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2010年1月

2010年1月30日 (土)

◆次の10年をにらんだ頭の体操 2010.1.30

 先週号に続いて、発刊500号を機に中・長期的な観点で世界を考えてみる。

▼過去10年の変化
 先週号で触れた過去10年間の変化をもう一度整理すると、次のようなポイントが挙げられる。
・ポスト冷戦の時代→テロと対峙する時代に。
・グローバル化の進展。ただし楽観的な見方→テロ、金融危機などで影の部分も目立つようになった。
・中国やインドなど新興国の急速な発展。世界統治の枠組みはG8→G20に。
・経済は新自由主義優勢→金融危機を経てパラダイムの曲がり角に直面。
・携帯やネットが急速に普及。ITの覇権はウィンテル→グーグルに。
・アメリカに黒人大統領が誕生。

 2000年に30億ドルだった世界のGDPは2009年約60億ドルに倍増。世界経済は2008年の金融危機まで直実に成長し、特に2004-2007年は5%前後の高い伸びを示した。

▼予想通りと予想外
 こうした変化を改めて振り返のると、予想が「当たった」ものが結構ある。
 グローバル化の進展、中国やインドの経済発展、携帯やネットの普及などはいずれも10年前に指摘されていたこと。その進展度(速度)は見込み違いがあったとはいえ、想像もつかなかった類のものではない。
 一方で、全く想定外だったものも少なくない。90年代の世界の安全保障の懸念材料は民族紛争や地域紛争だった(旧ユーゴやルワンダの紛争が生々しかった)。しかし9.11を機に、世界はテロと対峙する「非対称戦争の時代」に入った。アルカイダやビンラディンの名が人口に膾炙するようになるなど夢にも思わなかった。アフガンやイラクの戦争も全くの想定外だ。
 ある程度の規模の金融危機は予想されたが、世界が恐慌の淵を覗き、新自由主義の時代が終わろうかという情勢になるとは想像しなかった。
 そして何より、米国に黒人大統領が誕生するなど夢物語でしかなかった。

▼不連続の変化 
 最近日本語訳も出た「100年予測」(ジョージ・フリードマン)によれば、過去100年を20年単位で振り返ると「予想もできなかった変化」の連続だった。
 世界秩序がヨーロッパ列強中心に構成されていた1900年に、第1次大戦による欧州荒廃や大帝国の崩壊(ハプスブルク、ドイツ、ロシア)、ソ連の成立など想定外だった。
 1920年時点に、ナチスドイツの台頭や第2次大戦は予想もできなかった。1940年にドイツの敗北、中華人民共和国の成立の予測は困難だっただろう。
 1960年にベトナム戦争が起き米国が敗北すると読んでいた人はまずいないだろう(石油危機の方がまだ予測可能だった)。1980年にソ連崩壊や中国の市場経済化はまず見通せなかっただろう。
 10年、20年単位で見れば世界は想像もできなかったような変化が起き、風景は全く違うものになる。この点は、常に肝に銘じる必要がある。

▼次の10年のオーソドックスな予測
 次の10年の予想は、様々な研究所や学者が発表している。
 オーソドックスな見方だと、挙げられるのはグローバル化の着実な進展、中国など新興国の成長、それに伴い世界の枠組みの変化(新興国の発言力の拡大)、ITやネットの発展、環境対策と環境技術の進展(電気自動車など)、等々だ。
 有名なゴールドマンサックスの「BRICs」リポート(2002年)も、こうした予想の上に立つ。
 もちろん、こうした見方が当たる保証は全然ない。メーンストリートの予測でも、10年単位で見れば中国の経済他体制は不透明だし、アフガン情勢、核、保護主義の台頭なども分からない。
 できることは、予想の限界を自覚しつつ、冷静に世界を見ることだろう。

▼非連続的変化
 問題点の整理と頭の体操のために、「こんな事だって起きるかもしれない」という可能性を挙げてみる。いずれも現在の延長線上とは別の話。先入観排除には役立つかもしれない。

核テロが発生し、核兵器が使われる。
アフガン、ソマリア、イエメンなど無政府国家が世界に10以上誕生する。
各国民の直接選挙で選ばれる「国連議会」が発足。世界政府への第一歩が動き始める。
アルカイダが壊滅する。連動してタリバンが掃討される。
日米、日韓などの軍事同盟が破棄される。
ロシアがEUに加盟する。

中国で共産党1党独裁体制が崩壊し、各地方が独立する。
台湾が中国に併合される。
日本の財政赤字が拡大。長期金利急騰で国債発行ができなくなり財政が破綻する。円は急落しIMFの緊急支援を受ける。
北朝鮮の武力攻撃が行われ、同国の体制が崩壊する。

国境を越えた資本取引に対する課税(トービン税)が導入される。
主要国が管理された保護主義政策を採用し、WTO体制が事実上崩壊する。
世界的なインターネットのシステムで大事故が発生し、カード決済や現金引き落とし、交通機関のチケット購入などがマヒ。大混乱になる。
電気自動車が新車販売の50%を超える。
原子力発電所で大事故が発生。世界の原発建設が止まる。

自己の細胞からの臓器形成が実現。心臓移植など一般に普及し始める。
大半の先進国で事実上の安楽死法が実施される。
世界の数カ国で国民にマイクロチップを埋め込む制度が発足する。
悪性インフルエンザの大流行で世界で億人単位の死者が出る。

2010.1.30

2010年05号(1.24-30 通算501号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年1月24-30日

◆一般教書、雇用を最重視(27日)☆
・オバマ米大統領が一般教書演説を行った。
・雇用を2010年の最重要課題として位置づけ。そのために経済成長重視の政策を打ち出した。
・具体的には中小企業の法人税拡大、子育て減税などを掲げている。
・医療制度改革の必要性も改めて強調した。
・演説の大半は経済と国内問題に割かれ、外交はわずか。新提案も乏しかった。
・得意の演説を通じ国民の信頼回復を狙う姿勢が強い。共和党への協力呼びかけも目立った。

