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2010年12月12日 (日)

◆ウィキリークスとノーベル賞~言論の自由と国家規制を巡る問題 2010.12.12

 Wikileaks問題の波紋が広がっている。

▼アサンジ氏逮捕→問題拡大

 ロンドン警察庁は7日、ウィキリークス創業者のアサンジ氏逮捕した(性的暴行といういかにも”別件”というの容疑)。しかし逮捕はもちろん問題の一区切りではない。むしろ混乱は拡大している。

 逮捕の後も、ウィキリークスは情報の公開を継続。また、世界で1000を超えるミラーサーとが立ちあがった。一部の過激な支援者らはスウェーデン政府や、米政府に協力的と見られる企業などにサイバー攻撃を実施した。

 これに対し米政府は安全保障を脅かすとの従来主張を繰り返している。これに加えて、ウィキリークスの活動に打撃を与えるような決定をする企業も増えてきた。ウィキリークスへのサーバー使用停止したアマゾン、寄付金の送金停止に踏み切ったペイパル、マスターカードなどだ。

 さらにFacebookとTwitterが、一部過激支援者のアカウントを停止した。両者はこれまでネット社会の「情報の自由な流通」を先導してきたが、今回は米政府に協力的にも見える対応を示している。

 既存メディアの論調も歯切れが悪い。ネットの時代、情報を押さえ込めないという事実や、新メディアも責任を果たすべきだという当たり前の事は指摘している。だが、そこまでだ。

 言論・報道の自由と安全保障・個人のプライバシーの関係、ネット時代の政府規制の関係、新時代メディアの定義と責任などという難問に直面し、対応を見いだせないでいる姿が浮かぶ。

▼異例のノーベル平和賞

 その3日後の10日、ノルウェーのオスロでは2010年のノーベル平和賞の授賞式が行われた。

 受賞者の中国人権活動家、劉暁波氏は服役中。妻も北京で自宅軟禁中だ。本人も家族も欠席という異例の授賞式になった。本人が不在なのは1991年のアウン・サン・スー・チーさん以来。家族も不在なのは74年ぶりだ。

 ノーベル委員会のヤーグラン委員長は、中国の世界に対する責任を強調し、劉氏の釈放を訴えた。

 一方、中国政府は授賞に反発。授賞式への欠席を訴えた。これに応じて大使など代表が欠席した国は、ロシア、イラン、ベネズエラなど17カ国に及んだ。

 今回の平和賞は、国際社会における中国の存在と異質ぶりを浮き彫りにした。しかし、同時に中国に同調する形で欠席した国が17カ国に及んだ事実も大きい。そこには、国の発展段階においては人権尊重や政治的自由に一定の規制をかけることも認めるべきだという、非欧米諸国の主張がある。

▼両者を結び付ける問題意識

 報道の自由は長らく、欧米社会の基本的概念の1つだった(現在もそう)。欧米が中国をはじめとする共産主義国家や独裁国家を批判する根拠の1つが、言論・報道の自由だ。

 しかし、ネット時代になって報道の自由が意味する内容が変わりつつある。これまでやりくりできた報道の自由と国家安全保障やプライバシーとのバランスが、既存の枠組では維持できなくなった。ウィキリークスの事件は、それを物語っている。

 ウィキリークスに対し欧米社会が規制強化で臨むのなら、これまで中国などにしてきた批判が自分自身に跳ね返ってくる。ウィキリークス問題とノーベル平和賞を切り離して考えるとすれば、それは問題の矮小化でしかない。

2010.12.12

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