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2010年4月

2010年4月26日 (月)

2010年17号(4.19-25 通算513号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年4月19-25日

◆ギリシャがEU、IMFに金融支援要請(23日)☆
・ギリシャはEUとIMF、欧州中銀に資金供与を要請した。
・市場での信用不安が収まらず、国債発行による資金調達が困難になったと判断した。
・同国は自主財政再建を断念。EUやIMF管理下での再建を目指すことになる。
・EUとIMFは迅速な対応を表明。EUは300億ユーロ、IMFは150億ユーロ提供の枠組みで合意済み。
・発表後ギリシャ国債利回りは低下。ユーロも対ドルで上昇し、動揺はひとまず収拾しそう。
・次の焦点はギリシャの財政政権がどう進むかに移る。
・金融政策は統合・財政政策は別というユーロ圏の根本問題への問いも未解決のままだ。

◆G20、世界経済の回復を確認(23日)☆
・G20の財務相。中銀総裁会議がワシントンで開催。
・声明は世界経済の回復が「予想以上に進んでいる」と確認した。
・英語の表現は"better than previously anticipated".
・その上で政策協調の推進を強調した。
・世界経済の着実ん回復を裏付けた形。
・22日にはG7の財務相・中銀総裁会議を開催した。声明は前回から未発表。

◆米IT産業、業績急回復 ☆
・米IT企業の1-3月業績が急回復した。
・マイクロソフト、グーグル、アップルなど大手の純利益は軒並み前年比数十%増。
・多くの社が金融危機前の水準を上回った。
・アップルのiフォンなど新サービスが好調だった。
・スマートグリッド、クラウドコンピューティングなども成長の原動力になった。
・技術革新を背景にした新製品・新サービスが成長を支える構図が鮮明になった。

◆欧州の空港再開(22日)
・アイスランド火山噴火の影響で閉鎖されていた欧州の空港が再開した。
・22日までにほぼすべての空港が再開。主要路線の運航が正常化した。
・欧州では1日2万8000-2万9000便が運航されている。
・噴火の影響で欧州ほぼすべての国で空港が閉鎖。10万便が欠航した。

◆バンコクで爆破事件、政治混乱拡大(22日)
・同市中心部のサラデーン駅付近などで連続5回の爆発が発生。
・1人が死亡したほか、100人単位の負傷者が出た。
・タクシン支持派は依然市中心部などを占拠。政府支持派と対立が続く。
・アピシット首相は24日、30日以内の解散を拒否した。
・事件を受け外資系企業が休業するなど、経済への影響も出ている。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【世界経済回復と構造変化】 世界経済の回復は、ギリシャの財政危機など不確定要因を抱えながら本格的になってきた。G20の財務相・中銀総裁会議声明は、世界経済が「予想以上」(better than previously anticipated)で回復していると表明した。
 実際、各地で景気回復を示すニュースが相次いでいる。米国や欧州企業の1-3月決算は、幅広い業種で業績回復した。米自動車業界では、GMも含め雇用回復の動きが出てきた。
 景気回復とともに重要なのは、世界経済の構造変化だ。
 米IT業界の1-3月業績は、金融危機前の水準を大きく上回るまでに回復した。成長を支えるのは、iPhoneをはじめとするスマートフォンやクラウドコンピューティング、スマートグリッドなどの新サービス。技術革新が成長を支える図式が鮮明だ。
 地域的には、中国をはじめとする新興地域の成長がますます際立つ。中国の1-3月の成長は11%台。途上国の重みはますます増している。
 金融危機を経て、新たな成長過程の中で、経済構造の変化は一段と進む。

 【金融規制】 オバマ米大統領は22日NYで演説。「ウォール街の改革は絶対に欠かせない」と金融規制の断行を強調した。米議会で金融規制改革の法案審議が山場を迎えている事を踏まえ、新規制の必要性を改めて国民にアピールした形だ。
 米SECは前週、ゴールドマン・サックスを証券詐欺罪で訴追したばかり。オバマ政権は直接の関与を否定しているが、市場では政権が投資銀行のビジネスモデルの変更を迫るサインと受け止めている。
 その米国に続いて英FSAも20日、ゴールドマンの英国拠点に強制調査を開始した。
 20の財務相・中銀総裁会議も金融規制強化の重要性を確認した。
 金融規制論議は、米国中心に重要な節目を迎えている。