◆米、バーナンキFRB議長を再任(28日)☆
・米上院はバーナンキFRB議長の再任を可決。同議長の再任が確定した。
・新任期は2010年2月‐2014年1月までの4年間。
・大統領は昨年議長再任を提案。議会に諮っていた。
・金融危機の責任を問う声もあったが、約7割の賛成で承認した。

◆スリランカ大統領選現職再選、亀裂露呈(26日)☆
・大統領選が実施され、現職のラジャパクサ大統領が再選を決めた。
・しかし野党のフォンセカ前参謀長は不正があったと受け入れを拒否している。
・2候補は共にシンハラ人。大統領・参謀長として約25年続いた内戦を昨年終結させた。
・大統領は内戦終結を背に、多数派シンハラ人の多くの支持を得た。
・前参謀長は腐敗など非難し出馬。一部タミル人やイスラム教徒の支持を得たが届かなかった。
・選挙戦は国営テレビによる現職有利な放送など、問題もあったと指摘される。
・同国は内戦終了後も、民族対立、腐敗、経済再建など難問が山積する。
・大統領選でもそうした実情が浮かび上がった格好だ。

◆米が台湾に武器売却 中国は反発(29日)☆
・米国防総省は台湾に総額64億ドルの武器売却を決定し議会に通告した。
・地対空誘導弾パトリオットなどを含む。
・ただし最新鋭戦闘機F16や潜水艦は見送った。
・中国は反発。軍高官の相互訪問を当面停止すると発表した。
・米中摩擦の材料が加わった。ただし関係の全面悪化を予想する向きは少ない。

◆ダボス会議(27-)
・世界経済フォーラムのダボス会議が始まった(31日まで)。
・テーマはImprove the State of the World:Rethink, Redesign, Rebuild.
・新たな金融規制提案などに関心が集まった。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【一般教書の注目ポイント】 オバマ米大統領の発の一般教書演説が行われた(27日)。雇用を2010年の最優先課題として明確に打ち出したのが特徴で、経済と国内問題に時間の大半を費やした(75分の演説の8割を経済、9割を国内問題)。外交は後退した格好。かつての「悪の枢軸」などのように記憶に残るキーワードもなかった。
 米では失業率が10%を超え、懸案の医療保険改革が正念場を迎えている。経済問題でのつまずきは大統領の政治指導力低下やひいては秋の中間選挙の敗北に直結しかねない。一般教書における政策優先付けも、そうした政治的現状を反映している。
 具体的な政策課題とともに米メディアなどが注目するのは、大統領が演説を通じ国民の信頼性の回復を狙った点。演説力は選挙勝利の原動力にもなった大統領最大の武器。その狙いがどこまで実現したか。結果が表れるのはこれからだ。
 もう一つの話題は、オバマ政権がポピュリズム的色彩を強めているかどうかということ。マサチューセッツ補選の与党民主党の敗北以降、そうした解説も多いが(特に表面的な記事。日本語のメディアもその受け売りが多い)、これについての見方はまだ分かれている。

 【広がる新金融規制提案の議論】 オバマ米大統領による新金融規制案(先週発表)の余波が広がっている。
 大手金融機関からは、「規制は経済に悪影響を及ぼす」などの反論が予想通り続いている(流石にあからさまな反発は政治的にも難しい模様)。一方、政治家や専門家の反響は様々だ。
 フランスのサルコジ大統領が規制に賛成の立場を明確に表明。ブラウン英首相も米国追従は否定したものの、米議論を見守る姿勢を示した。
 専門家ではジョージ・ソロスがBBCとのインタビューなどで基本的支持を表明。FTの看板コラムニストのマーティン・ウォルフも理解を示している(FTの社説は当初どちらかと言うと否定的だった)。
 ダボス会議には金融機関のトップが多数参加。様々な提案をしている(たとえばドイツ銀行のアッカーマン会長は安定基金の設立など)。オバマ提案には警戒を示しながら、さすがに「このままでいい」とは言えないので、自らの見解を示している。
 オバマ提案は、商業銀行の高リスク事業投資禁止や金融機関の規模制限という大きな方向を示した。しかし詳細まで示していない。このため「詳細を見ないと評価できない」という専門家のコメントも多い。
 いずれにしろ、国際的な金融規制政策議論が再点火された。

 【iPad】 アップルの新た機能端末iPadが27日発表された。各種多機能端末が相次ぎ発売されているが、iPadはメディアの注目もひときわ高かった。世の中にとってのインパクトの大きさを映している。

◎今週の注目(2010.1.31-2.6)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・G7の蔵相・中央銀行総裁会議が5日からカナダで。
・オバマ米大統領が2月1日に予算教書を議会に提出する。

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2010年1月24日 (日)

◆オバマ新提案と金融規制論議の整理 2010.1.23

 オバマ大統領が21日、新金融規制案を発表した。預金を預かる商業銀行に対し、ヘッジファンドなど高リスク事業への投資や所有を禁止。投資銀行を含む全金融機関に、資産制限を設けるという厳しい内容のもの。実現すれば、1980年代からの金融自由化の流れを変える大転換だ。

▼サプライズの新提案
 金融危機後、米国では金融規制論議が重ねられてきた。6月には政権が金融監督体制の強化などを盛り込んだ規制案を発表。その後、上下院が独自の法案をまとめるなど議論が重ねられている。この過程を通じて銀行と証券の分離(グラス・スティーガル法の復活)など大胆な案は後退し、既存の枠組みの中での改革にとどまるとの見方が強まっていた。ボルカー元FRB議長を中心とする委員会でまとめた大胆な案は、お蔵入りしたとみられていた。
 それだけに今回の発表には突然感がある。発表を受けて金融機関などの株価は下がった。

