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2011年11月

2011年11月27日 (日)

◆ユーロ危機と政権交代 2011.11.27

 スペイン総選挙で野党の国民党が圧勝。7年ぶりの政権交代となった。2月のアイルランド、6月のポルトガル、11月のギリシャ、イタリアに続く政権交代。PIIGSの5カ国はいすれも財政・金融危機により政権が退陣を迫られた。

▽熱狂なき政権交代

 総選挙では中道右派の国民党が350議席中186議席を獲得。与党の社民党は169→110議席に減らした。事前の世論調査通りの結果。ただ、経済危機に対しては先行き厳しい見方は変わらず、選挙戦中から有権者は冷めていた。

▽ドミノ

 今年に入り、ユーロ危機の焦点になったPIIGS5カ国で政権が交代した。

・アイルランド: 2月の総選挙で共和党中心の連立政権→統一アイルランド党中心の政権に交代。ケニー首相が就任した。同国は不動産バブルの崩壊などで金融危機が深刻化。2010年11月にEU・IMFから850億ユーロの支援を受ける。

・ポルトガル: 6月の総選挙で野党社会民主党(中道右派)が与党社会党を破り、6年ぶりに政権交代。ソクラテス首相が退陣し、コエリョ首相率いる政権になった。同国は財政赤字の拡大から2011年4月にEU・IMFに支援を要請。総額約800億ユーロの支援を受ける。

・ギリシャ: 11月にPASOKのパパンドレウ首相が退陣。前欧州中銀副総裁のパパデモス氏が首相に就任し、大連立政権を率いる。同国は財政赤字の粉飾発覚などから2009年に財政危機が表面化。2010年5月にEU・IMFから1100億ユーロの支援を受けた。しかし2011年に入り再度資金繰りが悪化。7月に1100億ユーロの追加支援を決めた。その後条件面などを巡り再び混乱、10月に包括支援策を決めるなどゴタゴタが続く。

・イタリア: 11月に中道右派のベルルスコーニ首相が退陣。後任はモンティ元欧州委員が就き、政治家の入らない政権を率いる。政治不信などを背景に国債利回りが急上昇し、ベルルスコーニ首相は市場の圧力に屈する形で退陣を迫られた。

▽若年失業率46%

 ラホイ新首相は選挙選から、財政赤字の削減や経済改革の推進を強調している。社民党のサパテロ政権も財政赤字削減を強調しており、基本線は同じ。ただし、新政権は一層強い形で改革を前面に押し出す可能性が大きい。当面は、政権発足直後にどんな思い切った手を打ち出すかが焦点だ。

 スペインは1999年のユーロ発足後、従来より金利の安い資金が流れ込み、不動産などの開発ラッシュに沸いた。2008年の世界金融危機後が状況が一変。不動産バブルが崩壊して経済悪化した。2009、2010年はマイナス成長。2011年も1%以下の成長にとどまる。

 中でも深刻なのは失業率。全体の失業率はユーロ圏でも最悪の21%(あのギリシャでも18%台)。若年失業率は46%に上る。

▽財政改革に国民の抵抗

 財政も急速に悪化。財政赤字は2009年11%、2010年は9%台に膨れ上がり、2011年も7%程度に高止まりの見込み。ただ、この水準はフランス(約6%)などに比べて格別に悪いわけではないし、累積政府債務残高は69%とむしろ良好だ。

 それでも、不動産バブルの傷の深さ、経済再建の道筋の不透明さなどから市場のスペインに対する目は厳しい。ギリシャ同様に財政改革に対する国民の抵抗などもあり、市場ではPIIGS(重債務国)として位置付けられている。10年物国債利回りは、危機ラインの7%に近付いた。

 財政赤字削減には、福祉削減や公務員合理化などが避けられない。スペインではすでに何度も、抗議デモが発生。国民の抵抗は大きい。ラホイ新政権の手腕が早速試される。

▽バブルのツケ

 財政赤字の拡大、改革に対する国民の抵抗は、先進国に共通する。2008年の世界金融危機まで、世界経済は年率5%程度の成長を実現した。この過程で、金融資産、不動産などのバブルが膨張した。今となって振り返ると、バブルに支えられた高成長だった。

 金融危機後は先進国が膨大な財政支出で経済を支援。民間のそうしたバブルが、政府の財政支援バブルに置き換わった形だ。

 バブルのツケに苦しむのは米国、欧州、日本とも同じ。その中でも、制度的な矛盾(金融政策は一本化だが財政・経済政策はバラバラ)を抱えているユーロ圏に市場の関心が向かっている。