 【北京自動車ショー】 北京国際自動車ショーが23日始まった。世界16カ国・地域から2100社が参加。各社トップも積極的なPRを展開した。いまや東京自動車ショーに代わりアジア最大。世界的にも最重要のショーの1つになった。
 最新の環境対応者の出展が目立ち、電気自動車発売などの発表も相次いだ。自動車産業の行方を占う上で欠かせない。
 
◎今週の注目(2010.4.26-5.2)&当面の注目
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・上海万博が5月1日始まる。期間は半年。テーマは「より良い都市、より良い生活」(城市、?生活更美好、Better City, Better Life)。上海が万博をどう運営し、外国人をどう迎えるかも注目だ。

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2010年4月19日 (月)

2010年16号(4.12-18 通算512号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年4月12-18日
 

◆核安保サミット、47カ国が参加(12-13日)☆
・核の安全や拡散防止などを協議する初の安保サミットが米国で開かれた。
・47カ国から首脳らが参加した。英語はNuclear Security Summit.
・共同声明は核テロが国際安保上の最大級の脅威と確認。
・核物質の管理を4年以内に徹底すると盛り込んだ。
・核物質の不正取引防止への協力などもうたった。ただ声明に強制力はない。
・時期会議は2012年に韓国で開催する。
・ウクライナは2012年までに高濃縮ウランを全面放棄すると表明。
・中国は核管理で途上国支援を約束するなど、会議を通じ核安全への動きが加速した。
・会議に先立ち米ロは8日、プラハで新戦略核削減条約に調印した。
・オバマ大統領は核安全保障の進展と強調している。

◆アイスランドで火山爆発、欧州の航空マヒ(15日)☆
・同国南部で火山が爆発。火山灰が欧州各地に広がった。
・この結果欧州各国で空港が閉鎖され、空の交通がマヒした。
・空港閉鎖は英仏独など22カ国。
・欧州発着便の欠航→影響は世界に広がった。
・社会・経済への影響も深刻になっている。
・火山は3月から活動状態に入り、15日大噴火した。
・火山灰が航空機エンジンなどに入ると運航できなくなる。
・自然災害の力を改めて見せつけた格好だ。

◆米中首脳会談、人民元問題など協議(12日)☆
・オバマ米大統領と胡錦涛中国主席がワシントンで会談した。
・核安保サミットの多忙時に予定超の1時間半協議。双方にとっての重要性を反映した。
・人民元の切り上げ問題も協議。
・オバマ氏が人民元改革を要求。胡首席は自主的に判断する姿勢を示した。
・イランの核問題なども協議した模様。
・米中関係は台湾への米の武器販売、グーグルの中国撤退などで最近ぎくしゃくが目立つ。
・そうした米中関係の改善の狙いも透けて見える。

◆米が新宇宙政策、2030年代火星に人(16日)☆
・オバマ大統領はフロリダのケネディ宇宙センターで新宇宙政策を発表した。
・2030年代半ばまでに火星への有人飛行を目指す。
・目標の大きい夢のある計画。ただ、実現には困難も多いとの見方が多い。
・今後5年のNASAへの予算拡大なども発表した。

◆中国・青海省で地震(14日)☆
・中国西部青海省のチベット自治省で地震が発生。1000人以上の死者が出た。
・被災の多数はチベット族。
・胡錦涛主席はブラジル訪問の日程を短縮して帰国した。
・災害処理を誤れば民族問題再燃の懸念があり、政治的にも重要。
・過去、大事件をきっかけに政治闘争が表面化した例もある(2005年反日デモ)。
・地震自体大きなニュースだが、中国では政治面からも見る必要がある。