▼責任追及
 オバマ政権は1月、大手金融機関に特別課徴金を課すと発表し、金融危機を目ねいた金融機関の責任を追及する姿勢を鮮明にした。大手金融機関は公的資金を受けて危機から回復したのに、早くも高額報酬を復活している。後に今回の発表も、国民の反金融機関感情に応える面がある。金融機関を背景とする共和党保守派も、政治的には表立って反対しにくい面がある。
 メディアは「オバマがウォール街に戦争布告」(FT紙)と論じた。オバマ大統領は金融機関と距離を置く姿勢を明確にした。

▼抜本議論:
 しかし、金融規制のあり方を巡る議論になると、意見は分かれる。金融危機再燃を防ぐだけなら、銀証分離などでリスクを小さくすればいい。しかし金融の自由活動が経済の活性化をもたらしているのも事実だ(ITをもたらしたベンチャーの発展を支えてきたのも金融技術)。バランスをどこで取るかは難しい。議論の行方はなお予断を許さない。

▼金融危機後の規制議論整理
 米国だけでなく、世界の金融規制論議の行方は幅広く複雑だ。これを機に整理してみる。

(1)国際レベルでの規制強化議論

▽G20首脳会議
最も高度な政治議論の枠組みとしてG20首脳会議が開始(2008.11ワシントン、09.4ロンドン、09.9ピッツバーグ)。金融機関の資本規制強化などに合意。これに基づいて各レベルで具体策を作成している。

▽バーゼル委員会の資本規制
バーゼル銀行監督金融機関が2009年12月に金融機関の資本増強策を決定。

(2)米国の議論
▽金融事業の規制・監督強化
2009年6月に包括金融規制改革案を発表。監督の強化など(FRBへの一元化)など提案⇒その後議会が独自案を作成。調整を続けている。
今回(2010.1)新たな規制提案=商業銀行によるファンド投資規制など。銀証分離の色あい。

▽金融機関の責任追及
大手金融機関に特別課徴金の方針発表(2010.1)

▽ガバナンス
政府がガバナンス改革方針を発表(09.6)株主の報酬監視強化、報酬制限など
⇒議会の法案審議、SECによるルール決定などが進んでいる

▽SEC
様々な形で証券市場のルールを強化。長短時間取引(フラッシュ取引)中止など。

(3)英国の議論
▽金融規制の強化
金融サービス法案提出(09.11)=FSAの権限強化、消費者保護など。

▽金融機関の責任追及
高額報酬の経営者などに特別税を課すと発表(2009.12)

▽ガバナンス強化
ウォーカー報告を発表(09.11)=短期利益の追求防止に金融機関幹部の報酬制限など

(4)EUの議論
▽金融監督強化
2009年6月のEU首脳会議で、汎EUの監督体制強化に合意=システムリスク監視委員会設置。個別金融機関の監督と連絡強化。

◆国際ニュース・カウントダウン500号 ~この10年の世界と読者への感謝  2010.1.23

 国際ニュース・カウントダウン(INCD)は2000年7月の発刊から500号を迎えました。この間10年近く。ご愛読誠にありがとうございます。
 
 発刊以来、メルマガのスタイルはほとんど変わっていません。「ワンパターン」などご意見・後批判は色々あると思いますが、約10年間の蓄積によりアーカイブとしての価値は高まったと自負しています。アーカイブはHPから活用できます。
http://homepage2.nifty.com/INCDclub/

 読者の方々からは、メールで様々なご意見や激励をいただきました。厚く御礼申し上げます。
 メールにはなるべく返事を差し上げるよう心掛けていますが、ジャンクメールに紛れて見落とし、お答えできなかったケースもあるかも知れません(ジャンクメールには大いに悩まされています)。この場を借りてお詫び申し上げます。

 500週前を思い起こすと、当時はまだポスト冷戦の時代でした。米英流の市場中心主義が世界を席巻する勢いで、IT業界はウインテル(インテルとマイクロソフト)の時代でした。米国ではブッシュ政権の発足から半年でした。

 その後、9.11を経て世界はテロと対峙する時代に入り、金融危機で新自由主義の時代は終焉しました。米国には発の黒人大統領が誕生。携帯やネットが爆発的に普及し、IT業界の覇者はグーグルに交代したとの印象を受けます。中国は世界最大の輸出国、自動車販売国に成長し、世界の枠組みはG8からG20の時代に変わろうとしてます。

 こうした世界の中で日本を眺めると、その存在感の低下は否定のしようがありません。世界を動かす場で日本の行動や発言や注目されることもなく、日本社会や国民全体に内向き志向が強まっている感じがします。

 世界は激しく動いているのに、日本はその変化を正面から見つめるのことを避けようとしている。危機意識がまだ低く、まだ「変わりたくない」という気持ちの方が強い。そんな印象すら受けます。

 こんな時だからこそ、グローバルな視点から世界を眺め、世界を知ろうと努めることが重要だと思います。

 国際ニュース・カウントダウンの、世界で何が起きているかを鳥瞰し、コンパクトに整理して提供するという基本姿勢は、今後も変わりません。

 その上で500号を機に、今後新企画のコラムや特別コラムなどを掲載していきたいと思います。 

 皆様からのご意見・ご批判を改めて歓迎いたします。
 incd-club@nifty.com
 
 今後ともご愛読よろしくお願い致します。

INCD Club

2010年04号(1.17-23 通算500号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年1月17-23日