 とりわけ経済状況が悪く、政治の機能不全が目立ったギリシャなど南欧諸国に照準が向いたのが現状だ。

▽政治の役割

 そうした構造的な問題を抱える中では、どんな政権になっても容易な解決策はない。しかし、政治のリーダーシップがなければ事態は改善しない。

 スペインなど各国の政権交代は、経済危機と政治の役割という大きな問題を改めて考える材料になる。

2011.11.27

 

2011年48号(11.21-27 通算595号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年11.21-27 日

◆スペイン総選挙、政権交代(20日)☆
・総選挙が行われ、中道右派の野党国民党が単独過半数を獲得し圧勝した。
・与党労働党から7年ぶりの政権奪回になる。首相にはラホイ党首が就任する。
・財政赤字の削減、失業の削減など経済改革が課題になる。
・スペインは世界金融危機後、不動産バブルの崩壊で経済悪化が深刻化。
・2010年の財政赤字はGDP比9%超。失業率は21%、若年失業率は46%に達する。
・国債利回りは6%台後半と、危機ラインとされる7%に近付いている。

◆エジプトで治安当局とデモ隊が衝突、死傷者1000人超(19日)☆
・カイロなどで18日から早期の民政移行を求めるデモが発生。
・警察・軍と19日から衝突し、30人以上が死亡。1000人以上が負傷した。
・ムバラク政権崩壊後、実権を握る軍への批判が噴出した。
・シャラフ暫定首相は21日、混乱の責任を取り辞意を表明した。
・同国では28日から来年1月にかけて3回に分けて人民議会選が予定されている。
・選挙ではイスラム同胞団の躍進が確実視されている。

◆イエメン大統領が3月内退陣案署名、情勢なお流動的(23日)
・サレハ大統領はサウジで、GCCが提案した仲介案に署名した。
・3月以内に退陣し、大統領選を実施する。移行期間中は副大統領中心の体制。
・野党勢力は受け入れ姿勢。ただし若者などは即時退陣を求め、行方は不透明だ。
・大統領は旧北イエメン時代も含め33年間権力を掌握している。
・1月に反政府デモが開始。6月には大統領が負傷した。
・イエメンはアルカイダなどの活動拠点になっており、情勢流動化は世界安保にも影響する。

◆米赤字削減協議が決裂(21日)
・財政赤字削減策を巡る議会の超党派委員会の協議が決裂した。
・民主党が富裕層への増税を主張したのに対し、共和党は福祉削減などを主張。
・向こう10年間で1.2兆ドルの赤字削減の見取り図を描けなかった。
・今後の行方次第では、2013年から国防費やインフラ整備費が強制削減される。
・協議は8月に連邦財政債務の上限引き上げの条件として発足した。
・2012年の大統領選でも財政赤字削減は大きなテーマになる。

◆ユーロ圏の国債利回り上昇、不安続く
・債券市場でユーロ圏各国の国債価格の下落(利回りは上昇)が続いている。
・ドイツが23日実施した10年物国債の発行は入札割れになった。
・市場ではユーロに対する不信感の表れと解釈し、不安が広がった。
・独国債の利回りは2.2%を超え、2年半ぶりに英国債の利回りを上回った。
・イタリア国債の利回りは25日7.3%に上昇した。
・S&Pは25日、ベルギー国債の格付けを引き下げた。
・ムーディーズはハンガリー国債の格付けを投資不適格に引き下げた。
・独仏伊首脳は24日会談。ユーロ防衛を強調したが、具体策は少なかった。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
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 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【欧州危機】 ユーロ圏の危機は継続。前週のイタリア首相交代も一服にはならず、今週はドイツ国債入札割れを材料に各国の債券利回りが上昇した。スペイン総選挙による政権交代で。PIIGS5カ国は与党が政権を失った。

 【米韓FTA】 韓国国会は22日、米韓自由貿易協定の批准同意案を可決。米国はすでに准済みで、同協定は2012年1月に発行することになった。WTOによると11月現在のFTAなど世界の地域貿易協定は500以上。貿易の仕組みがFTAなどを核に変わっている。
 

◎今週の注目(2011.11.27-12.3)&当面の注目
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・エジプト議会選が28日から行われる。来年1月まで3回に分けて投票が行われる見込み。世論支持率ではイスラム同胞団が有利とされる。同国ではムバラク政権崩壊後に権力を握り続ける軍に対し若者などが反発。流血の抗議行動があったばかりだ。選挙が予定通り実施されるかも含め、先行きは波乱含みだ。

・中東ではイエメン、シリアなどの動向が注目。イエメンではサレハ大統領が3カ月後退陣の調停案に署名したが、反対派の一部は即時退陣を求め抗議を続ける。シリアはアサド政権による反対派弾圧に、アラブ連盟各国も含め国際的な批判が強まっている。