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 INCDの採点
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  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【核安保サミット】 オバマ米大統領の呼びかけで実現した核安保サミットは、47カ国から首脳らが参加。過去にない規模の会議になった。
 強制力のある決めごとがあったわけではない。しかし、各国首脳が一堂に集まって核安全の問題を協議したことの意味は過小評価すべきでない。
 会議前には米ロの戦略核削減条約調印があった。会議では、ウクライナが高濃縮イランの放棄を表明し、中国はこの問題で途上国支援強化を公約した。核の安全に向けた連鎖反応(chain reaction)と、英Economistは評している。

 【タイ情勢】 タイ情勢は前週の治安部隊と反政府デモ隊との衝突による流血事件のあと、混迷が深まっている。軍は政府から距離を置きつつあるとの見方も。予断を許さない。

 【ゴールドマン訴追と米金融改革】 米証券取引委員会(SEC)が16日、ゴールドマン・サックスを証券詐欺罪で訴追した。2007年にサブプライムローンを裏付けにしたCDO(債務担保証券)を販売した際、投資家に十分な情報を与えなかったという理由。この時期に訴追した背景には、金融バブルを演出した投資銀行のビジネスモデルに修正を迫る政権の意欲を示した、という受け止め方が多い。オバマ政権は医療保険改革法成立、核安保サミットの成功を受け、次のテーマを金融規制改革法案に定めている。

 【iPadとツイッター】米アップルは米国外でのiPadの発売を1ヶ月先送りすると発表した。米国内での売れ行き好調の影響。一方ツイッターは新たに広告を載せる計画を発表した。IT分野の変化(進化?)のスピードを象徴するような動き。

 
◎今週の注目(2010.4.19-24)&当面の注目
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・IMFとギリシャが19日アテネで協議。支援要請を受けた場合の対応などを話し合う見込み。

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2010年4月11日 (日)

◆人民元切り上げに焦点 2010.4.11

 人民元の切り上げ問題が国際政治、通貨市場の両面で焦点になっている。

 背景にあるのは、無論米国や欧州に対する中国の膨大な貿易黒字。中国は人為的に人民元の価値を低く抑え、輸出競争力を高めている、という批判が欧米では強い。

 こうした状況の中で、ガイトナー米財務長官は8日インド訪問の帰路急遽北京を訪問。北京空港で王岐山副首相と会談し、人民元問題を協議した。来週にはワシントンで米中首脳会談が予定されており、この場でもテーマになる見通し。ガイトナー訪中は、その事前調整という見方が強い。

 米財務省は15日に予定していた世界各国・地域の為替政策に関する報告の発表を先送りした。中国を「為替操作国」に指定するかどうか、現時点で判断するのを差し控えた模様だ。

 人民元の対ドル為替レートは、2005年から2008年にかけて8.2元台から6.8元台に徐々に上昇。その後は横ばいになっている。

 金融危機後の不況で失業率が高まる中、米国内では中国二人民元切り上げを求める声が高まっている。政治問題化→要求のエスカレートという図式を、米政府も中国も懸念している。

 一方、中国は急激な相場の変動には否定的。しかし対米、対欧貿易摩擦の激化は避けたいところ。さらに人民元の上昇防止のドル買い・人民元売りによるインフレも警戒している。

 市場では4-5月の人民元の実質切り上げや、人民元の変動幅拡大容認などの観測が流れている。

 人民元切り上げは、当面市場の最大級の話題になる。そして長期的には、たびたび蒸し返される問題となる可能性が大きい。

2010.4.11

◆核管理の現状と課題~オバマ演説から1年の世界 2010.4.11

 米オバマ政権が6日核戦略の指針となるNPRを発表。8日には米ロ首脳が新戦略核削減条約に調印した。2009年4月のオバマ大統領の「核なき世界」演説をきっかけに、世界は核削減の新たなステージに動き出したかのように見える。しかし物事は当然ながら、そう単純ではない。核削減や管理を巡る動きを整理する。