◆米政権が新金融規制案、自由化路線を転換(21日)☆☆
・オバマ大統領は新金融規制案を発表した。
・商業銀行に対しヘッジファンドなど高リスク事業への投資や保有を禁止する。
・投資銀行(証券)を含む全金融機関に負債上限を設定。巨大化を制限する。
・80年代の金融自由化の流れを変え、銀証分離、規模制限の方向を出した内容。
・金融機関の暴走を防ぎ、「大きすぎて潰せない」をなくす狙いが込められている。
・規制案はボルカー元FRB議長らの委員会が検討。ただ一度はお蔵入りの感があった。
・今回の発表は突然で、予想を上回る厳しい内容。大統領の国民受け狙いを見る向きもある。
・金融界は経済の活力を削ぐなどと反発。市場では金融株が下落した。
・共和党保守派などにも反対が根強く、実現の行方は流動的だ。
・FT紙は「オバマがウォール街に戦争を宣言」と評した。
・議論の行方が、世界の金融や経済の行方に大きな影響を与えるのは必至だ。

◆米民主党、安定多数割れ、オバマ政権に打撃(19日)☆
・マサチューセッツ州の上院補選が行われ、共和党のブラウン氏が当選した。
・この結果上院の民主党議席は59と、安定多数の60を割り込んだ。
・オバマ政権にとっては深刻な打撃。医療保険改革法の審議などにも影響する。
・補選はエドワード・ケネディ議員の死去に伴うもの。
・ブラウン氏は医療保険改革に伴う財政支出拡大などを批判し支持を集めた。
・同州は伝統的に民主党が強く、97年以降上院は負けなしだった。
・60議席を割ると長時間演説(filibuster)が阻止できない。政権運営への影響は必至だ。
・オバマ政権の支持率は直近50%。1年平均で57%と低下している。

◆中国2009年は8.7%成長(21日)☆
・国家統計局の発表によると、2009年10-12期のGDPは実質前期比10.7%増だった。
・2009年通年では前年比8.7%。
・金融危機後の経済低迷からいち早く脱出。政府目標の8%成長を達成した。

◆チリ大統領選、20年ぶりに左派から政権交代(17日)☆
・大統領選が行われ、野党連合で中道右派のピニェラ氏が当選した。
・チリは民政移管の1990年以降左派連合が政権を担ってきたが、20年ぶりに政権交代する。
・同氏は大手企業を所有する南米有数の富豪。
・ただ軍事政権の人権抑圧には反対してきた。
・選挙戦では政権交代による民主化や経済改革を訴え、国民の支持を得た。
・同国は70年の社会主義政権→73年クーデター(軍事政権)→90年の民政移管(左派)と変遷。
・チリ史が一つの節目を越えることになる。

◆ウクライナ大統領選決選投票へ、新欧米路線修正へ(17日)☆
・大統領選はヤヌコビッチ前首相が37%、ティモシェンコ首相が24%で2月7日の決選投票に進出。
・ユーシェンコ大統領は6%と敗退した。
・ヤヌコビッチ氏は親ロ派、ティモシェンコ氏もロシアとの関係修復に動いている。
・同国は2004年のオレンジ革命で新欧米路線に転じた。
・しかしロシアとの対立→経済が悪化。2009年の経済成長はマイナス15%に落ち込んだ。
・決選投票でどちらが勝っても親欧米路線は修正が必至。NATO加盟方針も撤回される見込み。
・投票率はオレンジ革命への失望前回大統領選より10ポイント下がった。

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 INCDの採点
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  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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◆オバマ政権・波乱の就任1年
 

オバマ米大統領が就任1年を迎えた(20日)。すでに就任時の希望と熱狂は過去のものとなり、厳しい現実に直面する段階を迎えているが、1周年前後も今後の波乱を予想させる出来事が相次いだ。
 1周年の前日(19日)のマサチューセッツ州上院補選は、大統領にとってきつい一撃になった。かつて民主党の金城湯池といわれた同州での敗北は、選挙における大統領の威光低下を如実に示した(昨年11月の2州知事選でも。この敗北で上院での安定多数を失い、今後の政権運営はより厳しいものになる。
 支持率も冴えない。ギャラップの18日の発表によると、大統領の就任後1年間の平均支持率は57%。第2次大戦後に選挙で選ばれた大統領としては、クリントン大統領に次いでワースト2だ(レーガン大統領と同率)。
 21日に金融規制新提案は、市場の事前予測を上回る金融機関に厳しい内容だった。もちろんボルカー(元FRB議長)委員会の提案があるが、国民の反大手金融機関感情を意識したという見方も強い。いずれにしろ、大統領は大手金融機関と対決姿勢を強める色彩を鮮明にした。
 懸案の医療保険制度改革法案も、マサチューセッツ州上院補選の結果で先行きが流動的になった。アフガンなど外交問題はもたつきが目立つ。
 就任1年を過ぎ確実なのは、言葉ではなく成果を問われる段階になったこと。そして、期待のバブルが弾け、求心力低下低下が続いていることだ。
 日本など海外でのオバマ人気は相変わらずだが、米国社会と感覚のギャップがあるかもしれない。要注意だろう。

