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2011年6月19日 (日)

◆ギリシャ危機第2波の意味と影響 2011.6.19

 ギリシャの債務危機が再び重大局面を迎えている。昨年4月のEU、IMFによる支援時に約束した財政再建が進まず、市場ではデフォルト(債務不履行)がささやかれる。S&Pはギリシャ国債の格付けを最低レベル(CCC)に引き下げた。

▽進まぬ財政再建

 ギリシャの債務危機が最初に表面化したのは2009年の末。同国の前政権が財政赤字の数字を粉飾(過小に発表)していたことが発覚。国債の借り換えができず国家財政破綻する危機に直面した。
 自力での解決を断念したギリシャは2010年4月、EUとIMFに支援を要請。EUなどは総額1100億ユーロの支援枠を定め、ひとまず危機を収めた。

 しかし、その後ギリシャは約束した財政再建の実施にもたついている。

 パパンドレウ政権の打ち出した財政再建案は、増税や福祉切り下げ、公務員の削減などで国民に負担を強いる内容。これに国民が抵抗し、何回かにわたり抗議デモを展開。野党も政府批判を繰り返した。

 こうした中でギリシャの経済・財政に対する懸念が拡大。国際の利回りは上昇している。

▽デフォルト懸念、政治混乱

 市場では、ギリシャが国債の償還資金を調達できずにデフォルトに陥るという観測が流れている。ギリシャのユーロ離脱という議論も、真面目に行われるようになった。
 
 13日にはS&Pがギリシャ国債の格付けを3段階引き下げ。国債としては最低レベル(CCC)に落とした。このレベルは、パキスタンなどを下回り世界最低。過去もデフォルトに至ったケースが多いレベルだ。 

 10年物国債の利回りは18%前後に上昇。3%前後のドイツ国債に比べ15%も高い状況だ。
 
 15日には公務員などが全国で24時間のゼネストを実施。アテネなどでデモを展開した。
 
 パパンドレウ首相は15日、自らの辞任を条件に大連立を提案した。しかし野党の反応は否定的で、結局内閣改造を実施した。政治的混乱は続き、財政再建の行方はおぼつかない。

▽支援論議も混迷

 EUの支援論議は混迷している。ギリシャのデフォルトやユーロ離脱を回避するために、EUやIMFの支援が必要という点では独仏など関係国は一致している。当面は120億ユーロ程度の支援が必要という計算も示されている。また、国債償還のリスケジュール(日程繰り延べ)が必要という見方も強い。

 しかし、具体的な方法では各国の思惑が異なる。ドイツはリスケジュースなどの場合、債権者である金融機関も一部の負担に応じるべきだと主張する。これに対して欧州中銀やフランスは市場の混乱を招くと慎重だ。

▽ユーロの矛盾

 EU、IMFはギリシャに始まったユーロ危機に対応するため、数々の支援策を打ち出してきた。金融危機後の2009年には2013年までの対応として7500億ユーロの融資枠を設定。第1次ギリシャ危機、アイルランド、ポルトガル危機の際には各1000億ユーロ前後の支援を決定した。

 同時に金融システムの金融機関の監督体制を整備。民間金融機関には資産査定(ストレステスト)を実施し、不良債権処理を進めようとしている。2013年以降はEU版IMFを設置しすることを決めた。

 しかし、ユーロは基本的な矛盾を抱えている。ユーロ圏は通貨面では統合を実現したものの、財政など他の経済政策は各国が主権を持っている。ギリシャのように財政再建が問題になっている場合、EUとしての強制力には限界がある。

 1990年のマーストリヒト条約合意以来、この問題はずっと指摘されてきたが、欧州統合の政治的意思が経済構造の矛盾を押さえ込んできた。今回の金融危機で、抜本問題が改めて問われている。
 
▽EUの南北問題

 ユーロ危機でもう一つ改めて浮かび上がったのが、EUの南北問題だ。通貨統合は巨大な市場の創設を通じ、域内の経済競争力を高める狙いがあった。今回の危機を通じ、しかしギリシャ、ポルトガル、スペインなど南欧諸国の経済力弱さが改めて露呈された。実体経済の改善は、狙い通り進んでいるわけではない。

 ギリシャンに関しては、ネポティズムの横行、政策の透明性の欠如などが今回の危機の根本にあるという見方も多い。

 一連のギリシャ危機、ユーロ危機は、ユーロと欧州の抱える問題を改めて問いかけている。

2011.6.19
 

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