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2011年10月10日 (月)

◆米国デモの背景 2011.10.9

 9月中旬にNYで始まった米国の「反ウォール街デモ」が拡大している。6日には首都ワシントンでも行われ、これまでに100余りの都市に広がった模様だ。その派手な様子が注目されるだけでなく、米社会のあり方を問う事象になっている。

▼anti-Wall Street demonstration

 運動は反資本主義色の強い編集者の呼びかけで始まった。その後ネットなどで広がり1カ月近く続いている。主張は富裕者への増税、失業対策から環境問題と幅広いが、あえて共通項(キャッチフレーズ)を選べば反ウォール・ストリート。米メディアではanti-Wall Street demonstrationという表現が使われる。

 ネットによる呼びかけで参加者が広がっているのも特徴。これは、中東革命や中国の集会などとも共通する。

▼格差と高失業率

 運動の背景には、米国の抱える課題がいくつか透けて見える。

 1つは格差の拡大と失業率の上昇、そして反ウォール街感情だ。

 米国の格差は大きく、上位1%の富裕層が富の20%を独占している。格差拡大は新自由主義経済下で拡大したとの認識が強い(異論もある)。

 金融危機時に、破綻の危機に瀕した金融機関が多額の公的資金で救済された。それなのに金融機関の経営者は、高額報酬を受け続けている。これに国民の怒りは収まらない。

 一方で失業率は9%台に高止まりし、特に25歳以下の若年失業率は18%近い。怒れる若者の不満がデモに向かっている。

▼米社会の分断

 第2は米社会の分断だ。

 米社会の保守とリベラルの分断はここ30年ほど顕著になり、大統領選などでも民主党・共和党の獲得州(あるいは狭い地域)はほとんど固定化されている。この傾向が益々鮮明になっている。

 リベラル派はもともとウォール街のgreed(貪欲)が金融危機を招いたなどと批判的。今回のデモも基本的に支持の立場で、一部労組などは後からデモに加わっている。

 一方、保守強硬派は「社会の混乱を招く」などと反発。穏健派も、「ウォール街が米国の富を生み出している事実を無視している」と批判する。

 議論はほとんど噛み合わず、いがみ合う構図は変わらない。

▼読めない政治的影響

 デモの行方と政治的な影響は微妙だ。反ウォール街の運動が保守派の草の根運動Tea Partyの動きのように定着するかはまだ不明。

 運動の主張はオバマ大統領の目指す富裕層への増税の主張と近い。しかし、過激化すれば中間層の支持を失いかねない。その意味で、オバマ政権にとって追い風になるかマイナスになるかも分からない。

 1960年代の市民権運動や反ベトナム戦争運動の例を見るまでもなく、米社会は市民運動で大きく変わってきた歴史がある。今回の反ウォール街運動の行方も、社会を変えるきっかけにならないとも限らない。

2011.10.9

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