◆グーグルvs中国問題の余波:情報覇権を巡る米中対立

 グーグルが中国にサイバー攻撃対策や検閲中止を求めた問題の余波が続いている。米中政府は会見などで意見を表明。ネットコミュニティでは議論の応酬が続いている。
 クリントン国務長官は21日ワシントンで演説。グーグル問題で中国に警告を発した。中国からのサイバー攻撃について責任を問うとともに、中国などのネット規制が「基本的人権の侵害に当たる」との認識を表明した。
 長官発言は、たとえばポルノなどに対する「必要な規制」と「情報の自由」のバランスをどうするかなど、精緻に論理立てしたものではなく、荒さも感じる。しかしそれだけに、この問題で中国にする断固たると姿勢を感じる。
 中国政府は22日談話を発表。中国のネットは開放的としたうえで、それそれの社会・法律に基づいた管理を正当化した。
 両国とも経済などで相互依存が欠かせない事は十分に認識している。今回の批判合戦も、米中関係の全面対立を望むものではない。しかし、個別案件以上に厳しい対決姿勢が滲む。
 情報化社会の進展で、「情報を握るものが世界を握る」色彩は一掃強まっている。さらにこの問題は、自由と民主主義、政府と個人の権利の関係など、政治・社会体制の基本価値観に関わるもの。
 問題の背後には、次世代の覇権を巡る対立も感じさせる。
 一方、グーグルは19日、中国で20日に予定していたアンドロイド搭載携帯の発売延期を発表した。21日に発表した2009年決算の純利益は、5%増の65億ドルだった。
 目が離せない。

◆日航更生法申請

 日航の更正法申請(19日)は国際的にも反響が大きかった。航空会社の経営問題は、多くの国が共通して抱える問題。米国ではユナイテッド、デルタなどの大手が更生法による再建を経験済みだし、欧州の英国航空、エールフランス、アリタリア、イベリア航空なども経営困難に直面している。世界の航空業界は、何があってもおかしくない状況が続く。

◎今週の注目(2010.1.24-31)&当面の注目
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・オバマ大統領が打ち出した新金融規制案に、様々な反響が続きそうだ。市場の動きも注目。
・オバマ米大統領が27日に一般教書演説を行う。大統領にとっては初の演説。支持率低下、新金融規制案、医療保険法案、アフガンなど重要問題が山積する中、大統領がどんなメッセージを発するか。
・ダボス会議は27日に始まる。テーマはImprove the State of the World:Rethink, Redesign, Rebuild。ここでもどんなメッセージが出てくるか。

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2010年1月17日 (日)

◆グーグルVS中国 2010.1.16

 グーグルが12日、中国戦略の抜本的見直しを発表した。昨年末に中国からサイバー攻撃を受けたことを明らかにして中国政府に解明を要求。同時に中国に検閲の撤廃を求め、交渉の結果次第では中国からの撤退も辞さない。

 グーグルの投げかけた問題は、自由のあり方に関する価値観の違いや、ネット時代の安全保障のカギを握るサイバー戦争に関わる。米中関係など政治・社会的な広がりも大きい。

▼グーグルの発表
 グーグルの発表は、同社の公式ブログに掲載されている。
 http://googleblog.blogspot.com/2010/01/new-approach-to-china.html

 それによると、昨年12月に同社のシステムが中国初のサイバー攻撃を受け、攻撃は中国の人権活動家のGメールアカウントを狙っていたという。攻撃はいくつかのアカウントを経由して仕掛けられた。この攻撃は、すでに米政府当局に報告し協議した。

 同社は2006年1月に中国語の検索サービスを開始した。中国はもともと政府系のプロバイダーが情報を規制しているが、グーグルも中国政府の要請を受け入れ。天安門事件など一部情報にアクセスできないようにしていた。

 これについて、同社は段階的にアクセスの自由が拡大すると期待していたと説明する(自主規制に対しては米国内などから批判も多かった)。

 しかし、サイバー攻撃などの事態を受けて中国戦略の見直しを決定。中国政府に検閲の撤廃を求め、自ら実施していたる一部アクセスの制限を撤廃した(その結果中国政府は規制→グーグル中国語は見れなくなる)。

▼広がる反響
 米政府は問題を深刻に受け止め懸念を表明。クリントン国務長官は近く情報制限などに関する声明を発表する予定だ。
 米IT企業などは相次いで、グーグルの決定を支持する姿勢を示した。
 一方、中国政府報道官は検閲そのものについては従来通り正当性を強調した。サイバー攻撃については適切な対応をとるとしたものの、詳細は説明していない。
 中国国民の反応は、グーグルの撤退を懸念し同社に理解を示す声と、政府の政策を支持する声が交錯している。

▼検閲の背後にある価値観の対立
 問題は一企業の中国戦略という次元を超えた広がりを持っている。一つは検閲と情報アクセスの自由の問題だ。
 冷戦終了後、自由と民主主義を柱にした米欧の価値観は世界で広く通用するルールになった。この価値観の下では言論、報道の自由は最優先事項(ロシアでもこの原則は公式には受け入れている)。
 中国もこの価値観を表立って否定しているわけではない。しかし受け入れているわけでもない。国家の発展の局面では表現の自由の制限も必要という立場を崩していない。自由より経済発展を優先させる立場は、ある種の開発独裁モデルと言えるのかもしれない。そしてその立場が、一部途上国などから支持を受けている。欧米の的な価値観に対しては、イスラム原理主義以上に強力な対立概念になる、との見方もある。
 検閲を巡る問題の背後には、この価値観対立という根深い問題が存在する。

▼中国発サイバー攻撃
 もう一つ重要なのが、ネットの時代の安全保障問題。新時代にはサイバー上の戦いが死活問題になる。陸海空の3軍について宇宙が第4の戦場とすれば、サイバーは第5の戦場と言われる。
 今回のサイバー攻撃について、グーグルは「中国発」とする以外詳細を明らかにしていない。しかし、関係者の間では中国政府につながる機関の攻撃という見方がある。
 中国政府の報道官は、サイバー攻撃に対し中国の方に従って適切に対応すると強調した。しかし、中国政府自身が法規制の対象になるかとの質問に対しては、明確な答えを避けている(WSJ報道)。

