Economistは"Europe's Great Devorce"と評した。英Financial Timesは”Cameron triggers two-speed Europe"と論じた。

 ユーロ圏が出来たことで、EUはユーロ加盟国と非ユーロ加盟国の2段階の構造になっているが、共同で統合に向かっていこうという姿勢は表面上維持してきた。しかしユーロ危機のような事態が起きると、個々の国の利益が優先され、統合より個別の事情という場面が増えてくる。

 今回の新条約は、2階層の欧州を一層際立たせる。それが将来のEU統合の行方に影響するのも確実だ。

20111211

2011年50号(12.5-11 通算598号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年12.5-11日

◆EU、英除く26カ国で条約改正合意(8-9日)☆
・EU首脳会議は財政規律強化の新条約を、英国を除く26カ国で制定することで合意した。
・新条約は財政赤字が過大な国を自動的に制裁する内容。
・同時に、既存の安定基金の強化、IMFとの連携強化など当面の危機対応策も定めた。
・ユーロ共同債は独などの反対で合意せず、継続協議となった。
・一連の合意は、危機対応には不十分との見方が市場では強い。今後の行方は不透明だ。
・EUは当初基本条約改定による財政規律強化を目指した。
・しかし改定には英国が反対。別枠の新条約設定となった。
・英メディアなどは、EU統合が2段階になるTwe Speed Europeが強まると指摘する。

◆ロシア下院選、与党が議席大幅減、各地で抗議集会(4日投票)☆
・下院選(議席450)が行われ、与党統一ロシアが315→238に議席を減らした。
・過半数は維持したが改憲に必要な3分の2を喪失。得票率も64%→49%に減少した。
・左派の共産党、極右の自由民主党などが議席を伸ばした。
・与党一党支配への批判が表れたとの見方が強い。
・政府・与党による不正行為も指摘され、6日以降各地で抗議のデモが発生した。
・10日にはモスクワの2.5万人デモなど、2000年のプーチン体制発足後最大の抗議となった。
・来年の大統領選は、なおプーチン首相の復帰が確実視される。
・しかし体制の行方は不透明感が増した。

◆COP17、具体的合意先送りで閉幕(11日)☆
・COP17 は、2020年に新たな法的枠組みの発行を目指す合意文書を採択した。
・新枠組みには米中の参加を求める。遅くても15年までに交渉を終える予定。
・京都議定書は13年以降2年間の延長期間を設定する。ただし日加、ロシアは参加しない。
・会議はポスト京都議定書の合意を目指したが各国の意見が対立。詳細は先送りした。
・京都議定書は地球温暖化防止を目的に97年合意。現条約の期限は2012年末。
・条約には世界1、2の排出国である米中が不参加。両国の参加など課題は多い。

◆欧州中銀が連続利下げ(8日)☆
・欧州中銀はユーロの政策金利を1.25→1%に引き下げた。
・利下げは2カ月連続。99年のユーロ発足後の最低水準に並んだ。
・景気減速に対応した。
・資金供給の強化策も決めた。

◆エジプト議会選第1回、イスラム政党が圧勝(7日)
・選挙管理委は総選挙(508議席)第1回投票(11月末-12月初)の結果を発表した。
・ムスリム同胞団系政党が56議席中6割の36議席を獲得。圧勝した。
・選挙は地域別に3回に分けて投票。3分の1を選挙区、3分の2を比例で選ぶ。
・軍はイスラム系政党の躍進を警戒している。
・選挙前には軍に対する反対活動も発生。民主化の行方は予断を許さない。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【年末】 2011年も余すところ2週間余りになった。踊り場の年になるとの年初予想に反し、アラブの春、東日本大震災と原発事故、ユーロ危機など世界を揺るがす大きな出来事が発生した。10大ニュースなど今年のレビューも始まる。

 【大ニュース】 重要なニュースの多かった週。EU首脳会議は英国抜きの新条約制定で合意。ロシアでは下院選でポーチン与党が後退し、反プーチンの抗議活動が広がった。COP17は予想通り、重要問題先送りとなった。

◎今週の注目(2011.12.12-18)&当面の注目
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・ユーロ危機は問題未解決のまま年越しするが、年内にもうひと山あるか。
・シリア、イエメン情勢も越年の重要問題として目を離せない。
・メディアによる2011年のレビューの発表が始まる。

 

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2011年12月 4日 (日)

2011年49号(11.28-12.4 通算597号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年11.28-12月4日

◆米国務長官がミャンマー訪問(30日) ☆
・クリントン米国務長官がミャンマーを訪問した。米国務長官の訪問は57年ぶり。
・1日に首都ネピドーでテイン・セイン大統領らと会談。
・民主化推進を求めるとともに、実施すれば制裁緩和の可能性などを伝えた。
・2日にはアウン・サン・スー・チー氏と会談した。
・米国は90年の総選挙で軍事政権が野党の活動を停止して以来同国を批判。
・経済制裁を課すなど厳しい姿勢を取り、関係は冷え切っていた。
・今年に入っての民政移管や中国の影響力拡大を踏まえ、政策転換した。
・中国の台頭でアジア情勢は大きく変わろうとしている。米政策の変換も重要な要素。

