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2010年5月

2010年5月30日 (日)

2010年22号(5.24-30 通算518号)   by INCD-club

国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年5月24-30日
 

◆アップルの時価総額、MSを逆転(26日)☆
・米アップルの時価総額がマイクロソフトを抜いて、IT業界トップになった。
・アップルは2213億ドル。MSは2193億ドルで逆転した
・iPhoneのヒット、iPadの出足好調などが市場の評価を受けた。。
・IT業界の順位はアップル、MS、シスコ、グーグル、インテル、オラクル、HP。
・エレクトロニクスではIBM、GEがアップル、MSに匹敵する時価総額を維持している。
・アップルのiPadは28日米国外で発売。話題になった。米では4月3日に発売した。

◆メキシコ湾原油流出止まらず、被害拡大 ☆
・メキシコ湾の原油流出事故はBPの度々の停止策が失敗。なお流出が続いている。
・米国史上最悪の流出事故になり、被害はさらに拡大しそうな状況。
・流出は海底1500メートルで対応は技術的に困難。成功の展望はまだ見えない。
・オバマ大統領は28日、ルイジアナ州を再訪した。4週間で2度目。
・環境保護局はBPに罰金などの制裁を科すと発表した。
・米国では当然ながら、最大級のニュースで繰り返し報じられている。

◆NPT再検討会議、最終文書を採択(28日)☆
・NPT再検討会議は、核軍縮推進や核拡散防止の枠組み強化の文書を全会一致で採択した。
・核軍縮、核拡散防止、原子力の平和利用で合計64の行動計画を盛り込んだ。
・核保有5カ国には核軍縮の進捗を14年の準備会議に報告するよう要求。
・IAEAの機能強化もうたい、抜き打ち査察を可能にする追加議定書の重要性を指摘した。
・中東非核化に向け12年に国際会議の開催を明記。北朝鮮の核実験は批判した。
・ただ核軍縮の行程表明記などは見送られた。
・前回2005年の会議は文書採択に失敗しており、文書は10年ぶり。
・核軍縮・核拡散防止再始動の一歩という見方もある一方、中身は薄いとの評価もある。
・イスラエルは内容に欠陥があるとして12年会議への出席を拒否した

◆米中戦略・経済対話(24-25日)☆
・米中戦略・経済対話が北京で開催した。
・人民元、通商、北朝鮮やイランの核問題など経済・外交問題を幅広く協議した。
・いずれの問題でも明確な結論はなかったが、議論を深めた。
・対話は2006年から隔年開催。
・G2とも言われるようになった米中閣僚の意見交換のばとして重要。

◆米大統領、北朝鮮政策見直し支持(24日)☆
・オバマ大統領は北朝鮮政策の見直しを指示した。
・金融政策の強化などを念頭においていると見られる。
・韓国の哨戒艦沈没事件で韓国の立場を全面支持。北朝鮮への圧力を強化する。
・事件を受け、米国の北朝鮮戦略は、当面対話より圧力が前面に出る。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【重要ニュースの推移】 前週に引き続き、韓国哨戒艦沈没事件を巡る北朝鮮への対応、市場の混乱に関心が集まった。いずれも緊迫した状況が続いている。このほか、タイ情勢は刑事裁判所が25日、タクシン元首相にテロ容疑で逮捕状を発行。アピシット首相は年内の総選挙を否定する発言をするなど、力による対決姿勢が強まった。

 【IT業界の主役】 IT業界の主役交代は世界の経済のみならず、文化的な変化をも象徴する。80年代までのIBM→マイクロソフト→グーグルという図式はよく出てくるが、主役を1人だけに絞れるほど単純でないのも事実だ。
 アップルが時価総額でMSを抜き、IT業界トップになった。背景にあるのはiPhoneやiPadの成功。PCの時代からスマートフォンや携帯型端末の時代に移り、オープンソースを軸にしたビジネス戦略が中心になった変化を映している。
 アップル、MS以外で上位にあるのは、シスコシステムズ(ネットワーク機器)、グーグル(検索)、オラクル(データベース)、インテル(マイクロプロセッサー)、HP(PC、機器)など。ネット、分散処理、検索技術などがキーワードだ。
 これに加えてインテル(マイクロプロセサー)、HP(PC、機器)、IBM(ソルージョン)なども、長きにわたって依然トップクラスの地位を維持している。
 主役たちの顔ぶれをみると、技術、サービスの変化とともに、経営力も感じさせる。

 【原油流出事故】 メキシコ湾のBPによる原油流出事故の被害が止まらない。すでに事故発生から1カ月がたつが、流出停止策に失敗。メドが立たない状況だ。環境面はもちろん、漁業や観光などへの影響も甚大だ。
 米国では当然ながら、最重要ニュースの1つであり続けている。当面は「どうやって止めるか」が喫緊の問題だが、環境と資源開発、企業の責任論など大きな問題を投げかける。

◎今週の疑問
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・BPは潰れないのか。
・ギリシャを始めとする国家の財政危機(ツケは国民に行く)が深まる一方で、企業は史上最高益を更新するところが続出している。特に金融機関は公的支援を受けて生きながらえたのに、すぐに最高益とは違和感がある。現在の資本主義の仕組みの下では当然、と言えばそれまでだが、「金融機関は一体どんな価値を生み出しているのか」(その結果巨額の利益を得ているのか)という根源的な疑問を感じる。

 
◎今週の注目(2010.5.31-6.6)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・韓国哨戒艦沈没事件を巡る北朝鮮への対応は、緊迫した状況が続く。6月4-6日にはシンガポールでアジア安保に関する国際会議が開催され、米韓国防長官らが協議する。
・市場は相変わらず荒っぽい状況が続く。

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2010年5月24日 (月)

◆韓国哨戒艦沈没事件の見方 2010.5.23

 韓国の軍民調査団は、3月の哨戒艦沈没事件について「北朝鮮の魚雷によるもの」と断じる報告書を提出。朝鮮半島情勢の緊迫が一気に高まった。事件のインパクトと情勢の見方を考える。

▼事件の推移
 哨戒艦は3月27日に、北方限界線付近で2つに割れて沈没した。
 韓国は軍民に米国など海外の専門家も交えた調査団を組織し、事件の原因調査を実施。20日の発表では、魚雷のスクリューや操縦装置が北朝鮮のものであるという証拠資料が公表された。
 韓国は北朝鮮に通知文を送り、事件は休戦協定違反と批判。国連安保理に制裁に向けた協議を求める意向を示した。
 韓国は米国や日本、中国、ロシアなど関係国に説明し、理解を求めている。

▼背後にある軍事的事実確認
 事件の背景として、北朝鮮は米国や韓国が主張する北方限界線の場所を認めていない。
 また、昨年11月には黄海で南北艦艇の銃撃戦が発生。北朝鮮側は複数の死傷者と艦艇の損害を出し、韓国側の圧勝に終わった。
 北朝鮮潜水艦と特殊部隊による韓国領海侵犯や侵入事件も、1996年、98年など過去に何度か発生している。