▼情報戦争の時代
 世界はすでにサイバー戦争時代に足を踏み入れている。2008年のグルジア紛争の時には、ロシアからグルジアなどにサイバー攻撃があったと伝えられる。政府や国際的な犯罪組織による攻撃は始まっている。
 新種のコンピューター・ウイルスが極秘裏にばらまかれ、個人の情報を監視するようなことも十分可能だ。豪州はサイバー攻撃に対する国家としての防御体制整備を発表した。
 グーグルVS中国は、我々がそうした時代に生きている現実を突きつける。

2010.1.16

2010年03号(1.11-16 通算499号) 国際ニュース・カウントダウン 

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年1月11-16日

◆グーグル中国に検閲撤廃要求、撤退も視野(12日)☆☆
・グーグルは中国事業を見直すと発表した。
・中国政府に検索サービスの検閲撤廃を要求する。
・同時に昨年末に中国からサイバーアタックを受けたことを公表。改善を求めた。
・今後中国政府との交渉で満足いく結果がなければ、中国事業から撤退する。
・サイバー攻撃が中国政府系の機関によるものとの情報もある。
・同社は従来中国の要求を受け一部情報へのアクセスを制限してきたが、戦略転換する。
・米政府も事態を重視。中国に懸念を表明する。
・一方中国政府は検閲の必要性を強調。従来政策を変えない姿勢を示している。
・事件により、情報の自由vs検閲やサイバー攻撃という重大問題が表面化した格好だ。
・ネット社会の在り方や米中関係の行方にも影響を与えかねない重要問題だ。

◆米、金融機関に特別課徴金(14日)☆
・米国は大手金融機関から特別課徴金を徴収する。オバマ大統領が演説で表明した。
・資産500億ドル超の機関を対象に、負債の一部に0.15%で課徴する。
・対象は外資系も含み約50社となり、向こう10年で900億ドルになる見込み。
・金融機関は経営者への高額報酬を継続。大統領は演説などでこれを強く批判した。
・その上で措置を金融危機責任税と位置付け、法案成立に意欲を見せた。
・米国は危機後7000億ドルの公的資金枠を設定。金融機関からは1170億ドルが未回収だ。
・危機の責任を問うと共に、国民の金融機関への批判にこたえる狙いがある。
・英国は高額報酬の金融機関幹部に特別税を課す措置を決定した。
・大統領はG20などの場で、各国の対応の調整も働きかけると述べた。
・金融規制強化と共に、危機の責任を問う動きが広がってきた。

◆ハイチで地震、被害拡大(12日) ☆
・ハイチでM7の地震が発生。甚大な被害が出た。
・内相によれば15日までに5万人の死者を確認。10-20万人になるとの情報もある。
・米国はじめ各国は救援野部隊を送っている。
・ハイチは政治的混乱が続き、2004年から国連のPKO部隊が駐在している。
・経済発展も遅れ、西半球の最貧国の1つ。
・政治・経済の混乱は2004年のクーデター時から基本的に変わらない。
 →ハイチの失敗 http://homepage2.nifty.com/INCDclub/clm2004/clmHaiti20040828.htm

◆イランで核科学者暗殺(12日)☆
・テヘランで12日、イラン人核物理学者が爆弾テロで殺害された。
・政権は米国とイスラエルが関与したとの声明を発表した。
・一方イラン国内の改革派は、政権によるテロと批判した。
・事件を機に、政権による改革派締め付けの動きがみられる。
・同国では昨年6月の大統領選挙後、改革派の政権批判と政権の締付けが続き、混乱している。
・核開発問題では政権が強硬姿勢を崩さず、国際社会との緊張が高まっている。
・国連P5とドイツは16日にもNYでイラン核問題に対する協議を行う予定。

◆パキスタンのテロ・戦闘被害1万人超(11日)
・民間シンクタンクのPIPSは2009年のテロ・戦闘被害者が1万2600人と発表した。
・過激派も含めた数字。08年比1.6倍。
・当局の掃討作戦による死者が6000人を超えている。
・一方国連の報告によると、アフガンの民間人死者は14%増の2400人。
・タリバンの攻撃やテロによる死者が大半を占めている。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【重大ニュース】 新年3週目は重大ニュースが相次いだ。グーグルの中国戦略見直しのニュースの背景には、情報規制(検閲)やネット時代のセキュリティ(サイバー攻撃)というネット時代の重要問題が透ける。オバマ大統領による大手金融機関への課徴金は、金融規制や企業の責任という問題に直接かかわる。ハイチの地震は2004年のインドネシア沖の地震以来の被害になる可能性がある。

◎今週の注目(2010.1.17-23)&当面の注目
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・オバマ米大統領が就任から1年を迎える。失業率10%超の経済情勢、アフガン情勢の膠着などもあり、ここにきて支持率は低下。就任当初の熱狂はない。今年はメッセージではなく実行力が問われる段階。2月初めにも予定される一般教書演説にかけて、オバマ政権の真価が改めて問われる。
・米国のクリントン国務長官がグーグルvs中国に関連し、表現の自由に関する声明を出す予定。グーグルvs中国で
・ウクライナの大統領選が17日に実施される。世論調査ではティモシェンコ首相とヤヌコビッチ前首相が優位だが、過半数を得る候補はいなく2月7日に決選投票が行われるとの見方が強い。現職のユーシェンコ氏は劣勢。ヤヌコビッチ氏は親ロ派、ティモシェンコ氏は親欧米からロシアとの関係改善に動いており、現在の親欧米路線が変わる可能性が大きい。
・1月末-2月にかけてにはオバマ大統領の初の一般教書演説とダボス会議。いずれも世界へのメッセージ発信として注目。

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2010年1月11日 (月)

2010年02号(1.4-10 通算498号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2010年1月4-10日