・欧州の銀行の資本不足が発表される見込み。10月松の不足額は1060億ユーロだったが、拡大は必至。

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2011年11月21日 (月)

◆一連の首脳会議が映したアジア情勢 2011.11.20

 1週間にわたりAPEC首脳会議、東アジア首脳会議など一連の会議が開催された。期間中、米国はアジア重視政策を鮮明にし、地域の安全保障や経済を巡り米中の応酬が目立った。こうした中でTPP交渉、米海兵隊の豪州駐在表明、ミャンマーのASEAN議長国就任決定など、重要な物事が動いた。

▽アジア・太平洋の一週間

 世界の関心はこのところ欧州の通貨危機や中東情勢に集中したが、今週はアジア太平洋に集まった。この1週間の主な出来事は以下の通りだ。
・12日 TPP9カ国首脳会議。オバマ米大統領は「12年決着目指す」。
・13日 APEC首脳会議(ハワイ)。日本、カナダ、メキシコが交渉参加表明。
・16日 米豪州への海兵隊駐在表明(米豪首脳会議)
・17日 オバマ米大統領「アジア太平洋を国防最優先事項」(豪議会演説)
     ASEAN首脳会議、ミャンマーの2014年議長国就任承認。
・18日 米が国務長官のミャンマー訪問方針を表明。
・19日 東アジア首脳会議(インドネシア・バリ島)、米中首脳会談

▽米国の外交政策転換--「アジア重視」宣言

 オバマ大統領のアジア太平洋訪問は9日に及んだ。その外遊で鮮明にしたのが、「アジア重視」の外交政策だ。

 16日の米豪首脳会談では、海兵隊の豪州駐留計画を発表。安全保障において米国の存在を維持・拡大する方針を示した。翌17日の豪議会での演説では、アジア太平洋重視の政策を強調。米国が今後国防予算を削減する中でも、アジア太平洋を犠牲にすることはないと明言した。

 米国は9.11後、中東重視の安全保障政策を推進、アジアは二の次にせざるを得なかった。しかしオバマ政権はイラクからの戦闘部隊撤退を実現、アフガンからも今年中に撤退開始する計画で、中東偏重からの修正(リバランス)を図っている。英Economistは米海兵隊の豪州駐留について、支点に到達(reaches a pivot point)と評した。

 これに先立つ12日のハワイでのAPEC首脳会議では、TPPを軸に自由貿易の枠組みを広げていく方針を強調した。

 安全保障と経済の両面でアジア重視を鮮明にした。海外メディアの間でも、外交政策の重要な転換と認識すべきだ、との見方は多い。

▽東南アジア・インド洋にらむ豪州駐留

 海兵隊は豪州北部のダーウィンなどに駐留。当初250人から2500人に拡大する。豪州との共同演習、共同訓練などを実施し、有事には素早く展開できるようにする狙いだ。

 米軍のアジア・太平洋地域の展開は、ハワイの4.2万人、グアムの4000人、洋上の1.3万人を除くと、日本の4万人、韓国の2.4万人など。海兵隊は日本の1.7万人が中心だ。

 これまでの朝鮮半島、台湾海峡有事などには、日本や韓国からの展開が地理的にも便利だった。しかし南シナ海や東南アジア地域、インド洋からのシーレーン防衛などは、日本や韓国からでは距離が遠い。

 豪州への駐留は、これまでも検討されたが、中国を刺激するなどの理由で見送られてきた。ここにきて、展開を決断した。 

▽ミャンマーの議長国、米国務長官派遣

 今回もう一つ動いたのがミャンマー。ASEAN首脳会議はミャンマーが申請していた2014年の議長就任を承認した。5月の申請は先送りにしたが、今回は受け入れた形だ。

 それを受ける形で、オバマ大統領はクリントン国務長官のミャンマー派遣を発表した。これに先立つ形で、英国のミッチェル国債開発相がミャンマー入りしている。

 ミャンマーは3月に民政移行が実現した。民主化指導者のアウン・サン・スーチー氏との対話を始める一方、恩赦を発表するなど民主化に向けたアピールをしている。しかし、実態は軍事政権時代と変わらないとの指摘も多い。

 それでもASEANや米国がミャンマーとの関係改善に向けた動きを見せるのは、中国を意識しているため。中国はミャンマーを経由してインド洋に出る南進政策を推進中。ミャンマーを追い詰めて、これ以上中国寄りにするのは得策ではないという考え方だ。

▽TPP

 12日にハワイで開いたAPEC首脳会議では、日本とカナダ、メキシコがTPP交渉参加の意向を表明した。米豪など既存の9カ国は大枠に合意。米国はTPPを軸に貿易自由化を推進していく姿勢を強調した。これに対し中国は、TPPに招かれていないことなどを指摘して牽制した。

