« 2011年2月 | トップページ | 2011年4月 »

2011年3月

2011年3月26日 (土)

2011年13号(3.20-26 通算561号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年3月20-26日
 

◆日本原発事故の危機続く。死者・不明者は2万人超 ☆
・地震・津浪被害を受けた福島第1原発は冷却作業が続いている。
・外部への放射能流出が続き、避難指示20キロ→30キロ圏も自主避難勧告となった。
・農産物や水が汚染。出荷停止などの動きが広がった。
・3号機からプルトニウム流出の懸念なども含め予断を許さない。作業は長期化が必至。
・震災・津浪の死者は1万人を超え、届出があった不明者と合わせ3万人近くになる。
・東北自動車道の全面開通など普及も進むが、避難所暮らしの人はなお約20万人を数える。

◆リビア攻撃継続、指揮権はNATOに移管(24日)☆
・欧米多国籍軍は19日から連日カダフィ政権軍への空爆を継続した。
・飛行禁止区域監視など軍事作戦の指揮権は、米国からNATOに移管された。
・今後の対地上攻撃は、仏英など欧州が主導する。
・しかし、カダフィ政権側は地上軍を使って反体制勢力拠点への攻撃を続けている。
・リビア情勢は依然緊迫した状況が続き、先行き予断を許さない。

◆ポルトガル議会が財政緊縮案を否決、首相は辞任表明(23日)☆
・議会は財政緊縮策を否定。これを受けてソクラテス首相は辞任を表明した。
・緊縮策策は年金給付削減を盛り込んだ内容。国民の反発は強く、全野党が反対した。
・5-6月に総選挙が実施される見通し。
・同国は財政赤字がGDP約10%に拡大し、赤字削減が急務。
・4-6月には92億ユーロの国債償還を迎える。否決を受けて国債利回りは8%台に上昇した。
・資金調達に窮すれば、ギリシャ、アイルランドに続きIMF、EUに支援要請する可能性が大きい。
・24-25日のEU首脳会議はポルトガル問題を協議。
・金融安定基金の融資可能額の増額(2500→4400億ユーロ)など、ユーロ安定策を打ち出した。

◆イエメン大統領が年内退陣表明、シリアなどデモ拡大
・シリアでは23日、南部ダルアで改革要求デモが発生。治安部隊との衝突で15人以上が死亡した。
・金曜礼拝の25日にはダマスカスで民主化要求デモが発生。
・イエメンのサレハ大統領は22日、大統領選の年内前倒しを発表した。懐柔策の一環。
・しかし25日には数万人規模のデモが大統領即時退陣を求めた。大統領は否定した。
・15日から非常事態宣言下にあるバーレーンでも、ネット上での抗議活動などが続いた。

◆エジプト国民投票、憲法改正を支持
・エジプト憲法改正の是非を問う国民投票が19日実施、20日結果が発表された。
・賛成役77%で承認された。投票率は41%。
・大統領の任期を2期8年に制限。現行憲法の大統領出馬制限の緩和などが内容。
・最高軍事評議会は23日、憲法令の発布を決めた。
・承認により、次の焦点は6月に予定される議会選、その後の大統領選に移る。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【原発とリビア】 世界の関心は日本の震災・原発事故とリビア情勢。原発に関しては、冷却・封じ込めの作業が一進一退で、依然危険な状況が続く。リビアは多国籍軍の空爆が続くが、カダフィ政権側は徹底抗戦。地上軍を使って反体制派の拠点を攻撃する。短期間での決着はない、という見方が強い。

 【中東革命続く】 世界の関心はリビア情勢に向くが、中東の他の国の動きも激しい。アサド大統領の強権・独裁が続くシリアでも反政府勢力のデモが発生。今のところは力で押さえ込んでいる模様だが、先行きは予断を許さない。
 イエメンでは当局による反政府勢力への発砲事件→一部閣僚の辞任を受けて、サレハ大統領が大統領選を前倒しして年内退陣することを表明した。しかし反政府勢力は即時退陣を要求。収拾のメドは立たない。
 当局の力による反対派封じ込めに転じたバーレーンでは、ネットなどを使った抵抗が続く。サウジアラビア、クウェート、ヨルダンなどでも民主化要求の動きがくすぶる。