▼北朝鮮の真意
 これだけの証拠物件があると、北朝鮮の魚雷による沈没という説明への疑念は、国際社会でもほぼない。
 問題は、北朝鮮がなぜ、どのように事件を演出したかだ。北朝鮮問題の常であるが、決定的な見解はなく、様々な憶測が流れている。  
 情報の中にあるのは、昨年11月の銃撃戦への報復説、国内体制引締めのための危機演出説、対外的に危機を演出する瀬戸際外交の一環、などの解説だ。金正日総書記の健康問題→後継者問題との絡みを指摘する見方もある。
 一方、国家のどのレベルで事件が計画されたのかも不明。韓国国防省は21日の会見で、魚雷攻撃は北朝鮮で対韓国・海外工作を担当する「人民武力省偵察総局」が主導した可能性が高いとの見解を示した。

▼歴史的軸で見ると
 歴史的な座標軸でみると、北朝鮮が韓国の体制転覆を目指したり、国際的な危機を演出する狙いで事件を起こした事は繰り返されている。
 1983年にはラングーン事件で、韓国の閣僚が爆殺された。87年には大韓航空機爆破事件が引き起こされた。
 1993年にはNPTから脱退を宣言。核危機を引き起こした。
 90年代に潜水艦による工作員侵入事件が起きたのは上述の通り。
 2000年代に入ると、2006年に核実験を実施。その後もミサイル発射などで何度も緊張を生む出した。
 こうした危機の演出と、交渉による緊張緩和が繰り返されたのが過去30年の北朝鮮問題の経緯だ。

▼北朝鮮の立場を考えると
 北朝鮮が“国家テロ”行為を実施し、国際社会に繰り返し緊張をもたらしてきたのは事実だ。ただ、同国を国際常識が通じないおかしな国と片付けるのでは、状況は理解できない。冷戦終了から20年経ち、飢饉に襲われたりしながら、同国は国体を維持している。北朝鮮指導者が、冷徹な計算の下に国を運営しているのも否定できない。
 今回の問題も、それだけを切り離し、過去とのつながりを軽視して見ると全体像を誤らせる。

▼大きな目で見た脅威
 朝鮮半島では、軍事紛争の懸念が常にある。今回のような単発事件はもちろん、ボタンを掛け違えれば大規模な衝突につながるリスクも抱えている。
 一方で、北朝鮮の体制崩壊リスクが存在する。それは難民発生などを通じ、地域の安定にとって大きな脅威になる。
 今回の事件に限らず、北朝鮮問題の個々の動きは内容が不明なものが多い。重要なのは、「大きな構図」を常に踏まえて物事を見ることだろう。

2010.5.23

2010年21号(5.17-23 通算517号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年5月17-23日
 

◆韓国哨戒艦沈没で報告書、北朝鮮の魚雷攻撃と特定(20日)☆☆
・韓国軍と民間調査団は3月の韓国哨戒艦沈没に関する報告書を出した。
・沈没原因は、北朝鮮の魚雷による攻撃と特定した。
・韓国は休戦協定違反と批判。国連安保理で制裁に向けた協議を求めると表明した。
・北朝鮮は報告に反発。制裁なら強硬措置をとると表明。態度を硬化させた。
・哨戒艦は3月27日に朝鮮半島西側の北方限界線付近で2つに折れて沈没。
・乗員104人のうち46人が死亡した。
・北朝鮮の思惑は不明だが、金総書記の後継問題が絡むなどの憶測もある。
・83年のラングーンでのテロ、87年の大韓航空機爆破事件に続く大型事件となる。
・朝鮮半島情勢は当面、先行き大きな不確定要因を含んで推移する。

◆タイ当局、デモ隊を強制排除(19日)☆☆
・タイ当局はバンコク中心部を占拠していた反政府デモ隊の強制排除に踏み切った。
・デモ隊幹部は抗議活動の終了を宣言して投降。治安当局に逮捕された。
・しかし一部強硬派は暴徒化。銃撃戦が起き、放火(約30のビル)や略奪が発生した。
・混乱は地方にも拡大。北部の県などで放火などが起きた。多数の死傷者が出た。
・タイ政府はバンコクと23の県に外出禁止令を出した。
・占拠事件はいったん収束したが、タイ情勢混乱はいつ再燃してもおかしくない。

◆国際通貨市場混乱続く、ドイツ空売り禁止も波紋 ☆
・ギリシャの財政問題に端を発した国際市場の動揺が続いている。
・世界的に株安が進展。為替市場ではユーロの下落が続き、対ドルで4年ぶりの安値。
・欧州では銀行間のドル金利が上昇。銀行がドル資金を調達するコストが高まった。
・ドイツは18日、ユーロ圏16カ国の国債などの空売りを10ヵ月禁止すると発表した。
・市場の投機に断固たる姿勢を示す狙い。しかし事前のEU各国などとの調整は不十分だった。
・独単独の規制は効果が限定的で、市場の混乱がかえって拡大する結果になった。
・一方、米上院は20日、金融規制法案を可決した。下院と法案一本化の調整に入る。
・また米SECは株価の新たな変動幅制限を導入した。
・市場の混乱→実体経済への悪影響の懸念も拡大している。
・実体経済、金融規制論議の行方と合わせ、市場は先行き不透明が続きそうだ。

◆イラン核問題でトルコなどが打開案。米は制裁決議案(17、18日)☆
・イランとトルコ、ブラジルは核問題で死んだか慰安を発表した。
・アハマディネジャド大統領、エルドアン首相、ルラ大統領がテヘランで会談後発表した。
・イラン補修の3.5%低濃縮ウラン2トンをトルコに搬出。
・代わりに仏ロから20%の高濃縮ウラン120キロを得る。
・低濃縮ウランは取引終了までトルコ国内でIAEAの管理下で保管する。
・2009年10月のIAEA提案を基礎にした合意内容。
・米欧主導で進められたイラン核問題への対応に、新興国が積極関与した意義がある。
・一方、米国は18日の安保理非公式協議で、追加制裁決議案を提出した。
・各関連物資輸送が疑われる船舶への検査などを盛り込んだ内容。
・ただブラジルなどは反対。調整の行方は不透明だ。
・問題は今後、安保秩序議論への途上国の参加という新要素も含み、推移する。