▽東アジア首脳会議と南シナ海問題

 東アジア首脳会議の首脳宣言は、会用安全保障の重要性を明記した。宣言には各国が受け入れられる表現が盛り込まれたが、会議では南シナ海の領土問題を巡り応酬があった。ここでも背景にあるのは、中国の膨張だ。

▽米中関係と米国の新戦略

 一連の外交が示したのは、中国の膨張とそれがもたらす秩序の変化だ。米国のアジア重視の新戦略も、そうした変化への対応に外ならない。

 米NYTは社説で、オバマ大統領のメッセージは「米国はアジア太平洋で譲歩しない」ということであり、それはいいニュースだと評した。そして中国に対しては長期的に関与政策を進めていく一方で、中国がやりすぎた場合にはそれを押し返す必要があると指摘。米国の存在感は、そのための重要な要素と論じた。1つの整理された視点だろう。

20111120

  

2011年47号(11.14-20 通算595号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年11.14-20 日
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◆米がアジア重視戦略鮮明に、東アジア首脳会議では米中応酬 ☆
・オバマ米大統領は17日の豪議会演説などでアジア重視の戦略を鮮明にした。
・中国の膨張をにらみ、安保、経済両面で存在感の維持・拡大を目指す。
・具体策として豪州への海兵隊駐留計画を発表。TPP推進も強調した。
・9.11後の中東重視政策から外交戦略を見直す格好だ。
・19日の東アジア首脳会議では、米中が南シナ海の領土問題などを巡り応酬した。
・米国が国際法に基づく解決を強調したのに対し、中国は当該2カ国の問題と主張した。
・一連の外交に、中国膨張によるアジア太平洋の安保や経済の枠組み変化が映し出された。

◆米、豪州に海兵隊駐留(16日) ☆
・オバマ大統領は米豪首脳会談で、米海兵隊の豪州駐留を発表した。
・北部に2012年半ばから200人規模を駐留。将来は2500人規模に拡大する予定。
・米豪共同の演習や訓練を実施する。
・南シナ海情勢急変などの場合、従来より迅速な対応が可能になる。
・米国のアジア太平洋の海兵隊配置は、これまで海外では日本が中心。
・東南アジア-南半球での米軍の存在感が拡大。対中国牽制の狙いがある。

◆ミャンマーのASEAN議長国決定、米国は50年ぶり国務長官派遣(17日)☆
・ASEANは17日の首脳会議で、ミャンマーの2014年議長国就任を承認した。
・同国は3月の民政移行を受けて、5月に議長国就任を申請。この時ASEANは見送った。
・しかし中国の影響力拡大などを配慮し、今回は承認したとみられる。
・オバマ米大統領は18日、国務長官を来月1、2日にミャンマーに派遣すると発表した。
・米国務長官の同国訪問は約50年ぶり。
・米国は外交官レベルの接触などミャンマーとの関係改善も模索していた。
・民主化の遅れを問題視しつつも、中国の影響力拡大牽制も配慮した模様。
・ミャンマーには英閣僚も今週入国している。

◆欧州の国債急落 ☆
・欧州市場でユーロ圏各国の国債価格が下落(利回りは上昇)した。
・イタリア国債は15日に再度7%台に乗せ、その後も6%台後半で推移した。
・スペイン国債は17日6.8%に上昇。危機ラインとされる7%に近付いた。
・フランスやオーストリア、オランダなど格付けAAAの国債も下落。
・フランス国債利回りは3%台後半に上昇。独国債との差は2%弱に拡大した。
・ユーロ圏の財政・金融不安はくすぶり続ける。

◆イタリア新政権発足(16日) ☆
・ナポリターノ大統領は13日モンティ氏を首相に指名した。
・新首相は16日に閣僚名簿を提出・承認され、新政権が発足した。
・首相を含む17人の全閣僚が政治家以外。95-96年のディーニ政権以来。
・経済・財務相は首相が兼務。その他も有識者や経営者が担当する。
・新政権には財政赤字削減の実施や経済改革が喫緊の課題となる。
・主要各党は協力を約束したが北部同盟は否定。政治家の支持がカギになる。
・首相は13年5月までの任期を務める意向を強調。早期辞任は否定した。

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 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【アジア太平洋に焦点】 ユーロ圏の財政・金融危機はなお続くが、今週の関心はアジア太平洋に当たった。APEC首脳会議から東アジア首脳会議に至る一連の外交で、米オバマ大統領はアジア重視の姿勢を鮮明にし、経済・安全保障両面で米国の存在感を高める戦略を強調した。言葉だけでなく、豪州への海兵隊駐留など具体的な新政策も表明した。背後にあるのは、存在感を高める中国の存在だ。