 【ユーロ危機第3弾】 ポルトガルの議会が政府提出の財政赤字縮小の追加案を否決。ソクラテス首相は辞任を表明した。
 政府(中道左派社会党の少数内閣)の案は年金支給を削減する内容。当然国民の反発は強く、全野党が反対した。左派の共産党、中道右派の社会民主党などだ(名前がややこしい)。
 ポルトガルの財政赤字は2009年でGDP比約10%に達し、赤字削減しなければ財政・経済破綻につながる。しかし野党は、年金カットとともにやるべきことがあると反対した。総選挙が5-6月に行われる見込みだが、その間は政治的空白になる。
 否決を受けてポルトガル国債の利回りは8%台に上昇。状況は一層厳しくなった。
 ポルトガルは4-6月に92億ユーロの国債償還を迎える。自力で資金調達できなければ、IMFとEUに支援要請するしかない。
 ユーロ圏は昨年前半にギリシャ、後半にアイルランドの金融危機を経験。次はポルトガルなどが危ないと懸念されていた。それが現実になりそうな情勢だ。
 EUは24-25日の首脳会議で、欧州金融安定基金(EFSF)の融資可能額の拡大(2500→4400億ユーロ)、ストレステストの実施など安定化策を打ち出した。先行きは当然不透明だが、ギリシャ、アイルランドに続きポルトガル危機の懸念が高まっている。

◎今週の注目(2011.3.27-4.3)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・引き続き日本の原発事故、リビア情勢が大きな関心。
・中東の他の国の動向も目が離せない。
・国際市場は材料が多い。日本の原発、ポルトガルの財政、中東情勢など。いつ激しい動きがあってもおかしくない。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2011 INCD-club

2011年3月20日 (日)

◆リビア情勢新局面:空爆が開けた新たなパンドラの箱 2011.3.20

 リビア情勢が緊迫の度合いを高めている。

 内戦は圧倒的な軍事力を持つカダフィ政権側の優位で推移。反体制派の拠点を次々に奪回し、本拠地のベンガジに迫った。

 こうした中で米欧は反体制派の支援に本腰を入れた。17日には国連安保理でリビア制裁追加決議を採択。同国上空に飛行禁止区域を設定し、事実上軍事行動を容認した。

 リビア政府は18日に停戦を提案するなど時間稼ぎをしながら、18日にはベンガジを空爆した。

 そうした動きを見て米欧はリビアに軍事介入。空爆に踏み切った。リビアの軍事施設などを攻撃したが、市民にも被害が出ている模様だ。リビアは徹底抗戦を宣言した。

 チュニジアやエジプトは民衆の反政府運動がどくせい政権打倒につながった。リビアは全く異なる展開になっている。そこにはカダフィ大佐のカリスマ性、石油資源に支えられた財政など様々な要因がある。
 
▼見えない先行き

 行方は予断を許さない。米国は地上部隊の投入は否定した。空爆だけでどれだけの効果があるか不明だ。

 コソボ紛争のとき、NATOはセルビアの譲歩を引きだすまで2カ月にわたる空爆を実施した。効果を示すまでに相当の物量が必要になる。

 リビアのカダフィ政権はかつてテロ活動を支援した歴史がある。カダフィ大佐は地中海全域が紛争地域になると警告した。テロも含め、どのような反応があるか予断を許さない。国際テロ組織との繋がりも不明だ。

 アラブ諸国の世論もどう動くか分からない。独裁政権打倒の革命を実現したエジプトやチュニジアは反カダフィ政権・反政府勢力支持の立場だが、アラブ民衆の間には広範な反米・反欧感情がある。介入が長引けば世論がどう動くか分からない。イスラム原理主義勢力など宗教勢力の動きも重要な要素だ。

 指導者なきチュニジア・エジプトの革命は、パンドラの箱を開けたともいわれる。リビア情勢は、新たなパンドラの箱を開けた可能性がある。

2011.3.20

◆地震・原発事故出来事まとめ 2011.3.20

 日本の震災から1週間を超えた。主な出来事を1週間単位で見ると以下の通りだ。

(1)被害状況: 次第に判明。死者・不明者は2万人超となった。

(2)福島第1原発事故: 危険な状況が続く。
 使用済み燃料の温度上昇、放射能の流出などが続く。放水冷却などの対応を続けているが、難航している。炉心溶融や放射能大量流出の懸念が消えない。
 米国は50マイル(80キロ強)圏からの避難を勧告。外国人の退去が始まった。
 近隣の農産物から放射能が検出されるなど、影響も広がっている。