◆ロシアとウクライナが共同声明(17日)
・メドベージェフ・ロシア大統領がウクライナを訪問。ヤヌコビッチ大統領と会談した。
・黒海周辺などの安保に関する共同声明を発表した。
・今後10年の経済屋エネルギーなどの関係強化を定める計画策定でも合意した。
・2月に発足したウクライナ新政権が、親ロ色を明確にした格好だ。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【哨戒艦沈没事件】 韓国が3月の哨戒艦沈没事件が「北朝鮮の魚雷によるもの」と断定する報告書を発表し、情勢が一気に緊迫した。
 かつてのラングーン事件、大韓航空機爆破事件や、近年の核実験実施などに続く大型の事件。朝鮮半島や東アジアの安全保障体制に対する影響も大きい。
 北朝鮮関連の出来事では常だが、背景や狙い、経緯は霧の中だ。
 過剰報道に左右されることなく、冷静に物事を見つめたい。(→国際ニュースを切る「韓国哨戒艦沈没事件の見方) 

 【タイ情勢が映す冷酷な事実】 タイ政府が反政府デモ隊の競争排除に踏み切り、3月から続いた今回の混乱はひとまず収束した。
 しかし、事件を通じてタイの抱える深刻な問題が改めて浮き彫りになった。
 富裕層や都市中間層と、農民や都市貧困層の深刻な対立(階級・地域対立)。選挙で勝利した親タクシン派政権を司法判断で何度も崩壊させた末に成立した現政権の正統性に対する疑問。混乱を収拾できないタイ民主主義の機能不全、等々だ。国家体制の矛盾と言ってもいい。
 混乱を通じてタイの国際的な信頼性は地に落ちた。ただ、世界を揺るがすような出来事にならなかったのも事実だ(この点はアフガニスタンやイラクとは違う)。
 東南アジアは1980年代、世界の成長センターだった。しかしその地位を中国やインドなどに奪われ、世界における相対的な重要性は低下している。事件に対する世界の反応は、そうした冷酷な事実も映し出している。

 【トルコ、ブラジル仲介の意義】 イランの核問題でトルコのエルドアン首相とブラジルのルラ大統領がテヘランを訪問。仲介案を発表した。
 案はイランの低濃縮ウランをトルコが一時保管するという内容。「イランの低濃縮ウラン放棄(軍事利用の懸念払拭)+高濃縮ウランの仏ロからの導入(平和利用のため)」というパッケージを成立させるための具体案だ。
 もちろん案には懸念もある。イランが約束を守るか。対応案を実施しても、イランが追加で低濃縮ウランを生産したらどうなるか--等々だ。米国は早速新合意に反発、翌18日に国連安保理に追加制裁決議案を提出した。
 しかしトルコ・ブラジルの試みは、これまでP5(安保理常任理事国)主導で進めてきた世界の安全保障の秩序作りに、新興国が関与する意欲を示した点で新鮮だ。こうした動きは、今後ますます拡大するだろう。
 英Financial Timesは提案への先進国の反応について、(1)古い(西側主導の)ルールに反するとして無視する動き、(2)新興国の役割を果たそうという試みを歓迎する反応--の2つがある、と分析した。今後の世界を見る上で重要なポイントになる。

◎今週の疑問
 

 世の国際ニュースは、物事のポイントが分かり、「説明がつく」ように報道されるものが多い。だが本当のところは、ニュースの背後にある真相や思惑が「分かっていない」ケースも多いのだ。分からないことは素直に「分からない」と書いた方が、世界の理解に役立つことも多い。今週のニュースに関する「疑問」を書き留める。
<疑問1> 北朝鮮はなぜ韓国哨戒艦を攻撃したのか。
<疑問2> ドイツ単独で空売り規制をしても効果が薄いことは分かっているはず。それなのにメルケル首相はなぜこうした策の導入を決断したのか(国内政治などとのバランスを問う疑問)

 
◎今週の注目(2010.5.23-29)&当面の注目

・韓国哨戒艦爆破事件は、国連安保理などに舞台を移して駆け引きが演じられる。
・米国のクリントン国務長官が韓国、中国を訪問。韓国では哨戒艦爆破事件の対応などを協議する。
・米国と中国は25-26日、北京で米中戦略・経済対話を開催。テーマ盛り沢山。
・ガイトナー米財務長官が独英を訪問、市場混乱などについて協議する。
・NPT再検討会議は後半討議。

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2010年5月16日 (日)

◆欧州発通貨危機の新局面~ユーロ新段階に 2010.5.16

 EUは9-10日の緊急財務相会議で、総額7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意した。また、各国中銀は国債引受を開始した。いずれもこれまでの政策を大きく変える内容だ。

 決定は当面の通貨危機回避には効果を示すかもしれない。しかし、財政規律の緩み→ユーロの長期的な信認低下という、新たなリスクもはらむ。通貨危機がギリシャの財政問題→ユーロ圏全体の問題に発展する中で、1999年の発足から10年を経たユーロは新たな段階に入った。

▼米国救済策を上回る規模
 9-10日の財務相会議はぎりぎりの決断だった。市場はギリシャの流血事件などを契機動揺。ギリシャに続いて財政問題がポルトガル、スペインなどに広がれば、問題はユーロ圏全体に一気に広がる。決定は10日の未明、アジアの金融市場が開く直前だった。

 総額7500億ドルの融資制度は、米国が金融危機後に決めた7500億ドルの金融支援枠を上回る規模。EUによる5000億ユーロの基金(資金はEU債発行、政府保証などで調達)と、IMFによる2500億ユーロの融資枠設定からなる。ギリシャの救済措置の5倍以上に及ぶ巨大な額だ。

▼国債引き受け 
 緊急融資と並んで重要なのは、EU各国中銀による国債引き受け。欧州中銀のトリシェ総裁が10日発表した。
 国債の中銀引き受けは、財政規律を損ない、通貨価値の下落をもたらすとして欧州中銀が事実上禁じてきた。トリシュ総裁は数日前の会見で否定したばかり。それだけに、市場の驚きも大きかった。

▼問われるEU、欧州中銀の対応
 ギリシャの財政問題が発覚したのは昨年10月。それから半年間、対応策を巡ってEUはもめた。
 財政赤字拡大を放置した国を安易に救済をすれば、モラルハザードが助長されかねない。財政拠出国であり財政規律に厳しいドイツは、強く抵抗した。その一方で危機を放置し、ギリシャ危機→ユーロ全体の危機が増幅したら元も子もない。
 結局半年の間、EUは対応策に揺れ、対処療法的に終始したとの印象を与えた。
 欧州中銀の対応も、トリシュ総裁が国債引き受けを否定した数日後に実施するなど、一貫性に欠けた面があった。
 半年の間に、EUと欧州中銀の対応能力には疑問符が付いた。