 【反WSデモ2カ月】 9月中旬に始まった反ウォールストリートのデモが2カ月を迎えた。この間デモはNYから全米、全世界に広がり、なお止む気配はない。背景には先進国に共通する若年層の高失業率、所得格差の拡大などがあり、若者の不満は消えるべくもない。
 ただ、国民のデモに対する支持は、当初より減少している。デモ隊の主張には統一性がなく、過激な行動も目立つようになっているためだ。
 15日にはNY市警が、ウォール街付近の公園で野宿を続けるデモ参加者を強制排除、150人の逮捕者が出た。衛生上の問題などを理由にしている。正当なデモは問題ないとしており、今のところ、警察批判一色に染まるようなことはない。

 【中東情勢】 リビアでは故カダフィ大佐次男が拘束され、旧カダフィ派の抵抗の求心力も失われつつある。シリアでは依然、反体制派に対する弾圧が続き、アラブ連盟は16日の緊急外相会議で弾圧の停止を求めた。同連盟が加盟国にこのような要求を出すのは異例で、アラブ世界でもシリアの孤立が目立ってきた。 

◎今週の注目(2011.11.20-26)&当面の注目
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・スペイン総選挙が20日に行われる。野党国民党の勝利が確実視されており、2004年以来の政権交代となる見込み。首相には国民党のラホイ党首が就任する見通し。

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2011年11月14日 (月)

◆欧州混乱の週(その2)--財政危機深刻化と首相退陣の1週間

 前週に続いて欧州混乱の週となった。財政・金融危機はイタリアに飛び火。ギリシャとイタリアで首相交代となった。

▽ギリシャ首相辞任~大連立

 ギリシャでは前週の「国民投票」騒動から、パパンドレウ首相の辞任、大連立政権の発足へと発展した。

 パパンドレウ首相の国民投票提案には、与党閣僚からも反対が噴出。結局首相は提案を取り下げた。ここまでは前週の動き。

 与党PASOKの党首であるパパンドレウ首相と最大野党・親民主主義党のサマラス党首は6日になって、パプリアス大統領立ち会いの下に会談。首相の辞任と大連立の暫定政権の樹立で合意した。新首相には10日、前欧州中銀副総裁のパパデモス氏が就任した。

 暫定政権はEUによるギリシャ支援の枠組みを整えた後に総辞職。来年2月にも総選挙が行われる見通しだ。

 国民投票を巡る騒動でEUの支援もストップ。このままではデフォルト→経済破綻の懸念が深まっていた。危機を前に首相は辞任を余儀なくされ、野党も一時休戦に応じた格好だ。

▽イタリアに飛び火

 ギリシャ危機の一段落から間髪を置かず、市場の関心はイタリアに向かった。イタリア国債の価格が急落(利回りが急上昇)。7日には6.6%と、危機ラインと言われる7%に迫った(その後9日には7.4%台まで上昇)。

 イタリアは累積財政債務こそEU主要国最悪のGDP日120%超だが、単年の財政赤字はそう悪いわけではない。国債利支払いを除いたプライマリーバランスは黒字だ。

 それでも市場がイタリア国債売りに動いたのは、政治が理由。ユーロ危機表面化以降、ベルルスコーニ首相は財政緊縮策を掲げたかと思うと予定変更するなど、不透明さが際立った。首相を巡る数々のスキャンダルも、市場が材料にした。

▽市場圧力による辞任

 ユーロ圏3位の経済大国であるイタリアが揺らげば、影響はギリシャの比ではない。国際的な懸念が高まる中、連立与党を組む北部同盟は首相の辞任を要求。最大与党自由国民の議員も辞任が相次いだ。

 こうした中でベルルスコーニ首相は8日、財政安定化法案の成立を条件に辞任を表明した。

 首相は度重なるキャンダルも、欧州メディアの辞任要求(英FTや英Economistは露骨だった)も容易に乗り切ってきた。イタリア国民も、ダーティーさより実行力を支持してきたなどと解説される。しかし、今回は市場の圧力に抗しきれなかった格好だ。

 後任首相には元欧州委員の経済学者、マリオ・モンティ氏が有力視されている。

▽ドミノ

 市場に財政不安を突かれて危機に陥り、市場の圧力で政権崩壊となる構図はギリシャ、イタリアに共通する。そして政権交代でも問題解決は容易でなく、くすぶり続ける図式も変わらない。