(3)避難所・避難民: 15都県約2200カ所の避難所に合計36万人が避難している。

(4)被災地の状況: 食料、水、ガソリンなどの不足が続く。道路などの復旧は徐々に進むが、遅々としている。

(5)計画停電・インフラ: 関東でも計画停電、電車の運行が減少。みずほ銀行のシステムが全面停止するなど、インフラ面への影響が出ている。

(6)経済・市場: 多大な影響が出ている。外国為替市場では投機筋の動きで円が1ドル=76円台まで上昇した。

(7)政治・政策: 菅首相は自民党に連立を呼び掛けたが自民党は拒否。仙谷前官房長官の官房副長官任命など体制整備も進めているが、指揮系統の混乱も出ている。

▼海外の視点

 海外の視点は震災そのものより、原発事故に集中する。日本国内では不安を煽らない配慮からかストレートな報道は少ないが、海外では直截的な懸念や疑問の表現も多い。米ABCは「自己犠牲のミッション(suiside mission)出対応せざる得ないのではないか」「それでもすでに遅すぎるのではないか」などの率直な疑問や問題意識を報道。英Economistは東電の対応が、最初の1週間では多くの成果を出していないと冷静に報じた。

 もう一つの視点は、今回の震災・原発事故が日本の歴史にとってどういう意味を持つかという問題意識だ。方向性があるわけではもちろんないが、衰退、再活性化など様々な見方が示されている。

2011.3.20

2011年12号(3.14-20 通算560号)  国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年3月14-20日  (欧米19日)

◆日本の原発事故拡大、放射能漏れ深刻 ☆☆
・震災・津浪の影響で発生した福島第1原発の事故が拡大。
・1-4号機で炉心溶融、爆発、使用済み燃料の温度上昇などが発生した。
・放射能が外部に漏れ、15日には毎時400ミリシーベルトを記録した。
・政府や東電は外部からの放水で冷却する一方、電源の回復を急ぐ。
・しかし予断は許さず、大量の放射能漏れの懸念が消えない。
・日本政府は周辺20キロから避難勧告。30キロまでは屋内退避を勧告した。
・米政府などは周辺約80キロから避難を勧告。外国人の帰国が続いている。
・海外メディアは連日原発事故を報じている。
・地震被害は死者・不明者が2万人を超えた。

◆米欧がリビア空爆(19日) ☆☆
・米欧諸国は19日、リビアへの空爆に踏み切った。
・仏軍の戦闘機がベンガジ周辺などを空爆、リビア軍の軍事施設を破壊した。
・米英は軍艦・潜水艦からトリポリ周辺の軍事施設などに112発の巡航ミサイルを発射した。
・それに先立ち、リビア政府は反政府勢力への攻撃を強化。ベンガジ周辺に迫った。
・国連安保理は17日追加制裁決議を採択。飛行禁止区域を設定し軍事力行使を容認した。
・リビア政府は18日、停戦提案をするなど時間稼ぎをしたが、18日にはトリポリを空爆した。
・米欧はアラブ連盟とも協議した上で空爆に踏み切った。米は地上部隊派遣は否定する。
・空爆に対し政府は徹底抗戦を宣言した。
・リビア情勢は内戦→米欧の介入という新局面を迎えた。

◆欧州など原発見直し相次ぐ、独は凍結(表明14日) ☆
・日本の事故を受け、欧州などで原発見直しの動きが広がった。
・メルケル独首相は14日、脱原発計画の再策定、国内原発の再点検を発表。
・同国は昨年、既存原発停止期限の延長など推進を打ち出したが、見直す。
・スイスも稼動中の原発の改修と新設を当面凍結する。
・タイは安全などの再調査を指示。
・中国、インドなど新興国も従来より慎重な姿勢に転じるところが多い。
・事故は安全性に改めて焦点を当て、世界の原発計画に影響を及ぼす。

◆バーレーン当局がデモ隊強制排除(16日)☆
・バーレーン当局は首都マナマ中心で座り込みを続けるデモ隊を強制排除した。
・15日には非常事態を宣言。16日には夜間外出禁止令を出した。
・17日には野党指導者6人を拘束。18日からはサウジ軍などが駐留した。
・1月以来の反政府活動に対し、当局は強硬策に方向を転じた。