▼米NPRの特徴
 6日発表したNPR(Nuclear Posture Review)は、オバマ大統領が提唱した「核なき世界」を目指すという大方針に沿って策定された。
(→ http://www.defense.gov/npr/
 最大の特徴は核使用を限定したこと。NPT(核拡散防止条約)を順守する非核保有国に対し、核兵器を使用しないと宣言した。ブッシュ前政権は核の先制使用も否定しない立場だったが、これを転換した形だ。
 新たな核弾道を開発しないことや核実験を行わないことも宣言。核拡散防止の重要性を強調した。
 一方で、核の抑止力を重視することは再確認。NPT未加盟の北朝鮮やイランには、厳しい姿勢で臨むと改めて強調した。中国の核戦力への警戒も示した。
 NPRはクリントン政権下の1994年、ブッシュ政権下の2001年に続き連戦終了後3回目。国防総省高官によれば、今回のNPRは最も包括的で戦略の大転換を示している。

▼米ロ新戦略核削減条約
 8日に調印した条約は、戦略核の大幅削減を示した。
 新条約はミサイルなど運搬手段の配備を各700に限定した。戦略核弾頭の配備数は、各1550発に制限される。有効期限は10年。ただし国益に反する場合は脱退可能との条項も入っている。
 1991年に調印し、発効の後2009年に失効したSTART1は、両国の戦略核保有を各6000発に制限した。現在の保有は米2200、ロシア2800発程度。新条約が実現すればさらに大幅な削減になる。
 両国議会の批准を経て発効する。ただし、米議会共和党にはブッシュ政権の核戦略に批判的な意見も多く、すんなり批准できるかは不透明だ。
 
▼核の歴史
 1945年に広島・長崎で初の原爆が使われて以来、世界は核兵器の時代に入った。
 冷戦下のピーク時には、米ソは各2万以上の核弾頭を保有していた(ソ連は86年に46000発)。米ソ間で核保有の制限・軍縮が始まったのは1972年から。
 一方、米ソ以外を含む核拡散防止条約(NPT)は68年に最初の62カ国で調印。1970年に発効した。1995年に再検討会議で無期限・無期限延長が決まった。ただし、NPT未加盟国があるほか、参加国からも核保有国の既得権を認めた「不平等条約」への不満がくすぶり、全世界をカバーする核管理体制にはなっていない。
 節目の動きは以下の通りだ。 

▽核問題の経緯(☆が核軍縮・核管理)
1945 米国が広島・長崎で核使用
1945 ソ連が核保有
1962 キューバ危機。核戦争の懸念最高潮。
1964 中国核実験成功
1968 ☆NPT調印(62カ国)
1972 ☆SALT1(第1次戦略兵器制限条約)調印(米ソ)。
    戦略核兵器と迎撃ミサイルの制限。米が2001年脱退宣言(MD配備)。2002年失効。
1979 ☆SALT2調印(米ソ)。戦略核総数制限。
    米が未調印で発行せず(ソ連のアフガン侵略に抗議)
1987 ☆INF廃棄条約調印。地上配備の中・短距離ミサイル全廃。
1991 ☆START1(第1次戦略兵器削減条約)調印。米ソ→米ロ。戦略核各6000。
    2001までに実行。2009年末失効(期限)
1993 ☆START2調印。2002年ロシアが破棄(米のMDに反発)。
1995 ☆NPT延長(無期限・無条件)
1998 インド、パキスタンが核実験
2001 9.11テロ
2002 ☆モスクワ条約調印。戦略核を2200まで削減。検証の定めない紳士協定。
2006 北朝鮮が核実験実施
2009 オバマ大統領が「核なき世界」演説
2010 ☆新条約調印。

▼オバマ政権の狙い
 最近になって核軍縮・核管理を巡る動きが加速したのは、米オバマ政権の誕生によるところが大きい。2009年4月のプラハ演説での「核なき世界」演説をきっかけに軍縮熱が高まった。その後、中東欧へのMD配備中止によるロシアとの関係再構築、ノーベル平和賞の受賞など、流れを加速する動きが続いた。
 もちろん、オバマ大統領の戦略が寄って立つのは理想論だけではない。
 世界情勢の変化で、核の大量保有が必ずしも安全保障上、有効な手段でなくなりつつあるという事実が背景にある。
 冷戦終了後、核保有国が増え(インド、パキスタン、北朝鮮)、核拡散への懸念が拡大した。何よりテロリストへの核拡散が、最大級のリスクになっている。自爆攻撃も辞さないテロリストには核の均衡による抑止など通用しなく、大量の核はむしろリスクになる。
 大量保有に伴う老朽化した核物質処理の経済負担も無視できない。