 一連の危機を通じユーロの構造問題や政治指導力の弱さなどが指摘されるが、短期間で解消できる問題ではない。綱渡りは続く。

 それにしても、経済危機→政権崩壊のドミノが続く風景は、リーマンショック後を想起させる。

▽動きの記録

 先週以来の動きをもう一度まとめてみる。

10.27(木) EU首脳会議がギリシャ救済包括案で合意。基金の拡充、民間債権50%カットなど。
10.31(月) パパンドレウ首相が「国民投票」表明
11.1(火)  欧州中銀総裁にドラギ氏就任。
11.2(水)  独仏首相がカンヌでパパンドレウ首相と協議。ギリシャ切り捨ての可能性も言及し警告。
11.3(木)  欧州中銀が政策金利1.5→1.25%に切り下げ
       G 20首脳会議(カンヌ、4日まで)
11.4(金)  ギリシャ国民投票の中止を決定
       イタリア、IMFの監視受け入れ。10年物国債利回りは6%上回る。
11.5(土)  ギリシャ議会がパパンドレウ内閣の信任投票可決
11.6(日)  ギリシャ大連立合意。パパンドレウ首相は退陣。
11.7(月)  ユーロ圏財務相会議。ギリシャ融資再開決定。
       イタリア10年国債利回り6.6%に上昇。
11.8(火)  イタリアのベルルスコーニ首相退陣表明。
11.9(水)  イタリア10年国債の利回り7.48%に上昇。
       EUがイタリアの財政監視開始。
11.11(金) ギリシャ、パパデモス首相就任。連立政権発足。
       イタリア上院が財政安定化法可決。
11.12(土) イタリアで財政安定化法案可決。ベルルスコーニ首相辞任。
11.13(日) APEC首脳会議。

2011年46号(11.6-13 通算594号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年11.6-13日

◆イタリア首相辞任、欧州危機が波及(12日)☆
・金融市場でイタリアの政治が財政運営への懸念が拡大。国債利回りが急上昇した。
・こうした中ベルルスコーニ首相は8日、財政安定法案成立後の辞任を表明した。
・議会は12日、安定法案を可決。首相は正式に辞任した。
・イタリアの10年物国債利回りは8日6.7%台、9日には一時7.4%台に上昇した。
・イタリアの基礎収支は黒字。しかし市場は政治に注目した。
・EUは9日イタリア財政の監視を開始。IMFも週明けに監視に入る。
・首相は94年の初就任後、合計3度9年間政権を担当してきた。
・スキャンダルでも国民の支持を保持したが、市場圧力で辞任を強いられた格好だ。
・後任は元欧州委員のモンティ氏が有力。

◆ギリシャ大連立政権発足、首相交代(6日)☆
・ギリシャの与野党は6日、与野党大連立の暫定政権樹立で合意した。
・パパンドレウ首相は辞任する。
・新首相には11日、前欧州中銀副総裁のパパデモス氏が就任した。
・暫定政権はEU支援受け入れの整備をした後に総辞職。来年2月にも総選挙を実施する。
・EUは10月27日、ギリシャ支援で合意した。
・しかしその後首相が国民投票実施を発表。のちに撤回するなど混乱した。
・連立合意と首相辞任・暫定政権発足で、当面の支援は段取りがついた格好だ。

◆ロシアのWTO加盟決定(9日)☆
・WTO加盟国はロシアの加盟で合意した。
・最後まで反対していたグルジアがスイスで同意書に署名した。
・ロシアの加盟交渉は1993年の申請から18年で決着。12年前半に加盟実現の見込み。
・中国は2001年に加盟。最後の主要国がWTOに参加する。
・IT機器などが非関税になる。通信や金融は段階的に規制を緩和する。

◆APEC首脳会議(13日)
・首脳会議がハワイで開催した。
・地域の成長戦略などを協議する。
・日本はTPP交渉への参加表明をした。

◆ユーロ圏2012年成長見通し0.5%(10日)
・欧州委員会は2011-12年のユーロ圏の成長予測を発表した。
・2011年は1.5%。12年は0.5%を予測。いずれも5月予測から大幅下方修正となる。
・景気減速→後退入りの可能性も否定しなかった。
・ギリシャは5年連続のマイナス成長。ポルトガルは2年連続マイナス成長になる。