◆円が急上昇、G7が協調介入(16日)☆
・為替市場で円が急上昇。16日にはNYで1ドル=76.25円と16年ぶりの円高を記録した。
・震災を受けて投機筋が動いた。保険会社が支払資金確保に円買いに出るとの思惑が背景。
・G7財務相・中銀総裁は18日電話で緊急会談。円売りの協調介入を実施した。10年ぶり。
・投機資金は震災をも材料に動いた。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【震災・原発・中東】 重大なニュースが続く。日本の原発事故は深刻さを深め、欧州、東南アジアなどで原発見直しの動きが出ている。世界の注目が日本の震災・原発に集中している隙間をかいくぐるかのように、リビア政府は反体制派への攻撃を強化。米欧は国連安保理決議を採決した上で空爆に踏み切った。バーレーンでは政権が反政府デモ隊を強制排除するなど強硬策に転じた。世界や地域の行方を帰るような重大事が同時に進行している。

 【中国全人代】 中国の全人代が14日閉幕した。2011-15年の経済成長目標を平均7%に定めた5カ年計画を採択した。温家宝首相は会見で安定成長、格差是正などを強調。政治改革についての言及はほとんどなかった。概して既存のメッセージを大きく超える内容はなかった。

◎今週の注目(2011.3.20-26)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・日本の震災。原発事故の行方が最大焦点。避難民の救済、インフラの復興など注目点は多岐に及ぶ。
・リビア情勢からも目が離せない。米欧の軍事介入にカダフィ政権がどう動くか。
・バーレーンをはじめとする中東・北アフリカ各国情勢も緊迫している。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2011 INCD-club

2011年3月13日 (日)

◆日本巨大地震と世界 2011.3.13

 日本の東北地方中心に大地震・津波が発生。甚大な被害が出た。

 その衝撃、詳細についてはTVなどのメディアが24時と間体制で報道しているので、あえて加えることもない。海外での反応などについて気付いた点を指摘する。

 地震は海外の主要メディアも大ニュースとして報じた。BBCやCNNなどはトップニュースで長時間報道。仙台市若林区の荒浜地区が津波にのまれる映像などを繰り返し報じた。NYTなどの新聞メディアもトップニュースで大々的に報じた。

 NYT、BBC、FT、CNN、Economistなど世界に影響があるメディアのサイトを見ると、いずれも日本の地震特集がトップページの過半を占めている。前日まで大半を占めていたリビア情勢を脇に押しやった格好だ。

▼原発に関心

 被害とともに海外の注目が集まるのは、福島第1、第2原発。日本時間12日午後以降、ネットのトップニュースはいずれも原発が最大関心事になっている。

 地震の規模を示すマグニチュードは、日本では7.9→8.4→8.8→9.0に修正されたが、海外では発生直後から8.8あるいは8.9を使っているところが多かった。マグニチュードの計算方法が難しいことはもちろんあるが、それに加えて計測方法が複数あることも留意する必要がある。日本では気象庁の計算を無条件で採用しているが、世界の基準はかならずしもそうではない。

▼個人が情報発信する時代

 津波などの衝撃的な映像は、大手メディアのヘリコプターによる撮影もあったが、住民などからの提供も多い。気象庁や自治体の自動設置カメラの撮影も多かった。

 「すべての人が放送局」の時代になっていることは、中東革命で存分に印象付けられた。今回の震災でも、それが重要な役割を果たしている。

 BBCなどのメディアは、日本を含めた世界に情報提供を求め、そうした情報を活用している。

▼Resilience(回復力)・高い評価

 海外の有力新聞などの分析で目立つのは、日本の対応に対する高い評価だ。

 英FTの社説は、災害後の日本の対応が「冷静であり、不屈の精神に満ちている」と評価。配置やパキスタンの地震に比べて被害者が少ないことなどを指摘した上で、過去の災害からの学習効果があると指摘した。
http://www.ft.com/cms/s/0/b225b9ea-4c19-11e0-82df-00144feab49a.html#axzz1GPg6lLUj

 在日エコノミストのピーター・タスカ氏のFTへの投稿は、過去の大地震が1つの時代変化をもたらした事を指摘(安政の大地震→徳川幕府の終焉、関東大震災→軍国主義への転換、阪神淡路震災→日本の長期停滞)。今回の地震がどのような時代の節目になるかという問題意識を示した。同時に、阪神淡路震災の際にボランティア活動など社会の新しい側面が注目されるようになったと分析。隠れたリアリズムや社会的資本という日本の隠れた強み(hidenn strength)を改めて注目している。
http://www.ft.com/cms/s/0/c8576f88-4c19-11e0-82df-00144feab49a.html#axzz1GPg6lLUj