▼ユーロの構造問題が露呈
 もう一つ重要なのは、危機を通じてユーロの構造的問題が改めて認識されたことだ。
 欧州通貨統合(ユーロ)は元々、金融政策は統合するが財政政策は各国ばらばら、という矛盾を抱えている。その矛盾をカバーしてきたのが、財政赤字をGDPの3%以内に抑えるなどのルールだった。
 しかし金融危機後、各国の財政支出は拡大。ルールは有名無実化した。そこに加えたギリシャの粉飾決算(財政赤字の過小申告)で、当局の政策に対するチェック機能の欠如も露呈された。
 5月7日のEU首脳会議では、支援拡大を渋るメルケル独首相に対し、サルコジ仏大統領がユーロ離脱をちらつかせて決断を迫ったという報道が流れた。真偽は定かではないが、「ユーロからの離脱」や「ユーロ崩壊」が冗談でなく真剣に論じられるようになったところに、状況の変化が表れている。

▼立て直し策は未知数
 EUや加盟国は新状況に応じた対応を模索している。スペインは12日、ポルトガルは13日に財政再建の追加策を決めた。欧州委員会は各国の予算を事前審査する制度を提案した。しかし、実効性がどこまで出てくるかは不明だ。
 さらに、世界的な金融規制論議とも絡む。金融危機の背後には財政赤字の拡大など実体経済の矛盾もあるが、その歪みを突いて危機に発展させるのはグローバル投資家たち。「市場の暴走」どう規制するか、各国は金融危機後議論を本格化したが、有効な結論の見通しは全くない。

▼「歴史的実験」第2幕
 欧州通貨統合は「歴史的な実験」と言われる。国家主権中でも代表的事例の1つである通貨主権を加盟国が放棄し、国際機関に委ねる事例は歴史上ないためだ。
 その通貨統合がEU経済の統合をもたらし、経済の活性化を招いたのは過小評価すべきでない。加盟国にとってはユーロがアンカー役になり、金融危機時にも非加盟国のアイスランドのような国家経済破綻を防いだのもユーロのためだ。エストニアの2011年のユーロ参加が決まり、他の注東欧諸国がユーロ加盟を目指すのも、「寄らばユーロ」が信じられているためだ。
 しかし、旧来のルールと運営だけでは問題が多いことが明らかになった。歴史的実験の「第2幕」がどう進むか、EUの対応力が問われている。

   ====

▼国際通貨危機を見る視点(補足)

 今回の国際通貨危機には、世界経済の抱える様々な問題が絡んでいる。今回コラムは「ユーロ」の問題に焦点を当てたが、全体像を見るには多角的な視点からの観察が必要だ。たとえば次のような視点が欠かせないだろう。

-通貨危機と実体経済の相互作用=危機の真価→実体経済の悪化のスパイラルなど
-金融機関の経営悪化
-金融危機の処理=損失は民間部門→政府に移転されただけで、処理は済んでいない
-過去の通貨危機(アジア通貨危機など)との対比
-金融規制との関係

2010.5.16

◆英新政権の注目点 2010.5.16

 英国の新政権が発足した。13年ぶりの政権交代、戦後初の連立政権、過去200年で最年少の43歳首相登場と話題は豊富。前週号でも「英国の行方は、世界にとっても多くのものを示唆する」と指摘したが、もう少し焦点を絞ってみる。
(→ http://homepage2.nifty.com/INCDclub/clm2010/clmUKelection20100509.htm

▼連立合意
 保守党と自由民主党は、連立合意を発表した。A4版7枚の合意文書には、財政赤字削減、歳出削減など11項目が記されている。主な内容は以下の通りだ。
(合意文書は次のページから) http://www.conservatives.com/News/News_stories/2010/05/Coalition_Agreement_published.aspx

-財政赤字の削減を重視: 項目のトップ。早急な削減を目指す保守党の主張に沿った。
-金融改革: 金融危機再発に課徴金、ボーナスへの課税など確認。
-移民: 規制の強化。年ごとの総数規制。
-選挙制度: 選挙制度改革に向けた国民投票実施法案の準備。
-EU政策: EUで積極的な関与(positive participant)継続。これ以上の主権移譲はしない。
-その他項目として列挙: 歳出見直し、税制改革、年金・福祉、教育、市民の権利、環境

 ただ当然ながら、細目は詰め切れていない点が多く、今後の運用にかかっている。

▼理念より実務
 新政権は1980年代のサッチャー保守党政権、1997年のブレア労働党政権の登場時のように明確な理念やメッセージがあるわけではない(サッチャーは新自由主義、ブレアは第3の道)。
 政策主張の基本方針は、野党に下った労働党も含めそれほど大きく違っていたわけではない。開放・改革路線の維持、市場と福祉のバランス、金融危機後の不況からの回復、財政の改善、移民対策、EUと米国のバランスを生かした外交などは、当然ながら共通している。
 違いが目立ったのは、選挙制度(保守、労働党は現行の小選挙区制維持、自由民主党は比例代表制導入)やEU政策(保守党はEUと距離、自民党は新EU)などに限られる。
 基本政策が同じとなると、重要になるのは課題への優先順位付けや実務的な対応能力。政策の中道化は、先進国はどこでも似ている。
 
▼Change
 そうした状況下では、選挙戦においてはイメージが重要になった。
 選挙戦で保守党が掲げたキャッチフレーズはChange。これは米大統領選でのオバマ大統領と同じだけではない。2007年にブラウン労働党政権が発足した時にも、強調したのはChangeだった。

▼若さが特徴 
 それと関連して重要になるのが若さ。キャメロン首相、クレッグ副首相の43歳ばかりが話題になるが、他の閣僚も若い。首相の朋友、オズボーン蔵相は38歳。保守党の党首経験者で重鎮のイメージすらあるヘイグ外相も40代だ。
 キャメロン氏が党首になったのは39歳の時。それ以来、議会での党首討論などを通じ経験を積み、幾度もの修羅場をくぐりぬけてきた。
 ブレア元首相が1997年に首相に就任したのも43歳の時。英国政治には、伝統を維持する一方で若い人材を育てる土壌がある(それは米国や他の欧州諸国にも共通する)。

▼問われる実務能力
 新首相に問われるのは、極論すれは実務対応能力とリーダーシップに尽きる。
 連立合意は上記のように大枠を定めたのみで、詳細の議論はこれから。選挙制度改革、EU政策などで、両党の意見が対立する場面も遅からず出てくるに違いない。
 経済政策でも「財政赤字削減の早急な対応」が、そう簡単に進むか不透明。金融規制の強化と金融立国の維持は、バランスを取るのが難しい。
 政治や市場関係者の中には、「連立政権は5年維持」という約束の実現は難しい、という見方も少なくない。

▼リーダーシップ
 もう一つのリーダーシップに関しては、首相のコミュニケーション能力はすでに野党党首時代の実績などから実証済み。これから問われるのは、修羅場での決断力や、世界のリーダーとの交渉能力などだろう。
 こうした点も踏まえて英新首相と英国政治を眺めると、世界を見る上で1つ視点が加わる。

2010.5.16

2010年20号(5.10-16 通算516号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年5月10-16日
 

