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2010年1月17日 (日)

◆グーグルVS中国 2010.1.16

 グーグルが12日、中国戦略の抜本的見直しを発表した。昨年末に中国からサイバー攻撃を受けたことを明らかにして中国政府に解明を要求。同時に中国に検閲の撤廃を求め、交渉の結果次第では中国からの撤退も辞さない。

 グーグルの投げかけた問題は、自由のあり方に関する価値観の違いや、ネット時代の安全保障のカギを握るサイバー戦争に関わる。米中関係など政治・社会的な広がりも大きい。

▼グーグルの発表
 グーグルの発表は、同社の公式ブログに掲載されている。
 http://googleblog.blogspot.com/2010/01/new-approach-to-china.html

 それによると、昨年12月に同社のシステムが中国初のサイバー攻撃を受け、攻撃は中国の人権活動家のGメールアカウントを狙っていたという。攻撃はいくつかのアカウントを経由して仕掛けられた。この攻撃は、すでに米政府当局に報告し協議した。

 同社は2006年1月に中国語の検索サービスを開始した。中国はもともと政府系のプロバイダーが情報を規制しているが、グーグルも中国政府の要請を受け入れ。天安門事件など一部情報にアクセスできないようにしていた。

 これについて、同社は段階的にアクセスの自由が拡大すると期待していたと説明する(自主規制に対しては米国内などから批判も多かった)。

 しかし、サイバー攻撃などの事態を受けて中国戦略の見直しを決定。中国政府に検閲の撤廃を求め、自ら実施していたる一部アクセスの制限を撤廃した(その結果中国政府は規制→グーグル中国語は見れなくなる)。

▼広がる反響
 米政府は問題を深刻に受け止め懸念を表明。クリントン国務長官は近く情報制限などに関する声明を発表する予定だ。
 米IT企業などは相次いで、グーグルの決定を支持する姿勢を示した。
 一方、中国政府報道官は検閲そのものについては従来通り正当性を強調した。サイバー攻撃については適切な対応をとるとしたものの、詳細は説明していない。
 中国国民の反応は、グーグルの撤退を懸念し同社に理解を示す声と、政府の政策を支持する声が交錯している。

▼検閲の背後にある価値観の対立
 問題は一企業の中国戦略という次元を超えた広がりを持っている。一つは検閲と情報アクセスの自由の問題だ。
 冷戦終了後、自由と民主主義を柱にした米欧の価値観は世界で広く通用するルールになった。この価値観の下では言論、報道の自由は最優先事項(ロシアでもこの原則は公式には受け入れている)。
 中国もこの価値観を表立って否定しているわけではない。しかし受け入れているわけでもない。国家の発展の局面では表現の自由の制限も必要という立場を崩していない。自由より経済発展を優先させる立場は、ある種の開発独裁モデルと言えるのかもしれない。そしてその立場が、一部途上国などから支持を受けている。欧米の的な価値観に対しては、イスラム原理主義以上に強力な対立概念になる、との見方もある。
 検閲を巡る問題の背後には、この価値観対立という根深い問題が存在する。

▼中国発サイバー攻撃
 もう一つ重要なのが、ネットの時代の安全保障問題。新時代にはサイバー上の戦いが死活問題になる。陸海空の3軍について宇宙が第4の戦場とすれば、サイバーは第5の戦場と言われる。
 今回のサイバー攻撃について、グーグルは「中国発」とする以外詳細を明らかにしていない。しかし、関係者の間では中国政府につながる機関の攻撃という見方がある。
 中国政府の報道官は、サイバー攻撃に対し中国の方に従って適切に対応すると強調した。しかし、中国政府自身が法規制の対象になるかとの質問に対しては、明確な答えを避けている(WSJ報道)。

▼情報戦争の時代
 世界はすでにサイバー戦争時代に足を踏み入れている。2008年のグルジア紛争の時には、ロシアからグルジアなどにサイバー攻撃があったと伝えられる。政府や国際的な犯罪組織による攻撃は始まっている。
 新種のコンピューター・ウイルスが極秘裏にばらまかれ、個人の情報を監視するようなことも十分可能だ。豪州はサイバー攻撃に対する国家としての防御体制整備を発表した。
 グーグルVS中国は、我々がそうした時代に生きている現実を突きつける。

2010.1.16

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