 どちらも、Resilience(回復力)という言葉を使っているのが印象的だ。 

▼海外代表メディアの報道

 米英を代表する新聞(サイト)のNYTとFT、Economistのトップ見出しは以下の通り。地震・津波の衝撃→原発問題へと関心が推移していることを映している。 

>>NYT
Powerful Quake and Tsunami Devastate Northern Japan (12日朝刊)
Blast and Radiation Fear Hamper Search for Japan Quake Survivors(NY12日昼ネット=日本時間13日未明)
Japan Scrambles to Avert Meltdown at Second Crippled Nuclear Reactor(NY12日夜=日本時間13日昼)

>>FT
Force of quake leaves trail of devastation(12日朝刊)
Engineers fight to cool stricken reactor(ロンドン12日夕ネット=日本時間13日未明)
Fears rise over second nuclear reactor(ロンドン13日朝=日本時間13日昼)

>>Economist
When the earth wobbled
Containing the nuclear crisis

2011.3.13

2011年11号(3.6-13 通算559号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年3月6-13日 (米欧12日まで)

◆日本で巨大地震(11日)☆☆☆
・日本の宮城沖で11日、M9.0の地震が発生。沿岸を巨大津波が襲った。
・沿岸の都市や集落が多数壊滅。万人単位の死者・不明者が出た模様。
・交通、通信などのライフラインは甚大な被害を受けた。
・2004年のスマトラ沖地震以来の大規模な地震・津波。。
・福島第1原発では炉心溶融が発生。海水の冷却で暴走を食い止めたが、予断を許さない。
・自然災害の威力を改めて見せつけた格好だ。
・日本の政治や経済の行方にも影響を与える可能性がある。

◆グアンタナモでの新規審理再開、閉鎖遠のく(7日)☆
・米国がキューバ・続くがグアンタナモ米軍基地での特別軍事法廷での審理を再開する。
・オバマ大統領が7日に新方針を発表した。
・政権は2年前の発足時に、新たな事件の審理を禁じていた。
・しかし米本土での審理や第3国への移送は難航。グアンタナモで審理再開になった。
・オバマ大統領が約束したグアンタナモ収容所の早期閉鎖は遠のいた。
・グアンタナモには現在172人が収容されている。

◆リビア戦闘続く。フランスは反政府勢力承認 ☆
・リビアではカダフィ政権と反政府勢力の戦闘が継続。
・政府軍は10日、中部の石油都市ラスラヌフを激しく攻撃。優勢が伝えられる。
・米欧はリビア制裁強化を決定。しかし、焦点の飛行禁止区域設定は調整中。
・サルコジ仏大統領は10日反政権派を代表として承認する方針を表明した。
・EU首脳会議も11日、反政権勢力を対話の相手とする事を決めた。
・一方カダフィ側近は7日、反体制派に対話を呼びかけ。
・次いで9日欧州に特使を派遣して外交戦を本格化。情報戦も続いている。

◆サウジでデモ隊衝突(10日) ☆
・サウジアラビア東部のカティフでシーア派住民のデモ隊が治安当局と衝突。
・発砲で少なくとも3人が負傷した。
・中東のデモは最大産油国のサウジに広がった。

◆ダライラマ14世、権限委譲を発表(10日)
・ダライラマ14世は、自らの権限を亡命政府の首相に委譲する方針を発表した。
・14日からの議会に、憲章(憲法に相当)の改正を提案した。
・14世は75歳。ポスト・ダライラマを睨んだ体制作りとみられる。
・チベット民主化を主張する以上、亡命政府自身の民主化も必要と判断した。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【日本の大震災】 日本でマグニチュード9.0の大地震が発生。津波被害と併せ万単位の死者・不明者が出た模様だ。

 【中東情勢】 中東の動揺は続く。リビアは政権と反政府の対決が続いているが、政府側のなりふり構わぬ攻撃が目立つ。

 他の国も揺らいでいる。前週の注目は、サウジアラビアでデモが起きたこと。まだ小規模だが、世界最大の産油国であるサウジが揺らげば、そのインパクトは他の国の比ではない。 クウェートでも9日民主化要求デモが発生した。イエメンのサレハ大統領は10日、新憲法作成の方針を発表したが、これで反体制派の動きが収まる情勢ではない。