◆英で戦後初の連立政権発足、首相に43歳キャメロン氏(11日)☆☆
・保守党と自由民主党の連立政権が発足。労働党から13年ぶりに政権交代した。
・首相には保守党のキャメロン党首が就任した。43歳で戦後最年少。
・自民党のクレッグ党首も43歳で、副首相に就任した。
・連立政権は第2次大戦後初めて。
・両党は12日に連立合意を発表。2015年までの5年の任期を全うすると強調した。
・財政再建の推進や金融改革を重視。選挙制度改正の国民投票に向け準備を進める。
・開放・改革政策の維持、経済と福祉の両立などのスタンスは前政権から変わらない。
・EUには積極的に関与して行く一方、これ以上の主権移譲は当面進めない。
・6日の総選挙は保守党が第1党になったが過半数には届かず、連立協議を続けてきた。
・英政治は保守・労働当が交互に政権担当する2大政党制→新局面に入った。
・ただ保守・自民党はEU政策などで立場が大きく異なり、将来対立対立表面化の根を抱える。

◆EUが通貨防衛策、7500億ユーロ融資枠、中銀は国債買い入れ(9-10日)☆☆
・EUは緊急財務相会議を開き、7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意した。
・EUが5000億ユーロの基金、IMFが2500億ユーロの枠を設定し、参加国の緊急時に融資する。
・各国中銀は10日、国債の買い入れを始めた。
・市場の動揺を抑え、ユーロの危機を回避する狙い。
・一方で財政規律が緩み、将来的にユーロの価値が損なわれるリスクも抱える。
・為替市場では1ユーロ=1.23ドル台と、1年半ぶりのユーロ安を記録した。
・ユーロは1999年の発足以来の運営枠組み変更を迫られた。

◆フィリピン大統領にアキノ氏(10日) ☆
・大統領選が実施され、野党・自由党のベニグノ・アキノ氏の当選が確実になった。
・コリソン・アキノ元大統領の息子。
・アキノ氏は汚職撲滅や財政再建を公約。現政権への批判票を集めた。
・ただ、経済再建など難問は山積している。
・同時実施の議会選挙では、アロヨ現大統領系、マルコス元大統領系などが相次ぎ当選。
・フィリピン政治が依然、コネや利権で動く姿を浮き彫りにした。

◆タイで再び衝突、死傷者多数、混迷深まる(13-14日)☆
・バンコク中心部で13日から反政府デモ隊と政府治安部隊の衝突が再燃。
・10人以上が死亡、百人単位の負傷者が出ている。
・13日にはデモ隊にアドバイザーとして加わっていた元陸軍少将が公衆面前で狙撃された。
・アピシット首相が妥協案として出した11月選挙は、デモ隊が13日拒否。首相は取り下げた。
・同国では3月から反政府デモ隊がバンコク中心部を選挙。混迷が深まっている。

◆エストニアがユーロ参加(12日)☆
・欧州委員会はエストニアのユーロ参加を承認すべきだと決めた。
・同国は2011年1月にユーロ導入の予定。ユーロ参加国は17カ国になる。
・エストニアのユーロ参加を目標に財政改善を進め、赤字のGDP比は低い。
・現在市場ではユーロが動揺しているが、地域の共通通貨としての存在感は拡大。
・金融危機時にも、アイスランドなどユーロ未加盟国の通貨がまず狙い撃ちされた。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【英政治とユーロの新局面】 前週に引き続き、英国政治とユーロが重要な節目を迎えた。
 英国ではキャメロン保守党党首を首相とする新政権が発足。13年ぶりの政権交代、戦後初の連立政権、過去200年で最年少の43歳首相誕生と、話題には事欠かない。政策面でも財政再建、金融立国の行方など注目すべき点は多い。
 ユーロは7500億ユーロの緊急融資枠の設定、中銀による国債買い入れの実施など節目となる決定が行われ、1999年のユーロ発足以来の新局面を迎える。

 【フィリピン、タイでは】 東南アジアに目を転じれば、フィリピンで大統領選。予想通りベニグノ・アキノ大統領の誕生となった。同時に行われた議会選挙ではアロヨ前大統領一族、マルコス元大統領一族の有力者が当選。「いかにもフィリピンらしい」動きになった。
 タイでは政府と反政府デモ隊が衝突→流血事件の再来となった。チキン・ゲームが続いており、先行きは見えない。 

 【ブルカ禁止の波】 フランス国民議会(下院)が11日、イスラム教徒女性のブルカ着用が同国の価値基準に反するとの決議を採択した。政府は近くブルカ禁止法案を閣議決定し、国会審議にかける見通しだ。
 ブルカは女性の全身を覆う衣装。真っ黒なものが多い。欧州ではここ10年ほどの間にブルカ着用の女性が増えている。西洋的価値観の人間には、街で出会うと違和感がする。
 フランスでは女性の尊厳や、治安上の理由(人間を特定できない)という観点からブルカに批判的な意見が出ていた。
 ただし、禁止法案の中身を定めるのは難しい。すでに色々な意見が出ているが、議論は終息していない。
 欧州においてはイスラム教徒との対立、共存が大きな問題になっている。ブルカはその象徴例だ。ベルギーではすでにブルカ禁止法が成立している。

 
◎今週の注目(2010.5.16-22)&当面の注目
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・欧州の通貨危機が続く。こうした中でギリシャ国債は19日、大量償還の期限を迎える。
・18日にEU・中南米首脳会議

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2010年5月 9日 (日)

◆ギリシャ発市場混乱をどう見る 2010.5.9

 ギリシャの財政問題に端を発した国際市場の動揺が深刻化した。EUとIMFがギリシャ支援で合意したのもつかの間、市場では問題の行方への懸念が深まり、世界の株価は大幅に下落した。ユーロ全体の動揺や、世界経済への悪影響も不安視される。

▼問題の拡大
 5月第1週の国際市場は大きく動揺した。世界の主要株式市場で株価は大幅に下落。7日までの1週間の下落率は、NYダウで5.7%(682ドル)、英国で7.7%、日本(日経平均)で6.3%、中国の上海総合で6.3%などとなった。
 新聞には「動揺世界に拡大」(Debt fears spark plunge across markets;FT紙)などの見出しが並び、金融システム全体の問題、世界経済の問題としてとらえられるようになった。
 問題はしばらく前の「ギリシャの問題」 (Greece Debt Crisis:FT)から、世界経済の問題、金融システム全体の問題になった感じだ。

▼流血事件の衝撃
 ギリシャは4月末にEUとIMFに支援を要請。EU、IMFは5月2日にはギリシャ向け融資で合意し、市場の不安は一時的にせよ収まるはずだった。
 しかしギリシャ国内では支援の条件となる賃金・年金の抑制、消費税引き上げに国民が激しく反発。5月3日にはデモ隊が暴徒化し3人が死亡した。
 事件はギリシャ財政再建への厳しい見方を強めた。