◆イランで英大使館襲撃、英国は大使館閉鎖(29日)☆
・テヘランで29日群衆が英大使館を襲撃。大使館員を一時拘束した。
・英政府は30日英大使館の閉鎖を通告。英在住のイラン外交官に国外退去を命じた。
・EUは1日は重大な国際法違反とイランを批判。経済制裁強化を決めた。
・イランは政府の関与を否定した上で欧米に反発。報復を警告した。
・欧米は核疑惑を巡り金融制裁などを強化。大使館襲撃はこれに対するけん制との見方がある。
・イランでは79-81年に民衆が米国大使館を占拠した事件がある。
・欧米とイランの対立は国際法順守など根本的な部分で相違がある。それが表面化した格好。

◆新興国が金融緩和(30日)☆
・中国人民銀は3預金準備率の3年ぶりに引き下げる。30日発表した。
・昨年秋以来の記入引き締め策を緩和に転換する。景気減速に配慮した。
・タイも政策金利引き下げを決定。2年7月ぶりの緩和に金融緩和に転換した。
・ブラジルも政策金利を引き下げた。3回連続。
・新興国は2010以降、物価上昇防止の狙いで金融引き締めを進めてきた。
・ここにきて景気重視に転換した。
・IMFは世界経済見通うぃ9月時点予測(2011、12とも4%)から下方修正すると発表した。

◆エジプ議会選予定通り実施(4日)
・エジプト議会選の第1回著票が4-5日に予定通り実施された。
・投票率は62%に上った。イスラム系政党がリードした模様。
・選挙前に大規模反政府デモが起きたことから実施を危ぶむ見方もあった。
・投票は来年1月にかけてあと2回行われる。

◆米失業率8.6%に改善(2日)
・米国の11月の失業率は前月比0.4ポイント改善し8.6%下落した。
・2009年3月以来2年8カ月ぶりの低水準。
・小売業や医療・サービスなどの雇用が増えた。
・米国の失業率は金融危機前の5%台から一時10%超に増加した。
・ただし、米経済の先行きは不透明で、このまま改善するかどうかは不透明。
・ユーロ圏の10月の失業率は10.3%と、99年のユーロ発足以降最悪を記録した。
・金融危機の深刻化が雇用にも影響している。

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◎寸評:of the Week
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 【米国のミャンマー政策転換】 クリントン米国務長官が57年ぶりにミャンマーを訪問した。米国は1990年にミャンマーの軍事政権が選挙結果を総選挙(NDL圧勝)結果を無視して独裁制を維持すると強く反発。以後、経済制裁などを課すなど関係は冷え切っていた。訪問は政策の大転換だ。
 米国を動かした要因の1つが中国という見方が多い。中国は国際的な経済制裁を受け孤立していたミャンマーに接近。経済支援を行うなど影響力を拡大している。これに対しくさびを打ち込む狙いという指摘だ。ミャンマー政府は先に中国の支援で開始したダム開発の1つを中止したが、この背景に米国の支援を受けたグループの動きがあったとの情報もある。
 もちろん、ミャンマーの改革の動きも無視できない。ミャンマーは国際的孤立脱却を目指して今年、民政に移管。野党指導者のアウン・サン・スー・チー氏の軟禁を解き、対話を模索するなど改革の動きを見せている。2014年にはASEANの議長国にも就任する見込みだ。スー・チー氏も新政権との対話に応じ、来年初めの予備選に出馬する姿勢を見せている。
 新政権の民主化の動きは見せかけ、との指摘も根強い。スー・チー氏の現実的な対応への批判もあり、評価は難しい。
 それでも、国務長官の訪問は大きな転換点であり、ミャンマー情勢が過去20年の枠組みから大きく変わろうとしているのは間違いない。

 【EU首脳会議にらむ欧州通貨危機】 欧州通貨危機を巡っては今週も様々な動きが続いた。
 日米欧の中銀はドル・スワップ協定に基づくドルの供給拡充策を実施。市場の緊張はひとまず緩和した。こうした中で世界の株式相場は上昇。国債利回りは下落し、イタリアは6.5%、スペインは5.6%と前週比1%ポイント下がった。
 EU域内では8-9日の首脳会議を睨んでユーロ防衛策を巡る様々な発言が続いた。サルコジ仏大統領はドイツを共同でEU条約改定案を提案する考えを表明した。財政政策の統合を強化する内容だ。メルケル独首相も2日議会演説し、同様の考えを示した。
 ガイトナー米財務長官は6-8日に訪欧しユーロ問題を協議する。 一方、米英投資家はユーロ圏の債権売却を進めていることが表面化。市場ではユーロ崩壊シナリオの確率を睨んで動く流れになっている。

◎今週の注目(2011.12.5-11)&当面の注目
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・EU首脳会議が8-9日に開催される。ユーロ危機を協議する。ドイツとフランスは財政統合(監視強化)などに向けて、EU条約改正案を共同提案する見通し。しかし市場が関心を寄せるユーロ共同債構想は、今のところ合意は難しそうだ。
・EU首脳会議に先立ち、ガイトナー米財務長官が6-8日に欧州を訪問する。
・南ア・ダーバンで開催のCOP17は事務レベルの協議が進展中。6日から閣僚級の協議に入る。9日までの予定。
・ロシア下院選が4日投票。5日以降結果が判明する。プーチン首相与党がどこまで議席を確保できるかが焦点。

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