 イランでは8日、ラフサンジャニ元大統領が最高指導者任免機関の議長を退任。事実上政治権力の基盤をった。元大統領は改革派の有力な後ろ盾。イランの改革派による反政府行動は、当面尻すぼみになっている。

 【新興国のインフレ・利上げ】 新興国や中進国で利上げが相次いだ。韓国は10日0.25%引き上げて3%に。緩和から引き締めに転じて4回目だ。2月の消費者物価が4.5%上昇するなど、物価上昇懸念に対応した。タイは9日、政策金利を2.25→2.5%に引き上げた。昨年12月以来3回目。ブラジルでは消費者物価上昇が6%を記録。中国でも5%弱の金利上昇が続く。金融危機以降の先進国の金融緩和の影響が幅広く及んでいる。

◎今週の注目(2011.3.14-19)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・日本の地震。被害の実態が明らかになり、焦点は救助、復興に移る。福島原発事故の行方も関心。
・中国の全人代が閉幕する。
・エジプトでは19日に憲法改正を問う国民投票が行われる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2011 INCD-club

2011年3月 6日 (日)

◆中国全人代報告書の投げかける問題 2011.3.5

 中国の全人代が5日始まった。全人代は中国の定点観測に適切な節目。今年は世界第2位の経済大国になってから初めての全人代という位置付けだ。

▼安定成長へ

 温家宝首相は初日の政府活動報告で、2011-16年の経済成長を平均7%とする目標を示した。これまでの8%以上の目標(過去5年の実績は10%以上)から大幅に引き下げた数字。成長優先から、安定成長に舵を切る姿勢を明確にした。

 具体的課題としては、従来からの指摘を改めて示した。(1)投資・輸出中心から消費も含めた政長への展開、(2)格差是正、(3)汚職の撲滅、(4)環境改善などだ。

 そうした課題は具体的にどう掲げ、どう対応する計画なのか。報告書は、マクロ経済政策に関し、消費と投資と輸出のバランスよい成長、製造業の構造改革、物価の安定などを挙げた。そして目先の11年については8%成長を維持するとし、積極財政を継続する計画を強調した。

 技術や人材育成の強化も挙げた。これに関心、小主学生の宿題を減らし創造能力を育成、とあるのは非常に具体的だが思わず笑ってしまった。

▼格差・不正防止

 格差是正や国民の生活については、所得配分の合理的調整が必要と指摘。具体的に中低所得者の税負担の軽減、雇用創出(特に大学生の就職)などを挙げた。

 汚職や社会の不正是正では、汚職撲滅への取り組みを改めて強調した。まだ、近年不正な地上げが社会問題化していることを踏まえ、不動産市場の監督強化を盛り込んだ。

 環境関連では、エネルギー消費高率の改善や非石化エネルギーへの転換を盛り込んだ。

▼盛り込まれなかったもの

 こうした課題は従来から取り組んできたが、一朝一夕に処理するのは難しい。報告は財政支出などの対応は具体的に示した。しかし、富裕層への課税強化や不当な既得権の剥奪など、際どい問題には踏み込んでいない。

 政治との絡みも言及していない分野。共産党一党独裁と自由主義経済の両立という根本問題に報告書が触れるべくもないが、中国の抱える本質的な矛盾。目下世界の注目を浴びている情報規制やネット規制などにも、原則論を述べるだけで、変化への具体的言及は少ない。

 中国は1978年から30年間、年率約10%の成長を遂げ、急速に発展してきた。2000年代に入ると世界の工場から世界の市場としても発展。金融危機後は低迷が続く欧米先進国に代わり、世界経済の成長を支える存在になっている。

 しかし、10%の高成長が今後も維持できると見るのは無理がある。格差などの問題に加え、2015年には生産人口が減少に転じるという新しい課題にも直面する。

 高度成長から安定成長へのギア変更は不可避。その過程で、これまでにない新しい問題が表面化してくる。そうした視点が欠かせない。

2011.3.5

   

2011年10号(2.27-3.5 通算558号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2011年2月27日-3月5日(欧米時間)