▼ギリシャ危機→ユーロ危機
 重要なのは、問題がギリシャ危機→ユーロの危機に飛び火しようとしていることだ。
 財政赤字が深刻なのは、GDP比が13%超のギリシャだけでない。スペイン、ポルトガルやアイルランドの赤字もGDPの10%程度に達し深刻。イタリアも財政基盤の弱さが指摘される。
 S&Pなどの格付け会社は、ポルトガル、スペインの国債の格付けを相次いで下げた。
 これらの国に危機が広がれば、ユーロ全体の信用に関わりかねない。
 EU各国が危機感を深めているのも、こうした背景がある。

▼ユーロの構造問題
 その背景には、ユーロの持つ構造的な問題がある。ユーロ参加国は金融政策を一本化しているが、財政政策はバラバラ。特定の国の放漫財政への懸念も構造的に内包する。
 こうした問題点に、ユーロ圏各国は(1)財政赤字をGDPの3%以内に押さえることを義務付ける(2)違反の場合はEUによる警告、課徴金などの罰則を設ける--などで対応しようとした。
 しかし、金融危機後に起きた財政の急激な拡大や、ギリシャのような財政赤字の粉飾決算などに対応する術は設定していなかった。
 危機に直面して当面できたのは、緊急融資の実施など対症療法のみ。それももたついている印象を与える(ただし、通貨統合による経済全体の活性化、ユーロに加盟していたからこそギリシャが直ちに債務不履行に陥らず、国際金融の混乱がある程度抑えられていることなどメリットも忘れてはならない)。
 今回の危機をきっかけに、「そもそも論」に関わる疑問が表面化し、議論も行われるようになった。ギリシャのユーロ離脱も、机上の空論としてではなく話題になるようになった。
 通貨統合の構造問題は、将来の課題でなく今そこにある問題となった格好だ。 

▼楽観論の反動
 混乱の背景としてもうひとつ重要なのは、金融危機後の世界経済回復への過度の楽観論。2008年の金融危機後の世界経済は2009年1-3月を底に徐々に回復に向かい、2010年1-3月には米国などの企業業績が危機前の水準を超えた。
 破綻したGMは期間ベースで黒字基調が見えてきた。中国やインドは2ケタ近い成長に戻った。経済は急回復しているように見える(失業率高止まりはあるにせよ)。
 そうした情勢を背景に、市場も上向き、新たなバブル創出も指摘される。
 ただ、足元の景気回復が政府による多額の財政支援に支えられた無理をしたものであることは、否定できない事実だ。こうした要因を軽視し、経済の先行きに過度に楽観的になっていた。その反動が出た面もある。

▼金融・市場の暴走
 さらに忘れてはならないのは、市場の暴走という側面だ。
 今回の危機の原因について、メディアでは(あるいは教科書的説明では)ギリシャの財政赤字問題、ユーロの構造問題、ギリシャに多額の債権を持つ銀行の経営懸念など、実体経済の矛盾を指摘することが多い。確かにそうした点は的を射ている。しかし、市場はそうした実体面だけで動いているのではない。
 ヘッジファンドをはじめとするファンドや投資銀行にとっては、市場が動けば動くほど利益が出る。そこで市場取引で利益を得るために、あらゆることを材料にしようとする。ギリシャの財政赤字やユーロの構造的矛盾が必要以上に喧伝されるのは、そうした投資家の思惑もある。
 実際、米国や英国の財政赤字のGDP比はポルトガルより大きいのに、今のところ売り浴びせの材料にはなっていない。日本の財政赤字は先進国最悪なのに、現在は単にユーロやドルとの相対評価から円高が進む。
 市場が実体経済の矛盾を材料に、それを増幅させ、「動くこと」を自己目的化して暴走する姿は、1997年のアジア通貨や最近の金融危機と同じ構図だ。
 そして金融当局は、その暴走を規制する制度を持っていない。

▼根は複雑・奥深い
 このように問題は複雑であり、根は深い。
 必要なのは、そうした事実をきちんと把握して事態を理解すること。メディアなどの一面的な説明を鵜呑みにしない。各国政府や国際レベルでの金融規制論議も含め、冷静な目が欠かせない。

2010.5.9

◆英総選挙のメッセージと世界への示唆 2010.5.9

 英国総選挙が6日行われ、野党保守党が第1党になった。単独過半数は獲得できず政権の行方はなお流動的だが、13年続いた労働党単独政権の時代に終止符を打った。伝統と開放・改革の先進性で国際的存在感を堅持する英国の行方は、世界にとっても影響がある。選挙結果は何を意味し、英国はどの方向に向かおうとしているのか。

▼政権発足までに時間?
 選挙結果は野党保守党が306議席、与党労働党が258議席、第3党の自由民主党が57議席。その他、再選強で28議席だった。保守党は第1党の座を確保したものの過半数に達せず、労働党と自民党の連立が成立すれば保守党を上回る。
 どの党も過半数を維持できないハング・パーラメント(Hang Parliament)は1974年以来37年ぶり。選挙前から可能性が指摘されたが、その通りになった。
 保守党は自民党と連立などの協議を開始した。しかしEU政策や選挙制度など基本政策で意見の違いも多く、協議の行方は流動的だ。
 第2党に転落した労働党のブラウン首相は自民党に秋波を送り、政権維持をあきらめていない。
 連立になるにせよ、少数単独になるにせよ、政権発足までには時間がかかるとの見方が強い。

▼とりあえず変化を選択
 選挙戦で際立ったのが「変化」。保守党のキャメロン党首、自民党のクレッグ党首が若さと変化を求めたのに対し、労働党野ブラウン首相は経験を強調した。
 過去数回の選挙で労働党を支持してきた英国主要メディアは、終盤戦で労働党離れを表明した(タイムズは労働党→保守党、ガーディアンは労働党→自民党)。政策面の評価もさることながら、長期政権からの変化を求めた色彩が強い。
 結局国民は、13年続いた労働党政権からの変化を選んだ。ただ、保守党への過半数付与という強い形での意思表示ではなく、弱い形でメッセージを発した格好だ。

▼基本政策=開放・改革とグローバル・ハブ戦略
 選挙戦で「変化」を巡る主張の違いはあったものの、経済・社会に関する基本政策では、あまり大きな違いはなかった。
 英国は1980年代のサッチャー革命で、開放・改革路線に転換。積極的な外資導入と市場機能の重視、民間活力の利用により経済を活性化した。
 97年以来の労働党政権も、この基本路線を踏襲。金融立国戦略を進め、シティを世界の金融センターに育成した。また、英語が「世界標準語」である利点を生かして法律、会計、コンサルタントなどの高度サービスを育成。グローバル化時代の先端経済モデルを作り上げ、2008年までの「15年景気」を演出した。
 一方で社会の安定に福祉も重視。かつての「ゆりかごから墓場まで」とは決別したものの、国営・無料の医療制度であるNHSを維持するなど、時代に合わせた社会福祉制度の維持・再構築に努めた。市場経済と福祉の新たなバランスを模索する「第3の道」の言葉は流行遅れになったが、その基本姿勢は各党に共有されるようになった(この辺はブッシュ時代までの米国と異なる)。