▼今後の焦点
 今後の焦点は次の通りだ。
(1)まず4月12-13日にワシントンで開催する核安保サミット。40カ国首脳が出席し、核問題について広範に話し合う。
(2)5月にはNYの国連本部でNPT再検討会議が開催される。上述したように95年の再検討会議では条約の無条件・無期限延長が採択されたが、その後核保有国の軍縮は着実に実行されたとは言い難く、非核保有国の不満はくすぶる。NPT未加盟のインド、パキスタン、北朝鮮は核実験を実施し、イランも核開発を疑われる。テロリストなどへの核拡散懸念は高まった。NPT体制の見直しが問われている。
(3)米ロ間では、戦略核に続く戦術核の削減条約や、米ミサイル防衛システムの扱いなどが問題になる。
(4)大国化に伴い存在の高まる中国の核への警戒も課題。
(5)核拡散防止(北朝鮮、イラン、テロリストなど)も当然ながら重要な課題だ。

2010.4.11

2010年15号(4.5-11 通算511号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年4月5-11日

◆米ロが新核軍縮条約調印、米は核新戦略(6、8日)☆☆
・米国は6日、今後5-10年の核戦略の指針となる報告書NPR(核戦略の見直し)を発表した。
・NPT条約を順守する非核保有国に対し、核兵器を使用しないと宣言した。
・ただし、NPT不参加の北朝鮮やイランは対象外。
・核なき世界に向け推進すること、新たな核弾道開発や核実験を実施しないことも表明した。
・核先制攻撃も辞さないとしたブッシュ政権の戦略を一変。核軍縮を柱とした新方針明確にした。
・8日にはオバマ米、メドベージェフ露大統領が8日プラハで新戦略核軍縮条約に調印した。
・発行後7年でICBMなど輸送手段を各700に削減。核弾頭は各1500発に減らす内容。
・91年調印のSTART1で定めた6000発、原保有水準の2200から一段と減少する。
・ただし条約発効までには米議会での批准などが必要で、先行き不当面な面が残る。
・核軍縮では4月12-13日に米で核安保サミット、5月に国連でNPT再検討会議が予定される。
・オバマ大統領の主導で、核軍縮と新たな核管理体制に向けた動きが本格化した。

◆キルギス政権崩壊、野党が暫定政権宣言(7-8日)☆
・首都ビシケクで7日、バキエフ大統領退陣を求める野党デモ隊と治安部隊が衝突。
・75人以上が死亡、多数の負傷者が出た。バキエフ大統領は首都から出身地の南部に逃れた。
・野党指導者オトゥンバエワ元外相代行は8日、暫定政権樹立と議会解散を宣言した。
・ロシアのプーチン首相は暫定政権支持の姿勢を明確にした。
・バキエフ氏は海外亡命を拒否。ロシアの関与を示唆する発言をした。
・首都などで略奪行為が続くなど、情勢はなお流動的だ。
・暫定政権は米軍による同国内にある軍事基地使用の制限を示唆。
・米軍は基地をアフガン出動の拠点にしており、国際的影響が広がる可能性がある。
・同国では2005年の総選挙の不正を契機にアカエフ大統領が亡命した(チューリップ革命)。
・しかし後を受けたバキエフ政権も、同族支配や汚職、貧困で国民の不満が高まっていた。

◆ポーランド大統領が墜落死(10日)☆
・カチンスキ大統領を乗せた旅客機がロシア西部で墜落。大統領を含む96人が死亡した。
・死亡者には前首相や中銀総裁なども含まれる。
・着陸に失敗した可能性が大きい。テロの情報は今のところない。
・第2次大戦中のカチンの森虐殺事件の追悼式に参加する予定だった。
・国家のトップや閣僚らが事故で何人も死亡するのは異例。
・同氏は2005年に大統領に就任。EUでは独仏主導を牽制するなど存在感があった。