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 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
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◎寸評:of the Week
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 【リベリア、ニカラグア、グアテマラ】 リベリアの大統領選は現職のサーリーフ氏の再選が確定した。野党候補が撤退を表明。決選投票を待たずに当選が決まった。同国は内戦後の混乱から再建中。サーリーフ氏は再建への貢献で今年のノーベル平和賞授賞が決まったばかりで、これが後押しとなった格好だ。
 6日投票のニカラグア大統領選は、現職の左派サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)のオルテガ氏の再選が確実になった。オルテガ氏は80年代のニカラグア内戦のリーダーで、85-90年に大統領を経験。2006年に16年ぶりに大統領に再選された政治家。今回の再選を巡っては、憲法の再選禁止規定への抵触、選挙の公正性などを巡り議論もある。
 グアテマラでは6日、大統領選の決選投票が行われ、国軍の元将軍で右派・愛国党のモリナ氏が当選した。同国も60-90年代に内戦を経験。現在も麻薬組織の犯罪など治安維持が問題になっている。同氏が治安改善への取り組みなどが支持された。
 世界の中には紛争や災害、大統領選などしか大きなニュースにならない国も多い。3国もそうした例。関心の薄さの問題点はさておき、節目ではきちんと情勢を捉えておきたい。

◎今週の注目(2011.11.14-19)&当面の注目
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・イタリアの次期首相が14日にも決まる。元欧州委員のモンティ氏が有力。首相交代で市場がどう動くか注目。
・スペイン総選挙が20日に行われる。世論調査瀬は野党・国民党が優勢で、2004年以来の政権交代となる可能性が大きい。
・東アジア首脳会議が19日にインドネシア・バリ島で行われる。それに先立ちASEANの首脳会議などが開催される。

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2011年11月 5日 (土)

◆ギリシャ問題に揺れた1週間 2011.11.5

 またしても、と言うべきか。ギリシャ問題を巡り予想外の騒動が起きた。EUによる包括支援策合意(10月27日)からわずか4日後の31日、パパンドレウ首相は突然、緊縮財政に関する国民投票を実施すると発表した。

 根耳に水のニュースに市場は混乱。ユーロが売られ、南欧諸国の国債価格が下落(利回りは上昇)、米欧の株価が急落するなど大きく揺れた。

▽独仏首脳の怒り

 国民投票の発表は唐突だった。EUがギリシャとの何週間にも渡る調整の末、ようやく包括支援策をまとめたのが27日未明。支援策は詳細を詰め切れていない部分も多く、いずれ問題の再燃は必至とみられていたが、とりあえずの一服にこぎつけた。そんな局面での突然の発表だ。

 国民投票で「ノー」となれば、ギリシャ支援の大前提が崩れる。そうなればデフォルトなど大混乱は必至だ。市場が揺れたのは当然過ぎた。

 フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相は怒り心頭だったと伝えられる。パパンドレウ首相をカンヌに呼び、対応を協議した。欧州メディアの報道によると、独仏首脳はギリシャに対し、国民党法を実施するなら緊縮財政案の是非だけでなくユーロにとどまるかどうかも聞くべきだなどと主張。ユーロを守るためにはギリシャ切り捨ても辞さない姿勢を伝えたとされる。

▽G20をハイジャック

 3-4日にカンヌで開いたG20首脳会議は、すっかりギリシャ問題にハイジャックされた格好だった。メディアの関心もギリシャの政局に向いた。

 ギリシャは4日になって国民投票の中止を決定。ギリシャ議会はパパンドレウ首相の信任投票を可決した。とりあえず政局の大混乱は回避し、EU合意の線にそってギリシャ支援が進む。しかし、パパンドレウ首相の求心力低下は避けられない。しばらくすればまた問題が表面化するのは必至だ。

▽ギリシャの国内政治

 そもそもパパンドレウ首相が国民投票を決めたのは、緊縮財政案の議会通過に自信がなかったためと言われる。ギリシャでは社会福祉支出削減や増税など国民に負担を強いる財政再建案に国民が反発。デモやストが繰り返されている。野党もこれに呼応する形で、政府案への反対を叫びかけていた。事態打開のための「捨て身の賭け」が国民投票だった。

 しかし国際社会からの批判と、仏独首相からの突き放したような反応を見て、パパンドレウ首相は翻意せざるを得なかった。閣僚からの反対も響いたといわれる(野党の軟化もあった)。

 ギリシャ国民は、「これ以上の財政削減には耐えられない」という一方、「ユーロからの離脱したくない」とする。主張は相矛盾しており、国民もその矛盾を意識している。それでも「反対」と言い続ける以外ないというのが現状だ。今後国際社会の反応を受けどう動くかは予測しがたい。

▽1週間の動き

 ギリシャ問題は「市場」と「政治」の狭間で揺れ動いてきた。市場の非常な要求に対し、政治が主導権を発揮できず、経済が揺れ動くという構図だ。この1週間の動きは、それが極まったという感じがする。