▼基本政策の差はわずか
 2008年の金融危機が起きると、金融立国の好循環は逆回転を開始。英国は独仏などより深刻な打撃を受け、戦略は見直しを迫られている。
 しかし、改革・開放路線の維持、歴史と英語の力を生かしたグローバル・ハブ国家としての戦略は不変だ。金融にしても偏重の是正は必要でも、中心産業としての位置づけは変わらない。経済活性化と福祉のバランス重視も然りだ。
 選挙戦でも政策の基本線の差はわずかだった。各党とも主張するのは行き過ぎの修正であって、基本路線の大転換ではなかった。
 政策の中道化、現実主義的な傾向の強まりは先進各国の傾向。今回の英国の選挙でも、それが映し出された。
 一方で、金融危機後の経済・社会情勢の悪化の中で「内向き」志向が強まり、選挙のためにポピュリスト的な傾向が見えたことも各国に共通する。各党が移民に対する規制強化を訴えたのは一例だ。

▼違いはEU、選挙制度
 違いが現れたのはEU政策。英国は元々、対EUと対米関係のバランスの上に外交戦略を組み立てているが、その距離感は各党によって異なる。
 保守党は伝統的にEUとの距離を寄り取る立場で、選挙戦でもその立場だった。これに対し自由民主党は親EU色が強い。
 新政権の発足がどうなるか流動的だが、EU政策で重要な変化が出てくる可能性もある。そうなれば、EU諸国への影響も出てくる。
 もう一つの注目点は選挙制度だ。選挙戦で自由民主党は現行の小選挙区制の改革(比例代表制の採用など)を主張。現行制度維持の保守党、労働党と対立した。
 選挙結果で自民党がキャスティングボードを握るようになったことで、2大政党制の代表である英国の政治システムが変わるかもしれない。
 (ただし、比例代表制の欧州大陸諸国でも政治機能の麻痺など問題点はしばしば表面化しており、国民がどこまで比例代表制を支持しているかは不明な点が多い)。

▼リーダーシップ
 政治家のリーダーシップの重要性が増しているのも各国共通しているだ。
 米国がオバマ大統領の登場で国際的な指導力や魅力を(今のところ)向上させたのはその好例だ。
 転換期には国家や世界建設の新たな理念を発するリーダーシップが求められる。一方、政策の選択肢が限られている場合には、現実的な問題処理能力や国民へのコミュニケーション能力などが問われることが多い。
 新指導者(今のところキャメロン保守党党首の可能性が最も大きい)の指導力は、英国の行方を大きく左右する。

▼世界にとっての意味
 英国が世界にとって経済規模(GDPで世界5-6位)以上に大きな存在感を維持し、世界の行方を左右している背景には、まず歴史的な理由がある。(1)かつての覇権国として世界の枠組み・制度を作り上げてきた事実(2)英語が世界標準語である利点(3)英国連邦のネットワークや世界中の人脈(4)知識やノウハウの蓄積--などだ。
 これに加えて、世界に先端モデルを示し続けているソフト力が大きい。(5)経済グローバル化時代の先端を行く開放・改革モデル(6)福祉国家のいち早い創設→その改革を実施してきた柔軟性(7)2大政党制という政治モデル--などだ。また、米国、EUと世界をつなぐ国としての存在感も大きい。
 英国の行方は、世界にとっても多くのものを示唆する。
 大いに注目だ。

2010.5.9

2010年19号(5.3-9 通算515号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年5月3-9日

◆英総選挙、保守党が第1党、過半数は届かず(6日)☆☆
・英総選挙が行われ、野党保守党が第1党となった。ただ過半数には届かなかった。
・議席は保守党が306、労働党が258。自民党が57など。過半数は326議席。
・1974年以来のハングパーラメント(過半数獲得政党なし)になった。
・保守党と自由党は連立交渉に入ったが流動的。政権の行方は不透明だ。
・ただ13年続いた労働党単独政権は終了。英政治は新局面に移る。
・英国は開放・改革路線でグローバル化時代の先端モデルを提供。世界に影響を与えてきた。
・2大政党制のモデル、歴史と英語を武器にしたグローバル・ハブ国家としての存在感も大きい。
・その行方は、世界にも様々な面で影響する。

◆ギリシャ問題→ユーロ、世界の市場動揺 ☆
・ギリシャの財政問題に端を発した市場の動揺が拡大。ユーロ、世界経済への懸念が膨らんだ。
・世界の主要株式市場の株価は、3-7日に5-8%下落した。
・ユーロ安など通貨市場の動揺も続いた。
・ギリシャでは3日、財政再建策反対のデモが流血事態に発展。3人が死亡した。
・EUとIMFは2日、ギリシャ支援策に合意したばかり。しかし懸念はかえって高まった格好だ。
・ユーロ圏各国は7日首脳会議で支援策を正式決定。G7も電話財務相会議で不安払拭に努めた。
・しかし市場の動揺は収まらず、先行きは予断を許さない。

◆NPT再検討会議開始、米核弾頭数を発表(3日) ☆
・NPTの再検討会議がNYの国連本部で始まった。
・米国は核弾頭数を初めて発表。2009年9月末で5113発。
・3万発以上を保有していた67年から80%以上減少した。
・核兵器に関する透明性を高め、軍縮論議を進める狙い。
・イランのアハマディネジャド大統領は演説。核問題で米国を批判した。
・再検討会議はNPT体制の維持・強化を目指し5年に1度開催する。
・NPTは核保有国の核削減、非保有国への拡散防止、原子力の平和利用を柱とする。

◆金正日総書記が中国訪問(3-7日)☆
・北朝鮮の金正日総書記が中国を訪問。北京で胡錦涛国家主席らと会談した。
・中国訪問は4年ぶり。
・核開発を巡る6カ国協議再開などを協議したとみられる。
・哨戒艇爆破爆破事故を契機に高まった韓国の強硬姿勢をけん制する狙いも指摘される。
・韓国では3月の哨戒艇爆破事件に北朝鮮が関与したとの見方が強まり、態度を硬化している。
・総書記の健康にも注目が集中した。中国はテレビ報道などで配慮を示した。