◆タイで治安部隊・市民が衝突、20人死亡(10日)☆
・バンコクで政府の治安部隊とデモ隊が衝突。20人が死亡し数百人の負傷者が出た。
・デモ隊はタクシン元首相支持派。政府退陣を求め4月初旬から市中心部を占拠していた。
・アシピット首相は7日、バンコクと周辺に非常事態を宣言していた。
・しかし混乱は続き、衝突につながった。
・事態平静のメドは全く見えず、混迷がさらに深まる懸念がある。
・タイでは2006年のクーデターでタクシン首相が政権を追われて以来、国を2分する対立が続く。

◆米中が人民元で緊急協議(8日)☆
・ガイトナー米財務長官がインドからの帰国途中急遽北京を訪問。
・北京空港で王岐山副首相と会談した。
・人民元の相場の問題について協議したとみられる。
・米財務省は3日主要国・地域の為替政策に関する報告書の発表を15日から延期した。
・この中で中国を「為替操作国」とするかどうかが焦点になっている。
・米国内では人民元切上げを求める声が拡大。政治問題化しかねない情勢になっている。
・人民元は2008年から1ドル=6.8元台の事実上の固定相場。
・胡錦濤国家主席は12日からの核安保サミットにあわせて訪米。オバマ大統領と会談する。
・この場で人民元問題が議題になる可能性が大きい。

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◎寸評:of the Week
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 【動乱の週】 世界各地で政情が激しく動いた。
 キルギスの政権崩壊は、独裁政権への不満という点で旧ソ連中央アジア国家に共通する。しかし、政変の背後にどんな動きがあったかなど、まだ不透明な点が多い。この点も旧ソ連国家に共通する。
 タイの混乱は再度の流血事態に発展した。2006年のクーデター以来、国を2分する対立は泥沼化。収拾のメドはつかない。タイの国際的な信用失墜は深刻で、経済的な打撃も大きい。
 ポーランドの大統領らの墜落死は傷ましいに尽きるが、なぜ国家首脳が多数同じ飛行機で移動したかなど、思わず問いを発したくなる点もある。

 【核問題】 米オバマ政権の核戦略指針報告、米ロの新戦略核制限条約調印と、核問題を巡る重要な出来事が相次いだ。4月12-13日にはワシントンで核安保サミットが開催。5月には国連のNPT再検討会議が開かれる。核問題を巡る動きから目が離せない。

 【オバマ政権:求心力回復と与野党対決】 オバマ大統領の求心力が再び高まった感がある。焦点の医療保険改革法が成立したのが最大の理由。これに続いて米ロの新戦略核削減条約にも調印。新核戦略NPRでもオバマ色を存分に出した。
 ただ、野党共和党との対立色が強まったのも事実だ。医療保険改革でもNPRでも価値観の対立が鮮明になった。これがロシアと戦略核制限条約の批准などに影響は出てくるのは避けられない。

 【英総選挙】 英国のブラウン首相が5月6日に総選挙を実施すると発表した。現時点では野党
保守党の支持が多く、13年ぶりの政権交代となる可能性が大きい。国際政治に与える影響も大きい。

 【ギリシャ問題くすぶる】 ギリシャの財政問題が引き続き国際市場を揺るがしている。同国国債の価格は急落。8日には10年物国債の利回りが一時7.5%まで上昇した。ドイツ国債に比べた上乗せ幅も4.5%に達した。EUは緊急時にIMFと協力して融資するなどの対応を決めたが、市場との神経戦は続く。

 
◎今週の注目(2010.4.11-17)&当面の注目
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・ワシントンで12-13日に核安保サミットが開かれる。47カ国から首脳が参加する。核兵器の管理や核軍縮、核物質の拡散防止などが話し合わせる。
・核サミットに合わせて首脳外交が繰り広げられる。オバマ大統領は中印独など9カ国首脳と会談予定。日中首脳会談なども計画されている。

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2010年4月 4日 (日)

2010年14号(3.29-4.4 通算510号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年3月29日-4月4日