◆ドバイに世界最高層のビル完成(4日)☆
・ドバイに世界1高いビルが完成した。
・160階建てで828メートル。オフィスとホテル、高級住宅などからなり、総工費15億ドル。
・政府系開発会社のエマールが2004年に建設を開始。ドバイ発展の象徴的存在だった。
・しかしドバイは金融危機後経済が悪化。
・昨年末には政府系企業が債務返済繰り延べを要請。アブダビの支援を仰いでいる。
・ビル名は当初案ブルジュ・ドバイからアブダビ首長名を冠すブルジュ・ハリファに変更した。
・開発凍結に追い込まれるプロジェクトも相次ぎ、逆風下の完成となった。
・ちなみに日本最高は横浜のランドマークタワーで73階、296メートル。

◆米などイエメンの大使館一時閉鎖、テロ懸念で ☆
・米国など主要国は3-4日、在イエメンの大使館を相次ぎ閉鎖した。
・「アラビア半島のアルカイダ」によるテロの懸念が生じたため。
・同組織は昨年末の米航空機爆破未遂事件の後、犯行声明を出していた。
・イエメン治安当局は4日過激派を攻撃。一部メンバーを殺害・拘束した。
・これを受けて米などは5日以降、大使館を再開した。
・米メディアは爆破未遂犯の話として、イエメンで約20人に犯行の訓練が行われた報じた。
・オバマ大統領は5日、グアンタナモ基地収監のイエメン人の送還を当面凍結した。
・イエメンでは政府と反政府組織の紛争が昨年再燃。情勢は不安定化している。
・同国はテロの温床として、国際安保の焦点になっている。

◆世界各地で空港安全対策強化
・昨年末の航空機爆破未遂事件を受け、世界各地で安全対策強化の動きが加速している。
・オバマ米大統領は7日、警戒人物リスト強化や爆発物探知など対応を指示した。
・カナダは5日、主要空港に全身透視スキャナー導入の方針を発表した。
・オランダ、英国はすでにスキャナー導入を決定。米国も一部空港で導入している。
・プライバシー侵害との観点から反対意見もあるが、テロ対策が優先されている格好だ。

◆ユーロ圏失業率10%超(8日)
・EUが発表したユーロ圏16カ国の09年11月失業率は10%となった。
・10%超は98年8月以来。
・EU27カ国の失業率は9.5%だった。
・米国は09年10月に失業率10%を超えている。
・欧米とも景気回復でも失業率が高止まるジョブレス・リカバリーの予測が強い。

◆スーダン南部で民族衝突、140人死亡(7日)
・スーダン南部ワラブ州で民族間の衝突が発生。1週間で140人以上が死亡した。
・牧畜のディンカ族とヌエル族の衝突と伝えられる。
・スーダン南部では牛を巡る部族間の衝突が相次いでいる。
・同国では南部と北部の内戦、ダルフール紛争など、紛争が絶えない状況が続く。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【世界紛争地帯】 新年で他の動きが少ないこともあり、テロや紛争のニュースが目につく。昨年末の米機爆破未遂事件以降、イエメンでは不穏な動きが相次ぐ。スーダンの民族衝突は、同国の紛争の種の多さを物語る。エジプトではコプト教徒を狙った銃乱射事件があった。アフガンやイラク、パキスタンの情勢不安定は相わらない。世界不安定地帯の動向は、今年も変わらず重要ニュースを提供し続ける。

 【IT家電新動向】 ラスベガスで7日から家電の展示会CESが開催した。話題になっている商品を上げると、(1)3Dテレビ、(2)電子書籍(アマゾンのキンドルなど)、(3)プラスチックペーパー、などだ。特に3Dは旬の話題として注目の的。
 技術革新に支えられた新製品は、世界の人々の生活を大きく変えている。この10年で先進国ではインターネットと携帯電話が「存在しないもの」から「生活の日常品」になり、アフリカなど途上国では暮らしはもとより社会の在り方を変えつつある。CESで示されているのは、次の変化だ。
 ちなみに3Dが話題の「アバター」は、12月18日の公開から2週間で興行収入が10億ドル突破した。すでに歴代4位という。

 【2010年のリスク】 米国シンクタンクのユーラシア・グループが2010年の世界のリスクを発表した。米中関係、イラン情勢などそうだろうなというものが多い。日本が1つにカウントされているのも一つの見方だ。ベスト10は以下の通り。イラク情勢などは番外に挙げている。
1 US-China Relations
2 Iran
3 European fiscal divergence
4 US financial regulation
5 Japan
6 Climate change
7 Brazil
8 India-Pakistan
9 Eastern Europe, elections & unemployment
10 Turkey
http://eurasiagroup.net/media-center/view-press-release/Top+Risks+for+2010%3A+US-China+relations+tops+the+list

◎今週の注目(2010.1.11-16)&当面の注目
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・北米自動車ショーが11-24日にデトロイトで開催される。環境対応車の動向などに注目。ただ、自動車ショーも中国やインドが注目される時代になった。
・1月にはオバマ大統領の初の一般教書演説とダボス会議。いずれも世界へのメッセージ発信として注目。

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2010年1月 3日 (日)

◆2010年の世界展望 2010.1.3

▼経済、アフガン、温暖化
 2010年が始まった。今年の注目テーマは昨年からの継続案件が多い。具体的には、(1)世界経済の行方(2)アフガン情勢を中心とする安全保障(3)地球温暖化問題をはじめとする環境問題、などだろう。
 世界経済は危機時から平時への出口戦略を探る展開になるが、行方は不透明。アフガンやパキスタン情勢も予断を許さず、イランや北朝鮮の核拡散問題は今年も神経性が続きそうだ。地球温暖化は、米国や中国などの政治のリーダーシップが問われることになる。