◆タイ首相、11月選挙を提案
・アピシット首相は反政府派(タクシン支持派)に対し、11月の総選挙実施を提案した。
・反対派は拒否したが、条件交渉を進める姿勢も示している。
・反政府派には過激派の流入も指摘される。状況は予断を許さないが交渉進展の可能性もある。
・タイでは反政府派が首相退陣・総選挙実施を求めバンコク中心部などを占拠。
・2カ月にわたり混乱が続き、経済や観光にも深刻な影響が出ている。

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 INCDの採点
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◎寸評:of the Week
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 【英総選挙】 米大統領選ほどではないにしろ、英総選挙は世界の行方にも影響を与える重要な世事イベント。労働党単独政権の終焉で、新時代を迎える。

 【通貨危機の拡大】 ギリシャの財政危機に端を発した市場不安が拡大した。問題の火に油を注いだ形になったのが、3日のアテネでの流血事件。デモ隊が暴徒化し、火炎瓶を投げ、銀行が炎上した。全世界に流れたシーンは実に衝撃的だった。

 【重要案件】 前週から引き続きの注目は、メキシコ湾の原油流出、米金融規制論議など。新しい動きとしては、パレスチナ和平を巡るイスラエルとパレスチナの間接交渉が何とか再開されること、ユナイテッド航空とコンチネンタル航空の合併ニュースなど。

 
◎今週の注目(2010.5.9-15)&当面の注目
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・混乱が続く国際市場の動きに注目。まずは週明け10日の市場がどう開くかだ。EUは臨時首脳会議を予定している。
・フィリピン大統領選が10日に行われる。事前調査ではベニグノ・アキノ上院議員がリードし、ビリヤール上院議員らが追う形。ただフィリピンの選挙で思うのは、どの候補も政治家一族で背後に大きな利権集団が見えること。開票を巡る混乱も当然ながら排除できない。
・5月9日にモスクワの赤の広場で軍事パレード。ロシア発のメッセージとして重要。

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2010年5月 3日 (月)

2010年18号(4.26-5.2 通算514号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年4月26日-5月2日

◆上海万博が開幕(1日)☆
・上海万博が開幕した。
・テーマは「より良い都市、より良い生活」で、期間は10月31日までの184日間。
・246の国・国際機関や企業が参加。過去最大規模の万博となる。7000万人の入場を見込む。
・4月31日の開会式典にはサルコジ仏大統領ら元首級20人が参加した。
・展示は都市環境や環境技術をテーマにしたものが多い。
・中国にとっては08年の北京五輪に続く大規模国家行事となる。
・万博そのものに加え国際交流、中国社会への影響など、国際的な関心も高い。

◆メキシコ湾で石油流出被害拡大、史上最悪の可能性 ☆
・米ルイジアナ州沖・メキシコ湾の原油流出事故の影響が拡大している。
・事故は英BPの深海油田で4月20日に発生。日量5000-2.5万バレルの原油が流出している。
・汚染地域は約1万平方m(東京都の5倍)に及んだ。
・生態系や漁業などに与える影響は深刻。
・1989年のエクソンのアラスカ沖事故と並ぶ史上最悪事故になる可能性がある。
・ルイジアナ、フロリダ、アラバマ、ミシシッピ州は非常事態宣言を出した。
・オバマ大統領は2日現地を視察した。

◆ギリシャ、ポルトガルなど国債格下げ(27-28日)☆
・米S&Pは27日、ギリシャの国債格付けを投機的水準に引き下げた。
・深刻な財政危機を反映した。
・ポルトガル、スペイン国債の格付けも引き下げた(27-28日)。
・ギリシャほどでないが財政の悪化を懸念した。
・市場の信用不安がギリシャから南欧に拡大していることを反映した。
・危機は個別国にとどまらず、ユーロの信頼にも影響を与えている。
・欧州の通貨不安は引き続きくすぶり続ける。
・EU、IMFとギリシャは2日、同国への資金支援で基本合意した。支援要請に応えた。

◆ゴールドマン公聴会(27日)
・米上院の委員会はゴールドマン・サックス幹部への公聴会を実施した。
・先にSECが住宅ローン関連商品販売で同社を詐欺容疑で訴追した件に関するもの。
・同社幹部は不正行為はなかったと主張した。
・しかし議員会からは厳しい質問が相次いだ。
・専門家の見方も割れるが、同社に代表される投資銀行商法への世論の批判は強い。
・オバマ政権が次の重要課題に挙げている金融規制法案の審議にも影響する。
・英Eonomistは「国民の敵No1」(The latest public enemy No1)と米社会の様子を伝える。

◆アリゾナ州が移民規制強化、米社会割れる
・アリゾナ州で移民規制を強化する州法が成立した。
・外国人登録証の携帯義務付け、警察官の取締権限強化などが内容。
・共和党主導の議会で可決。知事が署名した。米国でも最も厳しい規制になる。
・これに対し反対派が人種差別助長につながると反発。オバマ大統領も関心を表明した。
・全米を巻き込む議論になっている。
・同州はメキシコからの不法移民が多い。
・これまでも同様の法案提出の動きがあったが、前知事の著名拒否などで却下された。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
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◎寸評:of the Week
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 【世界のテーマ】 2010年も3分の1を過ぎ、5月に入った。このところの注目テーマは、ギリシャ財政危機を始めとする国際通貨市場の動向と金融規制の行方、核安全保障など。足元では上海万博、タイ情勢、メキシコ湾の原油流出事故などが関心事だ。
 今年初めに挙げた注目点は、世界経済(非常時→平時への出口作戦、中印台頭を始めとする構造変化)、アフガンと安全保障、環境問題、オバマ政権の行方――などだった。
http://homepage2.nifty.com/INCDclub/clm2010/clm2010WorldProspect20100103.htm
 長期、中期、短期の注目点を時々整理してやると世界を見やすい。

 【上海万博のメッセージは?】 上海万博が始まった。「中国初」「史上最大規模」に、世界のメディアの関心も従来の万博以上に高い。
 万博開催を通じ、上海や中国から色々なメッセージが伝わってくるはずだ。開会式では国威をかけた演出(中国の政治体制)、上海の街並みの凄さ(中国経済の躍進ぶり)、警備の凄さ(政治・社会体制)、予想外にあかぬけた中国各地からの観光客(中国社会の発展の程度)、歌の盗作の話題(知的所有権認識の現状)などが印象に残った。
 普段のニュース報道などでは分からない色々なメッセージが伝わってくるはずだ。楽しみだ。

 
◎今週の注目(2010.5.3-8)&当面の注目
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・英総選挙が6日に行われる。世論調査では保守党がリードし、与党労働党と自由民主党が追う形だが、選挙区ごとの議席数の配分などから行方は微妙。どの党も河畔巣をとれないハングパーラメントになる可能性も指摘される。いすれにしろ、1997年からの労働党単得政権が終了するのはまず間違いないとみられる。

・NPTの再検討会議が3日からNYの国連本部で始まる。世界の核管理の重要な会議。米国からはクリントン国務長官が出席する。

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