 ドラマとして見るのなら面白いが、世界経済の大混乱の起爆剤となる懸念は深刻だ。
 
 この1週間にはそうしたドタバタ劇、深刻な問題が集中した。動きを記録しておく。

10.27 EU首脳会議がギリシャ救済包括案で合意。基金の拡充、民間再建野50%カットなど。
10.31 パパンドレウ首相が「国民投票」表明
11.1  欧州中銀総裁にドラギ氏就任。
11.2  独仏首相がカンヌでパパンドレウ首相と協議。ギリシャ切り捨ての可能性も言及し警告。
11.3  欧州中銀が政策金利1.5→1.25%に切り下げ
11.3-4 G 20首脳会議
11.4  ギリシャ国民投票の中止を決定
     イタリア、IMFの監視受け入れ。10年物国債利回りは6%上回る。
11.5  ギリシャ議会がパパンドレウ内閣の信任投票可決

2011年45号(10.30-11.5 通算593号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年10月30-11月5日

◆世界の人口70億人突破(31日)☆☆
・国連は世界の人口が70億人を突破したと発表した。
・同日に生まれた推定21万人全員を70億人目と認定する。
・1999年の60億人突破から12年での大台超えとなる。
・世界人口は1800年に10億人。1900年は約20億人だった。
・1960年に30億人、74年に40億人、87年に50億人を突破した。
・人口爆発と資源・環境の限界のバランスは、古くて新しい問題として突きつけられる。

◆ギリシャ「国民投票」で欧州混乱(31日-)☆
・パパンドレウ首相は31日、財政削減について、国民投票を実施すると発表した。
・財政削減は27日にEUが合意したギリシャ支援策の前提。
・否決なら支援の全体が崩れるため市場は混乱。株価やユーロ、南欧国債価格が下落した。
・不独仏首脳は2日、ギリシャ首相をカンヌに招き協議。支援棚上げも含め警告した模様。
・ギリシャは4日、国民投票の中止を決定。議会は5日、首相の信任投票を可決した。
・ギリシャに始まるユーロ危機が、政治に振り回される姿が改めて表面化した。

◆G20首脳会議(3-4日)☆
・G20首脳会議が仏カンヌで開催。
・欧州財政危機を中心に協議。ギリシャへの支援継続を確認した。
・ギリシャ国民投票を巡るドタバタで、会議も応急手当てに追われた感が強い。

◆パレスチナがユネスコに正式加盟(31日)
・ユネスコは総会で、パレスチナの正式加盟を決めた。
・従来はオブザーバーの資格だった。
・米国は国家の資格での参加に反対。拠出金の凍結などをほのめかしている。
・パレスチナは先の国連総会でも正式加盟を申請している。

◆欧州中銀総裁にドラギ氏就任(1日)
・欧州中銀の総裁に前イタリア中銀総裁のドラギ氏が就任した。
・欧州中銀は3日の理事会で、政策金利を1.5→1.25%に引き下げた。
・利下げは2009年5月以来2年半ぶり。
・物価上昇懸念は残る(10月は3%)。しかし景気減速や市場混乱への対応を優先した。
・ギリシャ危機などで欧州経済は減速。9月のユーロ圏失業率は10.2%に上昇した。

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◎寸評:of the Week
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 【世界人口70億人】 世界の短期的な目はギリシャの混乱・ユーロ危機に向いているが、歴史的な視点からだと世界人口の70億人突破は重要なニュース。過去半世紀で人口は2倍以上に膨れ上がった格好だ。この間、1970年代のローマクラブの報告など、資源の枯渇から来る成長の限界や、環境悪化に警鐘を鳴らす動きが繰り返されてきた。しかし、議論が高まったかと思うと停滞する状況が続いている。70億人突破を機にした議論もイマイチだ。
 日本にいると人口減少が問題になるが、世界にとっては人口爆発が問題。高齢化は多くの国に共通する問題。

 【MFグローバルの破綻】 米禁輸大手のMFグローバルが31日破産法11条を申請した。負債総額は396億ドル。イタリアやスペインなど南欧諸国への 積極投資が裏目にでて行き詰まった。
 同社はデリバティブの大手。自己資本に対する負債(レバレッジ比率)は30倍に上った。レバレッジを使って膨大な投資→失敗して破たんというパターンは2008年の世界金融危機と同じ。懲りない面々、という気もする。
 ギリシャ危機では同国の財政問題に最大の焦点が当たるが、貸し手の責任を問う声もある。MFグローバル破綻などを見ていると、そうした主張にも一面の真理があると感じる。

◎今週の注目(2011.11.6-12)&当面の注目
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・引き続きギリシャ問題に注目。
・タイの洪水はピークを超えたとの観測もあるが、まだ予断を許さない。
・APEC首脳会議は12-13日ハワイで開かれる。

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