▼グローバル化、IT革命、中印台頭
 ここ数年の世界の変化の趨勢であるグローバリゼーション、IT革命、中国やインドなど新興国の台頭などは今年も変わらない。携帯の普及は加速し、スマートフォンなどの新製品が続々登場。中国はドル換算ベ―スでも世界第2の経済大国になるのが確実だ(購買力平価ベースではすでに10年近く前から世界第2位)。グローバル・ガバナンスの観点からは、G8からG20や米中のG2が注目される傾向が強まりそうだ。

 世界で最も注目されるプレイヤーが、オバマ米大統領であることは変わらない。ただ、昨年は変化のメッセージが注目されたが、今年は実行力が問われることになりそうだ。

 予定されている政治行事は、米中間選挙(11月)、英国で総選挙(5月までの予定)など。国際的なイベントとしては、5月に上海万博が開催。6月には南アのサッカー・ワールドカップが行われる。

▼Finaincial Timesの2010年展望。

 英Financial Timesは毎年末、翌年を展望する特集を掲載している。2010年展望の主なポイントは以下の通りだ(12月30日掲載)。

▽世界の枠組み・安全保障
・核不拡散の進展は→米ロの核削減など進展。イラン核問題などは継続。
・イスラエルによるイラン核施設攻撃はあるか→今年はない。
・パキスタンのザルダリ大統領は地位にとどまるか→予測難しい。
・アフガンはベトナム化するか→ベトナムのように米国内で反戦にはならない。

▽世界の政治
・EU新「大統領」(首脳会議常任議長)のファンロンパイは皆に知られるようになるか→なる。
・英国総選挙の行方は→保守党が勝利しキャメロン首相誕生。
・英国・EUの関係は→保守党政権誕生でEU政策は変わるが一気に悪化することはない。
・ロシアのプーチン首相は2012大統領選出馬を表明するか→公式にはまだ。
・米中間選挙は→共和党が議席を増やすが、上下院で過半を得ることはない。

▽経済
・年末の原油価格は→70-80ドル程度か。
・株式市場への資金流入は回復するか→期待できる。
・貿易戦争は勃発するか→個別案件の係争は生じるが、全面的な貿易戦争は起こらない。
・ユーロ圏加盟国で支払い不能に陥る国は→多分発生しない。
・ウォールストリートやシティのボーナス(高額報酬)文化は変わるか→変わらない。

▽環境・社会・文化など
・W杯南ア大会の優勝は→ブラジル
・2010年は近年で最も暑い年になるか→エルニーニョによるが可能性。
・温暖化問題で合意はあるか→歩み寄りはあるが最終合意は持ち越し

2010.1.3

2010年01号(2009.12.28-2010.1.3 通算497号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年12月28日-2010年1月3日
 

◆株価、2009年は回復(31日)☆
・NYダウは1万428ドルで取引を終了。年間18%上昇した。
・3月の金融危機後最安値(6547ドル)からは約6割の回復。
・英国のFTSE100は29日、金融危機前の水準(5416.7)を回復した。
・世界経済底打ち観測から世界の株価は年央から回復した。
・金融危機で株価が落ち込んだ2008年から、2009年は回復の年になった。

◆UAEが原発建設、韓国が受注(27日)☆
・UAE初の原発建設プロジェクトを韓国企業連合が受注した。
・ハリファ大統領と李明博大統領が現地で会談。その後発表された。
・原発は総事業費410億ドルで、2017年に1号機稼働の予定。
・湾岸地域初の原発になる。
・同国は世界有数の石油産出国だが、将来に備え原発建設に動いている。
・地域のエネルギー政策、さらにはイランの核開発への影響も予想される。
・プロジェクトには仏企業連合、GEと日立連合も応札していた。

◆アフガン閣僚不信任(2日)
・アフガニスタン下院はか流罪大統領が指名した閣僚の信任投票を行った。
・24候補者中17人を不信任とした。
・ただし、国防相や内相など治安のカギを握る閣僚は信認された。
・2期目のカルザイ政権の基盤の弱さが、改めて露呈された格好だ。

◆米大統領、テロ対策徹底表明(28日)
・イエメン拠点のアルカイダ系組織は、25日の米機テロ未遂の犯行声明を発表した。
・オバマ大統領は28日会見。対策の不備を認め、徹底を表明した。
・事前の警戒情報が、横の連絡の悪さで生かされなかったことなどを問題視した。
・オランダはスキポール空港での搭乗時のチェック強化を発表した。

◆パキスタンで自爆テロ、95人死亡(1日)
・パキスタン北西ラッキマルワト近郊の村で自爆テロが発生。95人以上が死亡した。
・住民らがバレーボールの試合をしていた運動場で起きた。
・イスラム系過激派の犯行の可能性が大きい。
・同地域はタリバン掃討に協力的とされ、報復の可能性がある。
・パキスタンの治安悪化の深刻さを改めて印象付けた。

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 INCDの採点
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  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【2010年幕開け】 2010年が始まった。昨年から引き続き、世界は経済、地球温暖化、アフガン、テロなどを中心に動く。米オバマ大統領は、新政策の成果が問われる年になる。

 【新年のニュース】 新年1日にはパキスタンで大規模なテロが発生。2日にはアフガン下院が新閣僚を多人数不信任し、カルザイ政権の基盤の危うさを改めて印象付けた。アフガン、パキスタン情勢の先行き多難を予感させる。

◎今週の注目(2010.1.4-9)&当面の注目
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・世界最大の家電見本市CESがラスベガスで7日開幕。
・インド・ニューデリーでは自動車の展示会が5日開催する。外国企業の参加は2008年の前回の100社から800社に拡大。成長著しいインド市場を巡り、自動車各社が競争を繰り広げる。
・1月にはオバマ大統領の初の一般教書演説とダボス会議。いずれも世界へのメッセージ発信として注目。

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