◆モスクワで連続テロ(29日)☆
・モスクワ中心部の地下鉄2か所で爆弾テロが発生。39人が死亡した。
・女2人の自爆テロ。北カフカスの武装勢力によるテロの可能性が大きい。
・モスクワ地下鉄でのテロ派2004年8月以来。
・ロシア南部ダゲスタンでは31日自爆テロが発生し12人が死亡。1日にも爆発が起きた。
・同国では04年8月にモスクワの地下鉄、09年11月はモスクワ-サンクト間の列車爆破が起きた。
・メドベージェフ大統領、プーチン首相はテロに対する断固たる姿勢を強調した。
・ロシアにおけるテロ問題の根深さを改めて見せつけた。

◆アップルがiPad発売(3日)☆
・アップルは情報端末iPadを全米で一斉発売した。
・価格は499ドルから。大勢の顧客が列をなした。
・久しぶりの大型商品。
・IT市場の地図を変えるようなインパクトを与える可能性もある。

◆米大統領がアフガン電撃訪問(28日)☆
・オバマ米大統領がアフガニスタンを訪問した。
・現地を視察し、駐留兵士を激励した。
・またカルザイ大統領と会談し、汚職の防止を求めた。
・オバマ氏のアフガン訪問は就任以来初めて。
・大統領は昨年12月に3万人の増派を決定。米軍は現在、南部で大規模な掃討作戦を展開中。

◆セルビア議会、ボスニア虐殺で謝罪決議(31日)
・セルビア議会はボスニア紛争時の虐殺について謝罪決議を採択した。
・遺族に哀悼の意と謝罪を表明した。
・右派民族系議員が反対したが小差で可決した。
・事件は1995年にスレブニツァでイスラム系住民8000人が虐殺されたもの。
・虐殺はボスニアのセルビア系住民が引き起こした。
・当時のセルビアのミロシェビッチ政権はセルビア系を支援していた。
・同国のタディッチ大統領はEU加盟政策を推進しており、問題に区切りをつけた格好。

◆中国、リオティント幹部に有罪判決(29日)
・上海の人民法院は、英豪資源会社リオ・ティント幹部らに有罪判決を言い渡した。
・中国部門幹部の豪国籍、フー被告には産業スパイ罪で5年、贈収賄で7年の有罪。
・他の3人にも7-4年の有罪判決を下した。
・リオ・テイントは4人の社員を解雇した。
・同社スパイが会社ぐるみだった事を否定。裁判については詳細が不明などと言及を避けた。
・「中国でのビジネス」の象徴として世界に注目された事件は、比較的おとなしく終結した形。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【テロの時代】 ロシアのモスクワとダゲスタンでまたテロが発生した。今の時代、テロは世界各地で毎日のように起きているし、特に中東や南アジア、アフリカでは当たり前すぎるような状態だ。しかしそれ以外の地域で大規模テロが発生すると、我々がテロの時代に生きていることを改めて認識させる。

 【iPad】 IT関連の新商品発売で国際ニュースになったのは、しばらく前まではマイクロソフトのWindows新モデルだった。最近は携帯書籍端末のキンドルであり、スマートフォンであり、そして今回のiPadだ。技術進歩の激しいこの世界で、新商品がどう育つかは神のみぞ知る話だが、時代の節目商品となる可能性はある気がする。何より、新発売がこれだけ大きな話題になることがニュースだ。

 【仏伊地方選】 イタリアの地方選が28-29日行われ、ベルルスコーニ首相の与党が敗北した。前週に行われたフランス地方選でもサルコジ大統領与党が大敗。各国の政治テーマは経済危機からの立ち直りにあり、政策面での違いを打ち出しにくい局面。たとえば経済改革など強調しにくい。そんな時には、政権与党への批判が表に出がちだし、トップのリーダーシップが問われる。

◎今週の注目(2010.4.4-10)&当面の注目
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・米ロ間で、START1後継の新核削減条約が8日にプラハで調印される。前週に合意したが、詳細は詰めを残している。調印式の発言にも注目。
・それに先立ちメドベージェフ・ロシア大統領はスロバキアを訪問する。

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