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2010年11月28日 (日)

◆北朝鮮の砲撃と朝鮮半島情勢の注目点 2011.11.28

 北朝鮮が韓国・延坪島を砲撃。朝鮮半島の緊張が一気に高まった。北朝鮮の真意など不明な点が多いが、朝鮮半島が戦争の懸念を変えて推移している事が改めて浮かび上がった。北東アジア情勢の注目点も見えてくる。

▼砲撃の推移
 北朝鮮の砲撃があったのは23日午後2時半過ぎ。海岸部の基地から合計170発の砲撃があり、うち80発が島に着弾した。島では民家などを破壊、集落や山林の火事を引き起こすなど甚大な被害を及ぼした。兵士2人と民間人2人が死亡し、約1700人の島民の大半の島民が島を脱出した。
 韓国軍は応酬し、約1時間に渡り砲撃戦が繰り広げられた。警戒態勢は最高レベルに引き上げた。
 北朝鮮が韓国の陸地に攻撃したのは、1953年の朝鮮戦争休戦以来初めて。

▼北朝鮮の準備
 今回の砲撃は偶発的なものではなく、北朝鮮は準備を重ねてきたと考えるのが自然だ。
 砲撃した島は休戦協定の軍事境界線(北方限界線)からわずかに南方。しかし北朝鮮が主張する境界線より北方にある。北朝鮮は砲撃についてすかさず、境界線付近での韓国の軍事演習が原因と批判した。
 事件に先立ち、金正日総書記と後継者に指名された金正恩氏が砲台を付近を視察したとの情報も流れた。用意周到な砲撃を裏付ける。
 砲撃の数日前には、北朝鮮がウラン濃縮の実施を米国の研究者を通じて公開している。核開発と砲撃は連動していると見るのが、関係者の共通認識だ。

▼米感軍事演習と韓国の対応
 韓国は警戒態勢を最高レベルに引き上げた。李明博大統領は断固とした態度で応じることを表明した。
 米国と韓国は共同軍事演習を予定通り28日から実施し、北朝鮮に圧力をかける姿勢を示した。共同演習には米空母が参加。緊急時には平壌に10分で空爆できる態勢を誇示した。これに対し北朝鮮は防空態勢を整えるなど対応している。
 韓国内では対北朝鮮強硬姿勢が一気に強まり、死亡した兵士の葬儀では司令官が弔辞で「10倍、100倍の報復」を発言。退役軍人らのデモも相次ぎ、北朝鮮への経済支援停止を求める声も大きい。
 南北関係が冷却化し、緊張の高い状況が続くことは間違いない。

▼国際社会の動向
 米国や欧州、日本は相次いで北朝鮮を非難。ロシアも砲撃を批判した。
 北朝鮮に影響力を持つ中国は、それに比べると北朝鮮に配慮する。しかし、緊張の高まり回避では米韓などと一致しており、調整に動いている。28日には6カ国協議の首席代表会議を呼びかけた(米韓などは効果に否定的)。国連でも協議が進む。
 ただ、こうした国際的調停の行方は不透明。予断は許さない。

▼北朝鮮の強硬姿勢と危機感
 最大のなぞは、北朝鮮の狙いだ。
 専門家の間では、金正恩氏への体制移行をにらんで、緊張を作り出す狙いとの見方が強い。
 北朝鮮は金日成主席から金正日総書記への体制移行を進めた80年代から90年代前半にも緊張を作り出している。83年のラングーン事件、87年の大韓航空爆破事件、90年代初頭の核開発危機などがその代表だ(金日成主席は94年に死去)。
 米国を対話に引き出すための瀬戸際外交という面もある。米国との対話は、北朝鮮が終始求めている。
 しかし、北朝鮮の強硬姿勢の裏に隠れる強い危機感を見逃してはならない。
 冷戦終了後、韓国や中国が経済発展を実現する中で北朝鮮の発展から取り残された。経済は危機的な状況にある。
 体制的には軍依存が一層強まり、金正日総書記の健康問題が生じた。脱北者は続出している。
 米ブッシュ政権のイラク侵攻などを見れば、いつ侵攻されてもおかしくない。瀬戸際外交も核開発もこうした危機感を背景に生まれてくると見るべきなのだろう。

▼戦争、核、国家崩壊のリスク
 国際社会から見れば北朝鮮問題はアジアの大きな不安定要因であり、戦争の火種だ。
 冷戦終了後の北朝鮮と国際社会の関係は、危機の発生→対話→経済支援などの引き出し→新たな危機、という連続だった。
 その過程で北朝鮮は核保有国になった。経済発展の面からは世界の潮流にますます取り残され、北朝鮮崩壊のリスクも高まっている。その場合の混乱の深刻さは計り知れない。
 北朝鮮の情報は限られており、同国の実態、政権の権力構造、考えなどは分かりにくい。国際常識からはかけ離れた行動も多く、予測しがたいことが付きまとう。
 砲撃事件は、軍事衝突の懸念があることを改めて認識させた。朝鮮半島は常に戦争リスクを抱えているのだ。平時には忘れることもあるが、この当たり前の事実は重い。

2010.11.28

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