◆リビア情勢緊迫続く ☆
・リビア情勢はカダフィ大佐側が反撃を展開。緊張が続いている。
・大佐側は反体制派都市を空爆。トリポリでもデモを弾圧した。
・米国はリビア資産300億ドルを凍結。カダフィ退陣を求めた。
・米欧は空爆防止に飛行禁止区域設定を検討しているが、調整はついていない。
・チュニジア、エジプトと続いた民主化ドミノは、リビアではいったん膠着状態になっている。

◆中国全人代開幕
、成長は7%目標(5日)☆
・中国の人民代が北京で開幕した。
・温家宝首相は政府活動報告で、2011-16年の成長目標を7%に引き下げた。
・成長優先から安定成長への転換を打ち出した形。
・所得配分の是正、汚職対策、大卒者の雇用、環境対策などを示した。
・しかし格差是正の具体策などには踏み込んでいない。
・言論規制や政治改革への言及もなかった。
・ネット上では6日に中国38都市で集会を開く呼びかけがあった。

◆中国2011年度国防費12%増(4日)☆
・2011年度の国防費は、12.7%増の6011億元。前年の7.5%増から大きく伸びる。
・ミサイルなど兵力のハイテク化をすすめる狙いと見られている。
・中国の国防費は米国に次いで世界2位。
・研究費などを含めた関連予算は、公表値の倍程度との見方が多い。

◆欧州中銀、利上げを示唆(3日)☆
・欧州中銀のトリシュ総裁は、物価動向次第で4月に利上げの可能性があると述べた。
・原油や食糧価格の上昇で、インフレ懸念が高まる可能性があるため。
・ユーロ圏の2月の物価上昇率は前月比2.4%上昇。目標の2%を3カ月連続上回った。
・3日の理事会は政策金利を1%に据え置いた。
・米欧日は金融危機後、低金利を維持している。利上げすれば3地域で初。

◆エジプト憲法改正案(3日)
・軍の最高評議会は憲法改正案をまとめた。
・大統領の任期を2期8年までにすること、立候補要件緩和などが盛り込まれた。
・是非を問う国民投票を3月19日に実施する。
・シャフィク首相は3日辞表を提出。新首相にシャラフ元運輸相が就任した。
・ムバラク政権崩壊後、同国では解雇取り消しを求めるデモなどが相次いでいる。
・軍最高評議会は、新体制作りを急いでいる。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【リビア緊張】 リビア情勢の緊迫が続いている。前週には反体制派が各地の都市を制圧。首都トリポリを包囲する状況になった。しかし、カダフィ体制側は反撃に転じ、トリポリ市内の反体制派のデモなどを弾圧。さらには空軍力などを使い、反体制がが制圧した拠点を攻撃に出た。国際的な批判などものともしない強硬姿勢だ。
 石油基地の多くは反体制派側が押さえ、海外の資産も凍結された。カダフィ政権側が資金や資源補給面でどこまで続くか不明。一方反体制側もまとまりを欠き、政権打倒の決め手がない状況。目下の膠着状況がどう転ぶか、予断を許さない。
 米欧は飛行禁止区域などを検討しているが、軍事介入には否定的。
 チュニジア、エジプトと進んだアラブの「民主化」は、リビアでは異なる展開になった。独裁政権に対する不満は同じでも、国内の民族対立や政権の押さえてきた膨大な富がある。傭兵やカダフィ大佐のカリスマ性も重要な要素だ。大づかみな情報だけではとらえきれない複雑な現実がある。

 【中東各国】 中東各国も、神経戦が続く展開だった。反体制派のデモに体制派が締め付けと懐柔策で対応する形だ。
 バーレーンでは4日スンニ-派とシーア派の住民が衝突。政府は警備の一方、住宅ローン軽減など不満を和らげる策も打ち出した。イエメンではシーア派勢力のデモに当局が発砲した。ヨルダンでも首相辞任を求めるデモが続き、イラクでも失業への不満などを訴えるデモが展開。イランでは改革派がデモを繰り返した。オマーンは最低賃金引き上げを打ち出した。

 

◎今週の注目(2011.3.6-11)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・リビア情勢の緊迫が続く。何があってもおかしくない状況が続く。
・エジプト、チュニジア、バーレーン、イラン、イエメンなど中東各国の動きも予断を許さない。
・中国ではネット上で、6日に全国38都市で集会呼び掛けが流されている。
・エジプトでは19日に憲法改正を問う国民投票が行われる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2011 INCD-club

« 2011年2月 | トップページ | 2011年4月 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