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2011年11月21日 (月)

◆一連の首脳会議が映したアジア情勢 2011.11.20

 1週間にわたりAPEC首脳会議、東アジア首脳会議など一連の会議が開催された。期間中、米国はアジア重視政策を鮮明にし、地域の安全保障や経済を巡り米中の応酬が目立った。こうした中でTPP交渉、米海兵隊の豪州駐在表明、ミャンマーのASEAN議長国就任決定など、重要な物事が動いた。

▽アジア・太平洋の一週間

 世界の関心はこのところ欧州の通貨危機や中東情勢に集中したが、今週はアジア太平洋に集まった。この1週間の主な出来事は以下の通りだ。
・12日 TPP9カ国首脳会議。オバマ米大統領は「12年決着目指す」。
・13日 APEC首脳会議(ハワイ)。日本、カナダ、メキシコが交渉参加表明。
・16日 米豪州への海兵隊駐在表明(米豪首脳会議)
・17日 オバマ米大統領「アジア太平洋を国防最優先事項」(豪議会演説)
     ASEAN首脳会議、ミャンマーの2014年議長国就任承認。
・18日 米が国務長官のミャンマー訪問方針を表明。
・19日 東アジア首脳会議(インドネシア・バリ島)、米中首脳会談

▽米国の外交政策転換--「アジア重視」宣言

 オバマ大統領のアジア太平洋訪問は9日に及んだ。その外遊で鮮明にしたのが、「アジア重視」の外交政策だ。

 16日の米豪首脳会談では、海兵隊の豪州駐留計画を発表。安全保障において米国の存在を維持・拡大する方針を示した。翌17日の豪議会での演説では、アジア太平洋重視の政策を強調。米国が今後国防予算を削減する中でも、アジア太平洋を犠牲にすることはないと明言した。

 米国は9.11後、中東重視の安全保障政策を推進、アジアは二の次にせざるを得なかった。しかしオバマ政権はイラクからの戦闘部隊撤退を実現、アフガンからも今年中に撤退開始する計画で、中東偏重からの修正(リバランス)を図っている。英Economistは米海兵隊の豪州駐留について、支点に到達(reaches a pivot point)と評した。

 これに先立つ12日のハワイでのAPEC首脳会議では、TPPを軸に自由貿易の枠組みを広げていく方針を強調した。

 安全保障と経済の両面でアジア重視を鮮明にした。海外メディアの間でも、外交政策の重要な転換と認識すべきだ、との見方は多い。

▽東南アジア・インド洋にらむ豪州駐留

 海兵隊は豪州北部のダーウィンなどに駐留。当初250人から2500人に拡大する。豪州との共同演習、共同訓練などを実施し、有事には素早く展開できるようにする狙いだ。

 米軍のアジア・太平洋地域の展開は、ハワイの4.2万人、グアムの4000人、洋上の1.3万人を除くと、日本の4万人、韓国の2.4万人など。海兵隊は日本の1.7万人が中心だ。

 これまでの朝鮮半島、台湾海峡有事などには、日本や韓国からの展開が地理的にも便利だった。しかし南シナ海や東南アジア地域、インド洋からのシーレーン防衛などは、日本や韓国からでは距離が遠い。

 豪州への駐留は、これまでも検討されたが、中国を刺激するなどの理由で見送られてきた。ここにきて、展開を決断した。 

▽ミャンマーの議長国、米国務長官派遣

 今回もう一つ動いたのがミャンマー。ASEAN首脳会議はミャンマーが申請していた2014年の議長就任を承認した。5月の申請は先送りにしたが、今回は受け入れた形だ。

 それを受ける形で、オバマ大統領はクリントン国務長官のミャンマー派遣を発表した。これに先立つ形で、英国のミッチェル国債開発相がミャンマー入りしている。

 ミャンマーは3月に民政移行が実現した。民主化指導者のアウン・サン・スーチー氏との対話を始める一方、恩赦を発表するなど民主化に向けたアピールをしている。しかし、実態は軍事政権時代と変わらないとの指摘も多い。

 それでもASEANや米国がミャンマーとの関係改善に向けた動きを見せるのは、中国を意識しているため。中国はミャンマーを経由してインド洋に出る南進政策を推進中。ミャンマーを追い詰めて、これ以上中国寄りにするのは得策ではないという考え方だ。

▽TPP

 12日にハワイで開いたAPEC首脳会議では、日本とカナダ、メキシコがTPP交渉参加の意向を表明した。米豪など既存の9カ国は大枠に合意。米国はTPPを軸に貿易自由化を推進していく姿勢を強調した。これに対し中国は、TPPに招かれていないことなどを指摘して牽制した。

▽東アジア首脳会議と南シナ海問題

 東アジア首脳会議の首脳宣言は、会用安全保障の重要性を明記した。宣言には各国が受け入れられる表現が盛り込まれたが、会議では南シナ海の領土問題を巡り応酬があった。ここでも背景にあるのは、中国の膨張だ。

▽米中関係と米国の新戦略

 一連の外交が示したのは、中国の膨張とそれがもたらす秩序の変化だ。米国のアジア重視の新戦略も、そうした変化への対応に外ならない。

 米NYTは社説で、オバマ大統領のメッセージは「米国はアジア太平洋で譲歩しない」ということであり、それはいいニュースだと評した。そして中国に対しては長期的に関与政策を進めていく一方で、中国がやりすぎた場合にはそれを押し返す必要があると指摘。米国の存在感は、そのための重要な要素と論じた。1つの整理された視点だろう。

20111120

  

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